【旧NISA失敗シリーズ⑤】+16万円で満足して売った株が、その後10倍になった話
旧NISAで個別株投資をした10年間を購入年ごとに振り返るシリーズ。⑤は2019年、+16万円で満足して売った株が、その後10倍になりました。問題は「売ったこと」ではなく、「なぜ売る判断しかできなかったのか」という構造にあります。 2019年、9銘柄を購入 2019年は9銘柄を購入した年です。青山商事で-31万円という旧NISA最大の失敗(2017年)、中北製作所の失敗(2018年)を経て、少しずつ銘柄選びは変わり始めていました。 ただ、根本的な問題は解決していませんでした。「業界の成長を理解して買う」ではなく、「なんとなく面白そう」で買っていました。それがこの年の結果に如実に出ています。 2019年に買った9銘柄 銘柄購入単価損益グラファイトデザイン499円−47,400円フロイント産業872円−18,500円スペース1,145円−12,800円ぐるなび639円+9,000円日本毛織935円+15,320円ユニバーサル園芸社1,569円+14,300円ネオジャパン919円+18,550円ジャステック887円+107,300円野村マイクロサイエンス649円+160,600円 2019年 主要銘柄の損益(円) ¥160600 野村マイクロ ¥107300 ジャステック ¥18550 ネオジャパン ¥-18500 フロイント ¥-47400 グラファイト 野村マイクロの+16万円に引っ張られて過去最高益の年に 9銘柄中、マイナスが3銘柄。大きく勝ったのは野村マイクロサイエンスとジャステックの2銘柄です。 マイナスになった3銘柄(グラファイトデザイン・フロイント産業・スペース)に共通しているのは、「事業の将来像が描けないまま買った」という点です。「株価が手ごろだった」「名前を知っていた」という理由で買っており、業界の成長性や企業の競争力を確認していませんでした。 野村マイクロサイエンスを7ヶ月で売却した 野村マイクロサイエンスは半導体製造用の超純水装置を手がけるメーカーです。2019年7月に649円で200株、合計169,800円を投資しました。 購入理由は「半導体関連で面白そう」という程度の直感でした。 購入後、株価は上昇。わずか7ヶ月後の2020年2月に売却しました。売却価格は1,652円(平均)。+160,600円の利益でした。 項目金額購入額169,800円売却額330,400円損益+160,600円 当時の私は大満足でした。「うまくいった」と思っていました。 その後、野村マイクロサイエンスは… 売却後の野村マイクロサイエンスの株価を確認したのは、1年ほど経ってからのことです。 株価は上がり続けていました。2021年には3,000円台、2022年には5,000円台、2024年には一時9,000円を超えました。私が649円で買って1,652円で売った株が、最大で14倍以上になっていました。 ここで問題にしたいのは「あの時売らなければよかった」ということではありません。 後出しジャンケンで「持ち続けていれば150万円以上になった」と言うのは簡単ですが、それは最高値で売れた前提の話です。実際には途中で大きく下落する局面もあり、途中で保有を続けるには相応の根拠が必要でした。 本当の問題は、私には「持ち続ける判断をするための根拠」がそもそもなかったということです。 なぜ持ち続けられなかったのか 「満足したから売った」では説明が浅いです。本質はもう少し構造的な話です。 業界理解がなかった 半導体製造向け超純水装置という分野が、今後10年でどのくらい成長する市場なのか、私には何もわかっていませんでした。「半導体は成長分野らしい」という漠然とした認識はあっても、野村マイクロサイエンスが業界内でどのくらい強い立場にあるのかを確認していませんでした。 投資シナリオがなかった 「なぜ買うのか」「どういう条件になったら売るのか」を買う前に決めていませんでした。 シナリオがないと、株価が上がった時に「もうここでいいか」という感情で動いてしまいます。実際にそうなりました。 目標株価を設定していなかった 「この株価になったら売る」という基準を持っていませんでした。 目標株価の決め方は複雑でなくていいです。たとえば、過去のPERレンジの上限に現在のEPS予想をかけた数字を仮の目標値にするだけでも、「どこまで待つか」の軸になります。具体的な数字を持っているかどうかで、感情に引きずられる度合いが大きく変わります。 当時の情報だけで判断するなら、「決算で成長が継続している限り保有継続」というルールを置くべきでした。 2019年のもう一つの成功:ジャステック +107,300円 野村マイクロサイエンスほど劇的ではありませんが、ジャステック(ITシステム会社)も+107,300円という成果でした。こちらは2019年購入、2024年売却と5年間保有した結果です。 ジャステックはITシステム開発会社で、特別派手な成長ストーリーはありません。ただ、業績が安定していて、配当も出ており、毎年の決算を確認しながら「まだ持てる」と判断し続けた結果が5年保有につながりました。 野村マイクロサイエンスと何が違ったか。ジャステックは「なんとなく持ち続けた」ではなく、毎期の決算を見て判断していました。一方の野村マイクロサイエンスは、持ち続けるための判断軸を持っていなかった。この差です。 ただし、ここで「長期保有の方がいい」という結論を出すのは危険です。ぐるなびや青山商事をずっと持ち続けていたら、損失はもっと大きくなっていました。長期保有が正しいのではなく、継続保有を判断し続けることが重要です。 マイナス3銘柄の共通点 グラファイトデザイン(−47,400円)・フロイント産業(−18,500円)・スペース(−12,800円)の3銘柄は、合計で約8万円のマイナスでした。 3銘柄に共通していたのは次の3つです。 株価が手ごろだった(1,000円前後):1単元10〜15万円で買える金額帯。これは2015〜2017年の私と同じ「買える金額で選ぶ」癖がまだ残っていた証拠です。 業界の成長性を確認していなかった:炭素繊維(グラファイト)・製薬機械(フロイント)・店舗内装(スペース)。それぞれが10年後にどう伸びる業界か、買う前に調べていません。 配当利回りが中途半端:3銘柄とも配当はあったものの、利回り2〜3%台で「保有継続の安心材料」にはなりませんでした。 2018年の中北製作所では「3,825円で1銘柄38万円」という集中ミスでしたが、2019年は「1,000円前後で小さく散らす」方向にぶれました。集中の問題は解消されたものの、選び方の質は変わっていなかったわけです。 ...