ライフプランシミュレーションの作り方|95歳まで試算する30代夫婦の実例

「ライフプランシミュレーション エクセル」「ライフプラン 表 自作」で検索してこのページに来た方も多いと思います。テンプレートは検索すれば見つかります。ただ「結局何を入力すればいいのか」で止まってしまう人が多い印象です。 平成時代を生きた30代、川崎市在住・夫婦二人暮らし(子どもなし)のHIKOです。投資歴11年・FP2級。2026年6月に自作のライフプランシミュレーションを作り、95歳まで57年分の家計を複数シナリオで試算しました。この記事では、そのときに実際に組んだシート構成と、作成の5ステップを具体例つきで紹介します。 なお、本記事はマネーフォワード MEのようなツールで日々の家計を可視化した「その次」の段階を想定しています。まだ家計簿アプリで支出を把握していない方は、先にそちらから始めることをおすすめします。 ※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。 なぜ家計簿の次にライフプランシミュレーションが必要なのか 家計簿アプリは「今月いくら使ったか」を教えてくれます。しかし「このペースで貯めて、老後まで資産は持つのか」「住宅を買うべきか、賃貸を続けるべきか」「早期リタイアは現実的か」といった問いには答えてくれません。 これらに答えるには、単年ではなく数十年単位で家計を先に延ばして試算する必要があります。私がライフプランシミュレーションを作ったきっかけも、家計を可視化しただけでは「このままで大丈夫なのか」という不安が消えなかったからです。 ライフプランシミュレーションでできることは、大きく3つあります。 収入・支出・資産の推移を長期で可視化する 「賃貸 vs 住宅購入」「早期リタイアするなら何歳か」のような複数シナリオを比較する 前提条件(昇給率・利回り・支出)を変えたときの感度を確認する マネーフォワード MEで家計を自動で可視化する 銀行・証券口座・クレジットカードを連携するだけで、資産推移が自動でグラフ化されます。ライフプランシミュレーションの土台となる支出データもここから拾えます。 マネーフォワード MEを無料で試す → ※アクセストレード経由のアフィリエイトリンクです。 ライフプランシミュレーションに必要な項目 作り込む前に、最低限そろえておきたい項目を整理します。 項目内容例前提条件現在の年齢、退職想定年齢、想定寿命(何歳まで試算するか)収入現在の手取り年収、昇給率の想定、退職金・年金の見込み支出生活費、住居費、教育費(子どもがいる場合)、大型出費の予定ライフイベント住宅購入、車の買い替え、子どもの進学、早期リタイアなど資産・運用現在の資産額、NISA・企業型DCなどの積立額、想定利回り ポイントは、収入や支出を1本の数字で固定せず、「昇給率が低かった場合」「利回りが想定より低かった場合」のように複数パターンで置けるようにしておくことです。前提条件をシートの先頭にまとめておくと、後から一括で変更できて楽になります。 ライフプランシミュレーションの作り方【5ステップ】 ここからは、私が実際に組んだ手順を、例として「30代夫婦」のモデルケースに当てはめながら説明します。以下のケースはあくまで説明用の例示であり、私自身の実額ではありません。 例)30代夫婦(夫35歳・妻33歳)、子どもなし、賃貸暮らし 65歳を退職想定年齢、95歳を試算の終点に設定 30年後に住宅購入を検討するかどうかで悩んでいる 早期リタイア(FIRE)にも興味があるが、何歳なら現実的か分からない このようなケースを想定しながら、シートを組んでいきます。全体の流れを図にすると、次のような構成になります。 順番ステップ1前提条件2ベースシナリオ(現状維持)3ライフイベント別シナリオ(住宅購入/子ども1人/子ども2人/早期リタイア/逆算DieWithZero)4感度分析(年金/昇給/育休)5定期更新 ステップ1:前提条件シートを作る 最初に「前提条件」だけをまとめた1枚のシートを作ります。現在の年齢、退職想定年齢、試算の終点、想定利回り(保守1%・標準3%のように複数パターン)、昇給率などです。 私は試算の終点を95歳に設定しました。平均寿命(男性約81歳・女性約87歳)まででは老後資金を過小評価する可能性がある一方、FPが作成するライフプランでも95歳前後まで試算するケースは多く、長寿リスクを考慮すると現実的な終点だと考えたためです。 この前提条件シートの数字を、他のすべてのシートから参照する形にしておくと、前提が変わったときにここだけ直せば全体に反映されます。私の場合、作成後20日間で少なくとも10回以上、前提条件を見直して更新しました。月1回のような定期更新ではなく、「ニュースで金利や物価の話を見た」「昇給額が確定した」など、前提が変わるたびに触るイベントドリブンの運用です。 なお、家計の土台となる支出データは、マネーフォワード MEで日々自動集計されたものを使うと、シミュレーション側の入力の手間がかなり減ります。 ステップ2:ベースシナリオ(現状維持)を作る 次に、今の生活を続けた場合の家計推移を、年次で試算します。私は「ベース_賃貸」というシートを作り、95歳までの57年分を1行ずつ、収入・支出・資産残高が並ぶ形で組みました。 このベースシナリオが、後で他のシナリオと比較するときの基準になります。ここを丁寧に作っておくほど、以降の比較が楽になります。 こうした年次の合計や条件分岐には、一般的にSUM関数(合計を出す)やIF関数(条件によって数値を切り替える)を使うことが多いです。前提条件シートの数字を各年の行に参照させ、その上で収入・支出・資産残高を積み上げていくイメージです。 ステップ3:ライフイベント別のシナリオシートを増やす ベースシナリオができたら、検討したいライフイベントごとにシートを複製して分岐させていきます。私が実際に作ったシートは次のようなものです。 住宅購入(賃貸継続との比較用) 子ども1人・子ども2人(それぞれ教育費を反映したケース) 早期リタイア 逆算DieWithZero(95歳時点の目標資産から逆算して、いつまで働けばよいかを計算するシート) 例えば「住宅購入」を検討する場合、「ベース_賃貸」シートと「住宅購入」シートを、95歳までの57年間、実質利回り1%(保守)と3%(標準)の2パターンで並べて比較します。私の場合はこの比較の結果、賃貸を継続する判断をし、現在も賃貸に住んでいます。実際に試算してみると、住宅購入シナリオは賃貸継続シナリオより、95歳時点の資産残高が少ない結果になりました。金額差を確認できたことで、感覚ではなく数字をもとに判断できたことが、このシートを作った一番の収穫でした。 早期リタイアを検討したい場合は、資産の使い方(今の支出水準を維持する/老後の支出水準まで切り詰める/サイドFIREとして一部収入を残す)と利回り(保守1%・標準3%)を掛け合わせたマトリクスで比較すると、「何歳ならリタイアできそうか」が具体的に見えてきます。私は「逆算DieWithZero」というシートも別に用意し、95歳時点で目標の残高になるよう逆算して、賃貸シナリオと子ども2人シナリオの2ケースで最短のリタイア可能年齢を比較しました。 ステップ4:感度分析シートで前提のブレを確認する シナリオが一通りできたら、前提条件を意図的に動かして結果がどう変わるかを確認します。私は「年金感度」「昇給感度」「育休感度」という3つのシートを用意し、それぞれの前提を上下に振ったときに、最終的な資産残高がどう変化するかを確認しました。 例えば昇給率を1%下げて試算すると、95歳時点の資産残高が減る結果になりました。年金の受給額が想定より少なかった場合の感度も合わせて確認しておくと、「最悪のケースでも詰まないか」を事前にチェックできます。長期の複利計算では、こうした将来値の見積もりにFV関数(将来価値を計算する関数)が使われることも一般的です。 ステップ5:定期的に前提を更新し、シナリオを追い足す ライフプランシミュレーションは一度作って終わりではなく、状況が変わるたびに更新していくものです。私は最終的に「専業主婦逆算」「副業逆算」といったシートも追加し、全部で12シートの構成になりました。すべて2026年6月に作り始めたばかりで、まだ運用歴としては数週間ですが、短期間で何度も改訂を重ねたことで、自分たちの家計の「効きどころ」がかなりクリアになりました。 ライフプランシミュレーションを作るときの注意点 利回りは複数パターンで試算する:1つの利回りだけで試算すると、相場が想定を外れたときに計画が根本から崩れます。保守的な数字と標準的な数字の両方で試すことをおすすめします 将来の数字は「予測」ではなく「仮置き」と捉える:ライフプランシミュレーションは未来を正確に当てるものではなく、前提が変わったときにどう資産が動くかを確認するための道具です。数字を鵜呑みにせず、定期的に前提を見直す運用が前提になります 投資判断は自己責任で行う:本記事で紹介した利回り前提やシナリオ比較は、あくまで私個人の試算例です。実際の投資判断や住宅購入の意思決定は、ご自身の状況を踏まえて自己責任で行ってください まとめ ライフプランシミュレーションは、家計簿アプリで「今」を可視化した次に、「この先数十年」を可視化するための道具です。私は前提条件シート・ベースシナリオ・ライフイベント別シナリオ・感度分析シートという流れで、95歳までの57年分を複数パターンで試算しました。 最初から12シートを目指す必要はありません。まずは前提条件とベースシナリオの2つだけで十分です。住宅購入もFIREも、必要になったタイミングでシートを追加すればよいので、「完璧な状態で始める」より「小さく始めて更新し続ける」ことのほうが、結果的に長続きします。 今日やること 手元の家計簿アプリ(なければマネーフォワード MEなど)で、直近3ヶ月の平均支出を確認する 「何歳まで試算するか」「退職想定年齢は何歳か」の2つだけ、まず自分の前提条件として決める スプレッドシートを1枚開き、年齢・収入・支出・資産残高の4列だけのベースシナリオを作ってみる あわせて読みたい 2026年4月末の資産配分(アセットアロケーション)と保有商品、今後の投資方針 企業型DCの含み益と今後の運用方針 NISAで投資を始める30代のための基礎知識

2026年7月1日 · 最終更新: 2026年7月8日 · HIKO

一時払い終身保険の予定利率2.25%引き上げは“買い時”か|元保険業界FPが見た41年ぶりの上げ幅

結論を先に言います。 一時払い終身保険の予定利率2.25%は「増やす商品」としてはおすすめしません。これは死亡保障と相続・資金の置き場所のための商品で、純粋に増やすならNISAが先です。一方、預貯金がすでに潤沢で、相続対策や確実に遺す手段がほしい人には役割があります。この記事は、退職金・相続の置き場所を考えている50〜60代の方、そして親世代の相談を受ける立場の30代に向けて、予定利率2.25%を実質利回り(IRR)の試算で冷静に見ていきます。 保険業界に10年、その後IT企業に転職したFP2級・投資歴11年のHIKOが書いています。 ※本記事は特定の保険商品の加入・解約を勧めるものではありません。投資・保険の最終判断はご自身の責任で行ってください。記事中のIRR試算は一般的な前提を置いた試算例で、特定商品の確定値ではありません。 結論:予定利率の引き上げは事実だが「増やす目的」ならNISAが先 先に私の見方をまとめます。 予定利率が上がったのは事実で、契約者にとっては条件が良くなる方向の話です ただし一時払い終身保険は「お金を増やす商品」ではなく、「死亡保障」と「まとまった資金の置き場所・相続対策」のための商品です 純粋に資産を増やしたいなら、まず使うべき枠はNISA(と、会社員なら企業型DC・iDeCo)です 予定利率2.25%は「契約者が手にする実質利回り」とイコールではありません。保障や手数料のコストが乗るため、実際の利回りはそれより低くなります 「41年ぶり」という言葉に押されて慌てる必要はない、というのが私の立場です。順番に説明します。 報道された内容を整理する まず、報じられた事実を簡単に整理します(出典:2026年6月25日 TBS NEWS DIG)。 項目内容会社住友生命対象一時払い終身保険予定利率1.75% → 2.25%上げ幅0.5%(41年ぶりの大きさ)2.25%という水準1998年以来、28年ぶり適用2026年7月1日の契約分から背景日銀の利上げなどによる国内金利の上昇 報道では、保険料がどれくらい安くなるかの例も示されていました。60歳男性・保険金額1,000万円のケースで、保険料はおよそ663万円となり、68万円ほど安くなるという内容です。 予定利率が上がると、同じ保険金額を用意するために必要な保険料は下がります。だから「保険料が安くなる=条件が良くなる」というのは、その通りです。 ただ、ここで一度立ち止まりたいのです。この商品は、そもそも何のための商品なのでしょうか。 そもそも一時払い終身保険とは|「増やす」より「遺す・置く」商品 一時払い終身保険は、契約時に保険料をまとめて一括で支払う死亡保険です。月払いや年払いではなく、最初に何百万円〜という単位でドンと払い込みます。 特徴を整理すると、こうなります。 死亡保障が一生涯続く:被保険者が亡くなったとき、保険金が支払われます 払った保険料より保険金が大きくなる設計:例の60歳男性なら、約663万円を払って1,000万円の保障を確保するイメージです 解約返戻金が時間とともに増える:据え置くほど返戻金が払込額に近づき、やがて上回っていきます つまりこの商品は、「お金を増やすこと」よりも、まとまった資金に死亡保障という形を与えて、確実に遺す・置いておくことに主眼があります。実際、相続対策(生命保険の非課税枠の活用)や、退職金など使う予定のないまとまった資金の置き場所として語られることが多い商品です。 ここが、NISAやインデックス投資と決定的に違うところです。NISAは「増やす」ための枠、一時払い終身保険は「遺す・守る」ための器、と役割が違います。 一時払い終身保険とNISAの比較表|目的・元本・利回り・流動性・相続 「どちらが得か」ではなく「役割が違う」ことが伝わるように、5つの軸で並べてみます。 比較軸一時払い終身保険NISA(インデックス投資)主な目的死亡保障・遺す・資金の置き場所資産を増やす元本の安全性据え置けば元本確保に近い(早期解約は元本割れ)元本保証なし(値動きする)期待できる収益低め(予定利率より下。後述の試算で年1%前後の例)過去実績ベースで年3〜7%想定(将来は不確実)流動性(引き出しやすさ)低い(早期解約は元本割れ・原則寝かせる前提)高い(いつでも売却・引き出し可能)相続対策生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人)が使える非課税枠の対象外(通常の相続財産)向いている人預貯金が潤沢で遺す・守る目的の人これから増やしたい現役世代 NISAは値動きを受け入れて増やす器、一時払い終身保険は値動きを抑えて遺す・守る器です。期待収益・流動性ではNISAが上ですが、相続の非課税枠は保険ならではの強みです。優劣ではなく目的で選ぶ、というのが結論になります。 予定利率2.25%=あなたの利回り、ではない|IRRの試算例で見る ここが一番の注意点であり、第三者からも「ここを数字で見せてほしい」と指摘された核心部分です。 「予定利率2.25%」と聞くと、預けたお金が年2.25%で増えていくように感じます。でも、予定利率は保険会社が運用する前提の利率であって、契約者が実際に受け取る利回り(実質利回り・IRR)とは別物です。一時払い終身保険には、死亡保障というコストと保険会社の経費(付加保険料)が乗っているからです。 そこで、報道の数字(約663万円払って保険金1,000万円)を起点に、実質利回り(IRR)がどう見えるかを試算してみます。 重要な前提です。 以下は私が一般的な前提を置いて計算した試算例であり、住友生命など特定商品の確定した解約返戻金推移ではありません。解約時期ごとの返戻率(100%・110%・120%・130%)は、説明のために私が置いた仮定値です。実際の返戻金は商品・契約年齢・経過年数で異なるため、必ず契約時の設計書で確認してください。前提は「一時払い663万円・保険金1,000万円・追加の保険料なし」とします。 まず、生きていて途中で解約する場合の実質利回り(IRR)の試算です。 解約時の返戻率(仮定)受取額10年後20年後30年後100%(払込と同額)663万円年0.00%年0.00%年0.00%110%約729万円年0.96%年0.48%年0.32%120%約796万円年1.84%年0.92%年0.61%130%約862万円年2.66%年1.32%年0.88% 返戻率が育っても、年数で割り戻すと実質利回りは年1%前後にとどまるケースが多いことが分かります。予定利率2.25%という見出しの数字と、契約者が手にする利回りは別物だということです。これは私が過去に検証したオリックス生命「エンキャン」(返戻率139.5%でも実利回り年1.34%)や、明治安田の積立保険(予定利率1.6%でも実利回り年1%台)と同じ構造です。 次に、死亡して保険金1,000万円を受け取る場合の試算です。 受取受取額10年後20年後30年後死亡保険金1,000万円年4.20%年2.08%年1.38% 「663万円が1,000万円になるなら年率は高いのでは」と思うかもしれません。確かに10年で亡くなれば年4.2%相当に見えます。ただ、これは「亡くなる」という条件が満たされた場合の数字です。長生きするほど年数で割り戻されてIRRは下がり、30年生きれば年1.38%まで落ちます。そして長生きして解約すれば、上の表のとおり年1%前後に収れんしていきます。 ここから見えるのは、単純な「663万円払って1,000万円だから337万円増える」という話ではないということです。差額の337万円は「いつ亡くなるか分からない死亡保障」というコストの裏返しで、保障コストがある分だけ生存時の実質利回りは予定利率2.25%より押し下げられます。これは商品の欠陥ではなく、保険という仕組みの当然の構造です。増やす道具ではなく、保障と置き場所の道具だと割り切る理由はここにあります。 なぜ今、予定利率が上がったのか|金利上昇局面の話 ここは投資家目線で補足したい部分です。 予定利率は、保険会社が「契約者から預かったお金をこれくらいの利回りで運用できる見込みだから、その分を保険料に織り込みます」という前提の利率です。保険会社の運用先の中心は国債などの債券なので、国内金利が上がれば、予定利率も上げやすくなります。 近年は日銀が利上げに動き、長期金利も上昇してきました。今回の「41年ぶりの上げ幅」は、その金利上昇を保険商品の側が反映した動き、と理解すると腑に落ちます。明治安田生命が積立保険の予定利率を引き上げた件など、ここ最近は各社が同じ方向に動いています。 ここで投資家として一つ言いたいのは、金利が上がる局面というのは、保険だけでなく、個人向け国債や債券、定期預金など他の「増やし方」の条件も良くなっているということです。予定利率2.25%だけを単独で見て「お得になった」と判断するのではなく、同じ局面で他の選択肢の条件も上がっていることをセットで考えたいところです。とくに個人向け国債(変動10年)は、金利上昇局面では半年ごとに適用利率が見直され、元本割れもしない設計です。「安全に置く」目的なら、保険と並べて検討する価値があります。 私(HIKO)はどう考えるか 私自身は、保険と投資を分けて考える派です。 自分のお金は、増やす部分はNISAと企業型DCに寄せています。会社の企業型DCは外国株インデックス中心で運用していて、評価額は約114万円、含み益は20万円ほどになりました。NISAは夫婦で積立を続けています。「増やす」ための器は、低コストのインデックス投資で十分だと考えているからです。 一方で、死亡保障は保障として別に確保する、という整理です。増やす機能と保障する機能を一つの商品に詰め込むと、コストの内訳が見えにくくなり、「自分が今いくらの利回りで・いくらの保障に・いくら払っているのか」が分からなくなりがちです。 保険業界に10年いて感じていたのは、貯蓄性保険は「強制的に積み立てられる」「途中で引き出しにくいから貯まる」という行動面のメリットが確かにある、ということでした。意志の力で投資を続けられない人にとって、半強制的に貯まる仕組みは価値があります。ここは否定しません。 ただ、私自身はその強制力よりも、コストの透明さと流動性(必要なときに引き出せること)を優先しました。だからNISA中心の組み立てにしています。これはあくまで私の選択で、正解は人それぞれです。 一時払い終身保険を「買ってもいい人」の具体的な条件 向く・向かないを、より具体的な条件で示します。次のような状況に当てはまる人ほど、一時払い終身保険が選択肢になり得ます。 買ってもいい可能性が高い人(目安) 預貯金が3,000万円以上など、生活防衛資金と当面の生活費を十分に確保したうえで、なお使う予定のないまとまった資金がある人 遺したい相続人がいて、生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)をまだ使っていない人 NISA・iDeCo・企業型DCなど、増やすための非課税枠をすでに活用済みの人 そのお金を10年以上、できれば一生使う予定がなく、寝かせておける人 値動きのある投資が性格的に向かず、確定した受け取り・遺し方を重視する人 買わないほうがいい可能性が高い人 主目的が「資産を増やすこと」の人(→ まずNISA・企業型DC・iDeCoの枠を使うほうが合理的) まとまった資金を長期間動かせなくなるのが困る人(早期解約は元本割れの可能性) 30代など、これから資産形成を始める段階で、一時払いの原資をまだ作っている途中の世代 生活防衛資金がまだ十分でない人 ポイントは、増やす枠を使い切ったあとの、余ったまとまった資金の置き場所として検討する順番だということです。最初の一手ではありません。 ...

2026年6月25日 · 最終更新: 2026年7月8日 · HIKO

賃貸保険の個人賠償1,000万円は不足?合算上限に気づいて1億円へ見直した実体験

「賃貸保険の個人賠償1,000万円」は、一見十分に見えます。しかし契約内容を確認すると、借家人賠償と合算上限になっているケースがあります。私自身、加入していた賃貸保険がこの状態であることに気づき、個人賠償1億円・示談交渉付きの保険へ変更しました。この記事では、実際の契約内容と見直し理由を公開します。 私は保険業界に10年いたあとIT企業に転職した、FP2級のHIKOです。平成時代を生きた30代・川崎市で夫婦二人暮らしをしています。今回、長く入りっぱなしだった賃貸保険を別の会社へ乗り換えました。きっかけは「個人賠償、自分はてっきりどこかでカバーされていると思っていた」という、よくある思い込みです。 この記事は特定の保険商品を推奨するものではなく、私個人が自分の契約をどう点検して、どう判断したかの記録です。最終的な契約判断はご自身の状況に合わせて行ってください。 賃貸保険の個人賠償が「合算1,000万円」だと気づいた これまで私が入っていたのは、チューリッヒ少額短期保険の「ミニケア賃貸保険」でした。年3,610円。賃貸契約のときに不動産屋経由ではなく自分で選んで入った、わりと意識して選んだつもりの契約です。 中身を改めて見ると、こうなっていました。 補償金額家財100万円借家人賠償(大家さんへの賠償)1,000万円個人賠償(他人・他人のモノへの賠償)1,000万円修理費用100万円 一見、悪くないように見えます。問題は個人賠償の「1,000万円」の中身でした。 この契約の個人賠償は、借家人賠償と合算で1,000万円が上限という構造だったのです。つまり、火事で大家さんへの賠償が発生した場面と、外出先で他人にケガをさせた場面が、同じ1,000万円の枠を取り合う形になっていました。借家人賠償でいくらか使えば、その分だけ個人賠償に残る枠は減ります。 「個人賠償1,000万円」と書いてあると、それが独立して1,000万円あるように感じますが、実際は別枠ではなかった。ここが最初の気づきでした。 自転車事故で約9,500万円。1,000万円では足りない時代 そもそも個人賠償の1,000万円という数字自体が、今の水準では心もとないと感じます。 個人賠償責任は、日常生活で他人にケガをさせたり、他人のモノを壊したりして法律上の賠償義務を負ったときに備えるものです。代表例としてよく知られているのが自転車事故で、神戸地方裁判所では、自転車事故について約9,521万円の賠償命令が出た事例があります(平成25年7月4日判決)。 私自身は車も自転車も使いませんが、それでも他人に損害を与えるリスクがゼロになるわけではありません。賃貸マンションで暮らしていれば、水漏れで階下に損害を与えてしまうようなケースは誰にでも起こりえます。こうしたリスクに対して、しかも借家人賠償と枠を取り合う1,000万円というのは、正直なところ現代の生活水準に合っていないと判断しました。 「クレカに個人賠償が付いている」は思い込みだった ここが今回いちばん肝を冷やした部分です。 私は漠然と「クレジットカードに個人賠償くらい無料で付いているだろう」と思っていました。なので賃貸保険の枠が薄くても、どこかで二重三重にカバーされているはず、という油断があったのです。 そこで、家計管理に使っているマネーフォワードのデータと、手元の保険・カードの内容を一通り確認してみました。結果は次のとおりです。 加入している生命保険・医療保険に個人賠償の特約は付いていない 保有しているクレジットカードにも個人賠償は付いていない 賃貸保険の「合算1,000万円」が、わが家で唯一の個人賠償だった ここで整理しておきたいのが、クレジットカードに自動で付くことが多いのは旅行傷害保険であって、個人賠償ではないという点です。一部のカードには個人賠償の付帯サービスがありますが、一般的なクレジットカードに個人賠償が自動付帯されているとは限りません。付帯している場合でも「別途申し込みが必要な有料オプション」だったり、特定の上位カードに限られたりと、カードや商品によって扱いはさまざまです。自分の手元のカードがどうなっているかは、個別に確認する必要があります。 「たぶんカバーされている」と思っていたものが、実は唯一の砦すらギリギリだった。ここで本気で見直すことに決めました。 乗り換え先を選んだ理由(チューリッヒ少短→日新火災) 乗り換え先として選んだのは、日新火災の「お部屋を借りるときの保険」です。選んだ理由はシンプルで、私が見直しで満たしたかった条件、つまり「個人賠償1億円・示談交渉付き・借家人賠償とは別枠」を、この商品が標準で満たしていたからです。決め手はあくまでこの補償の中身でした。なお補足として、価格.com保険アワードの家財部門で連続1位を取っている商品としても知られています。 補償を並べると、こうなりました。 補償チューリッヒ(旧)日新火災(新)家財100万円300万円借家人賠償1,000万円2,000万円個人賠償1,000万円(借家人と合算)1億円・別枠・示談交渉付き修理費用100万円300万円年間保険料3,610円6,000円 私が決め手にしたのは、金額そのものより「個人賠償1億円・示談交渉サービス付きが、オプションの金額選択ではなく標準で内蔵」されていて、しかも借家人賠償と別枠だったことです。 旧契約の「合算上限」という構造的な弱点が、これでまるごと解消されます。賠償の場面が重なっても、お互いの枠を食い合わない。さらに示談交渉サービスが付いていれば、いざ事故が起きたときに当事者同士で交渉する負担も軽くなります。 なお、個人賠償は1億円ではなく無制限を選べる商品もあります。私は保険料差額とのバランスから、1億円で十分だと判断しました。 念のため書いておくと、これは「日新火災が一番」という話ではありません。私の今の暮らし(賃貸・夫婦二人)で抱えていた、個人賠償の手薄さという課題に一番素直に効いたのがこの商品だった、というだけです。 保険料の差額を、投資・家計目線でどう判断したか 保険料は年3,610円から6,000円へ、年+2,390円。月にならすと約+200円です。 FP2級・投資目線で固定費を見るクセがあるので、本来この手の値上がりには身構えます。月200円でも年2,390円、20年で約4.8万円ですから、無条件で受け入れる金額ではありません。 ただ今回は、この差額で得られるものがはっきりしていました。 個人賠償が「合算1,000万円」→「別枠1億円+示談交渉付き」 家財が100万円→300万円(夫婦二人の実勢に近づく) 借家人賠償・修理費用も増額 特に個人賠償の部分は、いざ高額賠償が現実になったときに資産形成の前提そのものを吹き飛ばしかねないリスクです。コツコツ積み上げてきたNISAや企業型DCの資産が、一度の賠償で消し飛ぶ。その確率は低くても、起きたときの損失が致命的なら、月200円は「保険料」ではなく「資産を守るコスト」だと整理できました。 固定費は基本的に削る対象ですが、削っていいのは「過剰なもの」だけです。今回はむしろ手薄すぎたので、増やすのが正解でした。安いか高いかではなく、リスクに対して過不足ないかで見る。ここが保険の固定費判断のキモだと改めて思いました。 乗り換えの段取り:先に新契約、後に旧契約停止 実務的に役立つかもしれないので、段取りも残しておきます。地味ですが、ここを間違えると無保険の空白期間ができたり、二重払いになったりします。 旧契約のチューリッヒは「自動継続」型でした。放っておくと満期日に勝手に更新されて、また1年分が課金されます。一方で、何も考えずに先に旧契約を止めてしまうと、新契約が始まるまでの間が無保険になってしまいます。 そこで踏んだ順番はこうです。 先に新契約(日新火災)を申し込む。保険の始期を、旧契約の満期日に合わせて指定する そのうえで旧契約(チューリッヒ)の継続停止手続きを、自動更新の期限までに行う この順番なら、保障が途切れません。結果として、新契約の始期が旧契約の満期と半日ほど重なる形になり、無保険の空白はゼロで着地できました。重複といっても半日なので、二重払いの実害もありません。 保険の見直し全般に言えることですが、「解約してから新規」ではなく「新規に入ってから旧契約を止める」が鉄則です。これは生命保険でも医療保険でも同じで、保障の空白を作らないことを最優先にしてください。 まとめ:賃貸保険は「個人賠償」を必ず確認する 今回の見直しで私が学んだことを整理します。 賃貸保険の個人賠償は、借家人賠償と「合算上限」になっている契約がある。金額の数字だけでなく、別枠かどうかを確認する 個人賠償の1,000万円は、自転車事故などの高額賠償(神戸地裁・平成25年7月4日判決では約9,521万円の事例も)には不足しうる クレジットカードに自動付帯されやすいのは旅行傷害保険であって、個人賠償が自動付帯されているとは限らない(カード・商品により異なる)。「たぶんカバーされている」は危険 自分が個人賠償をどこで持っているか、保険・カードを一度棚卸しする 見直すなら「新規加入してから旧契約停止」の順番で、保障の空白を作らない 保険は削るのが基本ですが、手薄なところは増やす。安さではなくリスクとの過不足で判断する。これは賃貸保険に限らず、家計の固定費全体に通じる考え方だと思います。 まずは手元の賃貸保険証券を1枚出して、「個人賠償が別枠でいくらあるか」を確認するところから始めてみてください。 あわせて読みたい 30代の保険、9割は「見直しでOK」です 固定費を下げる方法|まず見直すべき3つと優先順位 手取りが少ないと感じた原因は家賃だった はじめての方へ|30代会社員の家計と投資を5分で整理する HIKO 保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー 保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。 保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり

2026年6月21日 · 最終更新: 2026年6月23日 · HIKO

積立保険は続けるべき?|ドル建て終身・個人年金・学資保険をIRR比較

保険業界に10年在籍したのちIT企業へ転職した、平成時代を生きた30代のHIKOです。FP2級保有、年収300万円台からのスタートで投資歴は11年(2015年NISA開始)。失敗もしながら資産形成を続けています。今回は「保険外交員に積立保険を勧められたけれど、本当に得なのか」と悩む30代会社員に向けて、主要な積立保険の実利回り(IRR)を概算で比較し、NISAやiDeCoとの機会損失差まで整理します。 先に 住友生命Chakinの実利回り検証記事 を書いたところ、検索からの流入が想像以上にありました。Chakinは新商品ですが、既存の「明治安田生命 つみたて」「日本生命 みらいのカタチ」「ドル建て終身保険」「学資保険」「養老保険」「変額保険」も、考え方の枠組みは同じです。本記事はそのクラスター記事として、検討対象になりやすい6タイプを横並びで見られるようにまとめます。 この記事の要点 積立保険のIRRは年0.3〜1.5%が中心 NISA/iDeCoの期待リターンとの差は長期で大きく開く ただし「強制貯蓄」「相続対策」など保険が合理的なケースもある 結論|積立保険の実利回りはNISAやiDeCoの数分の一 最初に結論を出します。日本で売られている主要な積立保険の実利回りは、概ね年0.3〜1.5%のレンジに収まります。一方、NISAやiDeCoで全世界株式・S&P500などのインデックス投信を積み立てた場合、過去実績の長期想定利回りは**年3〜5%**で語られることが一般的です。 (注:NISA・iDeCoの「年3〜5%」は過去の長期インデックス投信実績から語られる目安で、将来を保証する数値ではありません。詳細な前提は記事末尾の免責に記載しています) 両者の差は単年で見ると小さく見えますが、20〜30年の積立では複利で数百万円〜1,000万円規模の機会損失になり得ます。「積立保険=悪」という極論ではなく、**「同じ金額を税優遇つき投資に回した場合との差を必ず計算する」**ことが、30代の資産形成では非常に重要です。 ただし、保険には「死亡保障」「就業不能保障」など投資商品にはない機能があります。本記事では「保障」と「貯蓄」を切り分けて考え、貯蓄部分の実利回りに絞って評価します。これは保険業界10年で見てきた中で、もっとも現実的な判断軸でした。 実利回り(IRR)とは何か|表面利回りとの違い 比較に入る前に、用語を整理します。 表面利回り:保険会社が提示する「予定利率」「返戻率」など。総払込額に対する増加額を単純に比率化したもの 実利回り(IRR:内部収益率):「いつ払って、いつ受け取るか」のキャッシュフロー時間軸を組み込んだ年率換算の利回り。投資商品の利回りと比較できる唯一の指標 たとえば「30年で返戻率120%」と聞くと一見大きく見えますが、IRR換算すると年率約0.6%です。表面利回りはマーケティング上の数値、IRRが現実の数値、と覚えておくと判断を間違えにくくなります。 なお、本記事の試算はすべて2025〜2026年時点の公開情報および各社販売設計例から逆算した概算値であり、実際の契約条件・付帯保障内容・予定利率改定によって変動します。最終判断は契約書の設計書と直近の予定利率で行ってください。 主要積立保険6タイプの実利回り比較【円建て・ドル建て・変額別】 代表的な積立保険6タイプを、概算ベースで一覧にします。具体的な商品名はあくまで「カテゴリ代表例」として挙げています。 商品タイプ代表商品例表面利回り(予定利率/返戻率換算)実利回り(IRR概算)NISAインデックス(年5%想定)との差円建て終身保険各社の低解約返戻金型終身予定利率 約0.5〜1.0%約0.3〜0.7%大きい(複利差で数百万円規模)個人年金保険日本生命「みらいのカタチ」年金保険 等返戻率 約110〜125%(30年)約0.4〜1.2%中〜大ドル建て終身保険各社のドル建て一時払・平準払終身予定利率 約3.0〜4.0%約1.0〜2.0%(為替+コスト控除後)中(為替変動リスク込み)変額保険各社の変額終身・変額個人年金ファンド連動信託報酬控除後で投信よりやや劣後同等運用が低コストで可能学資保険各社の学資保険返戻率 約103〜108%(17〜18年)約0.3〜0.8%大きい養老保険各社の養老保険返戻率 約103〜108%(10〜30年)約0.3〜0.7%大きい 上表のIRR概算値は、2025〜2026年時点の各社公開設計書・販売設計例・予定利率の一般的な水準をもとに逆算した概算です。実際の数値は契約年・健康状態・特約付加・予定利率の改定により変動します。本記事の数値は「商品カテゴリの大まかな水準」を示すもので、個別契約の最終判断は最新の設計書に基づいてください。 ここから1つずつ詳細を見ていきます。 明治安田生命「つみたてだいすき」は得か?|実利回りを試算 「つみたてだいすき」(明治安田生命の積立保険)は、毎月の保険料を一定期間払い込んで、満期で受け取る平準払い型の積立保険です。販売現場では「銀行に預けるよりは増える」「強制力があって貯まる」という訴求でよく勧められます。 ここでは、よく案内される設計に近い月1万円・10年払い込み・満期一括受取を前提に、概算IRRを試算します。具体の返戻率は契約年・健康条件で変動するため、ここでは「総払込額120万円→満期受取126万円(返戻率105%)」を仮置きします。 項目値月払い保険料10,000円払込期間10年(120ヶ月)総払込額1,200,000円満期受取額(仮定)1,260,000円返戻率(表面)105%実利回り(IRR概算)年率 約0.9% 返戻率105%は「10年で5%増えた」という見え方ですが、毎月積み立てている時間軸を反映するとIRRは年0.9%程度に落ち着きます。 参考:IRR(実利回り)の計算過程 上記の年率0.9%という数値は、以下のキャッシュフローからExcelのXIRR関数で逆算したものです。 経過年キャッシュフロー(円)備考1年目-120,000月1万円×12ヶ月の払込2年目-120,000同上3〜9年目各 -120,000同上10年目-120,000払込最終年10年目満期+1,260,000満期受取金 このキャッシュフローをExcel/Google Sheetsに貼り付け、=XIRR(値の範囲, 日付の範囲) を実行すると年率約0.9%が算出されます。返戻率105%(10年で5%増)という見え方と、年率0.9%という数値の差は、「お金を払ってから受け取るまでの時間」を年率に均す処理から生まれています。 ※本記事のNISA試算はすべて「毎月積立・年率5%複利・手数料および税金は考慮外」の単純シミュレーションです。将来のリターンを保証するものではなく、市場環境により元本割れの可能性もあります。 同じ月1万円を10年間、NISAでインデックス投信(年5%想定)に積み立てた場合の評価額は約155万円となり、両者の差は約29万円です。 10年で30万円弱の差なら許容範囲、と感じる人もいると思います。ただし「積立保険を10年継続できる人は、その後の20年も同じ習慣を維持できる」傾向が強いです。同じペースを30年続けると差は数百万円規模に広がります。 日本生命「みらいのカタチ」個人年金は得か?|実利回りとデメリット 日本生命「みらいのカタチ」は、終身保険・年金保険・医療保険などをパーツで組み合わせる商品群の総称です。ここでは個人年金保険部分にフォーカスします。 個人年金保険の魅力としてよく挙げられるのが、**個人年金保険料控除(年最大4万円)**です。所得税率10%・住民税率10%の年収帯(概ね課税所得330万円以下)なら、年間8,000円程度の節税効果があります。 しかし、利回り側を冷静に見ると以下のとおりです。 項目値(概算)月払い保険料10,000円払込期間30年総払込額3,600,000円受取総額(10年確定年金など)約4,000,000〜4,300,000円返戻率約111〜119%実利回り(IRR概算)年率 約0.7〜1.2% ここに節税効果を加算しても、トータルの実質リターンは年1.0〜1.5%程度にしか届きません。同じ30年で同額をiDeCoに拠出した場合、所得控除(年12〜27.6万円拠出可、所得税+住民税で同率の節税)と運用益非課税が両方効くため、想定利回り3%でも実質的な手残り効率は個人年金保険を大幅に上回ります。 主なデメリットを3つ整理しておきます。 流動性が低い:途中解約で元本割れの可能性が高い インフレに弱い:名目固定利率なので、物価上昇局面では実質目減りする 保険会社の信用リスク:30年単位で1社の破綻リスクを背負う 「みらいのカタチ」自体は柔軟性のある商品設計ですが、年金保険パートに関してはiDeCoの方が税優遇・運用効率の両面で優位というのが、FP視点での評価です。 ドル建て終身保険は解約したほうがいい?|表面と実質の利回りギャップ ここ数年、超低金利環境下で「ドル建て終身保険」の販売が増えました。提案書には「予定利率3〜4%」と書かれていることが多く、円建て商品と比べて見栄えが良いのは事実です。 ただし、表面の予定利率と実質利回りの間には大きなギャップがあります。 控除要因概算インパクト保険関係費用(死亡保障・運営コスト)年 -0.8〜-1.5%為替手数料(円→ドル、ドル→円)一般的に片道50銭〜1円/ドル為替変動リスク円高方向に振れた場合は元本割れリスク 予定利率3.5%の商品でも、コスト控除後のドルベースIRRは概ね年1.5〜2.5%、円換算で受け取った場合の最終的な実利回りは為替次第で年0〜2%程度のレンジに落ちることが多いです。 「予定利率3.5%」を期待してドル建て終身保険に加入すると、為替リスクを取った割にリターンが米国株インデックス投資より低いという結果になりがちです。米国株インデックス(S&P500)の長期想定利回りはドルベースで年6〜8%が一般的に語られる水準で、同じ為替リスクを取るならインデックス投信の方が圧倒的に効率が良いです。 ドル建て終身保険が向いているのは、「死亡保障をドル資産で持ちたい」かつ「30年以上保有可能」かつ「為替変動を許容できる」人に限定されます。「なんとなく利回りが良さそうだから」で入るのは、機会損失が大きすぎます。 変額保険の実利回りはなぜNISAに劣後するのか 変額保険(変額終身・変額個人年金)は「投資型の保険」と訴求され、表面的にはNISAと似た構造に見えます。実際は以下の要因で長期リターンがNISAインデックス投資に劣後するケースが大半です。 ...

2026年6月18日 · 最終更新: 2026年7月14日 · HIKO

毎月分配型がNISA対象外な理由|HDV毎月分配化と楽天証券の買付失効を30代FPが解説

「HDVはNISAから除外されたのか」という疑問に、先に答えます。HDVは2026年6月に四半期分配から毎月分配へ変更されたことで、新NISA成長投資枠の対象外になりました。新規の買付はできなくなりましたが、既にNISAで保有している分は非課税のまま持ち続けられますし、強制売却もされていません。 「毎月分配型はNISA対象外」というルールが、2026年6月、米国高配当株ETFの代表格HDVを巻き込む形で具体的な影響を出しました。本記事では、この出来事を題材に、なぜ毎月分配型が新NISA成長投資枠の対象外なのか、そして既にHDVを保有している人がとるべき選択肢を整理します。 なお投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。本記事は一般的な制度解説であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 毎月分配型がNISA対象外になった理由を先に押さえる 結論から書きます。新NISAの成長投資枠は、制度として「毎月分配型」を対象外と定めています。投資信託でもETFでも、分配を毎月行うタイプは成長投資枠で買えません。 これは金融庁が成長投資枠の対象商品に設けた除外要件のひとつで、ほかに「信託期間20年未満」「高レバレッジ型」とあわせて、毎月分配型が並んでいます。長期の資産形成にそぐわない商品性を、制度の入口で外しているわけです(出所: 楽天証券トウシル「新NISAの対象商品」 https://media.rakuten-sec.net/articles/-/42737)。 つまり「毎月分配型はNISA対象外」は、今回のHDVに限った話ではなく、NISA制度そのものの設計思想です。HDVはたまたま、四半期分配だったものが毎月分配に変わったことで、この除外要件に新しく該当してしまった、という構図になります。 何が起きたのか|HDVの毎月分配化と楽天証券の買付失効 時系列で整理します。 時点出来事2026年6月16日付運用会社ブラックロックがHDVの分配頻度を四半期分配(年4回)から毎月分配(年12回)へ変更変更後HDVが新NISA成長投資枠の対象外商品に該当同日楽天証券がHDVの全買付注文(成長投資枠・特定・一般を問わず)を失効処理2026年7月15日予定毎月分配化後の次回分配 出所はブラックロック/iSharesの配当スケジュールおよびdividend.comの分配履歴です。 ここで押さえておきたいのは、楽天証券が失効させたのは「買付注文」だという点です。すでに保有しているHDVが強制的に売られたわけではありません。今後はHDVを新規に発注できない、というのが実務上の変更点です。 毎月分配型の3つの罠|FP視点で見る商品性 「毎月お金が振り込まれる」と聞くと魅力的に感じますが、毎月分配型が長期の資産形成に向かないと言われるのには理由があります。FP2級の勉強でも、毎月分配型は典型的な「注意して見るべき商品」として扱われます。一般論として、以下の3点が指摘されます。 1. 元本払い戻し(タコ足配当)が起こりやすい 毎月分配型は、運用で得た収益が足りない月でも分配を続けるために、元本の一部を取り崩して払い戻すことがあります。これがいわゆる「タコ足配当」です。受け取った分配金の一部が、実は自分が出したお金の払い戻しだった、というケースが起こり得ます。この場合、見かけの分配金額が高くても、資産が増えているとは限りません。 2. 複利の効果が削がれる 資産形成の力の源泉は複利です。分配せずに再投資し続けたほうが、長期では雪だるま式に増えやすくなります。毎月分配で資金を外に出してしまうと、その分が再投資に回らず、複利が効きにくくなります。受け取った分配金を自分で再投資すればよいという考え方もありますが、手間とタイミングの問題が残ります。 3. 課税の非効率(NISA外の場合) 課税口座で毎月分配型を持つと、分配のたびに課税対象が発生し得ます。年4回より年12回のほうが課税イベントの頻度が上がります。NISA枠内なら非課税ですが、毎月分配型は成長投資枠で買えないため、新規でNISAの非課税メリットを受けながら毎月分配型を持つ、という選択肢が制度上とれません。 これらは毎月分配型という商品カテゴリ一般の特徴であり、HDVが今後そうなると断定するものではありません。ただ、制度がこのカテゴリを長期投資の枠から外している背景を理解する材料にはなります。 自分の投信・ETFが毎月分配型か見分ける方法 今回のHDVのように、買おうとした商品が毎月分配型でNISA成長投資枠の対象外、ということは誰にでも起こり得ます。HDVだけの特別な話ではありません。自分が持っている、あるいはこれから買おうとしている投信・ETFが毎月分配型かどうかは、次の3つの場所で確認できます。 確認する場所見るポイント目論見書・運用報告書「決算日」「分配の頻度」の記載。年12回(毎月)か、年1〜4回かが書かれています運用会社の分配スケジュールブラックロックやアセットマネジメントOneなど、運用会社の公式サイトに分配実績・予定が載っています証券口座の商品ページ楽天証券などの個別銘柄ページに「決算頻度」「分配金履歴」が表示されます。NISA対象かどうかの表記も多くの場合ここで確認できます 私自身、今回のHDVの件で「ETFの分配頻度を自分で確認していたか」と立ち止まりました。実は私はこの一件をきっかけに、別で保有していた東証のハイイールド社債ETF(2258)の中身まで調べ直しています。名前やブランドの印象だけで判断せず、決算頻度を一度自分の目で確認する習慣をつけておくと、こうした制度変更のニュースにも振り回されにくくなります。詳しくは2258はHYGの円版ではなかった話にまとめました。 なお、毎月分配型がNISA成長投資枠で買えないのは制度上の話であって、毎月分配型そのものが買えなくなるわけではありません。課税口座(特定口座など)では従来どおり購入できます。「毎月分配=買えない商品」ではなく「毎月分配=NISAの非課税枠では買えない商品」という整理です。 既にHDVを保有している人がとるべき選択肢 ここが本記事の核です。すでにNISA成長投資枠でHDVを持っている方へ、冷静な実務の整理をします。 慌てて売る必要はありません まず、既にNISA成長投資枠で保有している分は、引き続きNISA枠内で非課税のまま保有を継続できます。買付ができなくなっただけで、保有が無効になるわけではありません。毎月分配化したからといって、NISAの非課税メリットが消えるわけではない、という点を落ち着いて確認してください。 選択肢を整理すると、次のようになります。 選択肢内容向いている人保有を継続するNISA枠の非課税を維持したまま持ち続ける。今後の買い増しはできない高配当のインカムを非課税で受け取り続けたい人一部・全部を売却する売却するとそのNISA枠は同じ年に再利用できない点に注意ポートフォリオを毎月分配型以外へ組み替えたい人新規の積立先を別ETF・投信に切り替えるHDVは買えないので、成長投資枠対象の高配当系や全世界・S&P500系へ振り向けるこれから高配当やインデックスを積み増したい人 私自身は米国高配当ETFを保有していないため、HDVそのものの売買体験は語れません。ただFPの一般論として言えるのは、「制度変更のニュースに反応して反射的に売る」のが最ももったいない動き方になりやすい、ということです。非課税で持てているものを、課税口座へ移すきっかけにする必要はありません。 新規の積立先を考えるなら HDVが買えなくなったぶん、毎月の積立資金の行き先を見直す必要が出てきます。成長投資枠の対象である高配当系ETF・投信や、つみたて投資枠も使える全世界株・S&P500連動の投資信託などが候補になります。どこの証券口座で何を積み立てるかは、手数料・ポイント還元・取扱商品で変わってきます。私が実際に使っている口座の使い分けは楽天証券と松井証券を比較した記事に整理しているので、積立先の証券会社から見直したい方はあわせてご覧ください。 楽天証券で新NISAを始める 私が2015年から11年使い続けている口座です。投信のクレカ積立とポイント還元、楽天キャッシュ決済が使えるのが個人的な好みのポイントです。 楽天証券の口座開設を見る → TGアフィリエイト経由のリンクです HDVの代わりになる高配当ETF・投信の探し方 HDVが新規で買えなくなったあと、いちばん多い悩みが「では代わりに何を買えばいいのか」だと思います。ここは銘柄名を断定して「これを買えば正解」と言える話ではないので、私が代替を考えるときに使っている「選び方の軸」を共有します。具体的な商品は、この軸でご自身が比較して選ぶのが安全です。 代替候補を探すときに確認したい軸は、次の3つです。 確認する軸なぜ見るか毎月分配型でないか年1〜4回の決算なら、新NISA成長投資枠の対象になり得ます。今回のHDVと同じ轍を踏まないための最初のチェックです信託報酬・経費率高配当ETF・投信は長く持つほどコスト差が効いてきます。同じような中身なら、経費率の低いほうが手元に残りやすくなります自分の目的に合っているか「高配当のインカムが欲しい」のか「資産全体を増やしたい」のかで選ぶ商品が変わります。前者なら高配当系、後者なら全世界株・S&P500連動の投信が候補です 実際に名前がよく挙がるのは、米国高配当系のETF(VYMなど)や、東証で円のまま買える高配当系ETF、そして高配当にこだわらないなら全世界株(オルカン)・S&P500連動の投資信託です。いずれも毎月分配型でなければ成長投資枠で買える可能性がありますが、分配頻度・コスト・NISA対象かどうかは商品によって異なり、また制度や運用方針は変わり得るので、必ず買付前にご自身で最新情報を確認してください。 正直に書くと、私自身は米国高配当ETFを保有しておらず、資産の中心はオルカンとS&P500の投資信託です。高配当のインカムよりも、分配を出さずに再投資で資産全体を増やすほうが、自分の性格には合っていました。ですので「高配当ETFはこれが一番」という体験談は私からは語れません。ただ、HDVが買えなくなったことを「高配当からインデックス積立に切り替えるきっかけ」と捉える選択肢もある、ということは一つの視点としてお伝えできます。どちらが優れているという話ではなく、自分が長く続けられるスタイルを選ぶ問題だと考えています。 HDVのNISA除外でよくある質問 HDVの毎月分配化とNISA成長投資枠からの除外について、検索でよく見かける疑問を整理しておきます。 Q. HDVはNISAから除外されて、もう買えないのですか? 新規の買付はできません。HDVは毎月分配化により、新NISA成長投資枠の除外要件(毎月分配型)に該当し、楽天証券では買付注文が失効しました。一方で、既にNISA成長投資枠で保有している分は、除外後も非課税のまま継続保有できます。「除外=持てなくなる」ではなく「除外=新規で買えなくなる」という整理です。 Q. 既にNISAで持っているHDVは、強制的に売られてしまうのですか? いいえ。今回失効したのは「買付注文」であって、既に保有しているHDVが強制売却されたわけではありません。すでにNISA成長投資枠で持っている分は、引き続き非課税のまま保有を継続できます。慌てて売る必要はありません。 Q. HDVが毎月分配型になると、NISAの非課税メリットは消えますか? 消えません。すでに非課税で保有している分は、毎月分配化してもNISA枠内で非課税のまま受け取れます。変わったのは「今後HDVを新規で買い増しできない」という点だけです。 Q. 今から米国高配当のインカムが欲しい場合、どうすればいいですか? HDVは新規で買えないため、成長投資枠の対象である別の高配当系ETF・投信を、前の章の3つの軸(毎月分配型でないか・コスト・目的)で比較して選ぶことになります。特定の商品を断定はできませんが、「毎月分配型でないこと」を最初に確認すると、今回と同じ失効を避けやすくなります。 Q. 毎月分配型の商品は、もう一切買えなくなったのですか? いいえ。毎月分配型がNISA成長投資枠で買えないのは制度上のルールであって、課税口座(特定口座など)では従来どおり購入できます。「毎月分配型はNISAの非課税枠では買えない」という整理であって、商品そのものが消えるわけではありません。 まとめ 毎月分配型は新NISA成長投資枠の制度上の対象外。HDVは四半期分配から毎月分配へ変わったことでこれに該当しました 楽天証券は買付注文を失効処理。今後HDVは新規発注できませんが、既保有分は強制売却されていません 毎月分配型はタコ足配当・複利の毀損・課税の非効率という一般的な弱点が指摘されます 既にNISAで保有している分は非課税のまま継続可能。慌てて売る必要はありません。積立先の振り替えだけ落ち着いて考えれば十分です 毎月分配という言葉の響きに惑わされず、制度がなぜそれを長期枠から外しているのかを理解しておくと、こうしたニュースが来ても冷静に判断できます。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。 ...

2026年6月18日 · 最終更新: 2026年7月2日 · HIKO

予定利率1.6%でも利回りは1%台?明治安田の積立保険をNISA比較

保険業界10年・投資歴11年・FP2級の HIKO です。保険会社で10年働いたあと IT企業へ転職し、家計と投資の発信をしています。 ※当記事はアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、本記事で扱う数値は 2026年6月の報道による情報 をもとにしており、商品名や条件は公式の最新情報をご自身でご確認ください。投資・契約の判断は自己責任でお願いします。 2026年6月、明治安田生命が平準払い(毎月払い)の積立保険の予定利率を、現行の1.4%から1.6%へ引き上げると報じられました。報道によると、契約から10年たった満期で受け取れる金額は払込総額の110%になり、これは2026年4月に続く同年2度目の引き上げとのことです。建付け(5年払込・10年満期)から、これは当ブログで以前検証した「じぶんの積立」とみられる商品ですが、公式での裏取りは取れていないため、本記事では報道ベースの慎重な表現で進めます。 ニュースを見て「予定利率が上がったなら、今が買い時では?」と感じた方も多いはずです。本記事では、その予定利率1.6%・満期110%という数字を、実質利回り(IRR)に翻訳して冷静に見ていきます。 結論:利上げは朗報だが、IRRで見ると依然「年1%台」 先に結論を3点に整理します。 利上げは確かに朗報:満期返戻率が報道前の108.3%から110%へ上がるなら、実質利回り(IRR)は年率約1.07%から 年率約1.28% へ改善します(いずれも本記事の試算)。 ただしNISAとは役割が違う:積立保険は「満期まで保有すれば払込総額を上回る設計の確定リターン商品」、NISAインデックスは「元本割れリスクと引き換えに高い期待リターンを狙う商品」。同じ土俵で「どちらが得」とは言い切れません。なお保険は預金保険の対象外で、保険会社が破綻した場合は生命保険契約者保護機構による補償(責任準備金の原則90%まで等)に拠ることになり、預金と完全に同じ安全性ではない点には留意が必要です。 「予定利率が上がった=今すぐ買い時」という話には乗らない:予定利率1.6%という数字と、あなたが手にする実質利回りは別物です。数字の見え方に流されず、自分の家計の中での役割で判断するのが現実的です。 ここから先は、報道された数字と一般的な税制値を使って、順番に整理していきます。 報道された内容を整理する まず、2026年6月の報道で示された内容を整理します。以下はすべて報道ベースの数値であり、公式の最新条件はご自身でご確認ください。 項目報道された内容対象平準払い(毎月払い)の積立保険予定利率1.4% → 1.6%(2026年7月申込分から)払込期間5年保険期間10年10年満期時の受取払込総額の110%例(月2万円の場合)払込総額120万円に対し満期132万円(+12万円)引き上げの背景国内金利の上昇を反映。2026年内2度目の引き上げ 報道では「投資信託などに比べて元本割れのリスクが少なく、銀行預金よりも金利は高い」という商品の位置づけも示されていました(報道の文言)。ただし、これはあくまで満期まで保有した場合の話で、途中解約時は解約返戻率が100%を下回り元本割れする期間があること、将来的に商品条件が変更される可能性があること、保険である以上は保険会社の信用力に依存することは、地の文として補っておきます。元本保証ではなく「満期まで保有すれば払込総額を上回る設計の確定リターン商品」と捉えるのが正確です。 なお、当ブログで以前検証した時点(2026年5月)の満期返戻率は108.3%でした。今回の報道どおりであれば、満期返戻率が110%へ上がる点が新しい情報になります。 予定利率1.6%・満期110%をIRRに翻訳すると年率いくらか ここが本記事の核です。「予定利率1.6%」と聞くと、年1.6%で増えるように感じます。しかし、私たちが実際に手にする利回りは、もっと低くなります。 報道の例にならって、月2万円×60ヶ月(5年)払い込み、その後5年据え置いて10年満期で132万円を受け取るケースで計算します。 払込総額:20,000円 × 60ヶ月 = 1,200,000円 満期受取額:1,200,000円 × 110% = 1,320,000円 増加額:120,000円 ポイントは「120万円を一括で預けたわけではない」「毎月2万円ずつ5年かけて積み立て、その後5年は据え置いた」という時間構造です。最後に積んだお金は数年しか運用されず、最初に積んだお金だけが約10年運用されます。 この時間価値を考慮した内部収益率(IRR)を計算すると、次のようになります。 満期返戻率実質利回り(IRR・年率換算)110%(今回の報道)約1.28%108.3%(報道前・参考)約1.07% 返戻率110%という見た目に対し、実質利回りは年率約1.28%。利上げによって約0.2ポイント改善した計算ですが、依然として年1%台です。「予定利率1.6%」という数字とは、はっきり差があります。 ※IRRは、毎月末に2万円を5年間(計60回)払い込み、最後の払込から5年後に満期金132万円を一括で受け取る前提で、月次キャッシュフローから内部収益率を求めて年率換算したものです(手数料・税・配当等の細目は加味しない簡易試算)。前提が変われば数値も変わります。 なぜ「予定利率1.6%」と「実質利回り」はズレるのか ここがFPとして一番お伝えしたい部分です。両者がズレる理由は大きく2つあります。 1つ目は、予定利率がかかるのは「払い込んだお金のうち、運用に回る部分」だけだからです。 保険には保険会社の運営経費(付加保険料)や、わずかでも付帯する保障コストが含まれます。払込総額のすべてに予定利率1.6%がそのまま乗るわけではありません。 2つ目は、先ほど触れた時間構造です。 積立保険は「毎月コツコツ積む→さらに数年据え置く」という形のため、お金ごとに運用される期間がバラバラです。満期時点の「払込総額に対する増加率(返戻率110%)」を、毎年の利回り(IRR)に直すと、必ず小さく見えます。 だからこそ、「予定利率◯%」や「返戻率◯%」という表示は、商品同士を比べる物差しとしては不十分です。私はいつも、こうした商品を見るときは返戻率を一度IRRに翻訳してから判断するようにしています。今回のように予定利率が引き上げられたニュースでも、まず実質利回りに直してみると、過度に期待しすぎず冷静に見られます。 同じ月2万円をNISAに入れたら、10年後どうなるか では、同じ月2万円を NISAつみたて投資枠で全世界株インデックスに5年間積み立て、その後5年間そのまま保有した場合の評価額を試算します。 株式市場では長期的に年率数%〜7%程度のリターンが期待されることがありますが、将来の成果は保証されません。ここでは幅を取って3%・5%・7%の3シナリオで比較します。 シナリオ10年後評価額(NISA)積立保険(満期110%)差額年率3%(保守)約1,497,341円1,320,000円+約177,000円年率5%(中央値弱め)約1,730,988円1,320,000円+約411,000円年率7%(強気)約1,997,117円1,320,000円+約677,000円 月2万円×5年積立・10年後評価額(NISA vs 積立保険・満期110%) 1320000円 積立保険110% 1497341円 NISA年率3% 1730988円 NISA年率5% 1997117円 NISA年率7% 数値は本記事の試算(NISAは年率3/5/7%・運用益非課税)。期待値であり確定リターンではありません。 NISA枠なので運用益はすべて非課税です。控えめな年率3%でも約18万円、年率5%なら約41万円、年率7%なら約68万円の差になります。 ...

2026年6月17日 · 最終更新: 2026年7月14日 · HIKO

はなさく生命「はなさく定期」は得か損か|掛け捨て定期をFP目線で数字検証

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界で10年働いたあと IT企業へ転職し、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。 この記事では、日本生命グループの通販系生保・はなさく生命の掛け捨て定期保険「はなさく定期」を、得か損かという損得検証の視点で見ていきます。 最初にはっきりさせておきます。この記事は特定の保険への加入をすすめるものでも、はなさく生命を批判するものでもありません。「掛け捨て定期はムダ」「ネット系は不安」といった印象論ではなく、商品の設計(無解約払戻金型・歳満期と年満期の違い・特約)が家計と相性が良いのはどういう人で、合わないのはどういう人か、を数字と仕組みで整理します。最終的な加入判断はご自身で行っていただく前提で読んでください。 結論:「はなさく定期」の損得は3つの軸で評価できる 先に結論から整理します。いずれも一般論としての評価であり、特定の人へのおすすめではありません。 無解約払戻金型なので「貯蓄」を期待する商品ではない:解約返戻金がない代わりに、同じ保障額なら保険料は割安になりやすい設計です。「払ったお金が戻る」ことを求める人には向きません。 歳満期か年満期かで、生涯コストの見え方が大きく変わる:年満期(10年など)は入口の保険料が安く見えても、更新のたびに保険料が上がります。歳満期(60歳まで等)は入口は高めでも更新による上昇がありません。 保障が必要な期間だけ買えば合理的、不要な人が惰性で持つと割高:定期保険の損得は商品そのものより「自分にいま死亡保障が必要か」で決まります。 ここから、それぞれを公式条件と数字で確認していきます。 「はなさく定期」の公式条件を整理する まず2026年6月時点ではなさく生命公式が示している「はなさく定期」の条件を整理します。数字は公式商品ページの記載に基づきます。 項目内容商品種類定期保険(死亡・所定の高度障害状態を保障)解約返戻金なし(無解約払戻金型)保険金額200万円から設定可能(契約年齢60歳以上かつ90歳満期の場合は100万円から)保険期間(歳満期)60歳・90歳など年齢で設定(最長90歳まで)保険期間(年満期)10年・20年など年数で設定更新年満期は更新可能(更新時に保険料が上がるのが一般的)。歳満期は満期後の更新なし付加できる特約3大疾病保険料払込免除特約(がん・心疾患・脳血管疾患、歳満期のみ対応) ポイントは「無解約払戻金型」という一点に集約されます。これは貯蓄機能を切り落とし、保障に保険料を集中させた設計です。掛け捨てと聞くと損なイメージを持つ人がいますが、これは設計思想の違いであって、それ自体が損というわけではありません。 なぜ通販系の定期保険は保険料が割安になりやすいのか はなさく生命は日本生命グループの通販・代理店チャネル中心の生保です。対面営業の生保と比べて保険料が抑えられやすい背景には、コスト構造の違いがあります。 対面の営業人件費が相対的に軽い:販売チャネルが通販・代理店中心だと、大規模な営業組織を維持するコストが保険料に乗りにくくなります。 無解約払戻金型である:解約返戻金を積み立てない分、保険料を純粋な保障コストに寄せられます。 保障内容がシンプル:死亡・高度障害というわかりやすい保障に絞ることで、商品コストが膨らみにくくなります。 保険業界で働いていた頃の感覚としても、定期保険の保険料差は「保障の中身」よりも「販売チャネルと付帯機能の有無」で説明できる部分が大きいと感じていました。通販系が安く見えるのは魔法ではなく、コスト構造を素直に反映しているだけ、というのが私の理解です。ただし保険料は会社・年齢・性別・保障額で変わるため、安さだけで優劣を断定はできません。複数社を同条件で見積もって比べるのが基本です。 損得を分ける最大のポイントは「歳満期」か「年満期」か 「はなさく定期」を含め、掛け捨て定期で最も損得が分かれるのは、保険期間を年満期にするか歳満期にするかです。ここを誤解すると、入口の安さに引っ張られて生涯コストを見誤ります。 年満期(たとえば10年更新)は、加入時点の年齢で保険料が決まるため、若いうちは保険料が安く見えます。しかし更新のたびにそのときの年齢で保険料が再計算されるため、年齢が上がるほど更新後の保険料は上がっていきます。一方、歳満期(たとえば60歳まで)は、加入時点で満了までの保険料が固定され、途中で上がりません。 下のグラフは「年満期を更新し続けた場合」と「歳満期で固定した場合」の保険料負担イメージを、概念図として並べたものです。実額ではなく、上がり方の方向性を示すための模式値です。 保険料負担の上がり方イメージ(概念図・実額ではありません) 3 年満期(若年期) 6 年満期(中年期) 12 年満期(高年期) 7 歳満期(固定) 年満期は更新ごとに上昇、歳満期は加入時に固定。数値は上がり方の方向性を示す模式値で、実際の保険料ではありません。 ここで損得の考え方が分かれます。 保障が必要な期間が長い人(たとえば子どもが独立するまで20年以上保障が欲しい人)は、歳満期や長めの年満期で保険料を固定したほうが、生涯の合計負担を読みやすくなります。 保障が必要な期間が短い人(数年だけ大きな保障が欲しい人)は、短い年満期のほうが入口も総額も軽くなりやすいです。 つまり「年満期と歳満期のどちらが得か」に一律の正解はなく、自分が保障を必要とする期間で決まる、というのが本質です。 3大疾病保険料払込免除特約は得か 「はなさく定期」には、歳満期で3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)保険料払込免除特約を付けられます。所定の状態に該当すると以後の保険料が免除される仕組みです。 これは家計の安心材料になりますが、損得の観点では次の点を冷静に見る必要があります。 特約を付けるとその分の保険料が上乗せされる:免除という保障を買う以上、コストはゼロではありません。 免除の発動条件は約款で細かく定められている:「3大疾病にかかれば必ず免除」ではなく、所定の状態・期間などの要件があります。条件は必ず約款で確認すべき部分です。 発動しなければ上乗せ分は掛け捨てになる:保険である以上当然ですが、特約も「使わなければ戻らない」コストです。 私の評価としては、この特約の損得は「主契約の保険料に対して上乗せ分が何割か」「自分が免除のありがたみを感じる家計状況か」で判断するもので、付ければ得・付けなければ損と単純化できるものではありません。判断材料は設計書の上乗せ額と約款の発動条件です。 そもそも「掛け捨て定期に入るべきか」を先に決める 定期保険の損得検証で最も大事なのは、商品の比較より前に「自分にいま死亡保障がいくら必要か」を決めることです。ここがずれていると、どんなに保険料が安い商品を選んでも家計目線では損になります。 必要保障額のざっくりした考え方は次のとおりです。 状況死亡保障の必要度独身・扶養家族なし低い(葬儀費用程度で足りることが多い)共働き・子どもなし中〜低(遺された側も働ける場合は過大保障になりやすい)子育て世帯・片働き高い(教育費・生活費を保障で埋める必要が出やすい) 我が家は夫婦二人暮らしで子どもがいないため、大きな死亡保障の必要度は高くないと判断しています。こういう世帯が「掛け捨てはもったいないから」と大きな保障を持つと、保険料は割安でも保障自体が過大で、家計目線ではムダになります。逆に、片働きで小さな子どもがいる世帯にとっては、割安な掛け捨て定期で大きな保障を確保することは合理的な選択になり得ます。 「はなさく定期が得か損か」より先に、「自分に死亡保障がいくら必要か」を決める。順番を間違えないことが、保険の損得検証では一番効きます。 「保障は保障、運用はNISA」で考える 無解約払戻金型の掛け捨て定期は、貯蓄機能を持ちません。これを「お金が戻らなくて損」と捉えるか、「保障コストを最小化できて合理的」と捉えるかで評価は分かれます。 私自身は、保障と運用は分けて考えています。死亡保障が必要なら割安な掛け捨てで保障だけを買い、お金を増やす役割はNISAなどの非課税投資に任せる、という切り分けです。貯蓄型保険のように保障と運用を一本化すると、どちらのコストや利回りが効いているのかが見えにくくなります。役割を分けたほうが、家計の中で何にいくら払っているかを管理しやすいというのが、投資歴11年・FP2級としての私の考えです。 この考え方の詳細は、掛け捨てと貯蓄型のコスト構造を分解した記事で整理しています。あわせて読んでみてください。 ...

2026年6月15日 · HIKO

掛け捨て定期保険と貯蓄型保険、コスト構造をFP目線で解剖してみた【保障は保障、運用はNISA】

「掛け捨ては払ったお金が戻ってこなくてもったいない、貯蓄型のほうがお得」。保険の話になると、今でもよく聞くフレーズです。 ※当記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。 私はFP2級を持っていて、投資歴は11年になります。前職では保険業界に10年いました。その立場から正直に言うと、掛け捨てか貯蓄型かという二択そのものが、論点をずらしてしまっているように感じます。本当に見るべきなのは「払った保険料の中身がどう使われているか」というコスト構造のほうだからです。 この記事では特定の商品をすすめるものではありません。掛け捨て定期保険と貯蓄型保険の中身を一般論として分解し、「保障は保障で買い、運用はNISAでやる」という私自身の考え方を整理します。最終的にどの保険に入るか・入らないかは、あくまでご自身で判断していただく前提で読んでいただければと思います。 そもそも「掛け捨て」と「貯蓄型」は何が違うのか まず言葉の整理からです。 掛け捨て定期保険:一定期間だけ死亡保障などを用意する保険。満期金や解約返戻金は基本的にありません。その代わり、同じ保障額なら保険料は割安です。 貯蓄型保険(終身保険・養老保険・学資保険など):保障に加えて、解約返戻金や満期金という形でお金が戻ってくる設計の保険。その分、同じ保障額でも保険料はかなり高くなります。 ここで多くの人が「貯蓄型は戻ってくるからお得」と考えます。でも、戻ってくるお金は誰かが運用して増やしてくれた魔法のお金ではありません。自分が多めに払った保険料の一部が、コストを差し引かれたうえで戻ってきているだけです。この前提を押さえると、見え方が変わってきます。 保険料の中身を分解してみる 保険料は、ざっくり次の3つに分かれます。専門用語では純保険料と付加保険料と呼ばれますが、ここでは平たく書きます。 内訳役割保障の原価実際に保険金を支払うための部分運営コスト保険会社の人件費・販売手数料・システム費など積立部分貯蓄型だけにある、将来戻ってくるための積み立て 掛け捨て定期は、このうち「積立部分」がほぼゼロです。だから保険料が安い。 貯蓄型は「積立部分」を上乗せして払う設計なので保険料が高くなります。問題は、この積立部分が運用される際に運営コストを先に差し引かれてから回るという点です。同じお金を自分でインデックスファンドに積み立てた場合と比べると、コストの差がそのまま将来のリターン差になって表れやすくなります。 ここを直感的にイメージするために、同じ「毎月の支出」を保障と運用にどう振り分けるかを比べてみます。 同じ月1万円を払うとき、運用に回る額のイメージ 6千円 貯蓄型保険 9千円 掛け捨て+NISA あくまで構造を説明するためのイメージ図です。実際の比率は商品・年齢・保障額で変わります。 貯蓄型は、保障の原価と運営コストを差し引いた残りが積み立てに回ります。一方で「掛け捨てで保障だけ安く確保し、浮いたお金をNISAで運用する」場合、運用に回せるお金そのものが増えやすい、という構造です。あくまでイメージであって、実際の数字は商品や年齢、保障額によって変わります。 「戻り率」と「利回り」は別物 貯蓄型保険のパンフレットでよく見るのが「返戻率○○%」という表記です。たとえば総額300万円払って330万円戻れば返戻率110%、というような書き方です。 数字だけ見ると増えているように感じますが、これは投資の利回り(年率)とは性質がまったく違います。10年・20年という長い期間をかけてようやく110%になることも珍しくありません。これを年率に直すと、実質的な利回りはかなり小さくなります。 私は投資を11年やってきて、旧NISAの配当だけで累計約90万円を受け取ってきました(2015〜2024年の合計で904,551円です)。インデックス投資の世界では、過去の実績として年率数%が一つの目安として語られることが多く、これは複利で効いてくると返戻率の世界とは桁が変わってきます。もちろん投資には元本割れのリスクがあるので、保険の確実性とそのまま比較できるものではありません。ただ、「お金を増やす目的」だけで貯蓄型保険を選ぶのは、土俵を間違えている可能性がある、というのが私の考えです。 私が行き着いた「保障は保障、運用はNISA」 私自身の投資は、決して成功談ばかりではありません。コナカ(7494)の株を2015年に738円で100株買って、今も塩漬けで持ち続けています。青山商事では約31万円の損切りも経験しました。だからこそ、保険と運用を一緒くたにすると判断がにぶる、という実感があります。 保険と運用を切り分けると、それぞれの目的がはっきりします。 掛け捨て定期 目的は保障 安く大きな保障を確保 シンプル 貯蓄型保険 保障+貯蓄を兼ねる コストが見えにくい 割高になりやすい NISAでの運用 目的は資産形成 低コストで非課税 相場リスクあり 保障は、万が一のときに残された家族が困らないためのもの。必要な時期に、必要な額を、安く確保できればそれで役割を果たします。掛け捨て定期はこの目的に素直な商品です。たとえば各社が出している割安な定期保険(はなさく生命の定期タイプなどもその具体例の一つです)は、保障を安く持つという発想に沿っています。 資産形成は、時間をかけてお金に働いてもらう領域。ここはコストの低さと非課税メリットが効くNISAの土俵だと、私は考えています。 この2つを別々の財布で考えると、「掛け捨てはもったいない」という感覚そのものが消えていきます。掛け捨ては保障を安く買うための合理的な選択であって、損ではないからです。 NISAで運用の土台をつくる 保障を掛け捨てで安く確保したら、浮いたお金を運用に回す土台が必要です。私はメインで楽天証券を使っていて、つみたて投資枠ではインデックスファンドをコツコツ積み立てています。NISAは運用益が非課税になる制度なので、長期の資産形成と相性がいいというのが、11年やってきた率直な感想です。 まずは運用の土俵を用意する 保障は掛け捨てで安く、運用はNISAで非課税で。この切り分けを実践するには、まず証券口座という土台が必要です。私が10年以上メインで使っている楽天証券は、楽天ポイントとの連携や使い勝手の面で個人的に気に入っています。口座開設・維持は無料なので、土台として持っておく価値はあると思います。 楽天証券でNISA口座を見てみる → まとめ 「掛け捨てか貯蓄型か」より、「払った保険料の中身がどう使われているか」を見るほうが本質的です。 貯蓄型の戻り率は投資の利回りとは別物で、長い期間をかけてようやく成り立つ数字であることが多いです。 保障は掛け捨てで安く確保し、運用はNISAで低コスト・非課税でやる。この切り分けが、私自身が11年の投資経験を経て行き着いた考え方です。 繰り返しになりますが、この記事は特定の保険商品をすすめるものではありません。掛け捨てが正解、貯蓄型がダメ、という単純な話でもありません。家族構成や価値観によって最適解は変わります。大事なのは、保障と運用をいったん切り離して、それぞれの目的とコストをご自身で確かめてみることだと思います。投資にはリスクがあり、保険の見直しを含め、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

2026年6月14日 · 最終更新: 2026年6月15日 · HIKO

収入保障保険はいらない?遺族年金から逆算する必要保障額の求め方【FPが判定】

「収入保障保険って、結局うちには必要なの?」 この疑問に、先に結論からお答えします。収入保障保険は、多くの独身の方や、お互いの収入で自立できている共働き世帯には不要です。一方で、子どもがいて世帯収入の大半を自分が担っている家庭では、必要になるケースがあります。 判断の軸は次の3つです。 遺族年金で足りない分だけ入る。それ以上は不要 独身の方、資産が十分にある方には不要 入るなら、必ず複数社の保険料を比較する 私は保険業界に10年身を置いたあとIT企業へ転職し、現在はFP2級の知識をベースに資産形成の情報を発信しています。この記事では「業界の中から見てきた立場」と「ひとりの生活者としての立場」の両方から、収入保障保険の判定基準と必要額の計算方法を解説します。 あなたに必要か、30秒で判定 まずは下のチャートで判定してください。当てはまった時点で、あなたの答えは出ています。 あなたの状況判定扶養家族がいない(独身など)不要。この記事はここで閉じてOKです共働きで、配偶者が自分の収入で生活を維持できる原則不要(不足額次第で少額のみ検討)金融資産が、遺族の生活費の不足分をカバーできる不要。保険より資産で備えられています子どもがいて、世帯収入の大半を自分が担っている要検討。この先を読んでください ポイントは「死亡保障は、困る人がいるときだけ必要」という一点です。誰も経済的に困らないなら、保険料はそのままNISAやiDeCoに回したほうが合理的です。 「要検討」に当てはまった方は、読み進める前に保険料の相場感だけ先に確認しておくと、このあとの判断が早くなります。収入保障保険は30代なら月2,000〜3,000円台から入れる商品です。 収入保障保険の仕組みと「割安」のカラクリ 収入保障保険は、契約者が亡くなった場合に、遺族が毎月のお給料のように保険金を受け取れる保険です。たとえば「月10万円を保険期間満了まで受け取る」という形ですね。 普通の定期保険(死亡時に一括で3,000万円など)と比べて、保険料が明らかに安い。ここで「安い=お得?それとも何か裏がある?」と疑問に思う方が多いのですが、カラクリはシンプルです。 保障の総額が、年々減っていくからです。 契約直後に亡くなれば「月10万円×残り25年=3,000万円」を受け取れますが、満了の5年前なら「月10万円×5年=600万円」。受け取り総額が時間とともに減る分、保険会社のリスクも減る。だから安いのです。 「保障が減るなんて損では?」と思うかもしれませんが、実はここが収入保障保険の最も合理的なところです。遺族に必要なお金も、子どもの成長とともに減っていくからです。子どもが5歳の家庭と、大学卒業間近の家庭では、残すべきお金がまったく違います。死亡保険金を3,000万円で固定する定期保険は、後半になるほど「保障の払い過ぎ」になりやすい。必要額の減り方に保障の減り方を合わせた収入保障保険のほうが、実態に合っている世帯は少なくありません。 業界にいた立場からひとつ付け加えると、営業の現場では、収入保障保険よりも保険料が高い商品が優先的に提案されるケースもあります。提案された商品が自分の必要額に合っているかは、勧められた側が自分で確認するしかありません。そのための計算方法を、後ほど実演します。 入る前に知っておきたいデメリット3つ 合理的な保険だと書きましたが、弱点がないわけではありません。「入ってから後悔した」とならないために、デメリットを先に押さえておきましょう。 ① 長生きリスクには対応できない 収入保障保険はあくまで死亡(および所定の高度障害)に備える掛け捨ての保険です。無事に満期を迎えれば、支払った保険料は戻りません。「老後資金が足りない」という長生き側のリスクには1円も役立たないのです。 死亡保障と老後資金準備は、混ぜずに分けて考えるのが原則です。老後資金はNISAやiDeCo・企業型DCで作る。収入保障保険に「貯蓄も兼ねた安心」を期待すると、目的がぶれて後悔のもとになります。 ② 解約返戻金がほぼない 保険料が安い理由のひとつは、解約返戻金をなくす(またはごくわずかにする)ことでコストを削っているからです。途中で解約しても、お金はほとんど戻りません。 これは「掛け捨てだから損」という話ではなく、割安な保険料はこの設計と引き換えだということです。逆に言えば、「途中でやめたら損だから」と必要以上に高い保障で契約してしまうと、見直しの身動きが取りにくくなります。最初から必要額ぴったりで入るのが大切です。 ③ 家族構成が変われば不要になる 収入保障保険の必要性は「自分の収入に依存する家族がいるか」で決まります。つまり、離婚した・子どもが独立した・配偶者の収入が増えたといった変化があれば、必要性そのものが消えたり大きく縮んだりします。 独身に戻ったのに保険料を払い続けている、というのは典型的なムダです。ライフイベントのたびに「この保障、まだ要るか?」を見直す前提で付き合う保険だと理解しておいてください。 この3つを踏まえたうえで、それでも「子どもが独立するまでの死亡保障」が必要な世帯にとっては、収入保障保険は候補になります。では、いくら必要なのか。次章で計算します。 必要額はいくら?モデルケースで計算 モデルケース:35歳会社員(年収600万円)、配偶者(パート年収100万円)、子ども5歳の3人世帯 先に結果からお見せします。 項目金額(月額)遺族に必要な生活費約22万円遺族年金(公的保障)約14万円不足額約8万円 → このケースでは、「月額8万円・保障期間は子どもが独立する22歳まで(17年間)」の収入保障保険が目安になります。 では、なぜこの数字になるのか。順番に分解します。 ステップ1:遺族年金がいくら出るかを知る 会社員が亡くなった場合、18歳年度末までの子がいる配偶者には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2階建てで年金が支給されます。 遺族基礎年金(2026年度・令和8年4月分からの価額) 基本額:847,300円/年 子の加算(1人目・2人目):各243,800円/年 ※金額は日本年金機構の公表値(昭和31年4月2日以後生まれの場合)です。 モデルケース(子1人)では、847,300円+243,800円=1,091,100円/年(月約9.1万円)。 遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3です。概算式は次のとおり。 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数 × 3/4 ※加入月数が300月未満の場合は300月とみなして計算 年収600万円(平均標準報酬額50万円)なら、500,000円 × 5.481/1000 × 300月 × 3/4 ≒ 約61.7万円/年(月約5.1万円)。 ...

2026年6月9日 · 最終更新: 2026年6月10日 · HIKO

朝日生命「あさひの一時払年金」はおすすめ?|退職金の置き場所としてFPが検証

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界で10年働いたあと IT企業へ転職し、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。投資歴は2015年からの11年です。 この記事では、朝日生命の円建て確定年金「あさひの一時払年金」を取り上げます。退職金や満期保険金、相続で受け取ったお金など、「まとまった円資金をどこに置くか」で迷ったときに候補に挙がる商品です。先にお断りすると、私自身はこの商品に加入していません。資産形成のメインは NISA と企業型DCで進めているためです。あくまで保険業界で一時払商品を間近に見てきた経験と FP の知識をもとに、中立的に仕組みと使いどころを整理します。 この記事は商品の一般的な仕組みと公的な税制ルールをもとにした解説です。予定利率・受取額・税金の扱いは契約時期や契約形態、お住まいの状況によって変わります。加入を検討する際は、必ず最新の「ご契約のしおり」「重要事項説明書」と設計書をご自身で確認し、最終判断は自己責任で行ってください。本記事は特定商品の購入を勧誘するものではありません。 結論:「あさひの一時払年金」はこういう商品 最初に要点を3つにまとめます。 まとまった円資金を一括で預け、据置期間で年金原資を育てて、5年・10年・15年の確定年金として受け取る商品です。終身年金ではなく期間が決まった「確定年金」が軸で、医師の診査や健康状態の告知は不要です。 予定利率は契約時点で固定されます。 安定している反面、契約後に世の中の金利やインフレが進んでも受取額は増えません。逆に低金利期に契約すると、その低い利率で長く固定されることになります。 一時払の個人年金は、個人年金保険料控除の対象外です。 ここは誤解が多いところで、節税目的で選ぶ商品ではありません。あくまで「置き場所」としての性格が強い商品です。 これらを踏まえて、向く人・向かない人を後半で仕分けします。 「あさひの一時払年金」の基本的な仕組み 公式情報(2026年時点)をもとに、商品の骨格を整理します。なお契約年齢などの条件は商品改定で変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。 保険料の払い方:契約時に一時払保険料を朝日生命の金融機関口座へ振り込む一括払い 契約できる年齢:20〜70歳 告知:医師の診査や健康状態の告知は不要 年金の受け取り方:5年・10年・15年から選べる確定年金 据置期間:契約から年金開始までの据置期間を設定できる 予定利率:契約時点の予定利率で計算され、その後は固定。金利情勢によっては新規契約の取り扱いを停止することがある 年金開始後に被保険者が亡くなった場合:残りの年金支払期間に相当する未払いの年金現価が、年金受取人に支払われる ざっくり言うと、「一括でお金を預け、据置期間で年金原資を少しずつ育て、決まった期間にわたって取り崩しながら受け取る」円建ての商品です。株や投資信託のように値動きで増減するものではなく、契約時に受取イメージが固まる設計が特徴です。 仮に300万円を預けた場合のイメージ 「結局どのくらい増えるの?」というのが、いちばん気になるところだと思います。ただし、ここは正直にお伝えしておきます。実際の受取額は契約時点の予定利率で決まり、その水準は時期によって変わるため、具体的な金額をこの記事で断定することはできません。 その前提で、受取イメージを「金額」ではなく「構造」で捉えると分かりやすくなります。たとえば次のような組み合わせを考えます。 元本:300万円 据置期間:10年 年金支払期間:10年(5年・15年も選べる) この場合、契約から年金が始まるまでの据置10年間で年金原資が予定利率に応じて育ち、その原資をもとに11年目以降の10年間で年金として受け取っていく、という流れになります。受取総額が一時払保険料(この例なら300万円)を上回るかどうかは、据置期間の長さ・年金支払期間・そのときの予定利率の3つで変わります。 ポイントは2つです。1つは、据置期間が長いほど原資が育つ時間が増えること。もう1つは、増え方は契約時の予定利率に強く依存することです。低金利の時期に契約すれば、その低い利率で長く固定されます。だからこそ、契約前にその時点の予定利率を確認し、後述する個人向け国債や定期預金と並べて比べる作業が欠かせません。具体的な受取額は、必ず担当者に作ってもらう設計書で確認してください。 あさひの一時払年金のメリット 中立に見て、この商品の強みは次のとおりです。 値動きがなく、受取イメージを契約時に固定できる:株や投資信託のように日々増減しないので、相場を見て一喜一憂したくない人には精神的にラクです。 告知・診査が不要で入りやすい:健康状態に不安があっても、医師の診査や告知なしで申し込めます。 据置期間で年金原資を育てられる:すぐに使わないお金を、確定年金の形にして計画的な受け取りへ整えられます。 取り崩しの仕組みが自動化される:自分で資産を取り崩すのが苦手な人でも、決まった期間に自動で受け取れます。 遺族への引き継ぎ設計がある:年金開始後に被保険者が亡くなっても、残期間分の年金現価が受取人に支払われます。 あさひの一時払年金のデメリット 一方で、理解しておくべき弱点もはっきりしています。 インフレ・金利上昇に弱い:予定利率は契約時固定なので、契約後に物価や金利が上がっても受取額は増えません。 一時払は個人年金保険料控除の対象外:節税目的で選ぶ商品ではありません(詳細は後述)。 早期解約は元本割れする:契約後一定期間で解約すると、解約返戻金が一時払保険料を下回ります。 増える力は限定的:あくまで「安全に置く」商品で、長期で大きく増やす力は投資信託などに比べると小さいです。 金利情勢で取り扱いが止まることがある:新規契約が一時的にできなくなる場合があります。 ポイント1:予定利率の「固定」はメリットにもデメリットにもなる 一時払年金のいちばんの肝は予定利率です。 契約した時点の予定利率で受取額が決まり、その後は動きません。これは「契約後に金利が下がっても影響を受けない」という安心につながります。一方で、契約後にインフレが進んだり世の中の金利が上がったりしても、受取額は増えないという弱点も同じ理由から生まれます。 私が保険業界にいた頃から、一時払年金や一時払終身は「金利が動くと商品性がガラッと変わる」タイプの代表でした。実際このあさひの一時払年金も「金利情勢によっては新規の取り扱いができないことがある」と明記されています。これは裏を返せば、利率水準次第で魅力が大きく変わる商品だということです。 検討する際は、その時点の予定利率を確認したうえで、 同じ時期の 個人向け国債(変動10年) の適用利率 定期預金 の店頭金利 物価上昇率(インフレ) の見通し と並べて比べるのが現実的です。固定金利の安心料として納得できる水準かどうか、という見方をおすすめします。 ポイント2:一時払は「個人年金保険料控除」の対象外 ここはとても誤解が多い論点です。 毎月コツコツ払うタイプの個人年金保険には「個人年金保険料控除」がありますが、一時払の個人年金は、税制適格の個人年金保険料控除の要件(保険料払込期間10年以上など)を満たさないため、対象外です。一時払商品を「節税になるから」という理由で選ぶのは、出発点からずれてしまいます。 受取時の税金については、契約者と受取人が同じ人で確定年金を受け取る場合、毎年の年金は雑所得として所得税・住民税の対象になるのが一般的です。雑所得は「受け取った年金額から、それに対応する払込分(必要経費)を差し引いた残り」が課税対象になるため、受取額の全部に課税されるわけではありません。 注意したいのは契約形態です。契約者(お金を出す人)と年金受取人が違う場合は、年金開始時点で受取人に贈与税がかかるケースがあります。親が子のために契約する、夫が妻名義で受け取らせる、といった「名義の置き方」で税金の種類と金額が大きく変わるため、相続・贈与目的で使うときほど、契約前に税理士や担当者へ確認することをおすすめします。 ...

2026年6月3日 · 最終更新: 2026年6月12日 · HIKO