一時払い終身保険の予定利率2.25%引き上げは“買い時”か|元保険業界FPが見た41年ぶりの上げ幅

結論を先に言います。 一時払い終身保険の予定利率2.25%は「増やす商品」としてはおすすめしません。これは死亡保障と相続・資金の置き場所のための商品で、純粋に増やすならNISAが先です。一方、預貯金がすでに潤沢で、相続対策や確実に遺す手段がほしい人には役割があります。この記事は、退職金・相続の置き場所を考えている50〜60代の方、そして親世代の相談を受ける立場の30代に向けて、予定利率2.25%を実質利回り(IRR)の試算で冷静に見ていきます。 保険業界に10年、その後IT企業に転職したFP2級・投資歴11年のHIKOが書いています。 ※本記事は特定の保険商品の加入・解約を勧めるものではありません。投資・保険の最終判断はご自身の責任で行ってください。記事中のIRR試算は一般的な前提を置いた試算例で、特定商品の確定値ではありません。 結論:予定利率の引き上げは事実だが「増やす目的」ならNISAが先 先に私の見方をまとめます。 予定利率が上がったのは事実で、契約者にとっては条件が良くなる方向の話です ただし一時払い終身保険は「お金を増やす商品」ではなく、「死亡保障」と「まとまった資金の置き場所・相続対策」のための商品です 純粋に資産を増やしたいなら、まず使うべき枠はNISA(と、会社員なら企業型DC・iDeCo)です 予定利率2.25%は「契約者が手にする実質利回り」とイコールではありません。保障や手数料のコストが乗るため、実際の利回りはそれより低くなります 「41年ぶり」という言葉に押されて慌てる必要はない、というのが私の立場です。順番に説明します。 報道された内容を整理する まず、報じられた事実を簡単に整理します(出典:2026年6月25日 TBS NEWS DIG)。 項目内容会社住友生命対象一時払い終身保険予定利率1.75% → 2.25%上げ幅0.5%(41年ぶりの大きさ)2.25%という水準1998年以来、28年ぶり適用2026年7月1日の契約分から背景日銀の利上げなどによる国内金利の上昇 報道では、保険料がどれくらい安くなるかの例も示されていました。60歳男性・保険金額1,000万円のケースで、保険料はおよそ663万円となり、68万円ほど安くなるという内容です。 予定利率が上がると、同じ保険金額を用意するために必要な保険料は下がります。だから「保険料が安くなる=条件が良くなる」というのは、その通りです。 ただ、ここで一度立ち止まりたいのです。この商品は、そもそも何のための商品なのでしょうか。 そもそも一時払い終身保険とは|「増やす」より「遺す・置く」商品 一時払い終身保険は、契約時に保険料をまとめて一括で支払う死亡保険です。月払いや年払いではなく、最初に何百万円〜という単位でドンと払い込みます。 特徴を整理すると、こうなります。 死亡保障が一生涯続く:被保険者が亡くなったとき、保険金が支払われます 払った保険料より保険金が大きくなる設計:例の60歳男性なら、約663万円を払って1,000万円の保障を確保するイメージです 解約返戻金が時間とともに増える:据え置くほど返戻金が払込額に近づき、やがて上回っていきます つまりこの商品は、「お金を増やすこと」よりも、まとまった資金に死亡保障という形を与えて、確実に遺す・置いておくことに主眼があります。実際、相続対策(生命保険の非課税枠の活用)や、退職金など使う予定のないまとまった資金の置き場所として語られることが多い商品です。 ここが、NISAやインデックス投資と決定的に違うところです。NISAは「増やす」ための枠、一時払い終身保険は「遺す・守る」ための器、と役割が違います。 一時払い終身保険とNISAの比較表|目的・元本・利回り・流動性・相続 「どちらが得か」ではなく「役割が違う」ことが伝わるように、5つの軸で並べてみます。 比較軸一時払い終身保険NISA(インデックス投資)主な目的死亡保障・遺す・資金の置き場所資産を増やす元本の安全性据え置けば元本確保に近い(早期解約は元本割れ)元本保証なし(値動きする)期待できる収益低め(予定利率より下。後述の試算で年1%前後の例)過去実績ベースで年3〜7%想定(将来は不確実)流動性(引き出しやすさ)低い(早期解約は元本割れ・原則寝かせる前提)高い(いつでも売却・引き出し可能)相続対策生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人)が使える非課税枠の対象外(通常の相続財産)向いている人預貯金が潤沢で遺す・守る目的の人これから増やしたい現役世代 NISAは値動きを受け入れて増やす器、一時払い終身保険は値動きを抑えて遺す・守る器です。期待収益・流動性ではNISAが上ですが、相続の非課税枠は保険ならではの強みです。優劣ではなく目的で選ぶ、というのが結論になります。 予定利率2.25%=あなたの利回り、ではない|IRRの試算例で見る ここが一番の注意点であり、第三者からも「ここを数字で見せてほしい」と指摘された核心部分です。 「予定利率2.25%」と聞くと、預けたお金が年2.25%で増えていくように感じます。でも、予定利率は保険会社が運用する前提の利率であって、契約者が実際に受け取る利回り(実質利回り・IRR)とは別物です。一時払い終身保険には、死亡保障というコストと保険会社の経費(付加保険料)が乗っているからです。 そこで、報道の数字(約663万円払って保険金1,000万円)を起点に、実質利回り(IRR)がどう見えるかを試算してみます。 重要な前提です。 以下は私が一般的な前提を置いて計算した試算例であり、住友生命など特定商品の確定した解約返戻金推移ではありません。解約時期ごとの返戻率(100%・110%・120%・130%)は、説明のために私が置いた仮定値です。実際の返戻金は商品・契約年齢・経過年数で異なるため、必ず契約時の設計書で確認してください。前提は「一時払い663万円・保険金1,000万円・追加の保険料なし」とします。 まず、生きていて途中で解約する場合の実質利回り(IRR)の試算です。 解約時の返戻率(仮定)受取額10年後20年後30年後100%(払込と同額)663万円年0.00%年0.00%年0.00%110%約729万円年0.96%年0.48%年0.32%120%約796万円年1.84%年0.92%年0.61%130%約862万円年2.66%年1.32%年0.88% 返戻率が育っても、年数で割り戻すと実質利回りは年1%前後にとどまるケースが多いことが分かります。予定利率2.25%という見出しの数字と、契約者が手にする利回りは別物だということです。これは私が過去に検証したオリックス生命「エンキャン」(返戻率139.5%でも実利回り年1.34%)や、明治安田の積立保険(予定利率1.6%でも実利回り年1%台)と同じ構造です。 次に、死亡して保険金1,000万円を受け取る場合の試算です。 受取受取額10年後20年後30年後死亡保険金1,000万円年4.20%年2.08%年1.38% 「663万円が1,000万円になるなら年率は高いのでは」と思うかもしれません。確かに10年で亡くなれば年4.2%相当に見えます。ただ、これは「亡くなる」という条件が満たされた場合の数字です。長生きするほど年数で割り戻されてIRRは下がり、30年生きれば年1.38%まで落ちます。そして長生きして解約すれば、上の表のとおり年1%前後に収れんしていきます。 ここから見えるのは、単純な「663万円払って1,000万円だから337万円増える」という話ではないということです。差額の337万円は「いつ亡くなるか分からない死亡保障」というコストの裏返しで、保障コストがある分だけ生存時の実質利回りは予定利率2.25%より押し下げられます。これは商品の欠陥ではなく、保険という仕組みの当然の構造です。増やす道具ではなく、保障と置き場所の道具だと割り切る理由はここにあります。 なぜ今、予定利率が上がったのか|金利上昇局面の話 ここは投資家目線で補足したい部分です。 予定利率は、保険会社が「契約者から預かったお金をこれくらいの利回りで運用できる見込みだから、その分を保険料に織り込みます」という前提の利率です。保険会社の運用先の中心は国債などの債券なので、国内金利が上がれば、予定利率も上げやすくなります。 近年は日銀が利上げに動き、長期金利も上昇してきました。今回の「41年ぶりの上げ幅」は、その金利上昇を保険商品の側が反映した動き、と理解すると腑に落ちます。明治安田生命が積立保険の予定利率を引き上げた件など、ここ最近は各社が同じ方向に動いています。 ここで投資家として一つ言いたいのは、金利が上がる局面というのは、保険だけでなく、個人向け国債や債券、定期預金など他の「増やし方」の条件も良くなっているということです。予定利率2.25%だけを単独で見て「お得になった」と判断するのではなく、同じ局面で他の選択肢の条件も上がっていることをセットで考えたいところです。とくに個人向け国債(変動10年)は、金利上昇局面では半年ごとに適用利率が見直され、元本割れもしない設計です。「安全に置く」目的なら、保険と並べて検討する価値があります。 私(HIKO)はどう考えるか 私自身は、保険と投資を分けて考える派です。 自分のお金は、増やす部分はNISAと企業型DCに寄せています。会社の企業型DCは外国株インデックス中心で運用していて、評価額は約114万円、含み益は20万円ほどになりました。NISAは夫婦で積立を続けています。「増やす」ための器は、低コストのインデックス投資で十分だと考えているからです。 一方で、死亡保障は保障として別に確保する、という整理です。増やす機能と保障する機能を一つの商品に詰め込むと、コストの内訳が見えにくくなり、「自分が今いくらの利回りで・いくらの保障に・いくら払っているのか」が分からなくなりがちです。 保険業界に10年いて感じていたのは、貯蓄性保険は「強制的に積み立てられる」「途中で引き出しにくいから貯まる」という行動面のメリットが確かにある、ということでした。意志の力で投資を続けられない人にとって、半強制的に貯まる仕組みは価値があります。ここは否定しません。 ただ、私自身はその強制力よりも、コストの透明さと流動性(必要なときに引き出せること)を優先しました。だからNISA中心の組み立てにしています。これはあくまで私の選択で、正解は人それぞれです。 一時払い終身保険を「買ってもいい人」の具体的な条件 向く・向かないを、より具体的な条件で示します。次のような状況に当てはまる人ほど、一時払い終身保険が選択肢になり得ます。 買ってもいい可能性が高い人(目安) 預貯金が3,000万円以上など、生活防衛資金と当面の生活費を十分に確保したうえで、なお使う予定のないまとまった資金がある人 遺したい相続人がいて、生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)をまだ使っていない人 NISA・iDeCo・企業型DCなど、増やすための非課税枠をすでに活用済みの人 そのお金を10年以上、できれば一生使う予定がなく、寝かせておける人 値動きのある投資が性格的に向かず、確定した受け取り・遺し方を重視する人 買わないほうがいい可能性が高い人 主目的が「資産を増やすこと」の人(→ まずNISA・企業型DC・iDeCoの枠を使うほうが合理的) まとまった資金を長期間動かせなくなるのが困る人(早期解約は元本割れの可能性) 30代など、これから資産形成を始める段階で、一時払いの原資をまだ作っている途中の世代 生活防衛資金がまだ十分でない人 ポイントは、増やす枠を使い切ったあとの、余ったまとまった資金の置き場所として検討する順番だということです。最初の一手ではありません。 ...

2026年6月25日 · 最終更新: 2026年7月8日 · HIKO

松風(7979)の株主優待は改悪?200株保有者が変更内容と「売らない理由」を解説

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第3回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で私が実際に保有している優待銘柄を、1記事1銘柄で紹介していく連載です。第1回はコナカと巴工業の比較、第2回はKDDIの優待変更でした。 松風(7979)の株主優待は改悪なのか。2026年に優待が一部変更され、ネットでもそう問う声が出ています。 先に私の結論を書きます。**私は松風を売っていません。理由は、私がこの株を持っている根拠が優待ではなく、歯科材料事業の成長性と配当だからです。**優待品が1本差し替わろうと、優待価格で買える本数の上限が縮んでも、私が見ている本線(業績・配当・財務)は変わっていません。だから今回の変更は、私にとって売る理由になりませんでした。詳しくは本文で、財務指標と「売る条件」もあわせて整理します。 なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 松風は歯科材料の会社で、株主優待として薬用歯磨などの自社製品がもらえることで個人投資家に知られています。その優待が、2026年6月3日付の会社からの告知で「一部変更」になりました。優待品の中身が一部差し替わり、優待価格で買える本数の上限も縮小されています。私は松風を200株保有し、優待品も受け取ってきた立場として、変更内容を会社の一次情報で整理していきます。 松風の株主優待が2026年にどう変わったのか(変更内容) まず、変更前の松風の株主優待を整理します。松風の公式IR(株主優待ページ)で確認した内容は、おおむね次のとおりです。 対象: 100株(1単元)以上を保有する株主 無料提供: 薬用歯磨など自社製品を、毎年6月下旬に発送 優待価格販売: 全株主を対象に、歯磨やネイル製品などを優待価格で購入できる 基準日: 3月31日(自社製品)と9月30日(ネイル製品)の2回 長期保有条件: 公式ページに記載なし(保有年数による段階はありません) そのうえで、2026年6月3日付で会社が出した「株主様ご優待製品等の変更に関するお詫びとお知らせ」の内容を、告知の範囲で整理すると、変更点は次のとおりです。 無料提供する優待品のうち1本が、別の歯磨製品へ差し替えになった 優待価格で購入できる本数の上限が、2箱から1箱へ縮小された 無料提供品の発送時期が、当初の予定より後ろ倒しになった 無料提供のセット自体は引き続き受け取れますが、優待価格で多めに買い足したい人にとっては、上限が半分になったぶん使い勝手が下がる形です。ネットで「松風の優待は改悪では」という声が出るのも、この上限縮小と発送遅延が理由でしょう。実際、優待価格販売を活用していた株主からすれば、体感として後退に映る変更だと思います。 (優待の正確な内容・条件・対象品目は改定されることがあります。実際に確認・申し込みをする際は、必ず松風の公式IR・株主優待ページと、当該の告知文をご自身でご確認ください。) 会社が挙げた変更理由は「株主数の増加」と「中東情勢」 今回の変更で私が注目したのは、会社が変更理由をきちんと説明している点です。 松風はお詫びの告知のなかで、変更の理由として「想定を上回る株主数の増加」と「中東情勢による原材料の供給不安」を挙げています。これは私の解釈ではなく、会社の告知文に書かれている内容です。 優待がもらえる会社の株主が増えること自体は、会社にとって悪い話ではありません。ただ、株主が増えれば、その人数分の優待品を用意するコストも増えます。そこに原材料の供給不安が重なれば、同じ条件のまま全員に配り続けるのが難しくなる、という事情は理解できます。 ここで大事なのは、これを「会社の経営が苦しいサイン」と読み違えないことだと思っています。今回の変更は、業績が悪化したからコストを削った、という話ではなく、株主数の増加と外部要因への対応として優待のかたちを調整した、というのが会社の説明です。原材料の供給不安は松風だけの問題ではなく、外部環境の話です。憶測で「経営がまずいから優待を削った」と決めつけるのは、フェアではないと考えています。 とはいえ、優待が縮小される方向の変更であることは事実です。だからこそ、この連載で繰り返してきた問いがまた効いてきます。「優待が縮小されても、この会社を持ち続けたいか」です。 「改悪」かどうかより、私が見ているのは業績・配当・財務 ここからが本題です。優待が縮小された「改悪」かどうかという議論はネットでも盛り上がりますが、私が松風を持ち続けるかどうかの判断は、優待ではなく業績・配当・財務の数字で決まります。私は松風を200株、取得単価のベースに対して含み益が出ている状態で保有していますが、その根拠は歯科材料分野で実績を積んできた事業のほうにあります。 業績:5年で売上約1.6倍、営業利益率は13%台へ 松風は売上を伸ばしてきた会社です。IR BANKで公開されている通期業績の推移は、おおまかに次のとおりです。 決算期売上高営業利益営業利益率営業CF2021年3月期247億円23.0億円9.3%28.3億円2022年3月期281億円32.2億円11.4%37.4億円2023年3月期317億円38.2億円12.1%31.7億円2024年3月期351億円47.1億円13.4%30.9億円2025年3月期387億円53.9億円13.9%34.5億円2026年3月期400億円52.3億円13.1%33.7億円 出典:IR BANK 松風 業績推移( https://irbank.net/7979/results 、2026年6月25日確認) 5年で売上は約1.6倍に伸び、営業利益率も9%台から13%台へ改善してきました。営業キャッシュフローも毎期30億円前後の黒字で安定しています。一方で直近の2026年3月期は、売上は過去最高を更新したものの営業利益は前の期(53.9億円)から52.3億円へ微減しました。ずっと右肩上がりが約束されているわけではありません。歯科材料は景気変動の影響を受けにくい面がある一方、海外売上比率や為替、今回のような原材料の供給環境にも左右されます。 財務:自己資本比率84%・ROE10%台と無理のない体質 私が優待株でいちばん安心材料にしているのが、財務の厚さです。IR BANKで確認した自己資本比率とROEの推移は次のとおりです。 決算期自己資本比率ROE2021年3月期79.4%5.6%2022年3月期80.5%7.8%2023年3月期80.8%8.9%2024年3月期82.7%8.8%2025年3月期85.2%10.1%2026年3月期84.1%10.1% 出典:IR BANK 松風 業績推移( https://irbank.net/7979/results 、2026年6月25日確認) 自己資本比率は一貫して80%前後と高く、借入に頼らない財務体質です。ROEも5.6%から10%台へ改善しており、自己資本が厚いままで資本効率も上がってきた形です。財務に余裕があることは、外部環境が荒れても配当や優待を急に切り詰めにくい、という意味で優待株では安心材料になります(もちろん将来を保証するものではありません)。 配当:予想利回り約3.1%、配当性向は40%台へ 配当の面では、松風は2024年10月に1株を2株にする株式分割を実施しています。分割の前後で1株あたりの配当金額の見え方が変わるので、推移を見るときは注意が必要です。IR BANKで確認した1株あたり年間配当金は、おおまかに次のとおりです。 決算期年間1株配当配当性向2021年3月期29円30.1%2022年3月期39円27.2%2023年3月期57円32.4%2024年3月期62円30.1%2025年3月期49円(分割後)40.3%2026年3月期60円(分割後・特別配当5円含む)43.7% 出典:IR BANK 松風 配当推移( https://irbank.net/7979/dividend 、2026年6月25日確認)。2024年10月に1対2の株式分割を実施しているため、2025年3月期以降の1株配当額は分割前の期と単純比較できません(分割前ベースでは2025年3月期・2026年3月期とも年間98円相当)。 会社は配当性向の目安として30%程度を掲げてきましたが、直近2期は記念配当・特別配当もあって実績ベースでは40%台で推移しています。予想ベースの配当利回りは、私が確認した2026年6月25日時点でおおむね3.1%(2027年3月期予想配当61円ベース)です。 優待人気で割高になっていないか(PER・PBRの確認) 優待株でひとつ気をつけているのが、「優待人気で株価が買われすぎていないか」です。優待目的の買いで割高になっている株は、優待が縮小されると株価のほうも調整しやすいからです。2026年6月25日時点でIR BANKで確認した株価指標は次のとおりです。 指標2026年6月25日時点補足株価1,957円—PER14.6倍過去5年平均は約15倍PBR1.43倍自己資本比率84%を踏まえると過度な割高感は薄い予想配当利回り約3.1%2027年3月期予想ベース時価総額約700億円— 出典:IR BANK 松風( https://irbank.net/7979/per 、2026年6月25日確認) ...

2026年6月24日 · 最終更新: 2026年6月25日 · HIKO

賃貸保険の個人賠償1,000万円は不足?合算上限に気づいて1億円へ見直した実体験

「賃貸保険の個人賠償1,000万円」は、一見十分に見えます。しかし契約内容を確認すると、借家人賠償と合算上限になっているケースがあります。私自身、加入していた賃貸保険がこの状態であることに気づき、個人賠償1億円・示談交渉付きの保険へ変更しました。この記事では、実際の契約内容と見直し理由を公開します。 私は保険業界に10年いたあとIT企業に転職した、FP2級のHIKOです。平成時代を生きた30代・川崎市で夫婦二人暮らしをしています。今回、長く入りっぱなしだった賃貸保険を別の会社へ乗り換えました。きっかけは「個人賠償、自分はてっきりどこかでカバーされていると思っていた」という、よくある思い込みです。 この記事は特定の保険商品を推奨するものではなく、私個人が自分の契約をどう点検して、どう判断したかの記録です。最終的な契約判断はご自身の状況に合わせて行ってください。 賃貸保険の個人賠償が「合算1,000万円」だと気づいた これまで私が入っていたのは、チューリッヒ少額短期保険の「ミニケア賃貸保険」でした。年3,610円。賃貸契約のときに不動産屋経由ではなく自分で選んで入った、わりと意識して選んだつもりの契約です。 中身を改めて見ると、こうなっていました。 補償金額家財100万円借家人賠償(大家さんへの賠償)1,000万円個人賠償(他人・他人のモノへの賠償)1,000万円修理費用100万円 一見、悪くないように見えます。問題は個人賠償の「1,000万円」の中身でした。 この契約の個人賠償は、借家人賠償と合算で1,000万円が上限という構造だったのです。つまり、火事で大家さんへの賠償が発生した場面と、外出先で他人にケガをさせた場面が、同じ1,000万円の枠を取り合う形になっていました。借家人賠償でいくらか使えば、その分だけ個人賠償に残る枠は減ります。 「個人賠償1,000万円」と書いてあると、それが独立して1,000万円あるように感じますが、実際は別枠ではなかった。ここが最初の気づきでした。 自転車事故で約9,500万円。1,000万円では足りない時代 そもそも個人賠償の1,000万円という数字自体が、今の水準では心もとないと感じます。 個人賠償責任は、日常生活で他人にケガをさせたり、他人のモノを壊したりして法律上の賠償義務を負ったときに備えるものです。代表例としてよく知られているのが自転車事故で、神戸地方裁判所では、自転車事故について約9,521万円の賠償命令が出た事例があります(平成25年7月4日判決)。 私自身は車も自転車も使いませんが、それでも他人に損害を与えるリスクがゼロになるわけではありません。賃貸マンションで暮らしていれば、水漏れで階下に損害を与えてしまうようなケースは誰にでも起こりえます。こうしたリスクに対して、しかも借家人賠償と枠を取り合う1,000万円というのは、正直なところ現代の生活水準に合っていないと判断しました。 「クレカに個人賠償が付いている」は思い込みだった ここが今回いちばん肝を冷やした部分です。 私は漠然と「クレジットカードに個人賠償くらい無料で付いているだろう」と思っていました。なので賃貸保険の枠が薄くても、どこかで二重三重にカバーされているはず、という油断があったのです。 そこで、家計管理に使っているマネーフォワードのデータと、手元の保険・カードの内容を一通り確認してみました。結果は次のとおりです。 加入している生命保険・医療保険に個人賠償の特約は付いていない 保有しているクレジットカードにも個人賠償は付いていない 賃貸保険の「合算1,000万円」が、わが家で唯一の個人賠償だった ここで整理しておきたいのが、クレジットカードに自動で付くことが多いのは旅行傷害保険であって、個人賠償ではないという点です。一部のカードには個人賠償の付帯サービスがありますが、一般的なクレジットカードに個人賠償が自動付帯されているとは限りません。付帯している場合でも「別途申し込みが必要な有料オプション」だったり、特定の上位カードに限られたりと、カードや商品によって扱いはさまざまです。自分の手元のカードがどうなっているかは、個別に確認する必要があります。 「たぶんカバーされている」と思っていたものが、実は唯一の砦すらギリギリだった。ここで本気で見直すことに決めました。 乗り換え先を選んだ理由(チューリッヒ少短→日新火災) 乗り換え先として選んだのは、日新火災の「お部屋を借りるときの保険」です。選んだ理由はシンプルで、私が見直しで満たしたかった条件、つまり「個人賠償1億円・示談交渉付き・借家人賠償とは別枠」を、この商品が標準で満たしていたからです。決め手はあくまでこの補償の中身でした。なお補足として、価格.com保険アワードの家財部門で連続1位を取っている商品としても知られています。 補償を並べると、こうなりました。 補償チューリッヒ(旧)日新火災(新)家財100万円300万円借家人賠償1,000万円2,000万円個人賠償1,000万円(借家人と合算)1億円・別枠・示談交渉付き修理費用100万円300万円年間保険料3,610円6,000円 私が決め手にしたのは、金額そのものより「個人賠償1億円・示談交渉サービス付きが、オプションの金額選択ではなく標準で内蔵」されていて、しかも借家人賠償と別枠だったことです。 旧契約の「合算上限」という構造的な弱点が、これでまるごと解消されます。賠償の場面が重なっても、お互いの枠を食い合わない。さらに示談交渉サービスが付いていれば、いざ事故が起きたときに当事者同士で交渉する負担も軽くなります。 なお、個人賠償は1億円ではなく無制限を選べる商品もあります。私は保険料差額とのバランスから、1億円で十分だと判断しました。 念のため書いておくと、これは「日新火災が一番」という話ではありません。私の今の暮らし(賃貸・夫婦二人)で抱えていた、個人賠償の手薄さという課題に一番素直に効いたのがこの商品だった、というだけです。 保険料の差額を、投資・家計目線でどう判断したか 保険料は年3,610円から6,000円へ、年+2,390円。月にならすと約+200円です。 FP2級・投資目線で固定費を見るクセがあるので、本来この手の値上がりには身構えます。月200円でも年2,390円、20年で約4.8万円ですから、無条件で受け入れる金額ではありません。 ただ今回は、この差額で得られるものがはっきりしていました。 個人賠償が「合算1,000万円」→「別枠1億円+示談交渉付き」 家財が100万円→300万円(夫婦二人の実勢に近づく) 借家人賠償・修理費用も増額 特に個人賠償の部分は、いざ高額賠償が現実になったときに資産形成の前提そのものを吹き飛ばしかねないリスクです。コツコツ積み上げてきたNISAや企業型DCの資産が、一度の賠償で消し飛ぶ。その確率は低くても、起きたときの損失が致命的なら、月200円は「保険料」ではなく「資産を守るコスト」だと整理できました。 固定費は基本的に削る対象ですが、削っていいのは「過剰なもの」だけです。今回はむしろ手薄すぎたので、増やすのが正解でした。安いか高いかではなく、リスクに対して過不足ないかで見る。ここが保険の固定費判断のキモだと改めて思いました。 乗り換えの段取り:先に新契約、後に旧契約停止 実務的に役立つかもしれないので、段取りも残しておきます。地味ですが、ここを間違えると無保険の空白期間ができたり、二重払いになったりします。 旧契約のチューリッヒは「自動継続」型でした。放っておくと満期日に勝手に更新されて、また1年分が課金されます。一方で、何も考えずに先に旧契約を止めてしまうと、新契約が始まるまでの間が無保険になってしまいます。 そこで踏んだ順番はこうです。 先に新契約(日新火災)を申し込む。保険の始期を、旧契約の満期日に合わせて指定する そのうえで旧契約(チューリッヒ)の継続停止手続きを、自動更新の期限までに行う この順番なら、保障が途切れません。結果として、新契約の始期が旧契約の満期と半日ほど重なる形になり、無保険の空白はゼロで着地できました。重複といっても半日なので、二重払いの実害もありません。 保険の見直し全般に言えることですが、「解約してから新規」ではなく「新規に入ってから旧契約を止める」が鉄則です。これは生命保険でも医療保険でも同じで、保障の空白を作らないことを最優先にしてください。 まとめ:賃貸保険は「個人賠償」を必ず確認する 今回の見直しで私が学んだことを整理します。 賃貸保険の個人賠償は、借家人賠償と「合算上限」になっている契約がある。金額の数字だけでなく、別枠かどうかを確認する 個人賠償の1,000万円は、自転車事故などの高額賠償(神戸地裁・平成25年7月4日判決では約9,521万円の事例も)には不足しうる クレジットカードに自動付帯されやすいのは旅行傷害保険であって、個人賠償が自動付帯されているとは限らない(カード・商品により異なる)。「たぶんカバーされている」は危険 自分が個人賠償をどこで持っているか、保険・カードを一度棚卸しする 見直すなら「新規加入してから旧契約停止」の順番で、保障の空白を作らない 保険は削るのが基本ですが、手薄なところは増やす。安さではなくリスクとの過不足で判断する。これは賃貸保険に限らず、家計の固定費全体に通じる考え方だと思います。 まずは手元の賃貸保険証券を1枚出して、「個人賠償が別枠でいくらあるか」を確認するところから始めてみてください。 あわせて読みたい 30代の保険、9割は「見直しでOK」です 固定費を下げる方法|まず見直すべき3つと優先順位 手取りが少ないと感じた原因は家賃だった はじめての方へ|30代会社員の家計と投資を5分で整理する HIKO 保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー 保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。 保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり

2026年6月21日 · 最終更新: 2026年6月23日 · HIKO

KDDI優待は改悪?2025年変更後の内容を200株保有者が解説|Pontaポイントも選択可能

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第2回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で私が実際に保有している優待銘柄を、1記事1銘柄で紹介していく連載です。第1回はコナカと巴工業の比較でした。 KDDI(9433)の株主優待が2025年に変わりました。 ネットでは「KDDI優待は改悪された」という声も見かけます。長年もらえていたカタログギフトがなくなり、内容が変わったのですから、そう感じる人がいるのも自然です。 私はKDDIを200株、長期間保有しています。配当も優待も受け取り続けてきた立場として、変更後の優待が実際どうなったのか、そして「改悪」と言われる中で私がそれでも持ち続けている理由を、配当や業績の数字とあわせて正直に整理します。 なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 KDDI優待は2025年にどう変わったのか(変更後の内容) まず、変更後の優待内容を整理します。KDDIの公式IR(株主優待ページ)で確認した、現行制度の内容は次のとおりです。 対象: 200株以上を保有する株主 1年以上5年未満の保有: 2,000円相当 5年以上の保有: 3,000円相当 そのうえで、受け取る内容を次の中から選べる形になっています。 Pontaポイント(au PAY マーケット限定のPontaポイントとして使うと1.5倍に増量できる選択肢あり) ローソン・成城石井の商品セット(お菓子、発泡酒、レトルト食品、コーヒー、ワインなどから選ぶ形) 寄付(優待相当額を社会貢献活動団体へ寄付) 以前のような「カタログギフトから商品を1つ選ぶ」形から、Pontaポイント・商品セット・寄付のいずれかを選ぶ形に整理された、という変化です。日常的にau PAYやPontaを使っている人なら、ポイントで受け取れる選択肢はむしろ使い勝手が良いと感じるかもしれません。 なお保有期間は、同一株主番号で3月31日の株主名簿に連続して記録されている年数で判定されます。証券会社の変更や相続などで株主番号が変わると、保有期間がリセットされて対象から外れる場合がある、という点は公式でも注意喚起されています。長期保有区分を狙うなら、口座をむやみに移さないほうが無難です。 (優待の正確な内容・条件は改定されることがあります。実際に確認・申し込みをする際は、必ずKDDIの公式IR・株主優待ページで最新の情報をご確認ください。) 株数基準は「200株以上」。2025年4月の株式分割もあわせて押さえる 優待を考えるうえで、もう一つ押さえておきたいのが株式分割です。 KDDIは2025年4月1日に、1株を2株にする株式分割を実施しています。つまり、分割前に100株を持っていた人は、分割後には自動的に200株になります。 現行の優待基準は200株以上です。分割前の株価でいきなり200株を買うのはハードルが高かったところもありますが、分割によって1株あたりの株価が下がり、新たに買う人にとっても株数を揃えやすくなったという面はあります。 ここで「100株だと優待がもらえないのか」が気になる人もいると思います。私が公式IRを確認した範囲では、現行の優待基準は200株以上という記載で、分割前100株保有者への経過措置について特別な記載は見当たりませんでした。ただ、分割前から100株を持っていた人は分割で自動的に200株になっているため、その時点で現行基準を満たしている、という整理になります。これから新しく買う人は、200株を意識して株数を揃える必要がある、ということです。 繰り返しになりますが、株数の基準や経過措置の有無は制度改定で変わり得ます。最終的な条件は必ず公式の株主優待ページでご確認ください。 「改悪」と言われても私が売らない理由は、優待ではなく配当と業績 ここからが本題です。優待が変わったいま、私がKDDIを売らずに持ち続けている理由は、結局のところ優待ではありません。 私はKDDIを、優待目的というより、安定した配当と業績を期待して長期で保有してきました。優待は、第1回でも書いたとおり「最後のひと押し」であって、保有を決める主役ではありません。 私の保有実績で見ると、KDDIは取得単価ベースに対して株価が大きく育ち、含み益も配当も両方を稼いでくれている主力銘柄の一つです。旧NISA時代から持ち続けてきた銘柄で、長期保有区分の3,000円相当の優待を受け取れる年数にもなっています。 配当の面でも、KDDIは長く増配を続けてきた会社として知られています。参考までに、IR BANKなどで公開されている1株あたり配当金の推移を、2025年4月の株式分割を考慮した「分割後換算」に統一して並べると、おおまかに次のようになります。 決算期年間配当(分割考慮後換算)2021年3月期60円相当2022年3月期62.5円相当2023年3月期67.5円相当2024年3月期70円相当2025年3月期72.5円相当 (出典: IR BANK。分割前の表示額を、2025年4月の1:2分割にあわせて半額換算した参考値です。実際の支払額・1株配当は各期の正式発表をご確認ください。) 分割後換算でそろえると、2026年3月期に予想される配当(分割後ベースのおおよそ80円相当)と地続きで、毎年少しずつ配当が積み上がってきたことが見て取れます。優待が2,000円から3,000円に変わったかどうか以上に、この配当の積み上がりのほうが、私にとっては持ち続ける根拠として大きいというのが正直なところです。 もちろん、通信業界にも価格競争や規制、設備投資といったリスクはあります。増配がこの先も続く保証はありません。あくまで過去の実績がこうだった、という話として読んでください。 優待が変わったとき、売るかどうかをどう考えたか 優待の内容が変わると、「改悪されたから売ろうか」という気持ちになることがあります。私もニュースを見たときは、一瞬そう思いました。 でも、自分の保有理由に立ち返ったとき、私がKDDIを持っている主な理由は配当と業績であって、優待ではありませんでした。だとすれば、優待がカタログからPontaポイントや商品セットに変わったこと自体は、売る理由にはならない、と整理できました。 逆に言えば、もし「優待だけ」が目当てで持っていたら、変更のたびに揺さぶられていたと思います。第1回のコナカで痛感したのは、まさにこれでした。優待目的で買った株が塩漬けになり、優待の魅力だけでは下落に耐えられなかったのです。 だから私は、優待つきの株でも「優待がなくなっても持ち続けられるか」を基準にするようにしています。KDDIは、優待がどう変わっても配当と業績で持てる、と判断しているので売っていません。これはあくまで私個人の判断であり、同じ判断をすすめるものではありません。 まとめ:優待は「最後のひと押し」、本線は配当・業績・財務 ここまでをまとめます。 KDDIの株主優待は2025年に変更され、現行は200株以上が対象。1年以上5年未満で2,000円相当、5年以上で3,000円相当 受け取り方はPontaポイント・商品セット・寄付から選ぶ形になった 2025年4月1日に1:2の株式分割があり、分割前に100株を持っていた人は分割後に200株になっている 私が売らない理由は優待ではなく、長く積み上がってきた配当と業績。優待はあくまで「最後のひと押し」 「優待が改悪されたから売る」ではなく、「この会社を優待抜きで持ち続けたいか」で考える——これが、コナカでの失敗を経た私の今の基準です。 KDDIのような大型株でも、私が買う前に見ているのは優待ではなく、配当・業績・財務です。優待は判断材料の最後に置いています。そうした個別株や配当の管理、NISAまで含めて、私は2015年からずっと楽天証券を1つの口座にまとめて使っています。11年使ってきて、今もメイン口座にしている証券会社です。 楽天証券で口座を開設する 私が11年使っているメイン口座。優待株を含む個別株もNISAも1つの口座で管理できます。 楽天証券の口座開設はこちら(無料) → ※TGアフィリエイトのリンクを使用しています。口座開設の判断はご自身でご確認ください。 なお、本記事は私個人の保有実績と考え方の整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。優待・配当の内容は改定されることがあり、最終的な条件は必ずKDDIの公式IRでご確認ください。株式投資には価格変動リスクがあり、投資判断はご自身の責任でお願いします。 連載「ラスト一押しの株主優待」 業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる、という順番で私が保有している優待銘柄を1記事1銘柄で紹介していくシリーズです。 第1回:コナカと巴工業——優待で買って失敗した株と、業績で買って優待がついてきた株 第2回:KDDI(9433)の優待変更と、それでも持ち続けている理由(本記事) 第3回:松風(7979)の優待変更と、それでも持ち続けている理由 第4回:木徳神糧(2700)のお米の優待と、薄利のコメ卸を持ち続けている理由 第5回:ニチリン(5184)のクオカード優待と、財務が厚い会社を持ち続けている理由 第6回:ラクト・ジャパン(3139)の食品カタログ優待と、アジア展開する食品商社を持ち続けている理由 第7回:アサックス(8772)のクオカード優待と、不動産担保ローンで稼ぐ会社の中身

2026年6月20日 · 最終更新: 2026年7月14日 · HIKO

はなさく生命「はなさく定期」は得か損か|掛け捨て定期をFP目線で数字検証

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界で10年働いたあと IT企業へ転職し、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。 この記事では、日本生命グループの通販系生保・はなさく生命の掛け捨て定期保険「はなさく定期」を、得か損かという損得検証の視点で見ていきます。 最初にはっきりさせておきます。この記事は特定の保険への加入をすすめるものでも、はなさく生命を批判するものでもありません。「掛け捨て定期はムダ」「ネット系は不安」といった印象論ではなく、商品の設計(無解約払戻金型・歳満期と年満期の違い・特約)が家計と相性が良いのはどういう人で、合わないのはどういう人か、を数字と仕組みで整理します。最終的な加入判断はご自身で行っていただく前提で読んでください。 結論:「はなさく定期」の損得は3つの軸で評価できる 先に結論から整理します。いずれも一般論としての評価であり、特定の人へのおすすめではありません。 無解約払戻金型なので「貯蓄」を期待する商品ではない:解約返戻金がない代わりに、同じ保障額なら保険料は割安になりやすい設計です。「払ったお金が戻る」ことを求める人には向きません。 歳満期か年満期かで、生涯コストの見え方が大きく変わる:年満期(10年など)は入口の保険料が安く見えても、更新のたびに保険料が上がります。歳満期(60歳まで等)は入口は高めでも更新による上昇がありません。 保障が必要な期間だけ買えば合理的、不要な人が惰性で持つと割高:定期保険の損得は商品そのものより「自分にいま死亡保障が必要か」で決まります。 ここから、それぞれを公式条件と数字で確認していきます。 「はなさく定期」の公式条件を整理する まず2026年6月時点ではなさく生命公式が示している「はなさく定期」の条件を整理します。数字は公式商品ページの記載に基づきます。 項目内容商品種類定期保険(死亡・所定の高度障害状態を保障)解約返戻金なし(無解約払戻金型)保険金額200万円から設定可能(契約年齢60歳以上かつ90歳満期の場合は100万円から)保険期間(歳満期)60歳・90歳など年齢で設定(最長90歳まで)保険期間(年満期)10年・20年など年数で設定更新年満期は更新可能(更新時に保険料が上がるのが一般的)。歳満期は満期後の更新なし付加できる特約3大疾病保険料払込免除特約(がん・心疾患・脳血管疾患、歳満期のみ対応) ポイントは「無解約払戻金型」という一点に集約されます。これは貯蓄機能を切り落とし、保障に保険料を集中させた設計です。掛け捨てと聞くと損なイメージを持つ人がいますが、これは設計思想の違いであって、それ自体が損というわけではありません。 なぜ通販系の定期保険は保険料が割安になりやすいのか はなさく生命は日本生命グループの通販・代理店チャネル中心の生保です。対面営業の生保と比べて保険料が抑えられやすい背景には、コスト構造の違いがあります。 対面の営業人件費が相対的に軽い:販売チャネルが通販・代理店中心だと、大規模な営業組織を維持するコストが保険料に乗りにくくなります。 無解約払戻金型である:解約返戻金を積み立てない分、保険料を純粋な保障コストに寄せられます。 保障内容がシンプル:死亡・高度障害というわかりやすい保障に絞ることで、商品コストが膨らみにくくなります。 保険業界で働いていた頃の感覚としても、定期保険の保険料差は「保障の中身」よりも「販売チャネルと付帯機能の有無」で説明できる部分が大きいと感じていました。通販系が安く見えるのは魔法ではなく、コスト構造を素直に反映しているだけ、というのが私の理解です。ただし保険料は会社・年齢・性別・保障額で変わるため、安さだけで優劣を断定はできません。複数社を同条件で見積もって比べるのが基本です。 損得を分ける最大のポイントは「歳満期」か「年満期」か 「はなさく定期」を含め、掛け捨て定期で最も損得が分かれるのは、保険期間を年満期にするか歳満期にするかです。ここを誤解すると、入口の安さに引っ張られて生涯コストを見誤ります。 年満期(たとえば10年更新)は、加入時点の年齢で保険料が決まるため、若いうちは保険料が安く見えます。しかし更新のたびにそのときの年齢で保険料が再計算されるため、年齢が上がるほど更新後の保険料は上がっていきます。一方、歳満期(たとえば60歳まで)は、加入時点で満了までの保険料が固定され、途中で上がりません。 下のグラフは「年満期を更新し続けた場合」と「歳満期で固定した場合」の保険料負担イメージを、概念図として並べたものです。実額ではなく、上がり方の方向性を示すための模式値です。 保険料負担の上がり方イメージ(概念図・実額ではありません) 3 年満期(若年期) 6 年満期(中年期) 12 年満期(高年期) 7 歳満期(固定) 年満期は更新ごとに上昇、歳満期は加入時に固定。数値は上がり方の方向性を示す模式値で、実際の保険料ではありません。 ここで損得の考え方が分かれます。 保障が必要な期間が長い人(たとえば子どもが独立するまで20年以上保障が欲しい人)は、歳満期や長めの年満期で保険料を固定したほうが、生涯の合計負担を読みやすくなります。 保障が必要な期間が短い人(数年だけ大きな保障が欲しい人)は、短い年満期のほうが入口も総額も軽くなりやすいです。 つまり「年満期と歳満期のどちらが得か」に一律の正解はなく、自分が保障を必要とする期間で決まる、というのが本質です。 3大疾病保険料払込免除特約は得か 「はなさく定期」には、歳満期で3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)保険料払込免除特約を付けられます。所定の状態に該当すると以後の保険料が免除される仕組みです。 これは家計の安心材料になりますが、損得の観点では次の点を冷静に見る必要があります。 特約を付けるとその分の保険料が上乗せされる:免除という保障を買う以上、コストはゼロではありません。 免除の発動条件は約款で細かく定められている:「3大疾病にかかれば必ず免除」ではなく、所定の状態・期間などの要件があります。条件は必ず約款で確認すべき部分です。 発動しなければ上乗せ分は掛け捨てになる:保険である以上当然ですが、特約も「使わなければ戻らない」コストです。 私の評価としては、この特約の損得は「主契約の保険料に対して上乗せ分が何割か」「自分が免除のありがたみを感じる家計状況か」で判断するもので、付ければ得・付けなければ損と単純化できるものではありません。判断材料は設計書の上乗せ額と約款の発動条件です。 そもそも「掛け捨て定期に入るべきか」を先に決める 定期保険の損得検証で最も大事なのは、商品の比較より前に「自分にいま死亡保障がいくら必要か」を決めることです。ここがずれていると、どんなに保険料が安い商品を選んでも家計目線では損になります。 必要保障額のざっくりした考え方は次のとおりです。 状況死亡保障の必要度独身・扶養家族なし低い(葬儀費用程度で足りることが多い)共働き・子どもなし中〜低(遺された側も働ける場合は過大保障になりやすい)子育て世帯・片働き高い(教育費・生活費を保障で埋める必要が出やすい) 我が家は夫婦二人暮らしで子どもがいないため、大きな死亡保障の必要度は高くないと判断しています。こういう世帯が「掛け捨てはもったいないから」と大きな保障を持つと、保険料は割安でも保障自体が過大で、家計目線ではムダになります。逆に、片働きで小さな子どもがいる世帯にとっては、割安な掛け捨て定期で大きな保障を確保することは合理的な選択になり得ます。 「はなさく定期が得か損か」より先に、「自分に死亡保障がいくら必要か」を決める。順番を間違えないことが、保険の損得検証では一番効きます。 「保障は保障、運用はNISA」で考える 無解約払戻金型の掛け捨て定期は、貯蓄機能を持ちません。これを「お金が戻らなくて損」と捉えるか、「保障コストを最小化できて合理的」と捉えるかで評価は分かれます。 私自身は、保障と運用は分けて考えています。死亡保障が必要なら割安な掛け捨てで保障だけを買い、お金を増やす役割はNISAなどの非課税投資に任せる、という切り分けです。貯蓄型保険のように保障と運用を一本化すると、どちらのコストや利回りが効いているのかが見えにくくなります。役割を分けたほうが、家計の中で何にいくら払っているかを管理しやすいというのが、投資歴11年・FP2級としての私の考えです。 この考え方の詳細は、掛け捨てと貯蓄型のコスト構造を分解した記事で整理しています。あわせて読んでみてください。 ...

2026年6月15日 · HIKO

掛け捨て定期保険と貯蓄型保険、コスト構造をFP目線で解剖してみた【保障は保障、運用はNISA】

「掛け捨ては払ったお金が戻ってこなくてもったいない、貯蓄型のほうがお得」。保険の話になると、今でもよく聞くフレーズです。 ※当記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。 私はFP2級を持っていて、投資歴は11年になります。前職では保険業界に10年いました。その立場から正直に言うと、掛け捨てか貯蓄型かという二択そのものが、論点をずらしてしまっているように感じます。本当に見るべきなのは「払った保険料の中身がどう使われているか」というコスト構造のほうだからです。 この記事では特定の商品をすすめるものではありません。掛け捨て定期保険と貯蓄型保険の中身を一般論として分解し、「保障は保障で買い、運用はNISAでやる」という私自身の考え方を整理します。最終的にどの保険に入るか・入らないかは、あくまでご自身で判断していただく前提で読んでいただければと思います。 そもそも「掛け捨て」と「貯蓄型」は何が違うのか まず言葉の整理からです。 掛け捨て定期保険:一定期間だけ死亡保障などを用意する保険。満期金や解約返戻金は基本的にありません。その代わり、同じ保障額なら保険料は割安です。 貯蓄型保険(終身保険・養老保険・学資保険など):保障に加えて、解約返戻金や満期金という形でお金が戻ってくる設計の保険。その分、同じ保障額でも保険料はかなり高くなります。 ここで多くの人が「貯蓄型は戻ってくるからお得」と考えます。でも、戻ってくるお金は誰かが運用して増やしてくれた魔法のお金ではありません。自分が多めに払った保険料の一部が、コストを差し引かれたうえで戻ってきているだけです。この前提を押さえると、見え方が変わってきます。 保険料の中身を分解してみる 保険料は、ざっくり次の3つに分かれます。専門用語では純保険料と付加保険料と呼ばれますが、ここでは平たく書きます。 内訳役割保障の原価実際に保険金を支払うための部分運営コスト保険会社の人件費・販売手数料・システム費など積立部分貯蓄型だけにある、将来戻ってくるための積み立て 掛け捨て定期は、このうち「積立部分」がほぼゼロです。だから保険料が安い。 貯蓄型は「積立部分」を上乗せして払う設計なので保険料が高くなります。問題は、この積立部分が運用される際に運営コストを先に差し引かれてから回るという点です。同じお金を自分でインデックスファンドに積み立てた場合と比べると、コストの差がそのまま将来のリターン差になって表れやすくなります。 ここを直感的にイメージするために、同じ「毎月の支出」を保障と運用にどう振り分けるかを比べてみます。 同じ月1万円を払うとき、運用に回る額のイメージ 6千円 貯蓄型保険 9千円 掛け捨て+NISA あくまで構造を説明するためのイメージ図です。実際の比率は商品・年齢・保障額で変わります。 貯蓄型は、保障の原価と運営コストを差し引いた残りが積み立てに回ります。一方で「掛け捨てで保障だけ安く確保し、浮いたお金をNISAで運用する」場合、運用に回せるお金そのものが増えやすい、という構造です。あくまでイメージであって、実際の数字は商品や年齢、保障額によって変わります。 「戻り率」と「利回り」は別物 貯蓄型保険のパンフレットでよく見るのが「返戻率○○%」という表記です。たとえば総額300万円払って330万円戻れば返戻率110%、というような書き方です。 数字だけ見ると増えているように感じますが、これは投資の利回り(年率)とは性質がまったく違います。10年・20年という長い期間をかけてようやく110%になることも珍しくありません。これを年率に直すと、実質的な利回りはかなり小さくなります。 私は投資を11年やってきて、旧NISAの配当だけで累計約90万円を受け取ってきました(2015〜2024年の合計で904,551円です)。インデックス投資の世界では、過去の実績として年率数%が一つの目安として語られることが多く、これは複利で効いてくると返戻率の世界とは桁が変わってきます。もちろん投資には元本割れのリスクがあるので、保険の確実性とそのまま比較できるものではありません。ただ、「お金を増やす目的」だけで貯蓄型保険を選ぶのは、土俵を間違えている可能性がある、というのが私の考えです。 私が行き着いた「保障は保障、運用はNISA」 私自身の投資は、決して成功談ばかりではありません。コナカ(7494)の株を2015年に738円で100株買って、今も塩漬けで持ち続けています。青山商事では約31万円の損切りも経験しました。だからこそ、保険と運用を一緒くたにすると判断がにぶる、という実感があります。 保険と運用を切り分けると、それぞれの目的がはっきりします。 掛け捨て定期 目的は保障 安く大きな保障を確保 シンプル 貯蓄型保険 保障+貯蓄を兼ねる コストが見えにくい 割高になりやすい NISAでの運用 目的は資産形成 低コストで非課税 相場リスクあり 保障は、万が一のときに残された家族が困らないためのもの。必要な時期に、必要な額を、安く確保できればそれで役割を果たします。掛け捨て定期はこの目的に素直な商品です。たとえば各社が出している割安な定期保険(はなさく生命の定期タイプなどもその具体例の一つです)は、保障を安く持つという発想に沿っています。 資産形成は、時間をかけてお金に働いてもらう領域。ここはコストの低さと非課税メリットが効くNISAの土俵だと、私は考えています。 この2つを別々の財布で考えると、「掛け捨てはもったいない」という感覚そのものが消えていきます。掛け捨ては保障を安く買うための合理的な選択であって、損ではないからです。 NISAで運用の土台をつくる 保障を掛け捨てで安く確保したら、浮いたお金を運用に回す土台が必要です。私はメインで楽天証券を使っていて、つみたて投資枠ではインデックスファンドをコツコツ積み立てています。NISAは運用益が非課税になる制度なので、長期の資産形成と相性がいいというのが、11年やってきた率直な感想です。 まずは運用の土俵を用意する 保障は掛け捨てで安く、運用はNISAで非課税で。この切り分けを実践するには、まず証券口座という土台が必要です。私が10年以上メインで使っている楽天証券は、楽天ポイントとの連携や使い勝手の面で個人的に気に入っています。口座開設・維持は無料なので、土台として持っておく価値はあると思います。 楽天証券でNISA口座を見てみる → まとめ 「掛け捨てか貯蓄型か」より、「払った保険料の中身がどう使われているか」を見るほうが本質的です。 貯蓄型の戻り率は投資の利回りとは別物で、長い期間をかけてようやく成り立つ数字であることが多いです。 保障は掛け捨てで安く確保し、運用はNISAで低コスト・非課税でやる。この切り分けが、私自身が11年の投資経験を経て行き着いた考え方です。 繰り返しになりますが、この記事は特定の保険商品をすすめるものではありません。掛け捨てが正解、貯蓄型がダメ、という単純な話でもありません。家族構成や価値観によって最適解は変わります。大事なのは、保障と運用をいったん切り離して、それぞれの目的とコストをご自身で確かめてみることだと思います。投資にはリスクがあり、保険の見直しを含め、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

2026年6月14日 · 最終更新: 2026年6月15日 · HIKO

株主優待で選んだコナカは9年塩漬け、業績を見た巴工業は含み益+30%|優待株で確認する3つの数字

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第1回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で私が実際に保有している優待銘柄を、1記事1銘柄で紹介していく連載です。 「株主優待が魅力的だから、この株を買おう」 11年前の私はこの考え方で銘柄を選び、9年5ヶ月の塩漬けを経験しました。一方で、業績と配当方針を確認した上で保有している優待つきの銘柄は、含み益+30%で優待のワインも毎年届いています。 結論を先に書きます。優待だけを最初の理由に株を買うと、私のように失敗することがあります。優待は株を買う最初の判断材料ではなく、業績・財務で持ちたいと判断した会社の「最後のひと押し」にするべきでした。 この順番を逆にした私の失敗と、今うまくいっている保有銘柄の対比を、実際の数字で書きます。 平成時代を生きた30代・川崎市在住のHIKOです。投資歴11年・FP2級。2015年に年収300万円台でNISAを始め、コナカの塩漬けと青山商事の-310,960円を経験してきました。この記事は私の体験談と一般的なチェック観点の整理であり、特定銘柄の購入を勧めるものではありません。 ※当記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。 優待で選んだコナカ(7494):9年5ヶ月の塩漬け 2015年5月、人生で初めて買った単元株がスーツ専門店のコナカでした。738円×100株、投資額73,800円です。 選んだ理由は3つでした。 知っている会社だから安心 100株7万円台で買える 株主優待でスーツがお得に買える 業績や財務は一切調べていません。「優待だけ」というより「知名度・手頃さ・優待」の3点セットですが、共通しているのはどれも会社の中身を見ていないことです。 その後、株価は200〜400円台で長く推移し、9年5ヶ月そのまま塩漬けになりました。2024年11月、旧NISAの非課税期間終了にあわせてクロス取引(旧NISAで売却→同日に特定口座で買い戻し)を実施し、損益を整理した結果がこれです。 項目金額旧NISA売買の確定損(738円買い→247円売り)-49,100円旧NISA配当累計(16回・非課税)+16,000円特定口座スイング益(2020〜2021年)+2,190円特定口座配当+980円確定損益合計-29,930円 配当を9年受け取り続けても、株価下落をカバーできませんでした。しかも旧NISAの損失は損益通算ができないため、-49,100円は税制上「無かったこと」になります。買う理由の1つだった優待(コナカ・フタタ・SUIT SELECT等で使える20%割引券)自体は現在も継続していますが、株価が7割下がった損失を埋められるものではありませんでした。 このときの詳しい経緯は2015年のNISA個別株失敗談に書いています。 業績を見て保有している巴工業(6309):含み益+30%とワイン 一方、現在の保有銘柄に巴工業という会社があります。遠心分離機などの機械製造と化学工業製品の商社という2つの事業を持つ会社です。 2026年5月時点の私の保有状況はこうです。 項目数値保有株数300株取得単価1,369円評価額537,900円含み損益+127,200円(+30.97%) 優待は200株以上の保有でワイン1本が年1回届きます(600株以上で2本。基準日は毎年10月31日・継続1年以上の保有が条件。出典:巴工業「株主優待制度」 https://www.tomo-e.co.jp/ir/benefit.html )。私も実際に受け取っており、これは素直にうれしい優待です。 ただし、私がこの株を持ち続けている理由はワインではありません。業績と配当方針です。 売上・営業利益が右肩上がり 決算期売上高営業利益2020年10月期392億円23億円2021年10月期451億円28億円2022年10月期456億円33億円2023年10月期496億円40億円2024年10月期521億円47億円2025年10月期594億円54億円 出典:IR BANK 巴工業 業績推移( https://irbank.net/6309/results ) 5年で売上は約1.5倍、営業利益は2倍以上になっています。営業利益率も5%台から9%台へ改善しています。 配当も増えている 決算期年間1株配当2020年10月期48円2021年10月期50円2022年10月期53円2023年10月期110円2024年10月期145円 出典:IR BANK 巴工業 配当推移( https://irbank.net/6309/dividend )。なお2025年5月に1対3の株式分割を実施しているため、2025年10月期以降の1株配当額は上の表と単純比較できません。 会社は連結配当性向40%以上を目標に掲げており、実績もその水準で推移しています。優待を抜きにしても、配当と業績だけで保有の説明がつく。これがコナカとの一番の違いです。 念のため繰り返しますが、巴工業を買うことを勧めているわけではありません。株価は今後下がるかもしれませんし、優待も廃止されるかもしれません。「業績で説明できる株を持ち、優待はおまけ」という選び方の実例として挙げています。 同じ「優待株」でもここまで差がつく コナカと巴工業の損益比較 ¥-29930 コナカ(確定損益) ¥127200 巴工業(含み益) コナカは2024年11月クロス取引までの確定損益(配当込)、巴工業は2026年5月12日時点の含み益。投資額はコナカ73,800円・巴工業410,700円で異なります どちらも「優待のある株」です。違いは、買う前(あるいは持ち続ける判断のとき)に業績と配当を見たかどうかだけです。 私が優待株で見ている3つの数字 コナカの失敗と、JPX・JT・オリックスでの優待廃止経験(詳細は優待入門の記事に書きました)を経て、優待のある銘柄では次の3つの数字を確認するようになりました。これは一般的なチェック観点としても通用する内容だと思います。 ① 優待を抜いた配当利回り 優待相当額を含めた「総合利回り」ではなく、配当だけの利回りをまず見ます。 理由は単純で、優待はいつでも廃止されるからです。JT・オリックスのような人気優待でも「配当への一本化」を理由に廃止されました。優待が消えても配当だけで持つ理由が残るか。残らないなら、その銘柄は優待ありきの選択になっています。 ② 業績の方向(売上・営業利益・配当性向) 直近5年程度の売上高と営業利益が伸びているか、横ばいか、下がっているかを見ます。あわせて配当性向(利益のうち配当に回す割合)に無理がないかも確認します。配当性向が100%を超えているような会社は、利益以上の配当を出している状態で、減配や優待廃止が起きやすい構造です。 ...

2026年6月11日 · 最終更新: 2026年7月10日 · HIKO

収入保障保険はいらない?遺族年金から逆算する必要保障額の求め方【FPが判定】

「収入保障保険って、結局うちには必要なの?」 この疑問に、先に結論からお答えします。収入保障保険は、多くの独身の方や、お互いの収入で自立できている共働き世帯には不要です。一方で、子どもがいて世帯収入の大半を自分が担っている家庭では、必要になるケースがあります。 判断の軸は次の3つです。 遺族年金で足りない分だけ入る。それ以上は不要 独身の方、資産が十分にある方には不要 入るなら、必ず複数社の保険料を比較する 私は保険業界に10年身を置いたあとIT企業へ転職し、現在はFP2級の知識をベースに資産形成の情報を発信しています。この記事では「業界の中から見てきた立場」と「ひとりの生活者としての立場」の両方から、収入保障保険の判定基準と必要額の計算方法を解説します。 あなたに必要か、30秒で判定 まずは下のチャートで判定してください。当てはまった時点で、あなたの答えは出ています。 あなたの状況判定扶養家族がいない(独身など)不要。この記事はここで閉じてOKです共働きで、配偶者が自分の収入で生活を維持できる原則不要(不足額次第で少額のみ検討)金融資産が、遺族の生活費の不足分をカバーできる不要。保険より資産で備えられています子どもがいて、世帯収入の大半を自分が担っている要検討。この先を読んでください ポイントは「死亡保障は、困る人がいるときだけ必要」という一点です。誰も経済的に困らないなら、保険料はそのままNISAやiDeCoに回したほうが合理的です。 「要検討」に当てはまった方は、読み進める前に保険料の相場感だけ先に確認しておくと、このあとの判断が早くなります。収入保障保険は30代なら月2,000〜3,000円台から入れる商品です。 収入保障保険の仕組みと「割安」のカラクリ 収入保障保険は、契約者が亡くなった場合に、遺族が毎月のお給料のように保険金を受け取れる保険です。たとえば「月10万円を保険期間満了まで受け取る」という形ですね。 普通の定期保険(死亡時に一括で3,000万円など)と比べて、保険料が明らかに安い。ここで「安い=お得?それとも何か裏がある?」と疑問に思う方が多いのですが、カラクリはシンプルです。 保障の総額が、年々減っていくからです。 契約直後に亡くなれば「月10万円×残り25年=3,000万円」を受け取れますが、満了の5年前なら「月10万円×5年=600万円」。受け取り総額が時間とともに減る分、保険会社のリスクも減る。だから安いのです。 「保障が減るなんて損では?」と思うかもしれませんが、実はここが収入保障保険の最も合理的なところです。遺族に必要なお金も、子どもの成長とともに減っていくからです。子どもが5歳の家庭と、大学卒業間近の家庭では、残すべきお金がまったく違います。死亡保険金を3,000万円で固定する定期保険は、後半になるほど「保障の払い過ぎ」になりやすい。必要額の減り方に保障の減り方を合わせた収入保障保険のほうが、実態に合っている世帯は少なくありません。 業界にいた立場からひとつ付け加えると、営業の現場では、収入保障保険よりも保険料が高い商品が優先的に提案されるケースもあります。提案された商品が自分の必要額に合っているかは、勧められた側が自分で確認するしかありません。そのための計算方法を、後ほど実演します。 入る前に知っておきたいデメリット3つ 合理的な保険だと書きましたが、弱点がないわけではありません。「入ってから後悔した」とならないために、デメリットを先に押さえておきましょう。 ① 長生きリスクには対応できない 収入保障保険はあくまで死亡(および所定の高度障害)に備える掛け捨ての保険です。無事に満期を迎えれば、支払った保険料は戻りません。「老後資金が足りない」という長生き側のリスクには1円も役立たないのです。 死亡保障と老後資金準備は、混ぜずに分けて考えるのが原則です。老後資金はNISAやiDeCo・企業型DCで作る。収入保障保険に「貯蓄も兼ねた安心」を期待すると、目的がぶれて後悔のもとになります。 ② 解約返戻金がほぼない 保険料が安い理由のひとつは、解約返戻金をなくす(またはごくわずかにする)ことでコストを削っているからです。途中で解約しても、お金はほとんど戻りません。 これは「掛け捨てだから損」という話ではなく、割安な保険料はこの設計と引き換えだということです。逆に言えば、「途中でやめたら損だから」と必要以上に高い保障で契約してしまうと、見直しの身動きが取りにくくなります。最初から必要額ぴったりで入るのが大切です。 ③ 家族構成が変われば不要になる 収入保障保険の必要性は「自分の収入に依存する家族がいるか」で決まります。つまり、離婚した・子どもが独立した・配偶者の収入が増えたといった変化があれば、必要性そのものが消えたり大きく縮んだりします。 独身に戻ったのに保険料を払い続けている、というのは典型的なムダです。ライフイベントのたびに「この保障、まだ要るか?」を見直す前提で付き合う保険だと理解しておいてください。 この3つを踏まえたうえで、それでも「子どもが独立するまでの死亡保障」が必要な世帯にとっては、収入保障保険は候補になります。では、いくら必要なのか。次章で計算します。 必要額はいくら?モデルケースで計算 モデルケース:35歳会社員(年収600万円)、配偶者(パート年収100万円)、子ども5歳の3人世帯 先に結果からお見せします。 項目金額(月額)遺族に必要な生活費約22万円遺族年金(公的保障)約14万円不足額約8万円 → このケースでは、「月額8万円・保障期間は子どもが独立する22歳まで(17年間)」の収入保障保険が目安になります。 では、なぜこの数字になるのか。順番に分解します。 ステップ1:遺族年金がいくら出るかを知る 会社員が亡くなった場合、18歳年度末までの子がいる配偶者には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2階建てで年金が支給されます。 遺族基礎年金(2026年度・令和8年4月分からの価額) 基本額:847,300円/年 子の加算(1人目・2人目):各243,800円/年 ※金額は日本年金機構の公表値(昭和31年4月2日以後生まれの場合)です。 モデルケース(子1人)では、847,300円+243,800円=1,091,100円/年(月約9.1万円)。 遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3です。概算式は次のとおり。 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数 × 3/4 ※加入月数が300月未満の場合は300月とみなして計算 年収600万円(平均標準報酬額50万円)なら、500,000円 × 5.481/1000 × 300月 × 3/4 ≒ 約61.7万円/年(月約5.1万円)。 ...

2026年6月9日 · 最終更新: 2026年6月10日 · HIKO

UR賃貸の家賃値上げは断れる?借地借家法との関係をわかりやすく解説

「UR賃貸は公的住宅だから家賃は上がらない」——そう思っている人は多いのではないでしょうか。礼金・仲介手数料・更新料・保証人がいらないUR賃貸は、長く住むほどお得に感じられる住まいです。 ですが結論から言うと、UR賃貸でも家賃は値上げされることがあります。そして「公的だから借地借家法は関係ない」というのも誤解です。 先に「断れるのか」への答えを言うと、借主に即時の応諾義務はなく、納得できなければ協議・調停・訴訟で争えるというのが正確なところです(詳しくは後半で解説します)。この記事では、UR賃貸の家賃改定の仕組みと、私たち入居者を守る借地借家法の関係を、UR入居中の30代会社員の目線で整理してみます。 UR賃貸にも借地借家法は適用される まず押さえておきたいのが、UR(独立行政法人都市再生機構)の賃貸住宅であっても、入居者との関係は通常の建物賃貸借契約だということです。したがって、賃貸借契約の基本法である借地借家法がそのまま適用されます。 借地借家法の第32条には「借賃増減請求権」という規定があります。これは、家賃が次の事情で不相当になったとき、貸主・借主のどちらからでも将来に向かって家賃の増額・減額を請求できるという権利です。 土地・建物に対する税金など、負担の増減があったとき 土地・建物の価格の上昇・低下など、経済事情が変動したとき 周辺の似た物件(近傍同種)の家賃と比べて不相当になったとき つまり貸主であるURからは「値上げ請求」が、入居者からは「値下げ請求」ができる、という双方向の仕組みです。 URの「継続家賃改定ルール」とは では、UR独自のルールはどうなっているのでしょうか。UR賃貸住宅の家賃は法律上、近傍同種の住宅の家賃を基準に決めることとされています。そして住んでいる人の家賃(継続家賃)の見直しは、居住者代表を含む有識者でつくる諮問機関がまとめた**「継続家賃改定ルール」**に沿って行われます(UR都市機構「継続家賃の改定について」)。 ポイントは次のとおりです。 改定は、入居時期などに応じて定められた見直しの時期に行われる 改定前の継続家賃と近傍同種家賃との間に、5%を超える乖離がある住宅が対象 直近の家賃変更日(変更がなければ入居日)から2年に満たない住宅は対象外 ここが重要で、入居してまだ2年経っていない場合は、そもそも値上げの対象になりません。また、引き上げ対象になる世帯のうち、低所得の高齢者世帯や子育て世帯などには、改定後の家賃を原則として改定前と同額に据え置く特別措置も用意されています。年金生活で住民税非課税の世帯や、子どもがいる世帯は守られやすい仕組みになっているわけです。 実際にURで値上げされた事例はある 「ルールがあるのはわかったけど、実際に上がった例はあるの?」という疑問もあるでしょう。あります。 たとえば2014年度には、市場家賃より低い住戸を対象に継続家賃改定が実施されました。このときは消費税率引き上げと重なったため、引き上げ分について一定期間の免除措置が取られましたが、値上げ自体は実施されています。継続して住んでいる人でも、数百円〜千円規模の小幅な改定はあり得るということです。 そして近年話題になったのが、定期借家契約の住戸で、契約満了時に大幅な家賃の引き上げが提示され、退去する住民も出たと報じられたケースです。「安心して長く住める」というUR住宅のイメージに、疑問の声が上がった出来事でした。これは次に説明する契約形態の違いが背景にあります。 「普通借家」か「定期借家」かが分かれ目 この事例で注目すべきは、契約形態の違いです。 一般的なUR賃貸の多くは普通借家契約(自動更新・更新料なし)で、この場合は前述の継続家賃改定ルールが適用され、値上げがあっても小幅にとどまります。一方、定期借家契約は契約期間の満了で一度終了し、再契約時にほぼ市場家賃の新条件が提示されます。継続家賃の「緩やかな改定」ではなく、一気に相場水準まで跳ね上がる可能性があるのです。 ですから、自分の契約がどちらなのかを確認しておくことが、想定すべきリスクを知るうえで欠かせません。 UR家賃値上げの対象になるか、3ステップで確認する ここまでの内容を組み合わせると、「自分の部屋が家賃改定の対象になり得るか」は入居中でも自分で確認できます。値上げ通知が来てから慌てて調べるより、落ち着いているうちに一度やっておくのがおすすめです。 ステップ1:契約書で「普通借家」か「定期借家」かを確認する 賃貸借契約書の契約形態の欄を見ます。前述のとおり、普通借家なら小幅な改定にとどまりやすく、定期借家なら満了時に市場家賃水準が提示される可能性を想定しておきます。 ステップ2:直近の家賃変更日(または入居日)から2年経っているか数える 直近の家賃変更日(変更がなければ入居日)から2年未満なら、そもそも改定の対象外です。 ステップ3:周辺の似た物件(近傍同種)の相場と自分の家賃を比べる 改定対象は継続家賃と近傍同種家賃の乖離が5%を超える住宅です。周辺相場より自分の家賃が5%超安ければ将来の改定対象になり得ますし、相場と同水準なら大きな値上げは起きにくいと見込めます。 この3ステップで「上がるとしたらどの程度か」の見当がつけば、通知が来たときも冷静に内容を確認できます。 では、値上げは「断れる」のか 最後に本題です。値上げを断れるのか。 借地借家法32条は借主保護の強い規定で、借主による減額請求権を排除する特約は無効とされています。一方で増額については、一定期間は増額しないという特約が有効とされる余地があります。いずれにせよ、貸主が一方的に主張すれば値上げが自動的に通るわけではなく、「不相当」かどうかは周辺相場・経済事情・税負担の増減といった客観的な事情に基づいて判断されます。主観だけでは認められません。 大切なのは、借主は増額請求に直ちに応じる義務はないという点です。貸主と借主の意見が合わない間は、借主は自分が相当と考える額(通常はこれまでの家賃)を払い続けることができます。家賃をきちんと払い続けていれば、正当な事由なく契約が終了することはありません。 そして話し合いがまとまらなければ、原則としてまず調停を申し立て、それでも決まらなければ訴訟となり、最終的には裁判所が妥当な家賃額を判断します。 つまり「URだから絶対に断れない」のではなく、納得できなければ協議→調停→訴訟という法的な道筋があり、その間に一方的な退去を迫られるわけではない、というのが正確な答えです。ただし現実には、URは周辺相場より割安なケースが多く、争うコストと見込みを天秤にかける必要があります。近傍同種家賃との比較で値上げの合理性が認められやすい局面もあります。 値上げを拒否したら、その後どうなる? 「拒否したら追い出されるのでは」と不安に感じる人もいるかもしれませんが、前述のとおり、同意しないあいだも従来の家賃を払い続けている限り、正当な事由なく契約を解除されることはありません。 問題になるのは、貸主側が「増額後の家賃でなければ受け取らない」と受領を拒むケースです。この場合でも、借主は従来の家賃額を法務局に供託することで支払ったのと同じ扱いになり、家賃滞納にはあたりません(民法494条以下の供託制度)。「受け取ってもらえないから払えず滞納扱いになる」という事態は、制度上は避けられる仕組みになっています。 供託や協議を経てもまとまらなければ調停・訴訟に進みますが、いきなり退去や強制執行になるわけではありません。通知が来ても署名を急がず、まずは改定理由と近傍同種家賃の根拠をURの窓口に確認するところから始めるのが現実的です。 値上げされても住み続けた方が得なケースが多い 値上げ通知が来ると「いっそ引っ越したほうがいいのでは」と考えたくなりますが、金額を並べてみると、住み続けたほうが家計の負担は軽く済むケースが多いのが実際のところです。 理由は大きく2つあります。ひとつは、そもそもUR賃貸は近傍同種の相場より割安に設定されていることが多く、継続家賃改定ルールに沿った小幅な値上げがあっても、改定後の家賃が周辺相場をなお下回っているケースが少なくないことです。もうひとつは、住み替えそのものに、家賃差とは別の一時費用が重くのしかかることです。 一般的な住み替えでは、たとえば次のような費用がかかります。 新居の初期費用(礼金・仲介手数料・敷金・鍵交換・保証会社利用料など、民間物件なら家賃の数ヶ月分になることも珍しくありません) 引越業者への費用(時期や距離、荷物量で変わりますが、数万円〜十数万円が目安です) 新居と現在の家賃差(間取りや築年数の条件をそろえると、相場水準の民間物件は今より高くなることが多くあります) 仮に値上げ額が月1,000円だったとすると、年間の増加は12,000円です。一方、住み替えにかかる初期費用と引越費用の合計が数十万円規模になれば、その差を埋めるのに何年もかかる計算になります。さらに引っ越し先の家賃が今より高ければ、負担はむしろ増えてしまいます。 もちろん通勤やライフスタイルの変化で住み替えが必要になる場面はありますし、値上げ幅が大きい定期借家の再契約では話が変わってきます。ただ、普通借家の小幅な改定に限って言えば、「値上げ額」と「住み替えにかかる総コスト」を並べて比べてみると、住み続けたほうが結果的に負担が軽く収まることが多い、という点は押さえておいて損はありません。 値上げ通知後に住み替えを検討して見送る人が多い理由 実際、値上げ通知をきっかけに住み替えを検討し始めても、最終的には「やっぱり今の部屋に住み続ける」という判断に落ち着く人が多いと言われます。物件を探し始めてから、次のような壁に気づくパターンです。 まず、同じ家賃帯で探すと部屋が狭くなりがちです。UR賃貸は同条件の民間物件と比べて専有面積に余裕があることが多く、いざ引っ越し先を探すと「今より狭くなるのに家賃は変わらない、あるいは高くなる」という現実に直面したという声は少なくありません。 次に、家賃が思ったより高くつくことです。ネットで見た家賃だけを比べて安いと感じても、礼金・仲介手数料・更新料といったUR賃貸にはない費用まで含めて計算し直すと、トータルでは割高になっていた、と気づく人も多いようです。 こうして「探せば探すほど、今の部屋の条件の良さが分かった」という理由で、値上げを受け入れて住み続ける選択をする人が多いわけです。値上げ通知が来たときは、感情的に引っ越しへ動く前に、まず住み替えの総コストと新居の条件を具体的に見積もってみることが、後悔しない判断につながります。 よくある疑問(Q&A) URから家賃値上げの通知が来たらどうすればいい? 増額に直ちに同意する義務はないので、慌てて署名せず順に確認しましょう。(1)通知内容(新家賃・改定理由・適用時期)(2)自分の契約が普通借家か定期借家か(3)周辺の家賃相場と比べて提示額が不相当でないか、を確認し、納得できなければURの窓口や専門機関に相談すれば十分です。 URに家賃の値下げを請求できる? できます。借地借家法32条は増額だけでなく減額請求も認めています。周辺相場の下落や経済事情の変化で、現在の家賃が近傍同種家賃より高すぎると考えられる場合は、借主からURへ減額を請求できます。合意できなければ調停・訴訟で判断される流れです。 UR賃貸の家賃値上げは、いくら上がる? 契約形態によって幅が大きく変わります。普通借家の継続家賃改定は数百円〜千円規模の小幅な見直しが一般的ですが、定期借家の再契約ではほぼ市場家賃が提示され、エリアによっては月数千円〜1万円以上になることもあります。まず自分の契約形態と近傍同種家賃との差を確認するのが出発点です。 UR賃貸で家賃が「上がらない」のはどんな場合? 前述の継続家賃改定ルール(普通借家)では、そもそも改定対象にならない住戸が多いためです。具体的には、直近の家賃変更日から2年未満、継続家賃と近傍同種家賃の乖離が5%以内、といったケースが対象外です。逆に、相場より大きく割安なまま2年以上住む普通借家や、契約満了を迎える定期借家では、値上げの可能性を想定しておくとよいでしょう。 UR入居中の私の受け止め 私自身も都市部のUR賃貸に住んでいます。礼金・更新料・仲介手数料がかからない構造に魅力を感じて選んだ住まいですが、「公的だから一生家賃は上がらない」とは考えていません。借地借家法32条と継続家賃改定ルールを一度自分で読んでみて、「普通借家なら大幅な値上げは起きにくいが、ゼロではない」と理解できたことで、かえって安心して住めるようになりました。 家賃は家計における最大級の固定費です。値上げ通知が来てから慌てるより、入居中の今のうちに自分の契約形態と周辺相場を把握しておくことが、いちばんの備えだと感じています。 ...

2026年6月7日 · 最終更新: 2026年7月14日 · HIKO

ビジネスブレイン太田昭和(9658)を9年持ったら取得単価利回りが12%になりました

SNSで「年間配当金300万円達成」という投稿を見ると、多くの人がこう逆算します。 「配当利回り4%として、元本は7,500万円か。すごいな」と。 私自身も、配当300万円の人を見るたびに「元本7,500万円か…」と勝手に計算していました。でも、自分の保有株の数字を改めて見直したとき、この逆算は長期で持っている人にはまったく当てはまらないと気づきました。 きっかけは、私が9年前に買って、いまも持ち続けている1つの株でした。 配当利回りは「今の株価」に対する数字でしかない 配当利回りは、こう計算します。 配当利回り(%)= 1株あたり配当金 ÷ 今の株価 × 100 ここで大事なのは、分母が「今の株価」だということです。 たとえば配当が1株50円の株があったとして、今の株価が1,000円なら利回りは5%です。でも同じ会社の株を、株価400円のときに買っていた人にとっては、50 ÷ 400 で利回り12.5%ということになります。 同じ会社の、同じ配当金です。なのに、利回りはまるで違う。 何が違うかというと、買ったときの株価が違うだけです。 つまり「配当利回り4%」というのは、今この瞬間に買う人にとっての数字であって、もう何年も前に安く買って持っている人には当てはまりません。 YOC(取得単価ベース利回り)という考え方 この「買ったときの株価で計算した利回り」を、英語でYield on Cost(イールド・オン・コスト)、略してYOCと呼びます。日本語にすると取得単価ベースの利回りです。 一般的な配当利回り … 1株配当 ÷ 今の株価 YOC … 1株配当 ÷ 自分が買ったときの株価 長期で配当株を持っていると、この2つの数字はどんどん離れていきます。 理由は2つあります。 株価が上がると、後から買う人の利回り(今の株価ベース)は下がるが、安く買った自分のYOCは変わらない 増配が続くと、分子の配当そのものが増えていくので、自分のYOCはさらに上がっていく 時間をかけて持っているほど、自分だけ高い利回りで配当を受け取れる状態になっていく、ということです。 もちろん、これは万能の話ではありません。増配が止まったり、減配したりすればYOCは育ちません。株価が買値を下回ったまま戻らないこともあります。YOCが勝手に育つのは、あくまで「増配が続き、株価も大きく崩れなかった」場合に限る、という前提は最初に押さえておいてください(私自身の失敗例は後半で正直に書きます)。 実例:9年かけて、私のYOCは12%近くまで育った 抽象論だけだとピンと来ないので、私の保有株で説明します。私はビジネスブレイン太田昭和(9658)を、いまは600株持っています。平均取得単価は約385円です。 なお、ビジネスブレイン太田昭和は、会計や経営の分野に強いシステム会社です。企業向けの会計システムやERP、人事給与などの業務システムの開発・運用、経営や会計まわりのコンサルティングを手がけており、東証プライムに上場しています(コードの9658はこの会社を指します)。社名の「太田昭和」は、設立当時に出資元だった監査法人の名前に由来していますが、現在は資本関係はありません。ここでは「どんな会社か」のイメージだけ共有しておきます。 ただ、最初から600株を385円で買えたわけではありません。実際は9年かけて、買って・売って・また買って、その間に2回の株式分割をはさんでいます。きれいな話ではないので、正直に経緯を書きます。 2017年3月:最初に100株を1,045円で購入 2020年7月:1株が2株になる株式分割(保有100株 → 200株に) 2020年9月:そのうち100株を1,400円で売却(残り100株) 2024年9月:もう一度100株を1,785円ほどで買い増し(合計200株) 2026年4月:1株が3株になる株式分割(保有200株 → 600株に) この結果、いまの平均取得単価は分割後ベースで約385円に下がりました。途中で一度利益確定の売却をしたこと、2回の分割で株数が増えたこと、この2つが効いて、自分の取得単価がどんどん下がっていったわけです。 ここで利回りを2通りで見てみます。 計算の分母ざっくりの利回りこれから買う人今の株価(約1,025円)4.6%前後私(取得単価ベース=YOC)約385円約12% 楽天証券の私の保有画面(取引明細)より。2017年の買付から、途中の売却と2回の株式分割を経て、平均取得単価が385円まで下がっていることが確認できます 直近の予想1株配当(分割後)はおよそ47円です。これを今の株価で割ると利回りは4.6%前後ですが、私の取得単価385円で割ると、47 ÷ 385 で約12%になります。 同じ株・同じ配当でも利回りはこんなに違う(9658) 4.6% 今から買う人 12% 私のYOC 1株配当47円(分割後・予想)を、現在の株価約1,025円で割ると4.6%前後、私の取得単価385円で割ると約12%。同じ配当でも、買ったときの株価で利回りはまったく変わります(数字は私の取得単価・取引の事実を示す例であり、銘柄推奨ではありません)。 同じ株の、同じ配当を受け取っているのに、今から買う人の利回りは4.6%前後、私の取得単価ベースだと12%近くです。 ...

2026年6月4日 · 最終更新: 2026年6月18日 · HIKO