30代の転職は「職種を変えず業界を変える」が正解だった|保険業界10年→IT企業の実体験

新卒から約10年、保険業界で働きました。営業ではなく内勤の立場です。30代半ばでIT企業に移りましたが、職種は変えていません。今も同じ仕事をしています。 「30代の転職」と検索すると、異業種にチャレンジするか、同業他社で年収を上げるか、という二択で語られがちです。でも実際に動いてみて一番腹落ちしたのは、業界と職種、変えるのは片方だけで十分ということでした。その実感を正直に書きます。 30代の転職は「業界」か「職種」か、片方だけ変える 転職には、変えられる軸が2つあります。業界と職種です。 両方いっぺんに変えると、面接で語れる実績がほぼゼロになります。「未経験ですが頑張ります」は20代までのカードで、30代がこれを出すと年収が大きく下がります。逆に両方とも変えないと、それは転職というより配置換えに近く、環境の閉塞感は解消されません。 私が選んだのは職種を固定して業界だけ変えるやり方でした。職種はそのまま、保険業界からIT業界へ移った形です。 この選び方の何がよかったかというと、職務経歴書が書けたことです。「この職種で何年、何をやってきたか」が一本の線でつながっているので、業界が変わっても実績の説明が破綻しません。逆に職種を変えていたら、10年分の経験の大半が説明できない持ち物になっていたはずです。 保険業界10年で身につき、IT企業でも通用したこと 異業界に移って実際に評価されたのは、専門知識ではなく次の2つでした。 英語で仕事を回した経験 保険業界時代、英語を使う仕事をしていた時期がありました。当時は「この分野の知識は潰しが効かない」と思っていましたが、実際に評価されたのは英語で対外的な文書を作り、時差のある相手と調整を回した経験そのものでした。中身の専門性ではなく、進め方が評価されたということです。 6名規模のチームを回した経験 複数人のチームで案件を運営していました。30代の転職では、自分ひとりで何ができるかより、人を巻き込んで何を動かしたかのほうが強く効きます。ここは業界と完全に無関係でした。 逆に、業界の専門知識は1ミリも評価されなかった これが一番大きな学びでした。 10年かけて覚えた業界固有の知識、制度、用語、業界内の力学。業界を出た瞬間に、ほぼ価値がゼロになります。面接で聞かれたのは「保険業界で何を知っているか」ではなく、「その環境で何をどう動かしたか」だけでした。 つまり、持ち運べるのは知識ではなくやり方です。 これは転職しない人にとっても効く話だと思っています。今の会社で身につけているものが「その会社でしか通じない知識」なのか「どこでも通じるやり方」なのかを一度切り分けてみると、自分の市場価値の輪郭が見えます。前者ばかり増えている状態は、居心地はよくても資産にはなっていません。 30代の転職で年収はどうなったか 結論から言うと、上がりました。 ただし、これを「30代で転職すれば年収は上がる」と一般化するつもりはありません。上がった理由ははっきりしていて、業界ごとの給与水準の差です。同じ職種でも、業界が違えば相場が違います。私は自分の職種の市場価格が高いほうの業界に移動しただけで、能力が上がったから年収が上がったわけではありません。 ここが「職種を変えない転職」の一番わかりやすいメリットです。職種を固定すると、業界間の給与水準の差がそのまま年収差として乗ってきます。逆に職種まで変えると、未経験スタートの分がマイナスに効いて、業界差のプラスを打ち消してしまいます。 一方で、転職して初めて気づいたコストもあります。退職金や企業年金の扱いが変わることです。私自身は転職後に企業型DC(確定拠出年金)に加入していますが、この制度は転職のたびに手続きが発生します。年収の上げ幅だけを見て動くと、ここを見落とします。 あわせて読みたい:企業型DCって何?転職したら損しない?30代が知っておくべき全知識 転職活動で使ったのはビズリーチだけ 転職サービスをいくつも並行して使う人もいますが、私が使ったのはビズリーチだけです。 理由は単純で、スカウト型のほうが自分の市場価値がわかりやすかったからです。職務経歴書を書いて置いておくと、どういう業界の、どういうポジションから声がかかるかが見えます。これは求人サイトを自分で検索していても絶対にわからない情報でした。 実際、私は「保険業界の中でしか通用しない人間だ」と思い込んでいました。それが崩れたのは、まったく違う業界の企業から、同じ職種で声がかかったときです。自分の値札は自分では見えません。 なお、転職サービスは登録した時点で転職が確定するものではありません。職務経歴書を書いて置いてみるだけでも、自分の経歴の穴が見えるという意味で価値があります。私も最初に書いた職務経歴書は、実績の数字がひとつも入っておらず、後から全面的に書き直しました。 職務経歴書は「数字が入っているか」だけ見る 30代の職務経歴書で決定的に差がつくのは、実績が数値化されているかどうかです。 弱い例:「幅広い業務を担当しました」 強い例:「年間◯件の案件を担当し、◯名のチームで運営」 業界が変わっても、数字は共通言語として伝わります。私自身、最初の職務経歴書には数字がゼロで、これでは何ができる人間なのかまったく伝わらない状態でした。営業職ではなく数字が出しにくい仕事でも、「何人規模の案件を回したか」「年間で何件対応したか」なら書けます。 副業は「転職より簡単」ではありません 収入を増やす手段として副業もありますが、こちらは正直に書きます。私の副業はこのブログで、収益はほぼゼロです。 始めて3ヶ月ほど経ちますが、広告審査には2回落ちました。アクセスも1日あたり十数人という規模です。「月10万円稼げる副業」といった記事をよく見かけますが、少なくとも私が実際に手を動かした範囲では、副業で安定収入を作るのは本業と同じかそれ以上の労力がかかります。 それでも続けているのは、収入というより自分の経験を言語化する訓練になっているからです。ただ、家計の不安を解消する手段として副業を第一手に選ぶのは、私の実感としては遠回りです。30代なら、まず本業の市場価値を確認するほうが確実に早いと思っています。 副業を始める場合の実務的な注意点は2つだけ押さえてください。 就業規則の確認:副業禁止規定に違反すると懲戒のリスクがあります 住民税の納付方法:副業所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。住民税を「自分で納付(普通徴収)」にしないと、勤務先に副業収入が伝わることがあります 30代の転職で失敗しないための3つの前提 職種そのまま業界を変える 給与水準の差がそのまま乗る 実績が説明できる ★★★★★ 業界そのまま職種を変える 社内異動で試せる 年収は据え置きになりやすい ★★★☆☆ 業界も職種も変える 大きく環境が変わる 30代は年収ダウンの覚悟が要る ★★☆☆☆ そのうえで、私が実際にやってよかったこと・やらずに後悔しかけたことを3つ挙げます。 1. 在職中に動く 転職活動は在職中が鉄則です。辞めてから動くと、資金と精神の両面で追い詰められ、条件を妥協しやすくなります。 2. 職務経歴書を先に書く 求人を探す前に書きます。書いてみると、自分の10年に何が積み上がっていて何が積み上がっていないかが可視化されます。これは転職しない場合でも役に立ちます。 3. 年収の額面だけで判断しない 企業年金、退職金制度、持株会、健康保険など、額面に出てこない部分で条件は変わります。私は転職後、給与から積み立てる形の企業型DCに加入しています。この手の制度は入社してから初めて詳細を知ることも多いので、可能なら選考の段階で確認しておくべきでした。 あわせて読みたい:健康保険組合と協会けんぽの違い|転職前に確認したい付加給付・保険料率をFP2級が試算 あわせて読みたい:自社持株会は危険?2年やって分かったメリットとやめる基準 まとめ 30代の転職は、業界と職種のどちらか片方だけを変えるのが現実的 職種を固定して業界を変えると、業界ごとの給与水準の差がそのまま年収に乗る 業界を出ると、業界固有の知識はほぼ価値がなくなる。持ち運べるのは知識ではなくやり方 職務経歴書は数字が入っているかがすべて。転職しなくても書く価値がある 副業は本業以上に時間がかかる。収入を増やしたいなら、まず本業の市場価値の確認が先 お金の不安は、節約だけでは頭打ちになります。収入側を動かす選択肢を持っておくことが、30代の家計にとっては一番効きます。 あわせて読みたい 手取りが少ないと感じた原因は家賃だった|手取り35万・貯金ゼロ→月5万改善した話 固定費を下げる方法|まず見直すべき3つと優先順位【30代会社員が解説】 HIKO 保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー 保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。 保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり

2026年7月25日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

健康保険組合と協会けんぽの違い|転職前に確認したい付加給付・保険料率をFP2級が試算

保険業界10年を経てIT企業に転職した、平成時代を生きた30代のHIKO(FP2級)です。 転職のとき、年収・仕事内容・勤務地は当然のように比較しました。でも「転職先がどの健康保険に入るのか」は、まったく見ていませんでした。 加入する健康保険が変わるだけで、同じ年収でも毎月の手取りが変わり、いざ入院したときの自己負担額も変わります。しかもその条件は、求人票にはまず書かれていません。 この記事では、健康保険組合と協会けんぽの違いを「転職前に確認する材料」として整理します。実際に何円くらい変わるのかを、公的データで試算しました。 結論:違いは3点、差は年数万円です 先に結論です。見るべきポイントは3つだけです。 保険料率 — 健保組合は自分たちで料率を決められます。協会けんぽ(令和8年度・全国平均9.90%)より低い組合が多数です 会社と本人の負担割合 — 健保組合は規約で会社側の負担を折半より増やせます。求人票にも健保サイトのトップにも出てきません 付加給付の有無 — 法定の高額療養費に上乗せする、その組合独自の給付です 1と2は毎月の手取りに、3は入院・手術をしたときの自己負担に効きます。後述の試算では、標準報酬月額41万円のケースで年間の本人負担が最大約6万円変わりました。 ただし、これだけで転職先を決める話ではありません。健保の条件は「年収も仕事内容も甲乙つけがたい2社で迷ったとき」に効くタイブレークの材料です。 健康保険組合と協会けんぽの違い|制度の骨格を3分で 会社員が入る健康保険は、大きく2種類あります。 協会けんぽ健康保険組合運営全国健康保険協会企業・業界団体が設立した組合保険料率都道府県ごとに決定各組合が3%〜13%の範囲で決定本人の負担割合労使折半(原則5割)規約で会社側を5割超にできる付加給付なし規約で設けられる(任意)健診・保養補助組合により差が大きい組合により差が大きい 根拠は健康保険法にあります。保険料は本人と事業主が半分ずつ負担するのが原則ですが(161条1項)、健康保険組合は規約で会社側の負担割合を増やすことが認められています(162条)。付加給付も、規約で定めれば実施できます(53条)。料率を3%〜13%の範囲で自ら決められるのも法律上の仕組みです(160条13項)。 つまり健保組合とは、**制度上「上乗せができる余地を持った保険者」**です。その余地をどこまで使っているかは、組合ごとにまったく違います。 健康保険組合と協会けんぽの違いで手取りは年いくら変わるか 数字にしてみます。前提を先に置きます。 標準報酬月額41万円(健保連集計の平均標準報酬月額41万6,078円に近い水準) 健康保険料率のみで比較。介護保険料率(40歳以上)と厚生年金、賞与分は除外 協会けんぽは神奈川県の令和8年度料率9.92%(労使折半) 健保組合は令和8年度の平均保険料率9.32%を使用 計算式は「標準報酬月額 × 保険料率 × 本人の負担割合」です。 ケース本人負担率月額(本人)年額(本人)協会けんぽ 9.92%・折半4.96%20,336円244,032円健保組合 9.32%・折半4.66%19,106円229,272円健保組合 9.32%・本人4割3.728%15,285円約183,400円 健康保険料(本人負担・年額)の比較 244032円 協会けんぽ 9.92%折半 229272円 健保組合 9.32%折半 183418円 健保組合 9.32%本人4割 標準報酬月額41万円・健康保険料率のみ・介護保険料率と賞与分は含まない試算 料率だけの差(折半どうしの比較)で年14,760円。ここに会社側の負担割合の上乗せがある組合だと、協会けんぽとの差は年約6万円になります。賞与にも同じ率がかかるので、実際の差はもう少し広がります。 注意点もあります。 健保組合が常に有利とは限りません。健保連の集計では、協会けんぽ平均料率9.90%以上の健保組合が376組合あり、これは全体の約3割にあたります。「健保組合だから安い」ではなく「その組合が安いかどうか」を見る必要があります。 出典:健康保険組合連合会「令和8年度 健康保険組合予算編成状況ー早期集計結果(概要)についてー」(2026年4月28日)/全国健康保険協会「令和8年度保険料率」(いずれも2026年7月確認) 給与明細の天引き全体を整理したい方は、新社会人の給与明細『8割しか手取りない問題』もあわせてご覧ください。 健保組合の付加給付とは|自己負担が頭打ちになる仕組み ここが、私が「もっと早く知っておけばよかった」と思っている部分です。 高額療養費制度は、公的医療保険に共通の制度です。ひと月の自己負担が一定額を超えたら、超えた分が戻ってきます。標準報酬月額28万〜50万円の区分だと、現行の上限は「80,100円+(総医療費−267,000円)×1%」です。 付加給付は、この法定給付にさらに上乗せする健保組合独自の給付です。一例として、私が加入している健保組合は、同一人・同一月・同一の医療機関で支払額が20,000円を超えた分を支給する設計になっています(100円未満は切り捨て、1,000円未満は不支給。差額ベッド代や入院時の食事代は対象外)。 医療費(10割)100万円の入院を1回した場合で比べます。 ...

2026年7月25日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

投資10年超で気づいた「資産管理が必要になるタイミング」

投資を始めて10年超、気づけば保有銘柄は約80、評価額は約2,200万円になりました。含み益は+380万円ほどです。 でも、最初からこんな管理をしていたわけではありません。むしろ投資を始めた頃の私は、「資産管理」という言葉すら必要としていませんでした。銘柄がひとつしかなければ、管理も何もないからです。 この記事は、資産管理アプリの紹介記事ではありません。投資家として10年超かけて、不要だったものが少しずつ必要になっていった、その過程の記録です。同じように保有が増えてきた方が、「自分にもそろそろ必要かな」を判断する材料になればと思います。 ※本文の後半に、私が使っているサービスへのアフィリエイトリンク(PR)を含みます。 最初の個別株コナカを買った頃は、資産管理なんて必要なかった 私が初めて買った個別株は、紳士服のコナカ(7494)でした。2015年、738円で100株。旧NISAが始まったばかりの頃です。 当時の私は、管理も何もありませんでした。持っている株は1銘柄だけ。証券口座にログインすれば、その1行がすべてでした。値動きを見るのも一瞬です。 そのコナカは、結局9年以上塩漬けになりました。取得時の738円を基準にすれば、今も含み損を抱えたままです。ほめられた投資ではありません。 ただ、この失敗を「1銘柄だけ持っていた時代」の象徴として振り返ると、あることに気づきます。銘柄が1つしかない時期は、管理の必要が一切なかったのです。エクセルもアプリも、当時の私にはまったく無縁でした。 投資10年超で、管理する対象はこう増えていった そこから11年、管理する対象は少しずつ増えていきました。時系列で並べると、こんな流れです。 最初は特定口座に個別株が数銘柄 旧NISAで高配当株や投信を買い足す 新NISA(成長投資枠・つみたて投資枠)が加わる IT企業に移って企業型DCが始まる(S&P500インデックスで運用) 自社の持株会が別の証券口座に積み上がる 地域の偏りが気になって海外ETF(SPYM・HYG)を少額持つ 気づけば、資産が置かれている「場所」だけで5つ以上に分かれていました。楽天証券のなかでも特定口座・NISA成長投資枠・旧NISAと区画が分かれ、そこに企業型DC、持株会が別口座で乗っている状態です。 銘柄数も、1つだったものが約80になりました。一つひとつは大きな金額ではありませんが、「今、全部でいくらあるのか」を答えるのが、だんだん難しくなっていったのです。 これは投資が下手になったからではありません。むしろ逆で、続けてきた結果として、管理すべき対象が増えたのだと思っています。 約80銘柄をどう管理しているか|昔の手作業と今のビフォーアフター いちばん変わったのは、「資産全体を把握する手間」です。ここは昔と今で落差が大きいので、少していねいに書きます。 昔:口座を1つずつ開いて、エクセルに転記していた 口座が分かれ始めた頃、私は資産の合計を出すのに、毎回こんな手順を踏んでいました。 楽天証券にログインして、特定口座・NISA口座の評価額を見る 別のタブで企業型DCの運営サイトを開き、評価額を確認する 自社の持株会の口座を開いて、残高を確認する 海外ETFのドル建て評価額を、その日のレートで円に直す これらをエクセルに手で書き写す 電卓で合計し、先月との差を見る 一度やるだけで15分から20分はかかりました。しかも、ログインするIDもパスワードもバラバラです。「今いくら持っているか」を知りたいだけなのに、ちょっとした作業になっていました。だから毎月はやらず、気が向いたときだけ。結果として、自分の資産の全体像をしばらく把握していない、という月もありました。 今:アプリを開くと、数十秒で全体が出ている 今は、資産管理アプリを開くだけです。銀行・証券・企業型DC・持株会・クレジットカードまで、連携した口座がすべて自動で合算され、資産総額が1画面に出ています。先月比も、資産の内訳も、開いた瞬間に見えます。かかる時間は数十秒です。 手順所要時間昔証券口座→DCサイト→持株会→ETF→Excel→電卓15〜20分今資産管理アプリを開く数十秒 昔の15〜20分の手作業が、数十秒になった。この落差そのものが、私が資産管理を語りたい理由でもあります。 そしてここが本題なのですが——保有が増えるほど、一元管理の効きは大きくなる、ということです。1銘柄・1口座のときはアプリなど不要でした。でも80銘柄・5口座になると、手作業では現実的に追いきれません。管理の道具は、資産が増えたあとから効いてくるのです。 余談ですが、先日、楽天証券にログインしようとしたらメンテナンス中で、その口座単体の数字はその場で見られませんでした。特定の1口座に全部を頼っていると、こういうときに全体像が止まります。複数の場所に資産が散っているなら、横断してまとめて見られる状態にしておくほうが、気持ちの上でも落ち着きます。 資産管理アプリが必要になったサイン 「自分に資産管理アプリは必要か」を考えるとき、私自身が「そろそろだな」と感じた変化がいくつかありました。当てはまる数が多いほど、道具の効きは大きくなると思います。 口座が2つ以上に分かれてきた:証券が複数、あるいは証券+企業型DC+持株会というように、資産の置き場所が増えた 保有銘柄が増えてきた:個別株や投信が増え、「今の合計」が暗算できなくなった 配当金の管理が面倒になってきた:どの銘柄からいつ・いくら入ったのかを、都度たどるのが億劫になった(私は直近1年で税引前60万円ほどの配当があり、もう手作業では追えません) NISAと特定口座が混ざってきた:非課税枠をどれだけ使ったのか、特定口座とどう分かれているのかが見えにくくなった 家計簿(日々の支出)と資産(保有資産)を、まとめて見たくなった:貯まっていくお金と使うお金を、別々に見るのが面倒になった 私の場合はもうひとつ、世帯として見たいという理由がありました。わが家は夫婦二人暮らしで、家計は私がまとめて把握しています。銀行・クレジットカードは夫婦それぞれの分を連携し、資産と支出を世帯単位で見られるようにしています。生活費も資産も一緒に把握できるようになり、家計簿と資産管理を別々に見る必要がなくなりました。自分ひとりの証券口座だけでなく、世帯全体のお金の流れを1か所で見たくなったことが、道具を使い始める後押しになりました。 逆に言えば、口座が1つで銘柄も数えるほど、という段階では、まだ急いで導入しなくてもいいと思います。 半年に一度、資産全体を見直すようになった 道具が整ったことで、もうひとつ習慣が変わりました。半年に一度、資産全体を棚おろしするようになったことです。 具体的には、資産のうち日本株がどれくらいの比率か、海外資産・現金がどれくらいか、といった配分を見直します。私の場合は日本株に大きく偏っているので、そのバランスをどうするかを半年ごとに考えます。 これは、全体が数十秒で見える状態になったからこそできることです。合計を出すのに毎回20分かかっていた頃は、そもそも「配分を見直す」ところまで気力が持ちませんでした。把握が軽くなると、その先の「考える」に時間を回せるようになります。 資産管理は、数字を眺めることが目的ではありません。次にどう動くかを考えるための土台です。土台づくりが軽くなったこと自体が、私にとっていちばんの変化でした。 私が使っている資産管理アプリ ちなみに私が使っているのは、マネーフォワードMEです。銀行・証券・企業型DC・持株会・カードまでまとめて連携できるので、世帯の資産と家計をこれ1つで見ています。無料でも複数口座を連携できます。 道具は何でもかまいません。大事なのは、自分の資産が増えて「手作業では追えない」と感じたときに、把握を軽くする仕組みを持っておくことだと思います。 家計と資産をまとめて把握する 銀行・証券・カードを連携して、資産総額と支出を1画面で管理できます。まずは無料版から。 マネーフォワードMEを見る → ※アフィリエイトリンク(PR)を含みます。 まとめ|資産管理は、投資家として成長した証 投資を始めた頃の私は、コナカ1銘柄しか持っておらず、資産管理という言葉すら不要でした。それが10年超かけて、約80銘柄・約2,200万円・5つ以上の口座へと増え、いつの間にか「手で合計する」のが現実的でなくなっていました。 資産管理が必要になったのは、投資が難しくなったからではありません。続けてきた結果、管理する対象が増えたからです。そう考えると、資産管理が要るようになったこと自体が、投資家として一歩進んだ証なのだと思います。 コナカ1銘柄しか持っていなかった頃には、想像もしていませんでした。 もし今、口座や銘柄が増えて「全体がぱっと見えない」と感じているなら、それはあなたの資産が育ってきたサインかもしれません。まずは、自分の資産が今いくつの場所に分かれているかを数えてみるところからで十分だと思います。 なお、投資判断は最終的にご自身の責任で行ってください。この記事は私自身の記録であり、特定の商品や手法をすすめるものではありません。 あわせて読みたい 【全73銘柄公開】個別株10年超のポートフォリオ|2,194万円・含み益+380万円の中身と業界別配分 2026年4月末の資産配分(アセットアロケーション)と保有商品、今後の投資方針 旧NISA 10年で配当90万円を実現した銘柄構成と年次推移 HIKO ...

2026年7月18日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

レンティオで掃除機を3機種レンタルした口コミ|39,000円かけて分かった後悔しない選び方

なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。 「5万円以上する掃除機、買って後悔したくない」「レンティオで掃除機を借りるって実際どうなの」——そう思って検索している方に向けて書きます。 私は2024年から2025年にかけて、家電レンタルサービス「レンティオ」で高価格帯のコードレス掃除機を3機種、順番にレンタルして比較しました。Anker(アンカー)のコードレススティッククリーナー、ダイソンのコードレスクリーナー、そしてNarwal S20 Pro(ナーワル)です。3機種とも水拭き機能自体は搭載していましたが、実際に買う前に試してみると、吸引力や水拭きの使い勝手にはっきりとした差がありました。レンタルにかけた料金は合計39,000円。最終的には、レンタルではなく別途Narwal S20 Proの新品を自分で購入して、今も使っています。 この記事では、実際に借りた3機種の違いと、乗り換えを重ねた理由、そしてなぜレンタルを続けずに新品を買い直したのかまで、正直にまとめます。 結論から言うと、私にとっては、10万円近い掃除機選びで失敗を避けられたことを考えると、39,000円は十分に価値のある先行投資でした。 なぜ掃除機を「買う前に試す」ことにしたのか コードレス掃除機は、人気モデルになると5万円から10万円ほどします。私は年収300万円台からスタートして生活防衛を軸に家計を組んできたので、この価格帯の家電を「スペック表とレビューだけを見て一発で買う」ことに、どうしても踏み切れませんでした。 特に気になっていたのが「水拭き」です。フローリング中心の住まいだと、吸引だけでは取りきれない皮脂汚れやベタつきが残りがちで、水拭きまでできる掃除機が気になっていました。ただ、実際に使ってみないと、水拭きの「使い勝手」までは分かりません。カタログスペックだけでは判断できない部分こそ、買う前に試す価値があると考えました。 そこで選んだのが、月額制で家電を借りられるレンティオです。気になった機種を実際の自宅で数週間から数ヶ月使ってみて、合わなければ返却できる。高価格帯の家電を買う前に、レンタルして比較する——これが私のやり方でした。 1台目:Anker MACH V1(水拭きは一体型、私の使い方では吸引力が物足りず) 最初に借りたのは、Anker(アンカー)のコードレススティッククリーナー「MACH V1」です。吸引と水拭きが一体になったモデルで、ヘッドを交換する必要はありません。 レンタル開始:2024年10月6日(自宅到着は10月8日午前) 月額料金:2,600円(新品プロモーションで最初の3ヶ月は無料) 最低レンタル期間:6ヶ月 一体型なので水拭き自体は手軽にできたのですが、私の使い方では吸引力に物足りなさを感じました。特に気になったのが、玄関やドア付近のちょっとした段差です。水拭きで噴射した水が、段差の部分でうまく吸いきれずに残ってしまうことがあり、それが私にとっては不満でした。 このプランも、24ヶ月間レンタルを継続すると所有権が利用者側に移り返却不要になる仕組みでしたが、私は最低期間の6ヶ月で返却しています。吸引力への物足りなさから、次は吸引力の評価が高いダイソンを試すことにしました。 2台目:ダイソン V12s Submarine(吸引力はピカイチ、水拭きの実装には期待外れ) 次に借りたのは、ダイソンのコードレスクリーナー「V12s Origin Submarine(SV49)」です。「Submarine」は水拭き用のローラーヘッドのアタッチメント名で、こちらも実は水拭きに対応したモデルでした。 レンタル開始:2025年3月27日 月額料金:5,000円 最低レンタル期間:3ヶ月 このプラン条件のとおり、ちょうど最低期間の3ヶ月使って返却しました。 まず吸引力については、私が触った中ではピカイチでした。通常の吸引(乾拭き)性能に不満はまったくありません。パーツもある程度分解して洗えるので、清潔に保ちやすい点はありがたく感じました。 ただ、水拭きについては、Ankerとは別の意味で期待外れでした。ダイソンの水拭きは専用のローラーヘッドに交換する方式で、掃除のたびにヘッドを付け替えるのが面倒でした。さらに、実際に水拭きローラーヘッドを使ってみると、汚れ自体は取れるものの、私の使い方では汚水が十分に回収されず、床が濡れたままになる場面がありました。期待していたレベルには届かず、この点は少し残念でした。 吸引力は申し分ない、でも水拭きの実装は物足りない——3ヶ月使って、私が本当に欲しいのは「吸引力が高くて、かつ水拭きの実装も良い掃除機」だと確信しました。そこで、両方を兼ね備えていそうなNarwal S20 Proを試すことにしました。 3台目:Narwal S20 Pro(水拭きも吸引力も、私には不満がなかった) 3機種目に借りたのが、Narwal S20 Proです。Ankerと同じ一体型の水拭き対応で、かつ吸引力もしっかりしていました。 レンタル開始:2025年6月30日(自宅到着は7月3日の午前中) 月額料金:6,000円(プロモーション適用で初回〜3ヶ月目は5,400円、4ヶ月目以降は6,000円) 最低レンタル期間:3ヶ月 こちらもちょうど3ヶ月使って返却しました。プロモーション価格の3ヶ月ぶんで、支払った合計は5,400円×3ヶ月=16,200円です。 Ankerで感じた「段差に水が残る」という不満も、ダイソンで感じた「汚水がうまく回収されず床が濡れたままになる」という不満も、Narwalでは感じませんでした。吸引力・水拭きの実装ともに私には不満がなく、3機種の中で最も自分の使い方に合っていました。 このプランにも、12ヶ月間レンタルを継続すると所有権が利用者側に移り、返却不要になる仕組みがありました。それでも私は12ヶ月続けず、3ヶ月で返却しています。その理由は後述します。 3機種を比較して分かったこと 3機種とも水拭き機能自体はありましたが、実装方式と私の感想はそれぞれ違いました。買う前にレンタルして比較したからこそ見えた違いです。 項目Anker MACH V1ダイソン V12sNarwal S20 Pro水拭き方式一体型ヘッド交換式一体型月額レンタル料金2,600円5,000円6,000円(プロモ5,400円)実質支払額(3ヶ月)7,800円15,000円16,200円私の感想吸引が物足りず段差に水が残る水拭きヘッドの汚水回収が弱く床が濡れたまま吸引・水拭きとも実装が良好で不満なし最終判断返却返却購入(新品を別途購入) これはあくまで私自身の使い方・自宅環境での感想です。ヘッド交換の手間を気にしない方や、通常の吸引力だけを重視する方にとっては、また違う評価になると思います。 レンティオの利用体験(配送・梱包について) 3機種とも新品プランでのレンタルだったので、届いた時点でどれも新品同様のきれいな状態でした。使用感を確かめる上で、これは安心材料になりました。 一方で、返却のたびに届いたときと同じ梱包に戻す作業には、少し手間を感じる場面もありました。配送日数や集荷の具体的な流れまでは記事に書けるほど詳しく確認できていないので、ここでは「新品できれい」「返却時の梱包がやや煩わしい」という実感に留めておきます。 レンタル総額39,000円という「先行投資」 3機種のレンタルにかかった実際の支払いは、次のとおりです。 Anker MACH V1:2,600円×3ヶ月分=7,800円(最低利用期間6ヶ月のうち、最初の3ヶ月は新品プロモーションで無料だったため、実際の支払いは3ヶ月分) ダイソン V12s:5,000円×3ヶ月=15,000円 Narwal S20 Pro:5,400円×3ヶ月(プロモ適用)=16,200円 合計:39,000円 10万円近くする掃除機を、試さずに買って「思っていたのと違った」となれば、この金額はまるごと無駄になっていたかもしれません。私にとって39,000円は、高価格帯の掃除機選びで失敗を避けるための先行投資でした。3機種を実際に自宅で使い比べた上で、最終的に自分に合う1台を見極められたことを考えると、十分に見合う金額だったと感じています。 ...

2026年7月11日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

家具レンタルは高い?4年以上使って分かったメリット・デメリット【かしてどっとこむ口コミ】

なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。 「家具レンタルって結局高いのでは」「かして!どっとこむの口コミが知りたい」——そう思って検索している方に向けて書きます。 私は2021年から2025年まで、家具レンタルサービス「かして!どっとこむ」(運営: 株式会社サークランド)を利用していました。2024年には都内から現在の川崎市の自宅へ引っ越しましたが、家具を運ぶことなく契約を継続できました。実際に支払った引っ越し不要サービスの料金は33,000円(税込)でした。その後、結婚を機に大きな家具・家電を長く使う見通しが立ったことから、2025年に主要な品目のレンタルを終了し、購入に切り替えています。 この記事では、良い面だけでなく「レンタルは思ったより高くつくのか」「新品を買うのとどちらが得なのか」まで、実際にかかった金額と、最終的にレンタルをやめた理由を含めて正直にまとめます。 結論から言うと、約4年間利用した結果、「数年以内に引っ越す可能性がある時期はレンタル、長く住む見通しが立ったら購入」が私にとって最も合理的な使い分けでした。 家具レンタルとは何か(引っ越し不要サービスの仕組み) まず前提として、家具レンタルの基本的な仕組みと、今回体験した「引っ越し不要サービス」がどういうものかを整理します。 家具・家電を購入せず、月額や期間契約で「借りる」サービス 契約満了時は返却・買取・再レンタル継続などを選べる 「引っ越し不要サービス」は、家具そのものを運ぶわけではなく、旧居でレンタル品をいったん回収し、新居ではメンテナンス済みの同等の中古品に差し替えて再配送してもらう仕組み レンタル契約自体は解約されず、契約満了日もそのまま引き継がれる つまり「引っ越しのたびに配送業者を手配して同じ現物を運ぶ」のではなく、「新居に別の在庫品が届く代わりに、契約と満了日はリセットされない」というのがこのサービスの正体です。この仕組みを理解しておくと、料金体系や後述のデメリットも納得しやすくなります。 実際にレンタルしていた家具・家電 2024年7月に引っ越しをした際、レンタル中だったのは以下の品目でした。 冷蔵庫(140L・2ドア) ドラム式洗濯乾燥機(7kg・左開き) オーブンレンジ ダブルベッド(寝具なし) ダイニング3点セット(テーブル1台+イス2脚) 生活に必要な家電・家具がひととおり揃っている状態でした。 家具レンタルのデメリット(正直に書きます) まず検索意図として多いであろう「デメリット」「高い」という不安に先に答えます。 無料ではない: 後述の通り、引っ越し時の差し替えには実費(私の場合33,000円)がかかりました 現物への愛着は持ちにくい: 借り物である以上、購入した家具のような「自分だけの一台」という満足感は薄いです 長期利用ではトータルで割高になりうる: 月額料金が続くため、同じ品を何年も使い続ける前提なら、途中から購入より支払総額が上回る可能性があります 在庫・機種を選べない場合がある: 差し替え時は同等品への交換になるため、同一メーカー・同一型番にこだわりたい人には向きません こうしたデメリットを踏まえた上で、それでも私が2021年から4年ほど利用していた理由を次で説明します。 家具レンタルを利用していた理由 賃貸暮らしをしていると、数年後にまた引っ越しをする可能性は十分にあります。そのたびに家具を買い直したり、逆に大きな家具を手放したりするのは負担が大きいと感じていました。 かといって、何も置かずに生活するわけにもいきません。冷蔵庫や洗濯機のような生活必需品は、購入するとまとまった初期費用がかかります。 そこで「必要な期間だけ借りて、不要になったら返す」というかして!どっとこむの仕組みに興味を持ち、2021年から利用を始めました。 その後、結婚をきっかけに、これから先も長期間同じ家具・家電を使い続ける見通しが立ったことから、レンタルではなく購入に切り替える判断をしました。冷蔵庫・ドラム式洗濯乾燥機・オーブンレンジ・ダブルベッド・ダイニング3点セットの回収を申込み、2025年8月に回収が完了しています。「借りて済ませる」段階から「長く使うものは持つ」段階へライフステージが変わったタイミングだったと感じています。 レンタルと購入、結局どちらが得なのか【比較表】 家具レンタルを検討する上でいちばん気になるのが「新品を買うのと比べてどちらが得か」だと思います。ここでは一般的な傾向として整理します。 比較項目家具レンタル新品購入初期費用の負担◎ 小さい(月額課金が中心)△ まとまった支出が一度に発生引っ越し時の手間◎ 差し替え対応あり(実費は発生)△ 運搬・処分・買い直しの手間とコスト長期利用時の総コスト△ 使うほど支払総額がかさむ◎ 一定期間を超えると割安になりやすい家具の好み・こだわり△ 同等品への交換が前提◎ 自分で選んだものを使い続けられる 私が今回の引っ越しでかかった実費は「引っ越し不要サービス」利用料の33,000円(税込)でした。一方、レンタルしていた構成に近い商品を価格比較サイトで実際に調べたところ、次のような価格帯が確認できました(下表の金額は新品購入時の価格であり、上記の引っ越し不要サービス代とは別のものです)。 品目実売価格帯の目安冷蔵庫(140L・2ドア相当)小型モデルで33,000円前後〜ドラム式洗濯乾燥機(7〜8kg相当)133,000円〜235,000円程度オーブンレンジ16,800円〜105,000円程度(機能差が大きい)ダイニング3点セット(テーブル+イス2脚)29,000円〜40,000円程度ダブルベッドフレーム(マットレス別)14,000円〜35,000円程度(フレーム単体) 今回私がレンタルしていた構成を新品でそろえると、各品目の安価なモデルを組み合わせた場合で合計約22万円台、機能重視の高めのモデルを選ぶと45万円近くになる計算でした(各品目とも価格帯には幅があり、実際の合計額は選ぶグレードによって変わります。価格.com等の価格比較サイトで2026年7月時点に調査した実売価格の目安であり、店舗・時期によって変動します)。 引っ越しの都度、初期費用として20万円規模の出費をするのか、月額料金を払い続けながら差し替え実費だけで済ませるのかは、今後の居住予定によって損益分岐点が変わってきます。 FPとして数字を整理すると FPとして考えると、家具レンタルと購入の損益分岐点は、月額料金や購入する家具の価格、使用年数によって変わるため、一律に「何年ならこちら」と言い切れるものではありません。私自身は、今後数年以内に住まいが変わる可能性がある時期はレンタル、長く住む見通しが立ったタイミングで購入へ切り替える、という判断をしました。月額料金と契約期間、購入した場合の想定使用年数を掛け算して比較すれば、自分にとっての損益分岐点はおおよそ見えてきます。 引っ越しをまたいでレンタルを使い続けた体験 2024年7月30日から8月11日にかけて、都内から現在の川崎市内の自宅へ引っ越しをしました。 このとき利用したのが「引っ越し不要サービス」です。旧居でレンタル中の家具・家電をいったん回収してもらい、新居ではメンテナンス済みの中古品に差し替えて再配送してもらえる仕組みでした。 利用してみて一番助かったのは、レンタル期間や満了日がそのまま引き継がれる点です。私の場合、当時の満了日は2025年8月29日でしたが、引っ越し後もその日付のまま契約が継続しました。契約をいったん解約して新居で結び直す、といった手間は一切ありませんでした。 家具を購入していた場合、引っ越しのたびに「運ぶかどうか」「新居のサイズに合うか」を考える必要があります。処分するなら処分費用もかかりますし、新居用に買い直せば当然また出費が発生します。レンタルであれば、こうした判断や手間からある程度解放されると実感しました。 引っ越し不要サービスにかかった費用 メリットだけでなく、実際にかかった費用も正直に書きます。 引っ越し不要サービスの利用料は33,000円(税込)でした。この料金は地域等に関わらず一律で、支払いは新居への再配送時に現金のみ(クレジットカード不可)という条件でした。 この33,000円とは別に、配送・回収の時間帯によって追加料金がかかる点も見落とせません。私が確認した時間指定料は次の通りでした。 フリー便(9:00〜18:00): 0円 AM・PM指定(9:00〜13:00/12:00〜18:00): 3,300円 2時間枠指定(9:00〜11:00など8区分): 5,500円 節約のポイント:フリー便なら追加料金0円 私は納品・回収とも時間を指定せず、フリー便を選んで追加料金を発生させませんでした。仮に納品・回収の両方で2時間枠を指定していたら、11,000円がさらに上乗せされていた計算です。日中に在宅できる方であれば、フリー便を選ぶだけで実費を抑えられます。 ...

2026年7月4日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

ライフプランシミュレーションの作り方|95歳まで試算する30代夫婦の実例

「ライフプランシミュレーション エクセル」「ライフプラン 表 自作」で検索してこのページに来た方も多いと思います。テンプレートは検索すれば見つかります。ただ「結局何を入力すればいいのか」で止まってしまう人が多い印象です。 平成時代を生きた30代、川崎市在住・夫婦二人暮らし(子どもなし)のHIKOです。投資歴10年超・FP2級。2026年6月に自作のライフプランシミュレーションを作り、95歳まで57年分の家計を複数シナリオで試算しました。この記事では、そのときに実際に組んだシート構成と、作成の5ステップを具体例つきで紹介します。 なお、本記事はマネーフォワード MEのようなツールで日々の家計を可視化した「その次」の段階を想定しています。まだ家計簿アプリで支出を把握していない方は、先にそちらから始めることをおすすめします。 ※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。 なぜ家計簿の次にライフプランシミュレーションが必要なのか 家計簿アプリは「今月いくら使ったか」を教えてくれます。しかし「このペースで貯めて、老後まで資産は持つのか」「住宅を買うべきか、賃貸を続けるべきか」「早期リタイアは現実的か」といった問いには答えてくれません。 これらに答えるには、単年ではなく数十年単位で家計を先に延ばして試算する必要があります。私がライフプランシミュレーションを作ったきっかけも、家計を可視化しただけでは「このままで大丈夫なのか」という不安が消えなかったからです。 ライフプランシミュレーションでできることは、大きく3つあります。 収入・支出・資産の推移を長期で可視化する 「賃貸 vs 住宅購入」「早期リタイアするなら何歳か」のような複数シナリオを比較する 前提条件(昇給率・利回り・支出)を変えたときの感度を確認する マネーフォワード MEで家計を自動で可視化する 銀行・証券口座・クレジットカードを連携するだけで、資産推移が自動でグラフ化されます。ライフプランシミュレーションの土台となる支出データもここから拾えます。 マネーフォワード MEを無料で試す → ※アクセストレード経由のアフィリエイトリンクです。 ライフプランシミュレーションに必要な項目 作り込む前に、最低限そろえておきたい項目を整理します。 項目内容例前提条件現在の年齢、退職想定年齢、想定寿命(何歳まで試算するか)収入現在の手取り年収、昇給率の想定、退職金・年金の見込み支出生活費、住居費、教育費(子どもがいる場合)、大型出費の予定ライフイベント住宅購入、車の買い替え、子どもの進学、早期リタイアなど資産・運用現在の資産額、NISA・企業型DCなどの積立額、想定利回り ポイントは、収入や支出を1本の数字で固定せず、「昇給率が低かった場合」「利回りが想定より低かった場合」のように複数パターンで置けるようにしておくことです。前提条件をシートの先頭にまとめておくと、後から一括で変更できて楽になります。 ライフプランシミュレーションの作り方【5ステップ】 ここからは、私が実際に組んだ手順を、例として「30代夫婦」のモデルケースに当てはめながら説明します。以下のケースはあくまで説明用の例示であり、私自身の実額ではありません。 例)30代夫婦(夫35歳・妻33歳)、子どもなし、賃貸暮らし 65歳を退職想定年齢、95歳を試算の終点に設定 30年後に住宅購入を検討するかどうかで悩んでいる 早期リタイア(FIRE)にも興味があるが、何歳なら現実的か分からない このようなケースを想定しながら、シートを組んでいきます。全体の流れを図にすると、次のような構成になります。 順番ステップ1前提条件2ベースシナリオ(現状維持)3ライフイベント別シナリオ(住宅購入/子ども1人/子ども2人/早期リタイア/逆算DieWithZero)4感度分析(年金/昇給/育休)5定期更新 ステップ1:前提条件シートを作る 最初に「前提条件」だけをまとめた1枚のシートを作ります。現在の年齢、退職想定年齢、試算の終点、想定利回り(保守1%・標準3%のように複数パターン)、昇給率などです。 私は試算の終点を95歳に設定しました。平均寿命(男性約81歳・女性約87歳)まででは老後資金を過小評価する可能性がある一方、FPが作成するライフプランでも95歳前後まで試算するケースは多く、長寿リスクを考慮すると現実的な終点だと考えたためです。 この前提条件シートの数字を、他のすべてのシートから参照する形にしておくと、前提が変わったときにここだけ直せば全体に反映されます。私の場合、作成後20日間で少なくとも10回以上、前提条件を見直して更新しました。月1回のような定期更新ではなく、「ニュースで金利や物価の話を見た」「昇給額が確定した」など、前提が変わるたびに触るイベントドリブンの運用です。 なお、家計の土台となる支出データは、マネーフォワード MEで日々自動集計されたものを使うと、シミュレーション側の入力の手間がかなり減ります。 ステップ2:ベースシナリオ(現状維持)を作る 次に、今の生活を続けた場合の家計推移を、年次で試算します。私は「ベース_賃貸」というシートを作り、95歳までの57年分を1行ずつ、収入・支出・資産残高が並ぶ形で組みました。 このベースシナリオが、後で他のシナリオと比較するときの基準になります。ここを丁寧に作っておくほど、以降の比較が楽になります。 こうした年次の合計や条件分岐には、一般的にSUM関数(合計を出す)やIF関数(条件によって数値を切り替える)を使うことが多いです。前提条件シートの数字を各年の行に参照させ、その上で収入・支出・資産残高を積み上げていくイメージです。 ステップ3:ライフイベント別のシナリオシートを増やす ベースシナリオができたら、検討したいライフイベントごとにシートを複製して分岐させていきます。私が実際に作ったシートは次のようなものです。 住宅購入(賃貸継続との比較用) 子ども1人・子ども2人(それぞれ教育費を反映したケース) 早期リタイア 逆算DieWithZero(95歳時点の目標資産から逆算して、いつまで働けばよいかを計算するシート) 例えば「住宅購入」を検討する場合、「ベース_賃貸」シートと「住宅購入」シートを、95歳までの57年間、実質利回り1%(保守)と3%(標準)の2パターンで並べて比較します。私の場合はこの比較の結果、賃貸を継続する判断をし、現在も賃貸に住んでいます。実際に試算してみると、住宅購入シナリオは賃貸継続シナリオより、95歳時点の資産残高が少ない結果になりました。金額差を確認できたことで、感覚ではなく数字をもとに判断できたことが、このシートを作った一番の収穫でした。 早期リタイアを検討したい場合は、資産の使い方(今の支出水準を維持する/老後の支出水準まで切り詰める/サイドFIREとして一部収入を残す)と利回り(保守1%・標準3%)を掛け合わせたマトリクスで比較すると、「何歳ならリタイアできそうか」が具体的に見えてきます。私は「逆算DieWithZero」というシートも別に用意し、95歳時点で目標の残高になるよう逆算して、賃貸シナリオと子ども2人シナリオの2ケースで最短のリタイア可能年齢を比較しました。 ステップ4:感度分析シートで前提のブレを確認する シナリオが一通りできたら、前提条件を意図的に動かして結果がどう変わるかを確認します。私は「年金感度」「昇給感度」「育休感度」という3つのシートを用意し、それぞれの前提を上下に振ったときに、最終的な資産残高がどう変化するかを確認しました。 例えば昇給率を1%下げて試算すると、95歳時点の資産残高が減る結果になりました。年金の受給額が想定より少なかった場合の感度も合わせて確認しておくと、「最悪のケースでも詰まないか」を事前にチェックできます。長期の複利計算では、こうした将来値の見積もりにFV関数(将来価値を計算する関数)が使われることも一般的です。 ステップ5:定期的に前提を更新し、シナリオを追い足す ライフプランシミュレーションは一度作って終わりではなく、状況が変わるたびに更新していくものです。私は最終的に「専業主婦逆算」「副業逆算」といったシートも追加し、全部で12シートの構成になりました。すべて2026年6月に作り始めたばかりで、まだ運用歴としては数週間ですが、短期間で何度も改訂を重ねたことで、自分たちの家計の「効きどころ」がかなりクリアになりました。 ライフプランシミュレーションを作るときの注意点 利回りは複数パターンで試算する:1つの利回りだけで試算すると、相場が想定を外れたときに計画が根本から崩れます。保守的な数字と標準的な数字の両方で試すことをおすすめします 将来の数字は「予測」ではなく「仮置き」と捉える:ライフプランシミュレーションは未来を正確に当てるものではなく、前提が変わったときにどう資産が動くかを確認するための道具です。数字を鵜呑みにせず、定期的に前提を見直す運用が前提になります 投資判断は自己責任で行う:本記事で紹介した利回り前提やシナリオ比較は、あくまで私個人の試算例です。実際の投資判断や住宅購入の意思決定は、ご自身の状況を踏まえて自己責任で行ってください まとめ ライフプランシミュレーションは、家計簿アプリで「今」を可視化した次に、「この先数十年」を可視化するための道具です。私は前提条件シート・ベースシナリオ・ライフイベント別シナリオ・感度分析シートという流れで、95歳までの57年分を複数パターンで試算しました。 最初から12シートを目指す必要はありません。まずは前提条件とベースシナリオの2つだけで十分です。住宅購入もFIREも、必要になったタイミングでシートを追加すればよいので、「完璧な状態で始める」より「小さく始めて更新し続ける」ことのほうが、結果的に長続きします。 今日やること 手元の家計簿アプリ(なければマネーフォワード MEなど)で、直近3ヶ月の平均支出を確認する 「何歳まで試算するか」「退職想定年齢は何歳か」の2つだけ、まず自分の前提条件として決める スプレッドシートを1枚開き、年齢・収入・支出・資産残高の4列だけのベースシナリオを作ってみる あわせて読みたい 2026年4月末の資産配分(アセットアロケーション)と保有商品、今後の投資方針 企業型DCの含み益と今後の運用方針 NISAで投資を始める30代のための基礎知識

2026年7月1日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

賃貸保険の個人賠償1,000万円は不足?合算上限に気づいて1億円へ見直した実体験

「賃貸保険の個人賠償1,000万円」は、一見十分に見えます。しかし契約内容を確認すると、借家人賠償と合算上限になっているケースがあります。私自身、加入していた賃貸保険がこの状態であることに気づき、個人賠償1億円・示談交渉付きの保険へ変更しました。この記事では、実際の契約内容と見直し理由を公開します。 私は保険業界に10年いたあとIT企業に転職した、FP2級のHIKOです。平成時代を生きた30代・川崎市で夫婦二人暮らしをしています。今回、長く入りっぱなしだった賃貸保険を別の会社へ乗り換えました。きっかけは「個人賠償、自分はてっきりどこかでカバーされていると思っていた」という、よくある思い込みです。 この記事は特定の保険商品を推奨するものではなく、私個人が自分の契約をどう点検して、どう判断したかの記録です。最終的な契約判断はご自身の状況に合わせて行ってください。 賃貸保険の個人賠償が「合算1,000万円」だと気づいた これまで私が入っていたのは、チューリッヒ少額短期保険の「ミニケア賃貸保険」でした。年3,610円。賃貸契約のときに不動産屋経由ではなく自分で選んで入った、わりと意識して選んだつもりの契約です。 中身を改めて見ると、こうなっていました。 補償金額家財100万円借家人賠償(大家さんへの賠償)1,000万円個人賠償(他人・他人のモノへの賠償)1,000万円修理費用100万円 一見、悪くないように見えます。問題は個人賠償の「1,000万円」の中身でした。 この契約の個人賠償は、借家人賠償と合算で1,000万円が上限という構造だったのです。つまり、火事で大家さんへの賠償が発生した場面と、外出先で他人にケガをさせた場面が、同じ1,000万円の枠を取り合う形になっていました。借家人賠償でいくらか使えば、その分だけ個人賠償に残る枠は減ります。 「個人賠償1,000万円」と書いてあると、それが独立して1,000万円あるように感じますが、実際は別枠ではなかった。ここが最初の気づきでした。 自転車事故で約9,500万円。1,000万円では足りない時代 そもそも個人賠償の1,000万円という数字自体が、今の水準では心もとないと感じます。 個人賠償責任は、日常生活で他人にケガをさせたり、他人のモノを壊したりして法律上の賠償義務を負ったときに備えるものです。代表例としてよく知られているのが自転車事故で、神戸地方裁判所では、自転車事故について約9,521万円の賠償命令が出た事例があります(平成25年7月4日判決)。 私自身は車も自転車も使いませんが、それでも他人に損害を与えるリスクがゼロになるわけではありません。賃貸マンションで暮らしていれば、水漏れで階下に損害を与えてしまうようなケースは誰にでも起こりえます。こうしたリスクに対して、しかも借家人賠償と枠を取り合う1,000万円というのは、正直なところ現代の生活水準に合っていないと判断しました。 「クレカに個人賠償が付いている」は思い込みだった ここが今回いちばん肝を冷やした部分です。 私は漠然と「クレジットカードに個人賠償くらい無料で付いているだろう」と思っていました。なので賃貸保険の枠が薄くても、どこかで二重三重にカバーされているはず、という油断があったのです。 そこで、家計管理に使っているマネーフォワードのデータと、手元の保険・カードの内容を一通り確認してみました。結果は次のとおりです。 加入している生命保険・医療保険に個人賠償の特約は付いていない 保有しているクレジットカードにも個人賠償は付いていない 賃貸保険の「合算1,000万円」が、わが家で唯一の個人賠償だった ここで整理しておきたいのが、クレジットカードに自動で付くことが多いのは旅行傷害保険であって、個人賠償ではないという点です。一部のカードには個人賠償の付帯サービスがありますが、一般的なクレジットカードに個人賠償が自動付帯されているとは限りません。付帯している場合でも「別途申し込みが必要な有料オプション」だったり、特定の上位カードに限られたりと、カードや商品によって扱いはさまざまです。自分の手元のカードがどうなっているかは、個別に確認する必要があります。 「たぶんカバーされている」と思っていたものが、実は唯一の砦すらギリギリだった。ここで本気で見直すことに決めました。 乗り換え先を選んだ理由(チューリッヒ少短→日新火災) 乗り換え先として選んだのは、日新火災の「お部屋を借りるときの保険」です。選んだ理由はシンプルで、私が見直しで満たしたかった条件、つまり「個人賠償1億円・示談交渉付き・借家人賠償とは別枠」を、この商品が標準で満たしていたからです。決め手はあくまでこの補償の中身でした。なお補足として、価格.com保険アワードの家財部門で連続1位を取っている商品としても知られています。 補償を並べると、こうなりました。 補償チューリッヒ(旧)日新火災(新)家財100万円300万円借家人賠償1,000万円2,000万円個人賠償1,000万円(借家人と合算)1億円・別枠・示談交渉付き修理費用100万円300万円年間保険料3,610円6,000円 私が決め手にしたのは、金額そのものより「個人賠償1億円・示談交渉サービス付きが、オプションの金額選択ではなく標準で内蔵」されていて、しかも借家人賠償と別枠だったことです。 旧契約の「合算上限」という構造的な弱点が、これでまるごと解消されます。賠償の場面が重なっても、お互いの枠を食い合わない。さらに示談交渉サービスが付いていれば、いざ事故が起きたときに当事者同士で交渉する負担も軽くなります。 なお、個人賠償は1億円ではなく無制限を選べる商品もあります。私は保険料差額とのバランスから、1億円で十分だと判断しました。 念のため書いておくと、これは「日新火災が一番」という話ではありません。私の今の暮らし(賃貸・夫婦二人)で抱えていた、個人賠償の手薄さという課題に一番素直に効いたのがこの商品だった、というだけです。 保険料の差額を、投資・家計目線でどう判断したか 保険料は年3,610円から6,000円へ、年+2,390円。月にならすと約+200円です。 FP2級・投資目線で固定費を見るクセがあるので、本来この手の値上がりには身構えます。月200円でも年2,390円、20年で約4.8万円ですから、無条件で受け入れる金額ではありません。 ただ今回は、この差額で得られるものがはっきりしていました。 個人賠償が「合算1,000万円」→「別枠1億円+示談交渉付き」 家財が100万円→300万円(夫婦二人の実勢に近づく) 借家人賠償・修理費用も増額 特に個人賠償の部分は、いざ高額賠償が現実になったときに資産形成の前提そのものを吹き飛ばしかねないリスクです。コツコツ積み上げてきたNISAや企業型DCの資産が、一度の賠償で消し飛ぶ。その確率は低くても、起きたときの損失が致命的なら、月200円は「保険料」ではなく「資産を守るコスト」だと整理できました。 固定費は基本的に削る対象ですが、削っていいのは「過剰なもの」だけです。今回はむしろ手薄すぎたので、増やすのが正解でした。安いか高いかではなく、リスクに対して過不足ないかで見る。ここが保険の固定費判断のキモだと改めて思いました。 乗り換えの段取り:先に新契約、後に旧契約停止 実務的に役立つかもしれないので、段取りも残しておきます。地味ですが、ここを間違えると無保険の空白期間ができたり、二重払いになったりします。 旧契約のチューリッヒは「自動継続」型でした。放っておくと満期日に勝手に更新されて、また1年分が課金されます。一方で、何も考えずに先に旧契約を止めてしまうと、新契約が始まるまでの間が無保険になってしまいます。 そこで踏んだ順番はこうです。 先に新契約(日新火災)を申し込む。保険の始期を、旧契約の満期日に合わせて指定する そのうえで旧契約(チューリッヒ)の継続停止手続きを、自動更新の期限までに行う この順番なら、保障が途切れません。結果として、新契約の始期が旧契約の満期と半日ほど重なる形になり、無保険の空白はゼロで着地できました。重複といっても半日なので、二重払いの実害もありません。 保険の見直し全般に言えることですが、「解約してから新規」ではなく「新規に入ってから旧契約を止める」が鉄則です。これは生命保険でも医療保険でも同じで、保障の空白を作らないことを最優先にしてください。 まとめ:賃貸保険は「個人賠償」を必ず確認する 今回の見直しで私が学んだことを整理します。 賃貸保険の個人賠償は、借家人賠償と「合算上限」になっている契約がある。金額の数字だけでなく、別枠かどうかを確認する 個人賠償の1,000万円は、自転車事故などの高額賠償(神戸地裁・平成25年7月4日判決では約9,521万円の事例も)には不足しうる クレジットカードに自動付帯されやすいのは旅行傷害保険であって、個人賠償が自動付帯されているとは限らない(カード・商品により異なる)。「たぶんカバーされている」は危険 自分が個人賠償をどこで持っているか、保険・カードを一度棚卸しする 見直すなら「新規加入してから旧契約停止」の順番で、保障の空白を作らない 保険は削るのが基本ですが、手薄なところは増やす。安さではなくリスクとの過不足で判断する。これは賃貸保険に限らず、家計の固定費全体に通じる考え方だと思います。 まずは手元の賃貸保険証券を1枚出して、「個人賠償が別枠でいくらあるか」を確認するところから始めてみてください。 あわせて読みたい 30代の保険は見直しが先|削るべき保険と残すべき保険の判断基準 固定費を下げる方法|まず見直すべき3つと優先順位 手取りが少ないと感じた原因は家賃だった はじめての方へ|30代会社員の家計と投資を5分で整理する HIKO 保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー 保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。 保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり

2026年6月21日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

積立保険は続けるべき?|ドル建て終身・個人年金・学資保険をIRR比較

保険業界に10年在籍したのちIT企業へ転職した、平成時代を生きた30代のHIKOです。FP2級保有、年収300万円台からのスタートで投資歴は10年超(2015年NISA開始)。失敗もしながら資産形成を続けています。今回は「保険外交員に積立保険を勧められたけれど、本当に得なのか」と悩む30代会社員に向けて、主要な積立保険の実利回り(IRR)を概算で比較し、NISAやiDeCoとの機会損失差まで整理します。 先に 住友生命Chakinの実利回り検証記事 を書いたところ、検索からの流入が想像以上にありました。Chakinは新商品ですが、既存の「明治安田生命 つみたて」「日本生命 みらいのカタチ」「ドル建て終身保険」「学資保険」「養老保険」「変額保険」も、考え方の枠組みは同じです。本記事はそのクラスター記事として、検討対象になりやすい6タイプを横並びで見られるようにまとめます。 この記事の要点 積立保険のIRRは年0.3〜1.5%が中心 NISA/iDeCoの期待リターンとの差は長期で大きく開く ただし「強制貯蓄」「相続対策」など保険が合理的なケースもある 結論|積立保険の実利回りはNISAやiDeCoの数分の一 最初に結論を出します。日本で売られている主要な積立保険の実利回りは、概ね年0.3〜1.5%のレンジに収まります。一方、NISAやiDeCoで全世界株式・S&P500などのインデックス投信を積み立てた場合、過去実績の長期想定利回りは**年3〜5%**で語られることが一般的です。 (注:NISA・iDeCoの「年3〜5%」は過去の長期インデックス投信実績から語られる目安で、将来を保証する数値ではありません。詳細な前提は記事末尾の免責に記載しています) 両者の差は単年で見ると小さく見えますが、20〜30年の積立では複利で数百万円〜1,000万円規模の機会損失になり得ます。「積立保険=悪」という極論ではなく、**「同じ金額を税優遇つき投資に回した場合との差を必ず計算する」**ことが、30代の資産形成では非常に重要です。 ただし、保険には「死亡保障」「就業不能保障」など投資商品にはない機能があります。本記事では「保障」と「貯蓄」を切り分けて考え、貯蓄部分の実利回りに絞って評価します。これは保険業界10年で見てきた中で、もっとも現実的な判断軸でした。 実利回り(IRR)とは何か|表面利回りとの違い 比較に入る前に、用語を整理します。 表面利回り:保険会社が提示する「予定利率」「返戻率」など。総払込額に対する増加額を単純に比率化したもの 実利回り(IRR:内部収益率):「いつ払って、いつ受け取るか」のキャッシュフロー時間軸を組み込んだ年率換算の利回り。投資商品の利回りと比較できる唯一の指標 たとえば「30年で返戻率120%」と聞くと一見大きく見えますが、IRR換算すると年率約0.6%です。表面利回りはマーケティング上の数値、IRRが現実の数値、と覚えておくと判断を間違えにくくなります。 なお、本記事の試算はすべて2025〜2026年時点の公開情報および各社販売設計例から逆算した概算値であり、実際の契約条件・付帯保障内容・予定利率改定によって変動します。最終判断は契約書の設計書と直近の予定利率で行ってください。 主要積立保険6タイプの実利回り比較【円建て・ドル建て・変額別】 代表的な積立保険6タイプを、概算ベースで一覧にします。具体的な商品名はあくまで「カテゴリ代表例」として挙げています。 商品タイプ代表商品例表面利回り(予定利率/返戻率換算)実利回り(IRR概算)NISAインデックス(年5%想定)との差円建て終身保険各社の低解約返戻金型終身予定利率 約0.5〜1.0%約0.3〜0.7%大きい(複利差で数百万円規模)個人年金保険日本生命「みらいのカタチ」年金保険 等返戻率 約110〜125%(30年)約0.4〜1.2%中〜大ドル建て終身保険各社のドル建て一時払・平準払終身予定利率 約3.0〜4.0%約1.0〜2.0%(為替+コスト控除後)中(為替変動リスク込み)変額保険各社の変額終身・変額個人年金ファンド連動信託報酬控除後で投信よりやや劣後同等運用が低コストで可能学資保険各社の学資保険返戻率 約103〜108%(17〜18年)約0.3〜0.8%大きい養老保険各社の養老保険返戻率 約103〜108%(10〜30年)約0.3〜0.7%大きい 上表のIRR概算値は、2025〜2026年時点の各社公開設計書・販売設計例・予定利率の一般的な水準をもとに逆算した概算です。実際の数値は契約年・健康状態・特約付加・予定利率の改定により変動します。本記事の数値は「商品カテゴリの大まかな水準」を示すもので、個別契約の最終判断は最新の設計書に基づいてください。 ここから1つずつ詳細を見ていきます。 明治安田生命「つみたてだいすき」は得か?|実利回りを試算 「つみたてだいすき」(明治安田生命の積立保険)は、毎月の保険料を一定期間払い込んで、満期で受け取る平準払い型の積立保険です。販売現場では「銀行に預けるよりは増える」「強制力があって貯まる」という訴求でよく勧められます。 ここでは、よく案内される設計に近い月1万円・10年払い込み・満期一括受取を前提に、概算IRRを試算します。具体の返戻率は契約年・健康条件で変動するため、ここでは「総払込額120万円→満期受取126万円(返戻率105%)」を仮置きします。 項目値月払い保険料10,000円払込期間10年(120ヶ月)総払込額1,200,000円満期受取額(仮定)1,260,000円返戻率(表面)105%実利回り(IRR概算)年率 約0.9% 返戻率105%は「10年で5%増えた」という見え方ですが、毎月積み立てている時間軸を反映するとIRRは年0.9%程度に落ち着きます。 参考:IRR(実利回り)の計算過程 上記の年率0.9%という数値は、以下のキャッシュフローからExcelのXIRR関数で逆算したものです。 経過年キャッシュフロー(円)備考1年目-120,000月1万円×12ヶ月の払込2年目-120,000同上3〜9年目各 -120,000同上10年目-120,000払込最終年10年目満期+1,260,000満期受取金 このキャッシュフローをExcel/Google Sheetsに貼り付け、=XIRR(値の範囲, 日付の範囲) を実行すると年率約0.9%が算出されます。返戻率105%(10年で5%増)という見え方と、年率0.9%という数値の差は、「お金を払ってから受け取るまでの時間」を年率に均す処理から生まれています。 ※本記事のNISA試算はすべて「毎月積立・年率5%複利・手数料および税金は考慮外」の単純シミュレーションです。将来のリターンを保証するものではなく、市場環境により元本割れの可能性もあります。 同じ月1万円を10年間、NISAでインデックス投信(年5%想定)に積み立てた場合の評価額は約155万円となり、両者の差は約29万円です。 10年で30万円弱の差なら許容範囲、と感じる人もいると思います。ただし「積立保険を10年継続できる人は、その後の20年も同じ習慣を維持できる」傾向が強いです。同じペースを30年続けると差は数百万円規模に広がります。 日本生命「みらいのカタチ」個人年金は得か?|実利回りとデメリット 日本生命「みらいのカタチ」は、終身保険・年金保険・医療保険などをパーツで組み合わせる商品群の総称です。ここでは個人年金保険部分にフォーカスします。 個人年金保険の魅力としてよく挙げられるのが、**個人年金保険料控除(年最大4万円)**です。所得税率10%・住民税率10%の年収帯(概ね課税所得330万円以下)なら、年間8,000円程度の節税効果があります。 しかし、利回り側を冷静に見ると以下のとおりです。 項目値(概算)月払い保険料10,000円払込期間30年総払込額3,600,000円受取総額(10年確定年金など)約4,000,000〜4,300,000円返戻率約111〜119%実利回り(IRR概算)年率 約0.7〜1.2% ここに節税効果を加算しても、トータルの実質リターンは年1.0〜1.5%程度にしか届きません。同じ30年で同額をiDeCoに拠出した場合、所得控除(年12〜27.6万円拠出可、所得税+住民税で同率の節税)と運用益非課税が両方効くため、想定利回り3%でも実質的な手残り効率は個人年金保険を大幅に上回ります。 主なデメリットを3つ整理しておきます。 流動性が低い:途中解約で元本割れの可能性が高い インフレに弱い:名目固定利率なので、物価上昇局面では実質目減りする 保険会社の信用リスク:30年単位で1社の破綻リスクを背負う 「みらいのカタチ」自体は柔軟性のある商品設計ですが、年金保険パートに関してはiDeCoの方が税優遇・運用効率の両面で優位というのが、FP視点での評価です。 ドル建て終身保険は解約したほうがいい?|表面と実質の利回りギャップ ここ数年、超低金利環境下で「ドル建て終身保険」の販売が増えました。提案書には「予定利率3〜4%」と書かれていることが多く、円建て商品と比べて見栄えが良いのは事実です。 ただし、表面の予定利率と実質利回りの間には大きなギャップがあります。 控除要因概算インパクト保険関係費用(死亡保障・運営コスト)年 -0.8〜-1.5%為替手数料(円→ドル、ドル→円)一般的に片道50銭〜1円/ドル為替変動リスク円高方向に振れた場合は元本割れリスク 予定利率3.5%の商品でも、コスト控除後のドルベースIRRは概ね年1.5〜2.5%、円換算で受け取った場合の最終的な実利回りは為替次第で年0〜2%程度のレンジに落ちることが多いです。 「予定利率3.5%」を期待してドル建て終身保険に加入すると、為替リスクを取った割にリターンが米国株インデックス投資より低いという結果になりがちです。米国株インデックス(S&P500)の長期想定利回りはドルベースで年6〜8%が一般的に語られる水準で、同じ為替リスクを取るならインデックス投信の方が圧倒的に効率が良いです。 ドル建て終身保険が向いているのは、「死亡保障をドル資産で持ちたい」かつ「30年以上保有可能」かつ「為替変動を許容できる」人に限定されます。「なんとなく利回りが良さそうだから」で入るのは、機会損失が大きすぎます。 変額保険の実利回りはなぜNISAに劣後するのか 変額保険(変額終身・変額個人年金)は「投資型の保険」と訴求され、表面的にはNISAと似た構造に見えます。実際は以下の要因で長期リターンがNISAインデックス投資に劣後するケースが大半です。 ...

2026年6月18日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

予定利率1.6%でも利回りは1%台?明治安田の積立保険をNISA比較

保険業界10年・投資歴10年超・FP2級の HIKO です。保険会社で10年働いたあと IT企業へ転職し、家計と投資の発信をしています。 ※当記事はアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、本記事で扱う数値は 2026年6月の報道による情報 をもとにしており、商品名や条件は公式の最新情報をご自身でご確認ください。投資・契約の判断は自己責任でお願いします。 2026年6月、明治安田生命が平準払い(毎月払い)の積立保険の予定利率を、現行の1.4%から1.6%へ引き上げると報じられました。報道によると、契約から10年たった満期で受け取れる金額は払込総額の110%になり、これは2026年4月に続く同年2度目の引き上げとのことです。建付け(5年払込・10年満期)から、これは当ブログで以前検証した「じぶんの積立」とみられる商品ですが、公式での裏取りは取れていないため、本記事では報道ベースの慎重な表現で進めます。 ニュースを見て「予定利率が上がったなら、今が買い時では?」と感じた方も多いはずです。本記事では、その予定利率1.6%・満期110%という数字を、実質利回り(IRR)に翻訳して冷静に見ていきます。 結論:利上げは朗報だが、IRRで見ると依然「年1%台」 先に結論を3点に整理します。 利上げは確かに朗報:満期返戻率が報道前の108.3%から110%へ上がるなら、実質利回り(IRR)は年率約1.07%から 年率約1.28% へ改善します(いずれも本記事の試算)。 ただしNISAとは役割が違う:積立保険は「満期まで保有すれば払込総額を上回る設計の確定リターン商品」、NISAインデックスは「元本割れリスクと引き換えに高い期待リターンを狙う商品」。同じ土俵で「どちらが得」とは言い切れません。なお保険は預金保険の対象外で、保険会社が破綻した場合は生命保険契約者保護機構による補償(責任準備金の原則90%まで等)に拠ることになり、預金と完全に同じ安全性ではない点には留意が必要です。 「予定利率が上がった=今すぐ買い時」という話には乗らない:予定利率1.6%という数字と、あなたが手にする実質利回りは別物です。数字の見え方に流されず、自分の家計の中での役割で判断するのが現実的です。 ここから先は、報道された数字と一般的な税制値を使って、順番に整理していきます。 報道された内容を整理する まず、2026年6月の報道で示された内容を整理します。以下はすべて報道ベースの数値であり、公式の最新条件はご自身でご確認ください。 項目報道された内容対象平準払い(毎月払い)の積立保険予定利率1.4% → 1.6%(2026年7月申込分から)払込期間5年保険期間10年10年満期時の受取払込総額の110%例(月2万円の場合)払込総額120万円に対し満期132万円(+12万円)引き上げの背景国内金利の上昇を反映。2026年内2度目の引き上げ 報道では「投資信託などに比べて元本割れのリスクが少なく、銀行預金よりも金利は高い」という商品の位置づけも示されていました(報道の文言)。ただし、これはあくまで満期まで保有した場合の話で、途中解約時は解約返戻率が100%を下回り元本割れする期間があること、将来的に商品条件が変更される可能性があること、保険である以上は保険会社の信用力に依存することは、地の文として補っておきます。元本保証ではなく「満期まで保有すれば払込総額を上回る設計の確定リターン商品」と捉えるのが正確です。 なお、当ブログで以前検証した時点(2026年5月)の満期返戻率は108.3%でした。今回の報道どおりであれば、満期返戻率が110%へ上がる点が新しい情報になります。 予定利率1.6%・満期110%をIRRに翻訳すると年率いくらか ここが本記事の核です。「予定利率1.6%」と聞くと、年1.6%で増えるように感じます。しかし、私たちが実際に手にする利回りは、もっと低くなります。 報道の例にならって、月2万円×60ヶ月(5年)払い込み、その後5年据え置いて10年満期で132万円を受け取るケースで計算します。 払込総額:20,000円 × 60ヶ月 = 1,200,000円 満期受取額:1,200,000円 × 110% = 1,320,000円 増加額:120,000円 ポイントは「120万円を一括で預けたわけではない」「毎月2万円ずつ5年かけて積み立て、その後5年は据え置いた」という時間構造です。最後に積んだお金は数年しか運用されず、最初に積んだお金だけが約10年運用されます。 この時間価値を考慮した内部収益率(IRR)を計算すると、次のようになります。 満期返戻率実質利回り(IRR・年率換算)110%(今回の報道)約1.28%108.3%(報道前・参考)約1.07% 返戻率110%という見た目に対し、実質利回りは年率約1.28%。利上げによって約0.2ポイント改善した計算ですが、依然として年1%台です。「予定利率1.6%」という数字とは、はっきり差があります。 ※IRRは、毎月末に2万円を5年間(計60回)払い込み、最後の払込から5年後に満期金132万円を一括で受け取る前提で、月次キャッシュフローから内部収益率を求めて年率換算したものです(手数料・税・配当等の細目は加味しない簡易試算)。前提が変われば数値も変わります。 なぜ「予定利率1.6%」と「実質利回り」はズレるのか ここがFPとして一番お伝えしたい部分です。両者がズレる理由は大きく2つあります。 1つ目は、予定利率がかかるのは「払い込んだお金のうち、運用に回る部分」だけだからです。 保険には保険会社の運営経費(付加保険料)や、わずかでも付帯する保障コストが含まれます。払込総額のすべてに予定利率1.6%がそのまま乗るわけではありません。 2つ目は、先ほど触れた時間構造です。 積立保険は「毎月コツコツ積む→さらに数年据え置く」という形のため、お金ごとに運用される期間がバラバラです。満期時点の「払込総額に対する増加率(返戻率110%)」を、毎年の利回り(IRR)に直すと、必ず小さく見えます。 だからこそ、「予定利率◯%」や「返戻率◯%」という表示は、商品同士を比べる物差しとしては不十分です。私はいつも、こうした商品を見るときは返戻率を一度IRRに翻訳してから判断するようにしています。今回のように予定利率が引き上げられたニュースでも、まず実質利回りに直してみると、過度に期待しすぎず冷静に見られます。 同じ月2万円をNISAに入れたら、10年後どうなるか では、同じ月2万円を NISAつみたて投資枠で全世界株インデックスに5年間積み立て、その後5年間そのまま保有した場合の評価額を試算します。 株式市場では長期的に年率数%〜7%程度のリターンが期待されることがありますが、将来の成果は保証されません。ここでは幅を取って3%・5%・7%の3シナリオで比較します。 シナリオ10年後評価額(NISA)積立保険(満期110%)差額年率3%(保守)約1,497,341円1,320,000円+約177,000円年率5%(中央値弱め)約1,730,988円1,320,000円+約411,000円年率7%(強気)約1,997,117円1,320,000円+約677,000円 月2万円×5年積立・10年後評価額(NISA vs 積立保険・満期110%) 1320000円 積立保険110% 1497341円 NISA年率3% 1730988円 NISA年率5% 1997117円 NISA年率7% 数値は本記事の試算(NISAは年率3/5/7%・運用益非課税)。期待値であり確定リターンではありません。 NISA枠なので運用益はすべて非課税です。控えめな年率3%でも約18万円、年率5%なら約41万円、年率7%なら約68万円の差になります。 ...

2026年6月17日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

収入保障保険はいらない?遺族年金から逆算する必要保障額の求め方【FPが判定】

「収入保障保険って、結局うちには必要なの?」 この疑問に、先に結論からお答えします。収入保障保険は、多くの独身の方や、お互いの収入で自立できている共働き世帯には不要です。一方で、子どもがいて世帯収入の大半を自分が担っている家庭では、必要になるケースがあります。 判断の軸は次の3つです。 遺族年金で足りない分だけ入る。それ以上は不要 独身の方、資産が十分にある方には不要 入るなら、必ず複数社の保険料を比較する 私は保険業界に10年身を置いたあとIT企業へ転職し、現在はFP2級の知識をベースに資産形成の情報を発信しています。この記事では「業界の中から見てきた立場」と「ひとりの生活者としての立場」の両方から、収入保障保険の判定基準と必要額の計算方法を解説します。 あなたに必要か、30秒で判定 まずは下のチャートで判定してください。当てはまった時点で、あなたの答えは出ています。 あなたの状況判定扶養家族がいない(独身など)不要。この記事はここで閉じてOKです共働きで、配偶者が自分の収入で生活を維持できる原則不要(不足額次第で少額のみ検討)金融資産が、遺族の生活費の不足分をカバーできる不要。保険より資産で備えられています子どもがいて、世帯収入の大半を自分が担っている要検討。この先を読んでください ポイントは「死亡保障は、困る人がいるときだけ必要」という一点です。誰も経済的に困らないなら、保険料はそのままNISAやiDeCoに回したほうが合理的です。 「要検討」に当てはまった方は、読み進める前に保険料の相場感だけ先に確認しておくと、このあとの判断が早くなります。収入保障保険は30代なら月2,000〜3,000円台から入れる商品です。 収入保障保険の仕組みと「割安」のカラクリ 収入保障保険は、契約者が亡くなった場合に、遺族が毎月のお給料のように保険金を受け取れる保険です。たとえば「月10万円を保険期間満了まで受け取る」という形ですね。 普通の定期保険(死亡時に一括で3,000万円など)と比べて、保険料が明らかに安い。ここで「安い=お得?それとも何か裏がある?」と疑問に思う方が多いのですが、カラクリはシンプルです。 保障の総額が、年々減っていくからです。 契約直後に亡くなれば「月10万円×残り25年=3,000万円」を受け取れますが、満了の5年前なら「月10万円×5年=600万円」。受け取り総額が時間とともに減る分、保険会社のリスクも減る。だから安いのです。 「保障が減るなんて損では?」と思うかもしれませんが、実はここが収入保障保険の最も合理的なところです。遺族に必要なお金も、子どもの成長とともに減っていくからです。子どもが5歳の家庭と、大学卒業間近の家庭では、残すべきお金がまったく違います。死亡保険金を3,000万円で固定する定期保険は、後半になるほど「保障の払い過ぎ」になりやすい。必要額の減り方に保障の減り方を合わせた収入保障保険のほうが、実態に合っている世帯は少なくありません。 業界にいた立場からひとつ付け加えると、営業の現場では、収入保障保険よりも保険料が高い商品が優先的に提案されるケースもあります。提案された商品が自分の必要額に合っているかは、勧められた側が自分で確認するしかありません。そのための計算方法を、後ほど実演します。 入る前に知っておきたいデメリット3つ 合理的な保険だと書きましたが、弱点がないわけではありません。「入ってから後悔した」とならないために、デメリットを先に押さえておきましょう。 ① 長生きリスクには対応できない 収入保障保険はあくまで死亡(および所定の高度障害)に備える掛け捨ての保険です。無事に満期を迎えれば、支払った保険料は戻りません。「老後資金が足りない」という長生き側のリスクには1円も役立たないのです。 死亡保障と老後資金準備は、混ぜずに分けて考えるのが原則です。老後資金はNISAやiDeCo・企業型DCで作る。収入保障保険に「貯蓄も兼ねた安心」を期待すると、目的がぶれて後悔のもとになります。 ② 解約返戻金がほぼない 保険料が安い理由のひとつは、解約返戻金をなくす(またはごくわずかにする)ことでコストを削っているからです。途中で解約しても、お金はほとんど戻りません。 これは「掛け捨てだから損」という話ではなく、割安な保険料はこの設計と引き換えだということです。逆に言えば、「途中でやめたら損だから」と必要以上に高い保障で契約してしまうと、見直しの身動きが取りにくくなります。最初から必要額ぴったりで入るのが大切です。 ③ 家族構成が変われば不要になる 収入保障保険の必要性は「自分の収入に依存する家族がいるか」で決まります。つまり、離婚した・子どもが独立した・配偶者の収入が増えたといった変化があれば、必要性そのものが消えたり大きく縮んだりします。 独身に戻ったのに保険料を払い続けている、というのは典型的なムダです。ライフイベントのたびに「この保障、まだ要るか?」を見直す前提で付き合う保険だと理解しておいてください。 この3つを踏まえたうえで、それでも「子どもが独立するまでの死亡保障」が必要な世帯にとっては、収入保障保険は候補になります。では、いくら必要なのか。次章で計算します。 必要額はいくら?モデルケースで計算 モデルケース:35歳会社員(年収600万円)、配偶者(パート年収100万円)、子ども5歳の3人世帯 先に結果からお見せします。 項目金額(月額)遺族に必要な生活費約22万円遺族年金(公的保障)約14万円不足額約8万円 → このケースでは、「月額8万円・保障期間は子どもが独立する22歳まで(17年間)」の収入保障保険が目安になります。 では、なぜこの数字になるのか。順番に分解します。 ステップ1:遺族年金がいくら出るかを知る 会社員が亡くなった場合、18歳年度末までの子がいる配偶者には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2階建てで年金が支給されます。 遺族基礎年金(2026年度・令和8年4月分からの価額) 基本額:847,300円/年 子の加算(1人目・2人目):各243,800円/年 ※金額は日本年金機構の公表値(昭和31年4月2日以後生まれの場合)です。 モデルケース(子1人)では、847,300円+243,800円=1,091,100円/年(月約9.1万円)。 遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3です。概算式は次のとおり。 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数 × 3/4 ※加入月数が300月未満の場合は300月とみなして計算 年収600万円(平均標準報酬額50万円)なら、500,000円 × 5.481/1000 × 300月 × 3/4 ≒ 約61.7万円/年(月約5.1万円)。 ...

2026年6月9日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO