企業型DCって何?転職したら損しない?30代が知っておくべき全知識

保険業界10年を経てIT企業に転職したHIKOです。保険会社には企業型DCがなく、転職して初めて「自分で運用先を選ぶ年金制度」に向き合いました。入社手続きの書類に「企業型DC加入について」という紙が入っていて、運用先を自分で選ばないと定期預金に全額振り分けられると知ったときは焦りました。同じように「よくわからないまま放置している」30代に向けて、使ってわかったことを整理します。 「企業型DC」という言葉、聞いたことはあっても「よくわからない」という方は多いと思います。 会社が積み立ててくれる制度だから放置でいいか、と思っているなら注意が必要です。運用先を選ばないと、増えないお金として30年後に後悔することになります。 そもそも、退職金そのものが以前より当てにしにくくなっています。厚生労働省「就労条件総合調査」によると、勤続20年以上かつ45歳以上で定年退職した人の1人平均退職給付額(大学・大学院卒/管理・事務・技術職)は、平成15年調査の2,499万円から令和5年調査では1,896万円まで下がりました。20年で約600万円の減少です。 ここは誤読されやすいので補足します。この調査の対象は「大企業」ではありません。令和5年調査は常用労働者30人以上を雇用する民営企業から抽出した約6,400社が対象(令和5年1月1日現在)で、中堅・中小を含んだ平均が1,896万円です。また平成15年調査の学歴区分は「大学卒」、令和5年調査は「大学・大学院卒」なので、厳密に同じ系列の比較ではありません。それでも、退職給付制度がある企業で定年まで勤め上げた人の平均がこの水準、という事実は変わりません。 退職金が細っているぶん、自分で運用先を決められる企業型DCをどう扱うかの重みは増しています。 企業型DCとは?3分でわかる基本 企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、会社を通じて毎月一定額を積み立て、従業員が自分で運用先を選ぶ年金制度です。 なお企業型DCには、会社が退職金原資として上乗せ拠出するタイプのほかに、選択制DC(給与原資型)と呼ばれるタイプがあります。選択制DCは給与の一部をDC掛金に振り替える仕組みで、会社が上乗せしてくれるわけではありません。私自身が加入しているのはこの選択制のほうです。どちらのタイプかで「得か損か」の考え方が変わるので、まず自分の会社の制度がどちらかを確認してください。 従来の確定給付型退職金制度と根本的に異なるのは、運用成績によって将来もらえる額が変わるという点です。定期預金にそのまま積み立てれば30年後も元本とわずかな利息しかありませんが、インデックスファンドで運用すれば2〜3倍になる可能性があります。 「会社が勝手にやってくれる」制度ではなく、「会社が積み立てて、育て方は自分が決める」制度です。 項目内容積み立てる人会社(事業主掛金)+本人のマッチング拠出も可運用先の選択自分で選ぶ上限額(他制度なし)月5.5万円(2026年12月1日施行の改正で月6.2万円へ)受取開始年齢原則60〜75歳の間で選択税制優遇運用益が非課税 拠出限度額は2026年12月1日施行の改正で引き上げられます。厚生労働省の事務連絡(令和8年7月13日)にも「現行の5.5万円から6.2万円に引き上がる」と明記されています。根拠は令和7年政令第442号と令和8年厚生労働省令第111号です。規約で施行令を引用している会社は規約変更なしで自動的に6.2万円へ上がりますが、金額をベタ書きしている会社は規約変更をしない限り5.5万円のままなので、自分の会社がどちらかは規約で確認する必要があります。 iDeCoとの違いは? よく混同される「iDeCo(個人型確定拠出年金)」との違いを整理します。 項目企業型DCiDeCo掛け金を払う人会社(事業主掛金)+本人のマッチング拠出自分上限額(会社員)月5.5万円まで(他制度なし)企業年金なしなら月2.3万円/企業型DC加入者は月2万円節税効果運用益が非課税掛金も所得控除+運用益非課税転職したら手続きが必要そのまま継続可 iDeCoの上限は「会社員なら一律で月2万円」ではありません。確定拠出年金法施行令第36条では、勤務先に企業年金がない会社員(第2号加入者)は月2万3,000円、企業型DCに加入している人や確定給付企業年金などの他制度に加入している人は月2万円と区分が分かれています。後者は事業主掛金等が月3万5,000円を超えると、超えた分だけiDeCoの枠が削られます。 企業型DCとiDeCoの違いは、掛金が会社の制度を通じて拠出されるか、自分で金融機関に申し込んで拠出するかという点にあります。 上乗せ拠出型の企業型DCであれば、掛金は会社が退職金原資として出してくれるものなので、運用先を選ばずに放置するのはもったいない制度です。一方の選択制DCは自分の給与を振り替えているので、社会保険料の算定基礎が下がる(=将来の厚生年金や傷病手当金などが目減りする可能性がある)という裏側も含めて判断する必要があります。いずれにしても、加入している以上は運用先を選ばずに放置しないことが要点です。 運用先を放置すると損する理由 企業型DCで最もやりがちなミスが「デフォルト(初期設定)のまま放置」です。 多くの企業では、加入手続き時に運用先を指定しないと元本確保型(定期預金や保険)に全額振り分けられます。 実際、運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料」(2025年3月末)では、企業型DCで元本確保型のみで運用している人の割合は21.2%です。年々下がってはいます(2021年3月末32.1%→2025年3月末21.2%)が、iDeCoの16.9%より高い水準が続いています。 企業型DCのほうが放置されやすいのには、構造的な理由があります。 入社時に自動加入となり、商品を選んでいる意識が薄いまま始まる 運用教育が入社時の単発で終わり、変更するタイミングを逃しやすい 自分のIDで運用画面にログインしたことがないまま年数が経つ 投資経験がないと「とりあえず元本確保型」を選んでそのまま忘れる つまり「危険な選択をした」のではなく、選び直す機会を持たないまま時間が過ぎている人が多い、というのが実態に近いと感じます。 ここで注意したいのは、DC専用の定期預金の利率は運営管理機関ごとに違い、店頭の定期預金とも一致しないことです。市中金利が上がった局面では店頭金利も動いています(三井住友銀行の円預金金利はスーパー定期1年で0.500%、10年で1.250%=2026年8月12日現在の掲載値)。自分のDCの利率は、必ず運用商品一覧の画面で実際の数値を確認してください。「定期預金だから年0.0何%」と決めつけて判断しないほうが安全です。 一方、インデックスファンド(全世界株式や全米株式)を選んでいれば、長期では年3〜7%程度の成長が期待できます(過去の実績をもとにした一般的な期待値で、将来の成果を保証するものではありません)。 20年間・毎月1万円を積み立てた場合、想定年利で受取額はこれだけ変わります。 想定年利0.1%:約242万円 想定年利5%:約411万円 約170万円の差です。「放置は損」というよりも「機会を捨てている」状態です。 20年・月1万円積立の想定年利別の受取額(万円) 242万円 年0.1%と仮定 411万円 年5%と仮定 いずれも仮定の年利による試算です。実際のDC定期預金の利率は運営管理機関ごとに異なるため、自分の画面で確認してください。 私が転職直後に真っ先にやったのが、この運用先の変更です。会社のDC専用サイトにログインして、外国株式インデックスファンド(MSCIコクサイ連動・信託報酬0.275%)への振り分けを設定しました。30分もかかりませんでした。その後、ラインナップにより信託報酬の低いS&P500インデックスファンド(0.198%)が追加されたタイミングで、そちらへ一本化しています。 元本確保型が向いている人もいる 前提として書いておきます。元本確保型が誰にとっても悪い選択肢、というわけではありません。次のような方には合理的な選び方です。 退職まで5年を切っている:相場が下落したときに回復を待つ時間がありません 生活防衛資金が不足している:DC残高にも安全資産を置いておきたい局面があります 値動きで眠れなくなる:精神的な耐性は本人にしかわかりません NISAなど他の口座で十分にリスクを取っている:DCをバランス調整に使う考え方があります 大事なのは、自分で比べたうえで選んでいるかどうかです。この記事で問題にしているのは元本確保型そのものではなく、選択肢を比べないまま放置している状態のほうです。 転職したときの手続き 転職時に企業型DCを「どう持ち運ぶか」は必ず考えておく必要があります。放置すると管理手数料だけが引かれ続ける状態になります。 パターン①:転職先にも企業型DCがある場合 前の会社のDC資産を移換(ポータビリティ)できます。転職後6ヶ月以内に手続きが必要です。放置すると自動移換されますが、自動移換先の口座では管理手数料がかかり続け、かつ運用先が制限されます。早めに手続きをしましょう。 パターン②:転職先に企業型DCがない場合 iDeCoに移換します。iDeCo口座を開設して、資産を受け取る形で移換手続きを行います。これにより引き続き運用を続けることができます。 iDeCoの口座は一度開いたら長期間使い続けるので、運営管理手数料がかからず・低コストのインデックスファンドが揃っている証券会社を選ぶのが鉄則です。私が記事内で比較・整理してきた中では、運営管理手数料0円・取扱商品40種類(松井証券調べ。法令上の商品数はターゲットシリーズを1商品とするため31商品)の松井証券などが候補になります。 なお、iDeCoは運営管理手数料が0円の金融機関を選んでも、国民年金基金連合会への手数料が掛金納付の都度105円かかります(新規加入・資産移換時には別途2,829円)。これに加えて事務委託先金融機関の手数料もかかりますが、こちらはiDeCo公式サイトも「機関により異なる」としており金額を公表していません。「手数料が完全にゼロ」ではない点は押さえたうえで、申込先の手数料表で実額を確認してください。 iDeCoへの移換先として|松井証券 運営管理手数料0円・取扱商品40種類(松井証券調べ/法令上は31商品)・電話サポートHDI三つ星15年連続。企業型DCからiDeCoへの移換先として、長期保有との相性が良い1社です。 松井証券でiDeCo口座を開く → ※アフィリエイトリンクを含みます。 パターン③:自営業・フリーランスになる場合 iDeCoに移換するか、国民年金基金連合会に自動移換されます。自動移換先は手数料がかかるため、早めにiDeCoへの移換手続きを行うことをおすすめします。 ...

2026年4月19日 · 最終更新: 2026年8月16日 · HIKO

実家暮らしでNISA満額3年突っ込んだ20代の話|2015年の私と今の『NISA貧乏』の共通点

投資歴10年超のHIKOです。2015年に新卒で社会人になってNISAを始めました。当時の年収は約300万円(残業代込み)、月手取り16〜20万円。それでも旧NISA満額(年100〜120万円)を3年連続で突っ込めたのは、実家暮らしで家賃ゼロ・食費ほぼゼロだったからです。 最近X(旧Twitter)で見かける「NISA貧乏」の話を読むたびに、当時の自分を思い出します。「焦り」はなかったけど「将来不安」はあった。手取りのほとんどをNISAに投入していた構造は、今のNISA貧乏ブームと同じでした。違いは、私が実家暮らしだっただけ。 この記事は2015〜2017年の私のNISA買付実績を一次データで全部出した上で、今のNISA貧乏に陥っている人と何が共通していて、何が違うのかを整理します。 結論:実家暮らしを最大活用したNISA満額3年戦略 先に結論を出します。 私は2015〜2017年の3年間で、旧NISAに約340万円突っ込みました。 年買付回数年間買付額月平均201527回998,000円約83,000円201629回1,201,771円約100,000円20179回1,200,000円約100,000円 旧NISAの非課税枠は2015年が100万円、2016年から120万円に拡大。私は3年連続でほぼ満額を使い切っています。これが可能だったのは1つの条件のおかげでした。 実家暮らしで家賃ゼロ・食費ほぼゼロだったこと。 当時の家計:年収300万円・実家暮らしの構造 2015年4月入社、新卒1年目の私の家計はこうでした。 初任給:21万円スタート+残業代+α 想定年収:約300万円(残業代込み) 月手取り:約16〜20万円 家賃:ゼロ(実家暮らし) 食費:ほぼゼロ(実家のごはん) 通信費・保険・娯楽など:月3〜5万円程度 つまり手取り16〜20万円のうち、生活費として出ていく分は3〜5万円。残り11〜17万円が浮いている状態です。ここからNISAに月8〜10万円投入していました。 割合にすると、手取りの実質40〜50%をNISAに投入していたことになります。 これ、よく見ると今のNISA貧乏と同じ比率です。 2015年5月と2016年6月の「単月370,000円超」を解説する 買付回数を見ると、2015年は27回、2016年は29回、2017年は9回です。回数が多い年は「給料が入った直後にちょこちょこ買う」+「ボーナス時期に大きめに買う」のパターン。 特に2015年5月は単月で370,758円、2016年6月は単月で382,548円を投入しています。これはボーナス月にまとめて突っ込んだ結果です。 2017年が9回しかないのは、年明け1月にいきなり120万円を一気投入したから。年初一括で枠を使い切る判断をしたわけです。買付回数9回の内訳は、1月に1回大きく投入してから、その後は微調整で買い増しただけ。 「年100万円超を突っ込む」と聞くと無謀に聞こえますが、当時の私は実家暮らしで月の生活費が3〜5万円だったので、ボーナス20〜30万円が丸ごと余ります。それをNISAに突っ込めば年100万円なんて簡単に到達するんです。 旧NISA最初の3年の配当推移 突っ込んだ金額に対して、配当はどう増えていったかも一次データで出します。 年配当(税引後・円建て)20152,050円201625,800円201765,725円 2015年は2,050円。これは買い始めたのが4月以降だったため、配当の権利確定日に間に合った銘柄が少なかったのが理由。2016年に2万円台、2017年に6万円台へと急速に増えています。 ここから10年、配当は積み上がり続けて、2015〜2024年の旧NISA配当累計は904,551円(約90万円)に到達しました。詳細は旧NISA10年の配当実績記事に書いています。 新卒1年目の自分が、毎月「配当2,050円」しか入ってこない口座を見て「全然増えないじゃん」と思っていた当時を、今振り返ると泣けます。 「焦りはないが将来不安はある」を支えたのは持ち続ける選択だった 冒頭で「焦りはなかったけれど将来不安はあった」と書きました。当時の私の不安に対して、結果的に支えになったのは、買った銘柄を含み損のまま持ち続けるという選択でした。 代表例がコナカ(7494)です。NISA初年度の2015年5月21日に738円×100株=73,800円で購入しました。購入後ほどなく株価は下がり始めて、そこから9年5ヶ月、200〜400円台で推移します。含み損は数万円規模、評価額だけ見れば失敗です。 それでも私は損切りせずに持ち続けました。「将来不安はある、でもこの銘柄を売って現金化したところで何かが解決するわけでもない」という消極的な保有判断です。結果として、旧NISAの非課税枠で配当だけは年2回入り続けて、2015年12月から2023年12月までの16回で合計16,000円(1株10円×100株×16回)を非課税で受け取れました。 NISA貧乏という言葉から想像されるのは「節約して投資した分が含み損になって生活が苦しくなる」イメージですが、実際の私は逆でした。生活は実家暮らしで崩れず、含み損銘柄からも配当だけは入り続けた。だから心理的には耐えられた、というのが正直なところです。 そのコナカも、2024年11月26日に旧NISAの非課税期間が2024年末で切れるタイミングで一区切りつけました。247円で売却して同日に特定口座で248円で買い戻すクロス取引です。確定損は-49,100円ですが、配当16,000円と合わせれば確定損益は約-3万円。9年5ヶ月持ち続けた銘柄を、非課税期間の終わりという節目で口座区分だけ切り替えた、という形です。 もし当時の私が一人暮らしで家賃15万円払いながら同じ買付ペースで突っ込んでいたら、コナカの含み損が数万円見えただけで「生活も苦しいのに含み損まで」と心が折れていたはずです。NISA貧乏が一番怖いのは、生活と精神の両方が削られて、結果として投資そのものをやめてしまうことだと思います。 ここからが本題:今の「NISA貧乏」との共通点 2024年に新NISAが始まってから、X(旧Twitter)で「NISA貧乏」というキーワードを見るようになりました。 新NISAは年間360万円の非課税枠があります。月30万円積み立てれば1年で枠を使い切れる。「とにかく早く埋めたい」「複利の効果は早く始めるほど大きい」という発信を真に受けて、手取りの大半をNISAに突っ込んでしまう人が出てきました。 20代の一人暮らしで家賃15〜20万円払いながら、月10万円・15万円とNISAに突っ込もうとして詰む——これがNISA貧乏の典型パターンです。 ここで認めなきゃいけないことがあります。 私の2015〜2017年は、この構造とまったく同じでした。 項目2015年の私今のNISA貧乏年齢22〜24歳20代〜30代前半動機将来不安からの貯蓄代わり投資同じ手取りに対するNISA比率40〜50%40〜60%結果手元現金が薄かった手元現金が薄い違い実家暮らしで家賃ゼロ一人暮らしで家賃15〜20万円 「焦り」はなかった、と最初に書きました。それは正直な感覚です。当時の私は「複利の効果」とか「早く始めるほど勝ち」とか、そんな崇高な動機でNISAをやっていたわけじゃない。 ...

2026年4月19日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

新NISAの始め方|30代初心者が最初にやること5ステップ【投資歴10年超】

投資歴10年超、保険業界10年→IT企業に転職したHIKOです。NISAを始めたのは2015年。最初の数年は個別株で失敗を繰り返し、青山商事だけで−31万円の損失を出しました。その後インデックス投資に切り替えて、旧NISAで配当累計90万円超を実現しています。同じように「始めたいけど一歩が踏み出せない」状態だった自分に向けて、この記事を書きました。 30代になって「そろそろ投資を始めないと」と思いつつ、なかなか動けていませんか。 2015年に私がNISA口座を開設したとき、最初の壁は「何を買えばいいかわからない」という問題でした。結果として最初の数年間は個別株で大きな損失を出しました。今の私が当時の自分に伝えられるとしたら、「インデックスファンドの積立一択にしておけ」の一言です。 この記事では、新NISAの始め方を、口座開設から最初の積立設定まで、迷わず動ける5つのステップに分けて解説します。私の失敗から学んだ「やってはいけないこと」も一緒にお伝えします。 この記事は「どう始めるか」の手順書です。「そもそも月いくら入れればいいのか」がまだ決まっていない方は、投資はいくらから始める?手取り別の金額目安と生活防衛資金の順番を先に読んでください。生活防衛資金をいくら確保してから始めるか、固定費のどこを削って原資を作るかを金額ベースで整理しています。手順を知りたいならこの記事、いくらから始めるかを決めたいならそちら、という役割分担です。 新NISAとは?30代が最初に押さえる基本 新NISAは2024年からスタートした国の税制優遇制度です。通常、株や投資信託で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内の運用益は非課税になります。 項目新NISA(2024年〜)年間投資上限360万円生涯投資上限1,800万円非課税期間無期限対象年齢18歳以上 旧NISAと比べて非課税期間が無期限になったのが最大の改善点です。30代から始めても30年以上、複利の恩恵を受け続けられます。 私が投資を始めた2015年当時の旧NISAは非課税期間が5年でした。5年間の制約があったために、株価が下がっているタイミングで「枠が切れるから売らなきゃ」という無駄な判断をしたこともあります。新NISAにはそのような制約がないため、長期保有しやすくなっています。 新NISAを30代の今すぐ始めるべき理由 老後2000万円問題という言葉を聞いたことがあると思います。平均的な会社員が老後に必要とされる不足額の目安です。 月3万円を年利5%で20年間運用した場合と、貯金だけの場合を比べると、次のような差になります。 貯金のみ:720万円 NISA(年利5%想定):約1,233万円 月3万円を20年続けた場合の資産額 ¥720 貯金のみ ¥985 NISA 年3% ¥1233 NISA 年5% ¥1562 NISA 年7% 単位:万円/複利運用した場合の試算(元本720万円)。年率はあくまで想定で、将来の運用成果を保証するものではありません。 その差は約513万円。始める時期が10年遅れると、この差はさらに広がります。30代は「時間」という最大の武器を持っています。 同世代がどれだけ動いているかも、数字で見ておきます。証券会社のNISA口座は2025年12月末時点で約2,025万口座あり、そのうち30代は約414万口座です。最多の40代(約417万口座)とほぼ並び、口座全体のおよそ5分の1を30代が占めています(出典:日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況(2025年12月末時点)」)。周りが話題にしないだけで、同世代はすでに始めている、というのが実態です。 私自身の例を挙げると、2015年から2024年の10年間で旧NISAの配当累計が90万円超になりました。これは何十時間も相場を監視した結果ではなく、積み立て設定をして放置した結果です。早く始めること、それ自体が資産形成で最も重要な行動だと実感しています。 新NISAの始め方5ステップ ここからが本題です。口座開設から積立設定まで、順番にやれば迷いません。 ステップ1|証券会社を選ぶ(ネット証券一択) NISA口座は銀行でも開けますが、ネット証券一択です。手数料が圧倒的に安く、投資できる商品の種類も豊富だからです。 私は楽天証券でNISAを始めました。2015年当時から使い続けて10年以上になります。アプリの使いやすさ、ラインナップの豊富さ、どれも不満がありません。 初心者におすすめの2社を挙げます。 楽天証券 楽天ポイントで投資できる アプリが使いやすく初心者向け 楽天経済圏をすでに使っている人に最適 楽天カード積立でポイントが毎月貯まる SBI証券 国内最大手で安心感がある 投資信託のラインナップが業界最多水準 三井住友カード積立でVポイントが貯まる IPO(新規上場株)に参加しやすい どちらを選んでも大差ありません。楽天サービスをよく使う→楽天証券、そうでなければSBI証券と覚えておけばOKです。 証券口座の詳しい比較は別記事でまとめています。→ 楽天証券と松井証券を比較【30代投資家が10年超使って正直比較|SBI証券も】 新NISAを今すぐ始めるなら楽天証券 楽天カード積立でポイントが貯まり、アプリから最短30分で口座開設+NISA設定が完了。月100円から始められます。 楽天証券で無料口座開設する → ※アフィリエイトリンクを含みます(TGアフィリエイト)。口座開設・維持費用は無料。 「電話で相談しながら始めたい」「ネット完結だと不安」という方には、サポート重視の松井証券という選択肢もあります。NISA口座は日本株・米国株・投信すべて手数料0円で、HDI格付け15年連続三つ星のサポート体制は初心者でも迷わず進められます。この2社で迷う場合は、楽天証券と松井証券の比較に2社専用の比較表とQ&Aをまとめています。 新NISAを松井証券で始めるという選択 NISA口座は日本株・米国株・投信すべて手数料0円。HDI格付け15年連続三つ星の電話サポートで初心者でも迷わない。 松井証券で無料口座開設する → ※アフィリエイトリンクを含みます。口座開設・維持費用は無料。 ステップ2|NISA口座を開設する(スマホで最短5分) 申し込み自体はスマホで完結します。手元に用意するものは以下の3点だけです。 ...

2026年4月19日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

貸株はやめたほうがいい?27銘柄・5年7ヶ月の実績と「貸さない17銘柄」の線引き

27銘柄を5年7ヶ月貸した結果、累計51,452円でした。結論は「基本はやらなくていい。ただし、特定口座に長期保有株が多い人は例外」です。 NISAを中心に資産形成している30代会社員向けに書いています。投資歴10年超・FP2級のHIKO(平成時代を生きた30代、夫婦二人暮らし)です。銘柄ごとの金利差と、あえて「貸さない17銘柄」の線引きまで公開します。 貸株はやめたほうがいい?→私の答えと条件 「貸株はやめたほうがいい?」と検索してたどり着いた方への、私の答えを先に書きます。 基本はやらなくていいです。ただし、特定口座に長期保有株が多い人は例外で、各銘柄に「株主優待・予想有配優先」を設定できるなら続けても問題ありません。これが27銘柄・5年7ヶ月で51,452円(月平均768円)という一次データを持つ私の結論です。 「やめたほうがいい」と言われる理由(証券会社の信用リスク・配当金相当額が雑所得になる問題・優待や長期保有との相性)は実在します。本文で一つずつ実体験ベースで検証しますが、いずれも「条件を満たせば管理可能」なリスクで、逆に条件を満たせない人は最初からやらないほうがいい、という整理になります。 保有スタイル貸株の判断NISAがメインやらなくていい(そもそも使えない)優待株を特定口座で保有「株主優待・予想有配優先」設定を入れれば可能(金利は薄まる)高金利の小型株を特定口座で保有スポット的にはあり(ただし条件付き) この3行で判断できる人は、以降を読まなくても大丈夫です。 私の貸株27銘柄を全公開します(2026年7月時点) 特定口座で保有している44銘柄のうち、実際に貸株に出しているのは27銘柄です。残る17銘柄はあえて貸していません(理由は次の章に書きます)。 2026年7月27日時点の残高はこうなっています。 項目金額貸株残高5,253,820円保有銘柄残高12,855,110円7月計上金利416.93円 保有額の4割ほどを貸し出している状態です。銘柄ごとの内訳を全部出します。 コード銘柄株数金利9233アジア航測1000.40%3816大和コンピューター1000.25%2301学情1000.15%2413エムスリー1000.10%2432ディー・エヌ・エー1000.10%2519NF新興国債券ヘ無100.10%3148クリエイトSDホールディングス1000.10%3626TIS1000.10%3854アイル1000.10%3921ネオジャパン1000.10%4076シイエヌエス1000.10%4187大阪有機化学工業1000.10%4554富士製薬工業1000.10%4763クリーク・アンド・リバー社1000.10%5388クニミネ工業1000.10%6061ユニバーサル園芸社2000.10%6091ウエスコホールディングス1000.10%7494コナカ1000.10%7713シグマ光機1000.10%7730マニー1000.10%7856萩原工業1000.10%8697日本取引所グループ1000.10%8772アサックス1000.10%8931和田興産1000.10%9069センコーグループホールディングス1000.10%9692シーイーシー1000.10%9799旭情報サービス1000.10% 27銘柄のうち24銘柄が金利0.10%です。例外はアジア航測(0.40%)、大和コンピューター(0.25%)、学情(0.15%)の3銘柄だけ。「貸株は高金利銘柄を狙う」と聞くと夢があるように感じますが、現実はほとんどの銘柄が0.1%で横並びになります。 ...

2026年4月19日 · 最終更新: 2026年8月14日 · HIKO

投資はいくらから始める?手取り別の金額目安と生活防衛資金の順番【30代】

投資歴10年超(2015年NISAスタート)、保険業界10年からIT企業に転職したHIKOです。FP2級を保有しています。 投資を始めようと思ったとき、多くの人が最初に詰まるのは「何を買うか」ではなく「いくら入れればいいのか」です。私自身、2015年に年収300万円台で投資を始めたとき、金額の決め方がわからないまま「買える金額かどうか」で銘柄を選んでいました。その結果が、コナカ(7494)を738円×100株という買い方です。 この記事は、投資を始める前の「家計側の準備」に絞って書きます。いくら確保してから始めるか、どこを削って原資を作るか、続けられる金額をどう決めるか。この3つだけです。 なお、口座開設から商品選び・積立設定までの手順を知りたい方は、新NISAの始め方|30代初心者が最初にやること5ステップが手順書になっています。手順を知りたいならそちら、いくらから始めるかを決めたいならこの記事、という役割分担です。 投資はいくらから始める?結論は「生活防衛資金の確保後、手取りの10〜15%」 先に結論を書きます。 生活防衛資金(生活費3〜6ヶ月分)を現金で確保する 家賃を含む固定費を、手取りに対して無理のない比率まで下げる その結果として残った余剰資金から、手取りの10〜15%を目安に積立額を決める 金額そのものより、この順番のほうが結果に効きます。証券会社によっては月100円から積み立てられるので、「いくらから始められるか」という意味での下限は実質ありません。問題は「いくらなら続けられるか」です。 順番を飛ばして積立額だけを大きくすると、急な出費のたびに取り崩すことになり、複利が効き始める前に運用がリセットされます。私が10年超やってきた実感として、金額を上げることより、下げずに続けることのほうが難しいです。 投資を始める前に生活防衛資金はいくら必要か 生活防衛資金とは、収入が止まっても生活を維持するための現金です。目安は生活費の3〜6ヶ月分と言われています。 状況目標額の目安考え方会社員・共働き生活費3ヶ月分傷病手当金・失業給付の対象になるため、公的な下支えがある会社員・単独収入生活費4〜6ヶ月分収入が止まると世帯全体が止まるため厚めに転職を考えている生活費6ヶ月分離職期間と転職後の収入変動を織り込む 置き場所は、値動きのない普通預金など、すぐ引き出せるところが前提です。「生活防衛資金も運用したほうが効率的では」と考えたくなりますが、必要なときに元本割れしている可能性がある場所に置くと、防衛資金の役目を果たしません。 私が2015年から3年間、旧NISAをほぼ満額で埋めていたときの手取りは月16〜20万円でした。手取りの40〜50%を投資に回していた計算になりますが、これが破綻しなかったのは実家暮らしで家賃・食費がほぼゼロだったからです。家賃を払う生活で同じ比率を入れていたら、間違いなく途中で止まっていました。当時の買付額・銘柄・配当推移は実家暮らしでNISA満額3年突っ込んだ20代の話に一次データで残しています。 「いま話題のNISA貧乏」と私の当時の違いは、家賃がゼロだったかどうかの一点だけでした。だからこそ、金額を決める前に現金の土台を作る順番を強く勧めています。 投資の原資は固定費の見直しで作る(家賃が最大のレバー) 「投資に回すお金がない」という状態のとき、収入を増やすより先に効くのは固定費です。固定費は一度下げれば毎月自動的に効き続けるため、原資づくりの再現性が最も高い方法です。 優先順位は次のとおりです。 家賃:金額が最大。1回の見直しで月数万円動く 通信費:格安SIMへの切り替えで月数千円 保険料:保障の重複・不要な特約の整理 サブスク:使っていないものの解約 家賃が最優先なのは、単純に金額が大きいからです。目安は手取りの25〜28%以内。よく言われる「30%ルール」は貯蓄しない前提の生活ラインなので、投資と並行するなら27〜28%を上限として考えるほうが現実的です。手取り別の具体的な上限額は家賃の安全ラインは手取り何%?手取り別シミュレーションで「自分の上限」を出す方法に数値で出しています。 私自身、独身時代に港区の1Kで手取り35万円・家賃16万円という生活をしていました。比率にすると46%です。当時の毎月の貯金はゼロでした。手取りは決して少なくないのに、原因はほぼ家賃だけだったという当時の内訳は家賃の安全ラインは手取り何%?手取り別シミュレーションで「自分の上限」を出す方法に書いています。結婚を機に転居して家賃が月5万円下がり、そこが投資原資になりました。 通信費・保険料・サブスクを含めた固定費全体の下げ方は固定費を下げる方法|まず見直すべき3つと優先順位にまとめています。 なお、家賃が高い状態のまま投資を始める設計もあり得ます。転居がすぐにできない場合の考え方は家賃の安全ラインは手取り何%?手取り別シミュレーションで「自分の上限」を出す方法の「いまの家賃をすぐには下げられない場合」に整理しています。 投資額は手取り別にいくらが目安か 生活防衛資金と固定費の条件が整った前提で、手取り別の目安を並べます。 手取り月収生活防衛資金の目標(3ヶ月分の目安)家賃の上限目安(25〜28%)投資額の目安(10〜15%)20万円約60万円5.0〜5.6万円月2〜3万円25万円約75万円6.3〜7.0万円月2.5〜3.8万円30万円約90万円7.5〜8.4万円月3〜4.5万円35万円約105万円8.8〜9.8万円月3.5〜5.3万円 生活防衛資金の欄は「生活費が手取りとほぼ同額」と仮定した場合の3ヶ月分です。生活費が手取りより少ない方は、その分だけ目標額も下がります。 投資額の欄はあくまで一般的に使われる比率であり、この金額を入れなければならないという性質のものではありません。条件が整っていない段階なら、月1万円から始めて、固定費を下げられた分だけ積立額を上げていくほうが安全です。 月3万円を10年間、年率5%を置いた概算では、元本360万円が約466万円になります。ただしこれは一定の利回りを仮定した試算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。運用期間中に元本を割り込む可能性もあります。 続けられる投資額の決め方3ステップ 金額の決め方を、実際に手を動かす順番で書きます。 ステップ1|生活防衛資金の「残り」を計算する いまの貯金額から、生活費3ヶ月分(不安な方は6ヶ月分)を引きます。マイナスなら、その差額が埋まるまでは貯金が優先です。投資を並行したい場合でも、貯金の増加ペースが落ちない範囲に積立額を抑えてください。 ステップ2|固定費を下げて、原資の上限を決める 家賃・通信費・保険料・サブスクを棚卸しして、下げられた金額を出します。ここで浮いた金額が、生活水準を落とさずに投資へ回せる上限です。生活費を我慢して捻出した金額は、反動でいずれ止まります。 ステップ3|「下げずに続けられる額」まで落として設定する 出した上限額から、さらに2〜3割落とした金額で自動積立を設定します。余裕があれば増やせますが、一度設定した積立額を下げるのは心理的に負担が大きいためです。 積立を止めてしまうことのコストは、金額が小さいこと以上に大きくなります。月3万円を年率5%と置いた場合の概算で比較すると、次のような差になります。 月3万円の積立を「いつまで続けたか」による差(年率5%想定) 272万円 3年でやめた 767万円 10年でやめた 1233万円 20年続けた 単位:万円/20年時点の評価額の概算。投入元本は3年=108万円・10年=360万円・20年=720万円。積立をやめた後も運用は継続した前提です。一定の利回りを置いた試算であり、将来の運用成果を保証するものではなく、元本割れの可能性もあります。 3年でやめた場合と20年続けた場合の差は、金額の大きさではなく期間の長さから生まれています。だからこそ、決めるべきなのは「最大いくら出せるか」ではなく「何があっても下げずに済む額はいくらか」です。 投資額の決め方でやりがちな失敗(私の実体験) 「買える金額」で投資先を選んでしまう 2015年に投資を始めたとき、私は月々の余力から逆算して「いま買える金額の銘柄」を選んでいました。コナカ(7494)を738円×100株で買ったのがその典型です。金額の制約が投資対象の選定基準になってしまうと、企業の中身を見ないまま買うことになります。この時期の失敗は旧NISAで個別株投資に失敗した話に取引履歴つきで書いています。 いまは金額の制約と商品選びを切り離せます。投資信託なら月100円単位で買えるので、「予算が少ないから対象を変える」必要がありません。商品選びの考え方はオルカン積立の実績を公開|個別株の98%が日本株だった私が全世界株を選んだ理由にまとめています。 非課税枠を「埋めるべき目標」だと思ってしまう 新NISAの年間360万円という枠は上限であって、ノルマではありません。枠を基準に積立額を決めると、家計の実力と無関係な金額になります。基準にすべきなのは枠ではなく手取りと固定費です。 一気にまとまった額を入れてしまう 始めた直後に下落局面が来ると、金額が大きいほど耐えられなくなります。最初の数年は「相場が下がっても設定を触らずにいられるか」を確認する期間だと考えて、金額を抑えるほうが結果的に長続きします。 ...

2026年4月19日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO