【2026年NISA改正まとめ】結局どうする?30代投資家の結論

2026年のNISA改正、結論は「やることは変わりません」 いきなり結論です。ほとんどの人にとって、やることは変わりません。 毎月無理のない金額を積み立てる 全世界株(オルカン)1本 そのまま続ける この記事は、主にこういう方に向けて書いています。 貯金はあるけれど、投資はまだ始めていない NISAは気になっているけれど、なんとなく放置している 「2026年に改正があるらしいから、そのタイミングで始めようかな」と思っている 「制度が変わるなら待ったほうがいいのでは」と考えるのは自然です。ただ、投資の結果を左右するのは主に「どれだけ長く続けたか」なので、確定を待って動かない期間が長くなるほど、その分だけ複利の効く時間は短くなります。私自身は、待つ理由にはなりにくいと考えています。 投資歴10年超(2015年NISAスタート)・保険業界10年・FP2級のHIKOが、30代目線でまとめました。 2026年NISA改正の現在地|確定した内容と、まだ議論中の内容 まず情報の確度を整理します。この記事の更新時点は2026年8月です。 内容現時点の状態こどもNISA(0〜17歳が使えるつみたて枠)法律で確定。「所得税法等の一部を改正する法律」が2026年3月31日に成立・公布され、施行日は2026年4月1日(別段の定めがあるものを除く)。勘定を設けられるのは2027年以後非課税枠の復活を「時価」ベースに変更議論段階。令和8年度税制改正の大綱にも記載がなく、確定した制度設計は見当たりませんつみたて投資枠の対象商品の見直し(公社債・指定指数)大綱に明記。指定インデックス投資信託以外の公募株式投資信託の主たる投資対象資産を「株式」から「株式又は公社債」へ。指定指数に読売株価指数とJPXプライム150指数を追加 2026年春の時点では「全部まだ検討中」という整理でしたが、こどもNISAはその段階を越えて、法律の成立・公布まで進みました。財務省が公表した法律案の概要にも「NISAの拡充(つみたて投資枠の口座開設可能年齢を0〜17歳に拡充(年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円))」と明記されています(出典: 財務省第221回国会における財務省関連法律・2026年8月13日確認)。 一方で、法律が通ったからといって手元の実務まで決まったわけではありません。年齢確認の方法や金融機関での手続き、つみたて投資枠の対象商品の細目(公社債や指定指数の要件)は政令・告示で定められる部分が残ります。SNSで断言している情報は、出典と日付を確認してから読むことをおすすめします。 こどもNISAとは|0〜17歳・年間60万円・2027年開始予定 成立した法律で示されている骨格は次のとおりです。 項目内容対象年齢0〜17歳(非課税口座の口座開設可能年齢の下限を撤廃)年間投資枠60万円非課税保有限度額600万円開始時期未成年者特定累積投資勘定を設けられるのは2027年(令和9年)以後の各年投資対象つみたて投資枠の対象商品(公募等株式投資信託の受益権) かつてのジュニアNISAとの一番の違いは、払出し制限の設計です。 こどもNISAの払出し制限|12歳以降も「使いみち」は限定されます ここは誤解されやすいので、成立した法律の要綱に沿って正確に書きます。 時期払い出せる場合3月31日時点で12歳である年の前年以前災害・疾病その他のやむを得ない事由による場合のみ(勘定と口座の全額払出し)3月31日時点で12歳である年以後上記に加えて、教育費または生活費の支払に充てるためという事由を記載した書類を提出した場合 つまり12歳以降も、用途を問わず自由に引き出せるようになるわけではありません。学校の入学金・授業料などの教育費や生活費に充てる場合に限られ、金融機関へ書類を出す手続きが必要です(令和8年度税制改正の大綱では、この手続きは親権者等が行い、本人の同意を証する書類を添付するとされています)。取扱いに反する払出しをした場合は、それまでの譲渡益と配当に課税されます。 出典: 財務省「所得税法等の一部を改正する法律案要綱」(PDF)および「令和8年度税制改正の大綱」(PDF p.19-20)・いずれも2026年8月13日確認。 ジュニアNISAは「18歳まで払い出せない」という制限の厳しさが敬遠された面がありました。今回は12歳という区切りが入り、教育費・生活費という出口が用意された形です。ただし「途中で自由に引き出せる口座」ではないので、教育費以外の用途も想定するお金を入れる場所としては向きません。 子どもがいない私から見た距離感 私は夫婦二人暮らしで子どもがいないので、こどもNISAを使う立場ではありません。当事者としての体験は書けないので、制度の距離感だけ書いておきます。 家族構成によっては効く制度だと思います。大学入学まで15年以上あるなら、非課税で積み立てられる枠が増える意味は小さくありません。一方で、数年以内に教育費が必要な場合は、期間が短いぶん元本割れのリスクが相対的に大きくなります。 そして、これは制度に関係なく言えることですが、親自身のNISA枠が余っているなら、そちらを先に埋めるほうが順番としては自然だと私は考えています。子ども名義の枠を作ること自体が目的化しないほうがいい、という程度の話です。 出典は財務省「第221回国会における財務省関連法律」(法律案・要綱・概要)と「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月26日閣議決定)です。→ https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/221diet/index.html / https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf 非課税枠の「時価」ベース復活案|長期積立にはほぼ影響なし 現行のNISAでは、売却した分の取得額(買った値段)が翌年に復活します。これを売却時の時価ベースに変える案が議論されています。 たとえば10万円で買った投資信託が15万円になった時点で売却した場合、現行なら翌年に10万円分の枠が戻り、案のとおりになれば15万円分が戻る、という違いです。 これは値上がりした商品を売って別の商品に乗り換える人には効きます。ただ、オルカンを淡々と積み立てるだけの層は、そもそも売らないのでほぼ関係がありません。 むしろ気になるのは「枠が多く戻るなら売ってもいいか」と考えてしまうことのほうです。長期投資では、不要な売買や感情に流された判断がリターンを削る要因になりやすいと言われています。私は積立中のオルカンを売る理由がないので、この案が確定しても行動は変えない予定です。 つみたて投資枠への債券型ファンド追加案|選択肢が増えると迷いも増える これは議論段階ではなく、令和8年度税制改正の大綱に書き込まれています。大綱の金融・証券税制には、指定インデックス投資信託以外の公募株式投資信託について「主たる投資の対象資産に係る要件について、対象資産を株式又は公社債(現行:株式)とする」と明記されています。あわせて、指定インデックス投資信託の指定指数に読売株価指数とJPXプライム150指数を加えることも記載されています(出典: 財務省「令和8年度税制改正の大綱」PDF p.21-22・2026年8月13日確認)。実際にどのファンドが対象になるかは、政令・告示で要件が定まってから金融庁の対象商品リストに反映されます。 選択肢が増えること自体は悪いことではありません。ただ、投資を始めたばかりの人にとっては「株と債券どちらにするか」「比率はどうするか」という新しい悩みが増えます。 最初に必要なのは商品の最適解を出すことではなく、続けられる形で始めることだと私は考えています。選択肢が増えたせいで「もう少し考えてから始めよう」と先送りする人が出るのがいちばんもったいない、というのが正直な感想です。 2026年NISA改正でもオルカン1本の方針は変えない 「でもS&P500のほうがいいのでは」「日本株は入れなくていいのか」と思った方もいると思います。 私の考えはシンプルで、オルカンはすでに分散が完成しているので、つみたて投資枠の中で他に足す必要がないというものです。米国、その他の先進国、新興国が1本の中に自動で入っています。国の選び方も、乗り換えのタイミングも、将来予測も自分でやらなくて済みます。 考えなくていい設計だから続く。これがオルカンの一番の価値だと私は思っています。 実際の積立データ(投資元本280万円に対して評価額3,696,937円)や、市場効率性・リバランス不要・通貨分散という3つの根拠は、別記事で詳しく書いています。→ オルカン積立の実績を公開|個別株の98%が日本株だった私が全世界株を選んだ理由【30代・新NISA】 NISAを今すぐ始めるべき理由|年利5%が続いた場合の試算 「改正の確定を待ってから動こう」という気持ちはわかります。ただ、待っている期間は複利が効かない期間でもあります。 以下は、月3万円の積立で年利5%がずっと続いたと仮定した場合の概算です。実際の運用成績は年ごとに大きく変動し、元本割れの可能性もあります。あくまで「開始が遅れると計算上どれくらい差がつくか」のイメージとして読んでください。 開始が遅れる期間20年後の差(年利5%が続いた場合の試算)1ヶ月約1,500円1年約2万円5年約30万円以上 これは損失が確定するという意味ではありません。仮定した利回りが実現した場合に生じる差の目安です。 制度改正の確定を待つより、少額でも先に始めて仕組みを回しておくほうが、私には合理的に見えます。 私の新NISAの使い方|つみたて枠はオルカン、成長投資枠は個別株とETF 「制度が変わって自分はどう動いたか」を、私の実際の使い分けとして書いておきます。 旧NISAのコナカ株はクロス取引で特定口座へ移した 旧NISA(2015〜2023年購入分)は、購入から5年で非課税期間が終わります。私の最古の銘柄はコナカ(7494)で、2015年5月に738円×100株で買ったものでした。 これを2024年11月26日に247円で売却し、同じ日に特定口座で248円を買い戻しました。いわゆるクロス取引で、口座の区分だけを切り替えて保有は継続しています。旧NISAの売買損-49,100円はNISA口座内なので損益通算できず、そのまま確定しました。配当16,000円と合わせた確定損益は約-3万円です。 なお、旧NISA口座がこれで空になったわけではありません。購入年ごとに非課税期間の終了タイミングが違うので、まだ旧NISAに残っている銘柄もあります。非課税期間が終わって特定口座へ移る場合、税務上の取得単価は移管時の時価になります。含み損の銘柄は取得単価が下がるため、将来売却したときの譲渡益が大きく見える、という点は覚えておいて損はありません。 詳しい経緯はこちらに書いています。→ コナカ株を9年5ヶ月損切りできない理由|散々酷評してきた株を、それでも手放さない私の本音 新NISAの成長投資枠は個別株とETFで使っている 新NISAでの私の使い分けは、つみたて投資枠をオルカン、成長投資枠を配当目的の個別株とETFに充てる、という形です。インデックス一本に絞ったわけではありません。 旧NISA時代に個別株も毎月分配型投信も一通り試して、配当を累計約90万円受け取る一方で、青山商事-310,960円という失敗も出しました。そこで得た結論は「個別株をやめる」ではなく「銘柄選びで勝てる前提を置かない」でした。配当という形でリターンが読める部分は個別株で持ち、地域の偏りを直す部分は銘柄を選ばずに済むオルカンに任せる、という分担です。 実際、成長投資枠には住友林業、伊藤ハム、ジャックス、サンゲツ、積水ハウス、ショーボンド、クミアイ化学、ファインデックス、王子ホールディングス、そしてETFのMXS全世界株式(2559)などが入っています。含み損の銘柄もあります。 2026年分のNISA枠は、両方とも使い切りました。現状は次のとおりです。 枠中身つみたて投資枠オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の積立で充当成長投資枠個別株とETFで消化済み。2026年分の残りはなし 枠ごとに役割を分けた結果がこの形です。つみたて投資枠のオルカンだけは崩さない、というルールは守っています。個別株で判断を誤ってきた自覚があるからこそ、判断が要らない部分は必ず残しておきたい、という考え方です。 ...

2026年4月27日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

TOB・MBOの対象になった保有株6銘柄|TOB価格を待たず市場で売った結果

保険業界から転職したHIKO(30代)です。2015年にNISA口座でコナカ株を買ったのが投資の入口で、以来10年超、配当と値上がりを気にしながら個別株を選んできました。青山商事では2020年に−31万円の損失を確定させています。その記録をありのままに書きます。 偶然ですが、保有していた6銘柄が買収の対象になりました。TOBが4件、MBOが1件、株式交換が1件です。 「TOB経験者」というと「買収プレミアムで儲けた人」に聞こえるかもしれません。でも自分の約定データを見直したところ、私はこの6銘柄すべてを市場で売っており、TOB価格そのもので売れたものは1件もありませんでした。しかも日水製薬と川澄化学工業の2件は、TOBが公表される前に市場で降りています。日水製薬にいたっては、私が1,053円で売った約1年10か月後に、1株1,714円のTOBが公表されました。 この記事では、その6銘柄の一次情報(適時開示)と自分の約定データを並べて、何が起きていたのかを整理します。「TOBを狙う戦略」を紹介したいのではありません。財務余力を重視して割安株を選んでいると買収案件に重なりやすい一方で、重なったからといって自動的に得をするわけではない、という話です。 なお、本記事は私個人の記録と考え方の整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資には価格変動リスクがあり、投資判断はご自身の責任でお願いします。 TOB・MBOの対象になった6銘柄と、私の売却価格 まず一覧です。「私の売却単価」は楽天証券の取引履歴(約定ベース)、「会社に起きたこと」は各社が提出した適時開示の一次情報です。 銘柄(コード)買値私の売却単価売却時期会社に起きたこと(適時開示)富士通ビー・エス・シー(4793)1,020円1,361円2017年11月富士通による株式交換で完全子会社化。BSC1株に富士通1.63株を割当(2017年10月26日公表)。現金の買付価格は設定されていませんジャステック(9717)887〜1,551円1,939〜1,940円2024年5月(買付期間中)NTTデータによるTOB。買付価格1,940円(2024年4月5日公表・買付期間4月8日〜5月23日)システム情報(3677)713〜999円927〜928円2023年10月(買付期間中)ベインキャピタル傘下のBCJ-76によるMBO。買付価格930円(2023年9月27日公表・買付期間9月28日〜11月10日)メディカル・データ・ビジョン(3902)489〜569円572円・1,688.4円2024年7月・2025年12月(買付期間中)日本生命保険によるTOB。買付価格1,693円(2025年12月15日公表・買付期間12月16日〜2026年2月3日)川澄化学工業(7703)879円1,158円2020年2月(公表の約5か月前)住友ベークライトによるTOB。買付価格1,700円(2020年7月31日公表・買付期間8月3日〜9月30日)日水製薬(4550)1,419円1,053円2020年7月(公表の約1年10か月前)島津製作所によるTOB。買付価格1,714円(2022年5月31日公表・買付期間6月17日〜7月28日) 出典:各社の適時開示(IR BANK経由で取得)。日水製薬「株式会社島津製作所による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(2022年6月16日)/川澄化学工業「住友ベークライト株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」(2020年7月31日)/ジャステック「株式会社NTTデータによる当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(2024年4月5日)/システム情報「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(2023年9月27日)/メディカル・データ・ビジョン「日本生命保険相互会社による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨並びに会社分割による子会社への事業承継等に関するお知らせ」(2025年12月15日)/富士通ビー・エス・シー「富士通株式会社による株式会社富士通ビー・エス・シーの株式交換による完全子会社化に関するお知らせ」(2017年10月26日)。いずれも2026年8月13日に確認。 ここから読み取れることが3つあります。 TOB価格で売った銘柄はゼロ。ジャステック・システム情報・メディカル・データ・ビジョンの3件は買付期間中に市場でTOB価格の近辺(1〜5円下)で売っており、実質的には同じ水準ですが、応募して受け取った価格ではありません。 2件はTOB公表前に市場で降りている。川澄化学工業は公表の約5か月前、日水製薬は約1年10か月前です。この2件は「TOBの恩恵をまったく受けていない」というのが正確な表現になります。 1件はTOBですらない。富士通ビー・エス・シーは株式交換による完全子会社化なので、現金の買付価格そのものが存在しません。株主は富士通株を受け取るか、市場で売るかの選択でした。 損益で見ると、6件のうち5件はプラス、1件(日水製薬)はマイナスで着地しています。「6勝」でも「TOB6回で儲けた」でもなく、「5勝1敗、しかも全部自分で市場に売った」が正確なところです。 なぜこの銘柄を買っていたか TOBを狙って買ったわけではありません。選ぶときに意識していたのは、大きく2つのパターンに分けられます。 パターンA:割安・財務健全型(川澄化学工業・日水製薬・ジャステック) 自己資本比率60%以上 PBR1倍以下 配当性向50%以下(ただし直近で上昇トレンドに入っていないこと) 大株主に事業会社が入っている PBR1倍割れは「株価が帳簿上の純資産(解散価値)を下回っている」状態を示します。理論上は買収側にとってお得な水準で、親会社が少数株主から株を集める動機のひとつになりうるものです。 ただし、簿価は実際の資産の実現価値とズレることがあります。特に医療・ITなど無形資産が多い業種では、帳簿に載っていない価値(ブランド・技術・顧客基盤)が大きく、簿価だけで「割安」と判断するのは注意が必要です。 パターンB:親子上場・グループ再編型(メディカル・データ・ビジョン・システム情報・富士通ビー・エス・シー) 筆頭株主に事業会社が入っている 自己資本比率60%以上 PBRは問わない このパターンはPBR1倍以下とは無縁でした。メディカル・データ・ビジョンは取得時PBR5〜6倍、システム情報は3〜4倍ほどでした。それでも買収の対象になったのは、親会社のグループ戦略や経営陣・ファンドの判断が主な動因であり、割安かどうかは関係ありませんでした。 ここで一点、当時の私の理解が雑だったことを書いておきます。筆頭株主がいることと「親会社によるTOB」であることは別物です。メディカル・データ・ビジョンの筆頭株主はSBIホールディングス(37.81%)でしたが、買収したのは日本生命保険で、公表時点では同社は同社株を1株も保有していませんでした。会社の開示にも「いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)や支配株主による従属会社の買収取引にも該当しません」と明記されています。システム情報もMBOではありますが、実際の買付主体はベインキャピタル傘下のBCJ-76という買収目的会社でした。 親子上場の解消・完全子会社化は2020年以降に加速しています。筆頭株主が事業会社という構造は、たしかに将来的な再編が検討されやすい素地にはなります。ただし「誰が・いくらで・どういう形式で買うか」は事前には決まっていません。 TOB・MBO・株式交換の違い(簡単に) TOB(株式公開買付)は、買収者が市場外で株主に対して「この価格で株を売ってください」と呼びかける手続きです。親会社が子会社を完全子会社化するときや、外部の会社が経営権を取りにくるときに使われます。TOB価格には通常、公表前の市場価格に対してプレミアムが上乗せされます。 MBO(マネジメント・バイアウト)は経営陣が自社を買収する手続きで、上場廃止を前提に行われることが多いです。システム情報がこれにあたります。ただし実務上は、経営陣が単独で買うのではなく、投資ファンドが用意した買収目的会社が買付者になるのが一般的です。 株式交換は、現金ではなく親会社の株式を対価として完全子会社化する手続きです。富士通ビー・エス・シーがこれで、株主は1株につき富士通株1.63株を受け取ることになっていました。現金の買付価格が存在しないので、「TOB価格はいくらだったか」という問いそのものが成立しません。 いずれの場合も、公表後に上場廃止までの猶予期間があり、その間は市場で売ることもできます。TOBなら応募して買付価格で売る、市場でその時々の株価で売る、応募も売却もせず手続きを待つ、の3択です。私は結果的に、6件すべてで「市場で売る」を選んでいました。 日水製薬:TOBを待たずに売り、2年後の1,714円を取り逃した 6件の中で唯一マイナスで終わったのが日水製薬(4550)です。そして、いちばん取り逃したのもこの銘柄でした。 実際のデータ(楽天証券の取引履歴) 購入:2018年2月21日約定、旧NISA口座 取得価格:1,419円、100株(取得総額 141,900円) 受取配当:2,000円×4回(2018〜2019年)+1,000円(2020年)= 9,000円 売却:2020年7月31日約定、1,053円、100株 売却額:105,300円 売買損益:−36,600円 配当を加えた実質損益:−27,600円 旧NISAなので損失の損益通算もできず、まるごとマイナスで確定しました。 そして、その約1年10か月後の2022年5月31日、島津製作所によるTOBが公表されます。買付価格は1株1,714円でした。100株なら171,400円です。私が受け取った105,300円との差は66,100円になります。 TOB価格1,714円がどう決まったか TOB価格の水準は、開示を読むと自分の感覚よりずっと高い位置にありました。1,714円は、公表前営業日(2022年5月30日)の終値990円に対して73.13%のプレミアムです。直近1か月の終値平均970円に対しては76.70%でした。第三者算定機関(みずほ証券)の株式価値算定では、市場株価基準法が970〜994円、類似企業比較法が1,358〜1,561円、DCF法が1,467〜2,051円とされ、1,714円は前2つの上限を上回る水準に置かれています。 つまり、市場がつけていた1,000円前後という株価と、買収する側が事業価値として見ていた金額の間には、大きな開きがありました。私が1,053円で売ったのは、その「市場がつけていた価格」で降りたということです。 なお、このTOBで買われたのは少数株主の持ち分です。親会社だった日本水産(当時54.06%を保有)は買付対象から外れており、日水製薬自身が実施した自社株公開買付け(1,662円)に応じる側でした。日本水産は買収する側ではなく、売却する側です。 なぜ1,419円で買ったのか 当時の日水製薬はPBR約0.9倍で、配当利回りは2.9%ほどでした。自己資本比率92%という高水準で、筆頭株主は日本水産が50%超を保有していました。「割安・財務健全・親子上場」という条件がそろっていました。スクリーニングをかければ普通に引っかかる銘柄で、特別な思惑があって買ったわけではありません。 見落としていたサイン:配当性向の急上昇 今振り返って気になるのは、配当性向の推移です。日水製薬の配当性向は2019年3月期に114.1%、2020年3月期には167.1%まで上昇していました(出典:IR BANK 日水製薬 配当金の推移 https://irbank.net/E00971/dividend 、2026年8月13日確認)。つまり、稼いだ利益よりも多い額を配当として払い出していた状態です。 「株主還元に積極的」に見えて、実態は「利益が伸びていないのに配当水準を維持しようとしている」構造だった可能性があります。配当性向が100%を超えるということは、内部留保を削って配当に充てているか、特別利益を使っているかのどちらかで、持続性に疑問符がつきます。実際、2020年3月期は年40円の予想に対して実績30円へ減配になりました(同上・IR BANK)。 ただし今になって思うのは、同じ数字が「業績が停滞しているから資本政策で動く余地がある会社」のサインでもあったということです。減配に向かうのか、買収による非公開化に向かうのかは、配当性向の数字だけからは決まりません。 川澄化学工業も同じ型だった 川澄化学工業も構図はまったく同じです。2018年2月に879円で100株買い、2020年2月12日に1,158円で売却しました。売買損益は+27,900円、配当も4回で3,000円受け取っているので、これ自体は成功した取引です。 ところがその約5か月後の2020年7月31日、住友ベークライトによるTOBが1株1,700円で公表されます。公表前営業日の終値805円に対して111.18%のプレミアム、つまり株価が2倍を超える水準でした。100株なら170,000円で、私の売却額115,800円との差は54,200円です。 2件に共通するのは、「利益が出ている(または損切りの理屈が立つ)ところで市場に売り、その後に買収側が市場価格の1.7〜2.1倍の値段を提示した」という順序です。TOBは高値づかみした人を救ってくれる仕組みではないし、先に降りた人を追いかけてもくれません。 この経験から学んだこと TOBプレミアムは「持っていた人」にしか届かない。プレミアムは公表前の株価に対して計算されます。先に市場で売っていれば、当然ながら1円も受け取れません。 配当性向の急上昇(特に100%超)は、減配のサインでもあり、資本政策が動くサインでもある。実際に減配も買収も起きました。どちらが先に来るかは事前には分かりません。 PBR割れだけで割安と判断しない。簿価と実際の収益力は別物です。ただし日水製薬も川澄化学工業も、買収側は市場株価の1.7〜2.1倍を提示しています。「市場が付けている値段」と「事業として見たときの値段」は、想像以上に離れることがあります。 買収は事前に読めない。だからこそ「TOBが来るかもしれないから持ち続ける」という保有理由は成立しません。私が売った判断そのものを、いま結果論で責めるつもりはありません。 「TOBを狙う戦略」ではなく「重なりやすい傾向」 財務的に健全で、割安か親子上場の構造がある会社を選んでいたところ、6銘柄が買収案件に重なった、という順序です。「傾向として重なりやすい」以上のことは言えません。 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2026年4月25日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

選択制DCの給与明細はこう見える|支給と控除に同額のDCが並ぶ理由とデメリット

保険業界10年を経てIT企業に転職し、2024年4月から企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入しています。入社手続きの書類の山の中に、運用商品を選ぶ用紙が入っていました。 そして最初の給与明細を見たとき、支給欄と控除欄に同じ「DC 40,000円」という行が並んでいることに気づきました。当時の私は、これを「会社が積み立ててくれているお金」だと理解していました。 結論から書きます。これは私の誤解でした。 私が加入しているのは選択制DC(給与原資型)で、月40,000円は会社の上乗せではなく、私自身の給与の一部を掛金に振り替えたものです。そして、その事実を示していたのが、まさにあの「支給欄と控除欄に同額のDCが並ぶ」明細そのものでした。 選択制DCの給与明細が実際にどう見えるのかを書いた記事は多くありません。この記事では、明細の読み方・上乗せ拠出型との違い・社会保険料と税が下がる代わりに何が目減りするのか・そして加入2年間の運用実績を、順番に整理します。 なお本記事は制度と自分の実績の記録であり、特定の商品や運用方針を推奨するものではありません。運用には元本割れの可能性があり、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。 選択制DCの給与明細は「支給と控除に同額のDC」が並ぶ 私の給与明細では、次のように表示されています。 欄項目金額支給DC40,000円控除DC40,000円 プラスとマイナスが同額で並んでいるので、最初は「何かの計算の都合で相殺されているのだろう」と思いました。手取りにも直接は反映されないため、気にせず読み飛ばしてしまう人も多いはずです。 この両建て表示が意味しているのは、次のことです。 支給欄のDC:もともと給与として支払われる原資をいったん支給に立てている 控除欄のDC:その同額を差し引き、確定拠出年金の掛金として拠出している つまり、いったん自分の給与として立てたものを、そのままDCに回している構造です。表示方法は会社によって異なり、支給欄には出さず控除欄だけに現れる設計もあります。ただ「支給と控除に同額が並ぶ」明細を見たら、選択制DCの可能性が高いと考えてよいと思います。 もし会社が退職金原資として上乗せ拠出しているタイプであれば、掛金は給与の外側で処理されるため、支給欄に自分の給与として立つ形にはなりにくいのです。私はこの構造を読み違えて、「会社が出してくれている」と思い込んでいました。 なお、この40,000円は所得税・住民税の課税対象からも、社会保険料の算定基礎からも外れる扱いになります。表示上は支給欄に立っていても、給与として受け取ったことにはなりません。源泉徴収票の支払金額にも含まれないため、年収証明を使う場面(住宅ローンの審査など)では見える年収が下がる点も、頭の片隅に置いておくとよいと思います。 選択制DCと上乗せ拠出型の企業型DCはここが違う 企業型DCには、大きく2つのタイプがあります。同じ「企業型DC」という名前でも、得か損かの考え方がまったく変わります。 項目上乗せ拠出型選択制DC(給与原資型)掛金の出どころ会社が退職金原資として拠出自分の給与の一部を振り替え拠出しない選択原則できない掛金にせず給与で受け取る選択ができる給与への影響額面は減らない掛金分だけ給与として受け取る額が減る社会保険料変わらない算定基礎から掛金が外れ、下がりうる給与明細の見え方明細に現れないこともある支給・控除に同額が並ぶことがある 私が加入しているのは右側です。「積み立てるか、給与でもらうか」を自分で選べる制度なので、40,000円はもとから私の給与に属するお金でした。自己負担ゼロで年金資産が増えていく制度ではありません。 制度そのものの基本については、企業型DCって何?転職したら損しない?30代が知っておくべき全知識で整理しています。 選択制DCのメリット|税と社会保険料が下がる 選択制DCの最大の利点は、給与として受け取らないことで、所得税・住民税と社会保険料の本人負担が下がる点です。 年収500万円・課税所得330万円以下(所得税率10%の区分)・40歳未満・協会けんぽ相当の料率という前提を置いた概算が次の表です。掛金は月40,000円(年480,000円)とします。 項目本人負担率の目安年間の軽減額の目安所得税10%約48,000円住民税10%約48,000円厚生年金保険料9.15%約43,900円健康保険料約5.0%約24,000円雇用保険料0.5%約2,400円合計—約166,300円 雇用保険料率は令和8年度(2026年4月1日〜2027年3月31日)の一般の事業の労働者負担分で、失業等給付・育児休業給付の保険料率5/1,000=0.5%です(令和7年度は5.5/1,000でした)。年度ごとに改定されるので、自分の明細と突き合わせるときは適用年度を確認してください。 年間で約16万円台の軽減という計算になります。これは一定の前提を置いた概算です。実際の社会保険料は標準報酬月額の等級区分で決まるため、掛金と同額がそのまま算定基礎から外れるとは限りません。料率も健康保険組合や年度によって異なります。 それでも、掛金が全額所得控除になるiDeCoと違い、選択制DCは社会保険料まで下がるという点で、手取りベースの効きは大きい制度です。 選択制DCのデメリット|標準報酬月額が下がる ここが元の記事に書けていなかった、いちばん重要な論点です。 社会保険料が下がるということは、標準報酬月額そのものが下がるということです。標準報酬月額は将来の年金額や各種給付の計算根拠になっているため、保険料が減った分だけ、受け取る側も減る可能性があります。 影響を受けうる主なものは次のとおりです。 老齢厚生年金(報酬比例部分) 傷病手当金・出産手当金(標準報酬日額が基準) 育児休業給付・失業給付(雇用保険の賃金日額が基準) 会社によっては、退職金や賞与の算定基準 たとえば傷病手当金は、おおむね標準報酬日額の3分の2が支給されます。標準報酬月額が40,000円低い状態で長期療養に入った場合、単純計算で月あたり約26,700円受け取りが少なくなります。育児休業給付や失業給付も、賃金の記録が下がっている以上、同じ方向に効きます。 「保険料が安くなった」の裏側には、必ず「給付が薄くなった」がついてきます。ここを説明せずにメリットだけを並べるのは、フェアではないと考えています。 選択制DCの損得を厚生年金で試算する 将来の老齢厚生年金(報酬比例部分)は、平均標準報酬額に給付乗率5.481/1000と加入月数を掛けて計算します。 標準報酬月額が40,000円低い状態で12か月拠出した場合、40,000円 × 5.481/1000 × 12か月で、将来の年金は年間およそ2,631円減る計算です。20年続ければ年間約52,600円の減少になり、65歳から20年受け取ると累計で約105万円です。 一方、その20年間で軽減される厚生年金保険料の本人負担は、年約43,900円 × 20年でおよそ88万円です。 厚生年金だけを切り出した20年比較(概算) 878000円 保険料の軽減(20年累計) -1052000円 将来の年金の減少(20年受給) 標準報酬月額が月4万円下がる前提の概算。長生きするほど年金の減少側が効いてくる つまり厚生年金の部分だけを切り出すと、長生きするほど不利に傾きます。 制度としてのプラスを生んでいるのは、年金以外の部分です。所得税・住民税・健康保険料・雇用保険料の軽減が年間約12万円あり、20年で約245万円。ここまで含めれば、上の表の差を上回る計算になります。 ただしこれはあくまで一定の前提を置いた概算で、税率区分・保険料率・受給期間・今後の制度改正によって結論は動きます。「これを使わない手はない」と言い切れる制度ではなく、自分の年収・家族構成・働き方によって答えが変わる制度だ、というのが私の理解です。 私自身は、当面は掛金として拠出を続ける判断をしています。理由は、運用期間を20年以上取れる年齢であること、そして老後資金は手をつけられない場所に置いたほうが結果的に残る、という自分の性格を踏まえてのものです。 企業型DCの運用実績|2年で92万円が114万円に 2026年4月時点の実績です。 ...

2026年4月24日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

旧NISA 10年で配当90万円を実現した銘柄構成と年次推移【楽天証券CSVを元に集計】

2015年から2024年までの10年間、旧NISA口座で受け取った配当金の税引後合計を確定させました。楽天証券から出力した配当CSV(dividendlist_20260422/実際の取引履歴ベースの一次データ)で集計した結果、904,551円。ほぼ90万円。この記事では年次推移と銘柄別の貢献度、そして10年分のCSVから読み取れた教訓をまとめます。 ※この記事はこんな人向けです 新NISAをこれから始めるか迷っている 高配当投資に興味がある 実際の配当実績を見て判断したい 1つでも当てはまる方は、そのまま読み進めてください。 税引後10年合計:904,551円 旧NISAでの配当金は非課税です。同じ配当を特定口座で受け取ると、約20.315%の税金が引かれます。 つまり旧NISAでなければ、約90万円の手取りが約72万円まで減っていたということ。この差額18万円が、非課税制度を10年間使い倒した成果です。 まず年次推移を見てください。 注記:毎月分配型ファンドについて 本記事の集計には毎月分配型ファンドの分配金も含まれています。ただし毎月分配型ファンドは、タコ足分配・基準価額の長期下落など、10年間保有してみて反省点が多かった商品です。本記事では配当実績の事実だけを淡々と載せていますが、「なぜ選んでしまったか/何を学んだか」は別記事で改めて振り返る予定です。毎月分配型ファンドを今から買おうか迷っている方は、その記事が出るまで判断を保留していただくことをおすすめします。 旧NISA口座 年次配当金(税引後・円) 111408円 2015 149258円 2016 82283円 2017 70452円 2018 67903円 2019 61503円 2020 37867円 2021 64553円 2022 118477円 2023 140846円 2024 楽天証券 配当CSV(dividendlist_20260422)より集計。旧NISA口座のみ/税引後実額/個別株・毎月分配型ファンド・ETF分配金を含む/USD建は140円/USD概算換算。 10年の山谷が見て取れます。結論として、配当は一直線では増えません。 2015〜2016年:NISA枠を目いっぱい使った直後で高配当銘柄の受取額がピーク 2017〜2021年:ファンドの分配見直し・銘柄入れ替えで一時的に凹む 2022年以降:ETFと毎月分配型ファンドの立ち上がりで再加速 2024年:140,846円で10年中2番目のピーク この推移を見るとわかる通り、配当は急に増えるものではありません。 ただし、積み上げていくと 「何もしなくても毎年10万円以上入ってくる状態」には到達します。 購入タイミング別:10年分の口座設計 旧NISAの年間非課税枠は2014〜2015年が100万円、2016〜2023年が120万円でした。私はこの枠を毎年ほぼ使い切る形で積み上げています。 年ごとにどういう基準で銘柄を選び、どこで間違えたのかは旧NISAで個別株投資に失敗した話にまとめています。あわせて読むと、配当金の年次推移が「なぜそうなったか」がわかります。 貢献度トップ5:銘柄別の配当累計(シリーズ登場銘柄) 次に、10年分のCSVから銘柄別の配当累計を集計しました。旧NISA口座で受け取った分のみの金額です(特定口座保有分・NISA成長投資枠分は除く)。ここでは当ブログの「旧NISA個別株シリーズ」で登場する銘柄だけを抜粋しています。 順位銘柄コード旧NISA口座の配当累計(税引後)1位JT(日本たばこ産業)291482,000円2位青山商事821944,000円3位ソフトバンク943443,000円4位中北製作所649628,000円5位日本郵政617827,500円 ※上表は楽天証券 配当CSV(dividendlist_20260422)の「口座=旧NISA」行のみ集計。USD建は140円/USD概算換算(表の対象銘柄はすべて円建てなので換算は不要)。 ...

2026年4月23日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

旧NISAで毎月分配型投信に17本も手を出した失敗談|2015年の私が陥った「毎月おこづかい幻想」

年収300万円代から資産形成をスタートした30代会社員のHIKOです。投資歴は10年超(2015年NISAスタート)。保険業界で10年働いたあと、今はIT企業で会社員をしています。旧NISAの10年を振り返るといろいろ失敗していますが、今回はその中でも一番の「黒歴史」、毎月分配型投信を一気に17本まとめて買ってしまった話をします。遠回りしたからこそ言える「やらなくていい失敗」の実例として読んでもらえたら嬉しいです。 結論を先に書きます。 2015年に旧NISAで毎月分配型投信を17本まとめて買い、2年間保有した結果、 投入元本:1,029,926円 解約で戻ってきた金額:778,933円 受取分配金(税引後・2年強の累計):約29,640円 実質の損益:約▲221,000円(非課税枠103万円を使って約22万円失った) という、旧NISAで一番やってはいけない使い方をやり切ったのが私です。以下、楽天証券の取引履歴CSVから全17本分の確定損益を洗い出して振り返ります。 2015年、私は毎月分配型投信を17本買った 今振り返ると、自分でも意味がわかりません。 2015年、旧NISAを始めた直後の私は、毎月分配型の投資信託を17本、同時に旧NISA口座で買っていました。金額としては枠100万円のうちの大半(約103万円)をそれに充てていました。 楽天証券の取引履歴CSV(adjusthistory(JP)_20260423)で確認した、購入したファンドのフルラインナップがこちらです。 日本株アルファ・カルテット(毎月分配型) グローバル・リート・トリプル・プレミアム・ファンド(毎月分配型) 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型 日本株ハイインカム(毎月分配型)ブラジルレアルコース 日本株ハイインカム(毎月分配型)円コース 好配当グローバルREITプレミアム・ファンド 通貨セレクトコース(トリプルストラテジー) ニッセイブラジル高配当株ファンド(毎月決算型) ニッセイ パトナム・毎月分配インカムオープン アジア・エクイティ・インカム・ツインα・ファンド(毎月分配型) MHAMトリニティオープン(毎月決算型)(ファンド3兄弟) T&D 世界優良株ファンド(毎月決算型)(プライムコレクション) 国際オーストラリア債券オープン(毎月決算型) 明治安田日本債券ファンド(ホワイトウィング) 三井住友・げんきシニアライフ・オープン グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(健次) ニッセイ 健康応援ファンド DIAM DLIBJ公社債オープン(中期コース) ……改めて書き出すと、完全に「毎月分配型投信の闇セット」です。ブラジルレアル、トルコリラ的通貨選択、トリプルエンジン、ファンド3兄弟。ひと昔前の『毎月おこづかい系投信』の典型が全部入っています。 これを、よりにもよって非課税の旧NISA枠を使って買っていました。ここが一番の失敗です。 なぜ毎月分配型を買ってしまったのか 2015年当時、私が毎月分配型に惹かれた理由は、今思えばシンプルでした。 「毎月お金が振り込まれる」という響きに弱かった 分配金利回り10%超の表記を見て『NISAで非課税なら最強じゃん』と思った 銀行や証券会社の売れ筋ランキング上位だった 商品名がカッコいい(トリプルエンジン、ツインα、ファンド3兄弟) ほぼ完全に、見た目と響きだけで選んでいました。 20代の私は、投資を「毎月の副収入」のように考えていました。給料とは別に毎月1万円、2万円が振り込まれる口座がある、という絵を本気で描いていた。お金の本を何冊か読んでいたはずなのに、「毎月分配型は元本取り崩し」という最重要の注意点が、なぜかスポッと抜け落ちていました。 2年保有した結果:受取累計は約29,640円 実際どうだったか。楽天証券のCSVで、2015年5月から2017年7月までの分配金受取額を年次で集計するとこうなります。 旧NISA 毎月分配型投信の年次受取額(円・税引後) 11921円 2015年 15456円 2016年 2263円 2017年 楽天証券 配当CSV(dividendlist_20260422)より/旧NISA口座 投資信託カテゴリのみ集計/受取金額ベース(特別分配金=元本払戻は含まない) 3年分合わせて、受取累計は約29,640円。 ...

2026年4月23日 · 最終更新: 2026年8月16日 · HIKO

オルカン積立の実績を公開|個別株の98%が日本株だった私が全世界株を選んだ理由【30代・新NISA】

投資歴10年超のHIKOです。2015年にNISAを始めて個別株を78銘柄まで買い集めた結果、その約98%が日本株という状態になっていました。この偏りを直すために積み立てているのが、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式・オール・カントリー)です。 この記事では、実際の保有データを開示しながら、なぜ私が全世界株を選んだのか、月いくらから始めればいいのかを順番に説明します。数字はすべて楽天証券の資産残高データ(2026年5月時点)から引いた実数値です。 オルカン積立の実績|投資元本280万円が369万円に(2026年5月時点) まず私の保有状況を先に出します。 項目実数値保有口数1,040,248口取得単価26,916.66円基準価額35,539円投資元本2,800,000円評価額3,696,937円評価損益+896,937円(+32.03%) 新NISAのつみたて投資枠で積み立てているぶんです。 オルカン積立の投資元本と評価額(2026年5月時点) 280万円 投資元本 370万円 評価額 楽天証券の資産残高データより。NISAつみたて投資枠で保有するeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の実数値です。評価額は日々変動し、元本割れの可能性もあります。 あわせて、成長投資枠ではETFのMXS全世界株式(2559)も持っています。取得総額166,549円に対して評価額275,850円、評価損益は+109,301円(+65.62%)です(2026年6月時点)。 なおこの銘柄は2026年6月9日に受益権1口を10口とする再分割を行っているため、私の口座の表示も9株・平均取得価額18,505.55円から、90株・1,850.55円に変わりました。取得総額と評価額は変わっていません。分割前後の株数を混同しやすいので、記録を残しておきます。 念のため書いておくと、これは私がたまたま買い付けた時期の結果であって、将来の利回りを保証するものではありません。同じ商品を買っても、買った時期が違えば数字はまったく変わります。ここでお伝えしたいのは「増えた」ことではなく、後述する「日本株に偏りきったポートフォリオを、この積立で薄めている」という位置づけのほうです。 オルカン積立を始めた理由|個別株78銘柄の98%が日本株でした 私が全世界株を積み立てている一番の理由は、精神論でも流行でもありません。自分のポートフォリオが日本に偏りすぎていたからです。 ここは「何を分母にするか」で数字がまるで変わるので、2通りに分けて書きます。 見る範囲日本の比率買い集めた個別株78銘柄だけで見た場合約98%オルカン・企業型DC・海外ETFを含めた資産全体で見た場合79.5% 10年超かけて買い集めた個別株は78銘柄まで増えましたが、そのうち海外に分類できるのは海外ETFと米国株がわずかにあるだけで、残りの約98%は日本株です。個別株だけを見ているかぎり、地域分散はほぼ存在しません。 一方で、資産全体で見た日本比率は79.5%まで下がっています。この差を作っているのが、この記事で公開しているオルカンの積立と企業型DCです。「偏っている」のは事実ですが、偏りは実際に薄まりつつあるというのが正確なところです。 日本株が悪いという話ではありません。私は今も配当目的で日本株を持ち続けています。ただ、住んでいる国も、給料をもらう通貨も、資産の中身も全部が日本円に紐づいている状態は、リスクの置き方として明らかに片寄っています。日本経済が停滞した局面では、給与・資産・生活コストの全部が同じ方向に殴られることになります。 この偏りを、個別株を売らずに直せる手段がオルカンの積立でした。既存の日本株を売れば含み益に課税されますし、配当も止まります。それなら新しく入れるお金だけを全世界株に振り向けて、時間をかけて比率を薄めていくほうが現実的です。 オルカンは「増やす商品」である前に、私にとっては「偏りを直す道具」です。ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。 個別株で失敗した10年|「買える金額」で銘柄を選んでいた インデックス積立に行き着いたもう一つの理由は、単純に個別株で失敗を積み上げたからです。 2015年に初めて買った単元株はコナカ(7494)でした。738円×100株です。選んだ理由は、業績でも財務でもなく「優待が欲しかった」「その時の資金で買えた」の2つだけでした。当時の私は年収300万円台で、10万円以下で買える銘柄というだけで選択肢が絞られていたのです。結果は9年5ヶ月の塩漬けで、2024年11月26日に旧NISAの非課税期間終了に合わせて247円で売却し、同じ日に特定口座で248円で買い戻すクロス取引をしました。実質的には今も持ち続けています。 最大の失敗は青山商事です。2017年1月に4,115円×100株で買い、2020年7月に売却して-310,960円を確定させました。 一方で、旧NISAの10年で受け取った配当は累計約90万円(904,551円)ありました。個別株がすべて無駄だったとは思っていません。ただ、10年超やってはっきりしたのは「私は銘柄選びで安定的に勝てるタイプではない」という現実です。 そこで出した結論は、個別株をやめることではなく、役割を分けることでした。配当を受け取る部分は個別株で続け、資産全体の地域バランスを整える部分は、銘柄を選ばなくて済むオルカンに任せる。この分担にしてから、どこで迷えばいいのかがはっきりしました。 失敗の詳細はこちら: 個別株の失敗談|旧NISA11年の年別損益と、青山商事-31万円で学んだこと 配当の実績はこちら: 旧NISA 10年で配当90万円を実現した銘柄構成と年次推移【楽天証券CSVを元に集計】 オルカンとは|世界47カ国の株式に分散する投資信託 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称「オルカン」は、先進国と新興国あわせて約47カ国の株式にまとめて投資できる投資信託です。三菱UFJアセットマネジメントが運用しています。構成銘柄数は2,414銘柄、純資産総額は13兆157億円で、国別ではアメリカが63.1%を占めます(2026年7月31日現在。出典: 三菱UFJアセットマネジメント月次レポート・2026年8月13日確認)。銘柄数は指数の定期見直しで増減するので、あくまで確認時点の数字として見てください。 アメリカのApple、日本のトヨタといった世界を代表する企業を、1本でまとめて保有できるイメージです。 信託報酬は年率0.05775%(税込・税抜0.0525%)以内。100万円分を1年持って、運用会社に払うコストが約578円という水準です。私が2015年に買っていたような投信の信託報酬と比べると、桁が違います。 オルカン 全世界47カ国 2 414銘柄 信託報酬 0.05775%以内 ★★★★★ S&P500 米国500社に集中 信託報酬 0.08140%以内 ★★★★☆ 個別株 銘柄選定が必要 値動きの振れ大 ★★☆☆☆ S&P500はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の数値です。信託報酬は年率0.08140%(税抜 年率0.07400%)以内で、純資産総額に応じて逓減します(出典: 交付目論見書・2026年7月25日版/2026年8月13日確認)。 オルカンとS&P500の違い|なぜ全世界株を選ぶのか S&P500(米国500社のインデックス)も優秀な選択肢です。過去20年の成績で言えば、むしろ米国株のほうが強かったのは事実です。 それでも私が全世界を選んでいるのは、S&P500を選ぶと「これから先もアメリカが世界をリードし続ける」という前提を自分で背負うことになるからです。 過去100年を振り返れば、経済の中心は移り変わってきました。次の20〜30年にアメリカが同じポジションを保てるかどうかは、私にはわかりません。わからないものを予想して比率を決めるより、全部持っておくほうが自分には合っている、という判断です。 以下は、私が全世界株を選ぶときに置いている3つの根拠です。 根拠1:市場効率性|どの国が伸びるかは事前にわからない 現代の金融市場では、世界中のプロが情報をリアルタイムで価格に織り込んでいます。個人が「米国の次はここが来る」と考えて比率を変えても、その材料はすでに株価に反映されている可能性が高いです。 予想が当たる前提を持たなくていい設計、それが「全部持つ」という戦略の意味です。 根拠2:リバランス不要|自分で売買判断をしなくていい オルカンは各国の時価総額比率に従って中身のウェイトが調整されていきます。米国が伸びれば自然に米国比率が上がり、新興国が伸びれば新興国比率が上がります。 ...

2026年4月20日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

個別株の失敗談|旧NISA11年の年別損益と、青山商事-31万円で学んだこと

保険業界に10年身を置いたあとIT企業へ転職したFP2級のHIKOです。この記事は、2015年に開設した楽天証券の旧NISA口座で私自身が売買した記録を、取引履歴から並べ直したものです。 本記事は特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。株式投資には元本割れの可能性があり、投資判断はご自身の責任でお願いします。記載の損益はすべて私個人の実績であり、将来の成果を示すものではありません。なお、本記事はアフィリエイトリンクを含みます。 この記事の結論 個別株で負けたのではなく、勝ったのにインデックスに届きませんでした。旧NISA11年のトータルは+2,820,053円、年率(XIRR)9.03%です。ただし同じ資金の動きをそのままS&P500(円換算)に流し込むと年率16.62%で、差は-7.59ptでした。そして失敗の中身は「損をしたこと」ではなく、大きく張った銘柄ほど買う理由が薄かったことにあります。 旧NISAで買った個別株の損益|購入年ごとの記録 まず数字を全部出します。以下は購入した年ごとに並べた損益で、金額は売却時点の確定値(配当込み)です。 各年の合計は「損益が確定して手元の記録から拾えた銘柄」だけを足したものです。買ったすべての銘柄の網羅集計ではないので、合計欄には判明した銘柄数を併記しています。口座全体の確定値は年率9%でも勝てない?S&P500に7.59pt負けた11年の投資結果にまとめました。 購入年買った銘柄数判明分の損益この年の象徴的な結果2015年2-1,110円(2銘柄)コナカが9年5ヶ月の塩漬けに2016年15+30,070円(9銘柄)エスクリ-71,250円が5銘柄の利益を消した2017年—-310,960円(1銘柄)青山商事。11年で最大の失敗2018年9-27,250円(8銘柄)中北製作所1銘柄に38万円を集中2019年9+246,370円(9銘柄)野村マイクロサイエンス+160,600円2020年5+19,080円(5銘柄)同時にコロナで旧保有5銘柄を処分2021年5+510,800円(5銘柄)JT+376,930円。基準を変えた最初の年 年ごとに何が起きていたのかを順に書きます。 2015年:買える金額だけで銘柄を選んでいた 2015年の春に旧NISAを始めました。非課税で投資できる制度だということは理解していましたが、何を買えばいいかはさっぱりわかりませんでした。 口座だけ先に開設してしまったので、銘柄を選ぶ基準がありません。そこでとった方法が、証券会社の画面で株価を眺めて、10万円以内で100株買える銘柄を探すというものでした。 銘柄購入単価損益コナカ738円-33,100円(旧NISA確定損-49,100円+配当16,000円)丸紅746円+31,990円(配当6,700円込み) コナカを選んだ理由は3つです。知っている会社だから安心、738円で100株なら7万円台で買える、株主優待でスーツが買える。業績や財務は一切調べていません。 丸紅は「大企業なら潰れないだろう」という理由でした。2017年9月に749.9円でほぼ買値のまま売却しましたが、2年分の配当を含めてプラスで終わっています。ただしこれは業績を読んで判断した結果ではなく、ただ待っただけです。丸紅はその後2024年に3,000円台まで上昇しているので、業績を見ていたなら売らなかったはずでした。 コナカのその後についてはコナカ株を9年5ヶ月損切りできない理由に、優待株としての評価は株主優待で選んだコナカは9年塩漬け、業績を見た巴工業は含み益+44%に書いています。 2016年:15銘柄に散らしても分散にはならなかった 2016年の私は「分散投資が大事」という言葉を覚えたところでした。この年だけで15銘柄・約115万円を投じています。 みずほFG(179円)・東洋鋼鈑(285円)・ディア・ライフ(360円)・りそなHD(399円)と、株価が低い銘柄が並んでいます。「株価が安い=まだ上がる余地がある」と誤解していたためです。 損益が判明している9銘柄の内訳です。 プラスだった銘柄損益マイナスだった銘柄損益リコー+34,150円エスクリ-71,250円みずほFG+33,070円丸三証券-41,500円三菱ケミカル+29,140円テクノメディカ-3,300円りそなHD+25,950円朝日放送-1,290円岡部+25,100円合計+147,410円合計-117,340円 2016年 プラス銘柄とマイナス銘柄の合計(円) ¥147410 プラス5銘柄合計 ¥-117340 マイナス4銘柄合計 プラス5銘柄の積み上げを、マイナス4銘柄がほぼ打ち消した 約115万円を投じて、判明分の差し引きは約3万円です。15銘柄に分けたつもりでしたが、全部が日本の個別株なので、日本株全体が下がれば一緒に下がります。これは分散ではなく、ただの目移り買いでした。 最大の失敗はエスクリ(結婚式場運営)です。「ブライダル業界は景気に左右されにくいのでは」という浅い考えで1,069円で購入しました。式場は賃料・設備・人件費が稼働率に関係なく発生する固定費の重いビジネスで、少子化・晩婚化という逆風はすでに始まっていました。コロナで式場運営が止まったときにその構造が一気に表面化し、2020年4月に約300円で損切りしています。 2017年:青山商事-310,960円という11年で最大の失敗 2017年1月、青山商事を1株4,115円で100株購入しました。投資額411,500円です。購入理由は「スーツの青山なら有名企業だし、株価が下がっているから割安、配当利回りも高い」というものでした。 項目金額購入額411,500円売却額(2020年7月・約565円)56,540円保有中の配当合計44,000円損益-310,960円 41万円を投じて、売却と配当を合わせて戻ってきたのは約10万円でした。 ここで押さえておきたいのは配当の位置づけです。配当44,000円は、株価の損失-310,960円の14%しか埋めていません。保有中は「配当が出ているから大丈夫」と思っていましたが、株価が7割下がる速度に配当は追いつきませんでした。 そして根本的な間違いは「株価が下がっている=割安」という読み替えです。株価の下落はアパレル業界の構造変化とスーツ離れという業績悪化のシグナルでしたが、私はそれを業界分析せずに割安さの根拠にしてしまいました。 2018年:1銘柄に38万円を集中させた 2018年は9銘柄を購入しています。損益が判明している8銘柄はこちらです。 銘柄購入単価投資額損益中北製作所3,825円382,500円-106,000円日水製薬1,419円141,900円-27,600円不二電機工業1,439円143,900円-6,400円FCホールディングス810円81,000円+7,400円丸八証券865円86,500円+15,400円クニミネ工業969円96,900円+16,150円川澄化学工業879円87,900円+30,900円MICS化学359円35,900円+42,900円 2018年 投資額の偏り(円) ¥382500 中北製作所 ¥143900 不二電機 ¥141900 日水製薬 ¥96900 クニミネ ¥87900 川澄化学 中北製作所1銘柄が、他の銘柄の2〜4倍の投資額になっていた 9銘柄に分散しているように見えて、中北製作所だけが他の2〜4倍です。他の7銘柄の合計はプラスに傾いていたのに、1銘柄がそれを全部消しました。 ...

2026年4月20日 · 最終更新: 2026年8月15日 · HIKO

iDeCoは30代でいくら積める?2026年12月に上限6.2万円へ拡大・年収別の節税額をFP2級が試算

FP2級を持ち、投資歴10年超(2015年スタート)のHIKOです。 最初に立場を明確にしておきます。私自身はNISAと企業型DC(選択制DC)で老後資金を積んでおり、iDeCoには加入していません。 ですので、この記事に「私がiDeCoを使ってみた体験談」は出てきません。制度の説明と各社の手続きについては、公表されている情報をもとに整理しています。 そのうえで私が一次情報として書けるのは、企業型DCで運用商品を選び直したときに分かったこと、つまり「配分指定とスイッチングは別物である」という、確定拠出年金に共通する落とし穴の部分です。そこは後半で書きます。 iDeCoは2026年12月1日施行の改正で掛金上限が大きく変わります。企業年金のない会社員は月2.3万円から月6.2万円へ、加入可能年齢も65歳未満から70歳未満へ拡大します。30代にとっては、使える枠が一気に2.7倍になる話です。 なおiDeCoは個人の状況で向き不向きが分かれる制度です。本記事は制度の解説であり、特定の商品や金融機関への加入を推奨するものではありません。運用には元本割れの可能性があり、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。 NISAをまだ始めていない方は、新NISAの始め方|30代初心者が最初にやること5ステップから先に読んでいただくとスムーズです。 iDeCo 30代の前提|NISAとの違いを3分で押さえる iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月一定額を積み立てて老後資金をつくる私的年金制度です。 NISAとの最大の違いは「掛金が全額、所得控除になる」点にあります。積み立てた金額をそのまま課税所得から差し引けるため、運用がプラスでもマイナスでも、所得税・住民税を納めている人であれば、積み立てた年の税負担は軽くなります。 比較項目NISAiDeCo税制メリット運用益が非課税掛金が全額所得控除+運用益非課税引き出しいつでも可原則60歳まで不可年間上限360万円27.6万円 → 74.4万円(企業年金なしの会社員・2026年12月分の掛金から)口座維持コストかからない国民年金基金連合会105円/回+事務委託先金融機関の手数料主な用途中期〜長期の資産形成老後資金専用 NISAは利益が出てはじめて恩恵を受けられる制度です。一方iDeCoは、運用結果にかかわらず積み立てた時点で課税所得が減ります。ここが仕組みとして根本的に違うところです。 iDeCo 30代の掛金上限|2026年12月に月6.2万円へ 2026年12月1日施行の改正で、iDeCoの拠出限度額が引き上げられます。実際に新しい上限で積めるのは2026年12月分の掛金からで、その口座引落しは2027年1月です。 区分現行の上限2026年12月分の掛金から会社員(企業年金なし)月23,000円月62,000円会社員(企業型DC等の企業年金あり)月20,000円かつ事業主掛金と合算で月55,000円以内企業年金とiDeCoの合算で月62,000円自営業・フリーランス月68,000円月75,000円 企業年金のない会社員は月23,000円から月62,000円へ、年額では276,000円から744,000円になります。 企業年金なし会社員のiDeCo年間上限(改正前後) 276000円 現行(年27.6万円) 744000円 2026年12月分から(年74.4万円) 2026年12月1日施行。企業年金のない会社員は年間上限が約2.7倍に あわせて、加入できる年齢の上限も65歳未満から70歳未満へ広がります。30代にとっては直接の影響は小さいものの、iDeCoが「60歳で終わる制度」ではなくなる方向に動いている、という意味では押さえておきたい変更です。 公務員や第3号被保険者(専業主婦・夫)の取り扱いは加入している年金制度によって異なります。自分の区分がどこに当たるかは、iDeCo公式サイトまたは勤務先の人事・総務にご確認ください。 自分が企業年金に加入しているか分からない場合は、「企業型確定拠出年金(DC)または確定給付企業年金(DB)はありますか」と人事・総務に聞くのが確実です。給与明細に「DC」という行があるかどうかも手がかりになります(選択制DCの給与明細の見え方はこちら)。 なお、これとは別に50歳以上の追加拠出枠を求める提言も出ていますが、こちらはまだ制度化されていない段階の話です。 iDeCo 30代の節税額|年収別に試算する 前提を置いて計算します。年収500万円・企業年金なしの会社員・毎月20,000円(年240,000円)の積み立て、各種控除後の課税所得が330万円以下で所得税率10%の区分に収まるケースです。 所得税の軽減:年間約24,000円(税率10%) 住民税の軽減:年間約24,000円(税率10%) 合計:年間約48,000円 同じペースを20年続けた場合、累計の軽減額は約96万円という計算になります。加えて運用益にも課税されません(通常の課税口座では運用益に約20%の税金がかかります)。 年収別の年間軽減額(月2万円積立) 年収所得税率の目安年間の軽減額の目安300万円5%約36,000円400万円10%約48,000円500万円10%約48,000円700万円20%約72,000円 年収別 iDeCoの年間節税額(月2万円積立) 36000円 年収300万 48000円 年収400万 48000円 年収500万 72000円 年収700万 住民税10%込みの概算。家族構成や各種控除により実際の金額は変わる ※住民税10%込みの概算です。課税所得が330万円を超えると所得税率は20%の区分に上がります。 ...

2026年4月19日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

楽天証券と松井証券を比較【30代投資家が10年超使って正直比較|SBI証券も】

楽天証券と松井証券のどっちにするか、比較して決めたい——この記事はそんな方に向けて、楽天証券をメインに10年超使い、松井証券も過去に口座を開いて触ったことがある30代投資家が、2026年8月時点の条件で正直に比較します。年収300万円台からNISAを始めて10年超、旧NISA配当累計90万円超のHIKOです(SBI証券は口座を持っていないため、公表情報ベースで比較しています)。最初の証券口座は「日経新聞が無料で読める」という理由だけで選んで失敗しました(経緯は後半の証券口座選びの失敗談に書いています)。選び方を間違えると、年間数千〜数万円分のポイントや還元を取りこぼし続けることになります。なお、口座選びや投資判断はご自身の状況に合わせて自己責任でお願いします。 結論は、いま持っているカードでほぼ決まります。楽天カードを持っている、または楽天市場を月1回以上使うなら楽天証券。メインカードがJCBオリジナルシリーズ、または電話で相談しながら進めたいなら松井証券。三井住友カードをすでに持っているなら、還元面ではSBI証券が有利です。どれにも当てはまらない場合は、アプリの分かりやすさと情報量から楽天証券が入口として無難だと考えていますが、どちらを選んでも取り返しのつかない失敗にはなりません。 楽天証券と松井証券を比較【2社で迷っている方向け】 「SBI証券は候補から外して、楽天証券と松井証券のどちらかに絞りたい」という方向けに、この2社だけを並べて比較します。結論を先に言うと、楽天経済圏を使っていてポイントを貯めたいなら楽天証券、電話サポート重視・JCBカードユーザーなら松井証券という整理になります。 以前は「松井はクレカ積立がない」のが両者の決定的な違いでしたが、2026年時点では松井証券もJCBカードによるクレカ積立に対応しています。そのため違いは「どのカード経済圏に乗っているか」「アプリの使いやすさを取るかサポートを取るか」に移っています。 楽天証券 クレカ積立0.5〜1%(楽天カード) 楽天ポイントで投信が買える アプリ★★★★★ 松井証券 クレカ積立0.5〜1%(JCBカード・利用額条件あり) HDI15年連続三つ星サポート 電話相談★★★★★ 主要6項目(クレカ積立還元率・投信残高ポイント・サポート・NISA・米国株・ツール)を2026年8月時点の各社公表条件で並べると、違いがはっきりします。 項目楽天証券松井証券クレカ積立対応カード楽天カード/ゴールド/プレミアム/ブラックJCBオリジナルシリーズクレカ積立還元率代行手数料0.4%未満のファンド(オルカン等)は通常カード0.5%/ゴールド0.75%/プレミアム1.0%/ブラック2.0%。代行手数料0.4%以上のファンドは通常カードでも1.0%(ブラック2.0%)0.5〜1.0%(カード種別と月間ショッピング利用額で変動・一般カード月5万円未満は付与なし)クレカ積立の月上限10万円10万円投信残高ポイント一部銘柄のみ最大年1%(対象範囲が広い。低コストインデックスは年0.0175%程度)NISA手数料(日本株・米国株・投信)0円0円米国株の為替コストリアルタイム為替は0銭、定時為替は片道25銭/米ドル円と米ドルの両替手数料は0円。ただし取引通貨「円」で約定すると25銭/米ドル。日本時間17時(夏時間)からの時間外取引に対応単元未満株(1株投資)かぶミニで買付・売却可(リアルタイムはスプレッド0.22%・寄付取引は無料)売却のみ・買付は非対応貸株対応(変動金利・週次見直し)対応(最低金利0.2%〜)ツール・アプリスマホアプリが直感的(★★★★★)必要十分+無料ロボアド「投信工房」(★★★☆☆)投信本数公式サイトに常時掲示なし(投信スーパーサーチで検索)1,800銘柄以上(松井証券の公式表記)サポート(HDI格付け)三つ星実績15年連続三つ星(最高評価)向いている人楽天経済圏・ポイントを貯めたい人電話で相談したい人・JCBカードユーザー 表の中でいちばん誤解が多いのがクレカ積立の還元率です。楽天証券の還元率は「対象ファンドの代行手数料」と「カード種別」の組み合わせで決まります。代行手数料が年率0.4%(税込)以上のファンドなら、ブラックが2%でそれ以外の楽天カードは一律1%。代行手数料が0.4%未満のファンドは、ブラック2%・プレミアム1%・ゴールド0.75%・それ以外0.5%と、ここで初めてカードのランク差が出ます(出典: 楽天証券クレカ積立(楽天カードクレジット決済)・2026年8月13日確認)。オルカンやS&P500など人気の低コストインデックスは代行手数料が0.4%未満の側なので、ゴールドを持っていても1%ではなく0.75%になります。ここを1%だと思って年会費を判断すると計算が狂います。 松井証券のJCBクレカ積立は、一般カードだと月5万円以上のショッピング利用が還元の条件になるなど、カードの使い方しだいで実質還元が変わります。どちらも「カードのランク」だけでは決まらない、という点は押さえておきましょう。 投信残高ポイントは逆に松井証券が優位で、対象範囲が広く最大年1%です(低コストインデックスは年0.0175%程度なので、オルカン中心の積立なら差はほとんど出ません)。単元未満株を1株ずつ買い増したい方は、買付に対応している楽天証券が明確に有利です。貸株はどちらも対応しており、実績と設定の注意点は貸株はやめたほうがいい?27銘柄・5年7ヶ月の実績にまとめています。 米国株の取引時間は松井証券が先行しています。日本時間17時(夏時間。冬時間は18時)から始まる時間外取引に対応しており、この時間帯から取引できるのはネット証券では同社のみと公表しています。さらに同社は2026年7月28日付のプレスリリースで、米国株サービスの取引時間を現行の12時間から23時間へ拡大することを公表しました。開始予定は現地時間2026年12月6日(日)の取引から(日本時間12月7日(月)午前11時から)で、拡大後は日本時間10時〜翌9時(夏時間。冬時間は11時〜翌10時)になります(出典: 松井証券米国株サービスの取引時間を23時間に拡大・2026年8月13日確認)。米国株を日本の日中に売買したい方には、ここは松井の明確な差別化点になります。 どちらが正解という話ではなく、「自分がどのカード・経済圏に乗っているか」で選ぶのが一番ミスがありません。 楽天証券と松井証券の選び方:3つの質問で決まります 楽天カードを持っている、または楽天市場を月1回以上使いますか? → 当てはまるなら楽天証券です。クレカ積立の還元と楽天経済圏の連携をそのまま活かせます。 メインカードがJCBオリジナルシリーズ、または電話で相談しながら進めたいですか? → 当てはまるなら松井証券です。JCBクレカ積立とHDI格付け15年連続三つ星のサポートが活きます。 どちらにも当てはまらない場合 → 私は楽天証券から始めるのがよいと考えています。アプリの分かりやすさと情報量で、初心者がつまずきにくいからです。口座開設は無料なので、迷い続けて始めないことのほうが機会損失になります。 30代は投資できる期間が長いぶん、「途中でやめずに続けられること」が何より効きます。アプリを毎月触る生活なら楽天証券のUIの分かりやすさが、最初の不安を電話で潰したいなら松井証券のサポートが、それぞれ「続ける力」になります。なお、生活費を削ってまで満額を急ぐ必要はなく、無理のない金額で始めるほうが結局続きます(この点は実家暮らしでNISA満額3年突っ込んだ20代の話に当時の失敗構造を書いています)。 Q. 結局どっちがいいですか? 「楽天経済圏を少しでも使っているなら楽天証券、電話で相談しながら進めたいなら松井証券」です。私自身はメイン口座として楽天証券を10年超使い続けていて、2015年に買ったコナカ株(7494)も楽天証券の特定口座で保有しています。楽天カード積立とマネーブリッジを「設定して放置」できる仕組みが性に合っているからです。 Q. 楽天証券と松井証券の併用はありですか? ありです。証券口座は1人で何社でも持てます(NISA口座だけは1人1口座)。私もメインは楽天証券ですが、過去に松井証券の口座を開いていた時期があります(現在は保有していません)。NISA口座をどちらに置くかだけ先に決めれば、特定口座は両方を使い分けても問題ありません。たとえば「NISAと日々の積立は楽天証券、投信の長期保有や電話相談の窓口として松井証券」という分け方は現実的です。どちらも口座開設・維持は無料なので、「どちらを選んだら大失敗する」という類の選択ではありません。 楽天証券で口座を開く場合はこちらからどうぞ。 楽天証券(NISA・iDeCo・株式取引すべて対応) クレカ積立0.5〜1%・楽天ポイントで投信が買える・マネーブリッジで楽天銀行金利優遇。NISA口座開設・取引手数料すべて無料。 楽天証券で無料口座開設する → ※アフィリエイトリンクを含みます(TGアフィリエイト)。口座開設・維持費用は無料。 電話サポート重視で松井証券を選ぶ方はこちらです。 電話サポート重視なら松井証券 HDI格付け15年連続三つ星・投信残高ポイント年最大1%。NISA口座も日本株/米国株/投信すべて0円。 松井証券で無料口座開設する → ※アフィリエイトリンクを含みます。口座開設・維持費用は無料。 SBI証券も含めた3社での結論【NISA 証券会社 選び方】 SBI証券まで候補に入れる場合の振り分けは、次の3行で済みます。 楽天カードを持っている、楽天市場を月1回以上使う → 楽天証券 三井住友カードを持っている、投信本数やIPOも重視する → SBI証券 電話で相談しながら始めたい、メインカードがJCB → 松井証券 楽天証券 楽天ポイント積立◎ アプリが直感的 ★★★★★ SBI証券 投信本数トップクラス IPOにも強い ★★★★★ 松井証券 サポート充実・電話相談HDI三つ星 JCBクレカ積立対応 ★★★★☆ 月3万円積立なら年間いくら差が出るか【証券会社×カードの組み合わせ】 カード選びと証券会社をセットで考えると、年間のポイント還元に差が出ます。組み合わせごとに月3万円積立・月5万円積立の年間還元を試算したのが次の表です。 積み立てるファンドは、オルカンやS&P500のような代行手数料0.4%未満の低コストインデックスを前提にしています(この前提を外すと楽天側の還元率は上がります)。 組み合わせ還元率月3万円積立の年間還元月5万円積立の年間還元楽天証券 × 楽天カード(通常)0.5%1,800ポイント3,000ポイント楽天証券 × 楽天カードゴールド0.75%2,700ポイント4,500ポイント楽天証券 × 楽天カードプレミアム1.0%3,600ポイント6,000ポイントSBI証券 × 三井住友カード(NL)初年度0.50%/2年目以降は前年のカード利用10万円以上で0.50%・10万円未満は0.00%1,800ポイント(0.50%の場合)3,000ポイント(0.50%の場合)SBI証券 × 三井住友プラチナプリファード積立額の1.0%+年間カード利用300万円以上で+1.0%/500万円以上で+2.0%(重複なし・高いほうを適用)3,600〜10,800ポイント6,000〜18,000ポイント クレカ積立の月上限は各社とも10万円(新NISAつみたて投資枠の上限と同じ)です。 ...

2026年4月19日 · 最終更新: 2026年8月16日 · HIKO

株主優待で年間10万円以上受け取っているが、3銘柄で廃止された話【30代の実録】

現在の保有銘柄で、年間10万円以上の優待を受け取っています。内訳はQUOカード系が最多で約4.5万円、食品・お米系が約2.3万円、カタログギフトや商品券系がそれぞれ約1万円ほどです。 ただし同じ期間に、保有していた3銘柄で優待が廃止されました。 「廃止されないだろう」と思っていた銘柄が、なくなりました。 今回はその両方をそのまま書きます。 「年間10万円」の内訳をもう一段くわしく 「優待で年10万円」と書くと派手に見えますが、実態は地味な積み上げです。私が保有している銘柄のうち、優待があるものを目的別に整理するとこうなります。 カテゴリ主な銘柄年間優待相当QUOカード系旭情報サービス・JPX系・通信系・小売系 など約45,000円食品・お米系食品メーカー優待約20,000円ポイント・カタログ系KDDI(200株・保有5年以上で3,000円相当)ほか約10,000円商品券・割引券飲食・小売の優待券約10,000円ポイント・株主専用サービス各社株主限定特典約12,000円 ※KDDIはPontaポイント・ローソン/成城石井の商品セット・寄付から1つを選ぶ方式なので、複数のカテゴリで重複して受け取れるわけではありません。上の表では「ポイント・カタログ系」に1回だけ計上しています。 合計で年10万円台に届くという感覚です。1銘柄で2万円・3万円もらえる派手な優待は1つもありません。1銘柄あたり3,000〜10,000円相当の優待を、複数の銘柄に分散させた結果として10万円になっています。 「優待だけで暮らせる」みたいな話ではなく、「QUOカードで毎月のコンビニ・書店利用がほぼ賄える」「ポイントや商品セットで日用品を1〜2回買える」という、生活コストの一部を肩代わりしてくれる規模です。 最初に正直な話:日本取引所グループの優待が廃止されました 投資歴10年超の中で、優待絡みで一番学んだ出来事は日本取引所グループ(JPX、8697)の優待廃止です。 JPXはかつて、株主に対してクオカードを贈呈する優待制度を実施していました。証券取引所を運営する企業であり、財務的な安定感と知名度から「廃止されないだろう」と思って保有していたのが正直なところです。ところが、優待制度は廃止されました。 廃止後も株価は横ばい〜上昇傾向で推移し、配当も維持されていたため、実質的な影響はほとんどありませんでした。ただ、「廃止されないはず」という思い込みが根拠のない判断だったとあとから気づきます。どれだけ安定した企業に見えても、優待制度は企業が任意で設けているものです。業績悪化や株主還元方針の変更(優待を廃止して配当を増やすケースも多い)により、いつでもなくなります。 「優待ありき」で銘柄を選ぶことへの過信は捨てたほうがいいと感じました。 株主優待の基本:3分で押さえる 株主優待とは、企業が一定数以上の株を持つ株主に対して、自社の商品やサービスを無料・割引で提供する制度です。日本独自の文化で、多くの上場企業が実施しています。 優待の種類は大きく3つです。 ① 食事券・飲食割引券:レストランチェーンや居酒屋系の企業に多い。実生活でそのまま使えるのが魅力。 ② 商品券・買い物割引券:家電量販店やスーパーなどで使える金券。現金に近い使い勝手。 ③ 自社製品・カタログギフト:食品メーカーや日用品メーカーの優待。生活費の節約に直結。 ただし、優待の価値は「実際に使う人」にしか生まれません。自分が使わないサービスの優待をもらっても、金銭価値はゼロです。銘柄選びの前に「自分が日常的に使う場所・もの」を起点にするのが基本です。 株主優待は何株から?必要株数と長期保有優遇の確認方法 「何株買えばもらえるのか」は銘柄ごとに違います。最低単元の100株から優待がもらえる企業が多い一方で、条件が重い銘柄もあります。私が保有しているKDDIはその代表例で、優待の条件は200株以上、さらに保有1年以上5年未満は2,000円相当・5年以上は3,000円相当という長期保有優遇の設計です(2026年3月末基準日時点)。私は2017年2月に最初の100株を買って以来、保有を切らさずに継続しているため、5年以上の区分に該当します。 確認手順は次の2つで足ります。 企業の公式IRサイトの「株主優待」ページを見る:必要株数・保有年数条件・優待内容の最新情報は、必ず企業公式の一次情報で確認します。優待まとめサイトの情報は変更が反映されていないことがあります。 権利確定日(基準日)を確認する:優待は基準日の時点で条件を満たす株数を保有している株主に贈られます。買った翌日にもらえるわけではなく、基準日を過ぎてから届くまでには時間がかかります。 とくに注意したいのは、KDDIのように優待の内容や条件が途中で変更されるケースです。私の保有中にも従来のカタログギフトから選択方式への変更がありました。「買ったときの条件がずっと続く」とは考えず、年1回は公式IRページを見直す習慣をつけておくと、変更や廃止のときに慌てずに済みます。 もうひとつ、長期保有優遇のある銘柄で気をつけたいのが株主番号です。継続保有の判定は多くの場合「同一の株主番号で連続して株主名簿に載っていること」で行われ、この番号は転居・証券会社の変更・貸株サービスの利用などで変わることがあります。私は王子ホールディングス(3861)を一度も売らずに持ち続けていたのに、引っ越しをまたいだ年の優待だけ届きませんでした。株を持ち続けていても優待の権利が切れることがある、という話は貸株の記事にまとめています。 実際に保有している2銘柄の話 ユニバーサル園芸社(6061) フラワー装飾・緑化サービスを手がける会社で、現在も保有中の銘柄です。時価総額は数百億円規模で、小型株に分類されます。優待内容は保有株数に応じてクオカードが贈られてきます。コンビニ・書店・ドラッグストアなど幅広く使えるため、生活費の一部として自然に消化できます。 この銘柄を選んだのは財務の安定性と増配傾向が主な理由です。優待はあくまで「おまけ」として捉えており、企業として持ちたいと判断した上で選びました。小型株であるため株価の流動性については事前に確認しておく必要があります。現在も優待制度は継続中です。 ただし、これから買う人は株式分割にともなう制度変更に注意が必要です。同社は2025年12月31日を基準日として1株を2株に分割し、2026年1月1日に効力が発生しました。これにともない、優待は2026年6月30日基準日から新制度に切り替わります(出典:ユニバーサル園芸社「株式の分割及び効力発生後の株主優待の変更、拡充に関するお知らせ」2025年8月14日 https://f.irbank.net/pdf/20250814/140120250814541540.pdf 、2026年8月13日確認)。 基準日保有株数優待内容発送時期6月30日100株以上200株未満クオカード1,000円分9月下旬6月30日200株以上クオカード3,000円分9月下旬12月31日100株以上200株未満クオカード1,000円分3月上旬12月31日200株以上クオカード2,000円分3月上旬 分割前は6月末・12月末とも100株以上で一律2,000円分でした(同じ2025年8月14日の開示で、分割前ベースでは6月末のみ3,000円分へ拡充する内容も同時に決議されています)。分割で株数が2倍になっているので、分割前から100株を持っていた人(=分割後200株)は上表の200株以上の区分に入ります。一方、分割後に100株だけを新しく買う人は1,000円分です。「100株でクオカード2,000円分」という分割前のイメージのまま買うと、もらえる金額が変わる点に注意が必要です。 KDDI(9433) 携帯キャリア大手で、200株を現在も保有中の銘柄です。優待は2025年に内容が変更され、従来のカタログギフトからPontaポイント・ローソン/成城石井の商品セット・社会貢献団体への寄付のいずれかを選ぶ方式になりました。200株以上が条件で、保有1年以上5年未満は2,000円相当、5年以上は3,000円相当と長期保有優遇があります(2026年3月末基準日。出典:KDDI公式IR「株主優待制度」 https://www.kddi.com/corporate/ir/individual/stockholder/ )。 私は商品セットを選ぶことが多く、食品が中心なので生活費の足しになっています。配当も安定しており「優待+配当」として捉えると長期保有の判断が立てやすい銘柄です。ただし、優待は今後さらに変更・縮小される可能性がありますし、通信業界全体の規制や競争環境の変化が株価に影響するリスクは常にあります。あくまで私の保有状況の紹介であり、購入を勧めるものではありません。 優待廃止の経験:JPX・JT・オリックス 「廃止されないだろう」と思っていた銘柄の優待が、実際になくなりました。私が買ったことのある3銘柄の話です。うち2銘柄は保有中に廃止を迎え、1銘柄は廃止が発表される前に手放していました。 日本取引所グループ(JPX、8697) 冒頭で触れたとおりです。クオカード贈呈の優待が廃止されました。廃止後も株価・配当に大きな影響はありませんでしたが、「安定した企業だから廃止されない」という思い込みの危うさを実感しました。 JT(日本たばこ産業、2914) 高配当株として保有しており、食品や自社グループ商品のカタログギフト優待も魅力のひとつでした。「高配当+優待」という組み合わせで長期保有していましたが、2022年に優待制度が廃止されました。廃止の理由として、配当に一本化することで株主全体に公平に還元するという方針が示されました。年間2,500円相当の優待がなくなりましたが、配当水準は維持されたため実質的な影響は限定的でした。ただ「優待は続くもの」という前提が崩れた出来事でした。 オリックス(8591) 「優待株といえばオリックス」と言われるほど知名度が高く、カタログギフトの内容の充実さで人気のある銘柄でした。私は2017年1月に買い、2020年7月に売却しています。その約2年後、2022年5月に廃止が発表され、2024年3月末をもって優待制度が終了しました。年間5,000円相当のカタログギフトがなくなっています。理由はJT同様「株主への公平な利益還元」です。 正直に書くと、この廃止を私は株主として受け止めていません。売った理由は優待とは関係なく、コロナショックで含み損を抱えた銘柄をまとめて処分した流れでした。結果的に「優待が廃止された人気銘柄を、廃止前に手放していた」というだけの話です。それでもこの一件は、あれだけ優待の代名詞だった銘柄でも廃止されるという事実として、私の銘柄選びに効いています。 なお、JPXの優待は2025年3月末実施分が最後(2023年10月に発表)、JTは2022年12月末が最後、オリックスは2024年3月末が最後でした。3社に共通しているのは、財務的に安定していて廃止される理由がないように見えたという点です。むしろ優待の充実度が高かったからこそ「このまま続くだろう」と思っていました。企業側の株主還元方針が変われば、どの銘柄でも優待は廃止されます。優待を「おまけ」として割り切り、企業そのものの価値で持つかどうかを判断することの大切さを、この3件で改めて感じました。 優待利回りの考え方:「利回りが高い≠安全」 よく「優待利回り3%以上を目安に」という情報を見かけます。優待の価値を株価で割った数字を指標にする考え方です。ただし、これだけで判断するのには注意が必要です。 優待利回りは使える人にしか意味がない:使わないものの利回りはゼロです。 高い優待利回りは株価が下落しているサインの場合がある:株価が下がった結果として相対的に利回りが高く見えているケースがあります。優待目当てに飛びついて買ったものの、株価がさらに下落して優待の価値を上回る含み損になる、という状況は起こり得ます。 優待は企業業績悪化時にまず削られやすい:コスト削減策として優待廃止を検討する企業は多く、高利回りほどその可能性を疑うべき場面もあります。 利回りの数字を見るとしても、企業の財務状況・配当実績・業績の安定性とあわせて判断することが必要です。 30代が優待投資に向いているとき・向いていないとき 向いている人 外食・日用品など、自分が使えるジャンルの優待がある銘柄を選べる 「配当+優待」でコツコツ受け取りながら長期保有できる 優待廃止・株価下落をある程度許容できる(優待は確定した収益ではない) NISAで個別株を持つ予定があり、その中の1銘柄として組み込む 30代は外食の機会がそれなりにあり、食事系・カフェ系の優待は実際に使いやすい年代です。 向いていない人 優待銘柄を優待目的だけで選んでいる(企業の実態を見ていない) 少額の優待のために10〜20万円の資金を1銘柄に集中させる 優待が廃止・縮小したときに、持ち続ける理由を説明できない NISAとの相性 新NISA口座で株を保有していても、株主優待は受け取れます。加えて、株が値上がりした際の売却益・配当金も非課税になります。 ...

2026年4月19日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO