じぶんの積立のデメリットは「生命保険料控除の枠」しだい|明治安田の実質利回りをIRRで検証

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界で10年働いたあと IT企業へ転職、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。 「じぶんの積立」は、受取率110%・元本保証という切り口で語られることの多い商品です。ただ数字を分解してみると、この商品の損得を左右しているのは受取率ではありませんでした。生命保険料控除の枠が空いているかどうかで、実質利回りが大きく変わります。本記事では公式条件(保険料率2026年8月1日現在・2026年8月12日確認)をもとに、その分岐を先に確定させてから細部に入ります。 なお本記事は特定の保険商品の加入・解約を勧めるものではありません。試算は一般的な前提を置いた概算で、契約判断はご自身の状況と最新の設計書を確認のうえ行ってください。 結論:損得は「生命保険料控除の枠が空いているか」でほぼ決まります 月1万円×5年払込・10年満期で受け取れる便益を分解すると、次のようになります。 便益の内訳10年で得られる額年率換算(IRR)満期の増加分60,000円約1.27%生命保険料控除(枠が空いている場合)+34,000円約2.04%まで上昇生命保険料控除(枠が埋まっている場合)+0円約1.27%のまま 便益94,000円のうち34,000円、およそ4割弱は運用ではなく税制から来ています。つまり「じぶんの積立」は貯蓄商品というより、生命保険料控除を取りにいくための器に近い性格を持っています。 ここが重要なのは、控除枠は先に入った保険から順に埋まるからです。すでに医療保険や収入保障保険に入っている人は、この34,000円が丸ごと消えます。同じ商品に同じ金額を入れても、人によって実質利回りが1.27%と2.04%に分かれる。これが「じぶんの積立」のいちばんの特徴です。 まず自分の控除枠が空いているかを確認します 判断の順番として、商品スペックを読むより先にここを確認したほうが早いです。 一般生命保険料控除は、年間払込保険料が8万円を超えると控除額が上限に達します(新制度)。 所得税:控除額の上限 40,000円 住民税:控除額の上限 28,000円 年収500万円・所得税率10%・住民税率10%の場合、上限まで取れたときの節税額は年6,800円です(40,000円×10% + 28,000円×10%)。5年間の払込期間で合計34,000円になります。 問題は、この枠が「じぶんの積立」専用の枠ではないことです。次のいずれかに当てはまるなら、枠はすでに埋まっているか、埋まりかけている可能性が高いと考えてください。 医療保険・終身保険・収入保障保険などに加入しており、年間保険料が8万円を超えている 学資保険に入っている 勤務先の団体保険で生命保険に加入している 30代で既婚の方は、医療保険か収入保障保険のどちらかに入っているケースが少なくありません。その場合、「じぶんの積立」から得られる便益は満期の増加分60,000円だけになり、実質利回りは年率約1.27%にとどまります。 契約中の保険がある方は、毎年10月ごろに届く生命保険料控除証明書を見れば、一般区分の払込額がすぐ分かります。 商品の設計:5年払い込んで、さらに5年置く 控除枠の確認が済んだら、商品そのものを見ます。公式サイトの条件は次のとおりです(保険料率2026年8月1日現在・2026年8月12日確認)。 項目内容月掛保険料5,000円・1万円・1万5,000円・2万円(公式シミュレーションの選択肢)払込期間5年保険期間10年保険料の払い方月掛のみ(まとめ払いはできません)5年経過時の返戻率100.0%10年満期時の受取率110.0%加入年齢被保険者0歳〜満75歳・契約者満18歳〜診査・告知不要生命保険料控除区分一般生命保険料控除の対象 年齢・性別に関係なく返戻率・受取率は同じ、というのがこの商品の設計です。建付けは「5年間月払い → そのまま5年据え置き → 満期で110.0%」というシンプルな貯蓄型保険になります。 見落とされやすいのは、増加分は後半5年に集中していることです。払込が終わった5年時点の返戻率は100.0%ちょうどで、増加分60,000円はすべて据置期間に乗ってきます。前半5年だけを見れば、お金を預けて何も増えていないのと同じ状態です。 なお最低額は月5,000円ですが、それだと年6万円の払込となり、控除額が上限に達する「年8万円超」に届きません。公式シミュレーションで選べる4つの金額のうち、控除枠を使い切れるのは月1万円以上です。 実質利回りを2通りで出します 月1万円×60ヶ月(5年)で計算します。公式サイトのシミュレーションでも、この条件の満期保険金は660,000円と表示されます。 払込総額:10,000円 × 60ヶ月 = 600,000円 満期保険金:600,000円 × 110.0% = 660,000円 増加額:60,000円 ここまでは単純な算数ですが、実際には「60万円が一括ではなく月1万円ずつ拠出された」「払込終了後の5年間は据え置き」という時間構造があります。これを織り込んだ内部収益率(IRR)を出すと、月次で約0.105%、年率換算で約1.27%です。 計算前提:保険料は各月の初めに払い込み(計60回)、契約から120ヶ月後に満期保険金660,000円を一括で受け取るものとして、月次キャッシュフローから内部収益率を求めて年率換算しました。税・配当等の細目は加味していません。 そのうえで、控除の有無で次のように分かれます。 前提10年間の便益IRR(年率)控除枠が埋まっている60,000円約1.27%控除枠が空いている94,000円約2.04% 補足:IRR約2.04%は、節税額(年6,800円を翌年3月に受け取ると仮定・5年分)を年次キャッシュフローとして加算した概算値です。実際の控除額は所得・他保険の控除枠の状況・住民税の所得割等により変動します。 受取率110.0%という表示に対して、実際に効いてくる利回りはこの2つのどちらかです。商品を比較するときは、受取率ではなくこちらの数字を並べたほうが判断を誤りません。 途中でやめると何が起きるか 公式サイトの「解約時の返戻金等の推移」に載っているのは、次の4点だけです(月1万円・保険料率2026年8月1日現在)。 経過年数払込保険料累計解約時の返戻金・満期保険金返戻率・受取率3年経過360,000円360,000円100.0%5年経過(払込終了)600,000円600,000円100.0%7年経過600,000円632,860円105.4%10年経過(満期)600,000円660,000円110.0% 出典:明治安田生命「明治安田生命じぶんの積立」(2026年8月12日確認) 1年・2年の返戻率は公表されていません。 ここは正確に扱っておきたいところで、公表されているのは3年以降の4点だけであり、その4点はいずれも100.0%以上です。掲載がないことを「1年目は元本割れ」と読み替えるのは、公式が言っていないことを勝手に埋める行為になります。契約から3年より前に解約する可能性があるなら、その時点の返戻金は設計書か担当者に確認してください。返戻率および受取率は小数第2位以下を切り捨てて表示されている点も、公式の注記どおりです。 そのうえで実務的に注意したいのは、3年よりも5年のほうです。5年経過で解約すると返戻率100.0%ちょうど、つまり60万円を5年間動かせなかっただけで終わります。損はしませんが、増えもしません。「元本保証だから最悪でも損しない」という安心感で入ると、この5年地点の取り扱いを見落としがちです。 増加分が乗ってくるのは6年目以降で、7年経過でようやく105.4%、満期の110.0%に届くのは10年後です。10年間動かさない前提が置ける資金かどうかを、入る前に決めておく必要があります。 元本は保証されても、購買力は保証されません 「元本保証=資産価値が維持される」というイメージは、正確ではありません。 10年後に60万円が66万円になる商品は、名目では増えています。ただしその10年で物価が10%上がっていれば、実質的な購買力はほぼ相殺されます。近年は食品・光熱費・サービス価格の上昇が続いており、年率1%台の確定リターン商品は「名目では増えても、実質では目減りしうる」性質を持ちます。 ...

2026年5月15日 · 最終更新: 2026年8月12日 · HIKO

企業年金の利回り1.68%時代へ|元本確保型のままでいいのか30代向けに解説

日本生命が企業向け団体年金保険(一般勘定)の2025年度配当込み利回りを1.68%に引き上げる方針だと、2026年5月8日に報じられました。この1.68%は報道ベースの数字で、私が日本生命の公表資料を確認した範囲では同じ数値を見つけられていません(出典の扱いは後述します)。 結論から言うと、これは元本保証型としてはかなり改善した数字です。ただし30代の資産形成という視点では、少なくとも現時点では、NISA・iDeCoを優先する構図は変わらないというのがFPとしての見立てです。むしろ2026年に入ってからの金利上昇で、同じ「元本を守って置く」土俵にある個人向け国債が1.68%に並び、そして追い抜きました。 この記事はこんな人向け 会社の企業年金(DB・DC)をなんとなく放置している人 「元本保証で増える商品」が気になっている人 NISAと貯蓄型保険のどちらを優先すべきか迷う30代 保険業界に10年在籍したのちIT企業へ転職した、平成時代を生きた30代のHIKO(FP2級・投資歴10年超)が、このニュースを「個人の家計目線」に翻訳します。 結論|1.68%は「元本保証としては良い」、ただし主役にはならない 最初にもう一度結論を整理します。 1.68%は三井住友銀行の普通預金(標準金利)年0.400%の約4.2倍で、元本保証型としては合格点です(金利は同行「円預金金利」2026年8月12日現在) ただし同じ2026年5月に募集された個人向け国債(変動10年・第194回)の表面利率は年1.67%です。1.68%はほぼ同水準でした。2026年8月募集の第197回は年1.87%なので、いまは国債のほうが上です(財務省「適用利率一覧」2026年8月12日確認・税引前) 直近の国内消費者物価上昇率(年2%台)には届いていない可能性がある オルカン・S&P500は過去の長期実績ベースでは年5%前後で語られることが多く、依然として大きな差 多くの30代にとっては、NISA・iDeCoを軸に据える戦略を変える数字ではない この5点をふまえて、以下で「何が起きたのか」「なぜ起きたのか」「個人はどう動くべきか」を順に見ていきます。 ニュースの3行要約|「1.68%」「配当込み」「一般勘定」を分解する 報道のポイントを3行で整理します。 対象:企業向け団体年金保険(厚生年金基金・確定給付企業年金などで企業がまとめて加入する商品) 区分:一般勘定(元本と一定の利率が保証される運用区分) 数字:2025年度の配当込み利回りを1.68%に引き上げ 背景:国内外の金利上昇と株高による生保各社の運用環境改善 この1.68%の出典について(確認できたこと・できなかったこと) 先に、数字の出どころをはっきりさせておきます。 1.68%は報道ベースの数字です。 2026年5月8日付のブルームバーグの報道として伝えられたもので、私が日本生命の公表資料(ニュースリリース一覧)を2026年8月12日に確認した範囲では、この数値を同社が公表した資料は見つけられませんでした。同記事の本文そのものも、私の環境では直接開くことができていません。したがって本記事では、1.68%を報道ベースの数値として扱います。 一方で、日本生命が公表資料として出しているのは別の数字です。2026年5月21日付の「団体年金保険一般勘定の上乗せ利率の改定について」(PDF・2026年8月12日確認)では、2027年度以降の上乗せ利率(有期の予定利率)を次のように引き上げるとしています。 対象2027・2028年度2029年度2030・2031年度2032年度確定給付企業年金保険一般勘定特約(2022)0.95% → 1.10%0.75% → 1.10%0.75% → 0.90%新設 0.90%確定給付企業年金保険・厚生年金基金保険(H14)・新企業年金保険(H14)0.80% → 0.95%0.60% → 0.95%0.60% → 0.75%新設 0.75% この上乗せ利率は、同社が2026年4月1日から団体年金一般勘定(プレミア6)に新設した「有期の予定利率」で、配当込み利回りとは別の数字です。保証される部分の利率と、配当を含めた結果の利回りは別物という点は、以下を読むときに押さえておいてください。 注意点として、「予定利率」と「配当込み利回り」は別物です。予定利率は契約時に保証される最低保証部分で、配当込み利回りはそこに運用実績に応じた配当を上乗せした実質利回りを指します。今回引き上がるのは後者です。なお個人向けの生命保険では、予定利率は保険会社が見込む運用収益の分だけ保険料を割り引くための率で、契約者が手にする実質利回りとは別物です(お宝保険の記事で詳しく整理しています)。 団体年金の世界では、0.1〜0.2%の改定でも大きなニュースになります。企業が負担する掛金や、母体企業の年金債務評価に直結するためです。上の表のとおり、公表資料でも0.15〜0.35ポイント刻みの引き上げが並んでいます。企業年金担当者にとっては「ようやく一息つける」体感の改定です。 なぜいま上がったのか|日銀の政策転換が効いている 背景を一段深掘りすると、日銀のマイナス金利解除以降、国内金利環境が緩やかに変わりつつあり、生保の主力運用先である国内債券の利回りも改善していることが大きいです。生保の一般勘定は債券中心の構成のため、長期金利が戻れば数年遅れで運用利回りに反映されます。今回の改定はその時間差リターンが表に出てきた形です。 「1.68%」はどれくらいすごいのか|預金・個人向け国債・インデックスと比べる 数字単体ではピンと来ないので、身近な利回りと並べてみます。 比較対象利回り(年率)1.68%との差三井住友銀行 普通預金(標準金利)0.400%約4.2倍三井住友銀行 スーパー定期1年(300万円未満)0.500%約3.4倍個人向け国債(変動10年・第194回=2026年5月募集)1.67%ほぼ同水準個人向け国債(変動10年・第197回=2026年8月募集)1.87%1.68%のほうが低い直近の国内消費者物価上昇率約2%台届いていない可能性オルカン・S&P500(過去長期実績の目安)年5%前後で語られることが多い約3分の1 (注:預金金利は三井住友銀行「円預金金利」の2026年8月12日現在の掲載値・税引前です。個人向け国債の利率は財務省「変動10年の発行条件」の適用利率一覧・税引前で、2026年8月12日に確認しました。変動10年の利率は半年ごとに見直されるため、1.87%は初回適用分です。オルカン・S&P500の「年5%前後」は過去の長期インデックス投信実績から語られる目安で、将来を保証する数値ではありません。物価上昇率は総務省統計局の公表値を参考にしています) 「預金よりはずっと良いが、国債と並ぶ程度で、株式インデックスには届かない」——これが1.68%の体感値です。ここは記事の見立てを一度直したところで、1.68%が発表された2026年5月の時点ですでに、同じ月に募集されていた個人向け国債(変動10年・第194回)の1.67%とほぼ並んでいました。その後も国債の利率は上がり続け、6月募集の第195回が1.74%、8月募集の第197回が1.87%です。 つまり、同じ「元本を守って置く」土俵ですら、1.68%は当初から最上位ではありませんでした。この記事の結論である「元本確保型は主役にならない」は、金利上昇によってむしろ強まっています。 そもそも「一般勘定」とは|元本保証の代わりに利回りは抑えめ 一般勘定は、生命保険会社が契約者から預かった保険料を、自社の責任で運用する勘定区分です。終身保険・定期保険・医療保険などの責任準備金に対応する資産を運用する基本の勘定にあたります。今回話題の団体年金の保証型では、元本と一定の利率が保証される代わりに、運用がうまくいっても契約者が受け取る配当には上限があり、運用が悪化しても保険会社側が穴埋めする仕組みです。 対になるのが特別勘定で、こちらは運用実績が直接保険金等に反映される商品のために設けられた勘定で、一般勘定とは分離して運用されます。変額保険・変額年金は特別勘定タイプです。 区分元本保証利回りの上限主な商品一般勘定商品による(団体年金の保証型はあり)配当込みでも控えめ終身保険・個人年金・団体年金(保証型)特別勘定なし運用実績次第変額保険・変額年金 一般勘定だからといって、どの商品でも元本が保証されるわけではありません。終身保険や個人年金も一般勘定ですが、途中解約時の返戻金は払込総額を下回ることがあります。 各社開示資料ベースでは、一般勘定は国内外の公社債を中心に、株式・不動産・オルタナティブを一部組み入れたポートフォリオが一般的です。今回1.68%まで上がったのは、国内外の金利上昇で債券の利回りが戻ってきたことが一番大きな要因と読み取れます。 業界の中から見た「予定利率上昇」の意味 ここは、保険業界10年で見てきた中の人としての観点です。 予定利率や配当が上がったというニュースが出ると、保険会社の営業現場では貯蓄型保険を推しやすくなります。販売員側の心理として「いまが入り時です」という訴求がしやすくなるからです。 ただし販売側にいた立場で正直に書くと、現在の円建て貯蓄型保険は、資産形成の"主役"にはなりにくいというのが当時から変わらない感覚でした。理由は3つあります。 付加保険料(手数料相当)が外部からは見えにくく、IRRで見ると表面利回りより必ず低くなる 途中解約のペナルティが大きく、流動性が極めて低い NISA・iDeCoの税優遇を使い切る前に保険でロックする経済合理性が薄い 団体年金は「保険会社×企業」の大口契約なので、個人向けより条件が良くなる構造です。個人がそのまま1.68%にアクセスできるわけではない点は、誤解しないようにしたいところです。 NISA・iDeCoとの位置づけ|なぜそれでも"主役"を変えないのか NISA・iDeCoと並べたときの位置関係を整理します。 ...

2026年5月9日 · 最終更新: 2026年8月12日 · HIKO

旧NISA出口戦略の実例/11年分の銘柄を売却・移管・クロス取引で処理した全記録

2024年1月から新NISAが始まり、旧NISAは新規買付ができなくなりました。残された旧NISAの銘柄には「非課税期間が終わったら特定口座に移管されるのを待つのか」「期間内に売ってしまうのか」を選ぶ判断が、購入年ごとに順番に降りてきます。 私の場合、2015年から旧NISAで個別株を中心に積んできたので、購入年がばらけています。一般NISAの非課税期間は5年なので、銘柄ごとに出口を迎える年が違い、判断も1銘柄ずつ違う答えになりました。きれいに「全部こうしました」とはいきませんでした。 この記事では、その判断ロジックを、実際の約定日つきで公開します。とくに、9年5ヶ月塩漬けにしていたコナカ株を、2024年11月26日に「旧NISAで247円売却→同日特定口座で248円買戻し」というクロス取引で処理した一次体験は、ネット上にもほとんど書かれていない実例なので詳しく書きます。 平成時代を生きた30代、川崎市在住、夫婦二人暮らしのHIKOです。投資歴10年超(2015年NISAスタート)、保険業界10年からIT企業に転職、FP2級保有。最初の個別株は738円で買ったコナカ(7494)で、いまも特定口座に100株保有継続中です。最大の成功はJTの+376,930円、最大の失敗は青山商事の-310,960円。NISAという制度をフル活用してきたつもりが、出口のタイミングで「制度の限界」と「自分の判断ミス」が両方あぶり出された、という記事になります。 この記事はこんな人に向けて書いています。 旧NISAの非課税期間が終わる銘柄を、移管か売却か迷っている 新NISA成長投資枠を、旧NISA銘柄の買い直しに使うかどうか決めかねている 移管後の取得単価がどう扱われるかが正直よく分かっていない 旧NISAで含み損になった銘柄を「損切りして損益通算したい」と思っている 特定口座に移管された後、手取り配当がどう変化するかの実例を知りたい 旧NISA出口の結論:銘柄ごとに4パターンへ振り分けました 最初に結論から書きます。私は旧NISAの銘柄を、出口を迎える年ごとに以下の4処理へ振り分けました。約定日は楽天証券の精算履歴の実データです。 処理対象銘柄実行時期判断基準クロス取引で取得単価リセットコナカ(7494)2024年11月含み損のまま長期保有予定だが、非課税期間終了が迫っていた非課税期間終了前に益出し売却JT(2914)・ソフトバンク(9434)・日本郵政(6178)2025年9〜10月含み益が乗っており、非課税のうちに利益確定したかった非課税期間内に任意で損切り青山商事・中北製作所(6496)2020年7月非課税期間終了とは無関係に、銘柄選定の失敗を認めて撤退したまだ出口を迎えていない保有継続旧NISA口座の個別株7銘柄+ETF1本2026〜2027年に期間終了非課税期間が残っているので、今は動かさない ここで先に強調しておきたいのは、私の場合「非課税期間終了に迫られて下した判断」はコナカ1銘柄だけだったことです。青山商事(期限2021年末)と中北製作所(期限2022年末)は、期限がまだ1年半〜2年半残っていた2020年7月に自分の意思で損切りしています。JT・ソフトバンク・日本郵政は2021年に買った銘柄なので、期限は2025年末でした。旧NISAの出口は「2024年に一斉にやってくるもの」ではなく、購入年ごとに順番に来ます。 ロールオーバー(旧NISA→新NISA)はできません。 これが2024年改正の重要ポイントで、誤解している人がまだ多いです。詳しくは次のセクションで書きます。 大前提:旧NISA→新NISAへの「ロールオーバー」は廃止されました まず制度の話を整理しておきます。これを誤解したまま判断すると、後悔します。 2023年までの旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)には、5年または20年の非課税期間がありました。一般NISAの場合、非課税期間が終わる年に「翌年の新しい非課税枠にロールオーバー(移管)する」ことで、非課税期間を延長できる仕組みがありました。 ところが、2024年からの新NISAスタートに伴い、この旧NISA→新NISAへのロールオーバーは制度として廃止されました。旧NISAの非課税期間が終わった銘柄は、自動的に特定口座(または一般口座)に払い出されることになります。 つまり、旧NISA銘柄に残された選択肢は、実質的に次の3つです。 非課税期間終了を待ち、特定口座に自動移管される(何もしない) 非課税期間内に売却する(益が出ていれば非課税で利益確定) 非課税期間内に売却し、新NISA成長投資枠で買い直す 「ロールオーバーで非課税延長」はもう選べません。私の場合、2015年に買ったコナカは2019年末で5年の非課税期間が終わったので、当時はロールオーバーで非課税を延長していました。延長後の非課税期間は2024年末で終了するため、2024年中に何らかの判断を下す必要がありました。 コナカ(7494):旧NISA247円売却→同日特定248円買戻しというクロス取引 ここが今回の記事の核です。ネット上の旧NISA移行記事はほとんどが「自動移管された/売却した/買い直した」の3択しか書いていませんが、私はもう一つの選択肢を取りました。 何をしたか 2024年11月26日、私は楽天証券の口座で次の取引を1日のうちに実行しました。 取引口座価格株数金額売却旧NISA247円100株24,700円買戻し特定口座248円100株24,800円 取得時738円×100株 = 73,800円なので、旧NISAで247円売却した時点で確定したのは -49,100円の譲渡損です。一方、買戻しによって特定口座に取得単価248円のコナカ100株が新規建玉として立ちました。 売却値と買戻し値の差は1円×100株 = 100円。楽天証券の国内株式売買手数料は0円のコースだったため、手数料負担はありませんでした。実質コスト100円で「旧NISA口座を清算しつつ、特定口座に取得単価をリセットした状態でコナカを引き継ぐ」ことができました。 なぜ自動移管ではなくクロス取引にしたか 自動移管を待つ場合、2024年末の最終取引日終値(仮に250円とする)が特定口座の取得単価として記録されます。これでも「移管後の取得単価リセット」自体は起きるので、結果はクロス取引と似ています。 それでも私がクロス取引を選んだ理由は3つあります。 タイミングを自分で選べること。年末の最終週は流動性が薄く、終値が想定外に動くリスクがある。11月の落ち着いた相場で処理したかった 取引履歴が明確に残ること。「旧NISA247円売却・特定248円買戻し」という記録が残ることで、将来このコナカを売却するときに「実際の本当の買値は738円だったが、税務上の取得単価は248円」という説明が自分に対しても明確になる 「移すなら自分の手で移す」という区切りをつけたかったこと。9年5ヶ月放置していた銘柄を、証券会社の自動処理に任せたまま年を越すのが感覚的に嫌だった 正直に書いておくと、3つ目は経済合理性のある理由ではありません。税負担で見ればクロス取引と自動移管はほぼ同じ結果になります。配当金が特定口座の源泉徴収扱いに切り替わるタイミングも、自動移管でも2025年分から同じです。差が出るのは「取得単価が決まる日を自分で選べるか」と「履歴の見やすさ」だけだと理解した上で実行しました。 クロス取引のメリット・デメリット整理 項目自動移管(待つ)クロス取引(自分で実行)手数料0円スプレッド+売買手数料(私の場合100円)タイミング12月末最終日に自動自分で選んだ任意の日取得単価その日の終値売却・買戻し当日の約定値取引履歴「払出」という形で残る売却・買戻しの2レコードが明確に残る損益通算できない(旧NISAの損は通算不可)できない(同上) ポイントは、いずれにしてもNISAの売却損は損益通算できないという点。これが次のセクションの落とし穴の話に直結します。 NISA損益通算不可という落とし穴 NISAの一番見落とされやすい仕様がこれです。 何が起きるか 通常、特定口座で株式を売却して譲渡損が出た場合、その損失は同年内のほかの譲渡益や配当益と損益通算でき、節税につながります。3年間の繰越控除も使えます。 ところが、NISA口座(旧・新どちらも)で発生した売却損は、 同年内の特定口座の譲渡益と損益通算できない 翌年以降の繰越控除に使えない 配当課税との通算もできない 「税金がかからない代わりに、損が出ても税務上の救済も一切ない」というのがNISA口座の正体です。 私のコナカで具体的に何が起きたか 旧NISAでの売却損 -49,100円は、税務上は完全に「ないもの」として扱われます。 たとえば私が同じ年に特定口座で別の銘柄を売却して+50,000円の譲渡益が出ていた場合、 通常の特定口座同士の取引であれば、この+50,000円とコナカの-49,100円を相殺して、譲渡益はわずか900円。税金は20.315%×900円 = 約183円で済む ところが、コナカの売却損は旧NISA発のため通算できず、+50,000円の全額が課税対象になる。税金は20.315%×50,000円 = 10,158円 つまり、NISAで含み損になった銘柄を「損切りで節税」しようとしても、まったく節税にならないのです。これは旧NISAも新NISAも同じ仕様です。 じゃあクロス取引は無意味だったのか いいえ、無意味ではありません。クロス取引の目的は「節税」ではなく「税務上の取得単価のリセット」と「保有口座の整理」です。 私のコナカは特定口座に取得単価248円で再スタートしたので、もし将来400円まで上がって売却した場合、譲渡益は (400-248)×100 = 15,200円。税金は20.315%×15,200円 = 3,088円。本当の買値738円基準では大きな含み損のまま売っているのに、税務上は譲渡益として課税されるという捻じれた結論になります。 ...

2026年5月5日 · 最終更新: 2026年8月3日 · HIKO

2026年4月末の資産配分(アセットアロケーション)と保有商品、今後の投資方針

2026年5月3日にマネーフォワードMEから取得した私の投資ポートフォリオは、合計で27,892,957円(約2,790万円)でした。投資歴10年超(2015年スタート)の積み上げ結果を、株式・投資信託・企業DC・ソーシャルレンディングまで含めて全部公開します。半年に一度、自分の資産配分を晒して振り返る記事の第1弾です。 平成時代を生きた30代、川崎市在住の会社員HIKOです。投資歴10年超・FP2級・コナカ株(738円購入)を今も塩漬けで保有中、青山商事ではマイナス31万円を確定させた実績つき。等身大の数字でいきます。 なお、本記事の集計対象は「投資ポートフォリオ」のみです。現預金・公的年金(国民年金・厚生年金)は含めていません。理由は、これらを含めると「自分が能動的に配分を選んでいる資産」のバランスがぼやけてしまうためです。半期ごとに比較する数字としては、能動運用部分だけを切り出したほうが意思決定の振り返りに使えると感じています。 本記事は株式・投資信託・企業DC・ソーシャルレンディングという資産クラスの配分を見る記事です。個別株の中身(全銘柄リスト・業界別の構成比・TOPIXとの比較)は個別株ポートフォリオ73銘柄を全公開|2,293万円・含み益+495万円の保有一覧と業界別配分にまとめています。 なぜ半期ごとに資産配分を公開するのか 私の投資方針はシンプルで、 個別株は基本ホールド、配当を受け取り続ける 新規資金はオルカン中心の積立に回す 企業DC(S&P500)は給与天引きで放置 の3本柱です。これを10年超続けてきて、今のところ大きく崩していません。 ただ、相場が動くと比率は勝手に変わります。株式が上がれば株式の比率が上がり、投資信託の積立が積み上がれば投資信託の比率が上がる。自分が能動的に配分を変えていなくても、半年経つと中身は意外と動いている、というのがここ数年の実感です。 なので、半期に一度、 今どの資産クラスに何%置いているか 半年前と比べてどう動いたか このまま行くか、リバランスするか を、自分用のメモとして書き残しておくことにしました。読んでくださる方には「30代会社員のリアルな資産配分の一例」として参考になればと思います。 投資ポートフォリオ全体像(2026年4月末時点) まずは全体像です。マネーフォワードMEで紐付けている口座から、投資カテゴリだけを抽出して集計しました。 カテゴリ金額(円)比率株式(現物)81銘柄22,946,94682.27%投資信託3,699,08613.26%企業DC(S&P500)1,173,6454.21%ソーシャルレンディング(バンカーズ)73,2800.26%合計27,892,957100.00% 可視化するとこうなります。 投資ポートフォリオ 資産クラス別構成比(%) 82.27% 株式(現物) 13.26% 投資信託 4.21% 企業DC 0.26% ソシャレン 2026年4月末時点の投資ポートフォリオ27,892,957円の内訳。マネーフォワードMEから取得。現預金・公的年金は除外。 ぱっと見て分かる通り、国内個別株が82%超で偏りはかなり大きいです。投資信託13%・企業DC4%・ソーシャルレンディングは0.3%にも届きません。 この配分は教科書的なバランス型からは外れていますが、これが10年超積み上げた結果としての「私のポートフォリオ」です。次のセクションから、それぞれのクラスをもう少し詳しく見ていきます。 資産クラス別の中身 国内個別株:81銘柄で22,947,000円 楽天証券で22,727,938円、自社持株会保有分が219,008円で、合計は22,946,946円です。81銘柄に分散しています。含み益の合計は+3,893,144円で、含み益率はざっくり+20%前後です。 なお、別記事「個別株ポートフォリオ73銘柄を全公開」では、同じ個別株のポートフォリオを業界別に分析しています。ただしあちらは株価を最新にして集計し直しているため、本記事の4月末時点の数字とは一致しません。本記事の81銘柄・22,946,946円は、4月末の個別株にETFなど8銘柄(790,788円)と自社持株会保有分(219,008円)を足した数字です。集計の時点も範囲も違うので、金額をそのまま突き合わせないでください。 「なぜ82%も個別株に置いているのか」については、投資を始めた2015年当時、1単元10万円以下で買える銘柄を中心に拾っていったことが起点になっています。安い銘柄を少しずつ買い足し、配当が出る銘柄を中心にホールドしていたら、10年超で81銘柄に膨らんだ、という形です。意図して攻めた配分というより、結果的に積み上がった配分です。 「今から組み直すならインデックス中心にする」のが正直な気持ちですが、含み益+390万円分を確定させる気はないので、当面は基本ホールドで配当を受け取り続けます。新規資金は個別株には原則回しません。 ちなみに自社持株会保有分(21.9万円)も、形式的には現物株です。会社の制度として給与の一部から拠出している分で、額としてはポートフォリオの1%未満なので、本記事では個別の銘柄分析には含めません。 投資信託:3,699,086円(オルカン中心) 投資信託は3本持っていますが、実質的にはオルカン1本です。 ファンド評価額(円)含み益率eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)3,696,937+32.03%eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)1,600スポットGS米ドルファンド550(MMF残) オルカンは新NISAの積立投資枠で毎月コツコツ積み立てています。1,040,248口で評価額3,696,937円、含み益率+32.03%は素直に良い結果です。S&P500とGS米ドルファンドは過去のスポット買いの残債のようなもので、ポートフォリオへの寄与はほぼゼロです。 ...

2026年5月3日 · 最終更新: 2026年8月14日 · HIKO

個別株ポートフォリオ73銘柄を全公開|2,293万円・含み益+495万円の保有一覧と業界別配分

2026年8月14日終値時点で楽天証券にある個別株73銘柄、評価額の合計は22,934,270円でした。取得元本は17,987,026円、含み益は+4,947,244円(+27.5%)です。投資歴10年超(2015年スタート)の積み上げ結果を業界別・成績別に並べてみたところ、TOPIX全体の業種比率とはかなり違う、自分らしい偏りが浮かび上がってきました。今回はそのポートフォリオを丸ごと晒しつつ、なぜこの業界配分になったのかを過去の失敗と一緒に振り返ります。 川崎市在住の会社員HIKOです。2015年に旧NISAで個別株を買い始めて、買える金額で銘柄を選んでいた時期の失敗(青山商事マイナス31万円、コナカの塩漬け)もそのまま抱えたまま今の73銘柄になりました。伏せた銘柄はありません。 本記事は個別株73銘柄の中身に絞った記事です。投資信託・企業DC・ソーシャルレンディングまで含めた資産クラス全体の配分は2026年4月末の資産配分(アセットアロケーション)と保有商品、今後の投資方針にまとめています。 個別株ポートフォリオの投資成績 業界別の話に入る前に、まず「このポートフォリオは結局どれくらいの成績なのか」を先に出しておきます。 取得元本と含み益 楽天証券の保有株数・取得額に2026年8月14日の終値を掛けて集計した結果がこちらです。 項目値取得元本(73銘柄合計)17,987,026円評価額(2026-08-14終値)22,934,270円含み損益+4,947,244円含み益率+27.5% 加えて、すでに売却済の主な実現損益は次の通りです。 銘柄確定損益JT(日本たばこ産業)+376,930円青山商事−310,960円 JTの成功と青山商事の失敗がほぼ相殺されているのが、私の売買実績の実態です。「個別株でホームランを当てた人」ではなく、「ホームランと三振を同じくらい打って、残った打席で配当を地道に拾ってきた人」というのが等身大の自己認識です。 含み益TOP10 含み益額の大きい順に並べたものです。長年保有してきた銘柄が並びます。 順位銘柄含み益(円)1東京海上HD+470,1002ビジネスブレイン太田昭和+419,4003マブチモーター+342,3004木徳神糧+319,0005王子HD+300,6006KDDI+291,7007ユニバーサル園芸社+275,0008大阪有機化学工業+244,1009松風+193,70010巴工業+183,900 東京海上HD・木徳神糧・KDDI・マブチモーターあたりは旧NISA時代から保有していて、含み益と配当の両方を稼いでくれている主力です。 含み損ワースト5 逆に、足を引っ張っている銘柄も出します。 順位銘柄含み損(円)1住友林業−127,0992マックスバリュ東海−66,5003ジャックス−58,0004伊藤ハム米久HD−48,9005和田興産−18,900 顔ぶれは前回集計(5月2日時点)と同じ5銘柄で、含み損はむしろ広がっています。住友林業はコロナ後の住宅市況の見通しを楽観しすぎた銘柄です。加えて、米国住宅事業を軸とした海外M&Aに対して、買収コスト・統合リスク・米国住宅市況への懸念といったネガティブ予想が市場で広がり、株価がさらに下落した経緯もあります。マックスバリュ東海・伊藤ハム米久HDは食品スーパー・加工肉のディフェンシブ枠として持っていますが、ここ数年の原材料高で利益率が圧迫され続けていて、含み損を消化できていません。 勝ち銘柄/負け銘柄の共通点 TOP10とワースト5を眺めていると、銘柄選定そのものよりも「どう持ったか」のほうに共通点が出ているのが見えてきます。 勝ち銘柄(含み益TOP10)の共通点 旧NISA時代(2015〜2019年頃)に買って、5年以上ホールドできた銘柄が多いです。東京海上HD・木徳神糧・マブチモーター・KDDI・王子HDは全て旧NISA期からの主力で、時間が含み益を作ってくれました 連続増配または安定配当の企業がほとんどです。東京海上HD・KDDI・マブチモーターは長期で増配を続けており、値上がりと配当の両方を取れています 業界トップシェアまたはニッチトップが多いです。マブチはモーター、松風は歯科材料、ユニバーサル園芸社はレンタルグリーン、王子は段ボールと、それぞれの業界で代替の効きにくい立ち位置にいます 共通項を一言にまとめると、「長く握れた・配当が出続けた・事業がシンプル」の3点が揃っている銘柄ばかりです 負け銘柄(含み損ワースト5)の共通点 コロナ後の住宅市況や原材料高の影響を強く受ける、景気敏感な業界に集中しています(住友林業=住宅、伊藤ハム米久HD=加工肉、マックスバリュ東海=食品スーパー) 「割安だから」で買い増しを躊躇したまま含み損を放置している銘柄が多いです。ジャックス・和田興産は典型例で、PERだけ見れば割安ですが、買い増し判断もできず、損切り判断もできずにいます ナンピンも損切りもしないで時間経過に任せているのが実際のところで、「方針として保有」というより「動かしていないだけ」に近い状態です 共通項を一言にまとめると、「景気敏感×ナンピンも損切りもしない放置」という形になっています こうして並べてみると、勝ち負けの差は銘柄選定の上手さよりも、保有期間と業界感応度に大きく依存していることが分かります。同じ私が選んだ銘柄でも、5年握れた銘柄は勝ち、景気敏感な業界で握り続けた銘柄は負けています。 CAGR/年率リターンについての注記 「11年で+27.5%の含み益なら年率は何%?」という疑問が当然出ると思います。ここは誠実に書きます。 各銘柄の取得時期は2015年から2026年まで11年間にわたってバラバラで、銘柄ごとに買い増しや一部売却もしています。全体を1本のIRR(内部収益率)で厳密に算出するための約定単位データを、私は手元で整理しきれていません。なので、ここではあくまで参考値として、 73銘柄の平均保有期間を仮に5年と置いた場合: 年率約5.0%(複利・配当除く) 平均保有期間を7年と置いた場合: 年率約3.5%(複利・配当除く) という幅で示しておきます。これは「キャピタル(値上がり益)部分のみ」の概算で、配当は含まれていません。後述する旧NISA配当も含めれば、トータルリターンはこれより数pt上振れします。 繰り返しますが、この数字は厳密なIRRではありません。「10年超保有してきた個別株ポートフォリオのキャピタル部分の年率は、おおむね3.5〜5%レンジ」くらいの感覚として読んでください。 実効配当利回りの試算 旧NISA口座で2015〜2024年の10年間に受け取った配当の税引後合計は904,551円でした。これを「平均運用額」で割れば実効配当利回り(手取りベース)が概算できます。 ただし、年次の運用額(口座残高ベースの平均)を私は手元で正確に整理していません。代わりに、旧NISAの非課税枠の構造から幅で示します。 旧NISA枠は2014〜2015年が年100万円、2016〜2023年が年120万円 毎年ほぼ枠を使い切ったので、累計入金額(簿価ベース)は約1,150万円 10年間の平均運用額は、口座開設初期は少なく、後半に向けて増えるため、ざっくり500万〜1,000万円のレンジと仮置き この前提で、旧NISA口座の実効配当利回り(税引後・年率)は ...

2026年5月2日 · 最終更新: 2026年8月15日 · HIKO

楽天ID歴20年以上・楽天カード歴10年超で218万ポイント|楽天プレミアムカードの「本当の還元率」

楽天IDを最初に登録したのは2006年でした。楽天カードを発行したのは2015年なので、楽天ID歴は約20年・楽天カード使用歴は10年超です。2006〜2014年は楽天ID保有のみで、楽天市場での買い物でポイントを貯めていました。2015年に楽天カードを発行してからは、生活費を集約してポイント獲得が一気に加速しています。 今回、楽天会員ページから過去のポイント獲得実績を引っ張ってきたので、20年分のリアルな数字を公開します。「楽天カードって本当に得なの?」と気になる方の判断材料になれば幸いです。 本記事の還元率は、楽天カード単体ではなく「楽天経済圏(楽天市場SPU・お買い物マラソン・楽天証券クレカ積立など)込みの実効値」です。楽天市場をほぼ使わない方のカード単体還元は1.0%(プレミアムカード)であり、その点はリクルートカード1.2%等より劣ります。 結論:楽天カード11年のポイント実績と楽天ID20年累計 先に結論として、累計獲得ポイントを書いておきます。 種別累計(2006〜2025年4月時点)通常ポイント約 1,029,000 ポイント期間限定ポイント約 1,152,000 ポイント 通常ポイント・期間限定ポイントを合わせて20年で約218万ポイント積み上がっています。これは楽天ID登録の2006年から数えた20年累計で、うち楽天カード発行(2015年)以降は加速して、年12〜15万ポイント水準で推移しています。 ただし期間限定ポイントは失効分も含めた獲得ベースの数字なので、丸ごと「得した金額」として捉えるのは正確ではありません。あくまで獲得実績としての参考値です。 特別なポイ活をしていたわけではなく、楽天市場での買い物と、楽天カード発行後は生活費の支払いを楽天カードに集約してきた結果です。 直近1年の実績(2025年5月〜2026年4月) 20年通算だと「楽天カード未保有期間」や「昔のSPU倍率が高かった時期の数字」も混ざるので、参考までに直近1年(楽天会員ページの「1年以内」集計)の実績も出しておきます。 種別直近1年の獲得楽天ポイント80,434 ポイント 直近1年でも約8万ポイント(通常+期間限定の合計)獲得しています。SPU倍率が高かったピーク時ほどではないものの、生活費を楽天カードに集約しているだけで継続的にこの水準が維持できています。 ランクアップ対象ポイントの獲得回数は1年で135回。月平均で10回以上は楽天関連の支払いでポイントが付くアクションがあった、というくらいの目安です。 楽天プレミアムカードの還元率は実際どうか|直近12ヶ月の実効値で検証 「累計ポイント」だけだと、利用額に対してどれくらい得しているのかが見えにくいので、直近12ヶ月の楽天プレミアムカード利用額と獲得ポイントを並べてみます。これがこの記事で一番重要な数字です。 月別の利用額 月利用額(円)2025/05292,2232025/06443,7442025/07338,6762025/081,149,745(家具・家電まとめ買い)2025/091,370,332(冠婚葬祭)2025/10565,0202025/11518,7192025/12401,2772026/01297,7432026/02562,1792026/03292,8862026/04326,955合計6,559,499 2025年8月・9月は家具・家電のまとめ買いがあったため、利用額が突出しています。通常月とは性質が違うので、後述の「通常月ベース」の実効還元率も別途出します。 実効還元率の計算 直近12ヶ月の利用額と獲得ポイントから、実効還元率を出します。 項目数値直近12ヶ月の利用額6,559,499 円直近12ヶ月の獲得ポイント80,434 ポイント実効還元率約 1.23% 一般的なクレジットカードの還元率は0.5〜1%です。楽天プレミアムカードを生活費に集約して、楽天市場のSPU・お買い物マラソン・5と0のつく日などを使ってきた結果として、実効還元率が1.23%まで乗っています。 1.23%の内訳分解|どこで0.23%が乗っているのか 「実効1.23%」と言われても、その上乗せ分0.23%がどこから来ているかが見えないと再現性の判断ができません。基本還元1%とSPU・キャンペーン上乗せ分を分解しておきます。 内訳ポイント数還元率通常還元(楽天カード払い基本1%)約 65,600 pt1.00%SPU・お買い物マラソン・キャンペーンの上乗せ約 14,800 pt0.23%合計(実効還元率)80,434 pt1.23% 通常還元の理論値は「直近12ヶ月の利用額 6,559,499円 × 1% = 65,595pt」です。獲得実績80,434ptとの差分14,839ptが、SPU・お買い物マラソン・5と0のつく日などキャンペーンの上乗せ分にあたります。 この分解の限界(注記) 楽天PointClubの獲得履歴を遡れる範囲が限定的なため、SPU倍率分とキャンペーン分を厳密に分離することはできません 楽天証券のクレカ積立由来の通常ポイントも「通常還元」側に含まれている可能性があります ただし、合計の実効還元率が1.23%である事実は変わりません 「楽天カード単体の基本還元1%」だけを取りに行くなら他の高還元カード(リクルート1.2%)の方が有利、という事実も同時に見えてきます。楽天が伸びるのは、上乗せ0.23%分(楽天市場SPU・キャンペーン)を取りに行ける人だけです。 失効率の検証|「期間限定を満額カウントしているのでは?」への回答 ここで一つ、自分でも気になっていた論点に答えておきます。「実効還元率1.23%は、期間限定ポイントを満額カウントしているから盛りでは?」という指摘です。期間限定ポイントには有効期限があるので、失効した分は実質的に得ではありません。 20年分のポイント失効実績を楽天会員ページから引っ張ってきました。 年期間限定ポイント失効200661120111762012180201399820141,20920241,011上記以外の14年020年合計4,185 通常ポイントの失効は20年通算で0ポイントでした。期間限定ポイントの失効も、20年で約4,185ポイントに留まっています。期間限定ポイント獲得累計が約115万ポイントなので、失効率は次の通りです。 ...

2026年5月2日 · 最終更新: 2026年8月16日 · HIKO

年率9%でも勝てない?S&P500に7.59pt負けた11年の投資結果

楽天証券の旧NISA口座を11年運用してXIRR 9.03%・トータル+2,820,053円・配当80.7万円。同じ593件のキャッシュフローを同じ日にS&P500(円換算)に投じていたらXIRR 16.62%でした。差は-7.59pt。この記事はその差を「市場要因(米国株強さ+円安)」と「自分の意思決定要因(米国比率不足・損切り遅れ・キャッシュ滞留)」に切り分け、改善できたのは+5pt前後(9% → 12〜14%程度というシナリオも成立しえた・上振れケース)だったと結論づけるための実績記事です。 この記事の3行サマリー 11年運用してXIRR 9.03%。同条件のS&P500(円換算)バックテストではXIRR 16.62%(差-7.59pt) 差の内訳:市場環境による超過リターン約3〜4pt(米国株強さ+円安)/米国アセットを持たなかった機会損失+5pt前後(エクスポージャー4.8 + 損切り0.32 + キャッシュ0.26) 過去データが示すのは「同期間の条件下では、意思決定改善で+5pt前後(年率12〜14%程度というシナリオも成立しえた)という上振れケースが見えた」こと。将来の約束ではなく、あくまで上振れシナリオ 平成時代を生きた30代、保険業界10年からIT企業へ転職したHIKOです。投資歴は10年超(2015年スタート)、独身時代の年収は300万円台、最初の個別株は738円で買ったコナカ(7494)でいまも含み損3〜4万円のまま塩漬け中です。最大の成功はJTで+376,930円、最大の失敗は青山商事で−310,960円。良いことも悪いことも、全部同じ楽天証券の口座1つで起きています。 ※この記事はこんな人向けです 旧NISAをロールオーバーするか売却するか迷っている 楽天証券で旧NISAを使ってきたが、年率(XIRR)・含み益込みでいくら残ったか自信がない 個別株を続けるべきか、インデックスに切り替えるべきか、自分のなかで答えを出したい 1つでも当てはまる方は、そのまま読み進めてください。 結論:楽天証券・旧NISAの11年トータル 最初に結論を出します。投信分配金は別枠なので除外し、個別株+ETFのみで集計しています。 項目金額配当金合計(国内+外株)807,508円売却済み実現益(売却−購入の差額)+1,159,933円未売却保有の含み益(2026/5/2時点)+852,612円トータル損益(実現+含み)+2,820,053円 そして、年率の指標がこちらです。 XIRR(年率内部収益率): 9.03% 単純CAGR: 2.47% 単純トータルリターン: +31.41% 期間: 11.18年(2015年3月〜2026年5月) XIRRはキャッシュフローの発生タイミングを考慮した年率なので、毎年バラバラに買い増し・売却・配当受取をしている私のような口座では、これが一番実態に近い数字です。 11年を一言でまとめると、「年率9%で配当も含み益も両方積み上がった。S&P500(円換算)には負けたが、そのうち自分の改善余地は+5pt前後(9% → 12〜14%程度というシナリオも成立しえた・上振れケース)」という結果です。詳細は次のセクションから順に開示していきます。 なお上の表は楽天証券の旧NISA口座のみの集計です。新NISA成長投資枠や特定口座、投信分配金(249,371円)は別管理なので、ここには含まれません。 配当合計80.7万円の年次推移 まずは配当の年次推移を見てください。 楽天証券・旧NISA口座 年次配当金(円) 2050円 2015 25800円 2016 65725円 2017 70450円 2018 67900円 2019 61500円 2020 37801円 2021 64471円 2022 118417円 2023 140846円 2024 132960円 2025 19588円 2026 楽天証券 配当CSVより集計。旧NISA口座のみ/国内株式配当+VYM等の外株配当を合算(USD建は140円/USD概算換算)/2026年は4月までの実績。 11年の山谷を見て気づくことが3つあります。 ...

2026年5月2日 · 最終更新: 2026年7月26日 · HIKO

【iDeCo改悪?】手数料120円で「損する人」はこの2パターン【2027年】

FP2級を持ち、投資歴10年超(2015年スタート)のHIKOです。iDeCoにすでに加入している方・これから加入を検討している方の両方に向けて、今回の手数料変更が実際に何を意味するのかを整理します。 まず結論だけ先に書きます。 年1回拠出の人は、手数料が105円→1,440円(約14倍)になります。 毎月積立の人は年間+180円でほぼ影響なし。ただし年1回拠出の人は今すぐ対応が必要です。 「改悪では?」「やめるべき?」と感じた方もいると思います。それぞれ整理していきます。 手数料変更の概要 今回の変更は、国民年金基金連合会が2026年4月30日に公表したものです(iDeCo公式サイトのお知らせページにリーフレット・FAQが掲載されています)。 適用開始:2027年1月26日の口座引落し分(2026年12月分掛金)から 変更の内容はシンプルです。 これまで:拠出1回ごとに105円 これから:月額120円(固定) 変更の理由は「物価・人件費の上昇に伴うコスト増加」です。加入者数の増加に対して運営コストの回収構造を見直す必要が出てきたとも考えられます。制度維持のための値上げで、運用方針や制度そのものが変わるわけではありません。 毎月積立の人への影響:ほぼなし 毎月積立をしている場合、年間コストの変化はこうなります。 拠出方法これまでの年間手数料これからの年間手数料差額毎月拠出(12回)1,260円1,440円+180円年1回拠出105円1,440円+1,335円 毎月積立なら年間プラス180円です。月2万円×30年で積み立てる場合の追加コストは合計5,400円。運用成果のブレ幅(数十〜数百万円規模)と比べると、ほぼ誤差の範囲です。 年1回拠出の人への影響:実質14倍の値上げ 問題はここです。 年1回まとめて拠出している場合、手数料は年間105円から1,440円に跳ね上がります。約14倍です。これまでは「拠出回数を減らして手数料を節約する」という戦略が有効でしたが、今回の変更でそのメリットはなくなりました。 解決策はひとつ:毎月拠出に変更する。 毎月拠出にしても年間手数料は同じ1,440円です。それに加えて、時間分散(ドルコスト平均法)の効果も得られます。年1回拠出を続ける理由がなくなりました。 iDeCoを続けるべきか?答えは節税で決まる 手数料の話だけ見ると「値上げ」に見えますが、iDeCoの本質は節税です。 月2万円(年24万円)を積み立てた場合の年間節税額の目安はこうなります(所得税+住民税の合計)。 年収所得税率の目安年間節税額の目安300万円5%約36,000円500万円10%約48,000円700万円20%約72,000円 ※住民税10%込みの概算。各種控除や家族構成によって実際の節税額は変わります。 手数料の年間増加分(+180円)と比べると、節税メリットの方が圧倒的に大きいことがわかります。節税額がある限り、手数料値上げを理由にiDeCoをやめる合理性はありません。 こんな人は見直しが必要 ただし、全員がそのままでいいわけではありません。 見直しを検討すべき状況 年1回拠出にしている → 毎月拠出に変更する 所得税・住民税がほぼ発生していない → 節税メリットがないためiDeCoの優先度は低い 近い将来(3〜5年以内)にまとまった資金が必要な見通しがある → iDeCoは60歳まで原則引き出せないため、NISAや現金での準備を優先する NISAとiDeCo、どちらを先にやるべきか 両方できれば理想ですが、資金に限りがある場合はNISAを先に活用するのが基本です。 iDeCoは60歳まで引き出せません。転職・住宅購入・子育てなど、30代は想定外の支出が起きやすい時期です。NISAは売却自由なので、緊急時の対応が効きます。 一方でiDeCoは積み立て時から節税が確定する強みがあります。NISAをある程度活用した上で余剰資金をiDeCoに回すという順番が、多くの30代にとって現実的な選択です。 私自身は勤務先の企業DCを優先しているため、現在iDeCoは利用していませんが、NISAと企業DCを軸に「途中で使う可能性がある資金」と「老後まで固定する資金」を分けて管理しています。iDeCoを選ぶ場合も、この考え方は同じです。 NISAをまだ始めていない場合は、先に証券口座を用意しておく必要があります。 iDeCoを手数料0円で始めるなら松井証券 口座管理手数料0円・低コストのインデックスファンドを豊富にラインナップ。iDeCo・NISA両方の口座開設が可能です。 松井証券で口座を開く(無料) → ※アフィリエイトリンクを含みます。 企業DCがある人はそちらも活用しよう 勤務先に企業型確定拠出年金(企業DC)がある場合は、まずそちらを優先的に活用するのが基本です。 まず用語を正確にしておきます。マッチング拠出は「会社が出してくれる制度」ではありません。厚生労働省の説明では「企業型DCの加入者は、事業主の拠出に上乗せして加入者掛金を拠出すること(マッチング拠出)が可能」とされており、上乗せ分を出すのは加入者本人です(出典: 厚生労働省「2025年の制度改正」)。会社が出すのは事業主掛金のほうで、退職金原資として上乗せ拠出するタイプの企業DCであれば、その部分は自分の手出しなしで積み上がります。この事業主掛金があることが、iDeCoより企業DCを先に確認すべき理由です。 なお、企業DCに加入していてもiDeCoと併用は可能です(2022年10月より併用解禁)。ただし条件が2つあります。ひとつは合算の掛金上限が決まっていること。もうひとつは、マッチング拠出をしている人はiDeCoに加入できないことです。iDeCo公式サイトも、企業型DCの事業主掛金に上乗せしてマッチング拠出をしている人を加入対象外として明記しています(事業主掛金を年単位で拠出している場合も対象外)。マッチング拠出とiDeCoは、どちらか一方を選ぶ関係だと考えてください。 あなたへの影響チェック(3問) Q1. 毎月拠出している? YES → Q2へ NO(年1回など) → 毎月拠出への変更を検討する Q2. 所得税・住民税が発生している? YES → Q3へ NO → iDeCoの節税メリットが小さいため、まず収入を増やすことを優先する Q3. 60歳まで使わない余剰資金がある? ...

2026年5月1日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

住友生命チャキンのデメリットを実利回り1.2%で検証|NISAとの比較で見える積立保険の落とし穴

投資歴10年超・FP2級保持のHIKOです。年収300万円台からのスタートで、失敗を重ねながら資産形成を続けています。20代のころは「積立保険に入ることが資産形成になる」漠然と思い込んでいた時期があり、その思い込みを解くのにずいぶん時間がかかりました。今回は「予定利率が上がった=いい商品」という報道をそのまま信じる前に確認してほしいことを、実際のプレスリリースデータで整理します。 この記事の結論を先に言います。住友生命Chakin(チャキン)に月1万円×5年払い込んだ場合、10年後の受取額はプレスリリースの実数値で656,395円です。60万円払って56,395円の増加——年換算で約5,600円です。実質利回り(IRR)は年率約1.2%になります。 IRR(内部収益率)とは、投資した元本に対して毎年どれだけのリターンが得られるかを示す利率で、時間の概念を組み込んだ利回り指標です。返戻率のように「総額の増加割合」を見るのではなく、「いつ払ってどれだけ戻るか」というキャッシュフローの時間軸まで含めて利回りを算出します。 この1.2%が高いか低いかは、比較対象次第です。そして2026年8月時点では、この比較の答えが数年前とは変わっています。同じ時期に募集されている個人向け国債(変動10年・第197回)の表面利率は年1.87%(税引前)で、Chakinの1.2%はこれを下回ります。この記事では、まずChakinの実態を公式データで確認し、その上で「何を先に選ぶべきか」を整理します。試算はすべて条件付きの参考値であり、将来の運用結果を保証するものではありません。 出典:住友生命プレスリリース(2026年4月28日) https://www.sumitomolife.co.jp/news/news_file/file/260428.pdf このプレスリリースと商品公式サイト(2026年8月12日確認)をもとに、住友生命の平準払い積立保険「Chakin(チャキン)」の中身を検証します。プレスリリースが「変更前・変更後」という書き方をしているとおり、今回起きたのは新商品の登場ではなく既存商品の受取率の引上げです。 「予定利率1.5%」の何が問題なのか 住友生命のプレスリリース(2026年4月28日)によると、2026年5月1日以降の申込分(契約日は2026年6月1日以降)から、平準払い積立保険「Chakin」の予定利率を1.10%→1.50%へ見直し、満期時の受取率を106.1%→109.3%へ引き上げます。払込期間5年・保険期間10年という設計です。 商品の枠組みは公式サイト「商品概要」(2026年8月12日確認)で次のように示されています。 項目内容契約年齢範囲18歳〜69歳保険期間/払込期間10年/5年保険料月5,000〜50,000円(1,000円単位)・月払いのみ通算加入限度同一契約者につき合計月50,000円まで告知不要解約手数料・口座振替手数料いずれも不要生命保険料控除一般生命保険料控除の対象 保険料の増額はできず、増やしたい場合は追加契約になります。その場合の満期は追加契約の契約日から10年後です。 「予定利率が上がった=加入者に有利」という読み方は、半分だけ正しいです。予定利率が高ければ、同じ保険料でも受け取れる満期金は増えます。ただし予定利率は、保険会社があらかじめ見込む運用収益の分だけ保険料を割り引くための率であって、そのまま契約者の運用利回りになるものではありません。 保険には保険会社の運営経費や保障コストが含まれており、その分が差し引かれた結果、実質利回りは予定利率より低くなります。Chakinの場合、保障は満期保険金のほかに死亡給付金(積立金額)と災害死亡給付金(積立金額の1.1倍相当額)が付いています。具体的な数字で確認します。 試算:月1万円・5年払い込みの実質利回り(プレスリリース実数値) 結論:実質利回りは年率約1.2%(予定利率1.5%より0.3ポイント低い) 前提条件(住友生命プレスリリース・2026年4月28日/商品公式サイト・2026年5月現在の表示) 月払い保険料:10,000円(Chakinは月払いのみで、一括払いはできません) 払込期間:60ヶ月(5年) 総払込額:600,000円 保険期間:10年 満期受取額:656,395円 返戻率:109.3% 予定利率:1.50% 以下の数値は住友生命プレスリリース(2026年4月28日)に基づく実数値です。IRR(内部収益率)は払込キャッシュフローと満期受取額から算出しています。 IRR(内部収益率)の計算 月1万円を60ヶ月かけて払い込み(各月の初めに払い込むものとします)、契約から120ヶ月後(10年後)に656,395円を受け取るキャッシュフローで内部収益率を計算すると、月次約0.099%・年率約1.20%になります。手数料・税・配当等の細目は加味していません。 項目数値(プレスリリース実データ)総払込額600,000円満期受取額656,395円差引受取額56,395円返戻率109.3%実質利回り(IRR・年率)約1.2%予定利率1.5% (10年間で約5.6万円の増加。年換算で約5,600円です) 予定利率1.5%と実質利回り約1.2%の間には、0.3ポイントのギャップがあります。このギャップが、保険コストの実態です。 返戻率109.3%という数字は確かに魅力的に見えます。ただし、これは「600,000円が10年後に656,395円になる」という意味です。年率換算で1.2%という数字がどういう水準かは、後の比較表で確認してください。 解約返戻金の推移:途中解約した場合はどうなるか 結論:1年経過時点から元本超え。5年解約のIRRは約0.80%で、満期10年まで持って約1.20%に届く Chakinの特徴のひとつが、途中解約した場合の返戻金です。プレスリリースおよび公式サイトによると、解約返戻金(公式サイトの表記は積立金額)は以下のように推移します。 経過年数解約返戻金累計払込額払込額との差1年120,520円120,000円+520円2年242,004円240,000円+2,004円3年364,459円360,000円+4,459円4年487,894円480,000円+7,894円5年(払込完了)612,317円600,000円+12,317円6年620,889円600,000円+20,889円7年629,581円600,000円+29,581円8年638,395円600,000円+38,395円9年647,333円600,000円+47,333円10年(満期)656,395円600,000円+56,395円 出典:住友生命プレスリリース(2026年4月28日)および商品公式サイト「積立金額の推移」(2026年5月現在の表示・2026年8月12日確認) 途中解約した場合の実質利回り(IRR試算) 払込完了5年時点で解約した場合のIRRは年率約0.80%。満期10年まで保有すると約1.20%に伸びます。長期保有するほど実質利回りが改善する構造です。 ポイント:資金が拘束されるのは「お金」ではなく「利回り」のほう ここは誤解しやすいところなので、公式サイトの表示をそのまま引きます。住友生命は商品ページで「受取率100%以上! 途中で解約しても積み立てた金額は必ず100%以上で返ってきます」と説明し、解約方法のページでも「いつでも解約手数料は無し」「マイページの『契約内容・お手続き等』から解約返戻金の払い込み口座を指定すればすぐに解約可能」「解約手続き後の口座への着金は通常翌営業日」(営業日20時以降の手続きは翌々営業日、一部それ以降)と明記しています。解約後にあらためて契約し直すこともできる、とも書かれています。 つまりChakinは、10年間お金が引き出せない商品ではありません。この点は素直に評価すべきところで、「積立保険は資金が10年拘束される」という一般論をこの商品に当てはめると事実を誤ります。 一方で、10年持たないと年1.20%には届きません。5年で解約すれば年約0.80%、それより前ならさらに低い水準です。縛られているのはお金そのものではなく、利回りのほうというのが正確な理解になります。 個人向け国債と比べる:金利が上がって順位が入れ替わった 結論:2026年8月募集分の個人向け国債(変動10年)は年1.87%。Chakinの年1.20%はこれを下回ります この記事を最初に書いた時点では、「Chakinの1.2%は同じリスク帯の国債をやや上回る」と整理していました。その前提はもう成立していません。金利が上がり、比較相手のほうが先に伸びたためです。 財務省「現在募集中の個人向け国債」(募集期間 令和8年8月6日〜31日・発行日 令和8年9月15日)の表面利率は次のとおりです。 銘柄表面利率(税引前)税引後変動10年 第197回年1.87%1.4901095%固定5年 第185回年2.06%1.6415110%固定3年 第195回年1.71%1.3626135% 出典:財務省「現在募集中の個人向け国債」(2026年8月12日確認) 税引前どうしなら1.87%対1.20%で、0.67ポイントの差です。ただしこの比べ方はChakinに不利すぎるので、税引後でそろえます。 Chakinの満期差益は56,395円です。満期保険金の差益は一時所得にあたり、一時所得には50万円の特別控除があるため、その年に他の一時所得がなければ課税は生じません。つまりChakinの年1.20%は、この払込額なら実質的に税引後の数字です。対する国債の利子は20.315%が源泉徴収されるので、税引後は変動10年で年1.4901095%になります。 それでも1.49%対1.20%で、国債のほうが上です。 金額でも見ておきます。Chakinは月払いのみで一括払いができないため、「100万円を預けたら」という置き方はこの商品ではできません。そこで払い方をそろえて、月1万円を5年積んで10年後に受け取る形で並べます。 置き場所前提10年後の受取額差益Chakin公式の満期保険金(確定値)656,395円+56,395円個人向け国債(変動10年)税引後年1.4901095%が10年続いたと仮定約670,959円+約70,959円 国債側は本記事の試算です。変動10年の利率は半年ごとに見直されるため、1.87%はあくまで第197回の初回適用分で、10年間この利率が続く保証はありません。また毎月の募集分は回号ごとに利率が変わるため、「毎月同じ利率で買い足せる」というのも計算のための仮定です。上がることも下がることもあります。 ここで一度立ち止まる価値があるのは、Chakinには生命保険料控除があり、国債にはないという点です。月1万円なら年12万円の払込となり、一般生命保険料控除の上限(年8万円超で所得税4万円・住民税2.8万円)に達します。所得税率10%・住民税率10%の人なら年6,800円、5年で34,000円の軽減です。これを受け取るキャッシュフローに含めて計算し直すと、IRRは年率約1.97%まで上がります。 したがって答えは1つではありません。 一般生命保険料控除の枠がすでに埋まっている人:Chakinは年1.20%で、個人向け国債の税引後1.49%を下回ります 控除の枠が空いている人:Chakinは年約1.97%となり、国債を上回ります ここが分岐点になるので、Chakinを検討する前にまず自分の控除枠を確認するほうが早い、というのが本記事の立場です。控除枠は先に入った保険から順に埋まるため、すでに医療保険や死亡保険に年8万円以上払っているなら、上の軽減額はまるごと消えます。 そしてどちらのケースでも、NISAの非課税枠が残っているならそちらが先です。非課税枠を使わずにこの商品を選ぶことは、税制優遇という武器を手放すことを意味します。 同じ「元本保証」でも、支払いを担う主体が違う 利回りの比較は前章で済んだので、ここは性格の違いに絞ります。 Chakinの「100%以上戻ってくる」は、住友生命が契約上そう約束しているという意味です。預金保険で守られる預金や、国が発行する個人向け国債とは、支払いを担う主体が違います。保険会社の支払余力を示す指標は2026年3月期から経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)に変わり、早期是正措置の対象も旧規制の200%未満からESRの100%未満になりました。10年預ける商品なので、指標の読み方だけは知っておいて損はありません。新旧の水準差と見方は30代の保険は見直しが先|削るべき保険と残すべき保険の判断基準に整理しています。 ...

2026年4月30日 · 最終更新: 2026年8月12日 · HIKO

自社持株会は危険?2年やって分かったメリットとやめる基準

保険業界10年を経てIT企業に転職し、持株会・企業型DC・NISAをすべて活用しているHIKOです。転職直後のオンボーディングで持株会の説明を受け、その場でほぼ即決してしまいました。数か月後に冷静に考えたとき、「もう少し調べてから決めるべきだった」という気持ちになりました。加入を検討している方に向けて、使って気づいたことをまとめます。 持株会で給料も資産も同時に失う人がいます。 会社が傾けば給料は下がり、リストラが来て収入は途絶え、そのうえ自社株まで紙くずになる。これが持株会の本質的なリスクです。奨励金の数字だけ見て飛びつくと、気づかないうちに会社への依存度を高めてしまいます。 「奨励金が出るから得だよ」という情報は正しいですが、それだけ言う人は集中リスクを説明していません。 この記事では、加入2年で気づいた「持株会の正体」を、良いところも悪いところも正直に書きます。 自社持株会のメリット・デメリット一覧 持株会の全体像を先に整理します。 項目内容メリット① 奨励金による上乗せ拠出額の3〜10%を会社が上乗せ。即時の上乗せ効果があるメリット② 給与天引きで強制積立自動的に積み立てられるため、貯蓄習慣がなくても続けやすいデメリット① 集中リスク給与も資産も同じ会社に依存。会社が傾いたとき二重に打撃を受けるデメリット② 流動性の低さ多くの企業では退職まで原則引き出せない。急な現金需要に対応できないデメリット③ 株価変動奨励金分を上回る下落が起きれば損失になる。長期保有中はリスクにさらされ続ける このメリットとデメリットを踏まえた上で、以下を読んでください。 自社持株会が危険と言われる理由 給料と資産の「二重リスク」 給料と資産を同じ会社に賭けるのはギャンブルに近い行為です。 会社員の収入源は基本的に「勤め先の会社」です。給料・賞与・退職金、すべて自社の業績に依存しています。そこに資産まで自社株に集中させると、会社が傾いたとき「収入」と「資産」が同時に失われます。収入は今の会社から得ながら、資産は別の場所(インデックスファンドなど)に置く。これが分散の基本です。 退職まで引き出せないケースが多い 多くの企業では、持株会の資産は退職まで原則引き出せません。「急にお金が必要になった」「転職することになった」というタイミングで初めて気づく落とし穴です。一部の企業では慶弔・住宅購入などの条件下で引き出しを認めていますが、それは少数派です。 「奨励金5%=必ず得」という誤解 「入金した瞬間に5%のリターン確定」という表現が一人歩きしています。正確には、奨励金は即座に上乗せされますが、リターンが確定するのは売却したときです。株価が10%下落すれば奨励金を差し引いても評価損が生じます。売却時には税金(約20%)もかかります。退職まで売れない企業がほとんどなので、株価がどう動くかは長期間わかりません。 実際にはリスクの説明はほとんどされず、「奨励金があるから得」という側面だけが強調されがちです。 自社持株会とは 自社持株会とは、毎月の給与から一定額を天引きして、自分が勤める会社の株を積み立てる制度です。多くの上場企業が導入しており、会社から奨励金(上乗せ補助)が出るのが最大の特徴です。 たとえば奨励金5%の場合、毎月1万円を拠出すると、会社が500円上乗せして1.05万円分の株を購入してくれます。 一般的な持株会の仕組みを整理すると: 項目内容天引き方法給与から自動控除株の購入タイミング毎月の拠出日に一括購入奨励金相場3〜10%最低拠出額月1,000〜5,000円程度(会社による)売却・引き出し多くの企業では退職まで原則不可(自社規程を要確認) 「奨励金5%は即時リターン」は正確ではない 持株会の説明でよく見る「入金した瞬間に5%のリターン」という表現に注意が必要です。 正確に言うと、奨励金は即座に上乗せされますが、リターンが確定するのは売却したときです。 奨励金5%・毎月1万円積立なら、年間6,000円分の奨励金が上乗せされます しかし株価が10%下落すれば、奨励金を差し引いても評価損が生じます 売却時には税金(約20%)もかかります 退職まで売れない企業がほとんどなので、株価がどう動くかは長期間わかりません つまり「奨励金は"即時の上乗せ"だが、株価変動で損失もあり得る」というのが正確な理解です。奨励金は魅力的ですが、それだけで「必ず得」とは言い切れません。 ただし、以下の条件がそろうなら有効な制度です。 奨励金が10%以上と高い 売却制限が比較的緩い(慶弔・住宅等で引き出せる) 拠出額を低く抑えて自社株比率を管理できる この条件下では、奨励金のメリットがリスクを上回る可能性があります。 リスク①:給料と資産を同じ会社に賭けるギャンブル 持株会最大のリスクは集中投資です。 会社員の収入源は基本的に「勤め先の会社」です。給料・賞与・退職金、すべて自社の業績に依存しています。そこに資産まで自社株に集中させると、会社が傾いたとき「収入」と「資産」が同時に失われます。 会社に人生をオールインする必要はありません。収入は今の会社から得ながら、資産は別の場所(インデックスファンドなど)に置く。これが分散の基本です。 私がIT企業の持株会に加入した際、この点を意識して拠出額を抑えました。月10,000円。奨励金5%なら年間6,000円の上乗せが得られる計算です。「自社株への依存度を意図的に低く保つ」という判断でした。 リスク②:「退職まで引き出せない」は会社によって違う 持株会の資産について「退職まで絶対に引き出せない」と思っている方が多いですが、これは正確ではありません。 引き出しのルールは会社によって異なります。 一部の企業では、一定の条件下(慶弔・住宅購入など)で引き出しを認めているケースがあります 反対に、退職以外は一切引き出せない企業もあります 「急にお金が必要になった」「転職することになった」というタイミングで初めて気づく落とし穴です。加入前に必ず自社の規程を確認してください。 これが私が「もう少し調べてから決めるべきだった」と感じた理由です。転職直後の説明だけでは規程の詳細まで把握できず、後から調べて初めて細かい条件を知りました。 リスク③:業種・会社のボラティリティで大きく変わる 持株会のリスクは、業種によっても変わります。 リスクが高いケース: スタートアップや成長期のIT企業(株価の上下が大きい) 業績が景気に連動しやすい製造業・小売業 経営幹部の交代・不祥事リスクが読めない企業 リスクが比較的低いケース: 電力・ガス・通信など規制産業(収益が安定しやすい) 大手インフラ系(倒産リスクが低い) 私が加入したのはIT企業です。IT企業は株価のボラティリティが高い傾向があります。だからこそ拠出額は月10,000円という水準にとどめました。もし電力会社や鉄道会社の社員だったら、もう少し拠出額を増やしていたかもしれません。 リスク④:自社株比率が10%を超えたら危険信号 資産全体に占める自社株の比率が高くなるほど、集中リスクが上がります。 目安として、自社株比率が10%を超えたら注意が必要です。 「奨励金がもったいないから」と拠出額を増やし続けると、気づかないうちに自社株が資産の3割・4割を占めるケースがあります。これは会社への過度な依存です。持株会の参加は維持しつつ、退職後の移管時に速やかに売却して比率を下げる計画が必要です。 リスク⑤:転職を考えているなら流動性リスクに注意 近々転職を検討しているなら、持株会の拠出は慎重に考えてください。 退職時に持株会の資産は証券口座へ移管されます。このとき: ...

2026年4月28日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO