はなさく生命「はなさく定期」は得か損か|掛け捨て定期をFP目線で数字検証

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界で10年働いたあと IT企業へ転職し、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。 この記事では、日本生命グループの通販系生保・はなさく生命の掛け捨て定期保険「はなさく定期」を、得か損かという損得検証の視点で見ていきます。 最初にはっきりさせておきます。この記事は特定の保険への加入をすすめるものでも、はなさく生命を批判するものでもありません。「掛け捨て定期はムダ」「ネット系は不安」といった印象論ではなく、商品の設計(無解約払戻金型・歳満期と年満期の違い・特約)が家計と相性が良いのはどういう人で、合わないのはどういう人か、を数字と仕組みで整理します。最終的な加入判断はご自身で行っていただく前提で読んでください。 結論:「はなさく定期」の損得は3つの軸で評価できる 先に結論から整理します。いずれも一般論としての評価であり、特定の人へのおすすめではありません。 無解約払戻金型なので「貯蓄」を期待する商品ではない:解約返戻金がない代わりに、同じ保障額なら保険料は割安になりやすい設計です。「払ったお金が戻る」ことを求める人には向きません。 歳満期か年満期かで、生涯コストの見え方が大きく変わる:年満期(10年など)は入口の保険料が安く見えても、更新のたびに保険料が上がります。歳満期(60歳まで等)は入口は高めでも更新による上昇がありません。 保障が必要な期間だけ買えば合理的、不要な人が惰性で持つと割高:定期保険の損得は商品そのものより「自分にいま死亡保障が必要か」で決まります。 ここから、それぞれを公式条件と数字で確認していきます。 「はなさく定期」の公式条件を整理する まず2026年6月時点ではなさく生命公式が示している「はなさく定期」の条件を整理します。数字は公式商品ページの記載に基づきます。 項目内容商品種類定期保険(死亡・所定の高度障害状態を保障)解約返戻金なし(無解約払戻金型)保険金額200万円から設定可能(契約年齢60歳以上かつ90歳満期の場合は100万円から)保険期間(歳満期)60歳・90歳など年齢で設定(最長90歳まで)保険期間(年満期)10年・20年など年数で設定更新年満期は更新可能(更新時に保険料が上がるのが一般的)。歳満期は満期後の更新なし付加できる特約3大疾病保険料払込免除特約(がん・心疾患・脳血管疾患、歳満期のみ対応) ポイントは「無解約払戻金型」という一点に集約されます。これは貯蓄機能を切り落とし、保障に保険料を集中させた設計です。掛け捨てと聞くと損なイメージを持つ人がいますが、これは設計思想の違いであって、それ自体が損というわけではありません。 なぜ通販系の定期保険は保険料が割安になりやすいのか はなさく生命は日本生命グループの通販・代理店チャネル中心の生保です。対面営業の生保と比べて保険料が抑えられやすい背景には、コスト構造の違いがあります。 対面の営業人件費が相対的に軽い:販売チャネルが通販・代理店中心だと、大規模な営業組織を維持するコストが保険料に乗りにくくなります。 無解約払戻金型である:解約返戻金を積み立てない分、保険料を純粋な保障コストに寄せられます。 保障内容がシンプル:死亡・高度障害というわかりやすい保障に絞ることで、商品コストが膨らみにくくなります。 保険業界で働いていた頃の感覚としても、定期保険の保険料差は「保障の中身」よりも「販売チャネルと付帯機能の有無」で説明できる部分が大きいと感じていました。通販系が安く見えるのは魔法ではなく、コスト構造を素直に反映しているだけ、というのが私の理解です。ただし保険料は会社・年齢・性別・保障額で変わるため、安さだけで優劣を断定はできません。複数社を同条件で見積もって比べるのが基本です。 損得を分ける最大のポイントは「歳満期」か「年満期」か 「はなさく定期」を含め、掛け捨て定期で最も損得が分かれるのは、保険期間を年満期にするか歳満期にするかです。ここを誤解すると、入口の安さに引っ張られて生涯コストを見誤ります。 年満期(たとえば10年更新)は、加入時点の年齢で保険料が決まるため、若いうちは保険料が安く見えます。しかし更新のたびにそのときの年齢で保険料が再計算されるため、年齢が上がるほど更新後の保険料は上がっていきます。一方、歳満期(たとえば60歳まで)は、加入時点で満了までの保険料が固定され、途中で上がりません。 この上がり方は、はなさく生命が公表している保険料例で実額のまま確認できます。死亡・高度障害保険金額1,000万円、保険期間・保険料払込期間10年(年満期)の月払保険料です。 はなさく定期 月払保険料例(1,000万円・10年満期・男性) 910円 20歳 990円 30歳 1900円 40歳 4880円 50歳 出典: はなさく生命「はなさく定期の特徴」(同ページに「2024年5月現在の保険料を記載しています」と明記)。女性は20歳540円・30歳820円・40歳1,440円・50歳3,370円。 20歳から10年満期を更新し続けたと仮定して並べると、20歳910円→30歳990円→40歳1,900円→50歳4,880円。20歳時点と50歳時点で約5.4倍です。30歳と50歳の比較でも約4.9倍になります。年満期の「入口の安さ」が、更新のたびに削られていく構造がはっきり出ています。 なお実際の更新後の保険料は、更新時点の保険料率で計算されます。上の数字はあくまで「同じ時点の年齢別保険料」を並べたもので、将来の更新後保険料を約束するものではありません。それでも、年齢が上がるほど保険料が上がる方向と倍率の桁感は、この実額で十分つかめます。 ここで損得の考え方が分かれます。 保障が必要な期間が長い人(たとえば子どもが独立するまで20年以上保障が欲しい人)は、歳満期や長めの年満期で保険料を固定したほうが、生涯の合計負担を読みやすくなります。 保障が必要な期間が短い人(数年だけ大きな保障が欲しい人)は、短い年満期のほうが入口も総額も軽くなりやすいです。 つまり「年満期と歳満期のどちらが得か」に一律の正解はなく、自分が保障を必要とする期間で決まる、というのが本質です。 3大疾病保険料払込免除特約は得か 「はなさく定期」には、歳満期で3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)保険料払込免除特約を付けられます。所定の状態に該当すると以後の保険料が免除される仕組みです。 これは家計の安心材料になりますが、損得の観点では次の点を冷静に見る必要があります。 特約を付けるとその分の保険料が上乗せされる:免除という保障を買う以上、コストはゼロではありません。 免除の発動条件は約款で細かく定められている:「3大疾病にかかれば必ず免除」ではなく、所定の状態・期間などの要件があります。条件は必ず約款で確認すべき部分です。 発動しなければ上乗せ分は掛け捨てになる:保険である以上当然ですが、特約も「使わなければ戻らない」コストです。 私の評価としては、この特約の損得は「主契約の保険料に対して上乗せ分が何割か」「自分が免除のありがたみを感じる家計状況か」で判断するもので、付ければ得・付けなければ損と単純化できるものではありません。判断材料は設計書の上乗せ額と約款の発動条件です。 そもそも「掛け捨て定期に入るべきか」を先に決める 定期保険の損得検証で最も大事なのは、商品の比較より前に「自分にいま死亡保障がいくら必要か」を決めることです。ここがずれていると、どんなに保険料が安い商品を選んでも家計目線では損になります。 必要保障額のざっくりした考え方は次のとおりです。 状況死亡保障の必要度独身・扶養家族なし低い(葬儀費用程度で足りることが多い)共働き・子どもなし中〜低(遺された側も働ける場合は過大保障になりやすい)子育て世帯・片働き高い(教育費・生活費を保障で埋める必要が出やすい) 我が家は夫婦二人暮らしで子どもがいないため、大きな死亡保障の必要度は高くないと判断しています。こういう世帯が「掛け捨てはもったいないから」と大きな保障を持つと、保険料は割安でも保障自体が過大で、家計目線ではムダになります。逆に、片働きで小さな子どもがいる世帯にとっては、割安な掛け捨て定期で大きな保障を確保することは合理的な選択になり得ます。 ...

2026年6月15日 · 最終更新: 2026年8月16日 · HIKO

株主優待で選んだコナカは9年塩漬け、業績を見た巴工業は含み益+44%|優待株で確認する3つの数字

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第1回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で私が実際に保有している優待銘柄を、1記事1銘柄で紹介していく連載です。 「株主優待が魅力的だから、この株を買おう」 11年前の私はこの考え方で銘柄を選び、9年5ヶ月の塩漬けを経験しました。一方で、業績と配当方針を確認した上で保有している優待つきの銘柄は、含み益+44%で優待のワインも毎年届いています。 結論を先に書きます。優待だけを最初の理由に株を買うと、私のように失敗することがあります。優待は株を買う最初の判断材料ではなく、業績・財務で持ちたいと判断した会社の「最後のひと押し」にするべきでした。 この順番を逆にした私の失敗と、今うまくいっている保有銘柄の対比を、実際の数字で書きます。 平成時代を生きた30代・川崎市在住のHIKOです。投資歴10年超・FP2級。2015年に年収300万円台でNISAを始め、コナカの塩漬けと青山商事の-310,960円を経験してきました。この記事は私の体験談と一般的なチェック観点の整理であり、特定銘柄の購入を勧めるものではありません。 ※当記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。 優待で選んだコナカ(7494):9年5ヶ月の塩漬け 2015年5月、人生で初めて買った単元株がスーツ専門店のコナカでした。738円×100株、投資額73,800円です。 選んだ理由は3つでした。 知っている会社だから安心 100株7万円台で買える 株主優待でスーツがお得に買える 業績や財務は一切調べていません。「優待だけ」というより「知名度・手頃さ・優待」の3点セットですが、共通しているのはどれも会社の中身を見ていないことです。 その後、株価は200〜400円台で長く推移し、9年5ヶ月そのまま塩漬けになりました。2024年11月、旧NISAの非課税期間終了にあわせてクロス取引(旧NISAで売却→同日に特定口座で買い戻し)を実施し、損益を整理した結果がこれです。 項目金額旧NISA売買の確定損(738円買い→247円売り)-49,100円旧NISA配当累計(16回・非課税)+16,000円特定口座スイング益(2020〜2021年)+2,190円特定口座配当+980円確定損益合計-29,930円 配当を9年受け取り続けても、株価下落をカバーできませんでした。しかも旧NISAの損失は損益通算ができないため、-49,100円は税制上「無かったこと」になります。買う理由の1つだった優待(コナカ・フタタ・SUIT SELECT等で使える20%割引券)自体は現在も継続していますが、株価が7割下がった損失を埋められるものではありませんでした。 このときの詳しい経緯は旧NISAで個別株投資に失敗した話に書いています。 業績を見て保有している巴工業(6309):含み益+44%とワイン 一方、現在の保有銘柄に巴工業という会社があります。遠心分離機などの機械製造と化学工業製品の商社という2つの事業を持つ会社です。 2026年8月14日終値時点の私の保有状況はこうです。 項目数値保有株数300株取得単価1,369円評価額594,600円含み損益+183,900円(+44.78%) 優待は200株以上の保有でワイン1本が年1回届きます(600株以上で2本。基準日は毎年10月31日・継続1年以上の保有が条件。出典:巴工業「株主優待制度」 https://www.tomo-e.co.jp/ir/benefit.html )。私も実際に受け取っており、これは素直にうれしい優待です。 ただし、私がこの株を持ち続けている理由はワインではありません。業績と配当方針です。 売上・営業利益が右肩上がり 決算期売上高営業利益2020年10月期392億円23億円2021年10月期451億円28億円2022年10月期456億円33億円2023年10月期496億円40億円2024年10月期521億円47億円2025年10月期594億円54億円 出典:IR BANK 巴工業 業績推移( https://irbank.net/6309/results ) 5年で売上は約1.5倍、営業利益は2倍以上になっています。営業利益率も5%台から9%台へ改善しています。 配当も増えている 決算期年間1株配当2020年10月期48円2021年10月期50円2022年10月期53円2023年10月期110円2024年10月期145円 出典:IR BANK 巴工業 配当推移( https://irbank.net/6309/dividend )。なお2025年5月に1対3の株式分割を実施しているため、2025年10月期以降の1株配当額は上の表と単純比較できません。 会社は連結配当性向40%以上を目標に掲げており、実績もその水準で推移しています。優待を抜きにしても、配当と業績だけで保有の説明がつく。これがコナカとの一番の違いです。 念のため繰り返しますが、巴工業を買うことを勧めているわけではありません。株価は今後下がるかもしれませんし、優待も廃止されるかもしれません。「業績で説明できる株を持ち、優待はおまけ」という選び方の実例として挙げています。 同じ「優待株」でもここまで差がつく コナカと巴工業の損益比較 ¥-29930 コナカ(確定損益) ¥183900 巴工業(含み益) コナカは2024年11月クロス取引までの確定損益(配当込)、巴工業は2026年8月14日終値時点の含み益。投資額はコナカ73,800円・巴工業410,700円で異なります どちらも「優待のある株」です。違いは、買う前(あるいは持ち続ける判断のとき)に業績と配当を見たかどうかだけです。 私が優待株で見ている3つの数字 コナカの失敗と、JPX・JT・オリックスでの優待廃止経験(詳細は優待入門の記事に書きました)を経て、優待のある銘柄では次の3つの数字を確認するようになりました。これは一般的なチェック観点としても通用する内容だと思います。 ① 優待を抜いた配当利回り 優待相当額を含めた「総合利回り」ではなく、配当だけの利回りをまず見ます。 理由は単純で、優待はいつでも廃止されるからです。JT・オリックスのような人気優待でも「配当への一本化」を理由に廃止されました。優待が消えても配当だけで持つ理由が残るか。残らないなら、その銘柄は優待ありきの選択になっています。 ② 業績の方向(売上・営業利益・配当性向) 直近5年程度の売上高と営業利益が伸びているか、横ばいか、下がっているかを見ます。あわせて配当性向(利益のうち配当に回す割合)に無理がないかも確認します。配当性向が100%を超えているような会社は、利益以上の配当を出している状態で、減配や優待廃止が起きやすい構造です。 ...

2026年6月11日 · 最終更新: 2026年8月15日 · HIKO

ビジネスブレイン太田昭和(9658)を9年持ったら取得単価利回りが12%になりました

SNSで「年間配当金300万円達成」という投稿を見ると、多くの人がこう逆算します。 「配当利回り4%として、元本は7,500万円か。すごいな」と。 私自身も、配当300万円の人を見るたびに「元本7,500万円か…」と勝手に計算していました。でも、自分の保有株の数字を改めて見直したとき、この逆算は長期で持っている人にはまったく当てはまらないと気づきました。 きっかけは、私が9年前に買って、いまも持ち続けている1つの株でした。 配当利回りは「今の株価」に対する数字でしかない 配当利回りは、こう計算します。 配当利回り(%)= 1株あたり配当金 ÷ 今の株価 × 100 ここで大事なのは、分母が「今の株価」だということです。 たとえば配当が1株50円の株があったとして、今の株価が1,000円なら利回りは5%です。でも同じ会社の株を、株価400円のときに買っていた人にとっては、50 ÷ 400 で利回り12.5%ということになります。 同じ会社の、同じ配当金です。なのに、利回りはまるで違う。 何が違うかというと、買ったときの株価が違うだけです。 つまり「配当利回り4%」というのは、今この瞬間に買う人にとっての数字であって、もう何年も前に安く買って持っている人には当てはまりません。 YOC(取得単価ベース利回り)という考え方 この「買ったときの株価で計算した利回り」を、英語でYield on Cost(イールド・オン・コスト)、略してYOCと呼びます。日本語にすると取得単価ベースの利回りです。 一般的な配当利回り … 1株配当 ÷ 今の株価 YOC … 1株配当 ÷ 自分が買ったときの株価 長期で配当株を持っていると、この2つの数字はどんどん離れていきます。 理由は2つあります。 株価が上がると、後から買う人の利回り(今の株価ベース)は下がるが、安く買った自分のYOCは変わらない 増配が続くと、分子の配当そのものが増えていくので、自分のYOCはさらに上がっていく 時間をかけて持っているほど、自分だけ高い利回りで配当を受け取れる状態になっていく、ということです。 もちろん、これは万能の話ではありません。増配が止まったり、減配したりすればYOCは育ちません。株価が買値を下回ったまま戻らないこともあります。YOCが勝手に育つのは、あくまで「増配が続き、株価も大きく崩れなかった」場合に限る、という前提は最初に押さえておいてください(私自身の失敗例は後半で正直に書きます)。 実例:9年かけて、私のYOCは12%近くまで育った 抽象論だけだとピンと来ないので、私の保有株で説明します。私はビジネスブレイン太田昭和(9658)を、いまは600株持っています。平均取得単価は約385円です。 なお、ビジネスブレイン太田昭和は、会計や経営の分野に強いシステム会社です。企業向けの会計システムやERP、人事給与などの業務システムの開発・運用、経営や会計まわりのコンサルティングを手がけており、東証プライムに上場しています(コードの9658はこの会社を指します)。社名の「太田昭和」は、設立当時に出資元だった監査法人の名前に由来していますが、現在は資本関係はありません。ここでは「どんな会社か」のイメージだけ共有しておきます。 ただ、最初から600株を385円で買えたわけではありません。実際は9年かけて、買って・売って・また買って、その間に2回の株式分割をはさんでいます。きれいな話ではないので、正直に経緯を書きます。 2017年3月:最初に100株を1,045円で購入 2020年7月:1株が2株になる株式分割(保有100株 → 200株に) 2020年9月:そのうち100株を1,400円で売却(残り100株) 2024年9月:もう一度100株を1,785円ほどで買い増し(合計200株) 2026年4月:1株が3株になる株式分割(保有200株 → 600株に) この結果、いまの平均取得単価は分割後ベースで約385円に下がりました。途中で一度利益確定の売却をしたこと、2回の分割で株数が増えたこと、この2つが効いて、自分の取得単価がどんどん下がっていったわけです。 ここで利回りを2通りで見てみます。 計算の分母ざっくりの利回りこれから買う人株価(2026年6月時点・約1,025円)4.6%前後私(取得単価ベース=YOC)約385円約12% 楽天証券の私の保有画面(取引明細)より。2017年の買付から、途中の売却と2回の株式分割を経て、平均取得単価が385円まで下がっていることが確認できます 直近の予想1株配当(分割後)はおよそ47円です。これを今の株価で割ると利回りは4.6%前後ですが、私の取得単価385円で割ると、47 ÷ 385 で約12%になります。 同じ株・同じ配当でも利回りはこんなに違う(9658) 4.6% 今から買う人 12% 私のYOC 1株配当47円(分割後・予想)を、2026年6月時点の株価約1,025円で割ると4.6%前後、私の取得単価385円で割ると約12%。同じ配当でも、買ったときの株価で利回りはまったく変わります(数字は私の取得単価・取引の事実を示す例であり、銘柄推奨ではありません)。 同じ株の、同じ配当を受け取っているのに、今から買う人の利回りは4.6%前後、私の取得単価ベースだと12%近くです。 ...

2026年6月4日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

朝日生命「あさひの一時払年金」はおすすめ?|退職金の置き場所としてFPが検証

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界で10年働いたあと IT企業へ転職し、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。投資歴は2015年からの10年超です。 この記事では、朝日生命の円建て確定年金「あさひの一時払年金」を取り上げます。退職金や満期保険金、相続で受け取ったお金など、「まとまった円資金をどこに置くか」で迷ったときに候補に挙がる商品です。先にお断りすると、私自身はこの商品に加入していません。資産形成のメインは NISA と企業型DCで進めているためです。あくまで保険業界で一時払商品を間近に見てきた経験と FP の知識をもとに、中立的に仕組みと使いどころを整理します。 この記事は商品の一般的な仕組みと公的な税制ルールをもとにした解説です。予定利率・受取額・税金の扱いは契約時期や契約形態、お住まいの状況によって変わります。加入を検討する際は、必ず最新の「ご契約のしおり」「重要事項説明書」と設計書をご自身で確認し、最終判断は自己責任で行ってください。本記事は特定商品の購入を勧誘するものではありません。 結論:「あさひの一時払年金」はこういう商品 最初に要点を3つにまとめます。 まとまった円資金を一括で預け、据置期間で年金原資を育てて、5年・10年・15年の確定年金として受け取る商品です。終身年金ではなく期間が決まった「確定年金」が軸で、医師の診査や健康状態の告知は不要です。 予定利率は契約時点で固定されます。 安定している反面、契約後に世の中の金利やインフレが進んでも受取額は増えません。逆に低金利期に契約すると、その低い利率で長く固定されることになります。 一時払の個人年金は、個人年金保険料控除の対象外です。 ここは誤解が多いところで、節税目的で選ぶ商品ではありません。あくまで「置き場所」としての性格が強い商品です。 これらを踏まえて、向く人・向かない人を後半で仕分けします。 「あさひの一時払年金」の基本的な仕組み 公式情報(2026年8月12日確認)をもとに、商品の骨格を整理します。なお契約年齢などの条件は商品改定で変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。 「あさひの一時払年金」は愛称で、約款上の正式名称は5年ごと利差配当付新一時払個人年金保険です。名前のとおり配当のある商品で、ご契約のしおりにも年金や死亡給付金の支払いに関して「配当金がある場合はあわせてお支払いします」という記載があります。ただし配当の額は運用実績によって決まり、保証されたものではありません。前章の年金額例は「2026年4月現在の予定利率で計算」とだけ注記されており配当の扱いには触れていないため、本記事の試算にも配当は含めていません。 保険料の払い方:契約時に一時払保険料を朝日生命の金融機関口座へ振り込む一括払い 契約できる年齢:20〜70歳 告知:医師の診査や健康状態の告知は不要 年金の受け取り方:5年・10年・15年から選べる確定年金 据置期間:契約から年金開始までの据置期間を設定できる 予定利率:契約時点の予定利率で計算され、その後は固定。金利情勢によっては新規契約の取り扱いを停止することがある 年金開始後に被保険者が亡くなった場合:残りの年金支払期間に相当する未払いの年金現価が、年金受取人に支払われる ざっくり言うと、「一括でお金を預け、据置期間で年金原資を少しずつ育て、決まった期間にわたって取り崩しながら受け取る」円建ての商品です。株や投資信託のように値動きで増減するものではなく、契約時に受取イメージが固まる設計が特徴です。 あさひの一時払年金は200万円でいくら戻るのか|公式の年金額例と戻り率 「結局どのくらい増えるの?」というのが、いちばん気になるところだと思います。ここは設計書を取り寄せなくても、公式の商品ページに年金額の例が載っています。一時払保険料200万円・年金種類は10年確定年金・2026年4月現在の予定利率で計算した数字で、据置期間と契約年齢・性別の12パターンが示されています。 据置期間10年の場合(一時払保険料200万円・10年確定年金) 性別・契約年齢年金額(年1回)年金受取総額戻り率年金開始時に一括で受け取る場合男性40歳241,300円2,413,000円120.6%2,252,126円(112.6%)男性50歳241,700円2,417,000円120.8%2,255,859円(112.7%)男性60歳242,400円2,424,000円121.2%2,262,392円(113.1%)女性40歳241,300円2,413,000円120.6%2,252,126円(112.6%)女性50歳241,400円2,414,000円120.7%2,253,059円(112.6%)女性60歳241,500円2,415,000円120.7%2,253,992円(112.6%) 据置期間15年の場合(同上) 性別・契約年齢年金額(年1回)年金受取総額戻り率年金開始時に一括で受け取る場合男性40歳260,000円2,600,000円130.0%2,426,658円(121.3%)男性50歳261,200円2,612,000円130.6%2,437,858円(121.8%)男性60歳263,600円2,636,000円131.8%2,460,258円(123.0%)女性40歳259,600円2,596,000円129.8%2,422,925円(121.1%)女性50歳259,900円2,599,000円129.9%2,425,725円(121.2%)女性60歳260,500円2,605,000円130.2%2,431,325円(121.5%) 出典:朝日生命「あさひの一時払年金」の年金額・年金受取総額例(2026年8月12日確認)。2026年4月現在の予定利率で計算された数値であり、実際の年金額は契約時に適用される予定利率によって変わります。戻り率は小数点第2位を切り捨てた表示です。 戻り率120.6%を年率に直すと何%か 戻り率130.0%という数字は大きく見えますが、これは25年(据置15年+受取10年)かけて到達する数字です。時間軸を戻して年率にすると、印象が変わります。 以下は本記事の試算です。一時払保険料200万円を契約時に払い、第1回年金を年金支払開始日に受け取る前提(ご契約のしおりの記載どおり期首払い)で、キャッシュフローから内部収益率(IRR)を求めました。 ケース(男性40歳)公式の戻り率実効利回り(年率・本記事試算)据置10年+10年確定年金120.6%約1.31%据置15年+10年確定年金130.0%約1.36%据置10年で年金開始時に一括受取112.6%約1.19% 据置期間を5年延ばしても、年率で見た改善は0.05ポイント程度です。「据置を長くすれば戻り率が上がる」のは事実ですが、上がっているのは期間の長さの分であって、利回りそのものが大きく良くなるわけではありません。 そして同じ2026年8月時点で、財務省が募集している個人向け国債の表面利率は変動10年(第197回)が年1.87%、固定5年(第185回)が年2.06%、固定3年(第195回)が年1.71%となっています(募集期間 令和8年8月6日〜31日。出典:財務省「現在募集中の個人向け国債」・2026年8月12日確認)。 国債の利子は20.315%が源泉徴収されるため、税引後は変動10年で年1.4901095%です。一時払年金の年金は雑所得として課税されるので、こちらも税引前どうしで並べるのが素直な比較になります。税引前で1.87%対1.31%。同じ「円建てで安全に置く」目的なら、いま利回りだけで比べると国債のほうが上です。 ただし性格は同じではありません。変動10年の利率は半年ごとに見直されるので10年間の利回りは事後的にしか分からないのに対し、一時払年金は契約時点で受取額が確定します。また一時払年金には、後述する「決まった期間に自動で受け取れる」「遺族への引き継ぎ設計がある」という機能が付いています。利回りだけで決める商品ではない、というのが正確なところです。 あさひの一時払年金のメリット 中立に見て、この商品の強みは次のとおりです。 値動きがなく、受取イメージを契約時に固定できる:株や投資信託のように日々増減しないので、相場を見て一喜一憂したくない人には精神的にラクです。 告知・診査が不要で入りやすい:健康状態に不安があっても、医師の診査や告知なしで申し込めます。 据置期間で年金原資を育てられる:すぐに使わないお金を、確定年金の形にして計画的な受け取りへ整えられます。ただしこの「育つ」は、途中で引き出せる形では増えません。ご契約のしおり(23項)と重要事項説明書には「据置期間中に解約されたときの返戻金額は一時払保険料相当額となります。ただし、ご契約後一定期間で解約された場合は一時払保険料相当額を下回ります」と書かれています。つまり据置10年の途中でやめると、戻ってくるのは払った200万円と同額(一定期間内ならそれ未満)です。増加分が姿を現すのは年金支払開始日に到達してからで、その時点ではじめて一括受取額2,252,126円という数字になります。商品ページ自身も「据置期間中の死亡給付金・解約返戻金を一時払保険料相当額に抑えることで、年金受取額を多くする仕組み」と説明しており、これは設計上の意図です。据置期間はメリットと段差がセットになっている、という理解が要ります。 取り崩しの仕組みが自動化される:自分で資産を取り崩すのが苦手な人でも、決まった期間に自動で受け取れます。 遺族への引き継ぎ設計がある:年金開始後に被保険者が亡くなっても、残期間分の年金現価が受取人に支払われます。 あさひの一時払年金のデメリット 一方で、理解しておくべき弱点もはっきりしています。 インフレ・金利上昇に弱い:予定利率は契約時固定なので、契約後に物価や金利が上がっても受取額は増えません。 一時払は個人年金保険料控除の対象外:節税目的で選ぶ商品ではありません(詳細は後述)。 据置期間中は増えず、契約後一定期間は元本割れする:据置期間中に解約したときの返戻金は一時払保険料相当額で、契約後一定期間ならそれを下回ります。増加分は年金支払開始日に到達してはじめて出ます。 増える力は限定的:公式の年金額例から計算した実効利回りは年1.3%前後で、2026年8月募集分の個人向け国債(変動10年 年1.87%)を下回ります。長期で大きく増やす力は投資信託などに比べるとさらに小さいです。 金利情勢で取り扱いが止まることがある:新規契約が一時的にできなくなる場合があります。 ポイント1:予定利率の「固定」はメリットにもデメリットにもなる 一時払年金のいちばんの肝は予定利率です。ここでいう予定利率とは、保険会社があらかじめ見込む運用収益の分だけ保険料を割り引くための率で、契約者が手にする実質利回りとイコールではありません。事業費などのコストが差し引かれるため、実際の利回りは予定利率より低くなります。 契約した時点の予定利率で受取額が決まり、その後は動きません。これは「契約後に金利が下がっても影響を受けない」という安心につながります。一方で、契約後にインフレが進んだり世の中の金利が上がったりしても、受取額は増えないという弱点も同じ理由から生まれます。 私が保険業界にいた頃から、一時払年金や一時払終身は「金利が動くと商品性がガラッと変わる」タイプの代表でした。実際このあさひの一時払年金も「金利情勢によっては新規の取り扱いができないことがある」と明記されています。これは裏を返せば、利率水準次第で魅力が大きく変わる商品だということです。 検討する際は、その時点の予定利率を確認したうえで、 同じ時期の 個人向け国債(変動10年) の適用利率 定期預金 の店頭金利 物価上昇率(インフレ) の見通し と並べて比べるのが現実的です。固定金利の安心料として納得できる水準かどうか、という見方をおすすめします。 ...

2026年6月3日 · 最終更新: 2026年8月12日 · HIKO

積立保険は解約すべき?30代が「やめていい5つの条件」を具体数字で解説

保険業界に10年在籍し、FP2級を取得したHIKOです。「解約すると損ですよね」という声は、貯蓄型保険をめぐってもっともよく聞くフレーズです。ただ、その言葉の裏にある「惰性で払い続けている」状態のほうが、実は大きな損になっているケースが多い、というのが業界に身を置いて見えてきた実感です。 結論から言うと、以下の5つのうち2つ以上に当てはまるなら解約を検討すべきです。 保険料が手取りの5%以上を占めている 積立保険の利回りが年1%未満 返戻率が100%になるまで15年以上ある NISAやiDeCoをまだ使っていない 扶養家族がいないのに死亡保障が500万円以上ある このまま放置すると、数十万円〜100万円単位で差が出る可能性があります。 「解約=損」というより、「判断せず放置すること」が損になるケースが多いです。仕組みと判断基準を整理しますので、手元の保険証券と照らし合わせながら読んでみてください。 参考までに、生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和4年度)」によれば、1世帯あたりの年間払込保険料は平均37万円前後とされています。月額に直すと3万円超。生涯で見れば1,000万円規模の支出です。だからこそ「払い続けることが正解か」を一度数字で確認する価値があります。 解約返戻金とは何か 積立保険を途中で解約したとき、保険会社から受け取れるお金を解約返戻金(かいやくへんれいきん)といいます。 積立保険の保険料には、大きく分けて2つの用途があります。 保障コスト(死亡保障部分): 万が一のときに保険金を支払うための費用 積立部分: 解約返戻金や満期保険金の原資となるお金 保険会社はこの積立部分を運用し、一定期間後に「払った保険料より多い金額」が戻ってくるように設計しています。ただし、途中で解約すると積立部分がまだ育っていないため、払込総額より少ない金額しか戻ってきません。 返戻率の目安 解約返戻金が払込総額に対してどの程度の割合かを示す数値を返戻率といいます。 加入からの期間返戻率の目安(商品による)1〜3年50〜70%程度(大きく元本割れ)5〜10年80〜95%程度(元本割れ)15〜20年100%前後(損益分岐点)満期105〜110%程度 返戻率が100%を下回っている期間に解約すると、払い込んだ総額より少ない金額しか戻りません。これが「解約すると損」と言われる根拠です。 ただし、この「損」はあくまでも払った保険料との比較です。「今すぐ解約する場合」と「今後も払い続けた場合」を比べて、どちらが自分の状況に合っているかを判断する必要があります。 なお、ここで挙げた返戻率はいわゆる「低解約返戻金型」を含む一般的な終身・養老タイプの目安です。商品によっては10年経過時点で返戻率70%台で頭打ちになるものもあるため、必ず手元の設計書で確認してください。 返戻率と実利回り(IRR)は別物です 判断に入る前に、ここだけ押さえてください。設計書に載っている返戻率は、投資の利回りとそのまま比べられる数字ではありません。 返戻率:総払込額に対して、いくら戻るかを単純に比率化した数値です。予定利率も同様で、これは保険会社が見込む運用収益の分だけ保険料を割り引くための率であって、契約者の利回りではありません 実利回り(IRR):いつ払っていつ受け取るかという時間軸を組み込んだ年率です。投資商品と比較できるのはこちらだけです 「30年で返戻率120%」は一見大きく見えますが、月払で30年積み立てて30年後に受け取る前提でIRRに直すと年率約1.19%です。しかも同じ「30年で120%」でも、契約時に一括で払う一時払なら年率約0.61%になります。月払は後半に払ったお金ほど寝かせる期間が短いため、同じ返戻率でも年率が高く出るからです。返戻率だけで他社・他商品と比べると、この前提の違いで順位が入れ替わります。 積立保険6タイプの実利回りの目安 商品タイプ表面利回り(予定利率/返戻率換算)実利回り(IRR概算)円建て終身保険返戻率 約107〜140%(10〜30年)約0.3〜1.4%個人年金保険返戻率 約110〜125%(30年)約0.4〜1.2%ドル建て終身保険予定利率 約3.0〜4.0%約1.0〜2.0%(為替・コスト控除後)変額保険ファンド連動費用控除後で投信に劣後しやすい学資保険返戻率 約103〜108%(17〜18年)約0.3〜0.8%養老保険返戻率 約103〜108%(10〜30年)約0.3〜0.7% 円建て終身の上限1.4%は、オリックス生命「エンキャン」の公式の契約例(30歳女性・1,000万円・10年払込)から私が計算した実測値です(エンキャンはNISAより得?)。それ以外のIRRは、2025〜2026年時点の各社公開設計書・販売設計例・予定利率の一般的な水準から逆算した概算で、商品カテゴリの大まかな水準を示すものです。実際の数値は契約年・健康状態・特約・予定利率の改定で変わるため、個別の判断は必ず手元の設計書で行ってください。 商品タイプ別の詳しい検証は、それぞれ個別の記事にまとめています。日本生命の個人年金はみらいのカタチのデメリット、ドル建ては外貨建て保険は円安の今、解約すべきか、変額はソニー生命の変額保険の運用実績をご覧ください。 学資保険・養老保険の利回りが低い理由 この2つが特に低く出るのには、3つの理由があります。 予定利率自体が低い:運用先が国内債券中心のためです 保障コストの上乗せ:純粋な貯蓄商品ではないので、死亡保障のコストが差し引かれます 長期固定:途中解約のペナルティが大きく、流動性を手放した分の見返りが取れていません 子どもの教育資金であれば、掛け捨ての死亡保障とNISA積立を組み合わせたほうが、保障とリターンの両面で効率が良くなるケースが多いです。 積立保険とNISAの差は10年で約29万円、20年で約145万円 「利回りの差」という言葉だと実感しにくいので、具体的な数字で確認してみます。 前提:毎月1万円を積み立てた場合(税金・手数料は考慮外。月複利で計算) 10年積立 積立保険(年利1%)→ 約126万円(元本120万円) インデックス投資(年利5%)→ 約155万円 差額:約29万円 20年積立 積立保険(年利1%)→ 約266万円(元本240万円) インデックス投資(年利5%)→ 約411万円 差額:約145万円 10年で29万円の差が、20年では145万円まで広がります。これが複利の効果です。30年積立まで伸ばすと、差額は400万円を超えます。 積立保険の利回りが0.5〜1.5%にとどまるのは、保険料の一部が保障コストや会社経費に回るためです。一方、NISAで全世界株式インデックスに長期投資した場合の期待リターンは年率4〜6%程度(過去の長期実績ベース)とされており、運用効率の差が時間とともに拡大します。 ただし「NISAなら必ず勝てる」ではない ここで一つ重要な注意点があります。インデックス投資は元本保証ではなく、暴落時に積立を止めてしまうと複利効果も止まります。 年利5%という数字は、あくまで過去の長期平均からの期待値です。特定の10年間や20年間で必ず5%出るわけではなく、運の悪い時期に始めれば年利2〜3%にとどまる可能性もあります。 実際、2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックでは、含み損30%超の局面で積立を止めてしまった方も少なくありません。積立を止めた瞬間に「下がったところで損切り、上がるところに乗れない」最悪のパターンに入ります。 「NISAなら必ず保険より得」ではなく、「長期で淡々と続けられる前提なら期待値が高い」というのが正確な理解です。 逆に「相場が荒れても20年続ける自信がない」のであれば、積立保険の「強制貯蓄機能」のほうが結果的に手元にお金が残るケースもあります。これは判断基準3でも触れます。 税制まで含めると差はさらに広がる ここまでは「運用利回り」だけの比較でした。税制を加えると評価が変わります。 ...

2026年5月31日 · 最終更新: 2026年8月16日 · HIKO

オリックス生命「エンキャン」はNISAより得?|返戻率139.5%を実利回りで比較した結果

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。年収300万円台で社会人をスタートし、保険業界で10年勤めたあと IT 企業へ転職、いまは FP2級として家計と投資を発信しています。投資歴は2015年からの10年超。コナカ(7494)で9年超の塩漬けや、青山商事で-310,960円の含み損確定など、失敗もそれなりに経験してきました。 2025年12月にオリックス生命が「Yen Can(エンキャン)」という円建ての終身保険を発売しました。「円建てで増える終身保険」「払い終わったあとは払込総額を上回る」という打ち出しで、貯蓄性を気にする30代から「これってNISAより良いの?」という疑問が出てきそうな商品です。 この記事では、エンキャンを題材に「貯蓄できる終身保険は結局おトクなのか」を、低解約払戻金型の仕組み・払戻率・払込総額の関係から整理し、同じ金額を新NISAでインデックス積立した場合と比べてみます。あわせて、公式資料でしか確認できない「払込期間中と払込期間経過後で死亡保障の中身が変わる」という段差も押さえます。 本記事は特定の保険商品の購入・解約を勧めるものではありません。保険・投資いずれも最終的な判断は契約者ご自身で、設計書・約款・最新の予定利率や目論見書を確認したうえで行ってください。商品情報はオリックス生命の公式サイトの掲示(2026年6月1日現在)およびパンフレット(2026年6月作成)に基づきます。なお、本記事はアフィリエイトリンクを含みます。 なお、この商品の公式表記は「解約払戻金」「払戻率」「低解約払戻期間」です。一般には「解約返戻金」「返戻率」と呼ばれることが多く、本記事の見出しにも一般表記が残っていますが、金額や比率を扱う本文では公式表記に合わせています。 この記事の要点 低解約払戻金型は「払込中の解約払戻金を7割に抑える代わりに保険料を割安にする」設計 払戻率は「払込からどれだけ寝かせたか」で決まり、実利回り(IRR)に直すと年1.3〜1.4%(実測)の水準にとどまる 払込期間中に解約すると元本割れする。公式の契約例では10年目(払込満了直前)の払戻率75.1%=解約払戻金3,544,200円 死亡保障にも段差がある。払込期間中の病気・ケガによる死亡は既払込保険料相当額で、原因を問わない1,000万円は払込期間経過後から 同じ金額を新NISAでインデックス積立した場合、過去実績ベースの想定利回りでは差が大きく開く 保障が必要なら「掛け捨て+NISA」に分けるのが私の考え方 オリックス生命「エンキャン」とは|円建ての低解約返戻金型終身保険 まず商品の基本情報を整理します。以下はオリックス生命の公式サイト(掲示は2026年6月1日現在)と通信販売用パンフレット(2026年6月作成)、および発売時のニュースリリースから確認した内容です。 出典:オリックス生命公式サイト(2026年6月1日現在) 項目内容商品名(愛称)Yen Can(エンキャン)正式名称無配当 指定通貨建特別終身保険(低解約払戻金型)提供会社オリックス生命保険発売2025年12月2日通貨円建て(為替リスクなし)契約可能年齢男性15〜78歳・女性15〜80歳(保険料払込期間により異なります。10年払込の場合の上限で、15年払込は男性15〜73歳・女性15〜75歳、20年払込は男性15〜69歳・女性15〜70歳)基本保険金額200万円〜5,000万円(100万円単位。既契約などにより異なります)保険料払込期間年数で選ぶ場合は10年・15年・20年、終了年齢で選ぶ場合は50・55・60・65・70・75・80歳告知2項目受取額契約時に確定 契約可能年齢は「男性15〜78歳・女性15〜80歳」とだけ書かれることが多いのですが、これは10年払込を選んだ場合の上限で、払込期間を長く取るほど上限年齢は下がります。ポイントは「円建て」「告知2項目」「受取額が契約時に確定」の3点です。ここ数年は予定利率の高さを訴求できる「ドル建て終身保険」が貯蓄性商品の主役でしたが、エンキャンは為替リスクを取りたくない層に向けた円建ての終身保険、という位置づけになります。 なお、名前が似ているため混同されがちですが、エンキャンはオリックス生命の商品です。アフラックなど他社の商品ではありません。 低解約返戻金型の仕組み|「払込中は7割」がカギ エンキャンを理解するうえで一番大事なのが「低解約払戻金型」という設計です。 低解約払戻金型とは、保険料の払込期間中の解約払戻金を、低く設定しない場合の70%に抑える代わりに、毎月の保険料を割安にするタイプの終身保険です。オリックス生命の公式サイトにも「低解約払戻期間中に解約した場合の解約払戻金は、解約払戻金を低く設定しない場合の70%に抑制されています」「低解約払戻期間は、保険料払込期間と同一です」と明記されています(2026年6月1日現在)。 仕組みを言葉で整理すると、こうなります。 払込期間中(たとえば10年や20年)に解約すると、解約払戻金が払込総額を大きく下回る(元本割れ) 払込が満了したあとに解約すると、解約払戻金が払込総額を上回る(払戻率100%超) 払込後に寝かせる年数が長いほど、払戻率は上がっていく つまり「払込中は流動性をほぼ捨てる代わりに、保険料を抑えて満了後の払戻率を高くしている」商品です。途中でやめると損をする、という構造は低解約払戻金型に共通する特徴です。なお、公式サイトでは保険料が割安な理由として、この解約払戻金の抑制に加えて「保険料払込期間中の病気・ケガによる万一の保障」も抑制していることが挙げられています。この保障側の抑制については後の章で詳しく見ます。 エンキャンの返戻率|公式の試算例で見る払込総額との関係 公式サイトには、契約例として「30歳女性・基本保険金額1,000万円・10年払込」の数値が掲載されています(2026年6月1日現在)。これを使って、払戻率と払込総額の関係を見てみます。 項目値契約者30歳女性(Aさん)基本保険金額1,000万円保険期間終身月払保険料39,310円保険料払込期間(低解約払戻期間)10年総払込額4,717,200円(39,310円×120回) この前提での解約払戻金と払戻率は、公式サイトに実額つきで掲載されています。 経過年数年齢払込保険料累計解約払戻金払戻率5年35歳2,358,600円1,671,000円70.8%10年(低解約払戻期間中)40歳4,717,200円3,544,200円75.1%低解約払戻期間経過直後40歳4,717,200円5,068,800円107.4%20年50歳4,717,200円5,781,400円122.5%30年60歳4,717,200円6,583,000円139.5% 出典:オリックス生命公式サイト(2026年6月1日現在)。公式の注記により、金額は年単位の契約応当日前日のもので、「低解約払戻期間経過直後」の行だけが期間経過直後の金額です。 この表で読者にとって一番重いのは、10年目(払込満了の直前)の払戻率75.1%=解約払戻金3,544,200円という数字だと思います。10年払い続けて4,717,200円を入れた直後でも、満了を待たずに解約すると1,173,000円のマイナスになります。5年でやめれば2,358,600円に対して1,671,000円で、687,600円のマイナスです。同じ40歳という年齢でも、低解約払戻期間を1日でも過ぎれば5,068,800円(107.4%)に跳ね上がる。この段差が低解約払戻金型の本体です。 一方、払戻率だけ見ると「30年で139.5%」は大きく感じます。ただし、これは「払い込んだお金を何年寝かせたか」で決まる数字で、寝かせる年数が長いほど払戻率が上がるのは当然です。判断に使うべきなのは払戻率そのものではなく、時間を年率に直した実利回り(IRR)です。 返戻率139.5%は年利何%?|実利回り(IRR)に直して考える 払戻率と実利回りは別物です。ここを混同すると判断を間違えます。 払戻率:総払込額に対して、受け取る解約払戻金が何%か。時間軸を含まない単純な比率 実利回り(IRR):「いつ払って、いつ受け取るか」という時間軸を年率に均した利回り。投資商品の利回りと横並びで比較できる唯一の指標 上の公式の契約例(30歳女性・10年払込)について、「月39,310円を各月の初めに払い込み、所定の時点で解約して解約払戻金を受け取る」という月次キャッシュフローからIRR(内部収益率)を計算すると、次のとおりになりました。解約払戻金は公式の実額をそのまま使っています。 解約タイミング解約払戻金(公式)払戻率(公式)実利回り(IRR・自前試算)5年後(35歳)1,671,000円70.8%年−13.42%10年後(払込満了直前・40歳)3,544,200円75.1%年−5.79%低解約払戻期間経過直後(40歳)5,068,800円107.4%年1.42%20年後(50歳)5,781,400円122.5%年1.36%30年後(60歳)6,583,000円139.5%年1.34% 解約払戻金と払戻率はオリックス生命の公式サイト掲載値(2026年6月1日現在)です。IRRは私が「月39,310円を各月の初めに払い込み、契約からNか月後に解約払戻金を受け取る」と置いて二分法で解いた自前試算で、公式が公表している数値ではありません。実際の解約払戻金は契約年齢・性別・保険金額・払込期間・保険料率の改定で変わるため、正確な数値は必ず最新の設計書で確認してください。 ポイントは2つあります。ひとつは、払込期間中に解約すると年率換算のマイナスが極めて大きいこと。10年払い切る直前でも年−5.79%で、これは「元本割れ」という言葉から受ける印象よりも重い数字です。もうひとつは、払戻率139.5%でも実利回りは年1.3〜1.4%だということ。しかも払戻率が107.4%から139.5%へ大きく上がっても、実利回りはほとんど動きません。寝かせる年数が延びるぶん、年率に均すと差が薄まるからです。これは円建て終身保険という商品ジャンルの宿命で、エンキャンが特別に低いわけではありません。円建ての貯蓄性保険は構造的に実利回り年1%台に収まりやすい、と捉えておくのが現実的です。 円建て終身保険の実利回りが伸びにくい理由は、主に次の3つです。 保障コストの上乗せ:終身保険なので、死亡保障のためのコストが保険料から差し引かれる 予定利率の水準:円建ては運用先が国内債券中心になりやすく、予定利率自体が高くしにくい 長期固定・低流動性:途中でやめると元本割れする設計のため、流動性プレミアムが取れない 同じ金額を新NISAで積み立てたら?|インデックス積立との比較 ここからが本記事の本題です。エンキャンの月払保険料(公式試算例で月39,310円)と同じ金額を、新NISAでインデックス投信に積み立てたらどうなるか。あくまで考え方を示すための概算比較です。 まず前提を揃えます。 積立額:月39,310円(公式試算例の保険料に合わせる) 積立期間:10年(払込期間に合わせる) その後の据え置き:保険の「払込後に寝かせる」期間に合わせる NISA想定利回り:年3%・年5%・年7%の3パターン(過去実績ベースの想定。将来を保証する数字ではありません) 3パターンを置いたのは、単一の楽観シナリオで結論を出さないためです。年5%は全世界株式インデックスの長期平均としてよく語られる水準、年3%はかなり保守的に見たケース、年7%は強気のケースです。この前提で、10年積立後に運用を継続した場合の評価額の目安は次のようになります(エンキャン側は公式の解約払戻金の実額)。 経過エンキャン(円建終身)NISA年3%NISA年5%NISA年7%10年後約507万円約550万円約609万円約676万円20年後約578万円約739万円約992万円約1,330万円30年後約658万円約992万円約1,617万円約2,617万円 NISA側はいずれも「月39,310円を各月の初めに10年積み立て、その後は積立をやめて想定利回りで据え置き運用を継続した場合」の月次複利による私の概算です。手数料・税金・暴落・将来期待リターンの低下は織り込んでいません。年3〜7%は過去実績ベースの想定で、将来を保証するものではなく元本割れもあり得ます。エンキャン側は公式サイト掲載の解約払戻金の実額(2026年6月1日現在)です。前章のIRRとそろえるため、保険側もNISA側も「各月の初めに払う」前提で統一しています。 なお、10年後の507万円は低解約払戻期間を経過した直後の金額です。同じ40歳でも払込満了を待たずに解約すれば354.4万円で、この表のどの数字よりも小さくなります。保険側の数字は「満了まで払い切れた場合」の話だという点は押さえておいてください。 注目してほしいのは、最も保守的な年3%想定でも、長期ではエンキャン(30年後の解約払戻金658万円)をNISA(992万円)が上回るという点です。楽観的な前提に頼らなくても、長期では差がつきやすい構造だということです。もちろんこの差は運用利回り次第で縮みますし、NISAには死亡保障がありません。次の章で、その死亡保障の中身を公式資料で確認します。 ...

2026年5月30日 · 最終更新: 2026年8月12日 · HIKO

第一生命「ステップジャンプ」は得か損か|NISAと比較して見えた3つの注意点

第一生命の「指数連動型年金ステップジャンプ」は、参照指数の動きに応じて年金原資が増える可能性があり、契約日から3年経過以後は払い込んだ保険料が保証される、と説明されている個人年金保険です。「NISAの値動きは怖いけれど、預金より増やしたい」という層に届きやすい建付けだといえます。裏を返すと3年経過前に解約した場合は払い込んだ保険料の累計額を下回ることがあり、「元本保証」といっても、いつから何が保証されるのかは分けて確認する必要があります。 本記事では「得か損か」を断定するのではなく、NISA・インデックス投信と並べたときにどこを見て選ぶかを、商品紹介ページだけでなくご契約のしおり・約款まで開いて整理します。契約前に押さえておきたい注意点は3つです。(1)参照指数はボラティリティを年率2%に抑える設計で、株式インデックスとは値動きの前提が違う、(2)指数が上がっても上昇率がそのまま乗るのではなく「連動率」を通る、(3)流動性が低く、費用の一部は水準が示されない。いずれも「入るな」という話ではなく、下値保証という安心の対価です。評判・口コミや運用成果が調べても出てこない理由も、後述の項目で個別に整理します。 平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界に10年身を置いたあと IT企業へ転職し、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。なお、当記事は商品の購入・契約を勧誘するものではなく、投資判断・契約判断は最終的にご自身の責任で行ってください。記事末尾の証券口座リンクにはアフィリエイトリンクを含みます。 結論:見るべきは「参照指数の中身」「保証の範囲」「コストの見えにくさ」の3点 指数連動型の個人年金保険を検討するとき、私が着目するのは次の3点です。 参照指数の中身:連動対象は「バーテックス マルチアセット指数(日本円)」で、指数名も月次の指数値も構成資産も公開されています。ただし値動きの大きさが年率2%になるよう調整される設計で、株式インデックスとは前提が違います 保証の範囲:上がった年は上昇率がそのまま乗るのではなく連動率を掛けた分が積み上がり、下がった年は上昇率0%扱いで減りません。払い込んだ保険料が保証されるのは契約日から3年経過以後です コストの見えにくさ:戦略控除率(指数値に対し1.0%)と指数手数料(想定元本の0.39%)は書面に明示されていますが、複製コストと解約時に差し引かれる額は水準が示されていません。信託報酬のように年率ひとつで並べられる形にはなっていません そのうえで私自身は、税優遇と低コストが明確な NISA とインデックス投信、それに勤め先の企業型DCを資産形成の中心に置いています。理由は記事の後半で書きます。 ステップジャンプ vs NISA 一目比較表 指数連動型個人年金(「ステップジャンプ」はその一例)と NISA インデックス投信を、主な観点で比べると次のようになります。記号は ◯(優れる・有利)/△(条件つき)/✕(弱い・不利)の目安で、優劣の断定ではありません。 観点指数連動型個人年金(例:ステップジャンプ)NISAインデックス投信元本保証◯(契約日から3年経過以後は払込保険料を保証)✕(元本割れリスクあり)期待リターン△(上昇率に連動率を掛けた分が積み上がる)◯(指数に概ね連動・値動きは大きい)流動性(換金しやすさ)✕(長期保有前提・途中解約は元本割れの可能性)◯(いつでも売却可)コストの透明性△(一部は明示・複製コスト等は水準非開示)◯(信託報酬が年率で明示・低コスト)税制メリット△(個人年金保険料控除など条件つき)◯(運用益が非課税) この表だけ見ると NISA 寄りに見えますが、元本割れを絶対に避けたい人にとっては◯と✕が入れ替わります。どちらが正解という話ではなく、何を最優先にするかで評価が変わる、という点が本質です。 ステップジャンプは「やめたほうがいい」「危険」な商品なのか 検索候補に「やめたほうがいい」「危険」「やばい」といった強い言葉が並びます。約款とご契約のしおりを読んだ限り、危険という一言で片づけるのは適切ではないというのが私の見方です。参照指数が下落した年の上昇率を0%として扱う設計は、リスクを抑える方向に働くからです。 にもかかわらず強い言葉が並ぶのは、次の3つが重なっているためだと考えています。 「元本保証」の射程が誤解されやすい:保証されるのは契約日から3年経過以後の払込保険料です。3年経過前に解約すると払込累計額を下回ることがあり、この線引きを知らないまま契約すると「話が違う」という受け止めになります 「指数連動」から株式指数並みの増え方を想像してしまう:参照指数は値動きの大きさを年率2%に抑えるよう調整される設計で、株式100%のインデックスとは前提が違います 増え方の計算が一段複雑:指数の上昇率に連動率を掛けた分が積み上がる仕組みで、その連動率は毎年変動します。仕組みを知らないまま「指数連動だから増える」と受け取ると、想定とのギャップが生まれます つまり危険というより、期待値の置き方を間違えるとがっかりしやすい商品だと整理できます。それぞれの中身はデメリット(注意点)と増え方の仕組みで詳しく書きます。 そのうえで、次に当てはまる人は相性がよくないと考えます。 途中で使う可能性があるお金を入れようとしている:流動性が低く、契約から所定の期間内の解約では所定の方法で計算した額が差し引かれます NISAの非課税枠がまだ余っている:コストの低さと運用益非課税を先に使い切るほうが、目的が同じ「老後資金づくり」なら整理しやすい場面が多いです 「指数連動」に株式インデックス並みのリターンを期待している:この期待のまま契約すると、実際の増え方との差にがっかりする可能性が高いです 逆に、機会損失より元本割れの不安のほうが大きく、値動きを自分で判断したくない人にとっては、選択肢として成立します。「やめたほうがいいか」は商品側ではなく、自分がどちらの不安をより避けたいかで決まる問いだと考えます。 「ステップジャンプ」の公式情報を整理する 第一生命「指数連動型年金ステップジャンプ」について、商品紹介ページとご契約のしおり・約款に書かれている内容を事実ベースで整理します。 項目公式記載の内容商品種類指数連動型個人年金保険(無配当)2024連動対象バーテックス マルチアセット指数(日本円)年金原資の構成基本年金原資(払い込んだ保険料の累計額)+指数連動年金原資の2階建て元本の扱い契約日から3年経過以後は、払い込んだ保険料が保証される3年経過前の解約払い込んだ保険料の累計額を下回ることがある年金総額の保証年金の総額として払込保険料の累計額を保証判定日年単位の契約応当日の前月1日(第1回は契約日から1年後の契約応当日の前月1日)契約年齢0歳〜74歳年金支払開始年齢10歳〜90歳払込期間5年〜50年払込方法月払・年一括払受取方法5年・10年・15年の確定年金(一括受取も可)税制個人年金保険料税制適格特約を付加すれば個人年金保険料控除の対象告知健康状態の告知不要 出典:第一生命「指数連動型年金ステップジャンプ」商品紹介ページ(https://www.dai-ichi-life.co.jp/promotion/stepjump/01/index.html /登録番号 C25P0403・2026年3月6日版)および「ご契約のしおり-約款(指数連動型個人年金保険(無配当)2024)」2024年1月版(https://dl-shiori.jp/shiori/no07/2401/07.pdf )。いずれも2026年8月12日に筆者確認。 押さえておきたいのは、払込保険料の累計額は保証される一方、それを超える増加分は参照指数の動きと連動率次第で確定しないという構造です。「下値は守りつつ、上振れを狙う」タイプの商品だと理解できます。なお第一生命の発売時リリースによれば、指数連動型の円建て平準払いの個人年金保険は生命保険業界初とのことです(2023年11月時点・第一生命調べ)。比較できる同型商品が少ないのは、このためでもあります。 第一生命ステップジャンプのメリット 公式情報をもとに整理できるメリットです。いずれも「こういう人には合いやすい」という相性の話です。 一定期間経過後は払込保険料が保証される:契約日から3年経過以後は払い込んだ保険料が下回らない設計とされており、「元本割れだけは避けたい」という人の心理的ハードルは下がります 指数が下がった年も指数連動年金原資が減らない:上昇率が0%未満になった場合は0%として扱われるため、下落した年は積み上がらないだけで目減りはしません 健康状態の告知が不要:持病などで医療保険・死亡保険に入りにくい人でも、貯蓄性の商品として検討の余地があります 自分で売買タイミングを判断しなくてよい:値動きに一喜一憂したくない人には精神的な負担が小さい設計です 個人年金保険料控除の対象になり得る:個人年金保険料税制適格特約を付加し所定の条件を満たせば、年末調整・確定申告で保険料控除を受けられます 第一生命ステップジャンプのデメリット(注意点) 一方で、契約前に押さえておきたい注意点です。「入るな」という話ではなく、比較検討の前に確認しておきたい弱みという位置づけです。 上昇率がそのまま乗るわけではない:指数が上がった年に反映されるのは、上昇率に連動率を掛けた分です。連動率は毎年変動するため、将来の分は契約時点では分かりません 参照指数が値動きを年率2%に抑える設計:株式インデックスのような増え方を前提にすると、期待が外れます 費用の一部は水準が示されない:戦略控除率(指数値に対し1.0%)と指数手数料(想定元本の0.39%)は書面にありますが、複製コストは水準を表示できないとされています 流動性が低い:長期保有が前提で、契約から所定の期間内に解約した場合は所定の方法で計算した額が差し引かれます。その期間と水準はしおりに記載がありません 税制メリットがNISAほど大きくない:NISAは運用益そのものが非課税ですが、個人年金保険の税優遇は保険料控除が中心で、条件や上限があります これらは商品の欠陥ではなく、下値保証という安心を得る代わりに生じる構造的な制約です。安心の対価として何を差し出しているのかを理解したうえで選ぶことが大切だと考えます。 第一生命ステップジャンプの運用実績・運用成果は公開されている? ここは切り分けが必要です。公開されているものと、公開されていないものが混ざっています。 種類公開状況参照指数の月次の値公開(2024年11月1日を100とした推移)参照指数の月次レポート公開契約日ごとに適用される運用利率公開(月次で更新)契約者が実際に受け取った年金原資の実績公開されていない契約条件別の実質利回り公開されていない つまり「参照指数がどう動いたか」は、契約者でなくても誰でも追えます。追えないのは、その指数の動きが、ある契約条件のもとで最終的にいくらの年金になったのかという部分です。連動率が毎年変動し、契約年齢・払込期間・払込方法によっても結果が変わるため、契約者ごとに答えが違う商品性でもあります。 インデックス投信であれば、基準価額の推移という1本の数字で過去の結果を確認できます。指数連動型の年金保険は、指数の推移までは確認できても、自分の条件での結果は設計書で個別に見るしかありません。ここが商品を評価するうえでの差になります。 第一生命ステップジャンプのシミュレーションで示された利率の目安 商品紹介ページのシミュレーション欄には、初年度の適用利率として年0.86%という数字が示されています。これを読むときの注意点が2つあります。 ...

2026年5月30日 · 最終更新: 2026年8月12日 · HIKO

ソーシャルレンディングの実績と損失|389万円11年で手取り+18,304円・バンカーズ全316本完結

※当記事にはアフィリエイトリンクを含みます。 2026年6月、私の口座で最後の案件まで償還が終わり、全316本の損益が確定しました。運用残高はゼロです。本記事は私の口座で起きた事実の最終確定・全記録です。 私の口座で起きた事実を、先にお伝えします。 389万円を11年運用した結果 項目金額投資元本(316本)3,890,000円税引前利益+122,653円源泉徴収-104,349円税引後利益+18,304円年率換算約0.04% 年利7〜12%で募集された商品群に389万円投じた結果、11年後の手取りは18,304円でした。 年利7〜12%の商品を316本買いましたが、結果として手取りは年率0.04%です。いまの預金金利にすら届いていません。 三井住友銀行の普通預金(標準金利)は年0.400%、スーパー定期1年は年0.500%です(出典: 三井住友銀行 円預金金利・2026年8月13日確認・いずれも税引前)。つまり同じお金を普通預金に置いていた場合の10分の1程度、という水準に着地しました。 金利がほぼゼロだった時期の感覚で「銀行預金並み」と言えた頃とは前提が変わっています。元本保証もなく流動性もない商品を11年持って、無リスクの預金に負けたというのがこの記録の結論です。 これは「ソーシャルレンディングは儲からない」という一般化された主張ではなく、私の口座で発生した実数の記録です。同じ商品・同じ時期に出資した別の方の結果は異なります。本記事は私の入出金CSV(316本・1423トランザクション)を全件集計したうえで、運用報告書の数字を引用しながら11年を振り返ったものです。 なお、融資型クラウドファンディングは元本保証のない金融商品です。本記事は特定の運営会社・商品・通貨を推奨または批判するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。 平成時代を生きた30代・夫婦二人暮らし(子どもなし)・川崎市在住・FP2級のHIKOが書いています。投資歴は2015年スタートで10年超。年収300万円台から投資を始め、青山商事で-310,960円・JTで+376,930円の成功と失敗を経験してきました。 11年運用の収支構造(内訳) 「税引後+18,304円」を分解すると、こうなります。 項目金額投資元本(316本)3,890,000円元本償還(戻ってきた元本)3,868,806円分配累計(マイナス分配=元本割れ償還も含む)143,847円源泉徴収-104,349円税引前損益+122,653円税引後損益+18,304円戻らなかった元本(焦げ付き確定4本)21,194円最終預託金残高(出金済み)27,876円 元本389万円のうち3,868,806円は無事に戻ってきました(99.5%)。減ったのは焦げ付きが確定した4本の21,194円ぶんで、これは最終的に戻りませんでした。そして元本に上乗せされた分配累計143,847円から源泉徴収104,349円が差し引かれ、結果として手取りは+18,304円でした。 11年運用の収支構造(円) 3868806円 元本償還 143847円 分配累計 -104349円 源泉徴収 18304円 税引後損益 元本はほぼ戻った(99.5%)が、分配で乗った3.7%を源泉徴収2.7%が削り、手取りは0.47%に着地 「99%の元本が戻り、分配で3.7%足され、税金で2.7%引かれて、手取り0.47%」というのが10年超の総括です。広告でよく見る「年率7〜10%」の表面利回りとは、ずいぶん違う数字に着地しました。 なぜ手取り0.04%に着地したのか|3つの構造要因 表面利回りと税引後手取りに大きな差が生まれた理由は、3つの構造要因があります。 1. 源泉徴収20.42%が利益のみから天引きされる 融資型クラウドファンディングの分配金は雑所得相当として、受け取り時点で20.42%が源泉徴収されます。 利益が出たファンドの分配金から源泉徴収104,349円が天引き 損失が出たファンドからは源泉は引かれない(そもそも分配がマイナス) 結果として、粗利122,653円に対して源泉徴収104,349円が発生 雑所得の課税関係は複雑で、確定申告での扱いは個別事情によります。詳細は税理士または税務署にご確認ください。本記事は私個人の口座で発生した数字の記録であり、税務上のアドバイスを目的としたものではありません。 2. 元本割れ案件が利益を相殺する 11年間に投じた316本のうち、一定数が元本割れで償還されました。元本割れした案件の損失分は、利益が出た案件の分配金とは自動通算されません(雑所得の通算可否は個別事情によります)。結果として「勝った案件の利益から源泉が引かれ、負けた案件の損失はそのまま手元の負担」という形で集計に反映されました。 3. 流動性がないため当初予定の3倍まで運用が延びることがある 融資型クラウドファンディングは償還日まで途中解約できません。後述する2026年5月22日同日償還の4本では、当初予定567〜750日が実際1,868〜2,112日(予定の2.6〜3.3倍)まで延びました。この間の機会費用は表面利回りに織り込まれていません。 ...

2026年5月21日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

日本生命「みらいのカタチ」のデメリットは?元保険屋FPが公式保険料で試算|10年更新で月4万円→7万円台になる可能性

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。年収300万円台で社会人生活を始め、保険業界で10年働いたあと IT 企業へ転職、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。本記事では、日本生命の主力商品「みらいのカタチ」を、30歳のモデルケースで検証します。 公式の数字と、私が置いた仮定を分けて書きます。 ・公式:パーツごとの保険料例(計算基準日つき)と商品ラインアップ。各表に出典を明記しています ・私の仮定:どのパーツをいくつ組み合わせるかというモデル構成、月4万円という世帯保険料の想定、そして解約返戻金の推移(商品ページにも、公開されている「ご契約のしおり-定款・約款」にも経過年数別の数値表がなく設計書でしか確認できないため、終身保険一般の水準を当てています) 実際の保険料・返戻金は契約年齢・性別・保険金額・型・特約の付加状況によって変わるため、最終判断は必ず設計書(個別見積もり)でご確認ください。 「みらいのカタチ」は複数の保障を自由に組み合わせる「組立型保険」です。営業職員の説明では「これ1本でライフプラン全部カバー」と紹介されることが多い商品ですが、本記事では (1) 公式の保険料例で組んだ世帯パッケージの月額、(2) 10年更新型パーツが更新でいくらになるか、(3) 終身保険パーツの払込総額と実質利回り、を中心に整理していきます。 結論:30歳モデルケースで見える4つの構造リスク 公式サイトの保険料例(2026年4月1日・5月1日 計算基準日)をそのまま足し算すると、次の4点が浮かび上がります。 合計額は自分で足し算しないと出てこない:公式サイトに載っているのはパーツごとの保険料例で、組み合わせた合計は設計書を見るまで分からない 10年更新型は30歳→50歳で2.2〜4.6倍になる:新3大疾病保障保険(500万円・男性)は月2,110円→9,690円。「契約時の保険料」は最初の10年だけの数字 終身保険は「貯蓄」だけで見ると効率を判断しにくい:300万円・65歳払込・30歳男性では累計保険料331.0万円。死亡保障という保険機能を含むため、払込総額と死亡保険金だけを比べて「損」とは判断できない 月4万円で始めた世帯は50代に月7万円台になる可能性がある:更新型パーツの比率がそのままなら、公式の保険料例が示す倍率で家計に効いてくる(月4万円は公式のプランではなく、本記事で置いた仮定です) ここから先は、公式の数字を1つずつ確認していきます。 「みらいのカタチ」の公式条件を整理する まず日本生命公式が示している商品概要です(2026年8月10日確認)。 項目内容商品名ニッセイ みらいのカタチ商品種類組立型保険(自由に選べる12種類の保険を組み合わせる)死亡保険終身保険/定期保険/生存給付金付定期保険がん・特定疾病保険新3大疾病保障保険(3大疾病3充マル)/がん医療保険/特定重度疾病保障保険身体障がい・介護保険生活サポートW(生活サポート保険)認知症保険認知症保障保険医療保険治療サポート保険(ぴたほ)/特定損傷保険個人年金・養老年金保険/養老保険保険期間・払込期間パーツごとに設定(終身保険は終身、定期保険・新3大疾病・治療サポートは10年更新などの有期を選択)解約返戻金パーツごとに異なる(終身・養老は累積、生活サポートWは公式サイトに「解約払戻金がありません」と明記)契約者配当5年ごと配当型あり(予定と実績の差の事後精算であり、額は変動する)生命保険料控除終身・定期は一般/医療・介護系は介護医療/年金パーツは個人年金(一定要件あり) 出典は日本生命公式「ニッセイ みらいのカタチとは?」(登録番号 日本25-8167、2026年3月23日)です。なお公式サイトの表記は解約払戻金ですが、本記事では一般的な呼び方に合わせて以下「解約返戻金」と書きます。 「組立型」の建付けは「12種類の中から必要なものを選んでひとつの契約にする」というシンプルな構造です。一方で、貯蓄性パーツ(終身・養老・年金)と掛け捨て型パーツ(定期・新3大疾病・治療サポート・生活サポートW)が同じ契約にまとまるため、解約返戻金や実質利回りをパーツ単位で見ないと「全体でいくら戻ってくるのか」が把握できません。 「みらいのカタチ」2026年改定で変わった点|治療サポート保険「ぴたほ」の新登場 公式サイトには、みらいのカタチの改定履歴が年表で掲載されています。2012年の初登場から、2018年・2020年(認知症)・2022年(3大疾病)・2024年(身体障がい・介護)と保障が追加され、直近は2026年に医療保障が刷新されました。 2026年4月2日から登場した「治療サポート保険(ぴたほ)」は、従来型の医療保険とは給付の考え方が違います。公式の説明を要約すると次の3点です。 入院中の療養・外来手術の給付金が、診療報酬点数に連動する(点数比例給付3円型・2円型・1円型から選択)。日額いくら、ではなく実際にかかった治療費に連動する設計 入院日数が1日・30日・60日・90日に達したときに一時金が出る(入院準備の費用や交通費など、入院費・手術費以外の出費に充てる想定) 先進医療・患者申出療養の技術料と同額の給付金(先進医療・患者申出療養給付あり型の場合)。加えて交通費・宿泊費に使えるサポート給付金が最大20万円 読者にとって重要なのは、この改定が既に加入している契約を書き換えるものではないという点です。生命保険の既契約は原則として契約時の保障内容と保険料率のまま継続し、新商品への切り替えは新たな契約になります。つまり切り替えると、そのときの年齢と健康状態で保険料が計算し直されます。「新しい医療保険が出たので入り直しませんか」という提案を受けたときは、いま払っている保険料と、切り替え後の保険料・保障内容を並べてから判断するのが順序です。 同時に押さえておきたいのは、この商品も10年更新型を選べる(公式の保険料例は10年更新・80歳満了)ということです。給付の設計が新しくなっても、更新のたびに保険料が上がる構造そのものは変わりません。 なぜ「みらいのカタチ」で保険料膨張が起きるのか みらいのカタチを検討する経路で多いのは「職場に来る営業職員から提案された」「親が長年契約していて勧められた」「結婚や出産のタイミングで相談した」というケースです。自分から保険ショップに足を運ばない層にも保障が届くという点で、この販売網には大きな価値があります。 一方で、組立型という仕組み自体が次のような行動を起こしやすくします。 提案されたパーツ構成を、保障の必要性と価格の妥当性に分けて検討しないまま受け入れる 「これ1本で安心」という説明から、貯蓄性パーツの実質利回りを確認しないまま長期契約に入る 結婚・出産のたびにパーツを追加し、世帯保険料が膨らんでも全体像を再点検しない 一つひとつのパーツは数千円なので、追加するときに大きな違和感が出ません。商品自体の良し悪し以前に、「自分の目的が死亡保障なのか、医療保障なのか、貯蓄なのか」を契約前に明文化することが、後悔を避ける一番の近道です。 世帯4万円ケース:30歳夫婦のモデルパッケージを見える化する ここからは公式の保険料例を使います。以下はすべて月払・口座振替扱で、終身・定期・新3大疾病は計算基準日2026年4月1日、治療サポート保険のみ2026年5月1日現在の数字です。 30歳夫婦のパッケージ例 パーツ(条件)夫(30歳男性)妻(30歳女性)終身保険 300万円・65歳払込7,881円7,737円定期保険 1,000万円・10年更新・65歳満了2,470円ー新3大疾病保障保険 500万円・10年更新・65歳満了・死亡保障100%型2,110円2,720円治療サポート保険 3円型・入院定額10万円・先進医療あり型・10年更新・80歳満了2,774円3,982円合計15,235円14,439円 世帯合計:月29,674円 夫15,235円+妻14,439円=世帯月額29,674円、年間で約36万円です。そしてこれは、公式サイトに保険料例が載っている4種類だけで組んだ場合の金額です。 実際の提案では、ここに生活サポートW(身体障がい・介護。公式の商品ページ名は「生活サポート保険」)、がん医療保険、年金保険などが加わります。このうち生活サポート保険には公式の保険料例があります。 生活サポート保険を足すと世帯いくらになるか 条件(生活サポート年金150万円・月払口座振替扱)30歳男性30歳女性歳満了年金(支払満了65歳)・保険期間および払込期間65歳まで・全期型4,106円3,365円年満了年金(支払期間10年)・保険期間および払込期間10年・更新型・払込/更新満了65歳1,904円1,655円 出典:日本生命「生活サポート保険」保険料例(計算基準日2026年4月1日・2026年8月12日確認) 全期型のほうを先ほどの4本に足すと、夫19,341円+妻17,804円で世帯月額37,145円になります。ここまではすべて公式の保険料例だけで組んだ数字です。 残るパーツのうち、がん医療保険と特定損傷保険の2つは公式サイトに保険料例の掲載がありません。年金保険は保険料例の代わりに簡易シミュレーションが用意されており、月5,000円・1万円・1万5,000円のプランから選ぶ形式です(払込満了65歳・年金開始65歳・保険期間75歳まで・10年確定年金/計算基準日2025年2月1日)。つまり年金保険は保険料を自分で決める設計で、月5,000円を足せば世帯は4万円を超えます。 「世帯月4万円前後」は、公式の保険料例5本で37,145円まで積み上がり、そこに年金保険の最小プランを足せば届く水準ということです。以前の版ではこれを根拠の薄い仮定として置いていましたが、公式値で裏づけられる範囲がここまで広がりました。 このパッケージのうち、貯蓄性として戻ってくるのは終身保険パーツの解約返戻金のみです。定期・新3大疾病・治療サポート・生活サポートWは掛け捨てで、生活サポートWについては公式サイトに「解約払戻金がありません」と明記されています。 なお、子育て期の死亡保障そのものは、掛け捨ての定期保険のほうが合理的なケースも多いです。本記事で問題視しているのは掛け捨てそのものではなく、必要保障額を超えてパーツを積み上げた結果、世帯固定費が膨張する構造のほうです。 更新型リスク:10年更新で保険料が倍増する構造 「みらいのカタチ」で最も語られにくいのが、10年更新型パーツの保険料上昇です。公式サイトには契約年齢別の保険料例が掲載されているので、推測に頼らずに確認できます。 更新型パーツの契約年齢別 保険料例(月払) パーツ(条件)性別30歳40歳50歳30歳→50歳定期保険 1,000万円・65歳満了男性2,470円3,510円5,920円2.4倍女性2,230円2,970円4,310円1.9倍新3大疾病保障保険 500万円・65歳満了男性2,110円4,145円9,690円4.6倍女性2,720円5,210円8,025円3.0倍治療サポート保険 3円型・80歳満了男性2,774円3,781円6,163円2.2倍女性3,982円3,959円5,068円1.3倍 公式の保険料例は「その年齢で新たに契約した場合」の金額であり、更新後の保険料は更新日の年齢と保険料率で計算されます。とはいえ同じ保障を10年ごとに買い直していく構造は同じなので、上昇の大きさを把握する目安になります。 ...

2026年5月17日 · 最終更新: 2026年8月12日 · HIKO

新ながいきくんは解約すべき?|かんぽの終身保険を返戻率とIRRで判断する手順

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界で10年働いたあと IT企業へ転職、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。 「新ながいきくん」を調べている方の多くは、これから加入を検討しているというより、すでに契約がある状態だと思います。自分が郵便局で勧められて入った、あるいは親が長年入っていて、そろそろどうするか決めたい。本記事はその前提で、解約すべきかどうかを判断する手順としてまとめました。 本記事の返戻率・IRRは、公式サイトの保険料例(2026年5月2日の保険料改定後)と、終身保険一般の解約返戻金水準を基にした概算試算です。実際の返戻金は契約年齢・性別・予定利率・契約者配当の有無・契約プランによって変動するため、最終判断は必ず設計書で確認してください。また本記事は特定の保険商品の加入・解約を勧めるものではありません。 結論:これは「入るかどうか」より「持っている契約をどうするか」の商品です 新ながいきくんは、払込終了まで25年・損益分岐点の到達まで30〜35年という時間軸を持つ商品です。この長さのために、判断の性質が他の貯蓄型保険と変わります。 これから入る人にとって:25年以上動かさない資金と、終身の死亡保障が要るという2つの条件が同時に揃わないかぎり、優先度は高くなりません すでに入っている人にとって:払い込んだ年数が長いほど返戻率は100%に近づいており、「今やめる」の損得は契約ごとに違います。一般論では決まりません つまり同じ商品でも、契約を持っているかどうかで見るべき数字がまったく別です。すでに契約がある方は、この先の試算より前に、次の章の3つの数字を手元で確認してください。そこで結論が出てしまうケースが多いためです。 郵便局で勧められて入っている人が多い背景 新ながいきくんの相談で多いのは「郵便局で勧められた」「親が長年入っている」「学資の流れで紹介された」というケースです。かんぽ生命が高齢層・親世代に支持されてきた理由は、商品設計そのものより販売チャネルの特性にあります。 全国の郵便局窓口で相談・手続きが完結する:銀行よりも店舗数が多く、地方でも徒歩圏でアクセスできる 対面で書面を見ながら手続きできる:オンライン中心の民間生保より、紙ベースで進めたい層には心理的ハードルが低い 長年の馴染みがある:親世代から数十年契約しているケースも多く、信頼が世代をまたいで継承されやすい 「公的」というイメージ:実際には2007年に民営化されていますが、郵政グループの一員という印象から安心感を抱きやすい このアクセスの良さは、内容を理解しにくい商品では大きな価値です。一方で、同じ理由から「貯蓄になる」という説明だけで終身保険を資産形成商品として受け取ったまま、契約が何十年も続いているケースも生まれます。 保険業界で働いていた頃の感覚としても、貯蓄目的と保障目的が本人の中で切り分けられないまま契約が続いている状況は珍しくありませんでした。この記事で確認したいのは商品の善し悪しではなく、その契約が今の自分の目的に合っているかどうかです。 新ながいきくんの型の違い|定額型・ばらんす型・おたのしみ型 「自分の契約がどの型か」で、これから起きることが変わります。契約内容のお知らせを見る前に、3つの型の違いを押さえておきます。公式の商品ページと約款に記載されている内容は次のとおりです。 型死亡保険金の額(約款第1条)加入年齢生存保険金定額型基準保険金額のまま一生涯15〜85歳なしばらんす型2倍払込期間満了前は基準保険金額、満了後は基準保険金額×50%15〜65歳なしばらんす型5倍払込期間満了前は基準保険金額、満了後は基準保険金額×20%15〜65歳なしおたのしみ型生存保険金を受け取るたびに減っていく15〜70歳払込期間満了時とその後5年ごとに、基準保険金額の20%を4回 保険金額はいずれも100万円〜1,000万円、どの型にも低解約返戻金プランがあります。出典:かんぽ生命「新ながいきくん」商品ページ(https://www.jp-life.japanpost.jp/products/syusin/nagaiki.html )および「普通終身保険(R07)(低解約返戻金型)普通保険約款」(令和8年5月2日制定・https://www.jp-life.japanpost.jp/products/clause/pdf/syusin/202605/ssn16.pdf )第1条。 ここで多くの解説記事が取り違えているのがばらんす型です。商品ページの「保険料払込期間中は保険料払込期間満了後の2倍/5倍」という説明を読むと、基準保険金額が満了後の額で、払込中だけ2倍・5倍に上乗せされているように見えます。しかし約款第1条を読むと逆で、基準保険金額は払込期間中の額です。5倍型なら、払込満了後の死亡保険金は基準保険金額の20%、つまり払込中の5分の1に下がります。倍率の関係は同じでも、証券に書かれた基準保険金額を「一生涯続く保障額」と読むと、満了後の保障を5倍に見誤ることになります。 ばらんす型とおたのしみ型は、払込満了を境に契約の性格が変わります。 ばらんす型は死亡保険金が50%または20%まで下がり、おたのしみ型は生存保険金を受け取るたびに死亡保障が減っていきます。「同じ保険料を払い終えたのに保障が下がった」と感じる場面は、この設計から生まれます。 払込満了・70歳前後で「このまま持ち続けるか」を考えるときの見方 払込満了が近づく時期、あるいは70歳前後で契約を見直したくなる方は多いです。これは気分の問題ではなく、上の表のとおりその前後で契約の中身が実際に変わるためです。型ごとに、変わる中身は次のように整理できます。 ばらんす型:払込満了で死亡保険金が下がります。約款第1条のとおり、2倍型は基準保険金額の50%、5倍型は20%です。5倍型なら払込中の5分の1になるので、「払い終えたら保障が5分の1」という前提で必要額を見直してください おたのしみ型:払込満了時から5年ごとに基準保険金額の20%を4回受け取ります。受け取るたびに死亡保障は減っていくので、「保障を残す契約」ではなく「分割で受け取っていく契約」に切り替わります 定額型:払込満了後も保障額は変わりません。変わるのは解約返戻率で、払込終了から年数が経つほど上がっていきます そのうえで判断の材料は、契約年齢にかかわらず最初に見る3つの数字に戻ります。払込が終わっているなら「あと何年か」の項目はクリアしているので、残るのは今の解約返戻率と、死亡保障が今も必要かどうかの2点です。 高齢期に入ってから特に効いてくるのは後者です。子どもが独立していて配偶者にも生活資金の目処がある場合、死亡保障の必要額は現役期より小さくなります。一方で、相続時にすぐ使える現金として死亡保険金を残したい、葬儀費用を家族に負担させたくないという目的があるなら、返戻率だけを見て解約する判断にはなりません。なお定額型は85歳まで加入できる商品なので、高齢期に新規で勧められることもあります。その場合は新規で加入を検討している場合の条件に当てはまるかで判断してください。 すでに契約がある人が最初に見る3つの数字 設計書または直近の「契約内容のお知らせ」を用意して、次の3点を確認してください。 ①払込済まであと何年か 払込終了に近いほど、解約返戻率は100%に近づいています。残り数年なら、払込終了まで続けてから改めて考えるほうが、途中でやめるより損失を抑えられる場合が多くなります。逆に契約直後から払込期間の前半は、返戻率が大きく100%を割っている時期です。 ②現在の解約返戻率が何%か 直近の解約返戻金 ÷ これまでの払込累計で出します。 返戻率60%前後:やめると4割が失われます。判断は慎重に 返戻率85〜95%:機会損失(他で運用していたらいくら増えていたか)との比較で考える局面です 返戻率100%超:損益分岐点を超えています。あとは保障が要るかどうかだけの問題になります ③死亡保障が本当に必要か 加入当時と今とで、家族構成・住宅ローン残債・配偶者の収入・貯蓄残高は変わっているはずです。団信や勤務先の弔慰金、収入保障保険ですでに手当てできている、子どもが独立した、配偶者に十分な資産がある。こうしたケースでは保障の優先度は下がっています。 この3つのうち②が100%を超えていて、かつ③が「不要」なら、続ける理由は基本的に残りません。逆に①が残りわずかなら、いったん払込終了まで持つほうが有利になりやすいです。 選択肢は解約だけではありません やめる方向で考える場合も、選べる手段は3つあります。 解約:返戻金を受け取って契約終了。残り期間が長く、保障の必要性も低いなら最有力候補 払済保険:以降の保険料払込をストップし、その時点の解約返戻金で「より少額の終身保険」に切り替えて継続。保障は減りますが、解約より資金拘束は軽くなります 減額:基準保険金額を一部減らして保険料を抑える。保障の一部だけ残したいときの中間策 「保障は少し残したいが保険料の負担は減らしたい」という場合、いきなり解約するより払済や減額のほうが目的に合うことがあります。いずれも保険会社に相談すれば手続きできますが、契約条件によって不利になる場合もあるため、手続き前に各選択肢のキャッシュフローと保障内容を書面で確認してください。 数字の裏付け:45年持ってもIRRは年0.5%程度です ここからは、判断の背景になる数字を確認します。公式サイトに載っている保険料例で計算します。前提は次のとおりです。 商品・プラン:定額型(低解約返戻金プラン) 契約:30歳男性・基準保険金額500万円・保険料払込期間55歳まで・口座払込み 月額保険料:13,900円(2026年5月2日の保険料改定後。改定前は16,100円) 払込期間:25年(30歳〜55歳) 払込総額:13,900円 × 12ヶ月 × 25年 = 4,170,000円 前提のうち見落としやすいのが、この保険料例が低解約返戻金プランのものである点です。通常のプランではありません。改定後の保険料は2026年5月2日現在のもので、契約の基準保険金額・加入年齢・性別によって変わります。 ...

2026年5月15日 · 最終更新: 2026年8月12日 · HIKO