ラクト・ジャパン(3139)の株主優待はカタログギフト|300株保有者が改悪の有無と必要株数を解説

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第6回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で保有している優待銘柄を1記事1銘柄で紹介してきた連載です。 ラクト・ジャパン(3139)は、チーズやバターなどの乳製品と、食肉・畜産物の原料を扱う食品専門商社です。株主優待として食品のカタログギフトがもらえる銘柄で、2025年に優待制度の変更がありました。私はこの株を300株保有しています。 この記事の結論 ラクト・ジャパンの優待は、2025年11月末基準から2年以上の継続保有が必須になり、100株で3,000円相当、300株で5,000円相当のカタログギフトです。優待利回りは0.5〜0.9%と大きくなく、投資リターンの本体は予想配当利回り3.79%のほうです。私は優待目的ではなく、アジア11カ国に展開する事業基盤と配当を本線として300株を保有しています。 なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 この記事で分かること ラクト・ジャパンの優待内容(カタログギフト・必要株数・継続保有条件) 100株・300株を新規で買うといくら必要か 2025年の優待変更は改悪か、拡充か 優待利回りと配当利回り、どちらが大きいか アジア展開という会社の強みと、財務・配当の実績 よくある質問(買い増し時の継続年数、貸株の扱いなど) ラクト・ジャパンの株主優待とは?内容と必要株数 ラクト・ジャパンの株主優待は、公式IRの株主優待ページで確認すると次のとおりです(出典:ラクト・ジャパン公式IR「株主優待」 https://www.lactojapan.com/ja/ir/about/benefit.html 、2026年8月13日確認)。 毎年11月30日現在で、普通株式100株以上を保有し、かつ2年以上継続して保有している株主が対象です。権利確定は年1回・11月末のみです。 コース保有株式数継続保有2年未満継続保有2年以上Aコース100株以上300株未満対象外カタログギフト3,000円相当Bコース300株以上対象外カタログギフト5,000円相当 継続保有2年以上の判定は、株主名簿の基準日である11月30日と5月31日の時点で該当株数を保有し、すべての基準日の株主名簿に同一株主番号で5回以上連続して記載されていることが条件です。連続記載の回数は、その株数(100株もしくは300株)を保有した時点からカウントされるため、100株から300株に買い増した場合、Bコースの継続カウントは300株にした時点から数え直しになります。 カタログの中身は、同社が選定した食品ギフトです。Aコース(3,000円相当)は三祐のチーズセット(パルミジャーノレジャーノ・デンマーククリームチーズ・ゴーダなど)、Peekabooの生乳ジェラート、町村農場のバターセット、マイスター山野井の焼豚とソーセージのスライスセットなど。Bコース(5,000円相当)はチーズ6種セット、キハチフードホールのアイスギフト12個、平田牧場の金華豚ローススライスとバラのしゃぶしゃぶセットなど、より充実したラインナップになります。優待品の代わりに、認定NPO法人セカンドハーベスト・ジャパンへの寄付を選ぶこともでき、発送時期は毎年2月末を目処です。 私自身、300株に買い増したのが最近のため、Bコースの継続保有2年以上の条件を満たすのはこれからで、まだ優待は受け取っていません。なお、優待の正確な内容・条件は改定されることがあります。実際に確認・申し込みをする際は、必ず公式IRをご自身でご確認ください。 100株・300株を新規で買うといくらかかる? 2026年7月8日時点の株価3,480円で確認すると、Aコースの対象になる最低ラインの100株を新規に取得するには約34万8,000円、Bコース(5,000円相当)になる300株なら約104万4,000円が必要です(出典:IR BANK ラクト・ジャパン https://irbank.net/3139 、2026年7月8日確認)。前述のとおり、買ってすぐ優待がもらえるわけではなく、2年以上の継続保有を満たして初めてカタログギフトが届く点には注意が必要です。 ラクト・ジャパンの優待は改悪された?2025年の変更内容 優待株を検討するときに気になるのが「過去に改悪・廃止はなかったか」だと思います。この連載でもKDDIや松風では実際に優待の変更がありました。ラクト・ジャパンも、2025年1月14日に優待制度の変更を開示しています(出典:ラクト・ジャパン「株主優待制度の変更に関するお知らせ」2025年1月14日開示)。基準日(11月30日)と進呈時期は変更されていません。 変更前(2024年11月末基準まで) 保有株式数継続保有3年未満継続保有3年以上100株以上クオカード1,000円分カタログギフト3,000円相当 変更後(2025年11月末基準から) コース保有株式数優待内容(2年以上保有)Aコース100株以上300株未満カタログギフト3,000円相当Bコース300株以上カタログギフト5,000円相当 会社が挙げている変更点は2つです。1つ目は、300株以上の区分(Bコース・5,000円相当)を新設し、まとまった株数を持つ株主への優待を拡充したこと。2つ目は、優待の対象になる継続保有期間を「3年以上」から「2年以上」に短縮したことです。 この変更は、改悪と拡充の両面があると私は見ています。拡充の面は、300株で5,000円相当という上位コースができたことと、上位優待に届くまでの期間が3年から2年に縮んだこと。一方で改悪の面は、以前は継続保有年数に関係なく100株を持っていればクオカード1,000円分がもらえたのが、変更後は2年未満だと一切対象外(ゼロ)になったことです。中長期で保有する株主に還元を寄せる方向の見直し、という整理ができます。 優待利回りと配当利回り、どちらが高い? 2026年7月8日時点の株価3,480円で優待利回りを単純計算すると、Aコースの100株(3,000円相当)は約0.86%、Bコースの300株(5,000円相当)は約0.48%です。金額が大きいBコースのほうが、必要な投資額が3倍になるぶん、優待利回り自体はむしろ下がります。 一方、同時点の予想配当利回りは3.79%です(出典:IR BANK ラクト・ジャパン https://irbank.net/3139 、2026年7月8日確認)。優待利回り(0.5〜0.9%)と比べて、配当利回りのほうがはるかに大きい数字です。ラクト・ジャパンでも、投資リターンの本体は配当であり、食品カタログの優待はそこに付いてくるおまけという位置づけだと考えています。 一目評価|私の見方 ここまでの内容を、私の主観で5段階評価にまとめると次のとおりです。あくまで私個人の見方であり、投資を推奨するものではありません。 項目評価根拠総合評価★★★☆☆優待も配当も突出はしないが、アジア展開を含めた事業基盤とのバランスは取れている優待★★★☆☆100株3,000円・300株5,000円相当のカタログ。2年継続保有が必須で優待利回りは0.5〜0.9%配当★★★★☆予想配当利回り3.79%、配当性向を16.1%(2021年11月期)から30.5%(2025年11月期)へ段階的に引き上げ財務★★★☆☆自己資本比率33%。商社型のビジネスで薄利だがROEは12.1%まで改善割安度★★★☆☆PER10.09倍(予)・PBR1.08倍で、極端な割安でも割高でもない長期保有★★★★☆優待は中長期保有者に還元を寄せる方向。売上は5年で+54%と成長 ラクト・ジャパンはどんな会社?海外事業の強みを解説 ラクト・ジャパンの営業利益率が2%台にとどまるのは、業績が悪いからではなく、原料を仕入れて売るトレーディング(商社)が事業の中心だからです。薄い利幅で大量にさばくビジネスモデルなので、利益率は構造的に低く出ます。 この会社の特徴は、海外事業の広さです。1998年の創業直後からシンガポールに駐在員事務所を開設し、現在はシンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピン・中国・米国・オーストラリア・オランダ・イタリア・日本の11カ国14拠点に展開しています(出典:ラクト・ジャパン公式サイト「グループ会社・拠点一覧」、2026年7月9日確認)。世界各国から調達した乳原料を、アジアの日系企業や現地食品メーカーに供給する事業が柱の1つです。 会社の決算説明資料によると、2024年11月期の事業部門別売上高構成比は、国内の乳原料・チーズ部門が66.8%、食肉食材部門が約12.8%、機能性食品原料部門が3.0%で、アジア事業(乳原料販売12.6%+チーズ製造販売3.3%)は合計15.9%(271億78百万円)を占めています(出典:ラクト・ジャパン「2024年11月期 決算説明資料」、2026年7月9日確認)。国内の乳原料・チーズ部門も海外から原料を調達しているため、実質的な海外関連の取引はこの数字以上に広がっていると考えられますが、確認できる開示ベースの数字としてはアジア事業単体で売上の約16%です。 売上高は2020年11月期の約1,108億円から2024年11月期の約1,709億円まで、5年で約54%伸びています(出典:IR BANK ラクト・ジャパン https://irbank.net/3139/kessan 、2026年7月8日確認)。世界各国から乳原料を調達し、アジアを含む販売ネットワークを拡大してきたことが、売上成長の背景にあると私は見ています。 ラクト・ジャパンの財務・配当・株価指標 数字を1つの表にまとめると次のとおりです(出典:IR BANK ラクト・ジャパン https://irbank.net/3139 、同/kessan、およびラクト・ジャパン「2024年11月期 決算説明資料」、いずれも2026年7月8〜9日確認)。 指標数値補足自己資本比率33.05%商社型で在庫・仕入れが大きく、極端に高くはない営業利益率2.61%(2024年11月期)薄利多売型の商社ビジネス営業利益額44.6億円(2024年11月期)2020年11月期29.6億円から5年で約1.5倍ROE12.1%(2024年11月期実績)前期比で大幅に改善、会社は今後もレベルアップを目指す方針営業キャッシュ・フロー+6.36億円(2024年11月期)運転資本が増加する中でもプラスを確保一株配当132円(2025年11月期実績)2026年11月期の予想も132円配当性向25.3%(2024年11月期)2025年11月期は30.5%、2026年11月期予想は38.2%株価3,480円(2026年7月8日時点)—PER10.09倍(予想)割高感は薄い水準PBR1.08倍解散価値をわずかに上回る予想配当利回り3.79%優待利回り(0.5〜0.9%)を大きく上回る ラクト・ジャパン(3139)の営業利益率の推移 2.67% 2020/11 2.51% 2021/11 2.02% 2022/11 2.01% 2023/11 2.61% 2024/11 営業利益率(%)の推移。2%前後で推移する薄利型の商社ビジネスですが、営業利益額そのものは5年で約1.5倍に伸びています。出典:IR BANK ラクト・ジャパン 業績 https://irbank.net/3139/kessan 配当は、公式IRの配当金推移で見ると次のように積み上がっています。 ...

2026年7月9日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

ニチリン(5184)の株主優待はクオカードからデジタルギフトへ|100株保有者が変更内容と必要株数を解説

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第5回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で保有している優待銘柄を1記事1銘柄で紹介してきた連載です。 ニチリン(5184)は、自動車やバイクのブレーキホース、住宅用の給水給湯配管などを手がけるゴムホース・配管部品の専門メーカーです。長らく株主優待としてクオカードがもらえる銘柄として知られてきましたが、2026年7月22日の開示で優待品目がデジタルギフトへ変更されました。私はこの株を100株保有しています。 この記事の結論 ニチリンの優待は、100株なら継続3年以上でも3,000円分にとどまり、優待利回りとしては大きくありません。2026年12月31日基準日分から品目がクオカードからデジタルギフトに変わりますが、金額・必要株数・継続保有条件は据え置きです。自己資本比率68.5%・予想配当利回り4.6%という財務と配当の実績があり、私なら、優待目的ではなく高配当株として今も100株を買う判断をします。優待はあくまでおまけです。 なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 この記事で分かること 2026年7月22日に発表された優待品目の変更内容(クオカード→デジタルギフト) ニチリンの優待内容(必要株数・継続保有条件・金額表) 100株を新規で買うといくら必要か・いつもらえるか 優待利回りと配当利回り、どちらが大きいか 財務・配当の実績と、今の株価4,130円で新規に買うか ニチリンの優待はクオカードからデジタルギフトへ変更(2026年7月22日開示) 先に、いちばん新しい変更点から書きます。 ニチリンは2026年7月22日、「株主優待制度の一部変更(優待品目の変更)に関するお知らせ」を開示し、従来のクオカードを廃止してデジタルギフトへ変更することを発表しました(出典:ニチリン「株主優待制度の一部変更(優待品目の変更)に関するお知らせ」2026年7月22日 https://f.irbank.net/pdf/20260722/140120260722597256.pdf 、2026年8月13日確認)。 変更されるのは品目だけです。開示に「優待品目以外の制度内容および判定基準に変更はございません」と明記されており、金額(100株なら1,000円分・3,000円分)・必要株数・継続保有の判定基準はそのままです 適用は2026年12月31日を基準日とする株主名簿からです 変更理由は「株主の皆様の利便性向上および優待品の選択肢拡大を図るため」と説明されています 交換先はPayPayポイント/Amazonギフトカード/EdyギフトID/dポイント/au PAY ギフトカード/QUOカード Pay/WAON POINT eギフト/Google Playギフトコード/Apple Gift Card/nanacoギフト/Pontaポイント コード/図書カードネットギフト/Uberギフトカード/ポイント@ギフト(Vポイント)の14種類です(今後変更の可能性ありと注記されています) なお、公式IRの株主優待ページでは「デジタルセレクトギフト」という名称で案内されています(出典:ニチリン公式IR「株主優待」 https://www.nichirin.co.jp/ir/ir03 、2026年8月13日確認)。本記事では開示文の表記に合わせて「デジタルギフト」と書きます。 金額が変わらないので優待利回りへの影響はありませんが、受け取り方が「郵送で届くカード」から「WEBで自分で選ぶ」に変わる点は実務的に大きな違いです。この点は次の章で整理します。 ニチリンの株主優待の内容|必要株数と金額表 ニチリンの株主優待は、公式IRの株主優待ページで確認すると次のとおりです(出典:ニチリン公式IR「株主優待」 https://www.nichirin.co.jp/ir/ir03 、2026年8月13日確認)。 毎年12月31日現在で、普通株式100株(1単元)以上を1年以上継続保有している株主が対象です。権利確定は年1回・12月末のみで、木徳神糧のような6月末・12月末の年2回基準ではありません。 金額は保有株数と継続保有年数に応じて変わります。公式IRの金額表を整理すると次のとおりです(2026年12月31日基準日分から、下表の品目はデジタルギフトになります)。 所有株式数継続1年未満継続1年以上3年未満継続3年以上100株以上なし1,000円分3,000円分1,000株以上なし2,000円分4,000円分5,000株以上なし3,000円分5,000円分 私が保有している100株の場合、継続1年未満は対象外、1年以上3年未満で1,000円分、3年以上で3,000円分がもらえる計算です。 継続保有の判定は、毎年6月30日および12月31日を基準日とする株主名簿に、同一株主番号で連続3回以上記載(1年以上3年未満の区分)、連続7回以上記載(3年以上の区分)で決まります。優待の権利確定日は12月末の年1回ですが、継続年数のカウントは6月・12月の年2回の基準日で数える仕組みです。 証券会社の貸株サービスを利用するなどして株主番号が変わった場合や、直近2回の基準日で保有株数が一度でも100株を下回った場合は、継続保有の対象外になります。いったん売って買い直すと、このカウントはリセットされます。 受け取りの流れと、見落とすと失効する期限 デジタルギフトへの変更にともない、受け取りの手順が公式ページに明記されました。 毎年3月下旬に発送される配当関係書類に「株主優待のご案内」が同封される 案内に沿ってWEB上で希望の品目を選択し、受取手続きをする 選択期限は毎年6月末日。過ぎると受取手続きができなくなる ここは注意が必要なところです。従来のクオカードは届いた時点で受け取りが完了しますが、デジタルギフトは自分で選ばないと受け取れません。しかも公式ページには「株主優待のご案内」について、住所変更や紛失などいかなる理由でも再送・再発行はしないと書かれています。配当関係書類を確認せずに置いておくと、そのまま失効します(出典:同上・ニチリン公式IR「株主優待」)。 (優待の正確な内容・条件は改定されることがあります。実際に確認・申し込みをする際は、必ずニチリンの公式IR・株主優待ページをご自身でご確認ください。) 100株を新規で買うといくら必要か 2026年7月3日時点の株価4,130円で確認すると、優待の対象になる最低ラインの100株を新規に取得するには、約41万3,000円が必要です(出典:IR BANK ニチリン https://irbank.net/5184 、2026年7月3日確認)。 ニチリンの優待変更は改悪か 優待株を検討するときに気になるのが「改悪・廃止はなかったか」だと思います。この連載でもKDDIや松風では実際に優待の変更がありました。 ニチリンについては、2026年7月22日の品目変更(クオカード→デジタルギフト)が確認できる変更です。この記事を最初に公開した2026年7月上旬の時点では変更を示す開示は見つかっておらず、その後に出た開示なので、内容を差し替えています。 これを改悪と見るかどうかは、受け取る側の事情によると考えています。私の整理は次のとおりです。 改悪ではない点:金額・必要株数・継続保有の判定基準はいずれも据え置きで、優待利回りは変わりません。交換先が14種類に増え、PayPayポイントやAmazonギフトカードなど普段使いしやすい選択肢が入りました 手間が増える点:受け取りにWEBでの選択手続きが必要になり、6月末日という期限が付きました。クオカードが届くのを待つだけで済んでいたころより、株主側の作業は増えます 人によっては後退になる点:クオカードは現物のカードとして手元に残り、コンビニや書店でそのまま使えました。デジタル前提のギフトに変わることを不便に感じる株主はいると思います 会社が挙げた理由は「株主の皆様の利便性向上および優待品の選択肢拡大」で、コスト削減や業績要因とは説明されていません。私は金額が据え置かれている点を重く見て、売る理由にはならないと判断しています。 なお、これは「今後も変わらない」ことを保証するものではありません。優待制度は会社の判断でいつでも見直される可能性があります。最新の状況は、購入・保有を検討する時点で必ず公式IRをご自身で確認してください。 優待利回りより配当利回りのほうが大きい 100株保有・継続3年以上でもらえる3,000円分を、投資額約41万3,000円に対する利回りとして単純計算すると、約0.73%です。継続1年以上3年未満の段階では約0.24%にとどまります。 一方、2026年7月3日時点の予想配当利回りは4.6%です(出典:IR BANK ニチリン https://irbank.net/5184 、2026年7月3日確認)。優待利回り(最大でも約0.73%)と比べて、配当利回りのほうがはるかに大きい数字です。ニチリンの場合、投資リターンの本体は配当であり、優待はそこに付いてくるおまけという位置づけだと考えています。 ...

2026年7月5日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

バンカーズを退会できなかった話|11年・389万円運用して分かった投資の出口問題

投資歴10年超のHIKOです。最初はクラウドクレジットで始め、現在はバンカーズで管理している融資型クラウドファンディングを退会しようとしたところ、その場では手続きできませんでした。その実体験を紹介します。 「もうこのサービスは使わないから退会しよう」。そう思って手続きを進めたら、その場では退会できませんでした。 なお、バンカーズでは口座を閉じる手続きを「退会」と呼びます。本記事では検索されやすい「解約」とも表記しますが、どちらも同じアカウントを閉じる手続きを指しています。 結論|取引があった年は退会できない 先に、この記事でいちばん伝えたいことを置いておきます。 結論:バンカーズは、預託金残高ゼロ・未償還ファンドなしでも、その年に分配や償還などの取引がある場合は退会できません。私の場合、預託金も未償還ファンドも残っていませんでしたが、その年に償還があったため退会できず、手続きできるのは取引のない翌年以降でした。「自分も残高ゼロなのになぜ退会できないの?」という疑問の答えは、この3つ目の条件にあります。 最初はクラウドクレジットで始めた融資型クラウドファンディングを長年続け、元本は累計389万円。私の集計では最終的な利益は税引後で18,304円でした。 投資を始めるときの口座開設の話はよく見かけますが、やめるときの段取りはあまり語られません。だからこそ、私が実際にバンカーズの退会でつまずいた体験を、事実ベースで残しておきます。退会条件の細部や、最終的な損益の中身は、このあと順番に見ていきます。 ※この記事は、私個人が利用した範囲での体験談です。退会条件はサービス側の運用や規約改定で変わる可能性があるため、実際に手続きする際は必ずバンカーズ公式の最新情報をご確認ください。投資判断・退会判断は自己責任でお願いします。 バンカーズの解約ができない|取引があった年は退会できなかった まず、私が実際につまずいた退会手続きの話からです。 新規の申し込みを止めても、すでに出資しているファンドは満期まで残ります。私の場合、ほとんどのファンドは償還が終わっていたので、「もう退会してアカウントを整理しよう」と考えました。 ところが、退会の手続きを進めようとしたところ、その場では手続きを完了できませんでした。マイページの「退会のお手続きを進める前に」という画面で止まったのです。 この画面には、退会の前提として3つの条件が示されていました。画面の説明文は「退会のお手続きにはお客様保護の観点から一定の条件を設けております。以下の項目がすべてOKの状態であれば、退会のお手続きに進むことができます」というものです。実際に表示された3条件と、私のときの状態は次のとおりでした。 退会の条件私のときの状態預託金残高が0円OK未償還のファンドがないOK本年中に取引をしていないNG 最初の2つはクリアしていました。預託金は出金済みで残高ゼロ、未償還のファンドも残っていません。引っかかったのは3つ目の「本年中に取引をしていない」で、画面には「お取り引きがあった年の退会はできません」と表示されていました。私はその年のうちに分配や償還を受け取っていたため、この条件を満たせず、退会の手続きには進めませんでした。 つまり、バンカーズの退会には「預託金残高ゼロ・未償還ファンドなし・本年中に取引なし」の3条件がすべて満たされている必要があり、私は最後のひとつでその年は退会できなかった、というわけです。 私のケースで確認できた「取引」と、一般的に考えられる範囲 私が画面で確認できたのは「本年中に取引をしていない」という条件文言だけで、行為ごとの細かい判定までは表示されていませんでした。そのうえで、一般的な考え方として整理すると次のようになります。 行為の例「取引」に含まれるか(一般的な考え方)ファンドの購入(出資)含まれると考えられる分配金の受け取り含まれると考えられる償還金の受け取り含まれると考えられるログイン・残高照会取引ではないと考えられる預託金の出金扱いは要確認 ※どの行為が「取引」に該当するかの正確な判定は、バンカーズ公式・問い合わせ窓口でご確認ください。上記はあくまで一般的な考え方を整理したもので、私が画面で確認できたのは「本年中に取引をしていない」という条件文言のみです。 なぜ取引があった年は退会できないのか。理由については、私が確認できた範囲では「お客様保護の観点から一定の条件を設けている」という説明のみでした。税務書類の発行や取引履歴の管理といった事情がある可能性はありますが、正確な理由はバンカーズへの確認が必要です。気になる方は問い合わせ窓口(マイページの問い合わせフォーム、または専用ダイヤル)で確認するのが確実です。 退会条件の細かい内容は、サービス側の運用や規約改定で変わる可能性があります。実際に手続きする際は、ご自身でバンカーズ公式の最新の案内をご確認ください。私が体験したのは「やめたいと思ったそのタイミングでは、すぐには退会できなかった」という事実と、その理由が画面上で3条件として明示されていた、ということです。 最初はクラウドクレジットで始めた|389万円運用して税引後+18,304円 なぜ私が「もう退会しよう」と思ったのか。それを説明するために、ここまでの経緯と成績を正直に出しておきます。 私がこの手のサービスを使い始めたのは、最初はクラウドクレジットというサービスでした。投資歴10年超(2015年スタート)のなかで、株式とは別にコツコツ続けてきたのがこの融資型クラウドファンディングです。新興国の事業者への融資など、聞き慣れない国の名前が並ぶファンドに、1本あたり1万〜2万円ずつ、気づけば300本超、最終的に316本に分散していました。その後サービスが統合され、現在はバンカーズの口座でこれらの履歴が管理されています。 少額でいろんな国に投資できるのは面白く、最初は「銀行預金よりはマシな利回りで回るのでは」という軽い気持ちで始めました。バンカーズ自体は、事業者にお金を貸し付けるファンドに出資し、その利息を分配として受け取る「融資型クラウドファンディング」のサービスです。1万円程度の少額から申し込めて、申し込んだあとは満期(償還)まで基本的にほったらかし、というのが特徴でした。 2026年5月時点で、マイページからダウンロードした入出金データを自分で集計した結果は次のとおりです。 項目金額投資元本(累計316本)3,890,000円税引前の損益+122,653円源泉徴収された税金約104,349円税引後の損益+18,304円 元本389万円を長年回して、手元に残った利益は税引後で約1万8千円。これは私自身が集計した実額です。途中で何度も資金を追加しながら回していたので単純な年率では言い切れませんが、私の入出金ベースで見ると、最終的な実感リターンは非常に低い結果になった、というのが正直な感想です。表面上の利回りは魅力的に見えても、税金と元本割れの分を差し引くと、最終的にはこの程度だった、というのが私の結論です。 通貨別の損益(私の集計・円換算) 96182円 タンザニア 42583円 メキシコ -48583円 円建て -21366円 ロシア 私のマイページ入出金データを2026年5月に自分で集計した実額。少額分散した新興国通貨建てはプラス、資金を集中させた円建てとロシアルーブル建てが全体の足を引っ張った。過去の実績であり、将来の成果を保証するものではありません。 通貨ごとに見ると、少額ずつ分散したタンザニアシリング建てやメキシコペソ建てはプラスで終えられました。一方で、資金の6割以上を集中させてしまった円建てファンドはマイナス。ロシアルーブル建ては為替の急落と回収の難しさが重なり、私の集計では2割近いマイナスでした。 同じ日にまとめて7本が満期を迎えたときには、その7本すべてが元本割れで返ってきて、合計で4万4千円ほどの損失が確定したこともありました。「分散しているから大丈夫」と思っていたものが、同時に揃って沈むこともある、と実感した出来事です。 こうした結果を見て、私は「自分にはこの商品は合わない」と判断し、新規の申し込みをやめ、最終的に退会することにしました。これはあくまで私個人の判断で、この商品が良い・悪いという話ではありません。少額分散で淡々と回せる人には向いている面もあると思います。私が続けてきた融資型クラウドファンディングの損益全体については、ソーシャルレンディングの実績と損失を11年分まとめた記事で全316本の数字を公開しています。 投資は「入口」より「出口」の段取りを先に調べておく 今回いちばん学んだのは、投資を始める前に「やめるときどうなるか」を調べておくことの大切さです。 新規の口座開設や、いくらから始められるかという入口の情報は、どのサービスでもたくさん用意されています。一方で、「途中でやめたくなったらすぐに資金を引き上げられるのか」「アカウントの退会はいつでもできるのか」といった出口の情報は、自分から探しにいかないと出てきません。 融資型クラウドファンディングの場合、出資したお金は満期(償還)まで原則として引き出せません。途中解約ができない設計のものが多く、満期が数年先のファンドに申し込めば、その間は資金が拘束されます。さらに私のケースのように、退会というアカウント自体の整理にも、タイミングの制約があることがあります。 私が次に同じような商品を検討するなら、最低でも次の3点は申し込み前に確認します。 確認したい項目なぜ大事か満期前に途中解約できるかできない場合、満期まで資金が拘束される退会(アカウント解約)の条件バンカーズの場合「預託金ゼロ・未償還なし・本年中の取引なし」の3条件があり、取引があった年は退会できない税金と手数料を引いた後の実質利回り表面の利回りと手取りは大きく違うことがある 特に3つ目は、私自身が元本389万円・税引後+18,304円という実績で痛感した点です。表面の利回りが高く見えても、源泉徴収や元本割れを引いた後に手元に残るお金で考えないと、実態を見誤ります。 バンカーズの解約・退会に関するよくある質問 私が体験した範囲で、退会まわりのよくある疑問に答えておきます。日数や細かい運用はサービス側で変わり得るため、確実なところは公式・問い合わせ窓口でご確認ください。 バンカーズは途中解約できますか? 私が出資していたファンドは、満期(償還)前に途中解約して資金を引き出す仕組みではありませんでした。融資型クラウドファンディングは、満期まで資金が拘束される設計のものが多く、満期が数年先のファンドに申し込めば、その間は引き出せないと考えておくのが安全です。最新の取り扱いは公式の各ファンド説明で確認してください。 なぜバンカーズは退会できないのですか? 正確には「退会できない」のではなく、「本年中に取引があった年は、その年内は退会手続きに進めない」という条件があります。私の場合、その年に分配や償還を受け取っていたため、3条件のうち「本年中に取引なし」を満たせず、退会できるのは取引のない翌年以降でした。理由については画面上で「お客様保護の観点から」という説明があったのみで、詳しい理由はバンカーズへの確認が必要です。 退会前にやっておくことは? 私が経験した3条件をふまえると、退会前にやっておきたいのは次の3つです。1つ目は、預託金(口座に残っているお金)を出金して残高をゼロにすること。2つ目は、未償還のファンドが残っていないかを確認すること。3つ目は、その年に分配や償還などの取引があると退会できないため、取引のない翌年以降にあらためて手続きすること。あわせて、年間取引報告書など税務に使う書類のダウンロードも済ませておくと安心です。 ...

2026年6月29日 · 最終更新: 2026年7月12日 · HIKO

木徳神糧(2700)の株主優待はお米5kg|優待目的だけでは買わない500株保有者の本音

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第4回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で保有している優待銘柄を1記事1銘柄で紹介してきた連載で、第1回はコナカと巴工業の比較、第2回はKDDIの優待変更、第3回は松風の優待変更でした。 木徳神糧(2700)の株主優待は、お米がもらえる銘柄として個人投資家に知られています。生活に直結するお米が現物で届く優待は、優待初心者にも分かりやすく人気があります。 この記事の結論 木徳神糧は、優待目的だけで買うならおすすめしない銘柄だと考えています。お米5kgの優待利回りは投資額に対して約0.5%にとどまり、財務も薄利のコメ卸という事業特性も、優待だけで持つには心もとないからです。一方で、お米の優待を楽しみながらコメ関連企業を長期で保有したい人にとっては、検討の余地がある銘柄という位置づけです。私自身が500株を保有している立場で、なぜそう考えるのかを一次情報で整理します。 なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 この記事で分かること 木徳神糧の優待内容(お米5kg・年2回基準と必要株数) 500株を新規で買うといくら必要か 過去に優待の改悪・廃止はあったか(一次情報で確認) お米の優待利回りと、薄利のコメ卸という事業・財務の中身 私が今も500株を保有している理由と、売る条件 今の株価1,790円で新規に買うかどうか 私は木徳神糧を500株保有しています。お米の優待が届くのは素直にうれしいのですが、私がこの株を持っている根拠は優待そのものではなく、コメ卸という事業の位置づけと、買った水準に対して株価が上がってきた結果です。この連載で取り上げてきた松風や巴工業のような「自己資本比率80%超の財務優良株」とは、まったくタイプの違う銘柄です。 木徳神糧は、年間でお茶碗およそ44億杯分のお米を扱う、国内大手のコメ卸売会社です(出典:木徳神糧 公式サイト https://www.kitoku-shinryo.co.jp/ 、2026年6月26日確認)。そのお米そのものが株主優待としてもらえるため、優待目当てで保有する個人投資家も多い銘柄です。まずは制度の中身を会社の一次情報で正確に整理していきます。 木徳神糧の株主優待はお米5kg|必要株数と権利確定月 木徳神糧の株主優待は、6月末と12月末の年2回に権利が確定します。基準日ごとに必要株数と内容が違うので、ここが少しややこしい部分です。木徳神糧の公式IR(株主優待ページ)で確認した内容を整理すると、次のとおりです。 12月末基準(500株以上) 保有株数・条件優待内容500株以上・継続保有3年未満5kg相当の米穀製品等500株以上・継続保有3年以上10kg相当の米穀製品等 12月末基準は 500株以上 が条件です。継続保有が3年以上になると、お米が5kgから10kgへ倍になります。発送は翌年3月頃です。 6月末基準(1,000株以上) 保有株数優待内容1,000株以上2,000株未満5kg相当の米穀製品等2,000株以上5kg相当の米穀製品等および切り餅750g×2袋 6月末基準は 1,000株以上 からが条件です。米穀製品の発送は10月頃、切り餅は12月中旬とされています。いずれの基準でも、米穀製品の受け取りに代えて社会貢献活動への寄付を選ぶこともできます。後述する2025年12月の表記見直し(金額→容量表記)は6月末基準も対象なので、公式ページの案内も上表のとおり容量表記に統一されています(出典:木徳神糧 公式IR「株主優待」 https://www.kitoku-shinryo.co.jp/ja/ir/stock/dividend2.html 、2026年8月13日確認)。 500株で受け取れるのは12月末の年1回ぶん 500株を保有していると、対象になるのは12月末基準のお米5kg(継続3年以上になれば10kg)です。一方、6月末基準は1,000株以上が条件なので、500株では対象外です。 「木徳神糧はお米がもらえる」とだけ覚えていると500株で年2回もらえる気がしてしまいますが、500株で受け取れるのは12月末基準の年1回ぶんだけで、年2回(6月・12月)の優待を狙うなら1,000株以上が必要です。 私(500株保有)の場合はどうなるか ここまでの「12月末は500株、6月末は1,000株」という必要株数は、2025年7月の株式分割を経た分割後の基準です(分割の経緯は次章で時系列にまとめます)。私はこの分割の前から保有しているので、自分の体験に引きつけて整理しておきます。 私は2024年12月5日に分割前の100株を取得し、現在は分割後の500株を持っています。したがって12月末基準のお米5kg(継続3年以上になれば10kg)が対象で、6月末基準(1,000株以上)は対象外です。買い付けた2024年12月時点は分割前で12月末基準の必要株数は100株でしたから、私は2024年12月31日の基準日で優待の対象になり、初めての優待をすでに受け取っています(当時の優待は容量表記ではなく「2,000円相当の米穀製品等」という金額表記でした)。 なお、優待品の「お米◯kg」という容量表記は、2025年12月に表記方法が見直されたものです。もともと「2,000円相当」「4,000円相当」と金額で表記していましたが、米価が大きく変動して金額表記が実態に合いにくくなったため、容量表記に改められました。見直しは6月末基準・12月末基準の両方が対象で、6月末基準の「4,000円相当(うち2,000円相当は切り餅)」も「5kg相当および切り餅750g 2袋」という表記に変わっています(出典:木徳神糧「株主優待制度の表記方法の見直しに関するお知らせ」2025年12月19日 https://f.irbank.net/pdf/20251219/140120251218521930.pdf 、2026年8月13日確認)。中身は従来どおりで表記だけの変更です。 私が保有を始めてからまだ継続保有3年以上の判定(連続7回)には届いていないため、いま受け取れるのは基準ランクのお米5kg相当で、10kgに増えるのはもう少し先です。継続保有3年以上の条件は、公式では「6月末日と12月末日の株主名簿において、変更後の保有株式数で換算して500株(5単元)以上の保有が同一株主番号で連続して7回以上記載または記録されていること」と定義されています。年2回の基準日で連続7回ですから、おおむね3年以上の継続保有が条件です。いったん売って買い直すと株主番号が変わり、このカウントはリセットされます。これは巴工業の「継続1年以上」と同じ考え方で、長期保有優待では一般的な条件です。 このカウントは株式分割をまたいでも途切れません。公式の条件文に「変更後の保有株式数で換算して500株(5単元)」とわざわざ書かれているのはそのためで、分割前から保有していた株主の連続保有期間は分割後もそのまま引き継がれます。私は分割前の2024年12月から保有しているので、このカウントは分割をまたいで進行しています。 (優待の正確な内容・条件・対象品目は改定されることがあります。実際に確認・申し込みをする際は、必ず木徳神糧の公式IR・株主優待ページと、当該の告知文をご自身でご確認ください。出典:木徳神糧 公式IR「株主優待制度の一部変更に関するお知らせ」2025年5月8日/「株主優待制度の表記方法の見直しに関するお知らせ」2025年12月19日、および公式IR 株主優待 https://www.kitoku-shinryo.co.jp/ja/ir/stock/dividend2.html 、2026年6月26日確認。) 木徳神糧の株主優待の変更履歴|廃止・改悪ではなく「拡充寄り」の変遷 この連載のテーマは「優待は変わる、だから優待だけで買ってはいけない」でした。KDDIも松風も過去に優待を変更しています。では木徳神糧はどうか。優待目的で入る人が気にする「過去に改悪・廃止があったか」を、公式IRの適時開示で一件ずつ確認しました。 結論を先に書くと、木徳神糧の優待は、廃止や大幅改悪ではなく、単元株式数の変更・株式分割・長期保有優遇の追加という、どちらかといえば拡充寄りの変遷をたどってきました。主なコーポレートアクションを時系列で並べると次のとおりです。 時期できごと内容(一次情報で確認)2018年7月1日株式併合+単元変更5株を1株に併合し、単元株式数を1,000株から100株に変更。あわせて優待基準を見直し、100株から優待がもらえる形に2024年12月31日基準〜優待内容見直し+長期保有優遇導入12月末基準で、それまでの「株数で金額が変わる方式」から「100株以上・継続3年で増える長期優遇方式」へ。3年未満2,000円相当/3年以上4,000円相当2025年7月1日1対5の株式分割1株を5株に分割。これに伴い優待の必要株数も5倍に調整(12月末は100株→500株など)。会社は「分割比率に基づく調整で実質的な変更はない」と明記2025年12月31日基準〜表記方法の見直し6月末基準・12月末基準の両方について、「2,000円相当・4,000円相当」という金額表記を「5kg相当・10kg相当」等の容量表記へ。中身は同じで表記だけ変更 出典:木徳神糧 公式IR適時開示「単元株式数の変更、株式併合および定款一部変更に関するお知らせ」2018年2月16日/「株主優待制度の変更(優待内容見直し及び長期保有優遇)に関するお知らせ」2024年10月24日/「株式分割及び株式分割に伴う定款の一部変更、配当予想の修正並びに株主優待制度の一部変更に関するお知らせ」2025年5月8日/「株主優待制度の表記方法の見直しに関するお知らせ」2025年12月19日(いずれも公式IRニュース https://www.kitoku-shinryo.co.jp/ja/ir/news.html 、2026年6月27日確認)。 この4つを通して見ると、木徳神糧は優待を「縮小」してきたのではなく、長く持つ株主を厚く扱う方向に組み替えてきたことが分かります。2018年に1,000株必要だった優待を100株から取れるよう間口を広げ、2024年に3年以上保有で金額が倍になる長期優遇を入れ、2025年の分割は買いやすくする狙いでした。 ただし、優待を取る側から見て見落としやすい点が一つあります。2025年の分割で、12月末基準の必要株数が100株から500株に上がったことです。分割前から100株を持っていた人は自動的に500株になるので不利益はありませんが、分割後にこの株を新しく買う人は、12月末のお米をもらうために500株が必要になります。2026年6月26日時点の株価1,790円なら約89万5,000円です。「昔は10万円台の100株でお米がもらえた」という分割前のイメージのまま100株だけ買うと優待の対象にならないので、ここは注意が必要です。分割によって1株あたりの株価は下がりましたが、優待の取得ラインが100株から500株に引き上げられたため、優待取得を目的とする新規投資家から見ると、必要資金はむしろ増えました。 私自身は、ちょうどこの分割の前、2024年12月に分割前の100株で入りました。間口が広かった最後の局面で入った形ですが、狙ってそうしたというより結果的にそうなったというのが正直なところです。 お米の優待利回りは魅力的に見えるが、ここに罠がある お米5kgの価値は、自分で相場を仮定しなくても会社の開示に参考価格が載っています。2025年12月19日の開示の注記には、「店頭における銘柄米の平均販売価格:4,546円(5kg、税込)(2025年11月17日週)」(参考:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/ksppos.pdf )と明記されています。切り餅750g 2袋についても「参考小売価格:約3,200円(2袋、税込)」と書かれています。 この4,546円を使って計算します。2026年6月26日時点の株価は1,790円で、500株なら投資額は約89万5,000円です(出典:IR BANK 木徳神糧 https://irbank.net/2700/per 、2026年6月26日確認)。優待利回りを単純計算すると、4,546円÷895,000円で約0.51%です。継続保有3年以上で10kgになれば約1.02%まで上がりますが、そこに到達するには年2回の基準日で連続7回、およそ3年の保有が必要です。 なお、この4,546円はあくまで会社が挙げた特定の週の全国平均販売価格です。米価は変動しますし、実際に届く米穀製品の小売価格と一致する保証もありません。優待利回りの分子はそもそも動く数字だと考えておくのが安全です。 ここで連載第1回で書いた「優待利回りの罠」が効いてきます。優待利回りは株価が下がるほど数字が良く見えますが、それは分母が小さくなっているだけです。約90万円を投じてもらえるお米が年1回5kgというのは、金額ベースで見れば決して高い利回りではありません。 つまり木徳神糧は「優待利回りでお得だから買う」銘柄ではない、というのが私の率直な見方です。お米が現物で届くうれしさは確かにありますが、利回りという数字で正当化できるほどの優待ではなく、持ち続けるかどうかは優待ではなく事業と株価の話になります。 私が見ているのは「コメ卸という事業」と買った水準 ここからが本題です。木徳神糧を持ち続けるかどうかの判断は、お米5kgではなく、事業の中身と財務の数字で決まります。 ...

2026年6月26日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

一時払い終身保険の予定利率2.25%引き上げは“買い時”か|元保険業界FPが見た41年ぶりの上げ幅

結論を先に言います。 一時払い終身保険の予定利率2.25%は「増やす商品」としてはおすすめしません。これは死亡保障と相続・資金の置き場所のための商品で、純粋に増やすならNISAが先です。一方、預貯金がすでに潤沢で、相続対策や確実に遺す手段がほしい人には役割があります。この記事は、退職金・相続の置き場所を考えている50〜60代の方、そして親世代の相談を受ける立場の30代に向けて、予定利率2.25%を実質利回り(IRR)の試算で冷静に見ていきます。 保険業界に10年、その後IT企業に転職したFP2級・投資歴10年超のHIKOが書いています。 2026年8月12日時点の予定利率(円建て一時払終身保険):住友生命 2.25%/朝日生命 1.75%/明治安田生命 15年プラン 2.42%・30年プラン 2.53%。このうち明治安田生命の2つは「契約日が2026年8月1日〜8月15日」に適用される利率で、8月16日には別の利率に入れ替わります(同社は毎月2回、1日と16日に設定し直す方式です)。適用される契約日の条件と、会社ごとに利率の決め方が違って単純な横比較ができない理由は、後半の一覧表と改定履歴で詳しく見ていきます。 ※本記事は特定の保険商品の加入・解約を勧めるものではありません。投資・保険の最終判断はご自身の責任で行ってください。記事中のIRR試算は一般的な前提を置いた試算例で、特定商品の確定値ではありません。 結論:予定利率の引き上げは事実だが「増やす目的」ならNISAが先 先に私の見方をまとめます。 予定利率が上がったのは事実で、契約者にとっては条件が良くなる方向の話です ただし一時払い終身保険は「お金を増やす商品」ではなく、「死亡保障」と「まとまった資金の置き場所・相続対策」のための商品です 純粋に資産を増やしたいなら、まず使うべき枠はNISA(と、会社員なら企業型DC・iDeCo)です 予定利率2.25%は「契約者が手にする実質利回り」とイコールではありません。保障や手数料のコストが乗るため、実際の利回りはそれより低くなります 「41年ぶり」という言葉に押されて慌てる必要はない、というのが私の立場です。順番に説明します。 報道された内容を整理する まず、事実を簡単に整理します。以下の数値はすべて住友生命の公表資料(「一時払終身保険の保険料率の改定について」2026年6月25日)が出典です。「41年ぶり」「28年ぶり」も報道の見立てではなく、同リリース末尾の「よくあるご質問」に書かれています(「1998年7月1日以来、28年ぶりの水準となります」「1985年4月2日以来、およそ41年ぶりの引上幅となります」)。2026年8月12日に同リリースを再確認しました。 項目内容会社住友生命対象一時払い終身保険予定利率1.75% → 2.25%上げ幅0.5%(41年ぶりの大きさ)2.25%という水準1998年以来、28年ぶり適用2026年7月1日の契約分から背景日銀の利上げなどによる国内金利の上昇 住友生命の公表資料には、保険料がどれくらい安くなるかの契約例も載っています。契約年齢60歳・保険金額1,000万円のケースで、男性は7,313,100円から6,631,900円へ(△9.3%)、女性は6,816,200円から6,051,500円へ(△11.2%)です。男性なら68万円ほど安くなる計算になります。 この改定は「スミセイのかんたん告知終身保険90」も同じく1.75%→2.25%で、契約年齢80歳・保険金額1,000万円なら男性が8,903,900円から8,405,500円へ(△5.6%)となっています。 予定利率が上がると、同じ保険金額を用意するために必要な保険料は下がります。だから「保険料が安くなる=条件が良くなる」というのは、その通りです。 この引き上げは2026年7月に実施済みで、動いているのは住友生命だけではありません。明治安田生命も2026年8月に平準払いの積立保険の予定利率を1.4%から1.6%へ引き上げており(読売新聞・2026年8月8日)、各社が同じ方向に動いている局面です。 一時払い終身保険の予定利率|2026年8月時点の各社一覧 円建ての一時払終身保険について、各社が公表している予定利率を並べると次のようになります。 会社・商品予定利率適用される契約日次に変わるタイミング住友生命 終身保険(一時払い)2.25%2026年7月1日以降次の改定リリースまで据え置き住友生命 スミセイのかんたん告知終身保険902.25%2026年7月1日以降次の改定リリースまで据え置き朝日生命 あさひの一時払終身1.75%2026年1月2日以降次の改定リリースまで据え置き明治安田生命 一時払終身保険(15年プラン)2.42%2026年8月1日〜8月15日2026年8月16日明治安田生命 一時払終身保険(30年プラン)2.53%2026年8月1日〜8月15日2026年8月16日 出典:住友生命「一時払終身保険の保険料率の改定について」(2026年6月25日リリース)、朝日生命 ニュースリリース一覧(2025年12月11日リリース)、明治安田生命「円貨建一時払商品に適用される予定利率」。数値は2026年8月12日に各社の公表ページで確認したものです。予定利率は改定されるため、契約を検討する際は必ず各社の最新ページをご確認ください。 ここで大事な注意点があります。同じ「一時払終身保険」でも、予定利率の決め方が会社によって違うということです。住友生命や朝日生命は改定のたびにニュースリリースで公表し、次の改定まで同じ利率が続きます。一方、明治安田生命の円貨建一時払商品は毎月2回(1日と16日)予定利率を設定し直す方式で、契約日が半月ずれるだけで利率が変わります。 しかも明治安田生命の場合、契約後もその利率がずっと続くわけではありません。同社のページには、15年プランなら契約日から15年ごと、30年プランなら30年ごとの「予定利率計算基準日」に利率を設定し直すと書かれています(最低保証予定利率は0.25%)。利率の決め方も公表されていて、15年プランは残存期間10年と20年の国債流通利回りの平均値、30年プランは残存期間20年の国債流通利回りに、所定の調整率を加減算して設定するとされています。表の2.42%・2.53%は「2026年8月前半に契約した場合の、最初の期間の利率」だと読んでください。 つまり、この表の数字を左から右に見比べて「明治安田が一番高いから有利」と判断することはできません。利率が高く見える商品は、そのぶん利率が動く前提の設計になっていたり、契約できる期間や条件が違ったりします。比べるなら、同じ日に、同じ年齢・同じ保険金額で、実際の設計書を並べる必要があります。 そして次の章で見るとおり、この表の数字はどれも「契約者が手にする利回り」そのものではありません。 予定利率の推移|住友生命の改定履歴で見る上昇ペース 「41年ぶりの上げ幅」という見出しだけでは、どれくらいのスピードで上がってきたのかが見えません。住友生命の「終身保険(一時払い)」について、公表されている改定履歴をたどると、こう動いています。 適用開始予定利率改定幅出典(住友生命リリース)2023年10月1日0.75% → 0.90%+0.15%2023年9月28日2023年11月1日0.90% → 1.00%+0.10%2023年10月30日2024年6月1日1.00% → 1.10%+0.10%2024年5月30日2024年8月1日1.10% → 1.25%+0.15%2024年7月30日2024年12月1日1.25% → 1.30%+0.05%2024年11月22日2025年7月1日1.30% → 1.75%+0.45%2025年6月30日2026年7月1日1.75% → 2.25%+0.50%2026年6月25日 出典欄のリンクは、いずれも住友生命のニュースリリース(PDF)です。2026年8月12日に全件を開いて予定利率の数値を確認しました。過去分は同社のニュース一覧から年度をさかのぼると辿れます。 2023年11月に1.00%へ上がってから、2年8か月で2.25%まで、1.25ポイント上がった計算です。目を引くのは1回あたりの上げ幅が大きくなっている点で、2024年中は0.05〜0.15%刻みだった改定が、2025年7月に0.45%、2026年7月に0.50%と一段跳ねています。 朝日生命の「あさひの一時払終身」も同じ方向で、2025年7月2日契約分から1.00%→1.25%、2026年1月2日契約分から1.25%→1.75%と、半年間隔で2回引き上げています。 この推移から、私が読み取っていることを2つ書きます。 1つ目は、改定は年に1〜2回のペースで起きているということです。今の水準は「たまたま今だけ高い」のではなく、金利上昇局面が続くあいだは動き続ける数字だと考えたほうが自然です。裏を返せば、「今月中に契約しないと損」と急ぐ理由も、そのぶん薄いということになります。銀行や保険の窓口で「今が過去最高水準です」と言われたときに、この表を思い出してもらえればと思います。 2つ目は、予定利率が1.25ポイント上がっても、契約者の実質利回りが同じだけ上がるわけではないということです。予定利率から死亡保障のコストと経費が引かれる構造は、利率が上がっても変わりません。次の章で、その差を数字で見ていきます。 ただ、ここで一度立ち止まりたいのです。この商品は、そもそも何のための商品なのでしょうか。 そもそも一時払い終身保険とは|「増やす」より「遺す・置く」商品 一時払い終身保険は、契約時に保険料をまとめて一括で支払う死亡保険です。月払いや年払いではなく、最初に何百万円〜という単位でドンと払い込みます。 特徴を整理すると、こうなります。 死亡保障が一生涯続く:被保険者が亡くなったとき、保険金が支払われます 払った保険料より保険金が大きくなる設計:例の60歳男性なら、約663万円を払って1,000万円の保障を確保するイメージです 解約返戻金が時間とともに増える:据え置くほど返戻金が払込額に近づき、やがて上回っていきます つまりこの商品は、「お金を増やすこと」よりも、まとまった資金に死亡保障という形を与えて、確実に遺す・置いておくことに主眼があります。実際、相続対策(生命保険の非課税枠の活用)や、退職金など使う予定のないまとまった資金の置き場所として語られることが多い商品です。 ...

2026年6月25日 · 最終更新: 2026年8月12日 · HIKO

松風(7979)の株主優待は改悪?200株保有者が変更内容と「売らない理由」を解説

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第3回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で私が実際に保有している優待銘柄を、1記事1銘柄で紹介していく連載です。第1回はコナカと巴工業の比較、第2回はKDDIの優待変更でした。 松風(7979)の株主優待は改悪なのか。2026年は優待が3回に分けて変更され、ネットでもそう問う声が出ています。 先に私の結論を書きます。私は松風を売っていません。理由は、私がこの株を持っている根拠が優待ではなく、歯科材料事業の成長性と配当だからです。優待品が1本差し替わろうと、ネイル製品の優待価格販売が廃止されても、私が見ている本線(業績・配当・財務)は変わっていません。だから一連の変更は、私にとって売る理由になりませんでした。詳しくは本文で、財務指標と「売る条件」もあわせて整理します。 なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 松風は歯科材料の会社で、株主優待として薬用歯磨などの自社製品がもらえることで個人投資家に知られています。その優待が、2025年12月22日・2026年6月3日・2026年8月5日と3回にわたって変わりました。発送時期の統一、提供品1本の差し替え、そしてネイル製品の優待価格販売の廃止と全国共通おこめ券の新設です。私は松風を200株保有し、優待品も受け取ってきた立場として、それぞれの変更内容を会社の一次情報で整理していきます。 松風の株主優待が2026年にどう変わったのか(変更内容) 松風の優待は、2025年12月から2026年8月にかけて3回に分けて変わっています。同じ「2026年の変更」でも、出どころも理由も別々の開示なので、時系列で分けて整理します。 変更前の制度 松風の公式IR(株主優待ページ)で確認できる、変更前の内容はおおむね次のとおりでした。 対象: 100株(1単元)以上を保有する株主 無償提供: 薬用歯磨など自社製品4本(合計4,000円・税抜相当)を、3月31日現在の株主へ発送 優待価格販売: 全株主を対象に、歯磨などの自社製品を優待価格で購入できる ネイル製品の優待価格販売: 9月30日現在の全株主が対象 長期保有条件: なし(保有年数による段階はありませんでした) ①2025年12月22日開示:無償提供品の発送時期を6月下旬へ統一 松風は2025年12月22日に「株主優待制度の一部変更に関するお知らせ」を開示し、自社製品の無償提供品の発送時期を5月下旬から6月下旬へ変更しました。理由は「株主優待制度の円滑な運営と品質向上に向け、運用面での効率化も考慮し」、優待価格販売の案内と発送時期をそろえるためと説明されています。あわせて、ハピカエースの価格改定にともなう優待価格の見直し(2,640円→4,257円)も行われています。適用は2026年3月31日現在の株主からです。 提供品の中身(4本・合計4,000円税抜相当)はこの開示では変わっていません。(出典:松風「株主優待制度の一部変更に関するお知らせ」2025年12月22日 https://f.irbank.net/pdf/20251222/140120251222523560.pdf 、2026年8月13日確認) ②2026年6月3日告知:提供品1本の差し替えと、購入上限の一時縮小 2026年6月3日付で会社が出した「株主様ご優待製品等の変更に関するお詫びとお知らせ」の内容は次のとおりです(出典:松風「株主様ご優待製品等の変更に関するお詫びとお知らせ」2026年6月3日 https://ssl4.eir-parts.net/doc/7979/ir_material4/279774/00.pdf 、2026年8月13日確認)。 無償提供品のうち「メルサージュ クリアジェル」1本が、薬用マウスウォッシュ「歯科用リステリン」(500ml)へ差し替えになった。あわせてセット合計額の表記は4,000円(税抜)相当から4,100円(税抜)相当へ増えている 優待価格販売の購入上限が2箱から1箱へ縮小された。ただし対象はメルサージュ系の6商品のみで、ピカ・ピカ泡クール・ハピカエース・プロフィーラ・デンタルマスクの上限は据え置き この告知は「2026年3月31日現在の株主様を対象にした株主優待制度」についての案内で、購入上限の縮小も「供給不安の状況を踏まえ」た措置として、この年の優待に対して示されたものです。 なお、この告知には発送時期の変更は含まれていません。告知の注記に「無償提供品の発送時期につきましては、2025年12月22日付の開示のとおり」と明記されており、5月下旬から6月下旬への変更は①の別開示・別理由(運営の効率化)です。供給不安と結びつけて読むと、因果関係を取り違えることになります。 ③2026年8月5日開示:ネイル優待の廃止と、全国共通おこめ券の新設 3つ目が、いちばん新しい制度変更です。松風は2026年8月5日に「株主優待制度の一部変更に関するお知らせ」を開示しました(出典:松風「株主優待制度の一部変更に関するお知らせ」2026年8月5日 https://f.irbank.net/pdf/20260805/140120260805509792.pdf 、2026年8月13日確認)。適用は2026年9月30日現在の株主名簿からです。 項目変更前変更後9月末基準の優待ネイル製品の優待価格販売(全株主)ネイル製品の優待価格販売は廃止。全国共通おこめ券を贈呈おこめ券の内容—100〜299株:2枚(880円相当)/300〜499株:4枚(1,760円相当)/500株〜:6枚(2,640円相当)。いずれも1年以上継続保有が条件優待価格販売の対象3月31日現在の全株主3月31日現在の1単元(100株)以上保有の株主プロフィーラ薬用ハミガキの優待価格3,696円3,960円3月末基準の自社製品提供—今回の変更の対象外・現行どおり継続 継続保有の判定は、3月31日と9月30日現在の株主名簿に、同一株主番号で100株以上の保有が連続3回以上記録されていることで行われます。おこめ券の発送は毎年11月下旬の予定です(出典:松風公式IR「株主優待」 https://www.shofu.co.jp/ir/stock/benefits/ 、2026年8月13日確認)。 会社が挙げた理由は「株主優待制度の継続的かつ安定的な運営を図るとともに、株主の皆様に中長期にわたり当社株式を保有いただける環境を整備するため」です。単元未満株主が優待価格販売から外れる一方、長期保有の株主にはおこめ券という新しい還元が加わる形で、長期保有へ重心を移す方向の変更だと私は読んでいます。私は200株保有なので、おこめ券は2枚(880円相当)が対象区分です。 (優待の正確な内容・条件・対象品目は改定されることがあります。実際に確認・申し込みをする際は、必ず松風の公式IR・株主優待ページと、当該の告知文をご自身でご確認ください。) 会社が挙げた変更理由は「株主数の増加」と「中東情勢」 ここで扱うのは、②の2026年6月3日のお詫び告知の理由です(①の発送時期変更と③の制度変更は、それぞれ別の理由が示されています)。 松風はお詫びの告知のなかで、変更の理由として「想定を上回る株主数の増加」と「中東情勢の影響による原材料等の供給不安」を挙げ、「一部優待製品の調達見通しが立たない状況」と説明しています。これは私の解釈ではなく、会社の告知文に書かれている内容です。 優待がもらえる会社の株主が増えること自体は、会社にとって悪い話ではありません。ただ、株主が増えれば、その人数分の優待品を用意するコストも増えます。そこに原材料の供給不安が重なれば、同じ条件のまま全員に配り続けるのが難しくなる、という事情は理解できます。 ここで大事なのは、これを「会社の経営が苦しいサイン」と読み違えないことだと思っています。今回の変更は、業績が悪化したからコストを削った、という話ではなく、株主数の増加と外部要因への対応として優待のかたちを調整した、というのが会社の説明です。原材料の供給不安は松風だけの問題ではなく、外部環境の話です。憶測で「経営がまずいから優待を削った」と決めつけるのは、フェアではないと考えています。 とはいえ、優待が縮小される方向の変更であることは事実です。だからこそ、この連載で繰り返してきた問いがまた効いてきます。「優待が縮小されても、この会社を持ち続けたいか」です。 「改悪」かどうかより、私が見ているのは業績・配当・財務 ここからが本題です。優待が縮小された「改悪」かどうかという議論はネットでも盛り上がりますが、私が松風を持ち続けるかどうかの判断は、優待ではなく業績・配当・財務の数字で決まります。私は松風を200株、取得単価のベースに対して含み益が出ている状態で保有していますが、その根拠は歯科材料分野で実績を積んできた事業のほうにあります。 業績:5年で売上約1.6倍、営業利益率は13%台へ 松風は売上を伸ばしてきた会社です。IR BANKで公開されている通期業績の推移は、おおまかに次のとおりです。 決算期売上高営業利益営業利益率営業CF2021年3月期247億円23.0億円9.3%28.3億円2022年3月期281億円32.2億円11.4%37.4億円2023年3月期317億円38.2億円12.1%31.7億円2024年3月期351億円47.1億円13.4%30.9億円2025年3月期387億円53.9億円13.9%34.5億円2026年3月期400億円52.3億円13.1%33.7億円 出典:IR BANK 松風 業績推移( https://irbank.net/7979/results 、2026年6月25日確認) 5年で売上は約1.6倍に伸び、営業利益率も9%台から13%台へ改善してきました。営業キャッシュフローも毎期30億円前後の黒字で安定しています。一方で直近の2026年3月期は、売上は過去最高を更新したものの営業利益は前の期(53.9億円)から52.3億円へ微減しました。ずっと右肩上がりが約束されているわけではありません。歯科材料は景気変動の影響を受けにくい面がある一方、海外売上比率や為替、今回のような原材料の供給環境にも左右されます。 財務:自己資本比率84%・ROE10%台と無理のない体質 私が優待株でいちばん安心材料にしているのが、財務の厚さです。IR BANKで確認した自己資本比率とROEの推移は次のとおりです。 決算期自己資本比率ROE2021年3月期79.4%5.6%2022年3月期80.5%7.8%2023年3月期80.8%8.9%2024年3月期82.7%8.8%2025年3月期85.2%10.1%2026年3月期84.1%10.1% 出典:IR BANK 松風 業績推移( https://irbank.net/7979/results 、2026年6月25日確認) 自己資本比率は一貫して80%前後と高く、借入に頼らない財務体質です。ROEも5.6%から10%台へ改善しており、自己資本が厚いままで資本効率も上がってきた形です。財務に余裕があることは、外部環境が荒れても配当や優待を急に切り詰めにくい、という意味で優待株では安心材料になります(もちろん将来を保証するものではありません)。 配当:2027年3月期予想は年67円へ増額、予想利回り約2.9% 配当の面では、松風は2024年10月に1株を2株にする株式分割を実施しています。分割の前後で1株あたりの配当金額の見え方が変わるので、推移を見るときは注意が必要です。IR BANKで確認した1株あたり年間配当金は、おおまかに次のとおりです。 ...

2026年6月24日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

2258はHYGの円版ではなかった|620株買った後に気づいた本当の違い

結論を先に書きます。2258はHYGの円版ではありません。連動指数もファンドの籍も異なる、日本籍の独立したETFです。この記事では、HYGの円版だと思い込んで620株買った私の実体験をもとに、両者の違いと、620株分の分配金実績(税引後の実額)を整理します。 「HYGを買いたい。でも米国ETFを買うのはちょっと面倒だな」 そう思っていた私が、東証で「2258 iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF」を見つけたとき、こう思い込みました。 「これはHYGの円で買える版だろう。中身は同じHYGだろう」 そしてNISAの成長投資枠で、2258を620株(取得単価228円・楽天証券)買いました。 ところが、あとで連動指数と目論見書を確認したら、2258はHYGそのものでも、HYGを箱に入れただけの商品でもありませんでした。連動する指数も、ファンドの籍も別物だったのです。 それでも結果として困らなかったのは、私が買いたかったのが「HYGという固有の商品」ではなく「米ドル建てハイイールド社債市場へのまとまった投資」という目的だったからです。名前やブランドの印象でETFを判断すると、別物をつかむことがある。それでも"目的"で投資していれば、ズレに気づいたときに困らない――この記事で本当に伝えたいのは、その一点です。「2258とHYGは何が違うのか」を、私の思い込み→検証→納得の順で整理しながら、ETF選びで名前に頼ることの危うさを共有します。 ※本記事は私個人の投資判断と整理の記録です。特定の商品の購入を勧めるものではありません。投資の最終判断はご自身でお願いします。 【思い込み】私は「2258=HYGそのもの」だと思って買った HYG(iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF)は、米ドル建てハイイールド社債(いわゆるジャンク債)にまとめて投資できる、世界的に有名なETFです。米国の高利回り社債に分散投資したい、という需要にぴったりの商品です。 私もそこに魅力を感じていました。ただ、米国ETFを買うとなると、円をドルに替えて、外国株式の口座で買って…と、ひと手間あります。 そんなときに東証の「2258 iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF」を見つけました。名前もiシェアーズ(HYGと同じブランド)で「米ドル建てハイイールド社債」。私はほとんど確認もせず、こう思い込みました。 「これはHYGの日本版だ。東証でHYGそのものを円で買えるんだ」 そしてNISAの成長投資枠で620株、取得単価228円で買いました。「HYGを円で買えた」という満足感さえありました。 【検証】毎月分配型ETFの買付制限を調べたのがきっかけで、別物だと気づいた 別物だと気づいたきっかけは、ハイイールド系ETFまわりの「分配のしくみ」を調べていたことでした。 ちょうどその頃、私は米国高配当ETFのHDVが四半期分配から毎月分配へ変更され、毎月分配型が新NISA成長投資枠の対象外になることで、楽天証券で買付注文が失効してしまう、という出来事を別記事で整理していました。詳しくは下のリンク記事にまとめています。 このとき「米国の高配当・高利回り系ETFは、分配のしくみや器の作りによって、NISAでの扱いまで変わってくるんだな」と実感したのです。そこで、自分が持っているハイイールド系の2258についても「これは本当にHYGと同じものなんだろうか?」と、改めて中身を確認する気になりました。 そして2258の連動指数と目論見書をきちんと確認したところ、自分の思い込みが間違っていたことに気づきました。2258はHYGそのものではなく、HYGを裏付けにした商品(いわゆるJDR)でもなかったのです。 あわせて読みたい:毎月分配型がNISA対象外な理由|HDV毎月分配化と楽天証券の買付失効を30代FPが解説 連動している指数が違う ETFは「どの指数に連動するか」で中身が決まります。ここが両者で違いました。 2258(iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF)HYG(iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF)上場市場東京証券取引所米国(NYSE Arca)ファンドの籍日本籍の独立したETF米国籍のETF連動指数ICE BofA US ハイ・イールド・コンストレインド・インデックスiBoxx USD リキッド・ハイイールド指数(iBoxx USD Liquid High Yield Index)通貨円で売買・投資対象はドル建て資産ドル建て経費率(信託報酬)年0.209%(税込)0.49%(目論見書記載値)流動性低め(規模が小さく歴史も浅い)非常に高い(世界最大級・取引活発)向いている人日本居住で円のまま管理したい人ドル資産・海外ETFの口座を使う人 連動する指数の名前からして違います。どちらも「米ドル建てのハイイールド社債をまとめて買う」指数ではありますが、組み入れ銘柄・残存期間・格付け構成・セクター比率などの細かいルールが違う、別の指数です。 なお、HYGの連動指数は、以前は「Markit iBoxx USD リキッド・ハイイールド指数」と表記されていましたが、現在の運用会社の商品ページでは指数名からMarkitが外れ、「iBoxx USD Liquid High Yield Index」と表記されています(出典:iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF 商品ページ https://www.ishares.com/us/products/239565/ishares-iboxx-high-yield-corporate-bond-etf 、2026年8月13日確認)。古い解説記事では旧表記のまま書かれていることがあります。 ...

2026年6月20日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

KDDI優待は改悪?2025年変更後の内容を200株保有者が解説|Pontaポイントも選択可能

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第2回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で私が実際に保有している優待銘柄を、1記事1銘柄で紹介していく連載です。第1回はコナカと巴工業の比較でした。 KDDI(9433)の株主優待が2025年に変わりました。 ネットでは「KDDI優待は改悪された」という声も見かけます。長年もらえていたカタログギフトがなくなり、内容が変わったのですから、そう感じる人がいるのも自然です。 私はKDDIを200株、長期間保有しています。配当も優待も受け取り続けてきた立場として、変更後の優待が実際どうなったのか、そして「改悪」と言われる中で私がそれでも持ち続けている理由を、配当や業績の数字とあわせて正直に整理します。 なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 KDDI優待は2025年にどう変わったのか(変更後の内容) まず、変更後の優待内容を整理します。KDDIの公式IR(株主優待ページ)で確認した、現行制度の内容は次のとおりです。 対象: 200株以上を保有する株主 1年以上5年未満の保有: 2,000円相当 5年以上の保有: 3,000円相当 そのうえで、受け取る内容を次の中から選べる形になっています。 Pontaポイント(au PAY マーケット限定のPontaポイントとして使うと1.5倍に増量できる選択肢あり) ローソン・成城石井の商品セット(お菓子、発泡酒、レトルト食品、コーヒー、ワインなどから選ぶ形) 寄付(優待相当額を社会貢献活動団体へ寄付) 以前のような「カタログギフトから商品を1つ選ぶ」形から、Pontaポイント・商品セット・寄付のいずれかを選ぶ形に整理された、という変化です。日常的にau PAYやPontaを使っている人なら、ポイントで受け取れる選択肢はむしろ使い勝手が良いと感じるかもしれません。 なお保有期間は、同一株主番号で3月31日の株主名簿に連続して記録されている年数で判定されます。証券会社の変更や相続などで株主番号が変わると、保有期間がリセットされて対象から外れる場合がある、という点は公式でも注意喚起されています。長期保有区分を狙うなら、口座をむやみに移さないほうが無難です。 (優待の正確な内容・条件は改定されることがあります。実際に確認・申し込みをする際は、必ずKDDIの公式IR・株主優待ページで最新の情報をご確認ください。) 株数基準は「200株以上」。2025年4月の株式分割もあわせて押さえる 優待を考えるうえで、もう一つ押さえておきたいのが株式分割です。 KDDIは2025年4月1日に、1株を2株にする株式分割を実施しています。つまり、分割前に100株を持っていた人は、分割後には自動的に200株になります。 現行の優待基準は200株以上です。分割前の株価でいきなり200株を買うのはハードルが高かったところもありますが、分割によって1株あたりの株価が下がり、新たに買う人にとっても株数を揃えやすくなったという面はあります。 ここで「100株だと優待がもらえないのか」が気になる人もいると思います。私が公式IRを確認した範囲では、現行の優待基準は200株以上という記載で、分割前100株保有者への経過措置について特別な記載は見当たりませんでした。ただ、分割前から100株を持っていた人は分割で自動的に200株になっているため、その時点で現行基準を満たしている、という整理になります。これから新しく買う人は、200株を意識して株数を揃える必要がある、ということです。 繰り返しになりますが、株数の基準や経過措置の有無は制度改定で変わり得ます。最終的な条件は必ず公式の株主優待ページでご確認ください。 「改悪」と言われても私が売らない理由は、優待ではなく配当と業績 ここからが本題です。優待が変わったいま、私がKDDIを売らずに持ち続けている理由は、結局のところ優待ではありません。 私はKDDIを、優待目的というより、安定した配当と業績を期待して長期で保有してきました。優待は、第1回でも書いたとおり「最後のひと押し」であって、保有を決める主役ではありません。 私の保有実績で見ると、KDDIは取得単価ベースに対して株価が大きく育ち、含み益も配当も両方を稼いでくれている主力銘柄の一つです。旧NISA時代から持ち続けてきた銘柄で、長期保有区分の3,000円相当の優待を受け取れる年数にもなっています。 配当の面でも、KDDIは長く増配を続けてきた会社として知られています。参考までに、IR BANKなどで公開されている1株あたり配当金の推移を、2025年4月の株式分割を考慮した「分割後換算」に統一して並べると、おおまかに次のようになります。 決算期年間配当(分割考慮後換算)2021年3月期60円相当2022年3月期62.5円相当2023年3月期67.5円相当2024年3月期70円相当2025年3月期72.5円相当 (出典: IR BANK。分割前の表示額を、2025年4月の1:2分割にあわせて半額換算した参考値です。実際の支払額・1株配当は各期の正式発表をご確認ください。) 分割後換算でそろえると、2026年3月期に予想される配当(分割後ベースのおおよそ80円相当)と地続きで、毎年少しずつ配当が積み上がってきたことが見て取れます。優待が2,000円から3,000円に変わったかどうか以上に、この配当の積み上がりのほうが、私にとっては持ち続ける根拠として大きいというのが正直なところです。 もちろん、通信業界にも価格競争や規制、設備投資といったリスクはあります。増配がこの先も続く保証はありません。あくまで過去の実績がこうだった、という話として読んでください。 優待が変わったとき、売るかどうかをどう考えたか 優待の内容が変わると、「改悪されたから売ろうか」という気持ちになることがあります。私もニュースを見たときは、一瞬そう思いました。 でも、自分の保有理由に立ち返ったとき、私がKDDIを持っている主な理由は配当と業績であって、優待ではありませんでした。だとすれば、優待がカタログからPontaポイントや商品セットに変わったこと自体は、売る理由にはならない、と整理できました。 逆に言えば、もし「優待だけ」が目当てで持っていたら、変更のたびに揺さぶられていたと思います。第1回のコナカで痛感したのは、まさにこれでした。優待目的で買った株が塩漬けになり、優待の魅力だけでは下落に耐えられなかったのです。 だから私は、優待つきの株でも「優待がなくなっても持ち続けられるか」を基準にするようにしています。KDDIは、優待がどう変わっても配当と業績で持てる、と判断しているので売っていません。これはあくまで私個人の判断であり、同じ判断をすすめるものではありません。 まとめ:優待は「最後のひと押し」、本線は配当・業績・財務 ここまでをまとめます。 KDDIの株主優待は2025年に変更され、現行は200株以上が対象。1年以上5年未満で2,000円相当、5年以上で3,000円相当 受け取り方はPontaポイント・商品セット・寄付から選ぶ形になった 2025年4月1日に1:2の株式分割があり、分割前に100株を持っていた人は分割後に200株になっている 私が売らない理由は優待ではなく、長く積み上がってきた配当と業績。優待はあくまで「最後のひと押し」 「優待が改悪されたから売る」ではなく、「この会社を優待抜きで持ち続けたいか」で考える——これが、コナカでの失敗を経た私の今の基準です。 KDDIのような大型株でも、私が買う前に見ているのは優待ではなく、配当・業績・財務です。優待は判断材料の最後に置いています。そうした個別株や配当の管理、NISAまで含めて、私は2015年からずっと楽天証券を1つの口座にまとめて使っています。10年超使ってきて、今もメイン口座にしている証券会社です。 楽天証券で口座を開設する 私が10年超使っているメイン口座。優待株を含む個別株もNISAも1つの口座で管理できます。 楽天証券の口座開設はこちら(無料) → ※TGアフィリエイトのリンクを使用しています。口座開設の判断はご自身でご確認ください。 なお、本記事は私個人の保有実績と考え方の整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。優待・配当の内容は改定されることがあり、最終的な条件は必ずKDDIの公式IRでご確認ください。株式投資には価格変動リスクがあり、投資判断はご自身の責任でお願いします。 連載「ラスト一押しの株主優待」 業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる、という順番で私が保有している優待銘柄を1記事1銘柄で紹介していくシリーズです。 第1回:コナカと巴工業——優待で買って失敗した株と、業績で買って優待がついてきた株 第2回:KDDI(9433)の優待変更と、それでも持ち続けている理由(本記事) 第3回:松風(7979)の優待変更と、それでも持ち続けている理由 第4回:木徳神糧(2700)のお米の優待と、薄利のコメ卸を持ち続けている理由 第5回:ニチリン(5184)のデジタルギフト優待と、財務が厚い会社を持ち続けている理由 第6回:ラクト・ジャパン(3139)の食品カタログ優待と、アジア展開する食品商社を持ち続けている理由 第7回:アサックス(8772)のクオカード優待と、不動産担保ローンで稼ぐ会社の中身 第8回:ネオジャパン(3921)の廃止された優待と、増配で報われた成長株を持ち続けている理由

2026年6月20日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

毎月分配型がNISA対象外な理由|HDV毎月分配化と楽天証券の買付失効を30代FPが解説

「HDVはNISAから除外されたのか」という疑問に、先に答えます。HDVは2026年6月に四半期分配から毎月分配へ変更されたことで、新NISA成長投資枠の対象外になりました。新規の買付はできなくなりましたが、既にNISAで保有している分は非課税のまま持ち続けられますし、強制売却もされていません。 「毎月分配型はNISA対象外」というルールが、2026年6月、米国高配当株ETFの代表格HDVを巻き込む形で具体的な影響を出しました。本記事では、この出来事を題材に、なぜ毎月分配型が新NISA成長投資枠の対象外なのか、そして既にHDVを保有している人がとるべき選択肢を整理します。 なお投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。本記事は一般的な制度解説であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 毎月分配型がNISA対象外になった理由を先に押さえる 結論から書きます。新NISAの成長投資枠は、制度として「毎月分配型」を対象外と定めています。投資信託でもETFでも、分配を毎月行うタイプは成長投資枠で買えません。 これは金融庁が成長投資枠の対象商品に設けた除外要件のひとつです。金融庁は成長投資枠から外れるものとして、整理・監理銘柄と、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等(いわゆる高レバレッジ型)を挙げています。長期の資産形成にそぐわない商品性を、制度の入口で外しているわけです(出所: 金融庁「NISAを知る」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/ )。 つまり「毎月分配型はNISA対象外」は、今回のHDVに限った話ではなく、NISA制度そのものの設計思想です。HDVはたまたま、四半期分配だったものが毎月分配に変わったことで、この除外要件に新しく該当してしまった、という構図になります。 何が起きたのか|HDVの毎月分配化と楽天証券の買付失効 時系列で整理します。 時点出来事2026年6月16日付運用会社ブラックロックがHDVの分配頻度を四半期分配(年4回)から毎月分配(年12回)へ変更変更後HDVが新NISA成長投資枠の対象外商品に該当同日楽天証券がHDVの全買付注文(成長投資枠・特定・一般を問わず)を失効処理2026年7月15日毎月分配化後の最初の分配(Ex-Date。1口0.087389ドル。直前の6月15日は0.185049ドル) 出所はブラックロック/iSharesのファンドページの分配履歴です。2026年8月13日に再確認した時点でも Distribution Frequency は Monthly のままで、毎月分配への変更は実施済みです(出典: iShares Core High Dividend ETF)。 ここで押さえておきたいのは、楽天証券が失効させたのは「買付注文」だという点です。すでに保有しているHDVが強制的に売られたわけではありません。今後はHDVを新規に発注できない、というのが実務上の変更点です。 毎月分配型の3つの罠|FP視点で見る商品性 「毎月お金が振り込まれる」と聞くと魅力的に感じますが、毎月分配型が長期の資産形成に向かないと言われるのには理由があります。FP2級の勉強でも、毎月分配型は典型的な「注意して見るべき商品」として扱われます。一般論として、以下の3点が指摘されます。 1. 元本払い戻し(タコ足配当)が起こりやすい 毎月分配型は、運用で得た収益が足りない月でも分配を続けるために、元本の一部を取り崩して払い戻すことがあります。これがいわゆる「タコ足配当」です。受け取った分配金の一部が、実は自分が出したお金の払い戻しだった、というケースが起こり得ます。この場合、見かけの分配金額が高くても、資産が増えているとは限りません。 2. 複利の効果が削がれる 資産形成の力の源泉は複利です。分配せずに再投資し続けたほうが、長期では雪だるま式に増えやすくなります。毎月分配で資金を外に出してしまうと、その分が再投資に回らず、複利が効きにくくなります。受け取った分配金を自分で再投資すればよいという考え方もありますが、手間とタイミングの問題が残ります。 3. 課税の非効率(NISA外の場合) 課税口座で毎月分配型を持つと、分配のたびに課税対象が発生し得ます。年4回より年12回のほうが課税イベントの頻度が上がります。NISA枠内なら非課税ですが、毎月分配型は成長投資枠で買えないため、新規でNISAの非課税メリットを受けながら毎月分配型を持つ、という選択肢が制度上とれません。 これらは毎月分配型という商品カテゴリ一般の特徴であり、HDVが今後そうなると断定するものではありません。ただ、制度がこのカテゴリを長期投資の枠から外している背景を理解する材料にはなります。 自分の投信・ETFが毎月分配型か見分ける方法 今回のHDVのように、買おうとした商品が毎月分配型でNISA成長投資枠の対象外、ということは誰にでも起こり得ます。HDVだけの特別な話ではありません。自分が持っている、あるいはこれから買おうとしている投信・ETFが毎月分配型かどうかは、次の3つの場所で確認できます。 確認する場所見るポイント目論見書・運用報告書「決算日」「分配の頻度」の記載。年12回(毎月)か、年1〜4回かが書かれています運用会社の分配スケジュールブラックロックやアセットマネジメントOneなど、運用会社の公式サイトに分配実績・予定が載っています証券口座の商品ページ楽天証券などの個別銘柄ページに「決算頻度」「分配金履歴」が表示されます。NISA対象かどうかの表記も多くの場合ここで確認できます 私自身、今回のHDVの件で「ETFの分配頻度を自分で確認していたか」と立ち止まりました。実は私はこの一件をきっかけに、別で保有していた東証のハイイールド社債ETF(2258)の中身まで調べ直しています。名前やブランドの印象だけで判断せず、決算頻度を一度自分の目で確認する習慣をつけておくと、こうした制度変更のニュースにも振り回されにくくなります。詳しくは2258はHYGの円版ではなかった話にまとめました。 なお、毎月分配型がNISA成長投資枠で買えないのは制度上の話であって、毎月分配型そのものが買えなくなるわけではありません。課税口座(特定口座など)では従来どおり購入できます。「毎月分配=買えない商品」ではなく「毎月分配=NISAの非課税枠では買えない商品」という整理です。 既にHDVを保有している人がとるべき選択肢 ここが本記事の核です。すでにNISA成長投資枠でHDVを持っている方へ、冷静な実務の整理をします。 慌てて売る必要はありません まず、既にNISA成長投資枠で保有している分は、引き続きNISA枠内で非課税のまま保有を継続できます。買付ができなくなっただけで、保有が無効になるわけではありません。毎月分配化したからといって、NISAの非課税メリットが消えるわけではない、という点を落ち着いて確認してください。 選択肢を整理すると、次のようになります。 選択肢内容向いている人保有を継続するNISA枠の非課税を維持したまま持ち続ける。今後の買い増しはできない高配当のインカムを非課税で受け取り続けたい人一部・全部を売却する売却するとそのNISA枠は同じ年に再利用できない点に注意ポートフォリオを毎月分配型以外へ組み替えたい人新規の積立先を別ETF・投信に切り替えるHDVは買えないので、成長投資枠対象の高配当系や全世界・S&P500系へ振り向けるこれから高配当やインデックスを積み増したい人 私自身は米国高配当ETFを保有していないため、HDVそのものの売買体験は語れません。ただFPの一般論として言えるのは、「制度変更のニュースに反応して反射的に売る」のが最ももったいない動き方になりやすい、ということです。非課税で持てているものを、課税口座へ移すきっかけにする必要はありません。 新規の積立先を考えるなら HDVが買えなくなったぶん、毎月の積立資金の行き先を見直す必要が出てきます。成長投資枠の対象である高配当系ETF・投信や、つみたて投資枠も使える全世界株・S&P500連動の投資信託などが候補になります。どこの証券口座で何を積み立てるかは、手数料・ポイント還元・取扱商品で変わってきます。私が実際に使っている口座の使い分けは楽天証券と松井証券を比較した記事に整理しているので、積立先の証券会社から見直したい方はあわせてご覧ください。 楽天証券で新NISAを始める 私が2015年から10年超使い続けている口座です。投信のクレカ積立とポイント還元、楽天キャッシュ決済が使えるのが個人的な好みのポイントです。 楽天証券の口座開設を見る → TGアフィリエイト経由のリンクです HDVの代わりになる高配当ETF・投信の探し方 HDVが新規で買えなくなったあと、いちばん多い悩みが「では代わりに何を買えばいいのか」だと思います。ここは銘柄名を断定して「これを買えば正解」と言える話ではないので、私が代替を考えるときに使っている「選び方の軸」を共有します。具体的な商品は、この軸でご自身が比較して選ぶのが安全です。 代替候補を探すときに確認したい軸は、次の3つです。 確認する軸なぜ見るか毎月分配型でないか年1〜4回の決算なら、新NISA成長投資枠の対象になり得ます。今回のHDVと同じ轍を踏まないための最初のチェックです信託報酬・経費率高配当ETF・投信は長く持つほどコスト差が効いてきます。同じような中身なら、経費率の低いほうが手元に残りやすくなります自分の目的に合っているか「高配当のインカムが欲しい」のか「資産全体を増やしたい」のかで選ぶ商品が変わります。前者なら高配当系、後者なら全世界株・S&P500連動の投信が候補です 信託報酬に関連して、もうひとつだけ。東証ETFを課税口座で持つ場合は貸株に出して金利を受け取れますが、これでコストを相殺できるとは考えないでください。私が実際にETFを貸株に出したときは、貸株金利0.10%に対して信託報酬が年0.209%で、金利はコストの半分にも届きませんでした。実数はETFを貸株に出した記録に載せています。 実際に名前がよく挙がるのは、米国高配当系のETF(VYMなど)や、東証で円のまま買える高配当系ETF、そして高配当にこだわらないなら全世界株(オルカン)・S&P500連動の投資信託です。いずれも毎月分配型でなければ成長投資枠で買える可能性がありますが、分配頻度・コスト・NISA対象かどうかは商品によって異なり、また制度や運用方針は変わり得るので、必ず買付前にご自身で最新情報を確認してください。 正直に書くと、私自身は米国高配当ETFを保有しておらず、資産の中心はオルカンとS&P500の投資信託です。高配当のインカムよりも、分配を出さずに再投資で資産全体を増やすほうが、自分の性格には合っていました。ですので「高配当ETFはこれが一番」という体験談は私からは語れません。ただ、HDVが買えなくなったことを「高配当からインデックス積立に切り替えるきっかけ」と捉える選択肢もある、ということは一つの視点としてお伝えできます。どちらが優れているという話ではなく、自分が長く続けられるスタイルを選ぶ問題だと考えています。 HDVのNISA除外でよくある質問 HDVの毎月分配化とNISA成長投資枠からの除外について、検索でよく見かける疑問を整理しておきます。 Q. HDVはNISAから除外されて、もう買えないのですか? 新規の買付はできません。HDVは毎月分配化により、新NISA成長投資枠の除外要件(毎月分配型)に該当し、楽天証券では買付注文が失効しました。一方で、既にNISA成長投資枠で保有している分は、除外後も非課税のまま継続保有できます。「除外=持てなくなる」ではなく「除外=新規で買えなくなる」という整理です。 Q. 既にNISAで持っているHDVは、強制的に売られてしまうのですか? ...

2026年6月18日 · 最終更新: 2026年8月13日 · HIKO

予定利率1.6%でも利回りは1%台?明治安田の積立保険をNISA比較

保険業界10年・投資歴10年超・FP2級の HIKO です。保険会社で10年働いたあと IT企業へ転職し、家計と投資の発信をしています。 ※当記事はアフィリエイトリンク(PR)を含みます。投資・契約の判断は自己責任でお願いします。 2026年6月、明治安田生命が平準払い(毎月払い)の積立保険の予定利率を、現行の1.4%から1.6%へ引き上げると報じられました。報道によると、契約から10年たった満期で受け取れる金額は払込総額の110%になり、これは2026年4月に続く同年2度目の引き上げとのことです。 ここで、公式で確認できる部分と報道のままの部分を分けておきます。 公式で確認できたこと:明治安田生命「じぶんの積立」の公式サイトには、10年満期時の受取率が110.0%と掲載されています(保険料率2026年8月1日現在・2026年8月12日確認)。5年払込・10年満期という建付けも公式に明記されており、報道されていた満期110%は現在の公式条件と一致します。当ブログが以前この商品を検証したときの満期受取率は108.3%でしたから、実際に引き上げられたことになります 報道ベースのままのこと:予定利率を1.4%から1.6%へ引き上げたという利率そのものの数字と、2026年7月申込分からという適用時期です。公式サイトは受取率を掲載していますが予定利率の数値は載せていないため、この2つは報道の記述にとどまります つまり「満期110.0%」は公式で裏が取れた数字、「予定利率1.6%」「7月申込分から」は報道ベース、という切り分けになります。本記事の試算は、すべて公式の110.0%を起点にしています。 ニュースを見て「予定利率が上がったなら、今が買い時では?」と感じた方も多いはずです。本記事では、その満期110.0%という数字を実質利回り(IRR)に翻訳して冷静に見ていきます。 結論:利上げは朗報だが、IRRで見ると依然「年1%台」 先に結論を3点に整理します。 利上げは確かに朗報:満期受取率が以前の108.3%から110.0%へ上がったことで、実質利回り(IRR)は年率約1.07%から 年率約1.27% へ改善しました(いずれも本記事の試算)。 ただしNISAとは役割が違う:積立保険は「満期まで保有すれば払込総額を上回る設計の確定リターン商品」、NISAインデックスは「元本割れリスクと引き換えに高い期待リターンを狙う商品」。同じ土俵で「どちらが得」とは言い切れません。なお保険は預金保険の対象外で、保険会社が破綻した場合は生命保険契約者保護機構による補償(破綻時点の責任準備金等の原則90%まで)に拠ることになり、預金と完全に同じ安全性ではない点には留意が必要です。 「予定利率が上がった=今すぐ買い時」という話には乗らない:予定利率1.6%という数字と、あなたが手にする実質利回りは別物です。数字の見え方に流されず、自分の家計の中での役割で判断するのが現実的です。 ここから先は、報道された数字と一般的な税制値を使って、順番に整理していきます。 報道された内容と、公式で確認できる条件を整理する 出所ごとに列を分けて並べます。 項目内容出所対象平準払い(毎月払い)の積立保険報道予定利率1.4% → 1.6%(2026年7月申込分から)報道引き上げの背景国内金利の上昇を反映。2026年内2度目の引き上げ報道払込期間5年公式保険期間10年公式10年満期時の受取率110.0%公式(保険料率2026年8月1日現在)3年・5年経過時の返戻率いずれも100.0%公式(同上)7年経過時の返戻率105.4%公式(同上)例(月2万円の場合)払込総額120万円に対し満期132万円(+12万円)公式の受取率からの計算 公式の出典は明治安田生命「明治安田生命じぶんの積立」(2026年8月12日確認)です。 報道では「投資信託などに比べて元本割れのリスクが少なく、銀行預金よりも金利は高い」という商品の位置づけも示されていました(報道の文言)。ここは丁寧に補っておきます。公式サイトが返戻率を公表しているのは経過3年・5年・7年・10年満期の4点だけで、その4点はいずれも100.0%以上です。1年・2年の数値は公表されていません。 したがって「早期解約では元本割れする」と断定することも、逆に「いつ解約しても100%以上」と断定することも、公表されている情報からはできません。 そのうえで確かなのは、将来的に商品条件が変更される可能性があること、保険である以上は保険会社の信用力に依存することです。元本保証ではなく「満期まで保有すれば払込総額を上回る設計の確定リターン商品」と捉えるのが正確です。 予定利率1.6%・満期110%をIRRに翻訳すると年率いくらか ここが本記事の核です。「予定利率1.6%」と聞くと、年1.6%で増えるように感じます。しかし、私たちが実際に手にする利回りは、もっと低くなります。 月2万円×60ヶ月(5年)払い込み、その後5年据え置いて10年満期で132万円を受け取るケースで計算します。 払込総額:20,000円 × 60ヶ月 = 1,200,000円 満期保険金:1,200,000円 × 110.0% = 1,320,000円 増加額:120,000円 ポイントは「120万円を一括で預けたわけではない」「毎月2万円ずつ5年かけて積み立て、その後5年は据え置いた」という時間構造です。最後に積んだお金は数年しか運用されず、最初に積んだお金だけが約10年運用されます。 この時間価値を考慮した内部収益率(IRR)を計算すると、次のようになります。 満期受取率実質利回り(IRR・年率換算)110.0%(現在の公式条件)約1.27%108.3%(以前の条件・参考)約1.07% 受取率110.0%という見た目に対し、実質利回りは年率約1.27%。利上げによって約0.2ポイント改善した計算ですが、依然として年1%台です。「予定利率1.6%」という数字とは、はっきり差があります。 ※IRRは、各月の初めに2万円を5年間(計60回)払い込み、契約から120ヶ月後に満期保険金132万円を一括で受け取る前提で、月次キャッシュフローから内部収益率を求めて年率換算したものです(手数料・税・配当等の細目は加味しない簡易試算)。前提が変われば数値も変わります。なお受取率は払込額に対する割合なので、月1万円でも月2万円でもIRRは同じ約1.27%です。 なぜ「予定利率1.6%」と「実質利回り」はズレるのか ここがFPとして一番お伝えしたい部分です。両者がズレる理由は大きく2つあります。 1つ目は、予定利率がかかるのは「払い込んだお金のうち、運用に回る部分」だけだからです。 そもそも予定利率は、保険会社があらかじめ見込む運用収益の分だけ保険料を割り引くための率であって、契約者の受取額に直接かかる利率ではありません。保険には保険会社の運営経費(付加保険料)や、わずかでも付帯する保障コストが含まれます。払込総額のすべてに予定利率1.6%がそのまま乗るわけではありません。 2つ目は、先ほど触れた時間構造です。 積立保険は「毎月コツコツ積む→さらに数年据え置く」という形のため、お金ごとに運用される期間がバラバラです。満期時点の「払込総額に対する増加率(返戻率110%)」を、毎年の利回り(IRR)に直すと、必ず小さく見えます。 だからこそ、「予定利率◯%」や「受取率◯%」という表示は、商品同士を比べる物差しとしては不十分です。私はいつも、こうした商品を見るときは受取率を一度IRRに翻訳してから判断するようにしています。今回のように予定利率が引き上げられたニュースでも、まず実質利回りに直してみると、過度に期待しすぎず冷静に見られます。 同じ月2万円をNISAに入れたら、10年後どうなるか では、同じ月2万円を NISAつみたて投資枠で全世界株インデックスに5年間積み立て、その後5年間そのまま保有した場合の評価額を試算します。 株式市場では長期的に年率数%〜7%程度のリターンが期待されることがありますが、将来の成果は保証されません。ここでは幅を取って3%・5%・7%の3シナリオで比較します。 シナリオ10年後評価額(NISA)積立保険(満期110.0%)差額年率3%(保守)約1,501,034円1,320,000円+約181,000円年率5%(中央値弱め)約1,738,041円1,320,000円+約418,000円年率7%(強気)約2,008,409円1,320,000円+約688,000円 月2万円×5年積立・10年後評価額(NISA vs 積立保険・満期110.0%) 1320000円 積立保険110.0% 1501034円 NISA年率3% 1738041円 NISA年率5% 2008409円 NISA年率7% 数値は本記事の試算(NISAは年率3/5/7%・運用益非課税)。期待値であり確定リターンではありません。 NISA側は保険側と条件をそろえ、各月の初めに2万円を60回積み立て、そのまま10年目まで保有した前提で計算しています。積立保険の1,320,000円は公式の受取率110.0%から出した確定値で、NISAの3つは期待値にすぎません。 ...

2026年6月17日 · 最終更新: 2026年8月12日 · HIKO