年利7〜12%のはずが、11年で手取り+18,304円でした|バンカーズ316本の実績公開

「ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)って、年利7〜12%でしょう?11年もやれば資産2倍くらいになりませんか?」と聞かれることが増えました。 私の口座で起きた事実を、先にお伝えします。 389万円を11年運用した結果 項目金額投資元本(316本)3,890,000円税引前利益+122,653円源泉徴収-104,349円税引後利益+18,304円年率換算約0.04% 年利7〜12%で募集された商品群に389万円投じた結果、11年後の手取りは18,304円でした。 年利7〜12%の商品を316本買いましたが、結果として手取りは銀行預金とほぼ同水準でした。 これは「ソーシャルレンディングは儲からない」という一般化された主張ではなく、私の口座で発生した実数の記録です。同じ商品・同じ時期に出資した別の方の結果は異なります。本記事は私の入出金CSV(316本・1423トランザクション)を全件集計したうえで、運用報告書の数字を引用しながら11年を振り返ったものです。 なお、融資型クラウドファンディングは元本保証のない金融商品です。本記事は特定の運営会社・商品・通貨を推奨または批判するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。 平成生まれ30代・夫婦二人暮らし(子どもなし)・川崎市在住・FP2級のHIKOが書いています。投資歴は2015年スタートで11年目。年収300万円台から投資を始め、青山商事で-310,960円・JTで+376,930円の成功と失敗を経験してきました。 11年運用の収支構造(内訳) 「税引後+18,304円」を分解すると、こうなります。 項目金額投資元本(316本)3,890,000円元本償還(戻ってきた元本)3,868,806円分配累計(マイナス分配=元本割れ償還も含む)143,847円源泉徴収-104,349円税引前損益+122,653円税引後損益+18,304円未償還元本(実質焦げ付き4本)21,194円預託金残高27,876円 元本389万円のうち3,868,806円は無事に戻ってきました(99.5%)。減ったのは未償還4本の21,194円ぶん。そして元本に上乗せされた分配累計143,847円から源泉徴収104,349円が差し引かれ、結果として手取りは+18,304円でした。 11年運用の収支構造(円) 3868806円 元本償還 143847円 分配累計 -104349円 源泉徴収 18304円 税引後損益 元本はほぼ戻った(99.5%)が、分配で乗った3.7%を源泉徴収2.7%が削り、手取りは0.47%に着地 「99%の元本が戻り、分配で3.7%足され、税金で2.7%引かれて、手取り0.47%」というのが11年の総括です。広告でよく見る「年率7〜10%」の表面利回りとは、ずいぶん違う数字に着地しました。 なぜ手取り0.04%に着地したのか|3つの構造要因 表面利回りと税引後手取りに大きな差が生まれた理由は、3つの構造要因があります。 1. 源泉徴収20.42%が利益のみから天引きされる 融資型クラウドファンディングの分配金は雑所得相当として、受け取り時点で20.42%が源泉徴収されます。 利益が出たファンドの分配金から源泉徴収104,349円が天引き 損失が出たファンドからは源泉は引かれない(そもそも分配がマイナス) 結果として、粗利122,653円に対して源泉徴収104,349円が発生 雑所得の課税関係は複雑で、確定申告での扱いは個別事情によります。詳細は税理士または税務署にご確認ください。本記事は私個人の口座で発生した数字の記録であり、税務上のアドバイスを目的としたものではありません。 2. 元本割れ案件が利益を相殺する 11年間に投じた316本のうち、一定数が元本割れで償還されました。元本割れした案件の損失分は、利益が出た案件の分配金とは自動通算されません(雑所得の通算可否は個別事情によります)。結果として「勝った案件の利益から源泉が引かれ、負けた案件の損失はそのまま手元の負担」という形で集計に反映されました。 3. 流動性がないため当初予定の3倍まで運用が延びることがある 融資型クラウドファンディングは償還日まで途中解約できません。後述する2026年5月22日同日償還の4本では、当初予定567〜750日が実際1,868〜2,112日(予定の2.6〜3.3倍)まで延びました。この間の機会費用は表面利回りに織り込まれていません。 通貨別の明暗|勝った通貨と負けた通貨 316本を通貨別に集計したのが下の表です。 通貨本数元本税引前損益実質利回りタンザニアシリング建て12210,000+96,182+45.8%メキシコペソ建て13140,000+42,583+30.4%ペルーソル建て440,000+11,969+29.9%米ドル建て24260,000+20,220+7.8%ユーロ建て12200,000+8,092+4.0%円建て【】付き56880,000-8,033-0.9%円建て古参(無印)1391,580,000-48,583-3.1%ロシアルーブル建て10110,000-21,366-19.4%シンガポールドル建て110,000-6,243-62.4% 集計してみると、高金利新興国通貨(タンザニアシリング・メキシコペソ・ペルーソル)が勝ち、円建てとロシアルーブル建てが負けという結果でした。 ...

2026年5月21日 · HIKO

日本生命「みらいのカタチ」は得か損か|30代で月4万円→更新で7万円台になる構造

平成生まれの30代・川崎市在住の HIKO です。年収300万円台で社会人生活を始め、保険業界で10年働いたあと IT 企業へ転職、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。本記事では、日本生命の主力商品「みらいのカタチ」を、30歳男性のモデルケースで検証します。 本記事は 公式の設計書ではなく、終身保険一般の保険料水準と返戻率水準に基づくモデルケース試算 です。実際の保険料・返戻金は契約年齢・性別・予定利率・契約者配当の有無・組み合わせるパーツ構成によって変動するため、最終判断は必ず設計書(個別見積もり)でご確認ください。 「みらいのカタチ」は最大13種類の保障パーツを自由に組み合わせる「組立型保険」です。営業職員の説明では「これ1本でライフプラン全部カバー」と紹介されることが多い商品ですが、本記事では (1) 世帯月4万円ケースの30年キャッシュフロー、(2) 10年更新型特約の保険料倍増リスク、(3) 終身保険パーツのIRR、を中心に一次計算で整理していきます。 結論:30歳モデルケースで見える4つの構造リスク 30歳男性・終身500万円+更新型特約パッケージのモデルケースで試算すると、みらいのカタチは次の4点の構造リスクが浮かび上がります。 世帯保険料が月4〜5万円規模になりやすい:終身+定期+医療+がん+介護+学資の組み合わせで30代夫婦の保険料が月5万円超になるケースが多かった 10年更新型特約は40歳・50歳の更新で保険料が倍増する:契約時の保険料はあくまで「最初の10年」だけ。子育て期の更新で家計が一気に重くなる 終身パーツのIRRは長期保有でも年率1%前後:払込終了(30年)直後ではまだ元本割れ、返戻率100%超えは払込終了から10年以上経過後 「組立型」ゆえに全体像が見えにくい:パーツ料金が合算請求のため、保障の必要性と価格の妥当性をパーツ単位で点検しない限り解約判断ができない ここから先は、公式条件と一般的な保険料水準を使って数字で整理していきます。 「みらいのカタチ」の公式条件を整理する まず2026年5月時点で日本生命公式が示している商品概要です。 項目内容商品種類組立総合保障保険(最大13種類の保障を自由組合せ)主な保障パーツ終身保険/定期保険/収入保障保険/総合医療特約/3大疾病保障保険/介護保障保険/年金保険/養老保険/生存給付金付定期 など契約可能年齢パーツごとに設定(終身は0〜85歳、定期は0〜80歳など)保険料払込期間パーツごとに設定(終身は60歳・65歳払込済/終身払い、定期・特約は10年・20年などの更新型)解約返戻金パーツごとに発生(終身・養老は累積、医療・介護・定期・収入保障は基本ゼロ)契約者配当5年ごと配当型あり(業績連動で配当額は変動)生命保険料控除終身・定期は一般/医療・介護特約は介護医療/年金パーツは個人年金(一定要件あり) 「組立型」の建付けは「13パーツの中から必要なものを選んでひとつの契約にする」というシンプルな構造です。一方で、貯蓄性パーツ(終身・養老・年金)と掛け捨て型パーツ(定期・収入保障・医療・介護)が同じ契約番号で混在するため、解約返戻金や実利回りをパーツ単位で見ないと「全体でいくら戻ってくるのか」が把握しづらくなります。 なぜ「みらいのカタチ」で保険料膨張が起きるのか みらいのカタチを検討する人の経路で多いのは「職場に来る生保レディから提案された」「親が長年契約していて勧められた」「結婚や出産のタイミングで相談した」というケースです。日本生命が個人保険市場でトップシェアを維持し続けている理由は、商品設計そのものより販売チャネルの圧倒的な規模にあります。 約5万人規模の営業職員ネットワーク:全国の事業所から職域・家庭訪問で接触するため、自分から保険ショップに足を運ばない層にも届く 対面で「組み立てて」もらえる安心感:終身・医療・介護・年金などをまとめて一人の担当者が説明するため、保険選びの心理的コストが小さく感じられる 節目ごとの見直し提案:結婚・出産・住宅購入・子の独立といったライフイベントごとに営業職員が訪問し、パーツの追加・変更を提案する仕組み 「日本生命」というブランドへの信頼:相互会社としての歴史と規模感から、商品内容を細部まで確認せず加入する層が一定数いる このアクセスの良さと提案力は、自分から金融商品の比較検討をしない層には大きな価値があります。一方で、同じ理由から次のような行動も起きやすくなります。 担当者の提案するパーツ構成を、保障の必要性と価格の妥当性を分けて検討せず受け入れる 「これ1本で安心」という説明から、貯蓄性パーツの実利回りを確認しないまま長期契約に入る 結婚・出産のたびにパーツを追加し、世帯保険料が月4〜5万円規模に膨らんでも全体像を再点検しない 業界全体の傾向として、30代夫婦で終身500万+医療+がん+介護+(子が生まれたら)学資を持ち、世帯保険料が月5万円超に膨らんでいる家計は珍しくありません。 一つひとつのパーツは数千円なので、追加するときに大きな違和感が出ません。気づくと固定費の最大項目が住居費の次に保険、という家計が普通に出来上がります。 商品自体の良し悪し以前に、「自分の目的が死亡保障なのか、医療保障なのか、貯蓄なのか」を契約前に明文化することが、後悔を避ける一番の近道です。 世帯4万円ケース:30歳夫婦のモデルパッケージを見える化する 以下は公式設計書ではなく、終身保険一般水準と日本生命の典型パッケージ提案を組み合わせたモデルケース試算 です。実際の保険料は契約条件で変動します。 30代既婚・夫婦+子1人想定で営業職員から提案される典型的なパッケージを再現すると、次のような構成になることが多いです。 夫(30歳)のパッケージ例 パーツ保障内容月額(概算)期間終身保険500万円・60歳払込済12,000円30年払い定期保険2,000万円・10年更新2,500円10年更新型収入保障保険月10万円・60歳まで2,800円60歳まで総合医療特約日額5,000円・10年更新3,200円10年更新型3大疾病保障保険500万円・10年更新2,500円10年更新型介護保障保険300万円・終身払い3,000円終身払い合計26,000円/月 妻(30歳)のパッケージ例 パーツ保障内容月額(概算)期間終身保険200万円・60歳払込済5,000円30年払い総合医療特約日額5,000円・10年更新2,800円10年更新型3大疾病保障保険300万円・10年更新1,800円10年更新型がん保険特約診断一時金100万円1,500円10年更新型介護保障保険200万円・終身払い2,000円終身払い合計13,100円/月 世帯合計:月39,100円・年47万円 夫26,000円+妻13,100円=世帯月額39,100円。年間にして約47万円です。ここに学資保険や個人年金を追加すれば月5万円台に到達します。 このパッケージのうち、貯蓄性として戻ってくるのは終身保険パーツの解約返戻金のみで、定期・収入保障・医療・3大疾病・介護・がんはすべて掛け捨てです。 なお、子育て期の死亡保障そのものは、掛け捨て定期保険のほうが合理的なケースも多い です。本記事で問題視しているのは「掛け捨てそのもの」ではなく、必要保障額を超えてパーツを積み上げた結果、世帯固定費が膨張する構造のほうです。「必要な保障に絞る」と「必要保障以上には積まない」の両方が家計効率の前提になります。 30年キャッシュフロー:固定費インパクトを月単位で見る 以下も終身保険一般水準のモデルケース試算です。実際の更新後保険料は契約条件で変動します。 「50年で900万円差」と言われてもピンと来ないので、30年のキャッシュフロー(月単位の固定費)で見える化 します。 世帯月4万円を30年続けると 期間月額年額累計30〜39歳(10年)約39,000円約47万円470万円40〜49歳(10年)更新で約55,000円に上昇約66万円1,130万円50〜59歳(10年)再更新で約75,000円に上昇約90万円2,030万円30年累計約2,030万円 10年更新型の医療・3大疾病・がん・定期は年齢が上がるごとに保険料が上昇するため、契約時の月4万円は最初の10年だけ です。40歳更新で月5.5万円、50歳更新で月7.5万円というのは、終身保険一般の更新型特約の年齢別保険料水準から見て モデルケースとして 十分起こり得る数字です。 月2万円を浮かせた場合のキャッシュフロー 仮に保障の優先順位を見直して、世帯月額を4万円→2万円に圧縮できた場合、30年で 720万円のキャッシュフロー余裕 が生まれます。これは「老後の総額」ではなく「毎月の家計の余裕」として効いてくる金額です。 ...

2026年5月17日 · HIKO

旧NISAから新NISAへの移行を全公開/2024年に私が下した判断と1年後の検証

2024年1月から新NISAが始まりました。同時に、旧NISAで持っていた銘柄を「ロールオーバーするのか」「特定口座に移管するのか」「売って新NISAで買い直すのか」を選ぶ判断が、誰にでも降りてきました。 私の場合、2015年から旧NISAで個別株を中心に積んできた残高が複数あり、移行の判断は1銘柄ずつ違う答えになりました。きれいに「全部こうしました」とはいきませんでした。 この記事では、その判断ロジックと、1年経った今の検証をすべて公開します。とくに、9年5ヶ月塩漬けにしていたコナカ株を、2024年11月26日に「旧NISAで247円売却→同日特定口座で248円買戻し」というクロス取引で処理した一次体験は、ネット上にもほとんど書かれていない実例なので詳しく書きます。 平成生まれ30代、川崎市在住、夫婦二人暮らしのHIKOです。投資歴11年(2015年NISAスタート)、保険業界10年からIT企業に転職、FP2級保有。最初の個別株は738円で買ったコナカ(7494)で、いまも特定口座に100株保有継続中です。最大の成功はJTの+376,930円、最大の失敗は青山商事の-310,960円。NISAという制度をフル活用してきたつもりが、移行のタイミングで「制度の限界」と「自分の判断ミス」が両方あぶり出された、という記事になります。 この記事はこんな人に向けて書いています。 旧NISAの非課税期間が終わる銘柄を、移管か売却か迷っている 新NISA成長投資枠を、旧NISA銘柄の買い直しに使うかどうか決めかねている 移管後の取得単価がどう扱われるかが正直よく分かっていない 旧NISAで含み損になった銘柄を「損切りして損益通算したい」と思っている 1年経過後、実際の手取り配当がどう変化したかの実例を知りたい 結論:私は「3パターン使い分け+1銘柄はクロス取引」で旧NISAを解体しました 最初に結論から書きます。私は旧NISA保有銘柄を以下の4処理に振り分けました。 処理主な対象判断基準自動移管(待つ)軽微な銘柄判断する手間に対してリターンが見合わない銘柄クロス取引で取得単価リセットコナカ(7494)含み損のまま長期保有予定だが、移管後の損益管理を簡単にしたい銘柄売却(益出し)JT(2914)含み益が大きく非課税のうちに利益確定したい銘柄売却(損切り)→新NISAで買い直さない青山商事・中北製作所銘柄選定の失敗を認めて資金を別へ振り向けるもの ロールオーバー(旧NISA→新NISA)はできません。 これが2024年改正の重要ポイントで、誤解している人がまだ多いです。詳しくは次のセクションで書きます。 大前提:旧NISA→新NISAへの「ロールオーバー」は廃止されました まず制度の話を整理しておきます。これを誤解したまま判断すると、後悔します。 2023年までの旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)には、5年または20年の非課税期間がありました。一般NISAの場合、非課税期間が終わる年に「翌年の新しい非課税枠にロールオーバー(移管)する」ことで、非課税期間を延長できる仕組みがありました。 ところが、2024年からの新NISAスタートに伴い、この旧NISA→新NISAへのロールオーバーは制度として廃止されました。旧NISAの非課税期間が終わった銘柄は、自動的に特定口座(または一般口座)に払い出されることになります。 つまり、旧NISA銘柄に残された選択肢は、実質的に次の3つです。 非課税期間終了を待ち、特定口座に自動移管される(何もしない) 非課税期間内に売却する(益が出ていれば非課税で利益確定) 非課税期間内に売却し、新NISA成長投資枠で買い直す 「ロールオーバーで非課税延長」はもう選べません。私の場合、2015年に買ったコナカは2019年末で5年の非課税期間が終わったので、当時はロールオーバーで非課税を延長していました。延長後の非課税期間は2024年末で終了するため、2024年中に何らかの判断を下す必要がありました。 コナカ(7494):旧NISA247円売却→同日特定248円買戻しというクロス取引 ここが今回の記事の核です。ネット上の旧NISA移行記事はほとんどが「自動移管された/売却した/買い直した」の3択しか書いていませんが、私はもう一つの選択肢を取りました。 何をしたか 2024年11月26日、私は楽天証券の口座で次の取引を1日のうちに実行しました。 取引口座価格株数金額売却旧NISA247円100株24,700円買戻し特定口座248円100株24,800円 取得時738円×100株 = 73,800円なので、旧NISAで247円売却した時点で確定したのは -49,100円の譲渡損です。一方、買戻しによって特定口座に取得単価248円のコナカ100株が新規建玉として立ちました。 スプレッドは1円×100株 = 100円。手数料は楽天証券の現物売買手数料コース(私は一日定額コース)を使ったので0円。実質コスト100円で「旧NISA口座を清算しつつ、特定口座に取得単価をリセットした状態でコナカを引き継ぐ」ことができました。 なぜ自動移管ではなくクロス取引にしたか 自動移管を待つ場合、2024年末の最終取引日終値(仮に250円とする)が特定口座の取得単価として記録されます。これでも「移管後の取得単価リセット」自体は起きるので、結果はクロス取引と似ています。 それでも私がクロス取引を選んだ理由は3つあります。 タイミングを自分で選べること。年末の最終週は流動性が薄く、終値が想定外に動くリスクがある。11月の落ち着いた相場で処理したかった 取引履歴が明確に残ること。「旧NISA247円売却・特定248円買戻し」という記録が残ることで、将来このコナカを売却するときに「実際の本当の買値は738円だったが、税務上の取得単価は248円」という説明が自分に対しても明確になる 配当金の口座区分を早めに切り替えたかったこと。2024年内に特定口座の建玉にしておけば、2025年以降の配当金は特定口座の源泉徴収扱いに切り替わる クロス取引のメリット・デメリット整理 項目自動移管(待つ)クロス取引(自分で実行)手数料0円スプレッド+売買手数料(私の場合100円)タイミング12月末最終日に自動自分で選んだ任意の日取得単価その日の終値売却・買戻し当日の約定値取引履歴「払出」という形で残る売却・買戻しの2レコードが明確に残る損益通算できない(旧NISAの損は通算不可)できない(同上) ポイントは、いずれにしてもNISAの売却損は損益通算できないという点。これが次のセクションの落とし穴の話に直結します。 NISA損益通算不可という落とし穴 NISAの一番見落とされやすい仕様がこれです。 何が起きるか 通常、特定口座で株式を売却して譲渡損が出た場合、その損失は同年内のほかの譲渡益や配当益と損益通算でき、節税につながります。3年間の繰越控除も使えます。 ところが、NISA口座(旧・新どちらも)で発生した売却損は、 同年内の特定口座の譲渡益と損益通算できない 翌年以降の繰越控除に使えない 配当課税との通算もできない **「税金がかからない代わりに、損が出ても税務上の救済も一切ない」**というのがNISA口座の正体です。 私のコナカで具体的に何が起きたか 旧NISAでの売却損 -49,100円は、税務上は完全に「ないもの」として扱われます。 たとえば私が同じ年に特定口座で別の銘柄を売却して+50,000円の譲渡益が出ていた場合、 通常の特定口座同士の取引であれば、この+50,000円とコナカの-49,100円を相殺して、譲渡益はわずか900円。税金は20.315%×900円 = 約183円で済む ところが、コナカの売却損は旧NISA発のため通算できず、+50,000円の全額が課税対象になる。税金は20.315%×50,000円 = 10,158円 つまり、NISAで含み損になった銘柄を「損切りで節税」しようとしても、まったく節税にならないのです。これは旧NISAも新NISAも同じ仕様です。 じゃあクロス取引は無意味だったのか いいえ、無意味ではありません。クロス取引の目的は「節税」ではなく「税務上の取得単価のリセット」と「保有口座の整理」です。 私のコナカは特定口座に取得単価248円で再スタートしたので、もし将来400円まで上がって売却した場合、譲渡益は (400-248)×100 = 15,200円。税金は20.315%×15,200円 = 3,088円。本当の買値738円基準では大きな含み損のまま売っているのに、税務上は譲渡益として課税されるという捻じれた結論になります。 ...

2026年5月5日 · HIKO

楽天カードが突然使えない原因は?不正検知で止まった実体験と対処法

「こちらのカード、ご利用いただけないようです」——レジでこの一言を言われた瞬間、頭が真っ白になりました。普通に詰みます。後ろには列、財布の現金は数百円、PayPay残高もスカスカ。たまたまSuicaが入っていて事なきを得ましたが、ドキッとしました。 平成を生きた30代、投資歴11年のHIKOです。普段は楽天カードをメインで使っていて、レジで止まることなどまずありません。それが先日、いつものスーパーで突然エラー。原因は楽天カード側の不正検知システムによる自動停止でした。 この記事では、結論として「楽天カードが突然止まる主な原因」と「使えなくなったときの対処法」を先にまとめ、そのあと実際の体験談、再開と再発行のどちらを選ぶべきか、そして家計防衛の観点で別系統サブカードを2枚持ちすべき理由まで、ノウハウとして残します。 結論:楽天カードが突然止まる主な原因 楽天カードのコンタクトセンターでも、ネット上の体験談でも繰り返し挙がっているパターンを整理すると、突然停止される主な原因は次のとおりです。 原因内容短時間の連続決済数十分以内に複数店舗で連続して使うパターン普段と違う店舗・地域旅行先・初訪問のチェーンなど利用パターンと外れる決済高額決済普段の利用単価から外れた金額の決済海外利用・越境ECオンラインでの海外サイト決済短時間多重利用ECサイトで連続注文・サブスク連続登録など番号漏えい疑い別の漏えい事件のリストに番号が含まれていたケース 私のケースは、後述するように海外で身に覚えのない決済が走った典型的な不正利用パターンでした。ユーザーから見ると、原因が判明するのは結局のところコンタクトセンターに電話で問い合わせてからになります。だからこそ、止まったときの対処法を先に知っておく価値があります。 楽天カードが使えないときの対処法 レジでエラーが出てから、自宅で再開や再発行を判断するまでの動き方を、実体験ベースで手順化します。 1. その場の決済はカード以外で乗り切る レジで止まった瞬間にできることは、カード以外の決済手段に切り替えることだけです。基本はSuica、PayPay、楽天ペイ、デビットカードといったキャッシュレス手段で「いまの会計」を片付けます。現金は最終手段で、できれば避けたいところです。ATMで下ろす手間もありますし、盗難リスクや家計簿アプリでの追跡が効かないなど、デメリットがそれなりに多いからです。原因究明はその後で十分です。 2. メールとSMSを確認する 帰宅前にやるべきは、楽天カードからの本人確認メール・SMSが来ていないかのチェックです。不正検知が走った場合、楽天カードから本人確認用のURLが届いていることがあります。本人確認できれば即時で利用再開につながるケースもあるため、コンタクトセンターに電話する前に必ず確認します。 3. 楽天e-NAVI(会員サイト)にログインしてみる 会員サイト側で利用停止の通知やメッセージが出ていることもあります。アプリのプッシュ通知も同様です。 4. コンタクトセンターに電話する メールやSMSが来ていない、または本人確認しても再開されない場合は、コンタクトセンターへ電話します。電話で本人確認をしたうえで、停止理由のヒアリングと、再開か再発行かの判断に進みます。 5. 再開か再発行かを決める ここが分かれ道です。電話の中で「カードを再開しますか、それとも再発行にしますか」と必ず聞かれます。判断基準は次のセクションで詳しく書きます。 再開と再発行、どっちを選ぶべきか オペレーターさんから提示された選択肢は2つでした。 選択メリットデメリット再開即時で使える・カード番号も変わらないのでサブスク差し替え不要同じ番号のまま再開するため、漏えい疑いが残る場合は再度止まるリスク再発行番号が変わるので漏えい・不正の根を断てる1週間ほど決済不可・サブスクや一部ECサイトの番号差し替えが必要(公共料金は自動引き継ぎ) 私は再発行を選びました。理由は3つあります。 1つ目は、止まった原因が結局明示されないからです。利用パターン由来の停止だったとしても、万が一の番号漏えいだった場合に同じ番号のまま使い続けるのが怖い。 2つ目は、再開してまた同じパターンで止まると、停止のたびにレジで頭を下げる体験を繰り返すことになります。これは精神的な消耗が大きいです。 3つ目は、サブカードを別系統で持っていたので、1週間決済不可でも生活が回ると確信できたからです。サブを持っていなかったら、間違いなく再開を選んでいたと思います。 なお、楽天カードは電気・ガス・水道・通信費といった公共料金については、再発行後の新カードに自動で引き継いでくれます。再発行のハードルが下がる地味に大きいポイントなので、覚えておいて損はないと思います。 実際に何が起きたか(時系列) ここから先は、当日と翌週の流れを記録として残します。 その日の動線はとてもシンプルでした。 まず100円ショップに立ち寄って、日用品を数百円ぶん買いました。ここでは楽天カードで普通に決済できています。 次に同じ商業エリアのスーパーで夕飯の食材をまとめ買いし、レジで楽天カードを差し込んだところ、突然エラー表示が出ました。店員さんが何度かやり直してくれましたが、何度試してもエラーで通りません。 後ろに人が並んでいたので、Suicaで決済しました。 帰宅途中のコンビニで一応もう一度試してみたのですが、こちらでも同じくエラー。これでようやく「あ、これはお店側ではなくカード側の問題だ」と気づきました。 家に着いてから楽天カードのコンタクトセンターに電話したところ、原因はすぐに判明しました。スロヴェニアで身に覚えのない決済が走っており、楽天カード側がそれを不正検知で自動停止していた、という説明でした。 自分はその日も国内にいましたし、そもそもスロヴェニアに行ったことすらありません。明らかに不正利用です。話を聞いた瞬間は「番号がどこかで漏れていたのか」とヒヤッとしましたが、同時に「止めてくれて助かった」という安心感もありました。気付かないまま海外で何件も決済が走っていたら、被害がどこまで膨らんだか分かりません。 再発行を選んだあとの流れはこうでした。 ステップ内容期間1現在のカードを停止即時2新しい番号でカードを再発行申し込み完了3自宅に新カードが届く約1週間4各種引き落としの番号変更順次 ここで地味に助かったのが、電気・ガス・水道・通信費といった公共料金の引き落としは、こちらで何もしなくても新カードに自動で引き継がれた点です。楽天カードは公共料金などのカード番号変更を発行会社側で自動引き継ぎしてくれるため、再発行で番号が変わっても継続されます。一方、サブスクや一部のECサイトに紐づけている番号は手動で差し替える必要があったので、そこは1件ずつ作業しました。それでも「全部自分でやり直し」とはならず、想像していたより負担は軽かったです。 オペレーターの対応自体は丁寧で、終始安心して話せました。ただ、こちらから電話をかけて初めて不正検知の事実を知るというのは正直いまいちだと感じました。本来であればメール・SMS・アプリのプッシュ通知などでカード会社側から能動的に連絡が来てほしい場面ですが、私の場合はそれらの通知が一切届いていませんでした。とはいえ、結果的に被害ゼロで止めてくれた点は素直にありがたかったので、総合的には結果オーライの一件でした。 サブカードを持つべき理由:構造的なキャッシュフローリスク ここからが今回いちばん書き残しておきたい部分です。投資歴11年で家計を運営してきた立場から言うと、メインカード1枚運用は構造的に危険です。日記レベルではなく、リスク管理としての話を書きます。 カード停止はキャッシュフローリスクそのもの 普段クレジットカードに集約している支出には、次のようなものがあります。 スーパー・コンビニ・ドラッグストアなどの日常決済 携帯料金・電気・ガス・水道などの公共料金 サブスク(動画配信・音楽・クラウドストレージなど) 家賃の支払い(カード引き落とし契約をしている場合) ふるさと納税・通販などのEC決済 保険料の口座振替代替 自動車関連費用 これらが1枚のカードに集中している状態で、そのカードが1週間止まったらどうなるか。仮に再発行を選ぶと、上記の引き落とし先すべてに番号変更を入れる必要が出てきます。気付かないまま放置すると、家賃やサブスクの引き落としが失敗し、滞納扱いになる可能性があります。 これはまさにキャッシュフローの一時停止であり、家計運営上の構造的なリスクです。 1枚運用は「支払いインフラの単一障害点」 ITの世界で「単一障害点(Single Point of Failure)」という概念があります。1か所が落ちると全体が止まる構造のことです。クレカ1枚運用は、家計の支払いインフラにおける単一障害点をわざわざ作っているのと同じ構造です。 不正検知による自動停止、システム障害、紛失、盗難、番号漏えい——どれが起きても全部止まります。確率は低いとしても、起きたときのダメージが家計運営に直結する以上、二重化(冗長化)しておくのが合理的です。 サブスク連鎖停止のリスク 特に怖いのがサブスクの連鎖停止です。動画配信や音楽サービスは止まっても日常生活に支障はありませんが、クラウドストレージや業務用SaaSが連鎖停止すると、仕事のファイルにアクセスできない・自動バックアップが失敗するといった被害につながります。再開作業も1件ずつ手動で番号を入れ直す必要があり、地味に時間を吸われます。 家賃をカード払いにしている人は、引き落とし失敗が信用情報に影響するケースもあるため、メイン1枚運用は本当におすすめしません。 なぜ「別系統」のサブカードが効くのか サブカードを持つ場合、できれば別系統にしておくのがおすすめです。理由は単純で、同じ国際ブランド・同じ発行会社のカードだと、システム障害や不正検知の連鎖で同時に止まる可能性があるからです。 私の場合の組み合わせはこうでした。 ...

2026年5月4日 · HIKO

メットライフ生命の情報持ち出し2,476件、業界10年の人間が見た「怒りと構造」

平成生まれの30代、川崎市在住のHIKOです。新卒で入った会社で年収300万円スタート、保険業界に10年いてからIT企業に転職し、いまはFP2級として家計と投資の話をブログに書いています。今回は2026年5月1日に東洋経済オンラインが報じた、メットライフ生命の出向者による情報持ち出し問題について、業界の内側を見てきた立場から書きます。 東洋経済オンラインが2026年5月1日、次のように報じました。 メットライフ生命保険も出向者による「スパイ活動」/銀行など36代理店から2400件超の内部情報を無断で持ち出し ※詳細は東洋経済オンライン記事参照 タイトルの「も」が象徴的です。先行して第一生命でも類似の問題が表面化しており、個社というより業界構造の問題として捉える必要があります。 まず、報じられている事実関係を整理します。 出向者が銀行など36代理店から2,476件の内部情報を持ち出し 期間は2021年4月〜2025年10月(約4年半) 顧客情報(氏名・契約内容・保険料・満期予定)や販売資料、競合情報などが対象 紙資料のデータ化やスマホ撮影で送信 不正競争防止法・独禁法に抵触する可能性 当局は報告徴求済み 会社側は「営業利用の形跡は確認されていない」と説明 この記事では、「怒り」と「構造」の両方から整理します。 まず率直な違和感(感情の話) 「営業や商品開発への利用形跡は確認されていない」 この説明に違和感を持つ人は多いはずです。 4年半にわたって2,476件の情報が継続的に集められていたという事実だけを見ると、何らかの意思決定に影響していた可能性を疑うのは自然です。特に、満期予定や顧客情報の粒度を考えると、営業上の示唆を得やすいデータであることは間違いありません。 もちろん、公式には「利用されていない」とされていますし、外部から断定することはできません。ただ、「なぜ収集されたのか」という点については、合理的な説明を求めたくなるのも事実です。 構造の問題として見る ここからは個人の倫理ではなく、構造の話です。 なぜこの種の問題が複数社で似た形で発生するのか。鍵は「銀行窓販」と「出向制度」にあります。 銀行窓販は2000年代に解禁され、銀行は巨大な保険販売チャネルになりました。その過程で、保険会社は自社社員を「出向者」として銀行に常駐させてきました。 この仕組みには、もともと次のような歪みがあります。 出向者の所属と評価は保険会社側にある 業務上は銀行の情報にアクセスできる 自社商品が売れるほど評価が上がる この状態では、「どこまでが業務報告で、どこからが持ち出しなのか」の境界が曖昧になりやすい。 実際、現場レベルでは「販売状況の共有」や「動向報告」は日常的に求められます。その中に本来外に出すべきでない情報が混ざるリスクは、構造的に存在します。 アナログな抜け道が残る現実 今回の手口で象徴的なのが、 紙資料のデータ化 スマホ撮影 という点です。 デジタル監査が強化されても、人間はアナログな経路を使います。これは情報セキュリティではよく知られた現象です。 メールやファイル転送は検知できても、「紙→カメラ→私物端末」という経路は防ぎにくい。結果として、制度やシステムだけではカバーしきれない領域が残ります。 今回の件は、技術の問題というより「運用とインセンティブ設計の問題」が露出したケースと見るほうが自然です。 業界にいた立場からの補足 私自身、保険業界に10年いましたが、代理店情報や販売データが重要な経営資源であることは間違いありません。 銀行は特に重要なチャネルです。どの顧客がいつ資金を動かすのか、どの商品がどの層に売れているのか。これらは将来の売上を左右する情報です。 一方で、現場の出向者は「悪意ある不正」をしているというより、「求められる報告の延長」で行動してしまうケースもあり得ます。 ただし、意図に関係なく、結果として不適切な情報共有になれば問題になる。この「グレーな領域」が長年放置されてきた可能性は否定できません。 現場感覚で言うと「他社情報」は雑談レベルでも入ってくる 保険業界の現場で10年働いていて感じたのは、「他社の販売動向」は意識して取りに行かなくても、ある程度勝手に入ってくるということです。 代理店との会話、メーカーの勉強会、ベテラン担当者の世間話、業界誌、退職した同業者からの近況報告。これらの会話の中に、「今A社の○○商品が売れているらしい」「B社の代理店手数料が改定されるそうだ」という情報がさらっと混ざります。 この「自然に入ってくる情報」と「明確に持ち出された情報」の境界線が、現場で曖昧になりやすいのは事実です。担当者本人が「これは持ち出しに当たる」と意識する閾値は、人によって・組織風土によって、かなりブレます。 今回のケースが「業務上の自然なインプットの延長」なのか「明確な意図を持った持ち出し」なのかは外からは判断できません。ただ、業界の構造として、その境界線を一人ひとりの担当者の倫理観に委ねている状態が長く続いてきた、という点は指摘できます。 FPの立場で見ても「銀行窓口の比較は見せかけ」が多い 保険業界を離れた今、FP2級として家計相談の場で銀行窓口経由の保険を見ることがあります。 「銀行で複数社を比較してもらった」という顧客の話を聞くと、ほとんどのケースで提案書に並んでいるのは2〜3社、しかもそのうち1社が明らかに有利な条件で書かれているパターンです。 比較の母数が市場全体ではなく、銀行の提携リストの中の一部。この時点で「中立な比較」とは言えません。今回の出向者問題は、そうした構造の延長線上にあります。 消費者としてどう考えるか ここが一番重要です。 結論はシンプルで、 銀行で勧められた保険は、その場で契約しない。 これに尽きます。 理由は3つです。 ① 中立ではない可能性がある 窓口担当者が出向者である場合、所属は保険会社です。提案は特定商品に寄りやすい構造があります。 ② 比較範囲が限定されている 銀行が扱う商品は提携先に限られます。市場全体から最適化されているわけではありません。 ③ 情報の非対称性が大きい 銀行は顧客の資産状況や満期情報を把握しています。提案のタイミングが「都合よく見える」ことはあり得ます。 具体的な自衛策 その場で契約しない 必ず持ち帰る 第三者(独立系FPなど)に確認する 複数の情報源で比較する これだけで、判断の質は大きく変わります。 ...

2026年5月2日 · HIKO

新社会人の給与明細『8割しか手取りない問題』|2026年から増えた天引きの正体と自衛策【30代失敗談】

4月下旬から5月頭。初任給の明細を受け取って「えっ、こんなに引かれるの?」と固まった新社会人の方、かなり多いと思います。この記事は、年収300万円台で社会人をスタートしてから11年、保険業界10年とIT企業を経てきた30代会社員の私(HIKO)が、「あの頃の自分に説明するなら」という目線で、給与明細の読み方・天引きの正体・2026年から新しく増える負担・そして今日からできる自衛策までを整理したものです。FP2級の知識と、自分の失敗談を混ぜて書きます。 結論:手取りは総支給の8割前後。残りは「将来の自分」と「社会」に回っている 先に結論です。 勤労者世帯(2人以上)の手取り率は平均82.8%(全国家計構造調査2024) 30歳未満世帯は85.2%、50代は80.6%と、年齢が上がるほど手取り率は下がる 単身世帯はさらに下がる 天引きの中身は大きく、厚生年金・健康保険・雇用保険・所得税・住民税の5つ 2026年度から「子ども・子育て支援金」が新しく健康保険料に上乗せされる(被保険者1人あたり初年度月250〜450円程度、5月から徴収開始) 40歳になると介護保険料も追加される 新社会人の年収帯(300〜400万円台)で言うと、「総支給22万円なら手取り約18万円、25万円なら手取り約20万円」が最初の感覚値です。額面と手取りの差4〜5万円が、毎月「将来の自分」と「社会」に消えていく構造になっています。 ここからが本題で、「なぜ引かれるのか」「全部ムダなのか」「若いうちに何をすればいいのか」を順番に解きほぐしていきます。 給与明細を分解する:天引きの正体はこの5つ 給与明細は、大きく分けて3つのブロックで構成されています。 支給(基本給+各種手当+残業代など) → これが総支給 控除(社会保険料+税金) → ここが天引きの正体 差引支給額(= 手取り) → 実際に口座に振り込まれる金額 控除の欄に並んでいる項目を、1つずつ分解します。 ① 厚生年金:料率18.3%(本人負担9.15%) 労使折半なので給与明細に出るのは9.15%。料率は2017年に18.3%で固定されて以降、名目上は上がっていません(後述「独身税」論争の伏線)。払った保険料は将来の年金額に比例して反映されます。 ② 健康保険:料率約10%(本人負担約5%) 健保組合・協会けんぽの支部で異なるが全体でおよそ10%、本人負担は5%前後。3割自己負担・高額療養費制度・傷病手当金など現在進行形でリターンがある保険なので、民間医療保険を検討する前にまず「すでに払っている保険」を思い出すのが先です。 ③ 雇用保険:料率0.6%(本人負担0.6%) 失業給付・育休給付・職業訓練の原資。負担額は小さく、いざというときの安心料と考えるとコスパは悪くありません。 ④ 所得税:超過累進税率(5〜45%) 年収に応じて税率が階段状に上がる仕組み。新社会人の年収300〜400万円帯なら課税所得は5〜10%帯に収まります。毎月概算で天引きされ、年末調整で精算。 ⑤ 住民税:税率10%(翌年課税) これが新社会人を2年目に襲う「第二の壁」です。 1年目:住民税ゼロ(前年所得がないため) 2年目:6月から前年所得ベースで課税開始 → 手取りが月1〜2万円減る 初任給で「意外と手取りあるな」と感じても、2年目6月にガクンと落ちる。私もここで「あれ、給料減った?」と明細を二度見した側です。 年収帯別・手取りシミュレーション 5つの控除項目を踏まえると、月の総支給と手取りの関係はおよそ次の通りです。住民税は2年目以降の課税、所得税は扶養なし単身者の概算値です。 総支給(月)手取り目安社保+税負担手取り率18万円約15.0万円約3.0万円83.3%22万円約18.2万円約3.8万円82.7%25万円約20.5万円約4.5万円82.0%30万円約24.3万円約5.7万円81.0%35万円約28.0万円約7.0万円80.0% ※住民税は2年目課税、所得税は標準的な扶養なし単身者の概算。2026年度から子ども・子育て支援金が上乗せされるため、実際の手取りはここからさらに月数百円程度下振れします。 総支給が上がるほど「税・社保の取り分」も増えて手取り率は下がっていく構造です。昇給してもなぜか「あまり増えた感じがしない」理由は、この手取り率の低下にあります。 2026年度から新登場:子ども・子育て支援金 朝日新聞の報道(2026-04-19付・中川透記者)によれば、2026年度(今年度)から「子ども・子育て支援金」が新設され、5月から徴収が始まります。 徴収方法:健康保険料に上乗せ 金額:被保険者1人あたり初年度(2026年度)は月250〜450円程度から開始し、段階的に引き上げ。2028年度に月450円前後で平準化する政府試算(収入や加入する健保組合で変動) 使途:児童手当の拡充、妊娠・出産時の給付、保育サービス拡充などの子育て支援 ポイント:子どもがいない人・独身の人も一律で負担 この「子どもがいない人も負担する」という設計が、ネット上で「独身税」と呼ばれて批判を集めています。 政府側の説明は「少子化は社会全体の問題であり、全世代で子どもを支える仕組みが必要」というもの。この見方自体は制度論としては一貫しています。 ここからは私個人の立ち位置を書きます。初年度月数百円なら正直、誤差レベル。問題はそこじゃない。気になっているのは2点です。 健保料率という「天井のない器」に乗せたこと。健保上乗せ方式は、料率さえ動かせば国会審議なしで上限を引き上げられる。2028年に月450円で本当に止まるのか、誰も保証していない 「全世代で支える」の建付けに、現役世代の負担超過が織り込まれていないこと。後述する所得再分配調査では、29歳以下世帯はすでに年40万円の払い超。そこへ「君も子育てを支えよう」と上乗せされる構造の説明が政府からはあまり聞こえてこない 私は子を持たない選択をしている独身ではありませんが、「独身税」と呼びたくなる気持ちは制度設計のあいまいさへの反発として理解できます。月額の金額より、拡張余地の大きさにこそ批判の目を向けるべきだと思っています。 なぜ厚生年金は18.3%で固定なのに、手取りは減っていくのか 「厚生年金料率は2017年から18.3%で固定されているはず。それなのに、なぜ手取り率は下がっていくのか?」 これは新社会人からもよく出る疑問です。答えはシンプルで、他の項目が増えているからです。 過去25年で静かに増えた項目 介護保険料の推移(全国平均・月額) 2075円 2000年度 4160円 2010年度 5869円 2020年度 6225円 第9期(2024-26年度) 出典: 厚生労働省(介護保険事業状況報告、第1号被保険者の全国平均月額保険料)。40歳から給与天引きで徴収される介護保険料(第2号被保険者分)もこのトレンドに連動して上昇しています。 40歳から始まる介護保険料は、制度創設当初(2000年度)の月2,075円から、第9期(2024〜2026年度)には全国平均で月6,225円まで約3倍に増えています。 ...

2026年4月24日 · HIKO

毎月分配型投信17本、10年後の結末|35%が償還で消滅していた

年収300万円代から資産形成をスタートした30代会社員のHIKOです。投資歴は11年(2015年NISAスタート)。保険業界で10年働いたあと、今はIT企業で会社員をしています。遠回りしたからこそ言える「やらなくていい失敗」を30代のリアル目線で発信しています。今回は、2015年に旧NISAで買って2年後に全部解約した毎月分配型投信17本が、解約から10年経った今どうなっているのかを一本ずつ追跡した話です。 先にこの記事の立ち位置を書いておきます。 2015年に旧NISAで毎月分配型投信を17本まとめ買いして、2017年に全解約し▲25万円を確定した話は、先に公開したこちらの記事で全貌を書きました。 → 旧NISAで毎月分配型投信に16本も手を出した失敗談|2015年の私が陥った「毎月おこづかい幻想」 今回の記事は、その続編というか、「自分が解約したあとの17本の行方」を2026年4月時点で全部追いかけた、という内容です。 なぜ今さら調べたかというと、「もしあのとき解約せずにホールドしていたら、今どうなっていたんだろう」という素朴な疑問があったからです。10年ってそれなりの期間で、当時20代だった私が30代になる時間幅です。ファンドの運命もそれなりに動いていました。 先に結論だけ書きます。 17本中、6本はすでに償還済み(=運用終了・強制現金化) 17本中、10本は2026年4月現在も運用継続中 17本中、1本は同名で追跡できず(リネームor統合の可能性) 率にすると 17本中6本(35%)が10年以内に消滅=「3本に1本は強制終了」 という結果でした。 「買った投信そのものが消える」というのが、毎月分配型の地味だけど一番重い構造リスクだと今は思っています。以下、1本ずつ見ていきます。 17本の10年後マップ(2026年4月時点) 先にサマリを1枚で見せます。 毎月分配型投信17本 10年後のステータス(本数) 6本 償還済 10本 運用継続中 1本 追跡不能 2026年4月時点、各運用会社の公式サイト・目論見書・運用報告書で確認。ステータス判定は運用継続/繰上償還/満期償還/同名ファンド確認不可の4区分。 17本中6本(35%)が10年以内に消滅=「3本に1本は強制終了」。これが、10年追いかけてみて一番インパクトが大きかった数字です。 たとえば償還済みの1本「アジア・エクイティ・インカム・ツインα(毎月分配型)」は、当時の運用会社(国際投信投資顧問、現:三菱UFJアセットマネジメント)が発行した臨時報告書・繰上償還のお知らせPDFで、2020年8月11日に純資産総額の減少を理由に繰上償還と確認しました。このように「どの会社のどの書類で確認したか」を1本ずつ突き合わせていく作業です。 株と違って、投信の「償還」は自分の意思と関係なく訪れます。運用会社が「このファンドはもう維持できない」と判断したら、持っているかどうかに関わらず運用終了=基準価額で強制現金化されます。損切りタイミングすら自分で選べないということです。 ① すでに償還済み(6本) まず、消えていった6本から。 1. グローバル・リート・トリプル・プレミアム・ファンド(毎月分配型) 2024年12月17日、満期償還 設定日から運用期間を決め打ちしている「償還日設定型」で、満期まで持って終了したタイプ 私がこの記事の前編で「ワースト2位 ▲62,235円」とした張本人です。三階建てREITの典型で、通貨選択・オプションを重ねた商品設計でした。満期日が決まっていたおかげで、持ち続けた人も「いつ終わるか」は見えていた分、繰上償還よりは筋が通った終わり方だったと思います。 2. 日本株ハイインカム(毎月分配型)ブラジルレアルコース 2017年12月22日、償還 私が解約した2017年7月から、わずか5ヶ月後です。同じコースの「円コース」も同日に償還されています。 ブラジルレアルが長期下落トレンドに入っていた時期で、分配金利回りを演出するために通貨ベットを乗せる商品は、通貨が崩れた時点で存在意義を失います。購入者としては「買って2年半で投信そのものが消えた」というレア体験。もし解約していなかったら、強制現金化で損失が確定していた形です。 3. アジア・エクイティ・インカム・ツインα(毎月分配型) 2020年8月11日、繰上償還 こちらは「繰上償還」なので、当初の運用予定期間より前倒しで終了したタイプ 私が前編で「ワースト4位 ▲23,526円」としていたファンドです。高配当アジア株にオプションプレミアム戦略(ツインα)を乗せるという、これも凝った商品。繰上償還に至った背景は運用報告書を読む限り、純資産総額が維持ラインを下回ったためと推察できます。 繰上償還の怖さは、投資家が「もう少し待てば回復するかも」と思っていても、運用会社が見切りをつけると問答無用で終わらせられることです。 4. ニッセイブラジル高配当株ファンド(毎月決算型) 2021年9月28日、償還 ブラジルレアル系がこれで2本目の退場。2015〜2020年代前半にかけてブラジル関連ファンドはかなりの数が償還されていて、このファンドもその一つでした。 5. 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル) 2025年8月15日、満期償還 設定当初からの償還日設定型で、10年ほど運用して満期を迎えた形。ただし「トリプルエンジン」というネーミングの通り、米国REIT × 通貨選択(レアル)× 何らかのブースト戦略、の三階建てで、満期まで持った投資家の手元にどれだけ残ったかは想像したくないタイプです。 ...

2026年4月23日 · HIKO

旧NISAで毎月分配型投信に17本も手を出した失敗談|2015年の私が陥った「毎月おこづかい幻想」

年収300万円代から資産形成をスタートした30代会社員のHIKOです。投資歴は11年(2015年NISAスタート)。保険業界で10年働いたあと、今はIT企業で会社員をしています。旧NISAの10年を振り返るといろいろ失敗していますが、今回はその中でも一番の「黒歴史」、毎月分配型投信を一気に17本まとめて買ってしまった話をします。遠回りしたからこそ言える「やらなくていい失敗」の実例として読んでもらえたら嬉しいです。 結論を先に書きます。 2015年に旧NISAで毎月分配型投信を17本まとめて買い、2年間保有した結果、 投入元本:1,029,926円 解約で戻ってきた金額:778,933円 受取分配金(税引後・2年強の累計):約29,640円 実質の損益:約▲221,000円(非課税枠103万円を使って約22万円失った) という、旧NISAで一番やってはいけない使い方をやり切ったのが私です。以下、楽天証券の取引履歴CSVから全17本分の確定損益を洗い出して振り返ります。 2015年、私は毎月分配型投信を17本買った 今振り返ると、自分でも意味がわかりません。 2015年、旧NISAを始めた直後の私は、毎月分配型の投資信託を17本、同時に旧NISA口座で買っていました。金額としては枠100万円のうちの大半(約103万円)をそれに充てていました。 楽天証券の取引履歴CSV(adjusthistory(JP)_20260423)で確認した、購入したファンドのフルラインナップがこちらです。 日本株アルファ・カルテット(毎月分配型) グローバル・リート・トリプル・プレミアム・ファンド(毎月分配型) 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型 日本株ハイインカム(毎月分配型)ブラジルレアルコース 日本株ハイインカム(毎月分配型)円コース 好配当グローバルREITプレミアム・ファンド 通貨セレクトコース(トリプルストラテジー) ニッセイブラジル高配当株ファンド(毎月決算型) ニッセイ パトナム・毎月分配インカムオープン アジア・エクイティ・インカム・ツインα・ファンド(毎月分配型) MHAMトリニティオープン(毎月決算型)(ファンド3兄弟) T&D 世界優良株ファンド(毎月決算型)(プライムコレクション) 国際オーストラリア債券オープン(毎月決算型) 明治安田日本債券ファンド(ホワイトウィング) 三井住友・げんきシニアライフ・オープン グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(健次) ニッセイ 健康応援ファンド DIAM DLIBJ公社債オープン(中期コース) ……改めて書き出すと、完全に「毎月分配型投信の闇セット」です。ブラジルレアル、トルコリラ的通貨選択、トリプルエンジン、ファンド3兄弟。ひと昔前の『毎月おこづかい系投信』の典型が全部入っています。 これを、よりにもよって非課税の旧NISA枠を使って買っていました。ここが一番の失敗です。 なぜ毎月分配型を買ってしまったのか 2015年当時、私が毎月分配型に惹かれた理由は、今思えばシンプルでした。 「毎月お金が振り込まれる」という響きに弱かった 分配金利回り10%超の表記を見て『NISAで非課税なら最強じゃん』と思った 銀行や証券会社の売れ筋ランキング上位だった 商品名がカッコいい(トリプルエンジン、ツインα、ファンド3兄弟) ほぼ完全に、見た目と響きだけで選んでいました。 20代の私は、投資を「毎月の副収入」のように考えていました。給料とは別に毎月1万円、2万円が振り込まれる口座がある、という絵を本気で描いていた。お金の本を何冊か読んでいたはずなのに、「毎月分配型は元本取り崩し」という最重要の注意点が、なぜかスポッと抜け落ちていました。 2年保有した結果:受取累計は約29,640円 実際どうだったか。楽天証券のCSVで、2015年5月から2017年7月までの分配金受取額を年次で集計するとこうなります。 旧NISA 毎月分配型投信の年次受取額(円・税引後) 11921円 2015年 15456円 2016年 2263円 2017年 楽天証券 配当CSV(dividendlist_20260422)より/旧NISA口座 投資信託カテゴリのみ集計/受取金額ベース(特別分配金=元本払戻は含まない) 3年分合わせて、受取累計は約29,640円。 ...

2026年4月23日 · HIKO

クラウドクレジットで381万円・309本に投資した結果【30代の実体験・実績利回り年3.12%】

📢 【お知らせ】クラウドクレジットは2024年4月1日付でバンカーズに統合されました 運営会社が株式会社バンカーズに移管され、「CROWD CREDIT」プラットフォームのサービス名・サービス内容自体に変更はありません。投資家側の手続きも不要です。本記事は旧クラウドクレジット時代の投資を、現バンカーズのマイページで確認した実数字で振り返ったものです。 → 株式会社バンカーズ・ホールディング プレスリリース(2024年2月22日) 381万円・309本に投資して、実績利回りは年3.12%でした クラウドクレジット(現バンカーズ)に投資していました。 数字を先に出します。マイページの「償還済みファンド」を全件合計した実数字です。 出資総額:¥3,810,000(全309本) 償還済み損益:+¥167,939 運用中(遅延)残高:¥73,280(7本・すべて遅延) 平均当初予定利回り:年8.93% 平均実績利回り:年3.12% ソーシャルレンディング309本の予定利回り vs 実績(%) 8.93% 当初予定 3.12% 実績 予定の約3分の1。高利回りは『夢』に近い数字だった 数字だけ見ればかろうじてプラス。でも、予定利回りの3分の1強しか取れていません。そして遅延中の7本(¥73,280)は全損すれば最終損益は+¥94,659まで縮みます。 9年近くお金を預けた結果としては、ほぼトントンが現実です。 この記事は、そのリアルな実体験を正直に書いたものです。 私のプロフィール(投資開始当時) 30代前半・都内会社員 手取り月35万円前後 家賃:港区1K・16万円 毎月の余裕:3〜4万円 ファンド選びの基準:ほぼ「当初予定利回り年10%以上」のものを優先 「普通に貯金しても増えない。どうせやるなら二桁利回りだ」——そう思って探し始めたのがきっかけです。 実際、309本のうち115本(約37%)が予定利回り10%超のファンドでした。今振り返ると、この「10%縛り」こそが一番のリスク源でした。 クラウドクレジットとは? クラウドクレジットは、海外の中小企業や個人への融資を仲介するソーシャルレンディングサービスです。 投資家がお金を出して、海外の借り手に貸し付ける 利息収入を投資家に還元する仕組み 当時の募集ファンドは予定利回り年10〜13.5%(私の投資範囲) 当時の私には「低リスクで高利回り」に見えました。でも、それはリスクを正しく理解していなかっただけでした。 そしてもう一つ、投資を後押ししたのが創業者の存在です。当時のクラウドクレジット創業者はとても聡明な方で、インタビュー記事や登壇資料を読むたびに「この人が作ったサービスなら信頼できる」と感じました。さらに、自分のお金が途上国の中小企業や個人の資金需要につながる——利回りを取りながら社会貢献にもなる、という建て付けに強く共感したのも事実です。投資を始めた動機としては、利回りと同じくらい、この「世界のどこかの役に立てる」という感覚が大きかったと思います。 実績サマリ(マイページ実数字) 項目数値投資した本数309本出資総額¥3,810,000償還済み損益+¥167,939運用中(遅延)残高¥73,280(7本)平均当初予定利回り年8.93%平均実績利回り年3.12%利益で終わったファンド227本(73.5%)赤字で終わったファンド82本(26.5%) 4本に1本は赤字で終わっています。かろうじてプラスなのは「当たった案件」の上振れが「外れた案件」の下振れをぎりぎり上回っただけ。仕組みとして安全だったわけではありません。 儲かったファンド:大当たりは「タンザニアシリング建て」 全体はぎりぎりプラスですが、個別に見るとはっきり勝っていた案件もあります。予想外に刺さったのはタンザニアシリング建て 東アフリカ金融事業者支援ファンドです。 ファンド出資額当初予定実績利回り損益東アフリカ金融11号¥50,00012.4%25.75%+¥26,389東アフリカ金融12号¥20,00012.5%27.25%+¥11,546東アフリカ金融16号¥20,00012.3%26.73%+¥11,172東アフリカ金融18号¥20,00012.2%25.36%+¥10,633東アフリカ金融15号¥20,00012.4%23.9%+¥9,918 予定利回り12%台のものが実績20%台後半まで伸びた形です。これは金利に加えてタンザニアシリング対円の為替差益が効いた結果でした。 メキシコペソ建て(中部メキシコ中小企業向けローンファンド4号:予定11.5%→実績40.34%)なども同じパターンで、新興国通貨が対円で強含んだ時期の円安恩恵が大きかったです。 ただし、後述するように、これは単に為替が追い風だっただけです。逆に吹けば、同じ仕組みで同じだけ損します。 負けたファンド:確定損失の実例 一方で、しっかり元本を削られた案件も多数あります。 全損(▲100%) ラスベガス商業施設再開発事業者支援ファンド1号:¥10,000出資 → ▲¥10,000(全損) 「米国不動産だから安全そう」というイメージだけで買ったのが正直なところです。結果は元本ゼロで運用終了。 ...

2026年4月21日 · HIKO

旧NISAで個別株投資に失敗した話|買える金額で銘柄を選んでいた私の後悔

NISAを始めた当初、私は「何を買えばいいか」がまったくわかっていませんでした。銘柄を選ぶ基準がなく、気づけば「自分が買える金額かどうか」だけで選んでいました。その結果どうなったか。今回は正直に振り返ります。 2015年、NISAを始めたものの… 2015年にNISAを始めました。「非課税で投資できるならやらないと損」という気持ちだけで口座を開設したものの、最初に直面したのは「どの株を買えばいいかわからない」という問題でした。 投資の知識もなく、企業分析もできない。結果として私がとった行動は、証券会社のランキングや株価を眺めて、“1単元10万円以内で買える銘柄"から選ぶというものでした。 今思えば、これが最初の間違いでした。 「買える金額」で選ぶと何が起きるか 1単元(100株)あたり10万円以下で買える株というのは、株価が1,000円以下の銘柄です。 当時の主な購入銘柄と株価はこんな感じです。 銘柄購入単価投資額(100株)コナカ738円73,800円丸紅746円74,690円朝日放送700円70,000円エスクリ1,069円106,900円ディア・ライフ360円36,000円 「安い=割安」ではありません。でも当時の私にはその区別がついていませんでした。 コロナショック(2020年)で現実を突きつけられた 個別株投資を続けた2015〜2020年の間、銘柄を入れ替えながら少しずつ増やしていきました。そして2020年、コロナショックが来ました。 保有していた多くの銘柄が一斉に急落。当時の私はパニックになり、含み損が拡大するなかで次々と売却していきました。 主な売却実績(2020年) 銘柄購入単価売却単価損益(配当含む)青山商事4,115円約565円−310,960円中北製作所3,825円約2,485円−106,000円エスクリ1,069円約300円−71,250円丸三証券971円約400円−41,500円オリックス1,860円約1,151円−46,165円 2020年コロナ売却 主要銘柄の損失(円) ¥-310960 青山商事 ¥-106000 中北製作所 ¥-71250 エスクリ ¥-46165 オリックス ¥-41500 丸三証券 パニック売りで合計50万円以上の損失を確定させた 特に青山商事は-31万円という、口座残高を見るのが怖くなるレベルの損失でした。 売らずに塩漬けたケースの代表例:コナカ(7494) コロナで一気に売った銘柄がある一方で、「売らずに塩漬け続けた銘柄」の代表がコナカです。NISA初年度の2015年5月21日に738円×100株=73,800円で購入したスーツ専門店です。 その後、株価は200〜400円台で長く推移して、含み損のまま9年5ヶ月持ち続けました。途中で損切りせず、旧NISAの非課税枠で配当だけを年2回受け取り続けた結果、配当累計は16,000円(1株10円×100株×16回)。 そして2024年11月26日、旧NISAの非課税期間が2024年末で終わるタイミングに合わせて、次のクロス取引をしました。 旧NISAの100株を247円で売却(取得738円→売却247円で確定損 -49,100円) 同じ日に特定口座で100株を248円で買い戻し(取得単価を248円にリセット) 銘柄としては今も100株保有していますが、口座区分は旧NISAから特定口座へ、取得単価は738円から248円へ切り替わっています。 項目金額旧NISA購入額(2015年)73,800円旧NISA売却額(2024/11/26)24,700円旧NISA確定損-49,100円旧NISA配当累計(16回・非課税)+16,000円特定口座買戻し(同日)24,800円確定損益合計約-3万円 「NISAは損失が出ても損益通算できない」実例 このコナカのクロス取引は、NISAの落とし穴を体感する実例になりました。 特定口座であれば、-49,100円の損失は同じ年に出た株式利益や配当と相殺できます。さらに余った損失は3年間繰り越して翌年以降の利益とも相殺できます。これが「損益通算」と「損失の繰越控除」です。 ところがNISA口座は非課税であることと引き換えに、この仕組みがまったく使えません。私の-49,100円は、税制上は完全に「無かったこと」として扱われます。同じ2024年に他の銘柄で利益を出していても、コナカの損失はぶつけられません。翌年以降に持ち越すこともできません。 この点が、個別株をNISAでやることの最大のリスクだと、自分で経験して初めて腹落ちしました。「非課税枠なんだから一番上がる銘柄を入れたほうが得」という考え方は、当たればその通りなのですが、外したときの損失リカバリーが税制で潰されます。インデックスファンドのように長期で右肩上がりが期待しやすい商品ならまだしも、個別株でこのリスクをわざわざ取る必要はあるのか、と今は思います。 なお、2024年からの新NISAも同じ仕様です。新NISA口座で出た損失も損益通算・繰越控除はできません。「新NISA成長投資枠で個別株を買うか」を考えるときは、この点を必ず織り込んで判断したほうが安全です。 「売らなければよかった」と今でも思う コロナショックで売却した銘柄の多くは、その後数年で株価が戻りました。 青山商事は一時的に急落しましたが、その後はアパレル不況の中でも事業を立て直しています。オリックスにいたっては、売却後に配当を大幅に増額しました。売るタイミングが最悪でした。 でも、後悔してもしかたない。問題は「なぜその判断をしてしまったか」です。 青山商事-31万円:人生最大の失敗の中身 旧NISA10年で最大の失敗が、2017年1月に青山商事を1株4,115円で100株購入したことです。投資額411,500円。購入理由は「スーツの青山なら有名企業だし、株価が下がっているから割安、配当利回りも高い」というものでした。 今振り返ると、「株価が下がっている=割安」という判断が致命的な間違いでした。株価の下落はアパレル業界の構造変化・スーツ離れという業績悪化のシグナルだったのに、当時の私はそれを業界分析せずに「割安」と読み替えてしまった。 2020年7月のコロナ売却時の数字はこうです。 項目金額購入額411,500円売却額56,540円配当合計44,000円損益-310,960円 41万円を投じて、戻ってきたのは売却・配当合わせて約10万円。配当44,000円は株価損失-310,960円の14%しか回収できていません。「配当で取り返す」は実質無理でした。この経験を経て、私が今使っている高配当株のチェックリストは次の4項目です。 売上・営業利益は直近3〜5年で成長しているか 配当性向は100%以下か 配当利回りが極端に高すぎないか(5〜6%以上は要注意) 株価が下がっている理由を自分の言葉で説明できるか 青山商事はこの4項目のうち、どれも確認していませんでした。「利回りが高い・株価が下がっている・有名企業」という見た目の安心感だけで41万円を投じた結果が、人生最大の-31万円です。 ...

2026年4月20日 · HIKO