配当300万円=元本7500万円ではない|私のKDDIが利回り10%になっていた話

SNSで「年間配当金300万円達成」という投稿を見ると、多くの人がこう逆算します。 「配当利回り4%として、元本は7,500万円か。すごいな」と。 私自身も、配当300万円の人を見るたびに「元本7,500万円か…」と勝手に計算していました。でも、自分の保有株の数字を改めて見直したとき、この逆算は長期で持っている人にはまったく当てはまらないと気づきました。 きっかけは、私が11年前から持っているKDDI株でした。 配当利回りは「今の株価」に対する数字でしかない 配当利回りは、こう計算します。 配当利回り(%)= 1株あたり配当金 ÷ 今の株価 × 100 ここで大事なのは、分母が「今の株価」だということです。 たとえば配当が1株150円の株があったとして、今の株価が3,750円なら利回りは4%です。でも同じ会社の株を、株価1,500円のときに買っていた人にとっては、150 ÷ 1,500 で利回り10%ということになります。 同じ会社の、同じ配当金です。なのに、利回りはまるで違う。 何が違うかというと、買ったときの株価が違うだけです。 つまり「配当利回り4%」というのは、今この瞬間に買う人にとっての数字であって、もう何年も前に安く買って持っている人には当てはまりません。 YOC(取得単価ベース利回り)という考え方 この「買ったときの株価で計算した利回り」を、英語でYield on Cost(イールド・オン・コスト)、略してYOCと呼びます。日本語にすると取得単価ベースの利回りです。 一般的な配当利回り … 1株配当 ÷ 今の株価 YOC … 1株配当 ÷ 自分が買ったときの株価 長期で配当株を持っていると、この2つの数字はどんどん離れていきます。 理由は2つあります。 株価が上がると、後から買う人の利回り(今の株価ベース)は下がるが、安く買った自分のYOCは変わらない 増配が続くと、分子の配当そのものが増えていくので、自分のYOCはさらに上がっていく 時間をかけて持っているほど、自分だけ高い利回りで配当を受け取れる状態になっていく、ということです。 もちろん、これは万能の話ではありません。増配が止まったり、減配したりすればYOCは育ちません。株価が買値を下回ったまま戻らないこともあります。YOCが勝手に育つのは、あくまで「増配が続き、株価も大きく崩れなかった」場合に限る、という前提は最初に押さえておいてください(私自身の失敗例は後半で正直に書きます)。 実例:私のKDDIは取得単価ベースで利回り10%を超えていた 抽象論だけだとピンと来ないので、私の保有株で説明します。 私はKDDI(9433)を200株、平均取得単価1,419円で持っています。買ったのはかなり前で、その後の株価上昇と株式分割(KDDIは2025年に1株を2株に分割しています)を経て、含み益は+22万円ほど(取得額に対して+77%前後)になっています。 ここで利回りを2通りで見てみます。分割の影響を除くため、配当も取得単価も「分割前ベース」に揃えて比べています。 計算の分母ざっくりの利回りこれから買う人今の株価(取得時の約2倍)3%前後私(取得単価ベース=YOC)1,419円約10% なお、私の取得単価ベースの利回りは正確に計算すると約11.8%です(分割前換算の配当168円 ÷ 取得単価1,419円)。この記事ではわかりやすさを優先して「約10%」「10%超」と表現しています。 同じKDDIの配当を受け取っているのに、今から買う人の利回りは3%前後、私の取得単価ベースだと10%を超えています。 何か特別なことをしたわけではありません。ただ、安いときに買って、売らずに持ち続けただけです。その間にKDDIは増配を続け、株価も上がりました。だから私のYOCだけが勝手に育っていった、というのが正直なところです。 KDDIは長く増配を続けてきた会社として知られています(※将来の増配を保証するものではありません)。私が何か上手かったわけではなく、増配してくれる会社をたまたま長く持っていられた、というだけの話です。 ちなみに、これはKDDI特有の現象ではありません。長く増配を続けてきた会社であれば、同じことが起こり得ます。私自身が保有しているJTもそうですし、世間で連続増配株として名前が挙がる三菱HCキャピタルやオリックスなども、長く持っている人ほどYOCが育っている可能性があります(※いずれも私が銘柄を推奨しているわけではなく、増配が続いた場合に起きる現象の一般的な例です)。 だから「元本7,500万円」の逆算は外れる ここで最初の話に戻ります。 「年間配当300万円なら、利回り4%で元本7,500万円」という逆算。 でも、もしその人が私のKDDIのように取得単価ベースで利回り8%や10%の株を中心に持っていたら、必要な元本は半分以下になります。 利回り4%で年300万円 … 元本7,500万円 利回り8%で年300万円 … 元本3,750万円 利回り10%で年300万円 … 元本3,000万円 もちろん全部の株がYOC10%になるわけではありません。私のポートフォリオにも、まったく増配の恩恵を受けられなかった株はあります。後で正直に書きます。 ただ、「配当300万円=元本7,500万円」という逆算は、今の利回りで計算している時点で、長期保有者の実態からはズレているということです。SNSの数字を見て「自分には無理だ」と感じる必要はありません。 一方で、YOCが効かなかった私の失敗例 YOCの話は希望のある話ですが、これは「増配が続いて、株価も下がらなかった」場合に限ります。逆のパターンも、私はしっかり経験しています。 私が人生で初めて単元株を買ったのは、2015年のコナカ(7494)でした。738円で100株。旧NISAでした。 ...

2026年6月4日 · HIKO

旧NISAから新NISAへの移行を全公開/2024年に私が下した判断と1年後の検証

2024年1月から新NISAが始まりました。同時に、旧NISAで持っていた銘柄を「ロールオーバーするのか」「特定口座に移管するのか」「売って新NISAで買い直すのか」を選ぶ判断が、誰にでも降りてきました。 私の場合、2015年から旧NISAで個別株を中心に積んできた残高が複数あり、移行の判断は1銘柄ずつ違う答えになりました。きれいに「全部こうしました」とはいきませんでした。 この記事では、その判断ロジックと、1年経った今の検証をすべて公開します。とくに、9年5ヶ月塩漬けにしていたコナカ株を、2024年11月26日に「旧NISAで247円売却→同日特定口座で248円買戻し」というクロス取引で処理した一次体験は、ネット上にもほとんど書かれていない実例なので詳しく書きます。 平成生まれ30代、川崎市在住、夫婦二人暮らしのHIKOです。投資歴11年(2015年NISAスタート)、保険業界10年からIT企業に転職、FP2級保有。最初の個別株は738円で買ったコナカ(7494)で、いまも特定口座に100株保有継続中です。最大の成功はJTの+376,930円、最大の失敗は青山商事の-310,960円。NISAという制度をフル活用してきたつもりが、移行のタイミングで「制度の限界」と「自分の判断ミス」が両方あぶり出された、という記事になります。 この記事はこんな人に向けて書いています。 旧NISAの非課税期間が終わる銘柄を、移管か売却か迷っている 新NISA成長投資枠を、旧NISA銘柄の買い直しに使うかどうか決めかねている 移管後の取得単価がどう扱われるかが正直よく分かっていない 旧NISAで含み損になった銘柄を「損切りして損益通算したい」と思っている 1年経過後、実際の手取り配当がどう変化したかの実例を知りたい 結論:私は「3パターン使い分け+1銘柄はクロス取引」で旧NISAを解体しました 最初に結論から書きます。私は旧NISA保有銘柄を以下の4処理に振り分けました。 処理主な対象判断基準自動移管(待つ)軽微な銘柄判断する手間に対してリターンが見合わない銘柄クロス取引で取得単価リセットコナカ(7494)含み損のまま長期保有予定だが、移管後の損益管理を簡単にしたい銘柄売却(益出し)JT(2914)含み益が大きく非課税のうちに利益確定したい銘柄売却(損切り)→新NISAで買い直さない青山商事・中北製作所銘柄選定の失敗を認めて資金を別へ振り向けるもの ロールオーバー(旧NISA→新NISA)はできません。 これが2024年改正の重要ポイントで、誤解している人がまだ多いです。詳しくは次のセクションで書きます。 大前提:旧NISA→新NISAへの「ロールオーバー」は廃止されました まず制度の話を整理しておきます。これを誤解したまま判断すると、後悔します。 2023年までの旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)には、5年または20年の非課税期間がありました。一般NISAの場合、非課税期間が終わる年に「翌年の新しい非課税枠にロールオーバー(移管)する」ことで、非課税期間を延長できる仕組みがありました。 ところが、2024年からの新NISAスタートに伴い、この旧NISA→新NISAへのロールオーバーは制度として廃止されました。旧NISAの非課税期間が終わった銘柄は、自動的に特定口座(または一般口座)に払い出されることになります。 つまり、旧NISA銘柄に残された選択肢は、実質的に次の3つです。 非課税期間終了を待ち、特定口座に自動移管される(何もしない) 非課税期間内に売却する(益が出ていれば非課税で利益確定) 非課税期間内に売却し、新NISA成長投資枠で買い直す 「ロールオーバーで非課税延長」はもう選べません。私の場合、2015年に買ったコナカは2019年末で5年の非課税期間が終わったので、当時はロールオーバーで非課税を延長していました。延長後の非課税期間は2024年末で終了するため、2024年中に何らかの判断を下す必要がありました。 コナカ(7494):旧NISA247円売却→同日特定248円買戻しというクロス取引 ここが今回の記事の核です。ネット上の旧NISA移行記事はほとんどが「自動移管された/売却した/買い直した」の3択しか書いていませんが、私はもう一つの選択肢を取りました。 何をしたか 2024年11月26日、私は楽天証券の口座で次の取引を1日のうちに実行しました。 取引口座価格株数金額売却旧NISA247円100株24,700円買戻し特定口座248円100株24,800円 取得時738円×100株 = 73,800円なので、旧NISAで247円売却した時点で確定したのは -49,100円の譲渡損です。一方、買戻しによって特定口座に取得単価248円のコナカ100株が新規建玉として立ちました。 スプレッドは1円×100株 = 100円。手数料は楽天証券の現物売買手数料コース(私は一日定額コース)を使ったので0円。実質コスト100円で「旧NISA口座を清算しつつ、特定口座に取得単価をリセットした状態でコナカを引き継ぐ」ことができました。 なぜ自動移管ではなくクロス取引にしたか 自動移管を待つ場合、2024年末の最終取引日終値(仮に250円とする)が特定口座の取得単価として記録されます。これでも「移管後の取得単価リセット」自体は起きるので、結果はクロス取引と似ています。 それでも私がクロス取引を選んだ理由は3つあります。 タイミングを自分で選べること。年末の最終週は流動性が薄く、終値が想定外に動くリスクがある。11月の落ち着いた相場で処理したかった 取引履歴が明確に残ること。「旧NISA247円売却・特定248円買戻し」という記録が残ることで、将来このコナカを売却するときに「実際の本当の買値は738円だったが、税務上の取得単価は248円」という説明が自分に対しても明確になる 配当金の口座区分を早めに切り替えたかったこと。2024年内に特定口座の建玉にしておけば、2025年以降の配当金は特定口座の源泉徴収扱いに切り替わる クロス取引のメリット・デメリット整理 項目自動移管(待つ)クロス取引(自分で実行)手数料0円スプレッド+売買手数料(私の場合100円)タイミング12月末最終日に自動自分で選んだ任意の日取得単価その日の終値売却・買戻し当日の約定値取引履歴「払出」という形で残る売却・買戻しの2レコードが明確に残る損益通算できない(旧NISAの損は通算不可)できない(同上) ポイントは、いずれにしてもNISAの売却損は損益通算できないという点。これが次のセクションの落とし穴の話に直結します。 NISA損益通算不可という落とし穴 NISAの一番見落とされやすい仕様がこれです。 何が起きるか 通常、特定口座で株式を売却して譲渡損が出た場合、その損失は同年内のほかの譲渡益や配当益と損益通算でき、節税につながります。3年間の繰越控除も使えます。 ところが、NISA口座(旧・新どちらも)で発生した売却損は、 同年内の特定口座の譲渡益と損益通算できない 翌年以降の繰越控除に使えない 配当課税との通算もできない **「税金がかからない代わりに、損が出ても税務上の救済も一切ない」**というのがNISA口座の正体です。 私のコナカで具体的に何が起きたか 旧NISAでの売却損 -49,100円は、税務上は完全に「ないもの」として扱われます。 たとえば私が同じ年に特定口座で別の銘柄を売却して+50,000円の譲渡益が出ていた場合、 通常の特定口座同士の取引であれば、この+50,000円とコナカの-49,100円を相殺して、譲渡益はわずか900円。税金は20.315%×900円 = 約183円で済む ところが、コナカの売却損は旧NISA発のため通算できず、+50,000円の全額が課税対象になる。税金は20.315%×50,000円 = 10,158円 つまり、NISAで含み損になった銘柄を「損切りで節税」しようとしても、まったく節税にならないのです。これは旧NISAも新NISAも同じ仕様です。 じゃあクロス取引は無意味だったのか いいえ、無意味ではありません。クロス取引の目的は「節税」ではなく「税務上の取得単価のリセット」と「保有口座の整理」です。 私のコナカは特定口座に取得単価248円で再スタートしたので、もし将来400円まで上がって売却した場合、譲渡益は (400-248)×100 = 15,200円。税金は20.315%×15,200円 = 3,088円。本当の買値738円基準では大きな含み損のまま売っているのに、税務上は譲渡益として課税されるという捻じれた結論になります。 ...

2026年5月5日 · HIKO

2026年4月末の資産配分(アセットアロケーション)と保有商品、今後の投資方針

2026年5月3日にマネーフォワードMEから取得した私の投資ポートフォリオは、合計で27,892,957円(約2,790万円)でした。投資歴11年(2015年スタート)の積み上げ結果を、株式・投資信託・企業DC・ソーシャルレンディングまで含めて全部公開します。半年に一度、自分の資産配分を晒して振り返る記事の第1弾です。 平成生まれ30代、川崎市在住の会社員HIKOです。投資歴11年・FP2級・コナカ株(738円購入)を今も塩漬けで保有中、青山商事ではマイナス31万円を確定させた実績つき。等身大の数字でいきます。 なお、本記事の集計対象は「投資ポートフォリオ」のみです。現預金・公的年金(国民年金・厚生年金)は含めていません。理由は、これらを含めると「自分が能動的に配分を選んでいる資産」のバランスがぼやけてしまうためです。半期ごとに比較する数字としては、能動運用部分だけを切り出したほうが意思決定の振り返りに使えると感じています。 なぜ半期ごとに資産配分を公開するのか 私の投資方針はシンプルで、 個別株は基本ホールド、配当を受け取り続ける 新規資金はオルカン中心の積立に回す 企業DC(S&P500)は給与天引きで放置 の3本柱です。これを11年続けてきて、今のところ大きく崩していません。 ただ、相場が動くと比率は勝手に変わります。株式が上がれば株式の比率が上がり、投資信託の積立が積み上がれば投資信託の比率が上がる。自分が能動的に配分を変えていなくても、半年経つと中身は意外と動いている、というのがここ数年の実感です。 なので、半期に一度、 今どの資産クラスに何%置いているか 半年前と比べてどう動いたか このまま行くか、リバランスするか を、自分用のメモとして書き残しておくことにしました。読んでくださる方には「30代会社員のリアルな資産配分の一例」として参考になればと思います。 投資ポートフォリオ全体像(2026年4月末時点) まずは全体像です。マネーフォワードMEで紐付けている口座から、投資カテゴリだけを抽出して集計しました。 カテゴリ金額(円)比率株式(現物)81銘柄22,946,94682.27%投資信託3,699,08613.26%企業DC(S&P500)1,173,6454.21%ソーシャルレンディング(バンカーズ)73,2800.26%合計27,892,957100.00% 可視化するとこうなります。 投資ポートフォリオ 資産クラス別構成比(%) 82.27% 株式(現物) 13.26% 投資信託 4.21% 企業DC 0.26% ソシャレン 2026年4月末時点の投資ポートフォリオ27,892,957円の内訳。マネーフォワードMEから取得。現預金・公的年金は除外。 ぱっと見て分かる通り、国内個別株が82%超で偏りはかなり大きいです。投資信託13%・企業DC4%・ソーシャルレンディングは0.3%にも届きません。 この配分は教科書的なバランス型からは外れていますが、これが11年積み上げた結果としての「私のポートフォリオ」です。次のセクションから、それぞれのクラスをもう少し詳しく見ていきます。 資産クラス別の中身 国内個別株:81銘柄で22,947,000円 楽天証券で22,727,938円、自社持株会保有分が219,008円で、合計は22,946,946円です。81銘柄に分散しています。含み益の合計は+3,893,144円で、含み益率はざっくり+20%前後です。 「なぜ82%も個別株に置いているのか」については、投資を始めた2015年当時、1単元10万円以下で買える銘柄を中心に拾っていったことが起点になっています。安い銘柄を少しずつ買い足し、配当が出る銘柄を中心にホールドしていたら、11年で81銘柄に膨らんだ、という形です。意図して攻めた配分というより、結果的に積み上がった配分です。 「今から組み直すならインデックス中心にする」のが正直な気持ちですが、含み益+390万円分を確定させる気はないので、当面は基本ホールドで配当を受け取り続けます。新規資金は個別株には原則回しません。 ちなみに自社持株会保有分(21.9万円)も、形式的には現物株です。会社の制度として給与の一部から拠出している分で、額としてはポートフォリオの1%未満なので、本記事では個別の銘柄分析には含めません。 投資信託:3,699,086円(オルカン中心) 投資信託は3本持っていますが、実質的にはオルカン1本です。 ファンド評価額(円)含み益率eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)3,696,937+32.03%eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)1,600スポットGS米ドルファンド550(MMF残) オルカンは新NISAの積立投資枠で毎月コツコツ積み立てています。1,040,248口で評価額3,696,937円、含み益率+32.03%は素直に良い結果です。S&P500とGS米ドルファンドは過去のスポット買いの残債のようなもので、ポートフォリオへの寄与はほぼゼロです。 ...

2026年5月3日 · HIKO

個別株11年、TOPIXに勝てなかった話|73銘柄2,194万円の業界別ポートフォリオ全公開

2026年5月2日時点で楽天証券にある個別株73銘柄、評価額の合計は21,937,150円でした。取得元本は18,131,316円、含み益は+3,805,832円(+21.0%)です。投資歴11年(2015年スタート)の積み上げ結果を業界別・成績別に並べてみたところ、TOPIX全体の業種比率とはかなり違う、自分らしい偏りが浮かび上がってきました。今回はそのポートフォリオを正直に晒しつつ、なぜこの業界配分になったのかを過去の失敗と一緒に振り返ります。 平成生まれ30代、川崎市在住の会社員HIKOです。投資歴11年・FP2級・コナカ株(738円購入)を今も塩漬けで保有中、青山商事ではマイナス31万円を確定させた実績つき。等身大の数字でいきます。 個別株ポートフォリオの投資成績 業界別の話に入る前に、まず「このポートフォリオは結局どれくらいの成績なのか」を先に出しておきます。 取得元本と含み益 楽天証券CSVから現保有73銘柄を集計した結果がこちらです。 項目値取得元本(73銘柄合計)18,131,316円評価額(2026-05-02時点)21,937,150円含み損益+3,805,832円含み益率+21.0% 加えて、すでに売却済の主な実現損益は次の通りです。 銘柄確定損益JT(日本たばこ産業)+376,930円青山商事−310,960円 JTの成功と青山商事の失敗がほぼ相殺されているのが、私の売買実績の正直なところです。「個別株でホームランを当てた人」ではなく、「ホームランと三振を同じくらい打って、残った打席で配当を地道に拾ってきた人」というのが等身大の自己認識です。 含み益TOP9 含み益額の大きい順に並べたものです。長年保有してきた銘柄が並びます(自社持株会保有銘柄など、勤務先が特定されうる銘柄は表示から除外しています)。 順位銘柄含み益(円)1東京海上HD+425,4002木徳神糧+367,5003ビジネスブレイン太田昭和+325,8004王子HD+249,7005マブチモーター+245,7006KDDI+225,8007大阪有機化学工業+218,1008INPEX+213,0009ユニバーサル園芸社+198,400 東京海上HD・木徳神糧・KDDI・マブチモーターあたりは旧NISA時代から保有していて、含み益と配当の両方を稼いでくれている主力です。 含み損ワースト5 逆に、足を引っ張っている銘柄も正直に出します。 順位銘柄含み損(円)1住友林業−117,3492マックスバリュ東海−44,5003伊藤ハム米久HD−40,9004ジャックス−35,0005和田興産−26,300 住友林業はコロナ後の住宅市況の見通しを楽観しすぎた銘柄です。加えて、米国住宅事業を軸とした海外M&Aに対して、買収コスト・統合リスク・米国住宅市況への懸念といったネガティブ予想が市場で広がり、株価がさらに下落した経緯もあります。マックスバリュ東海・伊藤ハム米久HDは食品スーパー・加工肉のディフェンシブ枠として持っていますが、ここ数年の原材料高で利益率が圧迫され続けていて、含み損を消化できていません。 勝ち銘柄/負け銘柄の共通点 TOP10とワースト5を眺めていると、銘柄選定そのものよりも「どう持ったか」のほうに共通点が出ているのが見えてきます。 勝ち銘柄(含み益TOP10)の共通点 旧NISA時代(2015〜2019年頃)に買って、5年以上ホールドできた銘柄が多いです。東京海上HD・木徳神糧・マブチモーター・KDDI・王子HDは全て旧NISA期からの主力で、時間が含み益を作ってくれました 連続増配または安定配当の企業がほとんどです。東京海上HD・KDDI・マブチモーターは長期で増配を続けており、INPEXも資源価格連動で減配を経たあと復配しています 業界トップシェアまたはニッチトップが多いです。マブチはモーター、ナカニシは歯科切削、ユニバーサル園芸社はレンタルグリーン、王子は段ボールと、それぞれの業界で代替の効きにくい立ち位置にいます 共通項を一言にまとめると、「長く握れた・配当が出続けた・事業がシンプル」の3点が揃っている銘柄ばかりです 負け銘柄(含み損ワースト5)の共通点 コロナ後の住宅市況や原材料高の影響を強く受ける、景気敏感な業界に集中しています(住友林業=住宅、伊藤ハム米久HD=加工肉、マックスバリュ東海=食品スーパー) 「割安だから」で買い増しを躊躇したまま含み損を放置している銘柄が多いです。ジャックス・和田興産は典型例で、PERだけ見れば割安ですが、買い増し判断もできず、損切り判断もできずにいます ナンピンも損切りもしないで時間経過に任せているのが正直なところで、「方針として保有」というより「動かしていないだけ」に近い状態です 共通項を一言にまとめると、「景気敏感×ナンピンも損切りもしない放置」という形になっています こうして並べてみると、勝ち負けの差は銘柄選定の上手さよりも、保有期間と業界感応度に大きく依存していることが分かります。同じ私が選んだ銘柄でも、5年握れた銘柄は勝ち、景気敏感な業界で握り続けた銘柄は負けています。 CAGR/年率リターンについての正直な注記 「11年で+21%の含み益なら年率は何%?」という疑問が当然出ると思います。ここは誠実に書きます。 各銘柄の取得時期は2015年から2026年まで11年間にわたってバラバラで、銘柄ごとに買い増しや一部売却もしています。全体を1本のIRR(内部収益率)で厳密に算出するための約定単位データを、私は手元で整理しきれていません。なので、ここではあくまで参考値として、 73銘柄の平均保有期間を仮に5年と置いた場合: 年率約3.9%(複利・配当除く) 平均保有期間を7年と置いた場合: 年率約2.8%(複利・配当除く) という幅で示しておきます。これは「キャピタル(値上がり益)部分のみ」の概算で、配当は含まれていません。後述する旧NISA配当も含めれば、トータルリターンはこれより数pt上振れします。 繰り返しますが、この数字は厳密なIRRではありません。「11年保有してきた個別株ポートフォリオのキャピタル部分の年率は、おおむね3〜4%レンジ」くらいの感覚として読んでください。 実効配当利回りの試算 旧NISA口座で2015〜2024年の10年間に受け取った配当の税引後合計は904,551円でした。これを「平均運用額」で割れば実効配当利回り(手取りベース)が概算できます。 ただし、年次の運用額(口座残高ベースの平均)を私は手元で正確に整理していません。代わりに、旧NISAの非課税枠の構造から幅で示します。 旧NISA枠は2014〜2015年が年100万円、2016〜2023年が年120万円 毎年ほぼ枠を使い切ったので、累計入金額(簿価ベース)は約1,150万円 10年間の平均運用額は、口座開設初期は少なく、後半に向けて増えるため、ざっくり500万〜1,000万円のレンジと仮置き この前提で、旧NISA口座の実効配当利回り(税引後・年率)は ...

2026年5月2日 · HIKO

ローム株は買いか?デンソー1.3兆円買収撤回でどうなる|TOBプレミアム剥落リスクを検証

結論:ローム株は「プレミアム剥落リスク」、デンソー株は「財務懸念解消で底打ち期待」 先に結論からお伝えします。デンソーが約1.3兆円で提案したロームの買収は撤回に向かい、ローム株とデンソー株はそれぞれ逆方向の力にさらされています。 ローム株(6963):買収報道で積み上がった「TOBプレミアム期待」が剥落するリスクがある一方、東芝との統合協議への期待が下支えする綱引きの局面。短期のボラティリティを前提に慎重に見たい デンソー株(6902):1.3兆円の資金調達という財務負担が消えたため、むしろ懸念解消の好材料。配当も増配基調で、押し目があれば長期保有候補として検討余地あり つまり「ローム株は様子見、デンソー株は財務不安が消えた分むしろ見直し余地」というのが、報道を読み込んだうえでの私の整理です。なぜそう考えるのか、撤回に至った理由(東芝との統合・独立性・価格の3点)とあわせて、以下で順に検証します。 ※本記事は2026年4月25日時点の報道(日本経済新聞など)をもとに構成しています。数値・事実は執筆時点の情報に基づきます。特定銘柄の売買を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 30代会社員、投資歴11年(2015年NISAスタート)、青山商事で約31万円の確定損失を出しているHIKOです。M&Aで動く株は何度も見てきましたが、TOB報道が出てから撤回に向かうケースの怖さも実体験で知っています。 撤回の理由は「東芝との統合・独立性・価格」の3点 株価の話に入る前に、なぜ買収が断られたのかを押さえておきます。理由は大きく3つです。ローム側に東芝とのパワー半導体統合という別の選択肢があったこと、京都発祥の独立系メーカーとしての企業文化を維持したかったこと、買収価格がローム側の評価と合わなかったことです。この3点を報道ベースで整理したうえで、ローム株・デンソー株それぞれへの影響を読み解いていきます。 デンソーとロームとは何者か デンソー(6902) デンソーは愛知県刈谷市に本社を置く、世界有数の自動車部品メーカーです。売上高は年間約7兆円超。トヨタ自動車が約21%を保有する実質的なトヨタグループの中核企業です。 熱制御システム、パワートレイン制御システム、電気系統など、クルマの心臓部に近い部品を広く手がけています。EV(電気自動車)シフトが加速するなかで、「電動化部品の内製化・強化」はデンソーにとって経営の最重要課題です。 2026年3月には中期経営計画を発表し、M&Aを含む戦略投資に最大4兆円を投じる方針を示しています。それだけの「弾」が用意されていたわけです。 ローム(6963) ロームは京都市に本社を置く電子部品・半導体メーカーです。1958年創業、LSI・ディスクリート半導体・LED・電源IC等を手がけます。ICとディスクリート半導体で売上の約80%を占めています。 同社の最大の強みはSiC(炭化ケイ素)パワー半導体です。EVのモーター駆動に欠かせないこのデバイスで、ロームは世界トップクラスの技術力を持っているとされています。 「京都発祥の独立系半導体メーカー」として、創業家の意向が経営に色濃く反映されてきた企業文化があります。 なぜデンソーは買収を提案したのか EVシフトで「SiCパワー半導体」が戦略物資になった EVは内燃機関(エンジン)に比べ、電気系部品の比率が格段に高くなります。なかでもモーターの回転数・出力を制御するパワー半導体は、EVに多数搭載される重要部品です。 従来のシリコン(Si)パワー半導体よりも高温・高電圧・高周波に対応できるSiCパワー半導体は、EVのエネルギー効率を大幅に改善します。テスラ・BYD・各社が採用を進めており、需要は急拡大中です。 デンソーはトヨタのEV戦略を支える立場として、このSiC半導体を安定調達・内製化する必要に迫られています。外部購入では供給リスクが残るため、ロームごと取り込むという発想は理に適っていました。 サプライチェーンの「垂直統合」戦略 自動車業界でのEVシフトは、部品の「垂直統合」を加速させています。テスラが車載半導体を自社開発するように、日本の自動車グループも重要部品の内製化に動いています。 デンソーにとってロームの買収は、単なる業容拡大ではなく「サプライチェーンのリスクヘッジ」という意味もありました。 ローム側はなぜ賛同しなかったのか 東芝との統合という「別の選択肢」を有力視している 報道によれば、ローム側はデンソーの提案を受けた後、東芝とのパワー半導体事業統合という方向に動きました。2026年3月27日、ロームは東芝とのパワー半導体統合に向けた協議開始を正式に発表しています。 東芝のパワー半導体事業と組み合わせることで、ローム単体よりも大きな競争力を持てると判断したとみられます。「デンソー傘下に入る」より「半導体企業同士で統合する」——これはロームの独立性・企業文化を保ちやすい選択肢と言えます。 「独立維持」へのこだわり ロームは長年、特定の大企業の系列に属さない独立系半導体メーカーとして経営してきた会社です。創業家の影響も残ります。 トヨタグループの一員であるデンソーの傘下に入ることは、「自動車メーカーの下請けになる」ことを意味します。これはロームの経営陣・株主にとって、受け入れ難い選択肢だったと考えられます。 買収価格の問題 約1兆3000億円というTOB価格がロームの本質的価値に見合っているかどうか、独自の評価があった可能性もあります。特別委員会が設置されて時間をかけて検討したことは、単純な拒否ではなく条件面の齟齬も示唆します。 投資家目線での補足 ① ローム株:「TOBプレミアム剥落」リスク 買収報道を受け、ローム株は前日比18%上昇(ストップ高となる3,243円)を記録し、過去26年間で最大の上昇率を示しました(日経報道ベース)。この上昇分は「TOBプレミアム期待」で積み上がったものです。買収断念が確定すれば、その分が剥落する可能性があります。 一方で3社統合協議は最終契約ではなく、統合が決まった段階でもありません。今後、デューデリジェンスや具体的な統合スキーム、シナジーの検討が進む段階です。統合の不確実性が高いまま株価が高止まりしているとすれば、下振れリスクに注意が必要です。 ② デンソー株:「財務不安解消」でむしろ好材料? デンソー株は1兆円を超える巨額の買収資金調達に伴う財務負担や、買収後の統合プロセス(PMI)のリスクが嫌気され、報道当日に3〜5%下落しました。逆に言えば、買収断念によってその懸念が消えるため、デンソー株にとっては短期的にはポジティブに働く可能性があります。 デンソー株:配当で考える長期保有の視点 個別株投資では短期の株価変動に目が行きがちですが、配当という観点でデンソーを眺めてみると、また違う顔が見えてきます。 Yahoo!ファイナンス等のデータ(執筆時点目安、今後変わる可能性あります)では、デンソーの1株配当は以下のように推移してきました。 決算期年間配当(1株あたり)2022年3月期41.25円2023年3月期46.25円2024年3月期55.00円2025年3月期64.00円2026年3月期(予想)64.00円 この4年で41円→64円と、段階的に増配が続いてきています。配当性向は直近で40〜52%程度と比較的安定した水準で、利益の半分程度を株主還元に充てている形です。配当利回りは執筆時点で3%台前半(株価水準により変動します)。 気になるのは、今回の買収断念との関係です。1兆3000億円規模の買収が成立していれば、多額の資金調達と長期にわたる統合コストが発生するため、財務的な余裕は当然絞られます。買収断念によってその重荷が消えたことは、財務的な安定性——ひいては配当の持続性・増額余地という観点でも、じつはプラスに働く可能性があります。 もちろん、EV需要の減速・米国関税・部材費高騰といった逆風は引き続き存在しており、「増配が続く」と断言できる状況ではありません。ただ長期保有の視点で考えると、「世界有数の自動車部品メーカーが増配傾向を維持しながら配当利回り3%台を提供している」という事実は、投資対象として継続的に注目していく理由になります。 個人的には、短期の株価動向よりも「配当推移が増配基調を保てているかどうか」を追い続けることが、デンソー株を長期で持つ上でのひとつの判断軸になると考えています。 ③ 「再編テーマ株」として関連銘柄全体を見る視点 EV需要は長期的には拡大が見込まれますが、短期的には期待ほど伸びない局面もあります。中国系メーカーとの価格競争が強まれば、単独企業で投資負担を抱える難しさも増します。このため、ローム・東芝デバイス・三菱電機の3社統合協議が進む限り、パワー半導体セクター全体の「再編プレミアム」は継続します。富士電機(6504)や関連製造装置メーカーも連動して注目される展開が続きそうです。 あくまで個人的な見方ですが、デンソーは買収断念で財務不安が消えた分、押し目があれば長期保有の候補として検討余地があると思っています。一方ロームは東芝との統合協議の行方次第で大きく動く可能性があり、短期的なボラティリティを前提に慎重に見ていく局面です。 投資家としての一言まとめ: ローム株は「TOBプレミアム剥落」と「3社統合期待」が綱引きする局面。デンソー株は財務懸念解消で底打ち期待。ただし3社統合の実現可能性自体はまだ不透明なため、どの銘柄も「テーマ買い先行・実態後追い」の状況と見るのが現実的です。 (※投資判断はご自身の責任でお願いします。私はファイナンシャルアドバイザーではありません) 批判的に見る:なぜ日本の大型M&Aは繰り返し頓挫するのか 今回の案件を振り返ると、「また同じパターンだ」と感じてしまいます。日本の大型M&Aには、いくつかの構造的な問題が繰り返し現れます。 経営トップ同士の「コミュニケーション不足」問題 日本の大型M&Aが頓挫する背景には、しばしば経営トップ間の信頼関係不足が挙げられます。今回のケースでも、デンソーがロームに対してどのような対話プロセスを経たのかは外部からは見えません。ただ、ロームがほぼ同時期に東芝との統合協議を選んだ事実は、「デンソーとの対話が十分に深まっていなかった」可能性を示唆します。 「対話不足のまま提案が表に出て頓挫する」というパターンは、今回が初めてではありません。日本のM&A市場では同じ構造が繰り返されています。例えば東芝のケースのように、社内の合意形成が不十分なまま外部提案が表面化すると、買収提案そのものより経営陣の信頼関係が先に崩れることがあります。 M&Aの成否は、財務条件だけでなく、提案側と対象側の経営陣がどれだけ早期に率直な対話を積み重ねられたかに大きく依存します。日本企業の場合、合議制・稟議文化のもとで意思決定に時間がかかるうえ、「非公式な接触を避ける」傾向もあり、交渉が硬直化しやすい構造があります。例えば東芝のケースのように、2021年にCVCキャピタルからのTOB提案が浮上した際、経営陣内の信頼関係が急速に崩れ、最終的に社長が辞任する事態になりました。外部からの提案が社内の対話不足を一気に顕在化させてしまう、という事例は日本でも繰り返されています。 TOB情報が「漏れる」日本市場の構造的問題として指摘されることが多い点 もう一つ気になるのは、大型M&Aの案件情報が正式発表前に市場へ漏れていく現象です。今回のデンソー・ロームの報道も、交渉中の段階でメディアが報じることで、ローム側が対抗策(東芝との統合協議加速)を取る時間が生まれた面があります。 インサイダー取引規制の観点からも、情報管理の徹底は本来必須のはずです。しかし日本では大型案件ほど「事前に観測気球的な報道が出る」慣行があり、それが買収対象企業の防衛行動を促すという逆説的な問題を生んでいます。TOBを仕掛ける側にとっては、情報が漏れた瞬間から不利な交渉が始まる構造が生まれやすいとも言えます。 デンソーはロームを逃した後、どうするのか 最も根本的な疑問は、「デンソーはSiC半導体を本当に内製化できるのか」という点です。 ロームという稀有なSiC技術保有企業を逃した後、デンソーに残された選択肢は限られます。欧州のインフィニオン、米国のオン・セミコンダクターといった海外勢との提携・買収を模索するにしても、それぞれ独自の事情があり、一朝一夕にはいきません。自前でSiC製造能力を育成するには時間とコストが膨大にかかります。 ...

2026年4月26日 · HIKO

財務余力で割安株を選んでいたら6回TOB・MBOを経験した話――1回は損失、再現性は限定的

保険業界から転職したHIKO(30代)。2015年にNISA口座でコナカ株を買ったのが投資の入口で、以来11年間、配当と値上がりを気にしながら個別株を選んできた。青山商事では−31万円の含み損を抱えた時期もある。その記録をありのままに書いている。 偶然ですが、保有株が6回TOB・MBOの対象になりました。ただし1回は普通に損しています。 「6回TOB経験者」というと「戦略が当たった人」に聞こえるかもしれません。でも正直に言うと、偶然が多く含まれていますし、「この条件で選べばTOBが来る」とは到底言えません。損するケースがあることは、この記事で掘り下げる日水製薬が証明しています。 この記事ではその経験の全容と、1回失敗した日水製薬の話を掘り下げます。「TOBを狙う戦略」を紹介したいのではなく、「財務余力を重視して割安株を選んでいると、TOBに巻き込まれることがある」という傾向を整理したいと思います。 6回の経験一覧 銘柄口座買値TOB/MBO価格種別富士通ビー・エス・シー特定1,020円1,361円親会社TOB(富士通)ジャステック特定887〜1,551円1,939〜1,940円親会社TOB(NTTデータ)MDV特定489〜569円1,688円親会社TOB(日本生命)システム情報特定713〜999円927〜928円MBO(経営陣)川澄化学工業NISA879円1,158円親会社TOB(住友ベークライト)日水製薬NISA1,419円1,053円親会社TOB(ニッスイ) 6件のうち5件はプラス、1件(日水製薬)はマイナスで着地しました。「6勝」ではなく「5勝1敗」が正確です。 なぜこの銘柄を買っていたか TOBを狙って買ったわけではありません。選ぶときに意識していたのは、大きく2つのパターンに分けられます。 パターンA:割安・財務健全型(川澄化学工業・日水製薬・ジャステック) 自己資本比率60%以上 PBR1倍以下 配当性向50%以下(ただし直近で上昇トレンドに入っていないこと) 大株主に事業会社が入っている PBR1倍割れは「株価が帳簿上の純資産(解散価値)を下回っている」状態を示します。理論上は買収側にとってお得な水準で、親会社が少数株主から株を集める動機のひとつになりうるものです。 ただし、簿価は実際の資産の実現価値とズレることがあります。特に医療・ITなど無形資産が多い業種では、帳簿に載っていない価値(ブランド・技術・顧客基盤)が大きく、簿価だけで「割安」と判断するのは注意が必要です。 パターンB:親子上場・グループ再編型(MDV・システム情報・富士通ビー・エス・シー) 筆頭株主に事業会社が50%前後保有 自己資本比率60%以上 PBRは問わない このパターンはPBR1倍以下とは無縁でした。MDVは取得時PBR5〜6倍、システム情報は3〜4倍ほどでした。それでもTOB・MBOになったのは、親会社のグループ戦略や経営陣のインセンティブが主な動因であり、割安かどうかは関係ありませんでした。 親子上場の解消・完全子会社化は2020年以降に加速しています。筆頭株主が事業会社で、かつその保有比率が50%前後という構造は、将来的にTOBが検討されやすい素地になります。 TOBやMBOとは何か(簡単に) TOB(株式公開買付) は、買収者が市場外で株主に対して「この価格で株を売ってください」と呼びかける手続きです。親会社が子会社を完全子会社化するときや、外部の会社が経営権を取りにくるときに使われます。TOBには通常、市場価格に対して20〜40%程度のプレミアムが上乗せされます。 MBO(マネジメント・バイアウト) は経営陣が自社を買収する手続きで、上場廃止を前提に行われることが多いです。システム情報はこちらに該当しました。 いずれの場合も、TOB・MBO価格で株式を売却するか、保有し続けるかは株主が選択できます。応募しなければ非公開後に株を持ち続けることになりますが、実質的に流動性がなくなるため、ほとんどの場合は応募します。 日水製薬:唯一の損失、その深掘り 6回の中で唯一、取得価格を下回るTOB価格だったのが日水製薬(4550)です。 実際のデータ 購入:2018年2月、NISA口座 取得価格:1,419円、100株(取得総額 141,900円) 受取配当:約2,000円×4回(2018〜2019年)+1,000円(2020年)= 約9,000円 TOB価格:1,053円(2020年7月)、100株で売却 売却額:105,300円 売買損益:−36,600円 配当を加えた実質損益:−27,600円 NISAなので損失の損益通算もできず、まるごとマイナスで確定しました。 なぜ1,419円で買ったのか 当時の日水製薬はPBR約0.9倍で、配当利回りは2.9%ほどでした。自己資本比率92%という高水準で、筆頭株主はニッスイ(旧日本水産)が50%超を保有していました。「割安・財務健全・親子上場」という条件がそろっていました。スクリーニングをかければ普通に引っかかる銘柄で、特別な思惑があって買ったわけではありません。 見落としていたサイン:配当性向の急上昇 今振り返って気になるのは、配当性向の推移です。日水製薬の配当性向は2019年に114%、2020年には167%まで上昇していました。つまり、稼いだ利益よりも多い額を配当として払い出していた状態です。 「株主還元に積極的」に見えて、実態は「利益が出ていないのに配当水準を維持しようとしている」構造だった可能性があります。配当性向が100%を超えるということは、内部留保を削って配当に充てているか、特別利益を使っているかのどちらかで、持続性に疑問符がつきます。 買収側(ニッスイ)の論理 ここで重要なのは、親会社であるニッスイ側の視点です。 ニッスイにとって日水製薬は「高く買う理由がなかった」と考えられます。業績が停滞し、成長への期待が薄い子会社は、グループ内での位置づけが低くなります。配当性向が167%まで上昇しているということは、会社として稼げていないのに配当だけを維持している状態であり、これは「早期に整理すべき事業体」という判断につながりやすいです。 TOBプレミアムは「市場が評価していた最低限の価格」であり、親会社の本音の評価はそれよりさらに低かった可能性もあります。ニッスイとしては、子会社の業績が回復する前に、安い価格で整理できるタイミングを選んだとも読めます。買収する側にとって、成長期待の薄い子会社に高いプレミアムを払う動機はありません。 TOBプレミアムの罠 TOBには通常20〜40%のプレミアムが乗ります。日水製薬のTOBも、発表直前の市場価格に対しては一定のプレミアムがついていました。 ただし、プレミアムは「発表直前の株価」に対して計算されます。私の取得価格1,419円は2018年初の水準で、それ以降に株価が下落した状態でTOBが発表されました。だから「プレミアムがついたTOB価格」でも、自分の取得価格には届きませんでした。「TOBにはプレミアムがつくから安心」という感覚は、高値で買った場合には通用しません。 この失敗から学んだこと 取得価格の水準が損益を決める。 TOBプレミアムで全員が報われるわけではありません。 配当性向が急上昇している(特に100%超)は危険サイン。 利益以上の配当を払い続けている会社は、親会社に業績停滞として低く評価される可能性があります。 PBR割れだけで割安と判断しない。 簿価と実際の収益力は別物で、収益が出ていない状態での割安感は意味が薄いです。 「TOBを狙う戦略」ではなく「重なりやすい傾向」 財務的に健全で、割安か親子上場の構造がある会社を選んでいたところ、6回TOBかMBOに遭遇した、という順序です。「傾向として重なりやすい」以上のことは言えません。 タイミングが読めない。 条件を満たしても10年間TOBが来ないケースはいくらでもあります。「今年来るかもしれない」は常に憶測です。 価格もコントロールできない。 TOBプレミアムは親会社の判断で決まります。成長期待が薄い子会社を整理したい親会社は、最低限のプレミアムしか乗せません。 取得価格次第でTOBが来ても損する。 日水製薬がその証拠です。 待機コストがある。 数年動かない間に他の銘柄は値上がりし、配当だけで時間を消費する可能性があります。 実務的にどう使うか(自分の現在のスタンス) 「じゃあどう活かすのか」という疑問に答えておきます。 ...

2026年4月25日 · HIKO

旧NISAで個別株投資に失敗した話|買える金額で銘柄を選んでいた私の後悔

NISAを始めた当初、私は「何を買えばいいか」がまったくわかっていませんでした。銘柄を選ぶ基準がなく、気づけば「自分が買える金額かどうか」だけで選んでいました。その結果どうなったか。今回は正直に振り返ります。 2015年、NISAを始めたものの… 2015年にNISAを始めました。「非課税で投資できるならやらないと損」という気持ちだけで口座を開設したものの、最初に直面したのは「どの株を買えばいいかわからない」という問題でした。 投資の知識もなく、企業分析もできない。結果として私がとった行動は、証券会社のランキングや株価を眺めて、“1単元10万円以内で買える銘柄"から選ぶというものでした。 今思えば、これが最初の間違いでした。 「買える金額」で選ぶと何が起きるか 1単元(100株)あたり10万円以下で買える株というのは、株価が1,000円以下の銘柄です。 当時の主な購入銘柄と株価はこんな感じです。 銘柄購入単価投資額(100株)コナカ738円73,800円丸紅746円74,690円朝日放送700円70,000円エスクリ1,069円106,900円ディア・ライフ360円36,000円 「安い=割安」ではありません。でも当時の私にはその区別がついていませんでした。 コロナショック(2020年)で現実を突きつけられた 個別株投資を続けた2015〜2020年の間、銘柄を入れ替えながら少しずつ増やしていきました。そして2020年、コロナショックが来ました。 保有していた多くの銘柄が一斉に急落。当時の私はパニックになり、含み損が拡大するなかで次々と売却していきました。 主な売却実績(2020年) 銘柄購入単価売却単価損益(配当含む)青山商事4,115円約565円−310,960円中北製作所3,825円約2,485円−106,000円エスクリ1,069円約300円−71,250円丸三証券971円約400円−41,500円オリックス1,860円約1,151円−46,165円 2020年コロナ売却 主要銘柄の損失(円) ¥-310960 青山商事 ¥-106000 中北製作所 ¥-71250 エスクリ ¥-46165 オリックス ¥-41500 丸三証券 パニック売りで合計50万円以上の損失を確定させた 特に青山商事は-31万円という、口座残高を見るのが怖くなるレベルの損失でした。 売らずに塩漬けたケースの代表例:コナカ(7494) コロナで一気に売った銘柄がある一方で、「売らずに塩漬け続けた銘柄」の代表がコナカです。NISA初年度の2015年5月21日に738円×100株=73,800円で購入したスーツ専門店です。 その後、株価は200〜400円台で長く推移して、含み損のまま9年5ヶ月持ち続けました。途中で損切りせず、旧NISAの非課税枠で配当だけを年2回受け取り続けた結果、配当累計は16,000円(1株10円×100株×16回)。 そして2024年11月26日、旧NISAの非課税期間が2024年末で終わるタイミングに合わせて、次のクロス取引をしました。 旧NISAの100株を247円で売却(取得738円→売却247円で確定損 -49,100円) 同じ日に特定口座で100株を248円で買い戻し(取得単価を248円にリセット) 銘柄としては今も100株保有していますが、口座区分は旧NISAから特定口座へ、取得単価は738円から248円へ切り替わっています。 項目金額旧NISA購入額(2015年)73,800円旧NISA売却額(2024/11/26)24,700円旧NISA確定損-49,100円旧NISA配当累計(16回・非課税)+16,000円特定口座買戻し(同日)24,800円確定損益合計約-3万円 「NISAは損失が出ても損益通算できない」実例 このコナカのクロス取引は、NISAの落とし穴を体感する実例になりました。 特定口座であれば、-49,100円の損失は同じ年に出た株式利益や配当と相殺できます。さらに余った損失は3年間繰り越して翌年以降の利益とも相殺できます。これが「損益通算」と「損失の繰越控除」です。 ところがNISA口座は非課税であることと引き換えに、この仕組みがまったく使えません。私の-49,100円は、税制上は完全に「無かったこと」として扱われます。同じ2024年に他の銘柄で利益を出していても、コナカの損失はぶつけられません。翌年以降に持ち越すこともできません。 この点が、個別株をNISAでやることの最大のリスクだと、自分で経験して初めて腹落ちしました。「非課税枠なんだから一番上がる銘柄を入れたほうが得」という考え方は、当たればその通りなのですが、外したときの損失リカバリーが税制で潰されます。インデックスファンドのように長期で右肩上がりが期待しやすい商品ならまだしも、個別株でこのリスクをわざわざ取る必要はあるのか、と今は思います。 なお、2024年からの新NISAも同じ仕様です。新NISA口座で出た損失も損益通算・繰越控除はできません。「新NISA成長投資枠で個別株を買うか」を考えるときは、この点を必ず織り込んで判断したほうが安全です。 「売らなければよかった」と今でも思う コロナショックで売却した銘柄の多くは、その後数年で株価が戻りました。 青山商事は一時的に急落しましたが、その後はアパレル不況の中でも事業を立て直しています。オリックスにいたっては、売却後に配当を大幅に増額しました。売るタイミングが最悪でした。 でも、後悔してもしかたない。問題は「なぜその判断をしてしまったか」です。 青山商事-31万円:人生最大の失敗の中身 旧NISA10年で最大の失敗が、2017年1月に青山商事を1株4,115円で100株購入したことです。投資額411,500円。購入理由は「スーツの青山なら有名企業だし、株価が下がっているから割安、配当利回りも高い」というものでした。 今振り返ると、「株価が下がっている=割安」という判断が致命的な間違いでした。株価の下落はアパレル業界の構造変化・スーツ離れという業績悪化のシグナルだったのに、当時の私はそれを業界分析せずに「割安」と読み替えてしまった。 2020年7月のコロナ売却時の数字はこうです。 項目金額購入額411,500円売却額56,540円配当合計44,000円損益-310,960円 41万円を投じて、戻ってきたのは売却・配当合わせて約10万円。配当44,000円は株価損失-310,960円の14%しか回収できていません。「配当で取り返す」は実質無理でした。この経験を経て、私が今使っている高配当株のチェックリストは次の4項目です。 売上・営業利益は直近3〜5年で成長しているか 配当性向は100%以下か 配当利回りが極端に高すぎないか(5〜6%以上は要注意) 株価が下がっている理由を自分の言葉で説明できるか 青山商事はこの4項目のうち、どれも確認していませんでした。「利回りが高い・株価が下がっている・有名企業」という見た目の安心感だけで41万円を投じた結果が、人生最大の-31万円です。 ...

2026年4月20日 · HIKO

貸株はやらなくていい?14銘柄・5年やった実績で出した結論【月800円の現実】

NISAを中心に資産形成している30代会社員向けに書いています。投資歴11年・FP2級のHIKO(平成生まれ、夫婦二人暮らし)です。特定口座で14銘柄に貸株を設定して5年運用した実績があります。結論を先に書くと「やってもいいけど、ほぼ誤差です」。月800円台の現実と、銘柄ごとの金利差、運用設計をすべて公開します。 結論を先に:あなたはやるべき? 保有スタイル貸株の判断NISAがメインやらなくていい(そもそも使えない)優待株を特定口座で保有「優待・有配優先」設定を入れれば可能(金利は薄まる)高金利の小型株を特定口座で保有スポット的にはあり(ただし条件付き) この3行で判断できる人は、以降を読まなくても大丈夫です。 私の貸株14銘柄を全公開します 特定口座で実際に貸株設定している14銘柄をすべて出します。基本は「優待・有配優先」設定(権利確定日に自動解除→優待・配当を維持しつつ金利だけ取る)にしてあります。 コード銘柄株数金利9692シーイーシー1000.10%9799旭情報サービス1000.10%8931和田興産1000.10%9069センコーグループHLDGS1000.10%9233アジア航測1000.40%8697日本取引所グループ1000.10%8772アサックス5000.10%7494コナカ1000.10%7713シグマ光機1000.10%7730マニー1000.10%7856萩原工業1000.10%5388クニミネ工業1000.10%6061ユニバーサル園芸社2000.10%6091ウエスコホールディングス1000.10% 14銘柄のうち13銘柄は金利0.10%。唯一の例外がアジア航測(9233)で金利0.40%です。「貸株は高金利銘柄を狙う」と聞くと夢があるように感じますが、現実はほとんどの銘柄が0.1%前後で横並びになります。 アジア航測(9233)だけ高金利な理由 なぜアジア航測だけ金利が4倍ついているか。これは需要側、つまり「その銘柄を借りたい投資家がどれだけいるか」で決まります。空売り需要が多い銘柄や、信用取引で品薄になっている銘柄は貸株金利が上がりやすい傾向があります。 ただ重要なのは、この金利は証券会社の判断でいつでも変わるという点です。来月には0.10%に戻っているかもしれません。だから「アジア航測を貸株目的で買う」のは順序が逆です。あくまで保有している銘柄をたまたま貸し出した結果、金利が高かった、という話です。 「優待・有配優先」設定を全銘柄に入れている理由 貸株中は株の名義が証券会社に移るため、権利確定日をまたいで貸し出し状態だと株主優待・配当の権利が消えます。これを防ぐ設定が「優待・有配優先」です。 権利確定日の前に自動で返却→確定後に再度貸し出し、という挙動になります。返却中の数日間は金利がつかないので、その分だけ収入が薄まりますが、優待・配当を失うリスクと比べたら誤差です。 私の14銘柄はほぼ「優待・有配優先」で設定しています。コナカ(7494)の年8回優待カードや、JPX(8697)の配当などを失ったら、金利数百円どころの話ではなくなります。 5年累計の実績:合計48,426円・月平均807円 実際の収入を年ごとに出します。 年貸株金利配当金相当額合計20214,362円8,469円12,831円20229,395円0円9,395円20236,701円0円6,701円202410,979円0円10,979円20258,520円0円8,520円5年累計39,957円8,469円48,426円 5年で48,426円、月平均にして807円です。「貸株 月500円」という見出しを以前書きましたが、実際は月800円台が現実ラインでした。 ...

2026年4月19日 · HIKO

【旧NISA失敗シリーズ⑤】+16万円で満足して売った株が、その後10倍になった話

旧NISAで個別株投資をした10年間を購入年ごとに振り返るシリーズ。⑤は2019年、+16万円で満足して売った株が、その後10倍になりました。問題は「売ったこと」ではなく、「なぜ売る判断しかできなかったのか」という構造にあります。 2019年、9銘柄を購入 2019年は9銘柄を購入した年です。青山商事で-31万円という旧NISA最大の失敗(2017年)、中北製作所の失敗(2018年)を経て、少しずつ銘柄選びは変わり始めていました。 ただ、根本的な問題は解決していませんでした。「業界の成長を理解して買う」ではなく、「なんとなく面白そう」で買っていました。それがこの年の結果に如実に出ています。 2019年に買った9銘柄 銘柄購入単価損益グラファイトデザイン499円−47,400円フロイント産業872円−18,500円スペース1,145円−12,800円ぐるなび639円+9,000円日本毛織935円+15,320円ユニバーサル園芸社1,569円+14,300円ネオジャパン919円+18,550円ジャステック887円+107,300円野村マイクロサイエンス649円+160,600円 2019年 主要銘柄の損益(円) ¥160600 野村マイクロ ¥107300 ジャステック ¥18550 ネオジャパン ¥-18500 フロイント ¥-47400 グラファイト 野村マイクロの+16万円に引っ張られて過去最高益の年に 9銘柄中、マイナスが3銘柄。大きく勝ったのは野村マイクロサイエンスとジャステックの2銘柄です。 マイナスになった3銘柄(グラファイトデザイン・フロイント産業・スペース)に共通しているのは、「事業の将来像が描けないまま買った」という点です。「株価が手ごろだった」「名前を知っていた」という理由で買っており、業界の成長性や企業の競争力を確認していませんでした。 野村マイクロサイエンスを7ヶ月で売却した 野村マイクロサイエンスは半導体製造用の超純水装置を手がけるメーカーです。2019年7月に649円で200株、合計169,800円を投資しました。 購入理由は「半導体関連で面白そう」という程度の直感でした。 購入後、株価は上昇。わずか7ヶ月後の2020年2月に売却しました。売却価格は1,652円(平均)。+160,600円の利益でした。 項目金額購入額169,800円売却額330,400円損益+160,600円 当時の私は大満足でした。「うまくいった」と思っていました。 その後、野村マイクロサイエンスは… 売却後の野村マイクロサイエンスの株価を確認したのは、1年ほど経ってからのことです。 株価は上がり続けていました。2021年には3,000円台、2022年には5,000円台、2024年には一時9,000円を超えました。私が649円で買って1,652円で売った株が、最大で14倍以上になっていました。 ここで問題にしたいのは「あの時売らなければよかった」ということではありません。 後出しジャンケンで「持ち続けていれば150万円以上になった」と言うのは簡単ですが、それは最高値で売れた前提の話です。実際には途中で大きく下落する局面もあり、途中で保有を続けるには相応の根拠が必要でした。 本当の問題は、私には「持ち続ける判断をするための根拠」がそもそもなかったということです。 なぜ持ち続けられなかったのか 「満足したから売った」では説明が浅いです。本質はもう少し構造的な話です。 業界理解がなかった 半導体製造向け超純水装置という分野が、今後10年でどのくらい成長する市場なのか、私には何もわかっていませんでした。「半導体は成長分野らしい」という漠然とした認識はあっても、野村マイクロサイエンスが業界内でどのくらい強い立場にあるのかを確認していませんでした。 投資シナリオがなかった 「なぜ買うのか」「どういう条件になったら売るのか」を買う前に決めていませんでした。 シナリオがないと、株価が上がった時に「もうここでいいか」という感情で動いてしまいます。実際にそうなりました。 目標株価を設定していなかった 「この株価になったら売る」という基準を持っていませんでした。 目標株価の決め方は複雑でなくていいです。たとえば、過去のPERレンジの上限に現在のEPS予想をかけた数字を仮の目標値にするだけでも、「どこまで待つか」の軸になります。具体的な数字を持っているかどうかで、感情に引きずられる度合いが大きく変わります。 当時の情報だけで判断するなら、「決算で成長が継続している限り保有継続」というルールを置くべきでした。 2019年のもう一つの成功:ジャステック +107,300円 野村マイクロサイエンスほど劇的ではありませんが、ジャステック(ITシステム会社)も+107,300円という成果でした。こちらは2019年購入、2024年売却と5年間保有した結果です。 ジャステックはITシステム開発会社で、特別派手な成長ストーリーはありません。ただ、業績が安定していて、配当も出ており、毎年の決算を確認しながら「まだ持てる」と判断し続けた結果が5年保有につながりました。 野村マイクロサイエンスと何が違ったか。ジャステックは「なんとなく持ち続けた」ではなく、毎期の決算を見て判断していました。一方の野村マイクロサイエンスは、持ち続けるための判断軸を持っていなかった。この差です。 ただし、ここで「長期保有の方がいい」という結論を出すのは危険です。ぐるなびや青山商事をずっと持ち続けていたら、損失はもっと大きくなっていました。長期保有が正しいのではなく、継続保有を判断し続けることが重要です。 マイナス3銘柄の共通点 グラファイトデザイン(−47,400円)・フロイント産業(−18,500円)・スペース(−12,800円)の3銘柄は、合計で約8万円のマイナスでした。 3銘柄に共通していたのは次の3つです。 株価が手ごろだった(1,000円前後):1単元10〜15万円で買える金額帯。これは2015〜2017年の私と同じ「買える金額で選ぶ」癖がまだ残っていた証拠です。 業界の成長性を確認していなかった:炭素繊維(グラファイト)・製薬機械(フロイント)・店舗内装(スペース)。それぞれが10年後にどう伸びる業界か、買う前に調べていません。 配当利回りが中途半端:3銘柄とも配当はあったものの、利回り2〜3%台で「保有継続の安心材料」にはなりませんでした。 2018年の中北製作所では「3,825円で1銘柄38万円」という集中ミスでしたが、2019年は「1,000円前後で小さく散らす」方向にぶれました。集中の問題は解消されたものの、選び方の質は変わっていなかったわけです。 ...

2026年4月18日 · HIKO

【旧NISA失敗シリーズ④】2018年に買った株|高値掴みで−10.6万円を出した「3つのミス」

旧NISAで個別株投資をした10年間を購入年ごとに振り返るシリーズ。④は2018年、中北製作所で−10.6万円を出した年の話です。失敗を「なんとなく反省」で終わらせず、再現可能なミスに分解して整理しました。 個別株で失敗しやすい「高値掴み・集中投資・感覚買い」の典型例として、2018年の実例を紹介します。 2018年の結論から先に言います 1銘柄に38万円を突っ込んで、外したときに取り返せませんでした。 2018年は9銘柄を購入。MICS化学(+42,900円)など利益が出た銘柄もあります。ただし年間でみれば、中北製作所の−106,000円(配当込)が重くのしかかりました。 失敗の本質は「株価が下がった」ことではありません。問題は、外したときにダメージが大きくなる資金配分で買い続けたことです。 2018年に買った9銘柄 銘柄購入単価投資額損益中北製作所3,825円382,500円−106,000円日水製薬1,419円141,900円−27,600円不二電機工業1,439円143,900円−6,400円FCホールディングス810円81,000円+7,400円丸八証券865円86,500円+15,400円クニミネ工業969円96,900円+16,150円川澄化学工業879円87,900円+30,900円みずほFG(追加)———MICS化学359円35,900円+42,900円 2018年 投資額ランキング(円) ¥382500 中北製作所 ¥143900 不二電機 ¥141900 日水製薬 ¥96900 クニミネ ¥87900 川澄化学 中北製作所1銘柄で他の2〜4倍の投資額になっていた 2018年 主要銘柄の損益(円) ¥-106000 中北製作所 ¥-27600 日水製薬 ¥30900 川澄化学 ¥42900 MICS化学 ¥16150 クニミネ工業 中北製作所の損失が他のプラス銘柄を全部消した 数字を並べると構造がはっきりします。他の8銘柄を合計すると損益はプラス側に傾いていたはずです。それを中北製作所の1銘柄が全部消した年でした。 最大の失敗:中北製作所 −106,000円 中北製作所(6496)はバルブ・流体制御機器を製造するメーカーです。 項目金額購入単価3,825円投資額382,500円売却額248,500円配当合計(保有中)28,000円最終損益−106,000円 2018年に購入し、2020年7月ごろに売却しました。約2年の保有で10.6万円の損失です。 配当を受け取り続けたから売れなかった 旧NISA口座で2年半ほど保有する間に、税引後で約28,000円の配当を受け取りました。半期ごとに6,000〜7,000円が振り込まれてくるイメージです。 ...

2026年4月17日 · HIKO