「株主優待が魅力的だから、この株を買おう」
11年前の私はこの考え方で銘柄を選び、9年5ヶ月の塩漬けを経験しました。一方で、業績と配当方針を確認した上で保有している優待つきの銘柄は、含み益+30%で優待のワインも毎年届いています。
結論を先に書きます。優待だけを最初の理由に株を買うと、私のように失敗することがあります。優待は株を買う最初の判断材料ではなく、業績・財務で持ちたいと判断した会社の「最後のひと押し」にするべきでした。 この順番を逆にした私の失敗と、今うまくいっている保有銘柄の対比を、実際の数字で書きます。
平成時代を生きた30代・川崎市在住のHIKOです。投資歴11年・FP2級。2015年に年収300万円台でNISAを始め、コナカの塩漬けと青山商事の-310,960円を経験してきました。この記事は私の体験談と一般的なチェック観点の整理であり、特定銘柄の購入を勧めるものではありません。
※当記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。
優待で選んだコナカ(7494):9年5ヶ月の塩漬け
2015年5月、人生で初めて買った単元株がスーツ専門店のコナカでした。738円×100株、投資額73,800円です。
選んだ理由は3つでした。
- 知っている会社だから安心
- 100株7万円台で買える
- 株主優待でスーツがお得に買える
業績や財務は一切調べていません。「優待だけ」というより「知名度・手頃さ・優待」の3点セットですが、共通しているのはどれも会社の中身を見ていないことです。
その後、株価は200〜400円台で長く推移し、9年5ヶ月そのまま塩漬けになりました。2024年11月、旧NISAの非課税期間終了にあわせてクロス取引(旧NISAで売却→同日に特定口座で買い戻し)を実施し、損益を整理した結果がこれです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 旧NISA売買の確定損(738円買い→247円売り) | -49,100円 |
| 旧NISA配当累計(16回・非課税) | +16,000円 |
| 特定口座スイング益(2020〜2021年) | +2,190円 |
| 特定口座配当 | +980円 |
| 確定損益合計 | -29,930円 |
配当を9年受け取り続けても、株価下落をカバーできませんでした。しかも旧NISAの損失は損益通算ができないため、-49,100円は税制上「無かったこと」になります。さらに言えば、買う理由の1つだったコナカの優待自体が2023年に廃止されています。優待目当てで買った株の、その優待がなくなるところまで経験しました。
このときの詳しい経緯は2015年のNISA個別株失敗談に書いています。
業績を見て保有している巴工業(6309):含み益+30%とワイン
一方、現在の保有銘柄に巴工業という会社があります。遠心分離機などの機械製造と化学工業製品の商社という2つの事業を持つ会社です。
2026年5月時点の私の保有状況はこうです。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 保有株数 | 300株 |
| 取得単価 | 1,369円 |
| 評価額 | 537,900円 |
| 含み損益 | +127,200円(+30.97%) |
優待は200株以上の保有でワイン1本が年1回届きます(600株以上で2本。基準日は毎年10月31日・継続1年以上の保有が条件。出典:巴工業「株主優待制度」 https://www.tomo-e.co.jp/ir/benefit.html )。私も実際に受け取っており、これは素直にうれしい優待です。
ただし、私がこの株を持ち続けている理由はワインではありません。業績と配当方針です。
売上・営業利益が右肩上がり
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 2020年10月期 | 392億円 | 23億円 |
| 2021年10月期 | 451億円 | 28億円 |
| 2022年10月期 | 456億円 | 33億円 |
| 2023年10月期 | 496億円 | 40億円 |
| 2024年10月期 | 521億円 | 47億円 |
| 2025年10月期 | 594億円 | 54億円 |
出典:IR BANK 巴工業 業績推移( https://irbank.net/6309/results )
5年で売上は約1.5倍、営業利益は2倍以上になっています。営業利益率も5%台から9%台へ改善しています。
配当も増えている
| 決算期 | 年間1株配当 |
|---|---|
| 2020年10月期 | 48円 |
| 2021年10月期 | 50円 |
| 2022年10月期 | 53円 |
| 2023年10月期 | 110円 |
| 2024年10月期 | 145円 |
出典:IR BANK 巴工業 配当推移( https://irbank.net/6309/dividend )。なお2025年5月に1対3の株式分割を実施しているため、2025年10月期以降の1株配当額は上の表と単純比較できません。
会社は連結配当性向40%以上を目標に掲げており、実績もその水準で推移しています。優待を抜きにしても、配当と業績だけで保有の説明がつく。これがコナカとの一番の違いです。
念のため繰り返しますが、巴工業を買うことを勧めているわけではありません。株価は今後下がるかもしれませんし、優待も廃止されるかもしれません。「業績で説明できる株を持ち、優待はおまけ」という選び方の実例として挙げています。
同じ「優待株」でもここまで差がつく
どちらも「優待のある株」です。違いは、買う前(あるいは持ち続ける判断のとき)に業績と配当を見たかどうかだけです。
私が優待株で見ている3つの数字
コナカの失敗と、JPX・JT・オリックスでの優待廃止経験(詳細は優待入門の記事に書きました)を経て、優待のある銘柄では次の3つの数字を確認するようになりました。これは一般的なチェック観点としても通用する内容だと思います。
① 優待を抜いた配当利回り
優待相当額を含めた「総合利回り」ではなく、配当だけの利回りをまず見ます。
理由は単純で、優待はいつでも廃止されるからです。JT・オリックスのような人気優待でも「配当への一本化」を理由に廃止されました。優待が消えても配当だけで持つ理由が残るか。残らないなら、その銘柄は優待ありきの選択になっています。
② 業績の方向(売上・営業利益・配当性向)
直近5年程度の売上高と営業利益が伸びているか、横ばいか、下がっているかを見ます。あわせて配当性向(利益のうち配当に回す割合)に無理がないかも確認します。配当性向が100%を超えているような会社は、利益以上の配当を出している状態で、減配や優待廃止が起きやすい構造です。
2015年の私はここを完全に飛ばしました。コナカの業績がどちらを向いているか、一度も見ないまま買っています。
③ 優待の条件と廃止リスク
優待制度の中身そのものも数字で見ます。具体的には次の3点です。
- 必要株数と長期保有条件:巴工業のように「継続1年以上」の条件がある場合、買ってすぐは届きません。一度売却して買い直すと株主番号が変わり、継続保有がリセットされる仕組みも一般的です
- 優待が企業のコストとしてどの程度か:株主数に対して豪華すぎる優待は、企業側の負担が大きく廃止候補になりやすいです
- 優待の内容が事業と関係しているか:自社製品・自社サービス系の優待は原価負担が比較的軽く、金券系(QUOカード等)は企業の商品・サービスとの結びつきが弱く、廃止や縮小の対象になるケースがあります
「優待利回り◯%でお得」の罠
優待株の紹介でよく見る「優待利回り」には、数字のからくりがあります。
例えば株価1,000円・100株保有で3,000円相当の優待がもらえる銘柄の優待利回りは、3,000円÷100,000円で3%です。ここでもし株価が600円に下がると、3,000円÷60,000円で優待利回りは5%に「上昇」します。
何も良いことが起きていないのに、利回りの数字だけが良化するわけです。優待利回りランキングの上位に株価下落中の銘柄が並びやすいのは、この構造が理由です。2015年の私が「738円で買いやすい」と感じたのも、いま思えば株価が安い水準にあった(=市場の評価が低かった)からでした。
もう1つの罠は「使わない優待の価値はゼロ」という点です。スーツの優待券は、スーツを買う予定がなければ1円にもなりません。優待利回りの計算は「優待を満額使い切る人」前提の数字です。
そして最後が廃止リスクです。優待利回り込みで「総合利回り5%」と考えて買った銘柄の優待が廃止されると、投資の前提そのものが崩れます。私はJPX・JT・オリックスの3銘柄で優待廃止を経験しましたが、廃止後も持ち続けられたのは、いずれも配当と企業の中身で説明がつく銘柄だったからです。
まとめ:順番を間違えない
- 優待だけを最初の理由に買うと失敗しやすいです。業績・財務で持ちたい会社→その会社に優待もある、の順番を間違えないことが大事です
- 優待で選んだコナカは9年5ヶ月の塩漬けで確定損益-29,930円。優待自体も2023年に廃止されました
- 業績と配当方針で説明がつく巴工業は含み益+30%。ワインの優待は「おまけ」です
- 見るべき数字は3つ。優待を抜いた配当利回り・業績の方向(売上・営業利益・配当性向)・優待の条件と廃止リスク
- 「優待利回り◯%」は株価が下がるほど良く見える数字です。ランキング上位ほど一度立ち止まって業績を確認することをお勧めします
なお、本記事は私個人の体験と一般的な考え方の整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資には価格変動リスクがあり、投資判断はご自身の責任でお願いします。
私自身は2015年から楽天証券を利用しています。個別株・NISA・投資信託を1つの口座で管理でき、11年間使ってきた経験から現在もメイン口座にしています。
あわせて読みたい
- 株主優待で年間10万円以上受け取っているが、3銘柄で廃止された話【30代の実録】
- NISA個別株の失敗談|2015年に株価の安さだけで選んだ結果9年含み損【旧NISAシリーズ①】
- ビジネスブレイン太田昭和(9658)を9年持ったら取得単価利回りが12%になりました
- 個別株11年、TOPIXに勝てなかった話|73銘柄2,194万円の業界別ポートフォリオ全公開
- 貸株はやらなくていい?14銘柄・5年やった実績で出した結論【月800円の現実】
※ 本記事の保有状況・損益は2026年5月時点、巴工業の業績・配当・優待制度は執筆時点で確認した公開情報にもとづきます。最新の情報は各社の公式サイト・開示資料をご確認ください。