保険業界に10年身を置いたあとIT企業へ転職した、30代のHIKO(FP2級)です。私自身はユニット・リンクに加入したことはありません。この記事は公式に公開されている資料を読み込んで整理したものです。
「ユニットリンク 解約控除」で検索する方が知りたいのは、ほぼ一点だと思います。今やめると、いくら引かれるのか。
ところがアクサ生命の公式ページは、この問いに正面から答えていません。「解約控除額は保険料払込年月数、契約年齢、保険期間などによって異なり、具体的な金額を表示することができません」と書かれているだけです。率の表も載っていません。
ただし、答えに近い数字は別のページに置かれています。公式の契約例に「解約控除額を差し引いたあとの払いもどし金額」が経過年数ごとに載っているのです。この記事のゴールは、その公表値を読んだうえで、自分の契約でいくら戻るのかを確認して判断できる状態になることに置いています。
本記事は公式サイトに公開されている情報を整理したものです。特定の保険商品の加入・解約・継続を勧めるものではありません。ユニット・リンクは金融商品取引法の規定が準用される特定保険契約です。実際の払いもどし金額は契約年齢・性別・保険期間・特約の有無・運用実績によって変わるため、最終的な判断はご自身の契約内容と設計書、保険会社への確認に基づいて行ってください。
結論:控除額は非公表ですが、控除後の金額は公表されています
先に結論です。
- 解約控除がかかるのは保険料払込年月数が10年未満のときです。10年に達すればかかりません
- 控除額そのものは非公表です。公式は「具体的な金額を表示することができません」と明記しています。基本保険金額に対して払込年月数に応じて計算する、という枠組みだけが公開されています
- 控除後にいくら戻るかは公表されています。公式契約例(30歳男性・月払2万円・30年満了・主契約のみ)では、運用実績0%のとき経過1年で払込24万円に対して2万円、3年で72万円に対して46万円、5年で120万円に対して90万円です
控除額そのものが分からなくても、控除後の手取りは公式が数字で示しています。検索している方が本当に知りたいのはこちらのはずです。
公式の契約例で見る「いくら戻るか」
アクサ生命の商品ページ「保障内容」に掲載されている契約例です。数字はすべて公式の公表値をそのまま引いています。
契約例の条件(2026年4月現在)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 契約年齢・性別 | 30歳・男性 |
| 月払保険料 | 20,000円 |
| 保険期間・保険料払込期間 | 30年満了 |
| 保険料払込方法 | 口座振替月払 |
| 特約 | なし(主契約のみ) |
| 基本保険金額 | 957万円 |
払いもどし金額(単位:万円)|列見出しの-3%〜6%は特別勘定の運用実績です
| 経過年数 | 払込保険料累計 | -3% | 0% | 3% | 6% |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年 | 24 | 2 | 2 | 3 | 3 |
| 3年 | 72 | 43 | 46 | 49 | 52 |
| 5年 | 120 | 83 | 90 | 98 | 106 |
| 10年 | 240 | 171 | 199 | 232 | 271 |
| 20年 | 480 | 295 | 395 | 541 | — |
| 30年(満期) | 720 | 388 | 593 | 957 | 1,633 |
経過20年・運用実績6%の欄は、同じ公式ページ内で表示が2種類に分かれていたため、本記事では採用していません。
この表には公式の注記が2つ付いています。ひとつは「払いもどし金額については、解約控除額を差し引いた額を表示しています」。もうひとつは「各運用実績(-3%、0%、3%、6%)は、特別勘定にかかわるもので、保険料全体に対するものではありません。また、諸費用控除後の数値を表示しています」です。
つまりこの表の数字は、解約控除も各種費用も引いたあとの、契約者の手元に来る金額です。例示の運用実績がそのまま推移した仮定の数値なので確定値ではありませんが、公式が示している数字はこれだけです。
30歳・月2万円の公式例では、1年で解約すると24万円が2万円に
上の表のいちばん上の行を、返戻率に直してみます。ここからは公表値をもとにした私の計算です。
| 経過年数 | 払込累計 | 払いもどし金(運用実績0%) | 返戻率 |
|---|---|---|---|
| 1年 | 24万円 | 2万円 | 約8% |
| 3年 | 72万円 | 46万円 | 約64% |
| 5年 | 120万円 | 90万円 | 約75% |
| 10年 | 240万円 | 199万円 | 約83% |
1年での解約は、払い込んだ24万円のうち22万円が戻りません。公式が「特に早期に解約された場合は、解約控除額が大きくなり、払いもどし金はまったくない場合もあります」と書いているのは、この帯のことです。
一方で、3年から5年にかけて返戻率は64%から75%へ上がり、10年で83%になります。早期ほど重く、時間の経過とともに軽くなるという形がはっきり出ています。
くり返しになりますが、この数字は30歳男性・月払2万円・30年満了・主契約のみ・運用実績0%という特定の条件のものです。契約年齢も保険料も特約の有無も違えば、金額は変わります。自分の契約の金額を確認する方法は後述します。
解約控除がなくなるのは「保険料払込年月数10年」から
公式ページの記載を、そのまま引用します。
解約日における保険料払込年月数が10年未満の場合に、積立金額から解約控除額が差し引かれます。解約控除額は、基本保険金額に対し、保険料払込年月数により計算した額となります。
読み取れることは3つです。
- 判定に使うのは契約からの経過年数ではなく、保険料払込年月数です。公式には「年払の場合は、月払保険料として特別勘定に繰り入れた年月数となります」という注記もあります
- 控除額の計算の基準は積立金額ではなく基本保険金額です。運用がうまくいっていても、控除の重さ自体は基本保険金額に紐づきます
- 控除は積立金額から差し引かれます
2番目は見落とされやすいところだと思います。積立金が少ない早期ほど、基本保険金額を基準に計算した控除額が相対的に重くのしかかる構造です。1年目の返戻率8%は、この構造の結果として説明がつきます。
減額と払済にも解約控除はかかります
「解約はしないけれど負担を軽くしたい」と考えたときの選択肢が、基本保険金額の減額と払済保険への変更です。ただし公式は、どちらにも解約控除がかかると明記しています。
保険料払込年月数が10年未満の場合にユニット・リンク払済保険への変更などをされる場合にも解約控除がかかります。特に早期に変更を行った場合は、解約控除額が大きくなり、変更のお取り扱いができない場合もあります。
基本保険金額を減額されたときは、減額分は解約されたものとしてお取り扱いしますので、減額部分にも解約控除がかかります。
アクサ生命は解約を検討している契約者向けのページで、契約者貸付と保険料減額の2つを案内しています。ただし減額のほうにも「継続された保障は一部解約と同じ扱いになるため、減額部分にも解約控除がかかります」という注記が付いています。少なくとも公式に案内されている解約・減額・払済への変更については、10年未満だと解約控除の対象になるというのが公表資料から読める範囲です。
契約者貸付は所定の利息がかかる代わりに保障がそのまま続く仕組みなので、性質が異なります。どれが自分に合うかは、必要としている金額と、その資金がいつまで必要かによって変わります。
10年を過ぎても元本割れが続く理由
先ほどの表をもう一度見ると、運用実績0%の返戻率は経過10年で約83%、20年で約82%、30年で約82%と、ほぼ横ばいのままです。解約控除がなくなったあとも払込額に届きません。
主な理由は、解約控除とは別に、保険関係費用や特別勘定に関する費用が継続して差し引かれるためです。公式の「投資リスク・費用」ページには、次の費用が明記されています。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 保険契約の締結・維持および保険料の収納に必要な費用 | 特別勘定への繰入の際に保険料から控除 |
| 特別勘定の管理に必要な費用 | 積立金額に対して年率0.50%(日割で毎日控除)+年率0.25%(月単位の契約応当日始に控除) |
| 基本保険金額保証に関する費用 | 月単位の契約応当日始に積立金から控除 |
| 死亡保障などに必要な費用(危険保険料) | 同上 |
| 保険料払込免除に関する費用 | 主契約の保険料に対して0.1%〜0.2% |
このうち特別勘定の管理に必要な費用については、年0.50%と年0.25%を合わせた年0.75%という率が明記されています。ここに特別勘定ごとの運用関係費が加わります。特別勘定によって運用関係費には大きな差があり、日本株式型が年率0.06050%程度、外国株式型が年率0.06160%程度と低い一方、日本株式プラス型は年率0.82600%程度、SDGs世界株式型は年率1.27000%程度と、年1%を超える勘定もあります。
なお、保険関係費のうち締結・維持の費用と危険保険料は「被保険者の年齢・性別などにより異なるため、具体的な金額や上限額を表示することができません」とされているため、契約全体で年何%かかっているのかは公表資料からは計算できません。
運用実績0%という前提は「特別勘定が増えも減りもしなかった」という意味です。そこからこれらの費用が引かれ続ければ、30年後に82%まで目減りするのは計算として自然です。逆に運用実績3%なら経過20年で113%、30年で133%になります。最終的な払いもどし金額は、特別勘定の運用実績だけでなく、保険関係費用などを差し引いた結果で決まります。
NISAで同じ額を積み立てた場合の桁の違い
判断材料として、同じ月2万円・30年を投資信託で積み立てた場合の単純計算を並べます。公式の数字ではなく私の試算です。
試算の前提:月2万円を30年間、毎月末に積み立て、年率が毎月一定で複利で回ったと仮定した単純計算です。信託報酬・売買コスト・税金は考慮していません。NISA口座で運用益が非課税になる場合を想定しています。
| 年率 | 積立の単純計算 | ユニット・リンクの払いもどし金(公式例表) |
|---|---|---|
| 0% | 720万円 | 593万円 |
| 3% | 約1,166万円 | 957万円 |
| 6% | 約2,009万円 | 1,633万円 |
この差額を「死亡保障の値段」と読むことはできません。差には、死亡保障などの保障を持つためのコストだけでなく、保険関係費用や特別勘定に関する費用、保険料のうち特別勘定へ繰り入れられる割合や繰り入れのタイミングが混ざっているためです。差額を月割りして保険料のように扱うのも、同じ理由で成り立ちません。
保障部分だけを比べたいのであれば、同じ957万円の死亡保障を掛け捨ての定期保険で持った場合の保険料を別途見積もる必要があります。ここでは、桁がどれくらい違うかを見る材料としてだけ受け取ってください。
自分の契約でいくら戻るかを確認する方法
ここまでは公式の契約例をもとにした一般論です。実際の解約控除額と払いもどし金額は契約ごとに違うので、確認するには次の3つのいずれかになります。
- MyAXA(お客さま専用マイページ)で見る。公式に「最新の積立金額・払いもどし金額の確認」ができると案内されています。契約者が18歳未満の場合は手続きできないという注記があります
- アクサ生命のコールセンターに問い合わせる。公式のよくあるご質問に「解約のお手続き前に、解約払いもどし金(返戻金)額を確認いただくことは可能です」と記載があります
- ご契約のしおり・約款を読む。アクサ生命はデジタル約款を用意しており、契約日が2014年1月1日以降の契約が対象と案内されています
金額を確認するだけなら手続きには進みません。まず数字を手元に置いてから考えるという順番をおすすめします。判断材料がないまま「早く解約したほうが損が小さい」と言われて動くのがいちばん危ないところです。実際には10年未満での解約は控除が重く、あと何年で控除が消えるのかによって答えが変わります。
確認するときは、次の3つをメモしておくと判断が進みます。
- 現在の保険料払込年月数(10年まであと何年か)
- 現在の払いもどし金額と払込保険料累計
- 現在選んでいる特別勘定(運用関係費が年1%を超える勘定かどうか)
解約するか続けるかの判断軸
数字だけを見ると費用の重さが目立ちますが、解約が常に正解になるわけではありません。公表資料から読める範囲で、判断軸を挙げます。
- 保険料払込年月数が10年に近い場合は、いま解約したときの払いもどし金額と、控除が終わったあとの見込みを並べて比べたいケースです。ただし特別勘定の運用次第で積立金は増えも減りもするので、待てば必ず手取りが増えるとはかぎりません
- 死亡保障が今まさに必要かどうか。基本保険金額は最低保証で、運用がマイナスでも死亡・高度障害保険金は基本保険金額を下回りません。同じ保障を今から掛け捨てで買い直すと、加入時より年齢が上がっているぶん保険料は高くなります
- 健康状態が加入時と変わっていないか。解約すると以後の保障はなくなります。新たに入り直せる保証はありません
- 生命保険料控除の節税額だけで決めない。控除が使えるのは事実ですが、その年の節税額と、この商品にかかっている費用は桁が違うことがあります。両方を並べてから判断してください
死亡保障の必要性がすでに小さく、払込年月数が10年を大きく超えていて、費用を上回る運用が続く見込みに納得できないのであれば、続ける理由は薄くなります。どちらにしても、先に自分の払込年月数と現在の払いもどし金額を確認するのが出発点です。
解約したときの税金
払込額を上回って戻ってきた場合は、一時所得として課税の対象になります。国税庁タックスアンサーNo.1755の計算式は次のとおりです。
受け取った保険金の総額 − 既に払い込んだ保険料または掛金の額 − 特別控除額50万円
この金額をさらに2分の1にした金額が、総合課税の対象になります。逆に払込額を下回って戻ってくる場合は、この式がマイナスになるので課税対象になりません。10年未満の解約で控除を引かれて戻ってくるケースは、多くが後者にあたると考えられます。個別の申告要否は税務署または税理士にご確認ください。
よくある質問
ユニットリンクの解約控除はいくらですか。
率も金額も公表されていません。公式は「解約控除額は保険料払込年月数、契約年齢、保険期間などによって異なり、具体的な金額を表示することができません」としています。ただし控除後の払いもどし金額は公式契約例に掲載されており、30歳男性・月2万円・30年満了・主契約のみの例で、運用実績0%のとき経過1年2万円(払込24万円)、3年46万円(同72万円)、5年90万円(同120万円)です。
解約控除は何年でなくなりますか。
保険料払込年月数が10年に達すればかかりません。判定に使うのは経過年数ではなく保険料払込年月数で、年払の場合は月払保険料として特別勘定に繰り入れた年月数で数えると注記されています。
減額や払済なら控除はかかりませんか。
かかります。払済への変更にも、減額部分にも解約控除がかかると公式に明記されています。
10年を過ぎれば元は取れますか。
運用実績によります。公式例表では運用実績0%のとき、経過10年で払込240万円に対して199万円、30年で720万円に対して593万円と、払込額には届きません。運用実績3%なら経過20年で541万円(払込480万円)、30年で957万円(払込720万円)です。解約控除がなくなったあとも保険関係費用や特別勘定に関する費用は差し引かれ続けるため、それを上回る運用ができるかどうかが分岐点になります。
今の払いもどし金額はどこで見られますか。
MyAXAで最新の積立金額・払いもどし金額を確認できると公式に案内があります。電話での確認も可能です。
まとめ
- 解約控除がかかるのは保険料払込年月数が10年未満のときです
- 控除額そのものは非公表ですが、控除後の払いもどし金額は公式契約例に載っています
- 公式例(30歳男性・月2万円・30年満了・主契約のみ)では、運用実績0%のとき経過1年で払込24万円に対し2万円、5年で120万円に対し90万円です
- 減額も払済も、10年未満なら解約控除の対象です
- 10年を過ぎても運用実績0%だと返戻率は約82%で頭打ちです。解約控除とは別に、保険関係費用や特別勘定に関する費用が差し引かれ続けるためです
- ここまではすべて特定の条件の公式例です。判断の出発点は、自分の払込年月数と現在の払いもどし金額をMyAXAか電話で確認することにあります
数字を見ないまま「早めに切ったほうが損が小さい」と決めるのも、「もったいないから続ける」と決めるのも、どちらも根拠がありません。公式が出している数字と、自分の契約の数字を並べてから決めれば、どちらを選んでも納得できるはずです。