保険業界に10年身を置いたあとIT企業へ転職したFP2級のHIKOです。私自身は個人年金保険を契約しておらず、老後資金はNISAと企業型DCで積んでいます。この記事は、住友生命が公開している商品ページ・パンフレット・約款と、国税庁・財務省の公表資料を読み込んで整理したものです。

「たのしみワンダフル 解約」「たのしみワンダフル 元本割れ」と検索する方の多くは、これから加入を検討しているというより、すでに契約があって、続けるかどうかを決めたい状態だと思います。この記事はその前提で書いています。

本記事の実質利回りは、住友生命の商品ページとパンフレット(保険種類一覧・2025年10月改訂版)に載っている30歳男性・月払15,000円・60歳払込満了・65歳年金開始・10年確定年金という一つの契約例と、同社が「新たにご加入を検討される方用」として公開している約款(5年ごと利差配当付生存保障重視型個人年金保険(14))から、筆者が計算したものです。契約年齢・性別・契約日・保険契約の型が違えば数値も変わります。最終的な判断は保険証券と設計書で確認してください。本記事は特定の保険商品の加入・解約・継続を勧めるものではありません。なお、本記事はアフィリエイトリンクを含みます。

この記事の要点

  • 公式の受取率115.9%(30歳男性の契約例)は、年利に直すと約0.73%です。35年かけて到達する数字です
  • 保険料払込期間中に解約する限り、払い込んだ額を超えて戻ることはありません。解約返戻金の上限は既払込保険料相当額だと重要事項に明記されています
  • 年金として受け取ると総額は増えますが、実質利回りはむしろ下がります(年金として受け取る10年間の利回りは年0.435%)
  • 判断のスタートは保険証券です。「今解約したらいくら戻るか」だけは、どの公開資料にも載っていません

結論:解約の判断は「今どの局面にいるか」で3つに分かれます

たのしみワンダフルは、契約の局面によって取れる手が変わります。まずご自身がどこにいるかを確認してください。

今の局面取れる手判断の軸
保険料を払っている最中解約/基本年金額の減額解約返戻金がいくら戻るか。元本割れの幅
払込は終わったが年金開始前(据置期間)解約ここは金額が増えていく局面
年金の受け取りが始まっている解約はできません約款第38条により、解約できるのは年金支払開始日前まで

3つ目は見落とされがちです。約款第38条は「保険契約者は、年金支払開始日前に限り、いつでも将来に向かって、保険契約を解約することができます」と定めています。年金の受け取りが始まったあとに残っている選択肢は、解約ではなく「年金の一時支払い」(第6条)です。これは将来の年金に代えて残りの現価を一括で受け取るもので、支払われると契約は消滅します。

多くの方が立っているのは1つ目の局面だと思うので、そこを中心に見ていきます。

たのしみワンダフルの受取率115.9%は、年利に直すと0.73%です

住友生命の商品ページには、契約例として次の数字が載っています。

たのしみワンダフル/5年ごと利差配当タイプ(口座振替料率月払)・60歳払込満了・65歳年金開始・10年確定年金・月払保険料15,000円(2025年10月現在)

契約年齢払込保険料総額年金原資一括受取率年金受取総額年金受取率
20歳(男性)720万円約878万円約121.9%895.1万円約124.3%
30歳(男性)540万円約626万円約115.9%638.3万円約118.2%
40歳(男性)360万円約389万円約108.0%396.5万円約110.1%
30歳(女性)540万円約625万円約115.8%637.5万円約118.0%

出典:住友生命「たのしみワンダフル」商品ページ(2026年8月29日確認)。保険料はたのしみランク適用による割引後の金額です。

115.9%だけを見ると増える商品に見えますが、この数字には時間の長さが含まれていません。30歳で契約して65歳で受け取るなら、35年かけて15.9%増えるということです。

これを年率に直したものが実質利回り(IRR)です。毎月15,000円ずつ出ていくキャッシュフローと、35年後に626万円が入ってくるキャッシュフローが釣り合う年利を求めます。

契約年齢一括受取率実質利回り(筆者試算)
20歳(男性)約121.9%年0.78%
30歳(男性)約115.9%年0.73%
40歳(男性)約108.0%年0.51%
30歳(女性)約115.8%年0.72%

試算に置いた前提は3つです。保険料は毎月の初めに払い込む、年金原資は年金支払開始日に一括で受け取る、月単位で割り引いて年率に換算する。保険料を各月末払いに変えても年0.733%です。払込タイミングの置き方で結論は動きません。

契約年齢別の実質利回り(公式契約例のキャッシュフローから逆算・筆者試算)
0.78%
20歳
0.73%
30歳
0.51%
40歳
月払15,000円・60歳払込満了・65歳年金開始・年金原資を一括で受け取る前提(2025年10月現在の契約例)。契約日の予定利率が変われば数値も変わります。

年齢が上がるほど利回りが下がるのは、払込期間と据置期間が短くなり、複利で働く時間が減るからです。40歳で契約した場合の年0.51%は、20年かけて8%増える計算になります。

この0.73%は、保険会社の予定利率ではありません。 契約者が実際に払い込む保険料と、将来受け取る年金原資という2つのキャッシュフローから逆算した、契約者側の実質利回りです。「予定利率から費用を引いた残り」を計算したものではなく、そもそも別の指標です。住友生命はたのしみワンダフルの予定利率を公表していないため、予定利率そのものは外部から確定できません。

年金で受け取ると総額は増えるのに、実質利回りは下がります

30歳男性の例では、一括受取率が約115.9%なのに対し、10年の年金として受け取る場合の年金受取率は約118.2%で、総額は12万円以上多くなります。ところが実質利回りで計算し直すと、逆になります。

受け取り方受取総額実質利回り(筆者試算)
年金原資を一括で受け取る626万円年0.73%
10年確定年金で受け取る638.3万円年0.68%

受取総額が増えているのに利回りが下がるのは、増えた分を受け取るのが65歳から74歳にかけてだからです。10年かけて分割で受け取るぶん、お金が戻ってくる時期が後ろにずれます。

年金として受け取っている10年間の利回りは、公式に出ている2つの金額だけで計算できます。年金原資626万円を、年63万8,300円ずつ10回受け取る(約款第4条により第1回は年金支払開始日、第2回以後は1年ごと)と考えると、年0.435%です。払込期間中の実質利回り0.73%より低い水準です。

この年金額と年金原資の関係は、約款の別表5(未払年金の現価)とも整合します。10年確定年金・定額年金型の率は9.811で、基本年金額63万8,300円 × 9.811 = 626万2,361円。公式の年金原資「約626万円」と一致します。

なお、別表5の率をそのまま現価率として読むと利率を取り違えます。 残存1回の率が1.010で、純粋な年金現価なら1.000であるべきところに約1%の定数倍が乗っているためです(この定数の理由は約款に書かれていません)。本記事の0.435%は別表5からではなく、公式の年金原資と基本年金額から直接計算しています。

つまり「年金受取率118.2%」という一番大きな数字は、年0.435%での据え置きを10年ぶん含んだ結果として出てきています。

率の大きさを比べるときは、それが何年かけての数字なのかを必ずセットで見てください。 これはたのしみワンダフルに限った話ではなく、貯蓄性のある保険全般に共通します。

元本割れの分かれ目:払込期間中は、払った額を超えて戻りません

「たのしみワンダフル 元本割れ」で検索している方にとって、ここが本題です。

住友生命の商品ページの注意書きは、次の1行だけです。

保険料払込期間中に解約されると、解約返戻金額は多くの場合、払込保険料累計額を下回ります。

「多くの場合」という書き方なので、これだけでは例外がありそうに読めます。ところが同社のパンフレット(保険種類一覧・2025年10月改訂版)の重要事項には、もっと踏み込んだ記載があります。

<たのしみワンダフル・たのしみキャンバスをご契約の場合> 保険料払込期間中の解約返戻金額の上限を死亡給付金額(既払込保険料相当額)とするしくみで保険料を計算しているため、当社が将来の年金支払のために積み立てた金額(保険料積立金額)が死亡給付金額を上回った場合でも、解約返戻金は保険料積立金を下回ります。

死亡給付金額は、約款の別表4で「月払保険料 × 保険料を払い込んだ回数」と定められています。つまり既に払い込んだ保険料の額そのものです。

ここから確定できることが2つあります。

  1. 保険料払込期間中に解約する場合、解約返戻金は既払込保険料相当額を上限とします。したがって、払込期間中の解約返戻金が既払込保険料を上回ることはありません。「あと数年払えば払った額を超えて戻る」ということは、払込期間中には起こらない設計です
  2. 保険会社が内部で積み立てている金額(保険料積立金)が既払込保険料を上回った場合でも、契約者が受け取れる解約返戻金はそれを下回ります。この差は、払込期間中に解約した場合には戻ってきません

なお本記事では、検索されている言葉に合わせて「元本割れ」という表現も使っていますが、約款とパンフレット上の正確な用語は「既払込保険料」です。保険の元本は預金の元本とは概念が違うので、ご自身の契約を確認するときは既払込保険料と解約返戻金額の2つを見てください。

それでも「今いくら戻るか」は、公開情報からは分かりません

上限は分かりました。ただし、何年目にいくら戻るのかは、どの公開資料にも載っていません。

約款第39条(解約返戻金額)が定めているのは、①解約返戻金は払込年月数または経過年月数によって計算する ②その金額は保険証券を発行する際に契約者へ通知する、の2点だけです。計算の基準となる変数は書かれていますが、率も金額も約款には書かれていません

したがって、外部から「たのしみワンダフルは○年目でいくら戻ります」と書くことはできません。ネットの記事に返戻率の表が載っていたとしても、それが自分の契約に当てはまる保証はどこにもないということです。本記事でも損益分岐点の年数は示しません。

あなたの契約で判断する3つの数字

代わりに、この3つが分かればご自身の契約について「続ける・減額する・解約する」を比較できます。

  1. 今の解約返戻金額(今やめたら手元に戻る金額)
  2. 残りの払込保険料の総額(月払保険料 × 払込満了までの残り月数)
  3. 払込満了後の年金原資(設計書に記載されている、将来受け取る側の金額)

2を払い切って3を受け取るのと、1を今受け取って別の場所に置くのと、どちらが自分の状況に合うか。判断はこの比較に落ちます。1が分かるだけでも「今やめたらいくら損か」は確定します。

確認する方法は3つです。

  1. 保険証券(またはお申込み時に受け取った「申込内容控(兼解約返戻金額表)」)を見る。約款上、金額が記載されているのはここです
  2. スミセイダイレクトサービス(契約者向けのマイページ)で契約内容を確認する
  3. 住友生命のコンサルティングデスクに問い合わせる

この3つの数字が揃うまでは、解約するかどうかを決めないでください。 これがこの記事でいちばん伝えたいことです。

解約の前に:減額はできます。払済は約款だけでは確定できません

「たのしみワンダフル 払い済み」で検索している方も多いようなので、先に結論を書きます。

払済年金保険への変更を「できる」とも「できない」とも、公開されている約款だけでは断定できません。 契約時期や付加している特約によって扱いが異なる可能性があるため、住友生命への確認が必要です。一方、基本年金額の減額は約款にはっきり定めがあります

減額について。 約款第29条は「保険契約者は、年金支払開始日前に限り、いつでも将来に向かって、基本年金額を減額することができます」と定めており、減額した部分は解約されたものとして扱われ、その部分の解約返戻金が支払われます。将来の年金額は減りますが、毎月の保険料負担を下げて契約自体は残せます。

払済について。 主約款の「契約内容の変更」の章にあるのは、基本年金額の減額(第29条)、年金支払開始日における年金の型等の変更(第30条)、保険料の払込方法の変更(第31条)、保険契約の型の変更(第32条・取り扱わない旨)の4つで、払済年金保険への変更の条文は置かれていません。

ところが、個人年金保険料税制適格特約(‘90)のほうには、次の記載があります。

主契約については、次の取扱いを行いません。(中略)ロ.契約日から起算して10年以内の払済年金保険への変更

特約側は「10年以内の払済年金保険への変更」を禁じる形で、払済という手続の存在を前提にしています。 主約款に条文がないのに特約が言及しているという状態なので、公開資料だけで結論を出すべきではありません。

分かっているのは次の2点です。

  • 少なくとも、個人年金保険料税制適格特約を付けている契約は、契約日から10年以内に払済へ変更することはできません
  • 公式サイトの「お手続き一覧」には「保険の解約」の項目はありますが、払済・減額の項目は掲載されていません(2026年8月29日時点)

なお、税制適格特約はこの特約だけを解約することができません(同特約第4条)。「控除は要らないから特約だけ外して自由に手続きしたい」という選択肢はない、ということです。

保険料の払込免除があるかは、保険契約の型で変わります

これは商品ページを読んでいるだけでは気づけない論点です。

住友生命の商品ページとパンフレットは、どちらも同じ注記を置いています。

高度障害状態、障害状態による保険金のお支払いや、保険料払込免除のお取扱いはできません。

一方、公開されている約款の第3条(給付の種類)は、保険契約の型によって給付が違うと定めています。

保険契約の型給付の種類
Ⅰ型年金/死亡給付金
Ⅱ型年金/死亡給付金/保険料の払込免除

Ⅱ型は告知が必要で、責任開始も「第1回保険料を受け取った時」と「告知が行われた時」の遅いほうになります(第2条)。

現行のパンフレットに記載されている商品種類は「5年ごと利差配当付生存保障重視型個人年金保険(14)」で、この約款と同じ商品です。そのうえで払込免除の取扱いはできないと書かれているので、現在の募集では払込免除のない型で取り扱われていると読めます。ただしこれは公開資料からの読み取りで、契約時期によって取扱いが異なる可能性は残ります。そして第32条は「保険契約の型の変更は、取り扱いません」と定めているので、あとから型を変えることはできません。

30年にわたって毎月保険料を払い続ける契約で、働けなくなったときに保険料が止まるかどうかは、判断材料として小さくありません。ご自身の契約に払込免除が付いているかどうかは、保険証券と契約概要で確認してください。

生命保険料控除を入れても、いまの個人向け国債には届きません

個人年金保険を続ける理由としてよく挙がるのが、生命保険料控除です。これを数字に入れると結論が変わるのかを確認します。

税制適格特約を付けると、個人年金保険料控除の対象になります。適用には次の4条件をすべて満たす必要があります(住友生命の商品ページ・国税庁タックスアンサーNo.1141)。

  1. 年金受取人が契約者本人またはその配偶者であること
  2. 年金受取人が被保険者であること
  3. 保険料払込期間が10年以上あること
  4. 年金の支払いが受取人60歳以降に開始し、かつ10年以上にわたって行われること

月15,000円なら年間18万円で、新制度の控除上限(所得税4万円・住民税2万8,000円)に届きます。所得税率10%・住民税率10%の方であれば、軽減される税額は年6,800円です(4万円×10%+2万8,000円×10%)。所得税率20%なら年1万800円になります。

生命保険料控除は利回りではなく税負担の軽減です。ここではその軽減額を毎年のキャッシュフローに加えたうえで、改めて実質利回りを計算し直しています(税率は仮定で、その税率が払込期間を通じて続くものとしています)。

前提実質利回り(筆者試算)
控除を入れない年0.73%
所得税10%+住民税10%の軽減額を加える年0.92%
所得税20%+住民税10%の軽減額を加える年1.03%

控除の効果は小さくありません。それでも、同じ時期に誰でも買える元本確保型の商品と並べると、位置づけがはっきりします。

財務省が募集している個人向け国債は、変動10年(第197回)が年1.87%、税引後で年1.4901095%です(募集期間 令和8年8月6日〜31日・発行日 令和8年9月15日・2026年8月29日確認)。固定5年は年2.06%、新窓販国債の10年は応募者利回りが年2.788%です。

仮に現在の国債金利が35年続いたら|30代男性が月1.5万円を積んだ場合の65歳時点(筆者試算)
626万円
たのしみワンダフル(年金原資)
732万円
税引後1.49%が35年続いた場合
540万円
払い込んだ元本
左は公式契約例の年金原資(確定値)。中央は2026年8月時点の個人向け国債・変動10年の税引後利率1.4901095%が35年間そのまま続くと仮定した筆者試算です。変動10年は半年ごとに利率が見直されるため、この利率が続く保証はありません。

差はおよそ106万円ですが、これは「いまの金利が35年間固定される」という仮定を置いた場合の数字です。個人向け国債の変動10年は半年ごとに利率が見直されるため、金利が下がれば差は縮まりますし、上がれば広がります。

確定しているのは、2026年8月時点で募集されている国債の税引後利回りが、生命保険料控除を最大限に効かせたたのしみワンダフルの実質利回りを上回っているという現時点の比較までです。将来にわたって国債のほうが有利だ、という話ではありません。

生命保険料控除には、もうひとつ見落とされやすい点があります。控除の枠は保険料の額ではなく、枠そのものが1人1枠だという点です。ほかに個人年金保険料控除の対象になる契約があれば、枠は共有されるので、2本目以降の契約に控除のメリットはありません。

老後資金の置き場所を並べて考えるなら
たのしみワンダフルの実質利回りは、本記事の試算で年0.73%(生命保険料控除を入れても年0.92〜1.03%)です。同じ資金をNISAの非課税枠に置く選択肢と並べて判断するには、まず証券口座が必要になります。楽天証券は投信の積立設定・クレカ積立に対応しており、口座開設と維持に費用はかかりません。
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※投資信託は元本保証ではなく、元本割れの可能性があります。投資判断はご自身でお願いします。

受け取り方で税金の種類が変わります

年金原資を一括で受け取るか、10年の年金として受け取るかで、かかる税金の種類が変わります。国税庁タックスアンサーNo.1610が根拠です。

  • 年金として受け取る場合:公的年金等以外の雑所得。金額は「その年に受け取った年金の額 − その金額に対応する払込保険料」
  • 将来の年金給付の総額に代えて一時金で受け取る場合一時所得

一時所得には50万円の特別控除があり、課税対象になるのは控除後の金額の2分の1です。30歳男性の契約例では次のようになります。

受け取り方課税される所得税額の目安(税率合計20%の場合)
一括(626万円)一時所得(626万円−540万円−50万円)÷2 = 18万円約3万6,000円
10年確定年金(年63万8,300円)雑所得 年9万8,300円(=63万8,300円−54万円)年約1万9,700円・10年で約19万7,000円

数字だけを見ると一括が有利に見えますが、そう単純ではありません。年金の雑所得は年10万円弱なので、その年に他の所得がどれだけあるかで実際の税負担は変わります。一方の一時所得は総合課税なので、受け取った年の所得に一度に上乗せされます。

なお源泉徴収については、No.1610が「年金の年額からそれに対応する保険料の額を控除した残額が25万円未満の場合には、源泉徴収されません」と明記しています。上の例は源泉徴収されませんが、源泉徴収されないことと課税されないことは別です。申告の要否はその年の所得構成で変わるため、金額が大きくなる場合は税務署にご確認ください。

税引後の手取りで見ると、一括と年金の差は数万円のレンジに収まります。受取総額の差12万3,000円と同じオーダーなので、税金だけで受け取り方を決めることはできません。

利回りが低い=すぐ解約、ではありません

ここまで実質利回りの低さを見てきましたが、それを理由に解約へ直行するのは別の話です。解約が最善にならない場面を挙げます。

  • 払込満了が近い場合ほど、3つの数字を並べる意味が大きくなります。 「残りの払込総額を払い切って年金原資を受け取る」のと「今の解約返戻金を受け取って別の場所に置く」のを比べる話であって、「あと数年だから続ける」という理由だけで決まるものではありません
  • 控除の枠を実際に使っている。 年6,800円〜1万800円の軽減を毎年受けているなら、これを捨てる判断になります。しかも税制適格特約だけを外すことはできません
  • 60歳以降に受け取ることを確定させたい。 個人年金保険は、途中で使ってしまうことを構造的に防ぐ商品です。この拘束力に価値を感じるなら、利回りの低さは対価と考える余地があります
  • 解約返戻金がまだ確認できていない。 金額を見ないまま決めるのは、いちばん避けたいパターンです

そして、保険料の負担が家計を圧迫しているなら、解約の前に減額を検討してください。約款上の取扱いがはっきりしているのは減額のほうで、契約と控除の枠を残したまま負担を下げられます。

保険を解約してNISAへ振り替えるかどうかの判断軸は、積立保険の解約タイミング|やめていい5つの条件と税金に整理しています。

新規加入を検討している場合

すでに契約がある方向けに書いてきましたが、これから検討している方向けに3点だけ。

たのしみランクに断層があります。 公式の契約例は月払保険料15,000円で計算されており、たのしみランク(保険料の割引制度)は割引前の月換算保険料が15,000円以上の場合に適用されます。つまり公式の115.9%は、月1万5,000円以上を出せる人の数字です。割引率そのものは設計書に記載があるとされ、公開されていません。

契約年齢で差が出ます。 40歳契約なら受取率は約108.0%、実質利回りは年0.51%です。

順番を先に考えてください。 老後資金が目的なら、一般論として (1) NISAのつみたて投資枠 → (2) iDeCoまたは企業型DCのマッチング拠出 → (3) 個人年金保険、の順で検討するほうが合理的なケースが多いです。iDeCoは掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除の対象で、個人年金保険料控除(上限4万円)とは効果の桁が違います。

まとめ:まず保険証券を出してください

たのしみワンダフルについて、公開情報から確定できたことを整理します。

  • 公式の受取率115.9%は、年利に直すと約0.73%(30歳男性の契約例・キャッシュフローから逆算した筆者試算)
  • 生命保険料控除の軽減額を加えても年0.92〜1.03%で、2026年8月時点の個人向け国債の税引後利回り(変動10年 年1.4901095%)には届かない
  • 年金として受け取ると総額は増えるが、実質利回りは年0.68%に下がる。年金として受け取る10年間の利回りは年0.435%
  • 払込期間中に解約する限り、払い込んだ額を超えて戻ることはない(解約返戻金の上限=既払込保険料相当額)
  • ただし何年目にいくら戻るかは、どの公開資料にも載っていない
  • 減額は約款上はっきり可能。払済の取扱いは公開約款だけでは確定できない

判断に必要な数字のうち、いちばん重要な「今解約したらいくら戻るか」だけが、公開情報の側にありません。 それは手元の保険証券にあります。解約するかどうかを考えるのは、そこからです。


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この記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買・加入を推奨するものではありません。投資・保険の判断はご自身の責任で行ってください。