保険業界に10年身を置いたあとIT企業へ転職したFP2級のHIKOです。当ブログでは保険商品を1本ずつ検証していますが、そのたびに「この会社はどうなのか」という会社単位の話が出てきます。

会社の姿勢を外から見られる数少ない公開データが、生命保険協会が四半期ごとに公表している会社別の苦情受付件数です。契約者でなくても誰でも見られます。ただし公表資料は会社ごとのページに分かれていて、横に並べて比べる形にはなっていません。

そこでこのページでは、協会の公表値を個人保険保有契約100万件あたりに換算して27社ぶん一覧にしました。

このページの数字は生命保険協会の公表資料そのままで、当ブログが加えたのは分母をそろえる処理だけです。件数の多寡は商品や会社の優劣を示すものではありません。特定の会社の加入・解約を勧めるものでもありません。データは四半期ごとに更新されるため、最新の値は必ず出典元でご確認ください。

このページの要点

  • 会社をまたいで比べられるのは協会に寄せられた件数だけです。各社が自社で受け付けた件数は、苦情の定義と計上範囲が会社ごとに違うので比較できません
  • 分母は全社で定義が共通の個人保険保有契約件数を使っています。同じ資料の「お客さま数」を分母にすると順位が入れ替わります
  • 保有契約が100万件未満の会社は別表に分けています。分母が小さいと数件の増減で率が大きく動くためです
  • この数字は会社の優劣ランキングではありません。 何が分からないかは記事の後半に整理しました

生命保険会社27社の苦情件数一覧(保有契約100万件あたり)

生命保険会社協会に寄せられた苦情件数個人保険保有契約件数保有契約100万件あたり最も多い苦情区分
アフラック164件21,879,987件7.5件保険金関係(44.5%)
かんぽ生命108件12,479,000件8.7件新契約関係(42.6%)
ソニー生命109件9,404,148件11.6件新契約関係(41.3%)
第一生命308件25,330,645件12.2件保険金関係(35.4%)
第一フロンティア生命29件2,247,655件12.9件新契約関係(65.5%)
SOMPOひまわり生命69件5,220,135件13.2件保険金関係(62.3%)
大同生命29件2,154,383件13.5件保全関係(37.9%)
日本生命469件34,079,825件13.8件新契約関係(29.4%)
三井住友海上あいおい生命58件4,001,710件14.5件保険金関係(46.6%)
東京海上日動あんしん生命91件6,277,011件14.5件新契約関係(33.0%)
ジブラルタ生命89件5,537,806件16.1件新契約関係(28.1%)
三井住友海上プライマリー生命21件1,279,325件16.4件新契約関係(61.9%)
明治安田生命223件12,711,261件17.5件保険金関係(35.0%)
富国生命66件3,633,928件18.2件保険金関係(51.5%)
メットライフ生命184件9,576,470件19.2件保険金関係(34.8%)
第一ネオ生命25件1,248,392件20.0件保険金関係(72.0%)
プルデンシャル生命93件4,623,000件20.1件新契約関係(39.8%)
住友生命221件10,762,292件20.5件新契約関係(29.9%)
朝日生命155件7,413,979件20.9件保険金関係(38.1%)
メディケア生命56件2,446,107件22.9件保険金関係(67.9%)
チューリッヒ生命40件1,734,579件23.1件保険金関係(60.0%)
太陽生命183件7,623,613件24.0件保険金関係(62.3%)
オリックス生命115件4,757,627件24.2件保険金関係(52.2%)
アクサ生命214件5,845,317件36.6件保険金関係(45.3%)
大樹生命101件2,458,418件41.1件保険金関係(36.6%)
マニュライフ生命69件1,588,588件43.4件新契約関係(36.2%)
FWD生命100件2,214,363件45.2件保険金関係(29.0%)
27社合算の苦情件数率3,389件208,529,564件16.3件

2025年度第1~第4四半期。出典:生命保険協会「生命保険各社の苦情受付情報」。 個人保険保有契約件数が100万件以上の27社を、保有契約100万件あたりの件数の少ない順に並べています。 最下段の27社合算の苦情件数率は、27社の苦情件数の合計を保有契約件数の合計で割って100万件あたりに換算した値です。各社の率を単純平均したものではありません。 協会に寄せられた件数は窓口が一つなので会社間で比べられますが、各社が自社で受け付けた件数は苦情の定義・計上範囲が会社ごとに異なるため、会社間の比較には使えません。件数の多寡は商品や会社の優劣を示すものではありません。

数字だけを見て「少ない会社が良い会社」と読まないでください。この率に効く要因は、あとで説明するとおり複数あります。

この表の読み方3つ

1. 分母は「お客さま数」ではなく「保有契約件数」を使っています

苦情の件数をそのまま並べると、契約が多い会社ほど上に来ます。日本生命の469件とアフラックの164件を比べても、保有契約が3,400万件と2,100万件では前提が違います。だから分母でそろえる必要があります。

問題は、どの分母を使うかです。協会の資料には「個人保険保有契約件数」と「お客さま数」の2つが載っています。当ブログは前者だけを使っています。お客さま数のほうは、名寄せをするかどうか、団体保険を含むかどうかが会社ごとに違うためです。

実際、同じ資料で第一生命の定義は「当社の個人保険・個人年金保険の被保険者数」ベース、日本生命は「あいおいニッセイ同和損害保険等の契約に加入した方」まで含む、といった具合に中身が違います。分母を取り違えると、率が数倍変わって順位も入れ替わります。

2. 「協会受付」と「自社受付」はまったく別の数字です

表に載せたのは協会に寄せられた件数だけです。同じ公表資料には各社が自社で受け付けた件数も載っていますが、こちらは会社間で比較できません。

理由は単純で、何を苦情として数えるかが会社ごとに違うからです。同じ資料の中で、自社受付件数が協会受付件数の数百倍になっている会社と、数十倍にとどまる会社が混在しています。これは苦情の多寡ではなく、計上の仕方の差です。窓口が一つである協会受付分だけが、会社をまたいで同じ土俵に乗ります。

各社の自社受付件数を見たい場合は、当ブログの各社レビュー記事に置いてある会社単位の表(協会受付・自社受付・保有契約を並べたもの)を見てください。同じ会社の中での参考値としては意味があります。

3. 内訳の区分を見ると、何についての申出かが分かります

協会の分類は5つです。表の右端には、その会社で最も多い苦情区分と、それが全体に占める割合を載せました。

区分何についての申出か
新契約関係加入時の説明・手続き・募集の仕方
収納関係保険料の払込み・口座振替
保全関係契約後の各種変更手続き
保険金関係保険金・給付金の請求と支払い
その他上記以外

たとえば新契約関係の割合が高い会社は、加入時の説明や勧誘のプロセスに申出が集まっているということです。同じ「100万件あたり20件」でも、その中身が新契約関係なのか保険金関係なのかで、契約者として気をつける場面が変わります。

保有契約100万件未満の14社

こちらは率を出していません。分母が小さいと苦情が数件増減しただけで率が大きく動き、上の表と同じ土俵で読めないためです。件数そのものを載せます。

生命保険会社(保有契約100万件未満)協会に寄せられた苦情件数個人保険保有契約件数
はなさく生命41件974,300件
なないろ生命60件930,807件
PGF生命9件911,702件
ニッセイ・ウェルス生命20件766,729件
楽天生命23件687,066件
ライフネット生命17件686,237件
T&Dフィナンシャル生命15件645,480件
フコクしんらい生命3件621,300件
エヌエヌ生命10件393,713件
みどり生命8件288,243件
SBI生命7件225,663件
クレディ・アグリコル生命8件17,221件
明治安田トラスト生命3件14,996件
カーディフ生命5件6,865件

こちらは100万件あたりの率を出していません。分母が小さいと、苦情が数件増減しただけで率が大きく動き、上の表と同じ土俵で読めないためです。件数そのものを載せています。

この数字で分からないこと

ここが一番大事な部分です。この表から読み取れるのは「協会の窓口に持ち込まれた申出の頻度」までです。

  • 商品の良し悪しは分かりません。 商品別の内訳は公表されていないので、「この商品の苦情が何件か」は誰にも書けません
  • 会社の健全性は分かりません。 支払余力の指標は2026年3月期から経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)に変わりました。苦情件数とは別の話です
  • 支払いが適切だったかは分かりません。 保険金関係の申出が多いことは、支払いを渋っているという意味にも、請求件数そのものが多いという意味にもなります
  • 販売チャネルの影響が入っています。 対面の営業職員が中心の会社は契約者との接点そのものが多く、ネット専業や銀行窓販中心の会社とは条件が違います。表の順序をそのまま「接客の質の順位」と読むことはできません

つまり、この一覧は会社を選ぶための決定打ではなく、契約前後に何を確認しておくかの手がかりです。新契約関係の割合が高い会社なら設計書の説明を録音・メモしておく、保険金関係が高いなら請求手続きの要件を約款で先に読んでおく、といった使い方になります。

なお、契約している会社との間で解決しない問題がある場合、生命保険協会は「生命保険相談所」という窓口を設けています。協会サイトに案内ページがあります。

会社別の検証記事

当ブログで個別に検証した保険会社と記事です。会社単位の苦情データは各記事の中にも置いてあります。

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データの更新について

出典は生命保険協会「生命保険各社の苦情受付情報」で、四半期ごとに更新されます。本ページに掲載しているのは2025年度第1~第4四半期の集計値です。

当ブログの数値は公表のたびに入れ替えており、各記事に置いている会社単位の表とこのページの一覧は同じデータを参照しているので、更新は常に一致します。契約や解約の判断に使う場合は、必ず出典元で最新の公表値を確認してください。


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この記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買・加入を推奨するものではありません。投資・保険の判断はご自身の責任で行ってください。