松風(7979)の株主優待は改悪?200株保有者が変更内容と「売らない理由」を解説

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第3回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で私が実際に保有している優待銘柄を、1記事1銘柄で紹介していく連載です。第1回はコナカと巴工業の比較、第2回はKDDIの優待変更でした。 松風(7979)の株主優待は改悪なのか。2026年に優待が一部変更され、ネットでもそう問う声が出ています。 先に私の結論を書きます。**私は松風を売っていません。理由は、私がこの株を持っている根拠が優待ではなく、歯科材料事業の成長性と配当だからです。**優待品が1本差し替わろうと、優待価格で買える本数の上限が縮んでも、私が見ている本線(業績・配当・財務)は変わっていません。だから今回の変更は、私にとって売る理由になりませんでした。詳しくは本文で、財務指標と「売る条件」もあわせて整理します。 なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 松風は歯科材料の会社で、株主優待として薬用歯磨などの自社製品がもらえることで個人投資家に知られています。その優待が、2026年6月3日付の会社からの告知で「一部変更」になりました。優待品の中身が一部差し替わり、優待価格で買える本数の上限も縮小されています。私は松風を200株保有し、優待品も受け取ってきた立場として、変更内容を会社の一次情報で整理していきます。 松風の株主優待が2026年にどう変わったのか(変更内容) まず、変更前の松風の株主優待を整理します。松風の公式IR(株主優待ページ)で確認した内容は、おおむね次のとおりです。 対象: 100株(1単元)以上を保有する株主 無料提供: 薬用歯磨など自社製品を、毎年6月下旬に発送 優待価格販売: 全株主を対象に、歯磨やネイル製品などを優待価格で購入できる 基準日: 3月31日(自社製品)と9月30日(ネイル製品)の2回 長期保有条件: 公式ページに記載なし(保有年数による段階はありません) そのうえで、2026年6月3日付で会社が出した「株主様ご優待製品等の変更に関するお詫びとお知らせ」の内容を、告知の範囲で整理すると、変更点は次のとおりです。 無料提供する優待品のうち1本が、別の歯磨製品へ差し替えになった 優待価格で購入できる本数の上限が、2箱から1箱へ縮小された 無料提供品の発送時期が、当初の予定より後ろ倒しになった 無料提供のセット自体は引き続き受け取れますが、優待価格で多めに買い足したい人にとっては、上限が半分になったぶん使い勝手が下がる形です。ネットで「松風の優待は改悪では」という声が出るのも、この上限縮小と発送遅延が理由でしょう。実際、優待価格販売を活用していた株主からすれば、体感として後退に映る変更だと思います。 (優待の正確な内容・条件・対象品目は改定されることがあります。実際に確認・申し込みをする際は、必ず松風の公式IR・株主優待ページと、当該の告知文をご自身でご確認ください。) 会社が挙げた変更理由は「株主数の増加」と「中東情勢」 今回の変更で私が注目したのは、会社が変更理由をきちんと説明している点です。 松風はお詫びの告知のなかで、変更の理由として「想定を上回る株主数の増加」と「中東情勢による原材料の供給不安」を挙げています。これは私の解釈ではなく、会社の告知文に書かれている内容です。 優待がもらえる会社の株主が増えること自体は、会社にとって悪い話ではありません。ただ、株主が増えれば、その人数分の優待品を用意するコストも増えます。そこに原材料の供給不安が重なれば、同じ条件のまま全員に配り続けるのが難しくなる、という事情は理解できます。 ここで大事なのは、これを「会社の経営が苦しいサイン」と読み違えないことだと思っています。今回の変更は、業績が悪化したからコストを削った、という話ではなく、株主数の増加と外部要因への対応として優待のかたちを調整した、というのが会社の説明です。原材料の供給不安は松風だけの問題ではなく、外部環境の話です。憶測で「経営がまずいから優待を削った」と決めつけるのは、フェアではないと考えています。 とはいえ、優待が縮小される方向の変更であることは事実です。だからこそ、この連載で繰り返してきた問いがまた効いてきます。「優待が縮小されても、この会社を持ち続けたいか」です。 「改悪」かどうかより、私が見ているのは業績・配当・財務 ここからが本題です。優待が縮小された「改悪」かどうかという議論はネットでも盛り上がりますが、私が松風を持ち続けるかどうかの判断は、優待ではなく業績・配当・財務の数字で決まります。私は松風を200株、取得単価のベースに対して含み益が出ている状態で保有していますが、その根拠は歯科材料分野で実績を積んできた事業のほうにあります。 業績:5年で売上約1.6倍、営業利益率は13%台へ 松風は売上を伸ばしてきた会社です。IR BANKで公開されている通期業績の推移は、おおまかに次のとおりです。 決算期売上高営業利益営業利益率営業CF2021年3月期247億円23.0億円9.3%28.3億円2022年3月期281億円32.2億円11.4%37.4億円2023年3月期317億円38.2億円12.1%31.7億円2024年3月期351億円47.1億円13.4%30.9億円2025年3月期387億円53.9億円13.9%34.5億円2026年3月期400億円52.3億円13.1%33.7億円 出典:IR BANK 松風 業績推移( https://irbank.net/7979/results 、2026年6月25日確認) 5年で売上は約1.6倍に伸び、営業利益率も9%台から13%台へ改善してきました。営業キャッシュフローも毎期30億円前後の黒字で安定しています。一方で直近の2026年3月期は、売上は過去最高を更新したものの営業利益は前の期(53.9億円)から52.3億円へ微減しました。ずっと右肩上がりが約束されているわけではありません。歯科材料は景気変動の影響を受けにくい面がある一方、海外売上比率や為替、今回のような原材料の供給環境にも左右されます。 財務:自己資本比率84%・ROE10%台と無理のない体質 私が優待株でいちばん安心材料にしているのが、財務の厚さです。IR BANKで確認した自己資本比率とROEの推移は次のとおりです。 決算期自己資本比率ROE2021年3月期79.4%5.6%2022年3月期80.5%7.8%2023年3月期80.8%8.9%2024年3月期82.7%8.8%2025年3月期85.2%10.1%2026年3月期84.1%10.1% 出典:IR BANK 松風 業績推移( https://irbank.net/7979/results 、2026年6月25日確認) 自己資本比率は一貫して80%前後と高く、借入に頼らない財務体質です。ROEも5.6%から10%台へ改善しており、自己資本が厚いままで資本効率も上がってきた形です。財務に余裕があることは、外部環境が荒れても配当や優待を急に切り詰めにくい、という意味で優待株では安心材料になります(もちろん将来を保証するものではありません)。 配当:予想利回り約3.1%、配当性向は40%台へ 配当の面では、松風は2024年10月に1株を2株にする株式分割を実施しています。分割の前後で1株あたりの配当金額の見え方が変わるので、推移を見るときは注意が必要です。IR BANKで確認した1株あたり年間配当金は、おおまかに次のとおりです。 決算期年間1株配当配当性向2021年3月期29円30.1%2022年3月期39円27.2%2023年3月期57円32.4%2024年3月期62円30.1%2025年3月期49円(分割後)40.3%2026年3月期60円(分割後・特別配当5円含む)43.7% 出典:IR BANK 松風 配当推移( https://irbank.net/7979/dividend 、2026年6月25日確認)。2024年10月に1対2の株式分割を実施しているため、2025年3月期以降の1株配当額は分割前の期と単純比較できません(分割前ベースでは2025年3月期・2026年3月期とも年間98円相当)。 会社は配当性向の目安として30%程度を掲げてきましたが、直近2期は記念配当・特別配当もあって実績ベースでは40%台で推移しています。予想ベースの配当利回りは、私が確認した2026年6月25日時点でおおむね3.1%(2027年3月期予想配当61円ベース)です。 優待人気で割高になっていないか(PER・PBRの確認) 優待株でひとつ気をつけているのが、「優待人気で株価が買われすぎていないか」です。優待目的の買いで割高になっている株は、優待が縮小されると株価のほうも調整しやすいからです。2026年6月25日時点でIR BANKで確認した株価指標は次のとおりです。 指標2026年6月25日時点補足株価1,957円—PER14.6倍過去5年平均は約15倍PBR1.43倍自己資本比率84%を踏まえると過度な割高感は薄い予想配当利回り約3.1%2027年3月期予想ベース時価総額約700億円— 出典:IR BANK 松風( https://irbank.net/7979/per 、2026年6月25日確認) ...

2026年6月24日 · 最終更新: 2026年6月25日 · HIKO

賃貸保険の個人賠償1,000万円は不足?合算上限に気づいて1億円へ見直した実体験

「賃貸保険の個人賠償1,000万円」は、一見十分に見えます。しかし契約内容を確認すると、借家人賠償と合算上限になっているケースがあります。私自身、加入していた賃貸保険がこの状態であることに気づき、個人賠償1億円・示談交渉付きの保険へ変更しました。この記事では、実際の契約内容と見直し理由を公開します。 私は保険業界に10年いたあとIT企業に転職した、FP2級のHIKOです。平成時代を生きた30代・川崎市で夫婦二人暮らしをしています。今回、長く入りっぱなしだった賃貸保険を別の会社へ乗り換えました。きっかけは「個人賠償、自分はてっきりどこかでカバーされていると思っていた」という、よくある思い込みです。 この記事は特定の保険商品を推奨するものではなく、私個人が自分の契約をどう点検して、どう判断したかの記録です。最終的な契約判断はご自身の状況に合わせて行ってください。 賃貸保険の個人賠償が「合算1,000万円」だと気づいた これまで私が入っていたのは、チューリッヒ少額短期保険の「ミニケア賃貸保険」でした。年3,610円。賃貸契約のときに不動産屋経由ではなく自分で選んで入った、わりと意識して選んだつもりの契約です。 中身を改めて見ると、こうなっていました。 補償金額家財100万円借家人賠償(大家さんへの賠償)1,000万円個人賠償(他人・他人のモノへの賠償)1,000万円修理費用100万円 一見、悪くないように見えます。問題は個人賠償の「1,000万円」の中身でした。 この契約の個人賠償は、借家人賠償と合算で1,000万円が上限という構造だったのです。つまり、火事で大家さんへの賠償が発生した場面と、外出先で他人にケガをさせた場面が、同じ1,000万円の枠を取り合う形になっていました。借家人賠償でいくらか使えば、その分だけ個人賠償に残る枠は減ります。 「個人賠償1,000万円」と書いてあると、それが独立して1,000万円あるように感じますが、実際は別枠ではなかった。ここが最初の気づきでした。 自転車事故で約9,500万円。1,000万円では足りない時代 そもそも個人賠償の1,000万円という数字自体が、今の水準では心もとないと感じます。 個人賠償責任は、日常生活で他人にケガをさせたり、他人のモノを壊したりして法律上の賠償義務を負ったときに備えるものです。代表例としてよく知られているのが自転車事故で、神戸地方裁判所では、自転車事故について約9,521万円の賠償命令が出た事例があります(平成25年7月4日判決)。 私自身は車も自転車も使いませんが、それでも他人に損害を与えるリスクがゼロになるわけではありません。賃貸マンションで暮らしていれば、水漏れで階下に損害を与えてしまうようなケースは誰にでも起こりえます。こうしたリスクに対して、しかも借家人賠償と枠を取り合う1,000万円というのは、正直なところ現代の生活水準に合っていないと判断しました。 「クレカに個人賠償が付いている」は思い込みだった ここが今回いちばん肝を冷やした部分です。 私は漠然と「クレジットカードに個人賠償くらい無料で付いているだろう」と思っていました。なので賃貸保険の枠が薄くても、どこかで二重三重にカバーされているはず、という油断があったのです。 そこで、家計管理に使っているマネーフォワードのデータと、手元の保険・カードの内容を一通り確認してみました。結果は次のとおりです。 加入している生命保険・医療保険に個人賠償の特約は付いていない 保有しているクレジットカードにも個人賠償は付いていない 賃貸保険の「合算1,000万円」が、わが家で唯一の個人賠償だった ここで整理しておきたいのが、クレジットカードに自動で付くことが多いのは旅行傷害保険であって、個人賠償ではないという点です。一部のカードには個人賠償の付帯サービスがありますが、一般的なクレジットカードに個人賠償が自動付帯されているとは限りません。付帯している場合でも「別途申し込みが必要な有料オプション」だったり、特定の上位カードに限られたりと、カードや商品によって扱いはさまざまです。自分の手元のカードがどうなっているかは、個別に確認する必要があります。 「たぶんカバーされている」と思っていたものが、実は唯一の砦すらギリギリだった。ここで本気で見直すことに決めました。 乗り換え先を選んだ理由(チューリッヒ少短→日新火災) 乗り換え先として選んだのは、日新火災の「お部屋を借りるときの保険」です。選んだ理由はシンプルで、私が見直しで満たしたかった条件、つまり「個人賠償1億円・示談交渉付き・借家人賠償とは別枠」を、この商品が標準で満たしていたからです。決め手はあくまでこの補償の中身でした。なお補足として、価格.com保険アワードの家財部門で連続1位を取っている商品としても知られています。 補償を並べると、こうなりました。 補償チューリッヒ(旧)日新火災(新)家財100万円300万円借家人賠償1,000万円2,000万円個人賠償1,000万円(借家人と合算)1億円・別枠・示談交渉付き修理費用100万円300万円年間保険料3,610円6,000円 私が決め手にしたのは、金額そのものより「個人賠償1億円・示談交渉サービス付きが、オプションの金額選択ではなく標準で内蔵」されていて、しかも借家人賠償と別枠だったことです。 旧契約の「合算上限」という構造的な弱点が、これでまるごと解消されます。賠償の場面が重なっても、お互いの枠を食い合わない。さらに示談交渉サービスが付いていれば、いざ事故が起きたときに当事者同士で交渉する負担も軽くなります。 なお、個人賠償は1億円ではなく無制限を選べる商品もあります。私は保険料差額とのバランスから、1億円で十分だと判断しました。 念のため書いておくと、これは「日新火災が一番」という話ではありません。私の今の暮らし(賃貸・夫婦二人)で抱えていた、個人賠償の手薄さという課題に一番素直に効いたのがこの商品だった、というだけです。 保険料の差額を、投資・家計目線でどう判断したか 保険料は年3,610円から6,000円へ、年+2,390円。月にならすと約+200円です。 FP2級・投資目線で固定費を見るクセがあるので、本来この手の値上がりには身構えます。月200円でも年2,390円、20年で約4.8万円ですから、無条件で受け入れる金額ではありません。 ただ今回は、この差額で得られるものがはっきりしていました。 個人賠償が「合算1,000万円」→「別枠1億円+示談交渉付き」 家財が100万円→300万円(夫婦二人の実勢に近づく) 借家人賠償・修理費用も増額 特に個人賠償の部分は、いざ高額賠償が現実になったときに資産形成の前提そのものを吹き飛ばしかねないリスクです。コツコツ積み上げてきたNISAや企業型DCの資産が、一度の賠償で消し飛ぶ。その確率は低くても、起きたときの損失が致命的なら、月200円は「保険料」ではなく「資産を守るコスト」だと整理できました。 固定費は基本的に削る対象ですが、削っていいのは「過剰なもの」だけです。今回はむしろ手薄すぎたので、増やすのが正解でした。安いか高いかではなく、リスクに対して過不足ないかで見る。ここが保険の固定費判断のキモだと改めて思いました。 乗り換えの段取り:先に新契約、後に旧契約停止 実務的に役立つかもしれないので、段取りも残しておきます。地味ですが、ここを間違えると無保険の空白期間ができたり、二重払いになったりします。 旧契約のチューリッヒは「自動継続」型でした。放っておくと満期日に勝手に更新されて、また1年分が課金されます。一方で、何も考えずに先に旧契約を止めてしまうと、新契約が始まるまでの間が無保険になってしまいます。 そこで踏んだ順番はこうです。 先に新契約(日新火災)を申し込む。保険の始期を、旧契約の満期日に合わせて指定する そのうえで旧契約(チューリッヒ)の継続停止手続きを、自動更新の期限までに行う この順番なら、保障が途切れません。結果として、新契約の始期が旧契約の満期と半日ほど重なる形になり、無保険の空白はゼロで着地できました。重複といっても半日なので、二重払いの実害もありません。 保険の見直し全般に言えることですが、「解約してから新規」ではなく「新規に入ってから旧契約を止める」が鉄則です。これは生命保険でも医療保険でも同じで、保障の空白を作らないことを最優先にしてください。 まとめ:賃貸保険は「個人賠償」を必ず確認する 今回の見直しで私が学んだことを整理します。 賃貸保険の個人賠償は、借家人賠償と「合算上限」になっている契約がある。金額の数字だけでなく、別枠かどうかを確認する 個人賠償の1,000万円は、自転車事故などの高額賠償(神戸地裁・平成25年7月4日判決では約9,521万円の事例も)には不足しうる クレジットカードに自動付帯されやすいのは旅行傷害保険であって、個人賠償が自動付帯されているとは限らない(カード・商品により異なる)。「たぶんカバーされている」は危険 自分が個人賠償をどこで持っているか、保険・カードを一度棚卸しする 見直すなら「新規加入してから旧契約停止」の順番で、保障の空白を作らない 保険は削るのが基本ですが、手薄なところは増やす。安さではなくリスクとの過不足で判断する。これは賃貸保険に限らず、家計の固定費全体に通じる考え方だと思います。 まずは手元の賃貸保険証券を1枚出して、「個人賠償が別枠でいくらあるか」を確認するところから始めてみてください。 あわせて読みたい 30代の保険、9割は「見直しでOK」です 固定費を下げる方法|まず見直すべき3つと優先順位 手取りが少ないと感じた原因は家賃だった はじめての方へ|30代会社員の家計と投資を5分で整理する HIKO 保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー 保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。 保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり

2026年6月21日 · 最終更新: 2026年6月23日 · HIKO

2258はHYGの円版ではなかった|620株買った後に気づいた本当の違い

結論を先に書きます。2258はHYGの円版ではありません。連動指数もファンドの籍も異なる、日本籍の独立したETFです。この記事では、HYGの円版だと思い込んで620株買った私の実体験をもとに、両者の違いと、620株分の分配金実績(税引後の実額)を整理します。 「HYGを買いたい。でも米国ETFを買うのはちょっと面倒だな」 そう思っていた私が、東証で「2258 iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF」を見つけたとき、こう思い込みました。 「これはHYGの円で買える版だろう。中身は同じHYGだろう」 そしてNISAの成長投資枠で、2258を620株(取得単価228円・楽天証券)買いました。 ところが、あとで連動指数と目論見書を確認したら、2258はHYGそのものでも、HYGを箱に入れただけの商品でもありませんでした。連動する指数も、ファンドの籍も別物だったのです。 それでも結果として困らなかったのは、私が買いたかったのが「HYGという固有の商品」ではなく「米ドル建てハイイールド社債市場へのまとまった投資」という目的だったからです。名前やブランドの印象でETFを判断すると、別物をつかむことがある。それでも"目的"で投資していれば、ズレに気づいたときに困らない――この記事で本当に伝えたいのは、その一点です。「2258とHYGは何が違うのか」を、私の思い込み→検証→納得の順で整理しながら、ETF選びで名前に頼ることの危うさを共有します。 ※本記事は私個人の投資判断と整理の記録です。特定の商品の購入を勧めるものではありません。投資の最終判断はご自身でお願いします。 【思い込み】私は「2258=HYGそのもの」だと思って買った HYG(iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF)は、米ドル建てハイイールド社債(いわゆるジャンク債)にまとめて投資できる、世界的に有名なETFです。米国の高利回り社債に分散投資したい、という需要にぴったりの商品です。 私もそこに魅力を感じていました。ただ、米国ETFを買うとなると、円をドルに替えて、外国株式の口座で買って…と、ひと手間あります。 そんなときに東証の「2258 iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF」を見つけました。名前もiシェアーズ(HYGと同じブランド)で「米ドル建てハイイールド社債」。私はほとんど確認もせず、こう思い込みました。 「これはHYGの日本版だ。東証でHYGそのものを円で買えるんだ」 そしてNISAの成長投資枠で620株、取得単価228円で買いました。「HYGを円で買えた」という満足感さえありました。 【検証】毎月分配型ETFの買付制限を調べたのがきっかけで、別物だと気づいた 別物だと気づいたきっかけは、ハイイールド系ETFまわりの「分配のしくみ」を調べていたことでした。 ちょうどその頃、私は米国高配当ETFのHDVが四半期分配から毎月分配へ変更され、毎月分配型が新NISA成長投資枠の対象外になることで、楽天証券で買付注文が失効してしまう、という出来事を別記事で整理していました。詳しくは下のリンク記事にまとめています。 このとき「米国の高配当・高利回り系ETFは、分配のしくみや器の作りによって、NISAでの扱いまで変わってくるんだな」と実感したのです。そこで、自分が持っているハイイールド系の2258についても「これは本当にHYGと同じものなんだろうか?」と、改めて中身を確認する気になりました。 そして2258の連動指数と目論見書をきちんと確認したところ、自分の思い込みが間違っていたことに気づきました。2258はHYGそのものではなく、HYGを裏付けにした商品(いわゆるJDR)でもなかったのです。 あわせて読みたい:毎月分配型がNISA対象外な理由|HDV毎月分配化と楽天証券の買付失効を30代FPが解説 連動している指数が違う ETFは「どの指数に連動するか」で中身が決まります。ここが両者で違いました。 2258(iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF)HYG(iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF)上場市場東京証券取引所米国(NYSE Arca)ファンドの籍日本籍の独立したETF米国籍のETF連動指数ICE BofA US ハイ・イールド・コンストレインド・インデックスMarkit iBoxx USD リキッド・ハイイールド指数通貨円で売買・投資対象はドル建て資産ドル建て経費率(信託報酬)年0.209%(税込)0.49%(目論見書記載値)流動性低め(規模が小さく歴史も浅い)非常に高い(世界最大級・取引活発)向いている人日本居住で円のまま管理したい人ドル資産・海外ETFの口座を使う人 連動する指数の名前からして違います。どちらも「米ドル建てのハイイールド社債をまとめて買う」指数ではありますが、組み入れ銘柄・残存期間・格付け構成・セクター比率などの細かいルールが違う、別の指数です。 「箱を開けたらHYGが入っている」わけではなかった 私が思い込んでいたのは、いわば「2258という箱を開けたら、中身はHYGが入っている」というイメージでした。海外ETFを裏付けにして日本で売買できるようにしたJDR(預託証券)なら、そういう構造もあります。 しかし2258はJDRではなく、HYGとは独立に、自前で米ドル建てハイイールド社債を組み入れて運用している、日本籍の別ファンドでした。「HYGの円版」ではなく、「HYGと似た市場を狙う、別のETF」だったわけです。 正直に言うと、最初の理解は間違っていました。2258はHYGではありません。 HDVの件をきっかけに「ETFの中身をちゃんと確認していたか」と立ち止まらなければ、ずっと「2258=HYG」と思い込んだままだったかもしれません。 【納得】それでも自分の目的には十分な代替候補になった では「思い込みで別物を買ってしまった、失敗だった」かというと、そうは感じていません。あくまで自分の目的(米ドル建てハイイールド社債への投資)においては、2258は十分な代替候補になりました。理由を順に書きます。 「別物」と「目的を満たす」は両立する ここがこの記事でいちばん伝えたい点です。 器(ファンド)も指数も別物 … これは事実。2258とHYGは違う商品。 でも狙っている市場は近い … どちらも「米ドル建てのハイイールド社債市場を広く」買う、分散された指数。 どちらも米ドル建てハイイールド社債市場を広く狙う指数なので、値動きの方向感は似やすいといえます。「景気が悪化すると下がりやすい・利回りで取りにいく」という大きな性格は共通だからです。ただし連動指数が違うため、値動きが完全には一致しません。組入銘柄・残存期間・格付け構成・セクター比率・信用スプレッドへの感応度・分配の方針などが異なり、得られるリターンが完全に同じになるわけではない点には留保が必要です。どちらが優れているという話ではなく、別物だという前提を置いておく必要があります。 ...

2026年6月20日 · 最終更新: 2026年7月2日 · HIKO

KDDI優待は改悪?2025年変更後の内容を200株保有者が解説|Pontaポイントも選択可能

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第2回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で私が実際に保有している優待銘柄を、1記事1銘柄で紹介していく連載です。第1回はコナカと巴工業の比較でした。 KDDI(9433)の株主優待が2025年に変わりました。 ネットでは「KDDI優待は改悪された」という声も見かけます。長年もらえていたカタログギフトがなくなり、内容が変わったのですから、そう感じる人がいるのも自然です。 私はKDDIを200株、長期間保有しています。配当も優待も受け取り続けてきた立場として、変更後の優待が実際どうなったのか、そして「改悪」と言われる中で私がそれでも持ち続けている理由を、配当や業績の数字とあわせて正直に整理します。 なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 KDDI優待は2025年にどう変わったのか(変更後の内容) まず、変更後の優待内容を整理します。KDDIの公式IR(株主優待ページ)で確認した、現行制度の内容は次のとおりです。 対象: 200株以上を保有する株主 1年以上5年未満の保有: 2,000円相当 5年以上の保有: 3,000円相当 そのうえで、受け取る内容を次の中から選べる形になっています。 Pontaポイント(au PAY マーケット限定のPontaポイントとして使うと1.5倍に増量できる選択肢あり) ローソン・成城石井の商品セット(お菓子、発泡酒、レトルト食品、コーヒー、ワインなどから選ぶ形) 寄付(優待相当額を社会貢献活動団体へ寄付) 以前のような「カタログギフトから商品を1つ選ぶ」形から、Pontaポイント・商品セット・寄付のいずれかを選ぶ形に整理された、という変化です。日常的にau PAYやPontaを使っている人なら、ポイントで受け取れる選択肢はむしろ使い勝手が良いと感じるかもしれません。 なお保有期間は、同一株主番号で3月31日の株主名簿に連続して記録されている年数で判定されます。証券会社の変更や相続などで株主番号が変わると、保有期間がリセットされて対象から外れる場合がある、という点は公式でも注意喚起されています。長期保有区分を狙うなら、口座をむやみに移さないほうが無難です。 (優待の正確な内容・条件は改定されることがあります。実際に確認・申し込みをする際は、必ずKDDIの公式IR・株主優待ページで最新の情報をご確認ください。) 株数基準は「200株以上」。2025年4月の株式分割もあわせて押さえる 優待を考えるうえで、もう一つ押さえておきたいのが株式分割です。 KDDIは2025年4月1日に、1株を2株にする株式分割を実施しています。つまり、分割前に100株を持っていた人は、分割後には自動的に200株になります。 現行の優待基準は200株以上です。分割前の株価でいきなり200株を買うのはハードルが高かったところもありますが、分割によって1株あたりの株価が下がり、新たに買う人にとっても株数を揃えやすくなったという面はあります。 ここで「100株だと優待がもらえないのか」が気になる人もいると思います。私が公式IRを確認した範囲では、現行の優待基準は200株以上という記載で、分割前100株保有者への経過措置について特別な記載は見当たりませんでした。ただ、分割前から100株を持っていた人は分割で自動的に200株になっているため、その時点で現行基準を満たしている、という整理になります。これから新しく買う人は、200株を意識して株数を揃える必要がある、ということです。 繰り返しになりますが、株数の基準や経過措置の有無は制度改定で変わり得ます。最終的な条件は必ず公式の株主優待ページでご確認ください。 「改悪」と言われても私が売らない理由は、優待ではなく配当と業績 ここからが本題です。優待が変わったいま、私がKDDIを売らずに持ち続けている理由は、結局のところ優待ではありません。 私はKDDIを、優待目的というより、安定した配当と業績を期待して長期で保有してきました。優待は、第1回でも書いたとおり「最後のひと押し」であって、保有を決める主役ではありません。 私の保有実績で見ると、KDDIは取得単価ベースに対して株価が大きく育ち、含み益も配当も両方を稼いでくれている主力銘柄の一つです。旧NISA時代から持ち続けてきた銘柄で、長期保有区分の3,000円相当の優待を受け取れる年数にもなっています。 配当の面でも、KDDIは長く増配を続けてきた会社として知られています。参考までに、IR BANKなどで公開されている1株あたり配当金の推移を、2025年4月の株式分割を考慮した「分割後換算」に統一して並べると、おおまかに次のようになります。 決算期年間配当(分割考慮後換算)2021年3月期60円相当2022年3月期62.5円相当2023年3月期67.5円相当2024年3月期70円相当2025年3月期72.5円相当 (出典: IR BANK。分割前の表示額を、2025年4月の1:2分割にあわせて半額換算した参考値です。実際の支払額・1株配当は各期の正式発表をご確認ください。) 分割後換算でそろえると、2026年3月期に予想される配当(分割後ベースのおおよそ80円相当)と地続きで、毎年少しずつ配当が積み上がってきたことが見て取れます。優待が2,000円から3,000円に変わったかどうか以上に、この配当の積み上がりのほうが、私にとっては持ち続ける根拠として大きいというのが正直なところです。 もちろん、通信業界にも価格競争や規制、設備投資といったリスクはあります。増配がこの先も続く保証はありません。あくまで過去の実績がこうだった、という話として読んでください。 優待が変わったとき、売るかどうかをどう考えたか 優待の内容が変わると、「改悪されたから売ろうか」という気持ちになることがあります。私もニュースを見たときは、一瞬そう思いました。 でも、自分の保有理由に立ち返ったとき、私がKDDIを持っている主な理由は配当と業績であって、優待ではありませんでした。だとすれば、優待がカタログからPontaポイントや商品セットに変わったこと自体は、売る理由にはならない、と整理できました。 逆に言えば、もし「優待だけ」が目当てで持っていたら、変更のたびに揺さぶられていたと思います。第1回のコナカで痛感したのは、まさにこれでした。優待目的で買った株が塩漬けになり、優待の魅力だけでは下落に耐えられなかったのです。 だから私は、優待つきの株でも「優待がなくなっても持ち続けられるか」を基準にするようにしています。KDDIは、優待がどう変わっても配当と業績で持てる、と判断しているので売っていません。これはあくまで私個人の判断であり、同じ判断をすすめるものではありません。 まとめ:優待は「最後のひと押し」、本線は配当・業績・財務 ここまでをまとめます。 KDDIの株主優待は2025年に変更され、現行は200株以上が対象。1年以上5年未満で2,000円相当、5年以上で3,000円相当 受け取り方はPontaポイント・商品セット・寄付から選ぶ形になった 2025年4月1日に1:2の株式分割があり、分割前に100株を持っていた人は分割後に200株になっている 私が売らない理由は優待ではなく、長く積み上がってきた配当と業績。優待はあくまで「最後のひと押し」 「優待が改悪されたから売る」ではなく、「この会社を優待抜きで持ち続けたいか」で考える——これが、コナカでの失敗を経た私の今の基準です。 KDDIのような大型株でも、私が買う前に見ているのは優待ではなく、配当・業績・財務です。優待は判断材料の最後に置いています。そうした個別株や配当の管理、NISAまで含めて、私は2015年からずっと楽天証券を1つの口座にまとめて使っています。11年使ってきて、今もメイン口座にしている証券会社です。 楽天証券で口座を開設する 私が11年使っているメイン口座。優待株を含む個別株もNISAも1つの口座で管理できます。 楽天証券の口座開設はこちら(無料) → ※TGアフィリエイトのリンクを使用しています。口座開設の判断はご自身でご確認ください。 なお、本記事は私個人の保有実績と考え方の整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。優待・配当の内容は改定されることがあり、最終的な条件は必ずKDDIの公式IRでご確認ください。株式投資には価格変動リスクがあり、投資判断はご自身の責任でお願いします。 連載「ラスト一押しの株主優待」 業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる、という順番で私が保有している優待銘柄を1記事1銘柄で紹介していくシリーズです。 第1回:コナカと巴工業——優待で買って失敗した株と、業績で買って優待がついてきた株 第2回:KDDI(9433)の優待変更と、それでも持ち続けている理由(本記事) 第3回:松風(7979)の優待変更と、それでも持ち続けている理由 第4回:木徳神糧(2700)のお米の優待と、薄利のコメ卸を持ち続けている理由 第5回:ニチリン(5184)のクオカード優待と、財務が厚い会社を持ち続けている理由 第6回:ラクト・ジャパン(3139)の食品カタログ優待と、アジア展開する食品商社を持ち続けている理由 第7回:アサックス(8772)のクオカード優待と、不動産担保ローンで稼ぐ会社の中身

2026年6月20日 · 最終更新: 2026年7月14日 · HIKO

積立保険は続けるべき?|ドル建て終身・個人年金・学資保険をIRR比較

保険業界に10年在籍したのちIT企業へ転職した、平成時代を生きた30代のHIKOです。FP2級保有、年収300万円台からのスタートで投資歴は11年(2015年NISA開始)。失敗もしながら資産形成を続けています。今回は「保険外交員に積立保険を勧められたけれど、本当に得なのか」と悩む30代会社員に向けて、主要な積立保険の実利回り(IRR)を概算で比較し、NISAやiDeCoとの機会損失差まで整理します。 先に 住友生命Chakinの実利回り検証記事 を書いたところ、検索からの流入が想像以上にありました。Chakinは新商品ですが、既存の「明治安田生命 つみたて」「日本生命 みらいのカタチ」「ドル建て終身保険」「学資保険」「養老保険」「変額保険」も、考え方の枠組みは同じです。本記事はそのクラスター記事として、検討対象になりやすい6タイプを横並びで見られるようにまとめます。 この記事の要点 積立保険のIRRは年0.3〜1.5%が中心 NISA/iDeCoの期待リターンとの差は長期で大きく開く ただし「強制貯蓄」「相続対策」など保険が合理的なケースもある 結論|積立保険の実利回りはNISAやiDeCoの数分の一 最初に結論を出します。日本で売られている主要な積立保険の実利回りは、概ね年0.3〜1.5%のレンジに収まります。一方、NISAやiDeCoで全世界株式・S&P500などのインデックス投信を積み立てた場合、過去実績の長期想定利回りは**年3〜5%**で語られることが一般的です。 (注:NISA・iDeCoの「年3〜5%」は過去の長期インデックス投信実績から語られる目安で、将来を保証する数値ではありません。詳細な前提は記事末尾の免責に記載しています) 両者の差は単年で見ると小さく見えますが、20〜30年の積立では複利で数百万円〜1,000万円規模の機会損失になり得ます。「積立保険=悪」という極論ではなく、**「同じ金額を税優遇つき投資に回した場合との差を必ず計算する」**ことが、30代の資産形成では非常に重要です。 ただし、保険には「死亡保障」「就業不能保障」など投資商品にはない機能があります。本記事では「保障」と「貯蓄」を切り分けて考え、貯蓄部分の実利回りに絞って評価します。これは保険業界10年で見てきた中で、もっとも現実的な判断軸でした。 実利回り(IRR)とは何か|表面利回りとの違い 比較に入る前に、用語を整理します。 表面利回り:保険会社が提示する「予定利率」「返戻率」など。総払込額に対する増加額を単純に比率化したもの 実利回り(IRR:内部収益率):「いつ払って、いつ受け取るか」のキャッシュフロー時間軸を組み込んだ年率換算の利回り。投資商品の利回りと比較できる唯一の指標 たとえば「30年で返戻率120%」と聞くと一見大きく見えますが、IRR換算すると年率約0.6%です。表面利回りはマーケティング上の数値、IRRが現実の数値、と覚えておくと判断を間違えにくくなります。 なお、本記事の試算はすべて2025〜2026年時点の公開情報および各社販売設計例から逆算した概算値であり、実際の契約条件・付帯保障内容・予定利率改定によって変動します。最終判断は契約書の設計書と直近の予定利率で行ってください。 主要積立保険6タイプの実利回り比較【円建て・ドル建て・変額別】 代表的な積立保険6タイプを、概算ベースで一覧にします。具体的な商品名はあくまで「カテゴリ代表例」として挙げています。 商品タイプ代表商品例表面利回り(予定利率/返戻率換算)実利回り(IRR概算)NISAインデックス(年5%想定)との差円建て終身保険各社の低解約返戻金型終身予定利率 約0.5〜1.0%約0.3〜0.7%大きい(複利差で数百万円規模)個人年金保険日本生命「みらいのカタチ」年金保険 等返戻率 約110〜125%(30年)約0.4〜1.2%中〜大ドル建て終身保険各社のドル建て一時払・平準払終身予定利率 約3.0〜4.0%約1.0〜2.0%(為替+コスト控除後)中(為替変動リスク込み)変額保険各社の変額終身・変額個人年金ファンド連動信託報酬控除後で投信よりやや劣後同等運用が低コストで可能学資保険各社の学資保険返戻率 約103〜108%(17〜18年)約0.3〜0.8%大きい養老保険各社の養老保険返戻率 約103〜108%(10〜30年)約0.3〜0.7%大きい 上表のIRR概算値は、2025〜2026年時点の各社公開設計書・販売設計例・予定利率の一般的な水準をもとに逆算した概算です。実際の数値は契約年・健康状態・特約付加・予定利率の改定により変動します。本記事の数値は「商品カテゴリの大まかな水準」を示すもので、個別契約の最終判断は最新の設計書に基づいてください。 ここから1つずつ詳細を見ていきます。 明治安田生命「つみたてだいすき」は得か?|実利回りを試算 「つみたてだいすき」(明治安田生命の積立保険)は、毎月の保険料を一定期間払い込んで、満期で受け取る平準払い型の積立保険です。販売現場では「銀行に預けるよりは増える」「強制力があって貯まる」という訴求でよく勧められます。 ここでは、よく案内される設計に近い月1万円・10年払い込み・満期一括受取を前提に、概算IRRを試算します。具体の返戻率は契約年・健康条件で変動するため、ここでは「総払込額120万円→満期受取126万円(返戻率105%)」を仮置きします。 項目値月払い保険料10,000円払込期間10年(120ヶ月)総払込額1,200,000円満期受取額(仮定)1,260,000円返戻率(表面)105%実利回り(IRR概算)年率 約0.9% 返戻率105%は「10年で5%増えた」という見え方ですが、毎月積み立てている時間軸を反映するとIRRは年0.9%程度に落ち着きます。 参考:IRR(実利回り)の計算過程 上記の年率0.9%という数値は、以下のキャッシュフローからExcelのXIRR関数で逆算したものです。 経過年キャッシュフロー(円)備考1年目-120,000月1万円×12ヶ月の払込2年目-120,000同上3〜9年目各 -120,000同上10年目-120,000払込最終年10年目満期+1,260,000満期受取金 このキャッシュフローをExcel/Google Sheetsに貼り付け、=XIRR(値の範囲, 日付の範囲) を実行すると年率約0.9%が算出されます。返戻率105%(10年で5%増)という見え方と、年率0.9%という数値の差は、「お金を払ってから受け取るまでの時間」を年率に均す処理から生まれています。 ※本記事のNISA試算はすべて「毎月積立・年率5%複利・手数料および税金は考慮外」の単純シミュレーションです。将来のリターンを保証するものではなく、市場環境により元本割れの可能性もあります。 同じ月1万円を10年間、NISAでインデックス投信(年5%想定)に積み立てた場合の評価額は約155万円となり、両者の差は約29万円です。 10年で30万円弱の差なら許容範囲、と感じる人もいると思います。ただし「積立保険を10年継続できる人は、その後の20年も同じ習慣を維持できる」傾向が強いです。同じペースを30年続けると差は数百万円規模に広がります。 日本生命「みらいのカタチ」個人年金は得か?|実利回りとデメリット 日本生命「みらいのカタチ」は、終身保険・年金保険・医療保険などをパーツで組み合わせる商品群の総称です。ここでは個人年金保険部分にフォーカスします。 個人年金保険の魅力としてよく挙げられるのが、**個人年金保険料控除(年最大4万円)**です。所得税率10%・住民税率10%の年収帯(概ね課税所得330万円以下)なら、年間8,000円程度の節税効果があります。 しかし、利回り側を冷静に見ると以下のとおりです。 項目値(概算)月払い保険料10,000円払込期間30年総払込額3,600,000円受取総額(10年確定年金など)約4,000,000〜4,300,000円返戻率約111〜119%実利回り(IRR概算)年率 約0.7〜1.2% ここに節税効果を加算しても、トータルの実質リターンは年1.0〜1.5%程度にしか届きません。同じ30年で同額をiDeCoに拠出した場合、所得控除(年12〜27.6万円拠出可、所得税+住民税で同率の節税)と運用益非課税が両方効くため、想定利回り3%でも実質的な手残り効率は個人年金保険を大幅に上回ります。 主なデメリットを3つ整理しておきます。 流動性が低い:途中解約で元本割れの可能性が高い インフレに弱い:名目固定利率なので、物価上昇局面では実質目減りする 保険会社の信用リスク:30年単位で1社の破綻リスクを背負う 「みらいのカタチ」自体は柔軟性のある商品設計ですが、年金保険パートに関してはiDeCoの方が税優遇・運用効率の両面で優位というのが、FP視点での評価です。 ドル建て終身保険は解約したほうがいい?|表面と実質の利回りギャップ ここ数年、超低金利環境下で「ドル建て終身保険」の販売が増えました。提案書には「予定利率3〜4%」と書かれていることが多く、円建て商品と比べて見栄えが良いのは事実です。 ただし、表面の予定利率と実質利回りの間には大きなギャップがあります。 控除要因概算インパクト保険関係費用(死亡保障・運営コスト)年 -0.8〜-1.5%為替手数料(円→ドル、ドル→円)一般的に片道50銭〜1円/ドル為替変動リスク円高方向に振れた場合は元本割れリスク 予定利率3.5%の商品でも、コスト控除後のドルベースIRRは概ね年1.5〜2.5%、円換算で受け取った場合の最終的な実利回りは為替次第で年0〜2%程度のレンジに落ちることが多いです。 「予定利率3.5%」を期待してドル建て終身保険に加入すると、為替リスクを取った割にリターンが米国株インデックス投資より低いという結果になりがちです。米国株インデックス(S&P500)の長期想定利回りはドルベースで年6〜8%が一般的に語られる水準で、同じ為替リスクを取るならインデックス投信の方が圧倒的に効率が良いです。 ドル建て終身保険が向いているのは、「死亡保障をドル資産で持ちたい」かつ「30年以上保有可能」かつ「為替変動を許容できる」人に限定されます。「なんとなく利回りが良さそうだから」で入るのは、機会損失が大きすぎます。 変額保険の実利回りはなぜNISAに劣後するのか 変額保険(変額終身・変額個人年金)は「投資型の保険」と訴求され、表面的にはNISAと似た構造に見えます。実際は以下の要因で長期リターンがNISAインデックス投資に劣後するケースが大半です。 ...

2026年6月18日 · 最終更新: 2026年7月14日 · HIKO

毎月分配型がNISA対象外な理由|HDV毎月分配化と楽天証券の買付失効を30代FPが解説

「HDVはNISAから除外されたのか」という疑問に、先に答えます。HDVは2026年6月に四半期分配から毎月分配へ変更されたことで、新NISA成長投資枠の対象外になりました。新規の買付はできなくなりましたが、既にNISAで保有している分は非課税のまま持ち続けられますし、強制売却もされていません。 「毎月分配型はNISA対象外」というルールが、2026年6月、米国高配当株ETFの代表格HDVを巻き込む形で具体的な影響を出しました。本記事では、この出来事を題材に、なぜ毎月分配型が新NISA成長投資枠の対象外なのか、そして既にHDVを保有している人がとるべき選択肢を整理します。 なお投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。本記事は一般的な制度解説であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 毎月分配型がNISA対象外になった理由を先に押さえる 結論から書きます。新NISAの成長投資枠は、制度として「毎月分配型」を対象外と定めています。投資信託でもETFでも、分配を毎月行うタイプは成長投資枠で買えません。 これは金融庁が成長投資枠の対象商品に設けた除外要件のひとつで、ほかに「信託期間20年未満」「高レバレッジ型」とあわせて、毎月分配型が並んでいます。長期の資産形成にそぐわない商品性を、制度の入口で外しているわけです(出所: 楽天証券トウシル「新NISAの対象商品」 https://media.rakuten-sec.net/articles/-/42737)。 つまり「毎月分配型はNISA対象外」は、今回のHDVに限った話ではなく、NISA制度そのものの設計思想です。HDVはたまたま、四半期分配だったものが毎月分配に変わったことで、この除外要件に新しく該当してしまった、という構図になります。 何が起きたのか|HDVの毎月分配化と楽天証券の買付失効 時系列で整理します。 時点出来事2026年6月16日付運用会社ブラックロックがHDVの分配頻度を四半期分配(年4回)から毎月分配(年12回)へ変更変更後HDVが新NISA成長投資枠の対象外商品に該当同日楽天証券がHDVの全買付注文(成長投資枠・特定・一般を問わず)を失効処理2026年7月15日予定毎月分配化後の次回分配 出所はブラックロック/iSharesの配当スケジュールおよびdividend.comの分配履歴です。 ここで押さえておきたいのは、楽天証券が失効させたのは「買付注文」だという点です。すでに保有しているHDVが強制的に売られたわけではありません。今後はHDVを新規に発注できない、というのが実務上の変更点です。 毎月分配型の3つの罠|FP視点で見る商品性 「毎月お金が振り込まれる」と聞くと魅力的に感じますが、毎月分配型が長期の資産形成に向かないと言われるのには理由があります。FP2級の勉強でも、毎月分配型は典型的な「注意して見るべき商品」として扱われます。一般論として、以下の3点が指摘されます。 1. 元本払い戻し(タコ足配当)が起こりやすい 毎月分配型は、運用で得た収益が足りない月でも分配を続けるために、元本の一部を取り崩して払い戻すことがあります。これがいわゆる「タコ足配当」です。受け取った分配金の一部が、実は自分が出したお金の払い戻しだった、というケースが起こり得ます。この場合、見かけの分配金額が高くても、資産が増えているとは限りません。 2. 複利の効果が削がれる 資産形成の力の源泉は複利です。分配せずに再投資し続けたほうが、長期では雪だるま式に増えやすくなります。毎月分配で資金を外に出してしまうと、その分が再投資に回らず、複利が効きにくくなります。受け取った分配金を自分で再投資すればよいという考え方もありますが、手間とタイミングの問題が残ります。 3. 課税の非効率(NISA外の場合) 課税口座で毎月分配型を持つと、分配のたびに課税対象が発生し得ます。年4回より年12回のほうが課税イベントの頻度が上がります。NISA枠内なら非課税ですが、毎月分配型は成長投資枠で買えないため、新規でNISAの非課税メリットを受けながら毎月分配型を持つ、という選択肢が制度上とれません。 これらは毎月分配型という商品カテゴリ一般の特徴であり、HDVが今後そうなると断定するものではありません。ただ、制度がこのカテゴリを長期投資の枠から外している背景を理解する材料にはなります。 自分の投信・ETFが毎月分配型か見分ける方法 今回のHDVのように、買おうとした商品が毎月分配型でNISA成長投資枠の対象外、ということは誰にでも起こり得ます。HDVだけの特別な話ではありません。自分が持っている、あるいはこれから買おうとしている投信・ETFが毎月分配型かどうかは、次の3つの場所で確認できます。 確認する場所見るポイント目論見書・運用報告書「決算日」「分配の頻度」の記載。年12回(毎月)か、年1〜4回かが書かれています運用会社の分配スケジュールブラックロックやアセットマネジメントOneなど、運用会社の公式サイトに分配実績・予定が載っています証券口座の商品ページ楽天証券などの個別銘柄ページに「決算頻度」「分配金履歴」が表示されます。NISA対象かどうかの表記も多くの場合ここで確認できます 私自身、今回のHDVの件で「ETFの分配頻度を自分で確認していたか」と立ち止まりました。実は私はこの一件をきっかけに、別で保有していた東証のハイイールド社債ETF(2258)の中身まで調べ直しています。名前やブランドの印象だけで判断せず、決算頻度を一度自分の目で確認する習慣をつけておくと、こうした制度変更のニュースにも振り回されにくくなります。詳しくは2258はHYGの円版ではなかった話にまとめました。 なお、毎月分配型がNISA成長投資枠で買えないのは制度上の話であって、毎月分配型そのものが買えなくなるわけではありません。課税口座(特定口座など)では従来どおり購入できます。「毎月分配=買えない商品」ではなく「毎月分配=NISAの非課税枠では買えない商品」という整理です。 既にHDVを保有している人がとるべき選択肢 ここが本記事の核です。すでにNISA成長投資枠でHDVを持っている方へ、冷静な実務の整理をします。 慌てて売る必要はありません まず、既にNISA成長投資枠で保有している分は、引き続きNISA枠内で非課税のまま保有を継続できます。買付ができなくなっただけで、保有が無効になるわけではありません。毎月分配化したからといって、NISAの非課税メリットが消えるわけではない、という点を落ち着いて確認してください。 選択肢を整理すると、次のようになります。 選択肢内容向いている人保有を継続するNISA枠の非課税を維持したまま持ち続ける。今後の買い増しはできない高配当のインカムを非課税で受け取り続けたい人一部・全部を売却する売却するとそのNISA枠は同じ年に再利用できない点に注意ポートフォリオを毎月分配型以外へ組み替えたい人新規の積立先を別ETF・投信に切り替えるHDVは買えないので、成長投資枠対象の高配当系や全世界・S&P500系へ振り向けるこれから高配当やインデックスを積み増したい人 私自身は米国高配当ETFを保有していないため、HDVそのものの売買体験は語れません。ただFPの一般論として言えるのは、「制度変更のニュースに反応して反射的に売る」のが最ももったいない動き方になりやすい、ということです。非課税で持てているものを、課税口座へ移すきっかけにする必要はありません。 新規の積立先を考えるなら HDVが買えなくなったぶん、毎月の積立資金の行き先を見直す必要が出てきます。成長投資枠の対象である高配当系ETF・投信や、つみたて投資枠も使える全世界株・S&P500連動の投資信託などが候補になります。どこの証券口座で何を積み立てるかは、手数料・ポイント還元・取扱商品で変わってきます。私が実際に使っている口座の使い分けは楽天証券と松井証券を比較した記事に整理しているので、積立先の証券会社から見直したい方はあわせてご覧ください。 楽天証券で新NISAを始める 私が2015年から11年使い続けている口座です。投信のクレカ積立とポイント還元、楽天キャッシュ決済が使えるのが個人的な好みのポイントです。 楽天証券の口座開設を見る → TGアフィリエイト経由のリンクです HDVの代わりになる高配当ETF・投信の探し方 HDVが新規で買えなくなったあと、いちばん多い悩みが「では代わりに何を買えばいいのか」だと思います。ここは銘柄名を断定して「これを買えば正解」と言える話ではないので、私が代替を考えるときに使っている「選び方の軸」を共有します。具体的な商品は、この軸でご自身が比較して選ぶのが安全です。 代替候補を探すときに確認したい軸は、次の3つです。 確認する軸なぜ見るか毎月分配型でないか年1〜4回の決算なら、新NISA成長投資枠の対象になり得ます。今回のHDVと同じ轍を踏まないための最初のチェックです信託報酬・経費率高配当ETF・投信は長く持つほどコスト差が効いてきます。同じような中身なら、経費率の低いほうが手元に残りやすくなります自分の目的に合っているか「高配当のインカムが欲しい」のか「資産全体を増やしたい」のかで選ぶ商品が変わります。前者なら高配当系、後者なら全世界株・S&P500連動の投信が候補です 実際に名前がよく挙がるのは、米国高配当系のETF(VYMなど)や、東証で円のまま買える高配当系ETF、そして高配当にこだわらないなら全世界株(オルカン)・S&P500連動の投資信託です。いずれも毎月分配型でなければ成長投資枠で買える可能性がありますが、分配頻度・コスト・NISA対象かどうかは商品によって異なり、また制度や運用方針は変わり得るので、必ず買付前にご自身で最新情報を確認してください。 正直に書くと、私自身は米国高配当ETFを保有しておらず、資産の中心はオルカンとS&P500の投資信託です。高配当のインカムよりも、分配を出さずに再投資で資産全体を増やすほうが、自分の性格には合っていました。ですので「高配当ETFはこれが一番」という体験談は私からは語れません。ただ、HDVが買えなくなったことを「高配当からインデックス積立に切り替えるきっかけ」と捉える選択肢もある、ということは一つの視点としてお伝えできます。どちらが優れているという話ではなく、自分が長く続けられるスタイルを選ぶ問題だと考えています。 HDVのNISA除外でよくある質問 HDVの毎月分配化とNISA成長投資枠からの除外について、検索でよく見かける疑問を整理しておきます。 Q. HDVはNISAから除外されて、もう買えないのですか? 新規の買付はできません。HDVは毎月分配化により、新NISA成長投資枠の除外要件(毎月分配型)に該当し、楽天証券では買付注文が失効しました。一方で、既にNISA成長投資枠で保有している分は、除外後も非課税のまま継続保有できます。「除外=持てなくなる」ではなく「除外=新規で買えなくなる」という整理です。 Q. 既にNISAで持っているHDVは、強制的に売られてしまうのですか? いいえ。今回失効したのは「買付注文」であって、既に保有しているHDVが強制売却されたわけではありません。すでにNISA成長投資枠で持っている分は、引き続き非課税のまま保有を継続できます。慌てて売る必要はありません。 Q. HDVが毎月分配型になると、NISAの非課税メリットは消えますか? 消えません。すでに非課税で保有している分は、毎月分配化してもNISA枠内で非課税のまま受け取れます。変わったのは「今後HDVを新規で買い増しできない」という点だけです。 Q. 今から米国高配当のインカムが欲しい場合、どうすればいいですか? HDVは新規で買えないため、成長投資枠の対象である別の高配当系ETF・投信を、前の章の3つの軸(毎月分配型でないか・コスト・目的)で比較して選ぶことになります。特定の商品を断定はできませんが、「毎月分配型でないこと」を最初に確認すると、今回と同じ失効を避けやすくなります。 Q. 毎月分配型の商品は、もう一切買えなくなったのですか? いいえ。毎月分配型がNISA成長投資枠で買えないのは制度上のルールであって、課税口座(特定口座など)では従来どおり購入できます。「毎月分配型はNISAの非課税枠では買えない」という整理であって、商品そのものが消えるわけではありません。 まとめ 毎月分配型は新NISA成長投資枠の制度上の対象外。HDVは四半期分配から毎月分配へ変わったことでこれに該当しました 楽天証券は買付注文を失効処理。今後HDVは新規発注できませんが、既保有分は強制売却されていません 毎月分配型はタコ足配当・複利の毀損・課税の非効率という一般的な弱点が指摘されます 既にNISAで保有している分は非課税のまま継続可能。慌てて売る必要はありません。積立先の振り替えだけ落ち着いて考えれば十分です 毎月分配という言葉の響きに惑わされず、制度がなぜそれを長期枠から外しているのかを理解しておくと、こうしたニュースが来ても冷静に判断できます。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。 ...

2026年6月18日 · 最終更新: 2026年7月2日 · HIKO

予定利率1.6%でも利回りは1%台?明治安田の積立保険をNISA比較

保険業界10年・投資歴11年・FP2級の HIKO です。保険会社で10年働いたあと IT企業へ転職し、家計と投資の発信をしています。 ※当記事はアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、本記事で扱う数値は 2026年6月の報道による情報 をもとにしており、商品名や条件は公式の最新情報をご自身でご確認ください。投資・契約の判断は自己責任でお願いします。 2026年6月、明治安田生命が平準払い(毎月払い)の積立保険の予定利率を、現行の1.4%から1.6%へ引き上げると報じられました。報道によると、契約から10年たった満期で受け取れる金額は払込総額の110%になり、これは2026年4月に続く同年2度目の引き上げとのことです。建付け(5年払込・10年満期)から、これは当ブログで以前検証した「じぶんの積立」とみられる商品ですが、公式での裏取りは取れていないため、本記事では報道ベースの慎重な表現で進めます。 ニュースを見て「予定利率が上がったなら、今が買い時では?」と感じた方も多いはずです。本記事では、その予定利率1.6%・満期110%という数字を、実質利回り(IRR)に翻訳して冷静に見ていきます。 結論:利上げは朗報だが、IRRで見ると依然「年1%台」 先に結論を3点に整理します。 利上げは確かに朗報:満期返戻率が報道前の108.3%から110%へ上がるなら、実質利回り(IRR)は年率約1.07%から 年率約1.28% へ改善します(いずれも本記事の試算)。 ただしNISAとは役割が違う:積立保険は「満期まで保有すれば払込総額を上回る設計の確定リターン商品」、NISAインデックスは「元本割れリスクと引き換えに高い期待リターンを狙う商品」。同じ土俵で「どちらが得」とは言い切れません。なお保険は預金保険の対象外で、保険会社が破綻した場合は生命保険契約者保護機構による補償(責任準備金の原則90%まで等)に拠ることになり、預金と完全に同じ安全性ではない点には留意が必要です。 「予定利率が上がった=今すぐ買い時」という話には乗らない:予定利率1.6%という数字と、あなたが手にする実質利回りは別物です。数字の見え方に流されず、自分の家計の中での役割で判断するのが現実的です。 ここから先は、報道された数字と一般的な税制値を使って、順番に整理していきます。 報道された内容を整理する まず、2026年6月の報道で示された内容を整理します。以下はすべて報道ベースの数値であり、公式の最新条件はご自身でご確認ください。 項目報道された内容対象平準払い(毎月払い)の積立保険予定利率1.4% → 1.6%(2026年7月申込分から)払込期間5年保険期間10年10年満期時の受取払込総額の110%例(月2万円の場合)払込総額120万円に対し満期132万円(+12万円)引き上げの背景国内金利の上昇を反映。2026年内2度目の引き上げ 報道では「投資信託などに比べて元本割れのリスクが少なく、銀行預金よりも金利は高い」という商品の位置づけも示されていました(報道の文言)。ただし、これはあくまで満期まで保有した場合の話で、途中解約時は解約返戻率が100%を下回り元本割れする期間があること、将来的に商品条件が変更される可能性があること、保険である以上は保険会社の信用力に依存することは、地の文として補っておきます。元本保証ではなく「満期まで保有すれば払込総額を上回る設計の確定リターン商品」と捉えるのが正確です。 なお、当ブログで以前検証した時点(2026年5月)の満期返戻率は108.3%でした。今回の報道どおりであれば、満期返戻率が110%へ上がる点が新しい情報になります。 予定利率1.6%・満期110%をIRRに翻訳すると年率いくらか ここが本記事の核です。「予定利率1.6%」と聞くと、年1.6%で増えるように感じます。しかし、私たちが実際に手にする利回りは、もっと低くなります。 報道の例にならって、月2万円×60ヶ月(5年)払い込み、その後5年据え置いて10年満期で132万円を受け取るケースで計算します。 払込総額:20,000円 × 60ヶ月 = 1,200,000円 満期受取額:1,200,000円 × 110% = 1,320,000円 増加額:120,000円 ポイントは「120万円を一括で預けたわけではない」「毎月2万円ずつ5年かけて積み立て、その後5年は据え置いた」という時間構造です。最後に積んだお金は数年しか運用されず、最初に積んだお金だけが約10年運用されます。 この時間価値を考慮した内部収益率(IRR)を計算すると、次のようになります。 満期返戻率実質利回り(IRR・年率換算)110%(今回の報道)約1.28%108.3%(報道前・参考)約1.07% 返戻率110%という見た目に対し、実質利回りは年率約1.28%。利上げによって約0.2ポイント改善した計算ですが、依然として年1%台です。「予定利率1.6%」という数字とは、はっきり差があります。 ※IRRは、毎月末に2万円を5年間(計60回)払い込み、最後の払込から5年後に満期金132万円を一括で受け取る前提で、月次キャッシュフローから内部収益率を求めて年率換算したものです(手数料・税・配当等の細目は加味しない簡易試算)。前提が変われば数値も変わります。 なぜ「予定利率1.6%」と「実質利回り」はズレるのか ここがFPとして一番お伝えしたい部分です。両者がズレる理由は大きく2つあります。 1つ目は、予定利率がかかるのは「払い込んだお金のうち、運用に回る部分」だけだからです。 保険には保険会社の運営経費(付加保険料)や、わずかでも付帯する保障コストが含まれます。払込総額のすべてに予定利率1.6%がそのまま乗るわけではありません。 2つ目は、先ほど触れた時間構造です。 積立保険は「毎月コツコツ積む→さらに数年据え置く」という形のため、お金ごとに運用される期間がバラバラです。満期時点の「払込総額に対する増加率(返戻率110%)」を、毎年の利回り(IRR)に直すと、必ず小さく見えます。 だからこそ、「予定利率◯%」や「返戻率◯%」という表示は、商品同士を比べる物差しとしては不十分です。私はいつも、こうした商品を見るときは返戻率を一度IRRに翻訳してから判断するようにしています。今回のように予定利率が引き上げられたニュースでも、まず実質利回りに直してみると、過度に期待しすぎず冷静に見られます。 同じ月2万円をNISAに入れたら、10年後どうなるか では、同じ月2万円を NISAつみたて投資枠で全世界株インデックスに5年間積み立て、その後5年間そのまま保有した場合の評価額を試算します。 株式市場では長期的に年率数%〜7%程度のリターンが期待されることがありますが、将来の成果は保証されません。ここでは幅を取って3%・5%・7%の3シナリオで比較します。 シナリオ10年後評価額(NISA)積立保険(満期110%)差額年率3%(保守)約1,497,341円1,320,000円+約177,000円年率5%(中央値弱め)約1,730,988円1,320,000円+約411,000円年率7%(強気)約1,997,117円1,320,000円+約677,000円 月2万円×5年積立・10年後評価額(NISA vs 積立保険・満期110%) 1320000円 積立保険110% 1497341円 NISA年率3% 1730988円 NISA年率5% 1997117円 NISA年率7% 数値は本記事の試算(NISAは年率3/5/7%・運用益非課税)。期待値であり確定リターンではありません。 NISA枠なので運用益はすべて非課税です。控えめな年率3%でも約18万円、年率5%なら約41万円、年率7%なら約68万円の差になります。 ...

2026年6月17日 · 最終更新: 2026年7月14日 · HIKO

はなさく生命「はなさく定期」は得か損か|掛け捨て定期をFP目線で数字検証

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界で10年働いたあと IT企業へ転職し、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。 この記事では、日本生命グループの通販系生保・はなさく生命の掛け捨て定期保険「はなさく定期」を、得か損かという損得検証の視点で見ていきます。 最初にはっきりさせておきます。この記事は特定の保険への加入をすすめるものでも、はなさく生命を批判するものでもありません。「掛け捨て定期はムダ」「ネット系は不安」といった印象論ではなく、商品の設計(無解約払戻金型・歳満期と年満期の違い・特約)が家計と相性が良いのはどういう人で、合わないのはどういう人か、を数字と仕組みで整理します。最終的な加入判断はご自身で行っていただく前提で読んでください。 結論:「はなさく定期」の損得は3つの軸で評価できる 先に結論から整理します。いずれも一般論としての評価であり、特定の人へのおすすめではありません。 無解約払戻金型なので「貯蓄」を期待する商品ではない:解約返戻金がない代わりに、同じ保障額なら保険料は割安になりやすい設計です。「払ったお金が戻る」ことを求める人には向きません。 歳満期か年満期かで、生涯コストの見え方が大きく変わる:年満期(10年など)は入口の保険料が安く見えても、更新のたびに保険料が上がります。歳満期(60歳まで等)は入口は高めでも更新による上昇がありません。 保障が必要な期間だけ買えば合理的、不要な人が惰性で持つと割高:定期保険の損得は商品そのものより「自分にいま死亡保障が必要か」で決まります。 ここから、それぞれを公式条件と数字で確認していきます。 「はなさく定期」の公式条件を整理する まず2026年6月時点ではなさく生命公式が示している「はなさく定期」の条件を整理します。数字は公式商品ページの記載に基づきます。 項目内容商品種類定期保険(死亡・所定の高度障害状態を保障)解約返戻金なし(無解約払戻金型)保険金額200万円から設定可能(契約年齢60歳以上かつ90歳満期の場合は100万円から)保険期間(歳満期)60歳・90歳など年齢で設定(最長90歳まで)保険期間(年満期)10年・20年など年数で設定更新年満期は更新可能(更新時に保険料が上がるのが一般的)。歳満期は満期後の更新なし付加できる特約3大疾病保険料払込免除特約(がん・心疾患・脳血管疾患、歳満期のみ対応) ポイントは「無解約払戻金型」という一点に集約されます。これは貯蓄機能を切り落とし、保障に保険料を集中させた設計です。掛け捨てと聞くと損なイメージを持つ人がいますが、これは設計思想の違いであって、それ自体が損というわけではありません。 なぜ通販系の定期保険は保険料が割安になりやすいのか はなさく生命は日本生命グループの通販・代理店チャネル中心の生保です。対面営業の生保と比べて保険料が抑えられやすい背景には、コスト構造の違いがあります。 対面の営業人件費が相対的に軽い:販売チャネルが通販・代理店中心だと、大規模な営業組織を維持するコストが保険料に乗りにくくなります。 無解約払戻金型である:解約返戻金を積み立てない分、保険料を純粋な保障コストに寄せられます。 保障内容がシンプル:死亡・高度障害というわかりやすい保障に絞ることで、商品コストが膨らみにくくなります。 保険業界で働いていた頃の感覚としても、定期保険の保険料差は「保障の中身」よりも「販売チャネルと付帯機能の有無」で説明できる部分が大きいと感じていました。通販系が安く見えるのは魔法ではなく、コスト構造を素直に反映しているだけ、というのが私の理解です。ただし保険料は会社・年齢・性別・保障額で変わるため、安さだけで優劣を断定はできません。複数社を同条件で見積もって比べるのが基本です。 損得を分ける最大のポイントは「歳満期」か「年満期」か 「はなさく定期」を含め、掛け捨て定期で最も損得が分かれるのは、保険期間を年満期にするか歳満期にするかです。ここを誤解すると、入口の安さに引っ張られて生涯コストを見誤ります。 年満期(たとえば10年更新)は、加入時点の年齢で保険料が決まるため、若いうちは保険料が安く見えます。しかし更新のたびにそのときの年齢で保険料が再計算されるため、年齢が上がるほど更新後の保険料は上がっていきます。一方、歳満期(たとえば60歳まで)は、加入時点で満了までの保険料が固定され、途中で上がりません。 下のグラフは「年満期を更新し続けた場合」と「歳満期で固定した場合」の保険料負担イメージを、概念図として並べたものです。実額ではなく、上がり方の方向性を示すための模式値です。 保険料負担の上がり方イメージ(概念図・実額ではありません) 3 年満期(若年期) 6 年満期(中年期) 12 年満期(高年期) 7 歳満期(固定) 年満期は更新ごとに上昇、歳満期は加入時に固定。数値は上がり方の方向性を示す模式値で、実際の保険料ではありません。 ここで損得の考え方が分かれます。 保障が必要な期間が長い人(たとえば子どもが独立するまで20年以上保障が欲しい人)は、歳満期や長めの年満期で保険料を固定したほうが、生涯の合計負担を読みやすくなります。 保障が必要な期間が短い人(数年だけ大きな保障が欲しい人)は、短い年満期のほうが入口も総額も軽くなりやすいです。 つまり「年満期と歳満期のどちらが得か」に一律の正解はなく、自分が保障を必要とする期間で決まる、というのが本質です。 3大疾病保険料払込免除特約は得か 「はなさく定期」には、歳満期で3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)保険料払込免除特約を付けられます。所定の状態に該当すると以後の保険料が免除される仕組みです。 これは家計の安心材料になりますが、損得の観点では次の点を冷静に見る必要があります。 特約を付けるとその分の保険料が上乗せされる:免除という保障を買う以上、コストはゼロではありません。 免除の発動条件は約款で細かく定められている:「3大疾病にかかれば必ず免除」ではなく、所定の状態・期間などの要件があります。条件は必ず約款で確認すべき部分です。 発動しなければ上乗せ分は掛け捨てになる:保険である以上当然ですが、特約も「使わなければ戻らない」コストです。 私の評価としては、この特約の損得は「主契約の保険料に対して上乗せ分が何割か」「自分が免除のありがたみを感じる家計状況か」で判断するもので、付ければ得・付けなければ損と単純化できるものではありません。判断材料は設計書の上乗せ額と約款の発動条件です。 そもそも「掛け捨て定期に入るべきか」を先に決める 定期保険の損得検証で最も大事なのは、商品の比較より前に「自分にいま死亡保障がいくら必要か」を決めることです。ここがずれていると、どんなに保険料が安い商品を選んでも家計目線では損になります。 必要保障額のざっくりした考え方は次のとおりです。 状況死亡保障の必要度独身・扶養家族なし低い(葬儀費用程度で足りることが多い)共働き・子どもなし中〜低(遺された側も働ける場合は過大保障になりやすい)子育て世帯・片働き高い(教育費・生活費を保障で埋める必要が出やすい) 我が家は夫婦二人暮らしで子どもがいないため、大きな死亡保障の必要度は高くないと判断しています。こういう世帯が「掛け捨てはもったいないから」と大きな保障を持つと、保険料は割安でも保障自体が過大で、家計目線ではムダになります。逆に、片働きで小さな子どもがいる世帯にとっては、割安な掛け捨て定期で大きな保障を確保することは合理的な選択になり得ます。 「はなさく定期が得か損か」より先に、「自分に死亡保障がいくら必要か」を決める。順番を間違えないことが、保険の損得検証では一番効きます。 「保障は保障、運用はNISA」で考える 無解約払戻金型の掛け捨て定期は、貯蓄機能を持ちません。これを「お金が戻らなくて損」と捉えるか、「保障コストを最小化できて合理的」と捉えるかで評価は分かれます。 私自身は、保障と運用は分けて考えています。死亡保障が必要なら割安な掛け捨てで保障だけを買い、お金を増やす役割はNISAなどの非課税投資に任せる、という切り分けです。貯蓄型保険のように保障と運用を一本化すると、どちらのコストや利回りが効いているのかが見えにくくなります。役割を分けたほうが、家計の中で何にいくら払っているかを管理しやすいというのが、投資歴11年・FP2級としての私の考えです。 この考え方の詳細は、掛け捨てと貯蓄型のコスト構造を分解した記事で整理しています。あわせて読んでみてください。 ...

2026年6月15日 · HIKO

掛け捨て定期保険と貯蓄型保険、コスト構造をFP目線で解剖してみた【保障は保障、運用はNISA】

「掛け捨ては払ったお金が戻ってこなくてもったいない、貯蓄型のほうがお得」。保険の話になると、今でもよく聞くフレーズです。 ※当記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。 私はFP2級を持っていて、投資歴は11年になります。前職では保険業界に10年いました。その立場から正直に言うと、掛け捨てか貯蓄型かという二択そのものが、論点をずらしてしまっているように感じます。本当に見るべきなのは「払った保険料の中身がどう使われているか」というコスト構造のほうだからです。 この記事では特定の商品をすすめるものではありません。掛け捨て定期保険と貯蓄型保険の中身を一般論として分解し、「保障は保障で買い、運用はNISAでやる」という私自身の考え方を整理します。最終的にどの保険に入るか・入らないかは、あくまでご自身で判断していただく前提で読んでいただければと思います。 そもそも「掛け捨て」と「貯蓄型」は何が違うのか まず言葉の整理からです。 掛け捨て定期保険:一定期間だけ死亡保障などを用意する保険。満期金や解約返戻金は基本的にありません。その代わり、同じ保障額なら保険料は割安です。 貯蓄型保険(終身保険・養老保険・学資保険など):保障に加えて、解約返戻金や満期金という形でお金が戻ってくる設計の保険。その分、同じ保障額でも保険料はかなり高くなります。 ここで多くの人が「貯蓄型は戻ってくるからお得」と考えます。でも、戻ってくるお金は誰かが運用して増やしてくれた魔法のお金ではありません。自分が多めに払った保険料の一部が、コストを差し引かれたうえで戻ってきているだけです。この前提を押さえると、見え方が変わってきます。 保険料の中身を分解してみる 保険料は、ざっくり次の3つに分かれます。専門用語では純保険料と付加保険料と呼ばれますが、ここでは平たく書きます。 内訳役割保障の原価実際に保険金を支払うための部分運営コスト保険会社の人件費・販売手数料・システム費など積立部分貯蓄型だけにある、将来戻ってくるための積み立て 掛け捨て定期は、このうち「積立部分」がほぼゼロです。だから保険料が安い。 貯蓄型は「積立部分」を上乗せして払う設計なので保険料が高くなります。問題は、この積立部分が運用される際に運営コストを先に差し引かれてから回るという点です。同じお金を自分でインデックスファンドに積み立てた場合と比べると、コストの差がそのまま将来のリターン差になって表れやすくなります。 ここを直感的にイメージするために、同じ「毎月の支出」を保障と運用にどう振り分けるかを比べてみます。 同じ月1万円を払うとき、運用に回る額のイメージ 6千円 貯蓄型保険 9千円 掛け捨て+NISA あくまで構造を説明するためのイメージ図です。実際の比率は商品・年齢・保障額で変わります。 貯蓄型は、保障の原価と運営コストを差し引いた残りが積み立てに回ります。一方で「掛け捨てで保障だけ安く確保し、浮いたお金をNISAで運用する」場合、運用に回せるお金そのものが増えやすい、という構造です。あくまでイメージであって、実際の数字は商品や年齢、保障額によって変わります。 「戻り率」と「利回り」は別物 貯蓄型保険のパンフレットでよく見るのが「返戻率○○%」という表記です。たとえば総額300万円払って330万円戻れば返戻率110%、というような書き方です。 数字だけ見ると増えているように感じますが、これは投資の利回り(年率)とは性質がまったく違います。10年・20年という長い期間をかけてようやく110%になることも珍しくありません。これを年率に直すと、実質的な利回りはかなり小さくなります。 私は投資を11年やってきて、旧NISAの配当だけで累計約90万円を受け取ってきました(2015〜2024年の合計で904,551円です)。インデックス投資の世界では、過去の実績として年率数%が一つの目安として語られることが多く、これは複利で効いてくると返戻率の世界とは桁が変わってきます。もちろん投資には元本割れのリスクがあるので、保険の確実性とそのまま比較できるものではありません。ただ、「お金を増やす目的」だけで貯蓄型保険を選ぶのは、土俵を間違えている可能性がある、というのが私の考えです。 私が行き着いた「保障は保障、運用はNISA」 私自身の投資は、決して成功談ばかりではありません。コナカ(7494)の株を2015年に738円で100株買って、今も塩漬けで持ち続けています。青山商事では約31万円の損切りも経験しました。だからこそ、保険と運用を一緒くたにすると判断がにぶる、という実感があります。 保険と運用を切り分けると、それぞれの目的がはっきりします。 掛け捨て定期 目的は保障 安く大きな保障を確保 シンプル 貯蓄型保険 保障+貯蓄を兼ねる コストが見えにくい 割高になりやすい NISAでの運用 目的は資産形成 低コストで非課税 相場リスクあり 保障は、万が一のときに残された家族が困らないためのもの。必要な時期に、必要な額を、安く確保できればそれで役割を果たします。掛け捨て定期はこの目的に素直な商品です。たとえば各社が出している割安な定期保険(はなさく生命の定期タイプなどもその具体例の一つです)は、保障を安く持つという発想に沿っています。 資産形成は、時間をかけてお金に働いてもらう領域。ここはコストの低さと非課税メリットが効くNISAの土俵だと、私は考えています。 この2つを別々の財布で考えると、「掛け捨てはもったいない」という感覚そのものが消えていきます。掛け捨ては保障を安く買うための合理的な選択であって、損ではないからです。 NISAで運用の土台をつくる 保障を掛け捨てで安く確保したら、浮いたお金を運用に回す土台が必要です。私はメインで楽天証券を使っていて、つみたて投資枠ではインデックスファンドをコツコツ積み立てています。NISAは運用益が非課税になる制度なので、長期の資産形成と相性がいいというのが、11年やってきた率直な感想です。 まずは運用の土俵を用意する 保障は掛け捨てで安く、運用はNISAで非課税で。この切り分けを実践するには、まず証券口座という土台が必要です。私が10年以上メインで使っている楽天証券は、楽天ポイントとの連携や使い勝手の面で個人的に気に入っています。口座開設・維持は無料なので、土台として持っておく価値はあると思います。 楽天証券でNISA口座を見てみる → まとめ 「掛け捨てか貯蓄型か」より、「払った保険料の中身がどう使われているか」を見るほうが本質的です。 貯蓄型の戻り率は投資の利回りとは別物で、長い期間をかけてようやく成り立つ数字であることが多いです。 保障は掛け捨てで安く確保し、運用はNISAで低コスト・非課税でやる。この切り分けが、私自身が11年の投資経験を経て行き着いた考え方です。 繰り返しになりますが、この記事は特定の保険商品をすすめるものではありません。掛け捨てが正解、貯蓄型がダメ、という単純な話でもありません。家族構成や価値観によって最適解は変わります。大事なのは、保障と運用をいったん切り離して、それぞれの目的とコストをご自身で確かめてみることだと思います。投資にはリスクがあり、保険の見直しを含め、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

2026年6月14日 · 最終更新: 2026年6月15日 · HIKO

株主優待で選んだコナカは9年塩漬け、業績を見た巴工業は含み益+30%|優待株で確認する3つの数字

この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第1回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で私が実際に保有している優待銘柄を、1記事1銘柄で紹介していく連載です。 「株主優待が魅力的だから、この株を買おう」 11年前の私はこの考え方で銘柄を選び、9年5ヶ月の塩漬けを経験しました。一方で、業績と配当方針を確認した上で保有している優待つきの銘柄は、含み益+30%で優待のワインも毎年届いています。 結論を先に書きます。優待だけを最初の理由に株を買うと、私のように失敗することがあります。優待は株を買う最初の判断材料ではなく、業績・財務で持ちたいと判断した会社の「最後のひと押し」にするべきでした。 この順番を逆にした私の失敗と、今うまくいっている保有銘柄の対比を、実際の数字で書きます。 平成時代を生きた30代・川崎市在住のHIKOです。投資歴11年・FP2級。2015年に年収300万円台でNISAを始め、コナカの塩漬けと青山商事の-310,960円を経験してきました。この記事は私の体験談と一般的なチェック観点の整理であり、特定銘柄の購入を勧めるものではありません。 ※当記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。 優待で選んだコナカ(7494):9年5ヶ月の塩漬け 2015年5月、人生で初めて買った単元株がスーツ専門店のコナカでした。738円×100株、投資額73,800円です。 選んだ理由は3つでした。 知っている会社だから安心 100株7万円台で買える 株主優待でスーツがお得に買える 業績や財務は一切調べていません。「優待だけ」というより「知名度・手頃さ・優待」の3点セットですが、共通しているのはどれも会社の中身を見ていないことです。 その後、株価は200〜400円台で長く推移し、9年5ヶ月そのまま塩漬けになりました。2024年11月、旧NISAの非課税期間終了にあわせてクロス取引(旧NISAで売却→同日に特定口座で買い戻し)を実施し、損益を整理した結果がこれです。 項目金額旧NISA売買の確定損(738円買い→247円売り)-49,100円旧NISA配当累計(16回・非課税)+16,000円特定口座スイング益(2020〜2021年)+2,190円特定口座配当+980円確定損益合計-29,930円 配当を9年受け取り続けても、株価下落をカバーできませんでした。しかも旧NISAの損失は損益通算ができないため、-49,100円は税制上「無かったこと」になります。買う理由の1つだった優待(コナカ・フタタ・SUIT SELECT等で使える20%割引券)自体は現在も継続していますが、株価が7割下がった損失を埋められるものではありませんでした。 このときの詳しい経緯は2015年のNISA個別株失敗談に書いています。 業績を見て保有している巴工業(6309):含み益+30%とワイン 一方、現在の保有銘柄に巴工業という会社があります。遠心分離機などの機械製造と化学工業製品の商社という2つの事業を持つ会社です。 2026年5月時点の私の保有状況はこうです。 項目数値保有株数300株取得単価1,369円評価額537,900円含み損益+127,200円(+30.97%) 優待は200株以上の保有でワイン1本が年1回届きます(600株以上で2本。基準日は毎年10月31日・継続1年以上の保有が条件。出典:巴工業「株主優待制度」 https://www.tomo-e.co.jp/ir/benefit.html )。私も実際に受け取っており、これは素直にうれしい優待です。 ただし、私がこの株を持ち続けている理由はワインではありません。業績と配当方針です。 売上・営業利益が右肩上がり 決算期売上高営業利益2020年10月期392億円23億円2021年10月期451億円28億円2022年10月期456億円33億円2023年10月期496億円40億円2024年10月期521億円47億円2025年10月期594億円54億円 出典:IR BANK 巴工業 業績推移( https://irbank.net/6309/results ) 5年で売上は約1.5倍、営業利益は2倍以上になっています。営業利益率も5%台から9%台へ改善しています。 配当も増えている 決算期年間1株配当2020年10月期48円2021年10月期50円2022年10月期53円2023年10月期110円2024年10月期145円 出典:IR BANK 巴工業 配当推移( https://irbank.net/6309/dividend )。なお2025年5月に1対3の株式分割を実施しているため、2025年10月期以降の1株配当額は上の表と単純比較できません。 会社は連結配当性向40%以上を目標に掲げており、実績もその水準で推移しています。優待を抜きにしても、配当と業績だけで保有の説明がつく。これがコナカとの一番の違いです。 念のため繰り返しますが、巴工業を買うことを勧めているわけではありません。株価は今後下がるかもしれませんし、優待も廃止されるかもしれません。「業績で説明できる株を持ち、優待はおまけ」という選び方の実例として挙げています。 同じ「優待株」でもここまで差がつく コナカと巴工業の損益比較 ¥-29930 コナカ(確定損益) ¥127200 巴工業(含み益) コナカは2024年11月クロス取引までの確定損益(配当込)、巴工業は2026年5月12日時点の含み益。投資額はコナカ73,800円・巴工業410,700円で異なります どちらも「優待のある株」です。違いは、買う前(あるいは持ち続ける判断のとき)に業績と配当を見たかどうかだけです。 私が優待株で見ている3つの数字 コナカの失敗と、JPX・JT・オリックスでの優待廃止経験(詳細は優待入門の記事に書きました)を経て、優待のある銘柄では次の3つの数字を確認するようになりました。これは一般的なチェック観点としても通用する内容だと思います。 ① 優待を抜いた配当利回り 優待相当額を含めた「総合利回り」ではなく、配当だけの利回りをまず見ます。 理由は単純で、優待はいつでも廃止されるからです。JT・オリックスのような人気優待でも「配当への一本化」を理由に廃止されました。優待が消えても配当だけで持つ理由が残るか。残らないなら、その銘柄は優待ありきの選択になっています。 ② 業績の方向(売上・営業利益・配当性向) 直近5年程度の売上高と営業利益が伸びているか、横ばいか、下がっているかを見ます。あわせて配当性向(利益のうち配当に回す割合)に無理がないかも確認します。配当性向が100%を超えているような会社は、利益以上の配当を出している状態で、減配や優待廃止が起きやすい構造です。 ...

2026年6月11日 · 最終更新: 2026年7月10日 · HIKO