松風(7979)の株主優待は改悪?200株保有者が変更内容と「売らない理由」を解説
この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第3回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で私が実際に保有している優待銘柄を、1記事1銘柄で紹介していく連載です。第1回はコナカと巴工業の比較、第2回はKDDIの優待変更でした。 松風(7979)の株主優待は改悪なのか。2026年に優待が一部変更され、ネットでもそう問う声が出ています。 先に私の結論を書きます。**私は松風を売っていません。理由は、私がこの株を持っている根拠が優待ではなく、歯科材料事業の成長性と配当だからです。**優待品が1本差し替わろうと、優待価格で買える本数の上限が縮んでも、私が見ている本線(業績・配当・財務)は変わっていません。だから今回の変更は、私にとって売る理由になりませんでした。詳しくは本文で、財務指標と「売る条件」もあわせて整理します。 なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。 松風は歯科材料の会社で、株主優待として薬用歯磨などの自社製品がもらえることで個人投資家に知られています。その優待が、2026年6月3日付の会社からの告知で「一部変更」になりました。優待品の中身が一部差し替わり、優待価格で買える本数の上限も縮小されています。私は松風を200株保有し、優待品も受け取ってきた立場として、変更内容を会社の一次情報で整理していきます。 松風の株主優待が2026年にどう変わったのか(変更内容) まず、変更前の松風の株主優待を整理します。松風の公式IR(株主優待ページ)で確認した内容は、おおむね次のとおりです。 対象: 100株(1単元)以上を保有する株主 無料提供: 薬用歯磨など自社製品を、毎年6月下旬に発送 優待価格販売: 全株主を対象に、歯磨やネイル製品などを優待価格で購入できる 基準日: 3月31日(自社製品)と9月30日(ネイル製品)の2回 長期保有条件: 公式ページに記載なし(保有年数による段階はありません) そのうえで、2026年6月3日付で会社が出した「株主様ご優待製品等の変更に関するお詫びとお知らせ」の内容を、告知の範囲で整理すると、変更点は次のとおりです。 無料提供する優待品のうち1本が、別の歯磨製品へ差し替えになった 優待価格で購入できる本数の上限が、2箱から1箱へ縮小された 無料提供品の発送時期が、当初の予定より後ろ倒しになった 無料提供のセット自体は引き続き受け取れますが、優待価格で多めに買い足したい人にとっては、上限が半分になったぶん使い勝手が下がる形です。ネットで「松風の優待は改悪では」という声が出るのも、この上限縮小と発送遅延が理由でしょう。実際、優待価格販売を活用していた株主からすれば、体感として後退に映る変更だと思います。 (優待の正確な内容・条件・対象品目は改定されることがあります。実際に確認・申し込みをする際は、必ず松風の公式IR・株主優待ページと、当該の告知文をご自身でご確認ください。) 会社が挙げた変更理由は「株主数の増加」と「中東情勢」 今回の変更で私が注目したのは、会社が変更理由をきちんと説明している点です。 松風はお詫びの告知のなかで、変更の理由として「想定を上回る株主数の増加」と「中東情勢による原材料の供給不安」を挙げています。これは私の解釈ではなく、会社の告知文に書かれている内容です。 優待がもらえる会社の株主が増えること自体は、会社にとって悪い話ではありません。ただ、株主が増えれば、その人数分の優待品を用意するコストも増えます。そこに原材料の供給不安が重なれば、同じ条件のまま全員に配り続けるのが難しくなる、という事情は理解できます。 ここで大事なのは、これを「会社の経営が苦しいサイン」と読み違えないことだと思っています。今回の変更は、業績が悪化したからコストを削った、という話ではなく、株主数の増加と外部要因への対応として優待のかたちを調整した、というのが会社の説明です。原材料の供給不安は松風だけの問題ではなく、外部環境の話です。憶測で「経営がまずいから優待を削った」と決めつけるのは、フェアではないと考えています。 とはいえ、優待が縮小される方向の変更であることは事実です。だからこそ、この連載で繰り返してきた問いがまた効いてきます。「優待が縮小されても、この会社を持ち続けたいか」です。 「改悪」かどうかより、私が見ているのは業績・配当・財務 ここからが本題です。優待が縮小された「改悪」かどうかという議論はネットでも盛り上がりますが、私が松風を持ち続けるかどうかの判断は、優待ではなく業績・配当・財務の数字で決まります。私は松風を200株、取得単価のベースに対して含み益が出ている状態で保有していますが、その根拠は歯科材料分野で実績を積んできた事業のほうにあります。 業績:5年で売上約1.6倍、営業利益率は13%台へ 松風は売上を伸ばしてきた会社です。IR BANKで公開されている通期業績の推移は、おおまかに次のとおりです。 決算期売上高営業利益営業利益率営業CF2021年3月期247億円23.0億円9.3%28.3億円2022年3月期281億円32.2億円11.4%37.4億円2023年3月期317億円38.2億円12.1%31.7億円2024年3月期351億円47.1億円13.4%30.9億円2025年3月期387億円53.9億円13.9%34.5億円2026年3月期400億円52.3億円13.1%33.7億円 出典:IR BANK 松風 業績推移( https://irbank.net/7979/results 、2026年6月25日確認) 5年で売上は約1.6倍に伸び、営業利益率も9%台から13%台へ改善してきました。営業キャッシュフローも毎期30億円前後の黒字で安定しています。一方で直近の2026年3月期は、売上は過去最高を更新したものの営業利益は前の期(53.9億円)から52.3億円へ微減しました。ずっと右肩上がりが約束されているわけではありません。歯科材料は景気変動の影響を受けにくい面がある一方、海外売上比率や為替、今回のような原材料の供給環境にも左右されます。 財務:自己資本比率84%・ROE10%台と無理のない体質 私が優待株でいちばん安心材料にしているのが、財務の厚さです。IR BANKで確認した自己資本比率とROEの推移は次のとおりです。 決算期自己資本比率ROE2021年3月期79.4%5.6%2022年3月期80.5%7.8%2023年3月期80.8%8.9%2024年3月期82.7%8.8%2025年3月期85.2%10.1%2026年3月期84.1%10.1% 出典:IR BANK 松風 業績推移( https://irbank.net/7979/results 、2026年6月25日確認) 自己資本比率は一貫して80%前後と高く、借入に頼らない財務体質です。ROEも5.6%から10%台へ改善しており、自己資本が厚いままで資本効率も上がってきた形です。財務に余裕があることは、外部環境が荒れても配当や優待を急に切り詰めにくい、という意味で優待株では安心材料になります(もちろん将来を保証するものではありません)。 配当:予想利回り約3.1%、配当性向は40%台へ 配当の面では、松風は2024年10月に1株を2株にする株式分割を実施しています。分割の前後で1株あたりの配当金額の見え方が変わるので、推移を見るときは注意が必要です。IR BANKで確認した1株あたり年間配当金は、おおまかに次のとおりです。 決算期年間1株配当配当性向2021年3月期29円30.1%2022年3月期39円27.2%2023年3月期57円32.4%2024年3月期62円30.1%2025年3月期49円(分割後)40.3%2026年3月期60円(分割後・特別配当5円含む)43.7% 出典:IR BANK 松風 配当推移( https://irbank.net/7979/dividend 、2026年6月25日確認)。2024年10月に1対2の株式分割を実施しているため、2025年3月期以降の1株配当額は分割前の期と単純比較できません(分割前ベースでは2025年3月期・2026年3月期とも年間98円相当)。 会社は配当性向の目安として30%程度を掲げてきましたが、直近2期は記念配当・特別配当もあって実績ベースでは40%台で推移しています。予想ベースの配当利回りは、私が確認した2026年6月25日時点でおおむね3.1%(2027年3月期予想配当61円ベース)です。 優待人気で割高になっていないか(PER・PBRの確認) 優待株でひとつ気をつけているのが、「優待人気で株価が買われすぎていないか」です。優待目的の買いで割高になっている株は、優待が縮小されると株価のほうも調整しやすいからです。2026年6月25日時点でIR BANKで確認した株価指標は次のとおりです。 指標2026年6月25日時点補足株価1,957円—PER14.6倍過去5年平均は約15倍PBR1.43倍自己資本比率84%を踏まえると過度な割高感は薄い予想配当利回り約3.1%2027年3月期予想ベース時価総額約700億円— 出典:IR BANK 松風( https://irbank.net/7979/per 、2026年6月25日確認) ...