NISAを始めた当初、私は「何を買えばいいか」がまったくわかっていませんでした。銘柄を選ぶ基準がなく、気づけば「自分が買える金額かどうか」だけで選んでいました。その結果どうなったか。今回は正直に振り返ります。


2015年、NISAを始めたものの…

2015年にNISAを始めました。「非課税で投資できるならやらないと損」という気持ちだけで口座を開設したものの、最初に直面したのは「どの株を買えばいいかわからない」という問題でした。

投資の知識もなく、企業分析もできない。結果として私がとった行動は、証券会社のランキングや株価を眺めて、“1単元10万円以内で買える銘柄"から選ぶというものでした。

今思えば、これが最初の間違いでした。


「買える金額」で選ぶと何が起きるか

1単元(100株)あたり10万円以下で買える株というのは、株価が1,000円以下の銘柄です。

当時の主な購入銘柄と株価はこんな感じです。

銘柄購入単価投資額(100株)
コナカ738円73,800円
丸紅746円74,690円
朝日放送700円70,000円
エスクリ1,069円106,900円
ディア・ライフ360円36,000円

「安い=割安」ではありません。でも当時の私にはその区別がついていませんでした。


コロナショック(2020年)で現実を突きつけられた

個別株投資を続けた2015〜2020年の間、銘柄を入れ替えながら少しずつ増やしていきました。そして2020年、コロナショックが来ました。

保有していた多くの銘柄が一斉に急落。当時の私はパニックになり、含み損が拡大するなかで次々と売却していきました。

主な売却実績(2020年)

銘柄購入単価売却単価損益(配当含む)
青山商事4,115円約565円−310,960円
中北製作所3,825円約2,485円−106,000円
エスクリ1,069円約300円−71,250円
丸三証券971円約400円−41,500円
オリックス1,860円約1,151円−46,165円
2020年コロナ売却 主要銘柄の損失(円)
¥-310960
青山商事
¥-106000
中北製作所
¥-71250
エスクリ
¥-46165
オリックス
¥-41500
丸三証券
パニック売りで合計50万円以上の損失を確定させた

特に青山商事は-31万円という、口座残高を見るのが怖くなるレベルの損失でした。


売らずに塩漬けたケースの代表例:コナカ(7494)

コロナで一気に売った銘柄がある一方で、「売らずに塩漬け続けた銘柄」の代表がコナカです。NISA初年度の2015年5月21日に738円×100株=73,800円で購入したスーツ専門店です。

その後、株価は200〜400円台で長く推移して、含み損のまま9年5ヶ月持ち続けました。途中で損切りせず、旧NISAの非課税枠で配当だけを年2回受け取り続けた結果、配当累計は16,000円(1株10円×100株×16回)。

そして2024年11月26日、旧NISAの非課税期間が2024年末で終わるタイミングに合わせて、次のクロス取引をしました。

  • 旧NISAの100株を247円で売却(取得738円→売却247円で確定損 -49,100円)
  • 同じ日に特定口座で100株を248円で買い戻し(取得単価を248円にリセット)

銘柄としては今も100株保有していますが、口座区分は旧NISAから特定口座へ、取得単価は738円から248円へ切り替わっています。

項目金額
旧NISA購入額(2015年)73,800円
旧NISA売却額(2024/11/26)24,700円
旧NISA確定損-49,100円
旧NISA配当累計(16回・非課税)+16,000円
特定口座買戻し(同日)24,800円
確定損益合計約-3万円

「NISAは損失が出ても損益通算できない」実例

このコナカのクロス取引は、NISAの落とし穴を体感する実例になりました。

特定口座であれば、-49,100円の損失は同じ年に出た株式利益や配当と相殺できます。さらに余った損失は3年間繰り越して翌年以降の利益とも相殺できます。これが「損益通算」と「損失の繰越控除」です。

ところがNISA口座は非課税であることと引き換えに、この仕組みがまったく使えません。私の-49,100円は、税制上は完全に「無かったこと」として扱われます。同じ2024年に他の銘柄で利益を出していても、コナカの損失はぶつけられません。翌年以降に持ち越すこともできません。

この点が、個別株をNISAでやることの最大のリスクだと、自分で経験して初めて腹落ちしました。「非課税枠なんだから一番上がる銘柄を入れたほうが得」という考え方は、当たればその通りなのですが、外したときの損失リカバリーが税制で潰されます。インデックスファンドのように長期で右肩上がりが期待しやすい商品ならまだしも、個別株でこのリスクをわざわざ取る必要はあるのか、と今は思います。

なお、2024年からの新NISAも同じ仕様です。新NISA口座で出た損失も損益通算・繰越控除はできません。「新NISA成長投資枠で個別株を買うか」を考えるときは、この点を必ず織り込んで判断したほうが安全です。


「売らなければよかった」と今でも思う

コロナショックで売却した銘柄の多くは、その後数年で株価が戻りました。

青山商事は一時的に急落しましたが、その後はアパレル不況の中でも事業を立て直しています。オリックスにいたっては、売却後に配当を大幅に増額しました。売るタイミングが最悪でした。

でも、後悔してもしかたない。問題は「なぜその判断をしてしまったか」です。


青山商事-31万円:人生最大の失敗の中身

旧NISA10年で最大の失敗が、2017年1月に青山商事を1株4,115円で100株購入したことです。投資額411,500円。購入理由は「スーツの青山なら有名企業だし、株価が下がっているから割安、配当利回りも高い」というものでした。

今振り返ると、「株価が下がっている=割安」という判断が致命的な間違いでした。株価の下落はアパレル業界の構造変化・スーツ離れという業績悪化のシグナルだったのに、当時の私はそれを業界分析せずに「割安」と読み替えてしまった。

2020年7月のコロナ売却時の数字はこうです。

項目金額
購入額411,500円
売却額56,540円
配当合計44,000円
損益-310,960円

41万円を投じて、戻ってきたのは売却・配当合わせて約10万円。配当44,000円は株価損失-310,960円の14%しか回収できていません。「配当で取り返す」は実質無理でした。この経験を経て、私が今使っている高配当株のチェックリストは次の4項目です。

  • 売上・営業利益は直近3〜5年で成長しているか
  • 配当性向は100%以下か
  • 配当利回りが極端に高すぎないか(5〜6%以上は要注意)
  • 株価が下がっている理由を自分の言葉で説明できるか

青山商事はこの4項目のうち、どれも確認していませんでした。「利回りが高い・株価が下がっている・有名企業」という見た目の安心感だけで41万円を投じた結果が、人生最大の-31万円です。


2020年コロナで「旧保有株まとめて処分」が最悪手だった

2020年に新規購入した5銘柄(ウエスコHD・ジオスター・寺岡製作所・ユニバンス・パーカーコーポレーション)は、ウエスコHDの+107,920円だけが報われ、残り4銘柄は半年以内に損切りで-88,840円。「コロナで下がったから買った」のに、その後もコロナで下がり続けたので、買う根拠が消えて売る根拠も消えた状態でした。

それ以上に大きかったのが、それまで保有していた旧来銘柄をコロナショックを機にまとめて処分したことです。

銘柄損益(配当含む)
青山商事-310,960円
中北製作所-106,000円
エスクリ-71,250円
オリックス-46,165円
丸三証券-41,500円

合計-575,875円。たった数ヶ月の判断で5年分の含み損を一気に確定させました。原因は3つあります。

  1. 保有期間が長く含み損が大きくなりすぎていた
  2. 売る基準を持たずに買っていたので下落局面で判断軸が消えた
  3. 「現金を厚くしたい」という資金繰り不安(実際にはNISA資金は当面使う予定がなかった)

「下がったから買い」「下がったから売る」のどちらも、買う前に売却ラインを決めていなかったことが共通の根本原因でした。


2021年に方針を変えて初めて結果が出た

2020年の大量売却を経て、2021年から銘柄選びの基準を「高配当・大型株・長期保有」に切り替えました。それまでの「買える金額で選ぶ」とは真逆の発想です。

2021年購入5銘柄の結果がこちらです。

銘柄投資額損益
JT205,100円+376,930円
ソフトバンク136,500円+129,600円
日本郵政84,990円+88,760円
三菱UFJ47,000円+11,900円
ジェクシード192,690円-96,390円

JTで+376,930円。「買える金額」ではなく「財務と配当の安定性」で選んだ初めての銘柄でした。配当だけで保有期間中に82,000円(取得元本の40%)が戻り、4年間の保有で約2.4倍。これが「長期・高配当」の威力です。

ただし、唯一の失敗ジェクシード(-96,390円)も同じ2021年に出しています。300円台の小型株で600株、業績確認なし。「方針を変える」と頭で決めても、過去の癖は無意識に戻ってくる。新しいルールを徹底するのは想像以上に難しいというのが、2021年のもう一つの教訓でした。


失敗の本質:銘柄選びの基準がなかった

振り返ると、失敗の根本は「買える金額かどうか」という基準で銘柄を選んでいたことにあります。

本来であれば、

  • 事業の将来性や競合優位性
  • 配当の継続性・増配実績
  • 財務の健全性(自己資本比率・キャッシュフロー)

といった視点で選ぶべきでした。でも当時の私にはそういった知識も時間もなく、株価が安いから買いやすい、というだけで銘柄を選んでいました。

「株価が低い=業績が低迷している」ケースも多く、コナカや青山商事のようなアパレル株が典型でした。


個別株投資を経て、今の投資スタイルへ

2020年の大量売却を経て、私は個別株の選定が自分には難しいと痛感しました。

その後は徐々に方針を変え、

  • 高配当の優良大型株(日本たばこ産業(JT)、ソフトバンク、日本郵政、三菱UFJなど)に絞る
  • ETFやインデックスファンドを中心にする

という方向に切り替えていきました。結果として、旧NISA全体での配当金累計は約90万円(2015〜2024年の税引後実額で904,551円)となりました。

旧NISA10年の最大失敗 vs 最大成功(円)
¥-310960
青山商事(最大の失敗)
¥376930
JT(最大の成功)
同じ旧NISA口座でも、選び方を変えただけで結果はここまで変わった

まとめ:自分が払える金額ではなく、買う理由で選ぶ

失敗のポイント内容
銘柄選定の基準「買える金額」だけで選んでいた
売却判断コロナ急落時にパニック売り
結果青山商事だけで-31万円

NISAは非課税という強力な制度ですが、何を買うかを間違えると損失も非課税で確定します。

同じような失敗をしてほしくないので、今回は実際の数字と一緒に書きました。

投資は自己責任ですが、失敗談こそ一番の教科書だと思っています。


※本記事は私個人の運用実績をもとにした体験談です。投資は自己責任でお願いします。


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HIKO

保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー

保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。

保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり