この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第8回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で保有してきた優待銘柄を1記事1銘柄で紹介している連載です。

株主優待が廃止されたら、普通は売りますよね。私は逆でした。ネオジャパン(3921)のQUOカード優待が2023年になくなったあと、私は売るどころか、一時500株まで買い増しました。この記事では、優待が廃止された銘柄を私がなぜ持ち続けている(むしろ買い増した)のか、その判断が3年経ってどうなったのかを、実際の保有実績と一次情報で書いていきます。

この記事の結論 私は最終優待でQUOカード1,000円分を受け取ったあと、優待廃止が発表されても売らず、一時500株まで買い増しました(現在は資金配分の見直しで100株)。優待目的で買っていなかったからです。廃止理由は利益還元を配当と自己株式取得に集約するためで、実際に一株配当は廃止直前の20円から2026年1月期には52円へ3年で約2.6倍に増え、営業利益率も30%台まで伸びました。私の保有分でも、取得単価1,011円に対し株価は1,648円(2026年7月22日)と結果的に含み益になっています。優待は失いましたが、私は今も保有を続けています。

なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事で分かること

  • ネオジャパンの株主優待の廃止時期・廃止前の内容(QUOカード・必要株数・年何回)
  • 優待はなぜ廃止されたのか(配当への集約と増配)
  • 優待が廃止されても私が売らず、むしろ買い増した理由
  • 優待廃止後に株価は下がったのか
  • グループウェア企業という会社の中身と、財務・配当の実績
  • 優待廃止後の今、私が新規でも買うと考える理由

ネオジャパンの株主優待は廃止された|廃止前の内容と時期

先に事実を書くと、ネオジャパンの株主優待は2023年3月13日の発表で廃止されており、現在は優待をもらうことはできません。2023年1月末を基準とする分が最後の優待でした(出典:日本経済新聞 適時開示「株主優待制度の廃止に関するお知らせ」2023年3月13日 https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20230312529049/ 、ダイヤモンドZAi https://diamond.jp/zai/articles/-/1013832 、いずれも2026年7月23日確認)。

廃止前の優待の中身は、QUOカードでした。権利確定は1月末・7月末の年2回で、保有株数に応じて次の金額がもらえました。

保有株数1回あたりのQUOカード年間(年2回)
100株以上500円分1,000円分
200株以上1,000円分2,000円分

100株を持っていれば年間で合計1,000円分、200株以上なら年間2,000円分のQUOカードがもらえる設計でした。これがすべて、2023年1月末分をもって終了しています。

なお、優待は廃止済みですが、配当などの制度は会社の判断で今後も変わる可能性があります。最新の状況は、投資を検討する時点で必ずネオジャパンの公式IRをご自身でご確認ください。

ネオジャパンの優待はなぜ廃止された?配当への集約と増配

優待株を検討するときに気になるのが「過去に改悪・廃止はなかったか」だと思います。この連載でもKDDIや松風では優待の変更が、ネオジャパンでは廃止がありました。ネオジャパンの廃止は、一次情報で理由がはっきりしています。

会社は廃止の理由として、「改めて株主の皆様への公平な利益還元の在り方という観点から慎重に検討を重ねた結果、今後は配当および機動的な自己株式取得による利益還元に集約することが適切であると判断した」と説明しています(出典:ダイヤモンドZAi https://diamond.jp/zai/articles/-/1013832 、2026年7月23日確認)。

ポイントは、優待をやめて終わりではなく、配当への集約とセットだったことです。会社は優待廃止と同時に、2024年1月期の一株配当を前期比3円増の23円へ引き上げることを発表しました。優待という形の還元をやめる代わりに、株主全員に公平に届く配当で還元する、という方向転換です。この「優待をやめて配当に集約する」という方針を私がどう受け止めたのかが、次の話につながります。

優待が廃止されても私が売らず、むしろ買い増した理由

ここが、この記事でいちばん書きたいところです。

私がネオジャパンを持ったのは、優待ではありませんでした。私が見ていたのは、QUOカードではなく、営業利益率が30%まで伸びていく事業そのものです。だから、2023年3月に優待廃止のニュースを見たときも、正直あまり動揺しませんでした。QUOカードは持っている理由の本体ではなく、あくまで「おまけ」だったからです。

むしろ私が注目したのは、廃止と同時に会社が「配当と自己株式取得に還元を集約する」と明言し、いきなり3円の増配(23円へ)を出してきたことでした。優待という一部の株主にしか届かない還元をやめ、株主全員に公平に届く配当に切り替える——これは還元を減らす話ではなく、還元のかたちを変える話だと私は受け止めました。会社の還元姿勢はぶれていない、と判断したわけです。

そこで私は、優待廃止をきっかけに売るのではなく、逆に買い増しました。最終優待の時点で保有していた400株を、廃止発表後に一時500株まで増やしています。株主優待という「ラスト一押し」を失った銘柄を買い増すというのは、優待目的の投資家からすると逆の動きに見えるかもしれません。でも、優待を目的にしていなかった私にとっては、増配で還元を厚くする会社をむしろ買い増す、という自然な判断でした。

(その後、より優先順位の高い投資先に資金を回すため、現在は100株に調整しています。これは会社の評価が下がったからではなく、資金配分の見直しによるものです。)

この判断が正しかったのかどうかは、廃止から3年が経った今、株価と配当の実績で確かめられます。ここから先は、その裏付けを見ていきます。

ネオジャパンは優待廃止後に株価は下がった?

「優待が廃止された会社は株価も下がるのでは」と不安に思う人もいると思います。ネオジャパンについて、私の保有実績でお話しできる範囲で書きます。

私が現在保有している100株の取得単価は1,011円ですが、2026年7月22日時点の株価は1,648円で、私の保有分では結果的に含み益(6万円前後)になっています(出典:IR BANK ネオジャパン https://irbank.net/3921 、2026年7月22日確認)。優待廃止と同時に打ち出した増配・自己株式取得という還元方針が、営業利益の倍増(2023年1月期12.4億円→2026年1月期25.0億円)という業績に裏打ちされて続いてきたことが、その背景にあると私は見ています。

もちろん株価は日々変動し、短期的な上下は当然あります。これはあくまで私の取得単価を基準にした個別の結果であって、誰が買っても同じ含み益になるという話ではありません。ただ、少なくとも私自身の保有では、優待廃止が売る理由にはならなかった、というのが3年持ってみての実感です。なお、100株を新規で買う場合、2026年7月22日時点で約16万5,000円が必要です。

優待廃止後の配当利回りと増配の実績

2026年7月22日時点の予想配当利回りは**3.28%**です(出典:IR BANK ネオジャパン https://irbank.net/3921 、2026年7月22日確認)。飛び抜けて高い高配当という水準ではありませんが、廃止されたQUOカードの優待利回り(100株で年1,000円分=当時株価でも1%未満)と比べれば、配当のほうがはるかに大きい還元です。

一株配当の推移は次のとおりです。

ネオジャパン(3921)の一株配当の推移
14円
2022/1
20円
2023/1
23円
2024/1
40円
2025/1
52円
2026/1
一株配当(円)の推移。株主優待を廃止した2023年3月を境に、2023年1月期20円から2026年1月期52円へと増配が加速しています。2025年1月期からは中間配当も始まりました。出典:IR BANK ネオジャパン 配当 https://irbank.net/3921/dividend

2025年1月期からは中間配当も新設され、年2回の配当になっています。優待というかたちのQUOカードは消えましたが、現金の還元はむしろ増え、回数も増えたというのが実際のところです。優待廃止のときに会社が掲げた「配当への集約」は、言葉だけでなく実績として果たされてきた、というのが3年持ってみての私の評価です。

一目評価|私の見方

ここまでの内容を、私の主観で5段階評価にまとめると次のとおりです。あくまで私個人の見方であり、投資を推奨するものではありません。

項目評価根拠
総合評価★★★★☆優待は廃止されたが、増配と高い収益力で優待以上に報われている
優待★☆☆☆☆2023年に廃止済み。現在は優待なし
配当★★★★☆予想配当利回り3.28%、一株配当を20円→52円へ3年で2.6倍
財務★★★★★株主資本比率72.99%、実質無借金に近くROEは24%台
割安度★★☆☆☆PER12倍台は許容範囲だが、PBR3.05倍で指標上は割高
長期保有★★★★☆営業利益率が20%台から30%台へ、ストック型収益で安定成長

優待は廃止済みなので★1です。それでも総合を★4としているのは、この記事の主眼が「優待がなくても持つ価値があるか」であり、配当・財務・成長という優待以外の中身がそろっているからです。

ネオジャパンはどんな会社?グループウェアのSaaS企業

私が優待廃止後も持ち続けている判断の裏付けとして、会社の中身を見ておきます。

ネオジャパンは、企業向けのグループウェア「desknet’s NEO(デスクネッツ ネオ)」やビジネスチャット「ChatLuck」、ノーコードで業務アプリを作れる「AppSuite」などを開発・提供するソフトウェア会社です(出典:ネオジャパン公式サイト https://www.neo.co.jp/ 、2026年7月22日確認)。スケジュール管理・ワークフロー・掲示板といった、会社の中で毎日使われる業務ソフトが主力です。

この会社の強みは、利用ライセンスやクラウド利用料が積み上がっていくストック型の収益構造にあると私は見ています。ソフトを一度導入した企業は、翌年以降も継続して使い続けることが多く、売上が毎年の契約で積み上がっていきます。仕入れや在庫を持つメーカーや商社と違い、追加の売上に対して原価があまり増えないため、利益率が高く出やすいのが特徴です。実際、営業利益率は2022年1月期の21%台から2026年1月期には30%台まで高まり、営業利益はこの5期で12.5億円から25.0億円へ約2倍に増えています。この利益成長が、優待廃止後の増配(20円→52円)を支えている土台です。

一方で、グループウェアやビジネスチャットは競合の多い分野でもあります。大手IT企業が提供する統合型サービスとの競争や、クラウド移行の進み具合によっては、成長のスピードが鈍る可能性があります。高い利益率とPBR3倍という株価評価は、この成長が続くことを前提にした水準だという点は踏まえておく必要があります。

ネオジャパンの財務・配当・株価指標

数字を1つの表にまとめると次のとおりです(出典:IR BANK ネオジャパン https://irbank.net/3921 、同/dividend、同/results、いずれも2026年7月22日確認)。

指標数値補足
株主資本比率72.99%(2026年1月期)実質無借金に近い厚い財務
営業利益率30.35%(2026年1月期)2022年1月期21.07%から拡大、ストック収益の高採算
営業利益25.0億円(2026年1月期)2022年1月期12.5億円から約2倍
ROE24.8%(予想)高い資本効率
一株配当52円(2026年1月期)2023年1月期20円から3年で約2.6倍
配当性向40.3%(2026年1月期)優待廃止時に掲げた配当集約の方針どおり上昇
株価1,648円(2026年7月22日時点)
PER12.31倍(予想)成長率を踏まえると割高感は薄い
PBR3.05倍解散価値の約3倍、成長株としての評価
予想配当利回り3.28%廃止された優待の代わりに配当で還元

私は特定口座(楽天証券)でネオジャパンを100株保有しています。現在保有している100株の取得単価は1,011円で、含み益は6万円前後です。

こんな人に向く・向かない

ここまでの内容を踏まえると、ネオジャパンは次のような人に向いていると考えています。

  • 優待の有無より、増配の実績と利益成長を本線に据えられる人
  • 営業利益率30%・ROE24%台という、収益力の高いソフトウェア企業を長く持ちたい人
  • 配当を年2回・増配基調で受け取りたい人

逆に、次のような人には向かないと思います。

  • QUOカードなどの優待そのものを目的にしたい人(ネオジャパンの優待は廃止済みです)
  • PBRの低い(指標上割安な)銘柄を好む人(PBR3.05倍で、割安株ではありません)
  • 予想配当利回り4〜5%台の、より利回りの高い高配当株を探している人

私が「売る条件」

優待廃止でも売らなかった私ですが、「持ち続ける理由」だけを並べると自分に都合よく正当化しているだけになりかねません。この連載の第1回で書いたコナカでは、まさにそれをやって9年5ヶ月の塩漬けを経験しました。だから、私がネオジャパンを売る、あるいは株数を減らすと判断する条件もはっきり書いておきます。

  • 営業利益率が30%台から明確に低下し、ストック収益の採算が崩れたとき(グループウェア事業の競争力が落ちたと判断できるとき)
  • 増配が止まり、減配に転じたとき(配当への集約という会社の方針が変わったと読めるとき)
  • 売上の成長が止まり、PBR3倍という株価評価を業績で説明できなくなったとき

逆に言えば、これらが起きていない限り、優待が廃止されたくらいでは売りません。これはあくまで私個人の判断であり、同じ判断をすすめるものではありません。

優待廃止後の今、新規で買うか

結論として、私なら、現在保有していない状態でも100株から検討します。私自身、優待廃止後にむしろ500株まで買い増した経験があるため、「優待がなくても、増配を続ける成長株なら買う」という判断は、当時も今も変わっていません。理由は次の3つです。

  • 営業利益率30%・ROE24%台という、ソフトウェア企業らしい高い収益力
  • 一株配当を20円から52円へ3年で約2.6倍に増やしてきた、優待廃止後の増配実績
  • 実質無借金に近い株主資本比率72.99%という財務の厚さ

一方でリスクは、PBR3.05倍という株価評価が、今後も成長が続くことを前提にしている点です。成長が鈍れば、この評価は重荷になり得ます。優待を目当てにこの株を選ぶ理由はもうありませんが、増配と成長を含めたトータルの株主還元で見るなら、私はいまの水準でも保有する側に立ちます。ただし、これはポートフォリオ全体でソフトウェア・成長株に資金が偏っていないことが前提です。値動きの大きい成長株に資金が集中していると、相場の下落局面で同じリスクを複数銘柄で重複して抱えることになるため、その点は自分の保有全体を見ながら判断すべきだと考えています。

今は資金配分を見直して100株だけの保有ですが、「優待がなくても保有したい会社」という私の評価は変わっていません。なお、これはあくまで私個人の見方であり、買いを止めたりすすめたりするものではありません。

よくある質問

Q. ネオジャパンの株主優待はまだもらえますか? もらえません。2023年3月13日の発表で株主優待は廃止され、2023年1月末を基準とする分が最後になりました。廃止前はQUOカードを年2回(1月末・7月末基準)、100株以上で各500円分・200株以上で各1,000円分もらえましたが、現在は優待はなく、利益還元は配当と機動的な自己株式取得に集約されています。

Q. ネオジャパンの株主優待が復活する可能性はありますか? 現時点で復活を示す会社の開示はありません。ネオジャパンは廃止の際に、利益還元を配当と機動的な自己株式取得に集約する方針を明言しており、その後も増配を続けています。制度は将来変わる可能性がゼロではありませんが、現状は優待ではなく配当で還元する路線が続いています。最新の状況は投資を検討する時点で公式IRをご確認ください。

Q. 優待廃止後、ネオジャパンの配当や株価はどうなりましたか? 一株配当は、優待が残っていた2023年1月期の20円から、2024年1月期23円・2025年1月期40円・2026年1月期52円へと3年で約2.6倍に増えました。2025年1月期からは中間配当も新設されています。私の保有分でみると、取得単価1,011円に対して2026年7月22日時点の株価は1,648円で、結果的に含み益となっています。

まとめ

  • ネオジャパン(3921)の株主優待は、2023年3月13日の発表で廃止。QUOカード年2回(100株500円分・200株1,000円分)で、2023年1月末分が最後だった
  • 廃止理由は、利益還元を配当と機動的な自己株式取得に集約するため。廃止と同時に2024年1月期を3円増配し23円へ
  • 私は優待廃止でも売らず、むしろ一時500株まで買い増した。優待目的で買っていなかったからで、現在は資金配分の見直しで100株を保有
  • 廃止後、一株配当は20円→52円へ3年で約2.6倍に増えた。私の保有分でも取得単価1,011円に対し株価1,648円で結果的に含み益になっている
  • 営業利益率30%・ROE24%台・株主資本比率72.99%という収益力の高いグループウェア企業。PBRは3倍で割安株ではない

なお、本記事は私個人の保有実績と考え方の整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。優待・配当・業績の内容は変わることがあり、最終的な条件や数字は必ずネオジャパンの公式IRでご確認ください。株式投資には価格変動リスクがあり、投資判断はご自身の責任でお願いします。

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このシリーズは今後も、私が保有している(または保有してきた)優待銘柄を1記事1銘柄で取り上げて続けていく予定です。

HIKO

HIKO

保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー

保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。

保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり