保険業界に10年いたあとIT企業に転職した私(FP2級)が、自分の賃貸保険を点検したら、肝心の個人賠償責任の補償がかなり手薄になっていました。
平成時代を生きた30代・川崎市で夫婦二人暮らしのHIKOです。今日、長く入りっぱなしだった賃貸保険を別の会社へ乗り換えました。きっかけは「個人賠償、自分はてっきりどこかでカバーされていると思っていた」という、よくある思い込みです。
この記事は特定の保険商品を推奨するものではなく、私個人が自分の契約をどう点検して、どう判断したかの記録です。最終的な契約判断はご自身の状況に合わせて行ってください。
賃貸保険の個人賠償が「合算1,000万円」だと気づいた
これまで私が入っていたのは、チューリッヒ少額短期保険の「ミニケア賃貸保険」でした。年3,610円。賃貸契約のときに不動産屋経由ではなく自分で選んで入った、わりと意識して選んだつもりの契約です。
中身を改めて見ると、こうなっていました。
| 補償 | 金額 |
|---|---|
| 家財 | 100万円 |
| 借家人賠償(大家さんへの賠償) | 1,000万円 |
| 個人賠償(他人・他人のモノへの賠償) | 1,000万円 |
| 修理費用 | 100万円 |
一見、悪くないように見えます。問題は個人賠償の「1,000万円」の中身でした。
この契約の個人賠償は、借家人賠償と合算で1,000万円が上限という構造だったのです。つまり、火事で大家さんへの賠償が発生した場面と、外出先で他人にケガをさせた場面が、同じ1,000万円の枠を取り合う形になっていました。借家人賠償でいくらか使えば、その分だけ個人賠償に残る枠は減ります。
「個人賠償1,000万円」と書いてあると、それが独立して1,000万円あるように感じますが、実際は別枠ではなかった。ここが最初の気づきでした。
自転車事故で約9,500万円。1,000万円では足りない時代
そもそも個人賠償の1,000万円という数字自体が、今の水準では心もとないと感じます。
個人賠償責任は、日常生活で他人にケガをさせたり、他人のモノを壊したりして法律上の賠償義務を負ったときに備えるものです。自転車での歩行者との事故が代表例で、過去には自転車事故で約9,500万円という高額な賠償命令が出た判例も知られています。
私は車を持っていませんが、自転車には乗ります。水漏れで階下に損害を与えるケースもあります。こうしたリスクに対して、しかも借家人賠償と枠を取り合う1,000万円というのは、正直なところ現代の生活水準に合っていないと判断しました。
「クレカに個人賠償が付いている」は思い込みだった
ここが今回いちばん肝を冷やした部分です。
私は漠然と「クレジットカードに個人賠償くらい無料で付いているだろう」と思っていました。なので賃貸保険の枠が薄くても、どこかで二重三重にカバーされているはず、という油断があったのです。
そこで、家計管理に使っているマネーフォワードのデータと、手元の保険・カードの内容を一通り確認してみました。結果は次のとおりです。
- 加入している生命保険・医療保険に個人賠償の特約は付いていない
- 保有しているクレジットカードにも個人賠償は付いていない
- 賃貸保険の「合算1,000万円」が、わが家で唯一の個人賠償だった
ここで整理しておきたいのが、クレジットカードに自動で付くことが多いのは旅行傷害保険であって、個人賠償ではないという点です。個人賠償責任補償は、原則としてカードに自動付帯はされません。付帯している場合でも、多くは「別途申し込みが必要な有料オプション」だったり、特定の上位カードに限られたりします。
「たぶんカバーされている」と思っていたものが、実は唯一の砦すらギリギリだった。ここで本気で見直すことに決めました。
乗り換え先を選んだ理由(チューリッヒ少短→日新火災)
乗り換え先として選んだのは、日新火災の「お部屋を借りるときの保険」です。価格.com保険アワードの家財部門で連続1位を取っている商品として知られています。
補償を並べると、こうなりました。
| 補償 | チューリッヒ(旧) | 日新火災(新) |
|---|---|---|
| 家財 | 100万円 | 300万円 |
| 借家人賠償 | 1,000万円 | 2,000万円 |
| 個人賠償 | 1,000万円(借家人と合算) | 1億円・別枠・示談交渉付き |
| 修理費用 | 100万円 | 300万円 |
| 年間保険料 | 3,610円 | 6,000円 |
私が決め手にしたのは、金額そのものより「個人賠償1億円・示談交渉サービス付きが、オプションの金額選択ではなく標準で内蔵」されていて、しかも借家人賠償と別枠だったことです。
旧契約の「合算上限」という構造的な弱点が、これでまるごと解消されます。賠償の場面が重なっても、お互いの枠を食い合わない。さらに示談交渉サービスが付いていれば、いざ事故が起きたときに当事者同士で交渉する負担も軽くなります。
念のため書いておくと、これは「日新火災が一番」という話ではありません。私の今の暮らし(車なし・自転車あり・賃貸・夫婦二人)に対して、個人賠償の手薄さという課題に一番素直に効いたのがこの商品だった、というだけです。
保険料の差額を、投資・家計目線でどう判断したか
保険料は年3,610円から6,000円へ、年+2,390円。月にならすと約+200円です。
FP2級・投資目線で固定費を見るクセがあるので、本来この手の値上がりには身構えます。月200円でも年2,390円、20年で約4.8万円ですから、無条件で受け入れる金額ではありません。
ただ今回は、この差額で得られるものがはっきりしていました。
- 個人賠償が「合算1,000万円」→「別枠1億円+示談交渉付き」
- 家財が100万円→300万円(夫婦二人の実勢に近づく)
- 借家人賠償・修理費用も増額
特に個人賠償の部分は、いざ高額賠償が現実になったときに資産形成の前提そのものを吹き飛ばしかねないリスクです。コツコツ積み上げてきたNISAや企業型DCの資産が、一度の賠償で消し飛ぶ。その確率は低くても、起きたときの損失が致命的なら、月200円は「保険料」ではなく「資産を守るコスト」だと整理できました。
固定費は基本的に削る対象ですが、削っていいのは「過剰なもの」だけです。今回はむしろ手薄すぎたので、増やすのが正解でした。安いか高いかではなく、リスクに対して過不足ないかで見る。ここが保険の固定費判断のキモだと改めて思いました。
乗り換えの段取り:先に新契約、後に旧契約停止
実務的に役立つかもしれないので、段取りも残しておきます。地味ですが、ここを間違えると無保険の空白期間ができたり、二重払いになったりします。
旧契約のチューリッヒは「自動継続」型でした。放っておくと満期日に勝手に更新されて、また1年分が課金されます。一方で、何も考えずに先に旧契約を止めてしまうと、新契約が始まるまでの間が無保険になってしまいます。
そこで踏んだ順番はこうです。
- 先に新契約(日新火災)を申し込む。保険の始期を、旧契約の満期日に合わせて指定する
- そのうえで旧契約(チューリッヒ)の継続停止手続きを、自動更新の期限までに行う
この順番なら、保障が途切れません。結果として、新契約の始期が旧契約の満期と半日ほど重なる形になり、無保険の空白はゼロで着地できました。重複といっても半日なので、二重払いの実害もありません。
保険の見直し全般に言えることですが、「解約してから新規」ではなく「新規に入ってから旧契約を止める」が鉄則です。これは生命保険でも医療保険でも同じで、保障の空白を作らないことを最優先にしてください。
まとめ:賃貸保険は「個人賠償」を必ず確認する
今回の見直しで私が学んだことを整理します。
- 賃貸保険の個人賠償は、借家人賠償と「合算上限」になっている契約がある。金額の数字だけでなく、別枠かどうかを確認する
- 個人賠償の1,000万円は、自転車事故などの高額賠償(約9,500万円の判例も)には不足しうる
- クレジットカードに自動付帯されやすいのは旅行傷害保険であって、個人賠償は原則自動付帯されない。「たぶんカバーされている」は危険
- 自分が個人賠償をどこで持っているか、保険・カードを一度棚卸しする
- 見直すなら「新規加入してから旧契約停止」の順番で、保障の空白を作らない
保険は削るのが基本ですが、手薄なところは増やす。安さではなくリスクとの過不足で判断する。これは賃貸保険に限らず、家計の固定費全体に通じる考え方だと思います。
まずは手元の賃貸保険証券を1枚出して、「個人賠償が別枠でいくらあるか」を確認するところから始めてみてください。