この記事は連載「ラスト一押しの株主優待」の第7回です。業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる——そんな順番で保有してきた優待銘柄を1記事1銘柄で紹介している連載です。
アサックス(8772)は、不動産を担保にした融資を専門にしている金融会社です。株主優待としてクオカードがもらえる銘柄で、2021年3月末基準から必要株数が500株に変わりました。私は権利確定月の3月に合わせて500株まで買い増し、2026年もクオカード5,000円分を受け取っています。
この記事の結論 アサックスの優待は、3月末・500株以上の保有でクオカード5,000円分がもらえます(継続保有条件なし)。2019年に100株/2,000円で再開したあと、2020年に500株/5,000円へ変更された経緯があり、小口保有者には改悪、500株以上には拡充という両面の変更でした。優待利回りは1.2%前後で、投資リターンの本体は予想配当利回り2.6%台のほうです。私は権利確定時に500株を保有してクオカードを受け取ったあと、より優先順位の高い投資先に資金を回すため、現在は100株まで株数を調整しています。
なお、この記事にはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、特定銘柄の売買をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
この記事で分かること
- アサックスの優待内容(クオカード・必要株数・権利確定月・継続保有条件)
- 500株を新規で買うといくら必要か
- 2020年の優待変更は改悪か、拡充か(一次資料で確認)
- 優待利回りと配当利回り、どちらが大きいか
- 不動産担保ローンという会社の中身と、財務・配当の実績
- よくある質問(継続保有条件・貸株の扱いなど)
アサックスの株主優待とは?内容と必要株数
アサックスの株主優待は、公式の適時開示で確認すると次のとおりです。毎年3月31日現在で、普通株式500株以上を保有している株主に、クオカード5,000円分が贈られます。権利確定は年1回・3月末のみで、継続保有期間の条件はありません。基準日に500株を持っていれば、保有して間もなくてもクオカードを受け取れます(出典:アサックス「配当予想の修正(増配)及び株主優待制度の変更に関するお知らせ」2020年10月28日開示 https://f.irbank.net/pdf/20201028/140120201027409857.pdf )。
私自身、権利確定日である3月末の時点で500株を保有していたため、2026年もクオカード5,000円分を受け取りました。クオカードは近所のコンビニでの「ちょっとしたご褒美」に使っています。5,000円分を一度に使い切るのではなく、数か月かけて少しずつ使えるので、金額以上に満足感があるというのが正直な実感です。
その後、私はより優先順位の高い投資先に資金を回すため、保有株数を調整し、現在は100株を保有しています。アサックスの優待には継続保有条件がないぶん、株数を減らせば優待の対象からも外れる、というシンプルな設計です。なお、優待の正確な内容・条件は改定されることがあります。実際に確認する際は、必ず公式の開示情報をご自身でご確認ください。
500株を新規で買うといくらかかる?
2026年7月13日時点の株価834円で確認すると、優待の対象になる500株を新規に取得するには約41万7,000円が必要です(出典:IR BANK アサックス https://irbank.net/8772 、2026年7月13日確認)。100株や400株では優待の対象にならないため、優待だけを目的にするなら500株というまとまった金額が前提になる点は、あらかじめ押さえておく必要があります。
アサックスの優待は改悪された?2019年・2020年の変更を一次資料で確認
優待株を検討するときに気になるのが「過去に改悪・廃止はなかったか」だと思います。アサックスの優待には、はっきりした変更の履歴があるので、適時開示のPDF原文で確認した事実を時系列で整理します。
2019年1月29日開示:優待の再開
アサックスは、2009年3月期をもって一度休止していた株主優待を再開しました。このときの内容は、3月末・100株以上の保有でクオカード2,000円分でした(出典:アサックス「株主優待制度の再開に関するお知らせ」2019年1月29日開示 https://f.irbank.net/pdf/20190129/140120190124462897.pdf )。
2020年10月28日開示:500株/5,000円への変更
その後、2020年10月28日に、期末配当の増配(15円→18円)と同時に優待制度の変更が開示されました。内容は、2021年3月末基準から、100株/2,000円分を500株/5,000円分に変更するというものです。会社が挙げている理由は「株主構成の変化やコーポレートガバナンス・コードの株主平等の原則を考慮した、より適切な株主還元」です(出典:アサックス「配当予想の修正(増配)及び株主優待制度の変更に関するお知らせ」2020年10月28日開示 https://f.irbank.net/pdf/20201028/140120201027409857.pdf )。
| — | 変更前(2020年3月末まで) | 変更後(2021年3月末から) |
|---|---|---|
| 必要株数 | 100株以上 | 500株以上 |
| 優待内容 | クオカード2,000円分 | クオカード5,000円分 |
| 継続保有条件 | なし | なし |
この2020年の変更は、改悪と拡充の両面があると私は見ています。改悪の面は、100〜400株の小口保有者が優待の対象から外れたこと。以前は100株で2,000円分がもらえたのが、変更後は500株を持たないと何ももらえなくなりました。一方で拡充の面は、500株以上の保有者にとっては金額が2,000円分から5,000円分に増えたことです。まとまった株数を持つ株主に還元を寄せる方向の見直し、という整理ができます。なお、2020年10月の変更以降、優待の改定を示す新たな開示は見当たらず、現行制度が続いています(今後も変わらないことを保証するものではありません)。
優待利回りと配当利回り、どちらが高い?
2026年7月13日時点の株価834円で優待利回りを単純計算すると、500株(5,000円分)は約1.2%です。500株というまとまった株数が前提になるため、必要資金あたりの優待利回りとしてはそこまで大きくありません。
一方、同時点の予想配当利回りは2.6%台です(出典:IR BANK アサックス https://irbank.net/8772 、2026年7月13日確認)。優待利回り(約1.2%)と比べて、配当利回りのほうが大きい数字です。アサックスでも、投資リターンの本体は配当であり、クオカードの優待はそこに付いてくるおまけという位置づけだと考えています。
一目評価|私の見方
ここまでの内容を、私の主観で5段階評価にまとめると次のとおりです。あくまで私個人の見方であり、投資を推奨するものではありません。
| 項目 | 評価 | 根拠 |
|---|---|---|
| 総合評価 | ★★★★☆ | 優待は500株必須でハードルはあるが、高い利益率と増配基調・低PBRのバランスが良い |
| 優待 | ★★★☆☆ | クオカード5,000円分は使い勝手が良いが、500株必須で優待利回りは約1.2% |
| 配当 | ★★★★☆ | 予想配当利回り2.6%台、一株配当は18円→22円へ段階的に増配 |
| 財務 | ★★★★☆ | 経常利益率が70%前後と高く、株主資本比率も40%台 |
| 割安度 | ★★★★☆ | PER6.7倍前後・PBR0.5倍台と、指標上は割安な水準 |
| 長期保有 | ★★★★☆ | 売上・経常利益とも右肩上がりで、増配を続けている |
アサックスはどんな会社?不動産担保ローンの中身を解説
アサックスは、1969年設立、東京・渋谷に本社を置く、**不動産担保ローンを専門とする金融会社(ノンバンク)**です(出典:アサックス公式サイト「会社概要」 https://www.asax.co.jp/company/ 、2026年7月13日確認)。個人・個人事業主・法人に対して、不動産を担保にした融資を行う事業が柱です。銀行から資金を調達し、それを担保付きで貸し出して金利差で稼ぐ、というシンプルなビジネスモデルです。
経常利益率が66〜70%と非常に高いのは、業績が突出しているというより、金利収入が中心の貸金業という事業構造によるものです。仕入れや在庫を持つメーカーや商社と違い、原価にあたる部分が資金調達コスト中心なので、利益率は高く出ます。不動産を担保に取っているため、貸し倒れが起きても担保処分で回収しやすい設計になっている点が、この会社の収益の安定性につながっていると私は見ています。
一方で、金融業である以上、不動産市況の悪化や金利上昇による調達コストの増加、貸出残高の伸び悩みといったリスクは常にあります。担保価値が下がる局面では、収益にも影響が出やすい事業だという点は踏まえておく必要があります。
アサックスの財務・配当・株価指標
数字を1つの表にまとめると次のとおりです(出典:IR BANK アサックス https://irbank.net/8772 、同/kessan、同/dividend、いずれも2026年7月13日確認)。
| 指標 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| 株主資本比率 | 40.55% | 銀行から調達して貸し出す業態としては厚めの水準 |
| 経常利益率 | 66.3%(2026年3月期) | 金利収入が中心の貸金業で構造的に高い |
| 経常利益 | 60.8億円(2026年3月期) | 2022年3月期38.7億円から5年で約1.5倍 |
| ROE(予想) | 7.8% | 大きくはないが安定して黒字を積み上げている |
| 一株配当 | 22円(2026年3月期) | 2021年18円から段階的に増配 |
| 配当性向 | 18.4%(2026年3月期) | 会社は配当性向20%以上を目安。利益成長で数字は低下傾向 |
| 株価 | 834円(2026年7月13日時点) | — |
| PER | 6.68倍(予想) | 指標上は割安な水準 |
| PBR | 0.52倍 | 解散価値の半分程度の評価 |
| 予想配当利回り | 2.6%台 | 優待利回り(約1.2%)を上回る |
配当は、2021年3月期18円・2022年18円・2023年18円・2024年20円・2025年20円・2026年22円と、段階的に引き上げられてきています。配当性向は20%前後を目安にしつつ、利益成長のぶん実際の性向はやや低下しています。
こんな人に向く・向かない
ここまでの内容を踏まえると、アサックスは次のような人に向いていると考えています。
- クオカードの優待は「おまけ」と割り切り、高い利益率と増配基調・低PBRを本線に据えられる人
- 500株というまとまった株数を、腰を据えて長く持てる人
- 予想配当利回り2%台後半を、割安な指標の会社で取りにいきたい人
逆に、次のような人には向かないと思います。
- 少額(100〜400株)で優待をもらいたい人(500株未満は対象外です)
- 優待利回りの高さそのものを重視する人(約1.2%と大きくありません)
- 金融業・不動産市況に連動するリスクを取りたくない人
私が「売る条件」
私がアサックスを持ったのは、増配基調が続いていたことと、他の銘柄とのバランスを見ても当時は資金に余力があったこと、という2点が決め手でした。
ただし、「持ち続ける理由」だけを並べると自分に都合よく正当化しているだけになりかねません。この連載の第1回で書いたコナカでは、まさにそれをやって9年5ヶ月の塩漬けを経験しました。だから、私がアサックスを売る、あるいは株数を減らすと判断する条件もはっきり書いておきます。
- 経常利益の増加が止まり、貸出残高が伸びなくなったとき(不動産担保ローンの残高拡大というこの会社の成長エンジンが止まったと判断できるとき)
- 段階的な増配が止まり、減配に転じたとき
- 不動産市況の悪化で担保割れや貸し倒れが増え、経常利益率が明確に下がり始めたとき
実際、私は権利取得後に、これらの悪材料が出たからではなく、より優先順位の高い投資先に資金を回すという判断で、500株から100株に株数を調整しました。会社としての評価が下がったから減らしたわけではありません。これはあくまで私個人の判断であり、同じ判断をすすめるものではありません。
今の株価で新規に買うか
現時点で私自身は資金を他銘柄へ回しているため買い増しはしませんが、もし新規で保有していない状態なら、今でも配当株として候補に検討する銘柄です。優待は「おまけ」という位置づけです。
理由は次の3つです。
- 経常利益が5年で約1.5倍に伸びている事業の土台(不動産担保ローンの残高拡大)
- 一株配当を18円から22円へ段階的に引き上げてきた増配の実績
- PER6.7倍前後・PBR0.5倍台という、指標上は割安な評価
一方でリスクとして、金融業である以上、不動産市況の悪化や金利上昇の影響を受けやすい点は踏まえておく必要があります。なお、これはあくまで私個人の見方であり、ポートフォリオ全体で金融・不動産関連株が集中していないことが前提です。買いを止めたりすすめたりするものではありません。
よくある質問
Q. 優待をもらうには、いつまでに何株買えばいいですか? 基準日は毎年3月31日です。この時点で500株以上を保有していれば、クオカード5,000円分の対象になります。継続保有の条件はないため、基準日に間に合うように500株を保有していれば、買って間もなくても対象になります。
Q. 100株や400株では優待はもらえませんか? もらえません。2021年3月末基準からは500株以上が条件です。それ以前(2019〜2020年)は100株/2,000円分でしたが、2020年10月の変更で500株/5,000円分に切り替わっています。
Q. 貸株サービスを使うと優待はもらえますか? アサックスの優待には継続保有年数の条件がないため、基準日に必要株数を保有している状態が重要です。貸株中は株主名義が変わり、基準日に自分の名義で株を保有していない扱いになる可能性があります。取り扱いの詳細は、利用している証券会社にご確認ください。
まとめ
- アサックス(8772)の株主優待は、3月末・500株以上の保有でもらえるクオカード5,000円分。継続保有条件はなし
- 2019年に100株/2,000円分で再開したあと、2020年10月の開示で500株/5,000円分に変更。小口保有者には改悪、500株以上には拡充という両面の変更だった
- 優待利回りは約1.2%にとどまるが、予想配当利回りは2.6%台で、投資リターンの本体は配当
- 不動産担保ローンを専門とする金融会社で、経常利益率は70%前後と高く、経常利益は5年で約1.5倍、一株配当も18円→22円へ増配
- 私は権利確定時に500株を保有してクオカードを受け取ったあと、より優先順位の高い投資先に資金を回すため、現在は100株に株数を調整している
なお、本記事は私個人の保有実績と考え方の整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。優待・配当・業績の内容は変わることがあり、最終的な条件や数字は必ずアサックスの公式開示でご確認ください。株式投資には価格変動リスクがあり、投資判断はご自身の責任でお願いします。
個別株・優待の管理方法|私は楽天証券1つにまとめている
優待株は「優待・配当・含み損益・保有株数」を継続的に点検する必要があります。私は、こうした優待株もNISAも2015年から楽天証券の1つの口座にまとめて管理しています。優待・配当・含み損益を1画面で点検できるのは、11年使ってきた実感として地味に効いています。
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連載「ラスト一押しの株主優待」
業績・財務で持ちたいと判断した会社に、優待が「最後のひと押し」として付いてくる、という順番で私が保有してきた優待銘柄を1記事1銘柄で紹介しているシリーズです。
- 第1回:コナカと巴工業——優待で買って失敗した株と、業績で買って優待がついてきた株
- 第2回:KDDI(9433)の優待変更と、それでも持ち続けている理由
- 第3回:松風(7979)の優待変更と、それでも持ち続けている理由
- 第4回:木徳神糧(2700)のお米の優待と、薄利のコメ卸を持ち続けている理由
- 第5回:ニチリン(5184)のクオカード優待と、財務が厚い会社を持ち続けている理由
- 第6回:ラクト・ジャパン(3139)の食品カタログ優待と、アジア展開する食品商社を持ち続けている理由
- 第7回:アサックス(8772)のクオカード優待と、不動産担保ローンで稼ぐ会社の中身(本記事)
このシリーズは今後も、私が保有している(または保有してきた)優待銘柄を1記事1銘柄で取り上げて続けていく予定です。