年収300万円代から資産形成をスタートした30代会社員のHIKOです。投資歴は11年(2015年NISAスタート)。保険業界で10年働いたあと、今はIT企業で会社員をしています。旧NISAの10年を振り返るといろいろ失敗していますが、今回はその中でも一番の「黒歴史」、毎月分配型投信を一気に16本以上買ってしまった話をします。遠回りしたからこそ言える「やらなくていい失敗」の実例として読んでもらえたら嬉しいです。
結論を先に書きます。
2015年に旧NISAで毎月分配型投信を17本まとめて買い、2年間保有した結果、
- 投入元本:1,029,926円
- 解約で戻ってきた金額:778,933円
- 受取分配金(税引後・2年強の累計):約29,640円
- 実質の損益:約▲221,000円(非課税枠103万円を使って約22万円失った)
という、旧NISAで一番やってはいけない使い方をやり切ったのが僕です。以下、楽天証券の取引履歴CSVから全17本分の確定損益を洗い出して振り返ります。
2015年、僕は毎月分配型投信を16本買った
今振り返ると、自分でも意味がわかりません。
2015年、旧NISAを始めた直後の僕は、毎月分配型の投資信託を16本以上、同時に旧NISA口座で買っていました。正確に数え直すと17本あります。金額としては枠100万円のうちの大半(約103万円)をそれに充てていました。
楽天証券の取引履歴CSV(adjusthistory(JP)_20260423)で確認した、購入したファンドのフルラインナップがこちらです。
- 日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)
- グローバル・リート・トリプル・プレミアム・ファンド(毎月分配型)
- 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型
- 日本株ハイインカム(毎月分配型)ブラジルレアルコース
- 日本株ハイインカム(毎月分配型)円コース
- 好配当グローバルREITプレミアム・ファンド 通貨セレクトコース(トリプルストラテジー)
- ニッセイブラジル高配当株ファンド(毎月決算型)
- ニッセイ パトナム・毎月分配インカムオープン
- アジア・エクイティ・インカム・ツインα・ファンド(毎月分配型)
- MHAMトリニティオープン(毎月決算型)(ファンド3兄弟)
- T&D 世界優良株ファンド(毎月決算型)(プライムコレクション)
- 国際オーストラリア債券オープン(毎月決算型)
- 明治安田日本債券ファンド(ホワイトウィング)
- 三井住友・げんきシニアライフ・オープン
- グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(健次)
- ニッセイ 健康応援ファンド
- DIAM DLIBJ公社債オープン(中期コース)
……改めて書き出すと、完全に「毎月分配型投信の闇セット」です。ブラジルレアル、トルコリラ的通貨選択、トリプルエンジン、ファンド3兄弟。ひと昔前の『毎月おこづかい系投信』の典型が全部入っています。
これを、よりにもよって非課税の旧NISA枠を使って買っていました。ここが一番の失敗です。
なぜ毎月分配型を買ってしまったのか
2015年当時、僕が毎月分配型に惹かれた理由は、今思えばシンプルでした。
- 「毎月お金が振り込まれる」という響きに弱かった
- 分配金利回り10%超の表記を見て『NISAで非課税なら最強じゃん』と思った
- 銀行や証券会社の売れ筋ランキング上位だった
- 商品名がカッコいい(トリプルエンジン、ツインα、ファンド3兄弟)
ほぼ完全に、見た目と響きだけで選んでいました。
20代の僕は、投資を「毎月の副収入」のように考えていました。給料とは別に毎月1万円、2万円が振り込まれる口座がある、という絵を本気で描いていた。お金の本を何冊か読んでいたはずなのに、「毎月分配型は元本取り崩し」という最重要の注意点が、なぜかスポッと抜け落ちていました。
2年保有した結果:受取累計は約29,640円
実際どうだったか。楽天証券のCSVで、2015年5月から2017年7月までの分配金受取額を年次で集計するとこうなります。
3年分合わせて、受取累計は約29,640円。
桁を間違えていません。3万円弱です。17本を旧NISA枠の大半で買って、2年強保有して、手元に入ってきた分配金が3万円弱。
しかもこの数字には、後述する「基準価額の下落=評価損」がまったく反映されていません。
本当の衝撃:「受取0円」のファンドが続出した
CSVをファンド別に集計していて、一番手が止まった事実がこれです。
| ファンド名 | 税引前分配金合計 | 実際の受取金額 |
|---|---|---|
| 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型 | 21,274円 | 0円 |
| ニッセイ パトナム・毎月分配インカムオープン | 20,966円 | 0円 |
| MHAMトリニティオープン(毎月決算型) | 20,064円 | 0円 |
| ニッセイブラジル高配当株ファンド(毎月決算型) | 17,765円 | 0円 |
| 国際オーストラリア債券オープン(毎月決算型) | 12,160円 | 0円 |
| 好配当グローバルREITプレミアム通貨セレクトコース | 11,044円 | 0円 |
| T&D 世界優良株ファンド(毎月決算型) | 9,120円 | 0円 |
| 日本株ハイインカム(毎月分配型)円コース | 7,900円 | 0円 |
税引前では毎月ちゃんと分配金が計算されているのに、受取金額は全部0円。
これ、なんで0円になっているかというと、**元本払戻金(特別分配金)**として処理されているからです。
要するにこうです。
ファンドが本来稼いだ利益から払った分配金ではなく、 僕が投資した元本(10万円・20万円)をそのまま毎月少しずつ返してもらっていただけ。
自分の財布から自分の財布にお金を移していた、というのが正確な表現です。これが俗に言う「タコ足分配」。自分の足を食べて生きるタコみたいに、ファンドが自分の基準価額を削って分配金を出していたわけです。
一番衝撃的だったのは、旧NISAで買った意味がまったくないという点です。
旧NISAの最大のメリットは「配当・分配金への課税20.315%が非課税になる」こと。でも元本払戻金はそもそも非課税なんです。税金がかからないお金を、貴重な年間100万円のNISA枠で受け取っていた。この時点で旧NISAの使い方として完全に破綻しています。
取引履歴CSVで確定:購入103万円→解約78万円、実現損益▲25万円
ここまで「分配金がいくらもらえたか」の話でしたが、本当のダメージは基準価額の下落=評価損のほうです。
以前この記事を書いたときは、当時の正確な%を再現できず「数十%単位で下落した印象」としか書けませんでした。今回、取引履歴CSV(adjusthistory(JP)_20260423)で購入金額と解約金額をファンド別に突き合わせ、全17本の確定損益を出すことができたので、そのまま公開します。
全17本の購入・解約・損益一覧
| ファンド名 | 購入(円) | 解約(円) | 実現損益(円) |
|---|---|---|---|
| 日本株アルファ・カルテット(毎月分配型) | 199,653 | 111,072 | -88,581 |
| 三井住友・げんきシニアライフ・オープン | 149,917 | 159,308 | +9,391 |
| グローバル・リート・トリプル・プレミアム(毎月分配型) | 146,194 | 83,959 | -62,235 |
| ニッセイ 健康応援ファンド | 104,233 | 103,798 | -435 |
| グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(健次) | 65,050 | 58,528 | -6,522 |
| 日本株ハイインカム(毎月分配型)ブラジルレアルコース | 60,000 | 21,603 | -38,397 |
| アジア・エクイティ・インカム・ツインα(毎月分配型) | 50,000 | 26,474 | -23,526 |
| 国際オーストラリア債券オープン(毎月決算型) | 50,000 | 38,222 | -11,778 |
| T&D 世界優良株ファンド(毎月決算型) | 50,000 | 42,616 | -7,384 |
| ニッセイブラジル高配当株ファンド(毎月決算型) | 50,000 | 41,135 | -8,865 |
| 明治安田日本債券ファンド(ホワイトウィング) | 30,044 | 29,347 | -697 |
| DIAM DLIBJ公社債オープン(中期コース) | 24,835 | 24,864 | +29 |
| 好配当グローバルREITプレミアム 通貨セレクトコース | 10,000 | 6,082 | -3,918 |
| MHAMトリニティオープン(ファンド3兄弟) | 10,000 | 9,328 | -672 |
| ニッセイ パトナム・毎月分配インカムオープン | 10,000 | 8,630 | -1,370 |
| 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル) | 10,000 | 6,373 | -3,627 |
| 日本株ハイインカム(毎月分配型)円コース | 10,000 | 7,594 | -2,406 |
| 合計(17本) | 1,029,926 | 778,933 | -250,993 |
投入した103万円が、78万円になって戻ってきた。 確定損失は▲250,993円、率にして**約▲24.4%**です。
ワーストTOP5
損失額の大きかった順に5本並べると、この記事で語るべき「犯人」がはっきり見えてきます。
1位の日本株アルファ・カルテットだけで▲88,581円。1本で僕の損失の3分の1を作っています。これは当時「日本株でも毎月分配!」という売り文句に乗って一番大きな金額を突っ込んでしまったファンドでした。
2位のグローバル・リート・トリプル・プレミアムは▲62,235円。REIT×通貨選択×オプションという「三階建て」の典型で、リスクを重ねた結果どこかが折れれば基準価額が一気に下がる、教科書どおりの挙動をしました。
ブラジルレアル・通貨選択型は軒並み壊滅
個別のファンドを率で見ると、通貨選択型・新興国通貨系の壊れ方が別次元だったことが分かります。
- 日本株ハイインカム(ブラジルレアルコース):元本の64%が消えた(60,000円→21,603円)
- アジア・エクイティ・インカム・ツインα:▲47%(50,000円→26,474円)
- 好配当グローバルREITプレミアム 通貨セレクト:▲39%(10,000円→6,082円)
- 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル):▲36%(10,000円→6,373円)
「高い分配金利回り」の裏で、通貨も新興国も毎年じわじわ下がっていた。分配金で毎月数千円もらいながら、基準価額で毎月1万円以上失っていたわけです。
2〜3年持てば誰でもマイナスになる商品設計だったと、今なら分かります。
意外な発見:プラスだったのは「げんきシニアライフ」だけ
全17本の損益表を作っていて、自分でも「ほう」と思った発見があります。
実現損益がプラスだったのは、17本中たった1本。
- 三井住友・げんきシニアライフ・オープン:+9,391円(149,917円→159,308円、+6.3%)
それ以外にも、ダメージが小さかった(ほぼトントンで済んだ)ファンドがいくつかあります。
- DIAM DLIBJ公社債オープン(中期コース):+29円
- ニッセイ 健康応援ファンド:▲435円
- 明治安田日本債券ファンド(ホワイトウィング):▲697円
- MHAMトリニティオープン(ファンド3兄弟):▲672円
- ニッセイ パトナム・毎月分配インカムオープン:▲1,370円
ここから読み取れるのは、
- 唯一のプラス組:国内ディフェンシブ株(シニア向け内需)
- 傷が浅い組:国内債券系、国内ヘルスケア、ほぼ値動きしないMMF的ファンド
- 壊滅組:新興国通貨・通貨選択・三階建てREIT・高配当ブラジル
という、きれいな相関です。
副次的な学びとして、毎月分配型を全否定するのではなく、「通貨選択・新興国・トリプル系は構造的に壊れる」と言うほうが正確だと思っています。国内債券や内需ディフェンシブの毎月分配は、商品としての負けは小さかった。
ただし、繰り返しですが──国内債券だろうとディフェンシブだろうと、非課税枠で保有する意味はゼロです。元本払戻金は課税されないし、複利も効かないので、NISA口座で毎月分配型を持つメリットは構造上存在しません。
2017年、全部解約した
さすがに2年保有してこの有様だと、解約するしかありません。
2017年2月〜7月にかけて、僕は毎月分配型投信を順次解約していきました。取引履歴CSV上、2017年7月24日の最後の解約で、投資信託カテゴリの保有はゼロになりました。
確定した数字はこうです。
- 解約総額:778,933円
- 実現損益:▲250,993円
- 受取分配金(税引後):+29,640円
- 差し引きの実質損益:約▲221,353円
非課税枠103万円を使って、約22万円失った。 しかもこの損は旧NISA口座なので、損益通算すらできません。非課税制度の裏返しとして、損が出ても他の利益と相殺できないのが旧NISAの仕組みです。
毎月おこづかい幻想のツケを、ほぼそのまま払った形でした。
なぜ毎月分配型を勧めない3つの理由(やって気づいた)
この2年の経験を経て、毎月分配型を「やめとけ」と言える理由が3つあります。
理由1:NISAとの相性が最悪
旧NISAも新NISAも、非課税メリットの核は「利益にかかる税金20.315%がゼロになる」こと。
ところが毎月分配型の分配金の多くは、元本払戻金(特別分配金)として処理され、そもそも課税対象外です。つまり非課税制度の恩恵をゼロにするタイプの商品。非課税枠の無駄遣いの典型です。
NISAで毎月分配型を買うことを、僕は「税金の優遇席を、タダで入れる席のために予約で潰す」行為だと思っています。
理由2:複利が効かない
投資で一番強いのは、利益を再投資して雪だるま式に増やす「複利」です。
ところが毎月分配型は、仕組み上分配金が毎月出ていってしまう。資産が増える前に、本体から毎月こそげ落としている状態です。
同じ信託財産を持っていても、分配を再投資する商品と、毎月払い出す商品では、10年20年のスパンで雲泥の差がつきます。だから今、つみたて投資枠でオルカンのような「分配金なし=全部再投資」の投信を選ぶのが王道なんです。
理由3:信託報酬が高い
毎月分配型の多くは、通貨選択・二階建て・オプション・新興国高配当など、複雑な仕組みを背景にしていて、信託報酬(年1.5〜2%前後)が非常に高い傾向があります。
一方、オルカンは年0.05775%、VYMは年0.06%。桁が2つ違うレベルで、長期保有すればするほど効いてきます。
高い手数料を払って、元本を取り崩した分配金を『配当』だと思って喜ぶというのが、毎月分配型のリアルです。
今ならどう判断するか
2026年の今、もし20代の自分にアドバイスできるなら、一言で済みます。
「毎月分配型の投信は、商品名がカッコよくても全部スルー」
そして代わりに、こう伝えます。
- つみたて投資枠はオルカン一択で毎月積立。分配金なし=全部再投資で複利が効く
- 成長投資枠は米国高配当ETF(VYM等)か、インデックスETF。年に数回の分配でOK、信託報酬が極小
- 分配金が「毎月」という時点で、運用コストが高く、再投資効率が低い商品だと疑う
- 「毎月お金が振り込まれる」系の商品に手を出すのは、50代以降で退職金を取り崩しフェーズに入ってから検討すればいい
もう一つ重要な教訓があります。
本当の配当は、個別株とETFでじっくり積み上げた方がはるかに効率がいい。 この結論は、旧NISA10年の配当実績を数字で振り返ったときに改めて腹落ちしました。
→ 旧NISA 10年で配当90万円を実現した銘柄構成と年次推移【楽天証券CSVを元に集計】
10年で税引後90万円の配当を積み上げたのは、毎月分配型ではなく、個別株(JT・ソフトバンク・日本郵政)と米国高配当ETF(VYM)でした。毎月分配型投信17本で受け取ったのは、そのうちの3%(約3万円)にすぎません。
まとめ:毎月分配型は僕の投資人生で最大の無駄打ち
旧NISAの失敗はいくつもありますが、「買える金額で個別株を選んだ」「小型株で損切りした」ような失敗は、まだ経験として意味がありました。銘柄選定・売買タイミングの学びは得られた。
一方、毎月分配型投信17本は学びが少ない割に、非課税枠を一番浪費した失敗でした。数字で締めます。
- 毎月分配型投信を17本まとめ買い、投入元本1,029,926円
- 受取累計は約29,640円(税引後・2年強)
- 税引前ベースで20,000円超のファンドも「受取0円」=タコ足分配
- 2017年2月〜7月に順次全解約、解約総額778,933円
- 実現損益**▲250,993円**、分配金を含めても実質約▲22万円
- 非課税枠103万円を使って、22万円失った
- 旧NISAなので損益通算も不可
書いていて胸が痛みますが、この失敗があったからこそ、今はオルカン+VYMというシンプルな組み合わせに落ち着いています。
これから新NISAで投資を始める人は、**「毎月」「通貨選択」「トリプル」「プレミアム」「ハイインカム」**あたりのキーワードがついた投信は、全部スルーで大丈夫です。
これから新NISAを始める人へ
- つみたて投資枠:迷うならオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)
- 成長投資枠:米国高配当ETF(VYM)かインデックスETF
- 分配金が「毎月」の商品は一律スルー
- 口座はまだの人は、まず無料開設から
→ 新NISAを30代で始める方法【初心者が最初にやること5ステップ】
→ オルカンで積み立てよう!投資初心者が今すぐ始めるべき理由【30代向け】
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※本記事は私個人の運用実績をもとにした体験談です。特定のファンドを批判する意図はなく、制度の仕組み上NISA口座との相性が悪いという観点で書いています。投資判断は自己責任でお願いします。