年収300万円代から資産形成をスタートした30代会社員のHIKOです。投資歴は11年(2015年NISAスタート)。保険業界で10年働いたあと、今はIT企業で会社員をしています。遠回りしたからこそ言える「やらなくていい失敗」を30代のリアル目線で発信しています。今回は、2015年に旧NISAで買って2年後に全部解約した毎月分配型投信17本が、解約から10年経った今どうなっているのかを一本ずつ追跡した話です。
先にこの記事の立ち位置を書いておきます。
2015年に旧NISAで毎月分配型投信を17本まとめ買いして、2017年に全解約し▲25万円を確定した話は、先に公開したこちらの記事で全貌を書きました。
→ 旧NISAで毎月分配型投信に16本も手を出した失敗談|2015年の私が陥った「毎月おこづかい幻想」
今回の記事は、その続編というか、「自分が解約したあとの17本の行方」を2026年4月時点で全部追いかけた、という内容です。
なぜ今さら調べたかというと、「もしあのとき解約せずにホールドしていたら、今どうなっていたんだろう」という素朴な疑問があったからです。10年ってそれなりの期間で、当時20代だった僕が30代になる時間幅です。ファンドの運命もそれなりに動いていました。
先に結論だけ書きます。
- 17本中、6本はすでに償還済み(=運用終了・強制現金化)
- 17本中、10本は2026年4月現在も運用継続中
- 17本中、1本は同名で追跡できず(リネームor統合の可能性)
率にすると 17本中6本(35%)が10年以内に消滅=「3本に1本は強制終了」 という結果でした。
**「買った投信そのものが消える」**というのが、毎月分配型の地味だけど一番重い構造リスクだと今は思っています。以下、1本ずつ見ていきます。
17本の10年後マップ(2026年4月時点)
先にサマリを1枚で見せます。
17本中6本(35%)が10年以内に消滅=「3本に1本は強制終了」。これが、10年追いかけてみて一番インパクトが大きかった数字です。
たとえば償還済みの1本「アジア・エクイティ・インカム・ツインα(毎月分配型)」は、当時の運用会社(国際投信投資顧問、現:三菱UFJアセットマネジメント)が発行した臨時報告書・繰上償還のお知らせPDFで、2020年8月11日に純資産総額の減少を理由に繰上償還と確認しました。このように「どの会社のどの書類で確認したか」を1本ずつ突き合わせていく作業です。
株と違って、投信の「償還」は自分の意思と関係なく訪れます。運用会社が「このファンドはもう維持できない」と判断したら、持っているかどうかに関わらず運用終了=基準価額で強制現金化されます。損切りタイミングすら自分で選べないということです。
① すでに償還済み(6本)
まず、消えていった6本から。
1. グローバル・リート・トリプル・プレミアム・ファンド(毎月分配型)
- 2024年12月17日、満期償還
- 設定日から運用期間を決め打ちしている「償還日設定型」で、満期まで持って終了したタイプ
僕がこの記事の前編で「ワースト2位 ▲62,235円」とした張本人です。三階建てREITの典型で、通貨選択・オプションを重ねた商品設計でした。満期日が決まっていたおかげで、持ち続けた人も「いつ終わるか」は見えていた分、繰上償還よりは筋が通った終わり方だったと思います。
2. 日本株ハイインカム(毎月分配型)ブラジルレアルコース
- 2017年12月22日、償還
僕が解約した2017年7月から、わずか5ヶ月後です。同じコースの「円コース」も同日に償還されています。
ブラジルレアルが長期下落トレンドに入っていた時期で、分配金利回りを演出するために通貨ベットを乗せる商品は、通貨が崩れた時点で存在意義を失います。購入者としては「買って2年半で投信そのものが消えた」というレア体験。もし解約していなかったら、強制現金化で損失が確定していた形です。
3. アジア・エクイティ・インカム・ツインα(毎月分配型)
- 2020年8月11日、繰上償還
- こちらは「繰上償還」なので、当初の運用予定期間より前倒しで終了したタイプ
僕が前編で「ワースト4位 ▲23,526円」としていたファンドです。高配当アジア株にオプションプレミアム戦略(ツインα)を乗せるという、これも凝った商品。繰上償還に至った背景は運用報告書を読む限り、純資産総額が維持ラインを下回ったためと推察できます。
繰上償還の怖さは、投資家が「もう少し待てば回復するかも」と思っていても、運用会社が見切りをつけると問答無用で終わらせられることです。
4. ニッセイブラジル高配当株ファンド(毎月決算型)
- 2021年9月28日、償還
ブラジルレアル系がこれで2本目の退場。2015〜2020年代前半にかけてブラジル関連ファンドはかなりの数が償還されていて、このファンドもその一つでした。
5. 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)
- 2025年8月15日、満期償還
設定当初からの償還日設定型で、10年ほど運用して満期を迎えた形。ただし「トリプルエンジン」というネーミングの通り、米国REIT × 通貨選択(レアル)× 何らかのブースト戦略、の三階建てで、満期まで持った投資家の手元にどれだけ残ったかは想像したくないタイプです。
6. 日本株ハイインカム(毎月分配型)円コース
- 2017年12月22日、償還
ブラジルレアルコースと同日償還。つまり「日本株ハイインカム」のシリーズ自体が2017年末に終わっています。僕が買った17本のうち2本がほぼ同じタイミングで消えたことになります。
② 2026年4月時点で運用継続中(10本)
次に、今も生き残っている10本です。「生き残っている」=「良い投信」ではないことに注意してください。10年走って基準価額が回復しきれていないファンドも多いです。
1. 日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)
- 信託期間:〜2029年3月5日
- 前編で「ワースト1位 ▲88,581円」だった張本人
僕の損失のうち3分の1を作ったファンドですが、10年経ってもまだ運用継続中。信託期間は2029年3月まで設定されているので、あと3年近く残っています。
このファンドは4資産(日本株・日本REIT・米ドル建て債券・豪ドル建て債券)に分散しつつ、毎月分配するという設計で、要するに「4つの資産から毎月少しずつ取り崩して分配する」構造でした。複利が積み上がらない典型例です。
2. 三井住友・げんきシニアライフ・オープン
- 無期限(償還日設定なし)
- 前編で「唯一プラスだった +9,391円」のファンド
国内ディフェンシブ(シニア関連)に投資する内需株ファンドで、無期限運用。毎月分配型の中では商品設計が比較的素直で、通貨選択やオプションといったレバレッジを重ねていないぶん、大崩れしにくかったのだと思います。10年後も残っているのは頷けます。
3. ニッセイ 健康応援ファンド
- 運用継続中
健康関連テーマの国内株ファンド。前編では僕が保有2年で▲435円とほぼトントン。大きく負けなかった分、大きく勝つ性格でもなく、運用は細々と続いている印象です。
4. グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(健次)
- 運用継続中
いわゆる「健次ファンド」。ヘルスケア・バイオは長期テーマとして一定の需要があり、残っています。
5. T&D 世界優良株ファンド(毎月決算型)
- 運用継続中
- 前編で「受取0円(全部特別分配金)」だったファンド
僕が持っていた2年間、税引前では分配金が計算されていたのに、実際の受取は全額0円でした。全部元本払戻金(特別分配金)という、タコ足分配の教科書的な例。今も運用継続中ですが、構造上「分配金を払うために基準価額を削る」モデルだった点は変わりません。
6. 明治安田日本債券ファンド(ホワイトウィング)
- 無期限
国内債券ファンド。そもそも日本の債券が原資なので大きくは動きません。前編でも▲697円でほぼ横ばいでした。こういう「動かないファンド」は、動かないからこそ運用継続できる、というジレンマがあります。
7. DLIBJ公社債オープン(中期コース)
- 運用継続中
いわゆる安定型の国内債券・MMF的ファンド。前編で+29円だった、ほぼ元本維持型。10年経っても運用継続中なのは妥当です。
8. 好配当グローバルREITプレミアム 通貨セレクトコース
- 信託期間:〜2027年12月16日
- 前編で「▲39%、通貨選択が崩れた典型」のファンド
信託期間が2027年12月までと決まっているので、残り1年半ほどで満期償還予定。前編では率ベースで▲39%の下落を出していたので、満期まで持った投資家がどこで回復できたかは気になるところですが、通貨選択型は10年でも戻らないケースが大半です。
9. MHAMトリニティオープン(ファンド3兄弟)
- 無期限
ネーミングの勝利で買ってしまったファンド。3資産(国内株・海外株・海外債券)に分散する設計で、前編で▲672円と傷は浅かったタイプ。無期限運用なので今後もしばらくは存続すると思われます。
10. ニッセイ/パトナム・毎月分配インカムオープン
- 運用継続中
- 前編で「受取0円(全部特別分配金)」だったファンド
T&D世界優良株と同じく、僕が持っていた時期は実質的に元本の取り崩しで分配金を演出していたタイプ。運用継続中ですが、構造は同じままです。
③ 追跡不能(1本)
最後に、10年後に同名で追跡できなかった1本です。
国際オーストラリア債券オープン(毎月決算型)
- 2026年4月現在、同名のファンドを各運用会社の現行商品ラインナップで特定できず
- 運用会社の統廃合・商品リブランドに伴うリネーム or 別ファンドへの統合が起きた可能性が高い
「国際投信投資顧問」は過去にいくつかの運用会社が関わっていて、業界再編の中でブランドが変わったり商品が他ファンドに吸収されたりすることがあります。このファンドも、その流れの中で名前を変えたのだと推測していますが、断言できる情報にはたどり着けませんでした。
購入者目線で見ると、**「自分が買った投信が、気づいたら別の名前で運用されている」**もあり得るということ。これも地味に怖い話です。
この追跡調査で改めて思った3つのこと
10年後の17本を一本ずつ追いかけていて、買っていた当時の自分が気づけなかったことが3つあります。
気づき1:毎月分配型の「最大のリスクは償還」
2015年に僕が意識していた毎月分配型のリスクは、
- 基準価額が下がるかもしれない
- 分配金が減額されるかもしれない
- 特別分配金で元本が取り崩されるかもしれない
この3つでした。ところが10年経って一番刺さったのは、
ファンドそのものが消滅する
という構造リスクです。17本中6本、35%が10年以内に終わっていた。株ならどんなに下げても持ち続ける選択肢が残りますが、投信は運用会社の都合で運用終了になったら、そこで強制的に損益確定です。
損切りタイミングを自分で選べない商品を、非課税枠で買うべきではなかった。ここが一番の反省点です。
気づき2:新興国通貨系は償還率が特に高かった
今回償還済みの6本のうち、
- 日本株ハイインカム ブラジルレアルコース
- 日本株ハイインカム 円コース
- ニッセイブラジル高配当株ファンド
- 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)
- アジア・エクイティ・インカム・ツインα
- グローバル・リート・トリプル・プレミアム
このうち5本は、新興国通貨選択型 or 三階建て型でした。通貨ベットを重ねた商品ほど、短命に終わるという相関がはっきり出ています。
純資産総額が一定ラインを割ると繰上償還のリスクが高まる仕組み上、「魅力が薄れた商品から順に消えていく」のは自然な流れです。購入時に「信託期間を有期で区切っていないか」「純資産総額がどれぐらい安定しているか」を見るクセは、今なら絶対につけます。
気づき3:解約しておいて正解だった
最後に、これは正直ホッとした話。
もし僕が2017年に解約していなかったら、
- 2017年12月:日本株ハイインカム2本が償還で強制現金化
- 2020年8月:ツインαが繰上償還で強制現金化
- 2021年9月:ニッセイブラジル高配当株が償還で強制現金化
- 2024年12月:トリプル・プレミアムが満期償還で強制現金化
- 2025年8月:楽天USリート・トリプルエンジンが満期償還で強制現金化
と、5本は10年以内に勝手に現金化されていました。つまり「10年塩漬けで粘る」という選択肢すら、一部のファンドには存在しなかったということです。
残った10本も、基準価額ベースで見れば多くが買値を回復できていないと推測します。僕が2年持った時点で▲24.4%のマイナスだったことを考えると、そのまま10年持っても回復しきるのは難しいファンドがほとんど。結果的に、2017年に痛みを確定させて新NISAに切り替えたのは、消極的だが正しい判断だったと今は思えます。
今の自分が新NISAで選んでいるもの
この経験を踏まえて、「償還されない」「複利が効く」という条件で選び直した結果、今はシンプルなインデックス投資に落ち着いています。
- つみたて投資枠:オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)を毎月積立
- 成長投資枠:米国高配当ETF(VYM)とインデックスETF中心
毎月分配型は一つも持っていません。
オルカンは信託報酬が年0.05775%で、毎月分配型(年1.5〜2%前後)と桁が2つ違います。そしてなにより、
- 無期限運用なので「償還で強制現金化」の心配がない
- 分配金を出さないので複利が純粋に効く
- 信託報酬が低く、長期で持つほど有利
と、僕が17本の毎月分配型で失った要素を全部ひっくり返した設計になっています。
家計側のインフラが整ってから投資を足すのが王道
毎月分配型の誘惑に負けた20代の僕に足りなかったのは、「毎月の収支が見えていなかった」ことだったと思います。もし当時マネーフォワードMEのような家計簿アプリで毎月のキャッシュフローを可視化できていたら、「毎月分配金で副収入を増やす」という発想よりも先に「まず固定費を下げよう」という判断ができたはずです。
家計のインフラ(収支の可視化と固定費の見直し)が先で、投資はあとから足す。この順番を間違えると、毎月分配型のような「甘い響き」に引っ張られやすくなります。
まとめ:毎月分配型投信17本、10年後の結末
2015年に旧NISAで買った毎月分配型投信17本の、2026年4月時点の姿を数字でまとめます。
- 償還済み:6本(35%)
- ブラジルレアル系2本、三階建てREIT1本、通貨選択REIT1本、アジアツイン1本、日本株ハイインカム円コース1本
- 運用継続中:10本(59%)
- 国内ディフェンシブ、国内債券、ヘルスケアなど比較的シンプルな商品設計が生存
- 追跡不能:1本(6%)
- 国際オーストラリア債券オープン。リネームor統合の可能性
得られた教訓は3つ。
- 毎月分配型の最大のリスクは「ファンドそのものの消滅」。損切りタイミングを自分で選べない
- 通貨選択・三階建て型ほど償還率が高い
- 2017年に痛みを確定させて、新NISAでオルカンに切り替えた判断は、消極的だが正解だった
もし今、銀行や証券会社で毎月分配型を勧められているなら、その場で以下の3つだけ確認してください。
- 信託期間が有期で区切られていないか(満期償還日が設定されていないか)
- 純資産総額が維持ラインに近くないか(直近の運用報告書で30億円を大きく割っていないか)
- 新興国通貨選択・三階建て・ハイインカムといったキーワードが入っていないか(通貨ベットや複数レバレッジの商品は償還率が高い)
この3つだけでも目論見書でチェックすれば、「10年持てば3本に1本は強制終了」という数字の向こう側にいる自分を避けやすくなります。買った投信そのものが無くなる可能性は普通にある、という前提で判断してほしいと思います。
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※本記事は2026年4月時点で各運用会社の公式サイト・目論見書・運用報告書を参照し、17本の現在ステータスを確認した内容です。償還日は各社公表ベース。追跡不能とした「国際オーストラリア債券オープン」について、同名のファンドは現行ラインナップで特定できず、運用会社の統廃合やリブランドに伴い別名称で継続している可能性もあります。ファンドの運用状況は随時変わるため、購入検討時は必ず最新の目論見書をご確認ください。投資判断は自己責任でお願いします。